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やる夫まとめ劇場(仮)

自分が面白いと感じたやる夫系スレをまとめるサイトです。長編を多めにまとめていきたいと考えていますので、時間がある人はどうぞ。
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やる夫で学ぶ柳生一族 その5・続「柳生一族の苦難の巻」

512008/10/11(土) 22:27:06.46 ID:p9/wD73P0
 これは、江戸時代前半において「天下一の流派」と呼ばれた剣術流派
「柳生新陰流」を担った「柳生一族」についての物語である…。

【前回までのあらすじ】
 時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の小豪族、柳生家の当主、柳生新左衛門宗厳は、
新陰流創始者・上泉伊勢守秀綱と運命の出会いを果たし、新陰流に入門。
克己努力の末、ついに「無刀取り」を開眼し、秀綱より新陰流の正統を受け継ぐ。

 こうして、新陰流正統二世となった宗厳であったが、
戦国の風雲児、織田信長の登場により、世は大きく揺れ動く。
嫡男厳勝の受難、足利幕府の滅亡、長年友誼を結んでいた松永久秀の滅亡など、
世の流れに対する己の無力さを噛み締めた宗厳は、遂に柳生庄への隠遁を決意。
剣の道を究めることに全力を注いだ。

 そして、隠遁から20年経った文禄三年(1594)。
名を石舟斎と改めた宗厳は、自らの創意工夫を加えた新陰流を天下に広めるべく、
四男宗章、五男宗矩、嫡孫純厳を柳生庄より旅立たせた。
その後、大納言徳川家康の前での新陰流上覧の場において、
見事家康を無刀取りで打ち負かした石舟斎は、家康より弟子入りの誓紙を受ける。
ここで石舟斎は自らに代わり、宗矩を推挙したことで、
宗矩は二百石で家康の侍従として仕える事になるのであった。

 しかし、宗矩の仕官をはじめ、宗章、純厳の仕官も適い、
柳生家の将来は明るく見えたその時、隠し田の密告による柳生庄没収の大難が降りかかる。
先祖代々の所領たる柳生庄を己の代で失った石舟斎は悲嘆に暮れるが、
弟子でもある家臣たちに支えられ、柳生家復興のために再び立ち上がるのであった…。

612008/10/11(土) 22:28:04.57 ID:p9/wD73P0
 さて、柳生庄を失った石舟斎と柳生一族、そして家臣たちは、
ひとつの苦難の前に悪戦苦闘を強いられていた。

 その苦難は、今までの戦いの日々や、剣の上での苦悩などとは
まるで種類の違う苦しみ、即ち「生活苦」であった。

 平たく言えば貧乏である。
       ______
      /   / 三 \\
    /   -(◎)-(◎)-\   「金が無いのは首が無いのと一緒」
    |     (((__人__)))  |    …誰が言ったか知らないけど、うまいこと言うもんじゃお。
     \      `⌒´   /     とりあえず、色々やってみるお。
    ノ           \ 


※ 注意 ※
 今回は史料的に不明な箇所の多い時期の上に、書き上げてみたら演出がかなり多かったので、
いつもよりもフィクション率高めということで読んで頂ければ頂上ー。

812008/10/11(土) 22:28:56.31 ID:p9/wD73P0
 まずは畑仕事である。
      ____  
   /  ~~~\
  /   - 三 - \  
/    -(◎)-(◎)-|    よく考えたら…鍬を持つのは随分と久しぶりじゃお。
|  し   (((__人__))) |   ずっと剣ばかり振ってたからのう…。
/     ∩ノ ⊃  /      
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

         ____      
     /~~~~\         ___  
    /  - 三 -   \       \/| \ 
    |  -(◎)-(◎)-  |       //\ ~\    …確かこんな感じで…、あ、よいしょ…
   |  し (((__人__)))   |     //   \_ \
  /      `ー'´     \  //             
  |  i           iヽ、_ヽ/    
  └二二⊃         l //

     『ぐきぃっ』


912008/10/11(土) 22:29:43.21 ID:p9/wD73P0
             ____
            /~~~\
           / (◎)―(◎)∪ヽ
          / ⌒((__人__))⌒:::l   こ、腰が…。
     ⊂ ̄ヽ_| ∪  ` ⌒´    |   
      <_ノ_ \      ∪  /
           /____,、ノ /
            /    (__/Σ
           (  (   (   Σ
            ヽ__,\_,ヽ
             (_/(_/

        / ̄\
        |    |
         \_/
           |           
      ./ ̄ ̄ ̄ \        …お爺様、無理すんな。
     / ::-:::::::::-:: \     「年寄りの冷や水」って言葉、知ってっか?
    /  <●>::::::<●> u \   
    |    (__人__)     |     
    \    ` ⌒´    /      
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
   柳生兵庫助利厳(兵助)

10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/10/11(土) 22:30:28.32 ID:p9/wD73P0
        ノ L____
       ⌒ \三/ \
      / ((◎)-(◎)\
     /   ( ((__人__)))  \     ひょ、兵助!
     |       |::::::|     |    何を言うんじゃお!
     \       l;;;;;;l    /l!| !   お前如きひよっこが、この石舟斎を年寄扱いなど
     /     `ー'    \ |i    10年早いお!
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!!(ぐきっ
    `ー、_ノ       ∑ l、E ノ <
               レY^V^ヽl


           VVVVて
            ;/ ⌒`"⌒`ヽ、             
           ;/,, / ̄ ̄ ̄ ̄\;;           
          ;/,//::         \;;        …………痛いお
         ;;/⌒'":::..            |⌒ヽ;;    
      ;;/  /、:::::...            /ヽ_ \; 
      _;( ⌒ー-ィ⌒ヽ、     /⌒`ー'⌒  );  
    ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─━━

1112008/10/11(土) 22:30:53.04 ID:p9/wD73P0
        / ̄\
        |    |
        \_/
         _|__
       /      \        
      /ノ ::::\::::  u.\     だから言ったのに…。
    / <●>::::::<●>    \   すまねえ、誰か、お爺様を家に連れて帰ってくれ。
    |   (__人__)        |   
     \  ` ⌒´      /
    ノ           \

1212008/10/11(土) 22:31:26.61 ID:p9/wD73P0
 次に焼物。
        _________
      /~~~\
     /   ⌒三⌒ \
   /  -( ◎)-(◎)-\
   i ::::⌒ (((__人__))) ⌒ i    はー、これは於鍋が作ったのかお?
   ヽ、     `ー '   /    よくできてるもんじゃお。
     /     ┌─┐|
     i   丶 ヽ{ .  }ヽ
     r     ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ 
     と_____ノ_ノ
 

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ   
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ
 (:::::::::/ ⌒ 三 ⌒ \  )    昔からやってるからね。
  \:/ ((⌒)-(⌒)) \ノ     まさか家の役に立つとは思わなかったけど…。
    |    (((__人__)))   |
   \    ` ⌒´    /  
    /           \
     春桃御前(於鍋)

1412008/10/11(土) 22:32:14.94 ID:p9/wD73P0
        _________
      /~~~\
     /   ⌒三⌒ \
   /  -( ◎)-(◎)-\    いやいや大したもんじゃお。
   i ::::⌒ (((__人__))) ⌒ i     於鍋の手は魔法の手じゃお。
   ヽ、     `ー '   /      わしも手伝うお。
     /      ミ┌─┐     
     i     丶 ヽ{ .  }つ
     r       ヽ、__)_」て  『つるっ』
     ヽ、___   ヽ ヽ  そ
     と_____ノ_ノ
 
      『ぱりんっ』

1612008/10/11(土) 22:32:48.74 ID:p9/wD73P0
        _________
      /~~~\
     / ノ 三\ u.\ 
   /-((◎)-(◎))-  \   ………。
   |   (((__人__)))  u. |  
    \ u .` ⌒´    /      
     /         |    
     i      丶 ヽ /つ
     r       ヽ、__)
     ヽ、___   ヽ ヽ 
     と_____ノ_ノ  ....o.△.o.△...
                   ゚ ゚ 

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ   
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ
 (:::::::::/ :::\:三:/:: \  )    ………。
  \:/ <<○>::::<○>> \ノ     
    |    (((__人__)))   |
   \    ` ⌒´    /  
    /           \

1712008/10/11(土) 22:33:19.09 ID:p9/wD73P0
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ   
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ
 (:::::::::/ :::\:三:/:: \  )    …お前さんはおとなしくしといておくれ。
  \:/ <<●>::::<●>> \ノ     
    |    (((__人__)))   |
   \    ` ⌒´    /  
    /          \

              ____
            /~~~\_
           / / 三 \( ;:;:;)
         /( ;:;:;:;:;ノ - (=)  \   
        (;:;:;:;;;:; (((__人__)))  .:::::)  
        / ||    ` ⌒|||   ,/  
        / / |\/ /  /l |  ̄     …そうするお。
        / /__|  \/ / | |       
       ヽ、//////) /  | |      
        /  ̄ ̄ /   | | 
     ____,/  )--- ヽ   ヽ つ  
    ⊂---― 'ー----'

1812008/10/11(土) 22:33:48.77 ID:p9/wD73P0
 そして養蚕。

         ____
       /     \
     / ⌒   ⌒ \    ははは…それでこちらに来られたと。
    /   (⌒)  (⌒)  \    父上、無理をなさらずともよいのですよ?
   |      __´___    . |
   \      `ー'´     /
     柳生新次郎厳勝

          γ ⌒⌒ヽ
         ( ( ヽ ) ノ
   (⌒) 三    ノ 从 ゝ
 三/ | ニ  ____ ) し    (⌒)  
  |  |   /  \三/\ し  / | ミ    厳勝!お、お前までそういうことを言うのかお!
  !   、 / -( ◎)-( ◎)-\ / | ミ    この石舟斎を年寄扱いするんじゃないお!
  \./:::::::   (((_人_)):::::::: i'   |       皆が頑張ってくれてる中でゆっくりするなんて無理じゃお!
    |       (ww(     |  |        蚕の様子を見るくらいならワシでもできるお!
     \      `ー"     ノ        
     /           /
    /          /

1912008/10/11(土) 22:34:19.87 ID:p9/wD73P0
          ____
       / ノ  \\
      / (●) (●) \          いやしかし、この蚕は普通と少し違うので、
    / u   __´___    \        なかなかコツがいるのですよ?
    |      ` ⌒´     |        如何に父上とて、いきなりは無理かと…
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)
    ノ  | / / /   (⌒) / / / /    「うるさいうるさいうるさい!
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  :::::::::::/      いいから蚕を見せるお!」
 |    l  |     ノ  /  )  /       
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /      知りませんよ…。
  ヽ __     /   /   /

2012008/10/11(土) 22:34:45.15 ID:p9/wD73P0
                          ∩
                          ヽヽ
                            ! |
           , -''´ ̄ ヽ           \ヽ
          / ! j ! ノ! !           ヽ.!
          j___::: !: __ノ!j            | !
           |::: ̄ ̄ /w!_           _ノノ     シャー!
           | ::j ノ ! !,,,ー 二二ニ ニニニニニニ´‐´
         __ノ ; ! |  ̄
     / ̄ ̄  / ;  ヽ_
    | ノ  ;     ;   ̄`!ー、
     |:: |::: ::     ‐‐   ノ !`!
    |:: .| ヽ::ヽ,,,,,,,,,,,,,,,,::::::/ ̄\j ::\
    |::: .|  ヽ::::::::::::::;;;:::: !    `ヽ ヽ
   |:::::::|    ヽ::::::::::::::::: `''''ー-‐‐-| ; ;|、__  ←蚕
   |:: ::::|_,,、‐:::::::::::::::::::::::::::::::::  ̄||| ;; |  `‐-、
   |::i  ::|::::::::::::::::::::::::_;;---;;:::::::::::::::!:: ::  |::::::::::ノ
   | i   | ─''''' ̄     ,,-ー''´! ∧三 >
  |  !_,,_ ‐|>          ̄ ̄| |ヽ |
  |~/´!  |\!             .| ノ ヽ |
  |/  ヽ |               |ノ   ヽ|

2112008/10/11(土) 22:35:23.44 ID:p9/wD73P0
           /´ ̄`ヽ            , --、
          /  人   l             /    \
        / /爻ヽ  ヽ      , ---、 | く⌒ヽ ヽ , -─‐-、    
        { /∠⌒ヽ }  }       / ,--、ヾ> ヽ } レ'  , ---、 ヽ    ____,
        レ'彡イ {Uj }ヾミイ       {  \ } }|  V /  /     `! |  t´r'⌒
    ⌒)ノ  |  ドこzン八三}     ,ィ\/⌒ヾ ̄ヾノ_ノ  ァ'-─-、 ゞL__,〃
     (ソ⌒ヽ! ト--イ ⌒__,ハ  ,ィシvく}了ミy'´7´l}_, -‐┴-、   `ヽ  ̄ ′
      レ)   ! ト--イ (  ノ `ーべ⌒ヽ>y' 〃, -┴┴ミ、_}_}_}_j ヽ⌒) j
      ヽ)、___,>、ト--イ ))〈     ト㍉チrく    // ̄ヽ、_) / /  _..._  ←蚤2
  '⌒>‐ミ、 \)こZヾ--ヘ{{ l|  y' ゝ ヾミ゙)'}|≧>、 / /バ⌒ヽn V/ 〃⌒ヽ
  (⌒ヾ>ニKド、⌒Yく_/ヽj} 人_ゝ__>==1 r彡"´/ / | |   /y'}[__//    `
    ,ィ  ゙̄Vソ,イノ \__ム丁了)ノr'ン´フノ ィ彡/| | ヽヽ. // ヽVソ´
   / / r‐ヘ `Y {    [二[| ,勹77´ ̄ シ三彡'/| |\ ヽV/ミ、_} Kミ、
  { {   トZべ.」 |   [三}〒ラ77 (_)(_) r三/ / | |> \f⌒l/l | L }
 ヾl |  l三ィ∧ l __. [三}⊥.イ工===ァべ/ /,ィ| |/>l{ l>}X.| |゙)レ′
  ヾ, ヽ  {三N>} Y二ヽ」ニ/l⌒ヾ´  /  {O}___」 |/rくゝ _ソ\l |(
   >、 \ 缶jfハ >n' fy' l ⌒y} //⌒\/rヘ l/ /7㌦\j j
  /∧>、_/フイ/7-Vきy'/1 |(⌒)|}./|ト、   \j.ハ ヽ. //) l| //
  !{ニ///,イ///∠7/Zl{ |ィ^トl|\.j| ノへ.____}へ. V/´ ヽV./
  ゞ〃'Tヽ 〃´ ̄ ̄〃⌒l  VハVj  }ソ       ヽ \  //
  ケミ三彡"     /   ゝ ゞ='ノ二/         \ ゝ" /

2312008/10/11(土) 22:36:08.20 ID:p9/wD73P0
         ___
        /⌒三⌒\         ━━┓┃┃
       /(  ̄) -(_)\         ┃   ━━━━━━━━
     /::⌒(((__人__)))⌒:\         ┃               ┃┃┃
    |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                       ┛
    \   。≧       三 ==-
        -ァ,        ≧=- 。
          イレ,、       >三  。゚ ・ ゚
        ≦`Vヾ       ヾ ≧
        。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。

          ____
        / .u 三  \                ち…違う!
      / ((○)) ((○))\              此は蚕にあらず!…じゃお!
/⌒)⌒)⌒. :::: (((__人__)))l_j:::\    /⌒)⌒)⌒)   つか、厳勝!なんじゃおこれは!?
| / / /     |r┬-|     | (⌒)/ / / //    
| :::::::::::(⌒) U .| |  |    /   ゝ  :::::::::::/      「だから言ったでしょう?」
|     ノ    | |  |    \  /  )  /     
ヽ    /    └ー.┘    ヽ /    /        言ったでしょう、じゃないお!

2412008/10/11(土) 22:37:01.86 ID:p9/wD73P0
           ,   -z―─―-  、
       ,  ' ´弌孑y ´' zk  三ニ`丶、
     , '   ...::::::::::::::::::::::::::::::::.... ≠ニ三丶、←蚕3
   /z'' ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... ー ニ三\____
  /y' .:::::::::≠:::::::::::::::::::::, - ─ - 、  ー≠ニ三三三`丶、
. /≠' .::::::::ニ=::::::::::::::, '           \       ''''ニ三 、
/    .z::::=三:::::::::/                \  /  ̄ ` ー 、 `\
  ≠=:::::ー=    /              / /((○)) ((○)、三)    来るなお!絶対来るなお!
  z   三  '''' ,'                  ,' / '⌒(((__人__)))⌒‘ゝ'     …って、ギャアアアアアアッッ!!
  ニ ー=, z≠!               V       |r┬-|    |
 ー' 三ニ ,kz'!               \    | |  |  /
  ,ィk =ニ=  ,z|                 ノ       | |  |  \
    ≠三 ¨  ',              /´       `ー'´    ヽ

 …ともあれ、悪戦苦闘の連続であった。

2512008/10/11(土) 22:38:38.08 ID:p9/wD73P0
  :..   |        /!
 ⌒):  |        }ヽ∠-┴──-- 、r 、  /|        さて、前回から続く領地没収からの一連の話なんだけど、
  く   〈     ≠ ,ィ   rミイ  、 ヽL_>‐、」       正直、あんないい話風な展開があったかどうかはわかんないのよね。
   }   ヽ. / / / /  /_,  |__| l | |   |       実際は、生活掛かってるわけだから、柳生家を退散した人もいたでしょうし。
 /    | {   |T下「   ヽ  V!/l |   |       
 |     {     圭三ニ  千三込、}ム    |         ただ、誰も残らなかったのか、というと、そういうわけではないらしいのよね。
  \  r┘    /       -z   }!   ト、      明確なソースってほどでもないんだけど、後に石舟斎の孫たる十兵衛三厳の書に、
    }  `¬     {           厂l|  |{      柳生庄に残る(石舟斎の)老弟子達を訪ねて云々、とあるので、
    ヽーヘ{   _ ->、       _∠i ハ  | \     ある程度の人数は残っていたんじゃないかしら。
        </   } ̄`7Tブ´: : ∨ |   |   丶   
      ‐¬    /   | 「: : ,ノ : : \|  L.  く     それに、家臣達も代々柳生庄に住んでいたでしょうから、
  r≦-‐   ̄|l    |    | `フ⌒{ : : : : ヽ  {_  \  主の領地没収とは無関係にこの地を離れなかった、という可能性もあるわね。
  |       |l   〈   / j′. : |: : : : : : ∨Tー-ミ、 |  そして、それを割り引いても、なお柳生家との縁が切れなかったのは、
   |       (^ー 、  \く  「: : : :|: : : : : : :V{    j〉   やはり、単なる主従関係だけではなく、新陰流における師弟関係という、
   |       `7 「 ̄`ヽー<: : : : 〈 : : : : : : :|`      もうひとつの繋がりがあったから、というのがあるんじゃないかしら。
    |    _ T´〉: : : : : : : :`: : : ;ノ : : : : : : : |       

2712008/10/11(土) 22:40:21.34 ID:p9/wD73P0
     , - 、   _ _ _   ,. - 、
    / 《_, '´     `ヾ_》 ヽ
    l   /  i  i^'^i  i ',   }     ただ、それはそれとして、領地を奪われた後、貧乏になって困ってたのは事実ね。
    l   |,.ヘAヘ}- -{ヘAヘ}   l    実際のところ、この隠し田による領地没収の時期は今ひとつ明確じゃなくて、
    l   〔i ≡≡ ≡≡ !〕  l    宗矩の徳川家仕官より前にあったっていう説もあるのよ。
    j   {        j l〉  j    領地が無くなって貧乏になったから、禄を求めて息子達を仕官に出した、ってことね。
     { {{ ` ー ,- - 、‐ ' i l  {    一般的な見方で言えば、この「領地没収→宗矩仕官」の流れの方が有名かもねー。
     } } l   r'  †  ヽノ) ト、 Y    
   {_ノ l_((::{ fi   i |  ̄  ! 〕    ただ、それだと、石舟斎が最初に家康からの誘いを断ろうとしていたことや、
        タ/ソヽ/じ、   ( ら   家康に近侍を求められた後、自分より評価(=禄)が下がるであろうにも関わらず、
        く/_/_l!_l_ゝゞ'   `¨   宗矩を代わりに推薦したのが意味不明になるのよね。
           |::::l Y:::|        なので、今回は宗矩の仕官後、この「隠田事件」が起きた、という説準拠で進めたのよ。
           ヒ:::!  ヒ::!        (※この前後をどうするかが、前に書いてた表裏2パターン云々、の件でアリマス)

2812008/10/11(土) 22:41:44.40 ID:p9/wD73P0
       ___ _
      ヘー -  ヘ ‐ 、ヽ       なんにせよ、領地をなくした柳生家が、かなり困ってたのは間違いないわね。
  〃⌒/.:.:.:.:.:.:.rfi.:.:.:.:.:.:.:.:V ⌒ヽ   だから、あれこれやってたと思うんだけど、詳細は分からないのよ。
  乂/.:.:.:.:.:.:.:.:| l.:.:.:.:.:.:.:.:ト __ノ、   (焼物や養蚕なんかはソースが曖昧なんで、演出と思っておいてね)
  ( /.:.:.:.:ハ∧/ .|∧∧ハ| |:.::ハヽ  
   |∧二三三  三三二 ミ/ !:.:〉  実際のところは、新陰流指南の報酬なんかも受け取ってたみたいだけど、
      〉       "" __) |/   流石にそれで二千石相当の収入を得るなんて無理よねー。
      人   o     イ      
     (   >    <   )       で、その後、どうなったかなんだけど…
      /       }

2912008/10/11(土) 22:42:19.55 ID:p9/wD73P0
                     /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
                    /           \
                       /:::::             \     もうおいぼれは役立たずってことかお……
 _______ +      /:::::::::                 ヽ
 |i:¨ ̄ ,、    ̄¨.: i       |:::::::::::                    |
 |i: /ヘ:\     :i|     _ |::.:. : :     ,,ノ三ヾ、       |
 .|i:〈`_、/´_`>.、  :i| ,.r:;'三ヽ:: :: . ー'""´   ,,、  ー‐‐,,     /`、
  |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:"":::::::::::\;;(((ー一)  (ー一)))。;:;:. /::::: ヽ
  |i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──~ 、((___人___,)))⌒;;::/::|:::::〆::\
  |i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::..    "" ニニヽ、⌒ij~"";_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~   ̄       ̄

3012008/10/11(土) 22:43:00.15 ID:p9/wD73P0
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   
. |     (__人__)    父上…何をやっておられるのですか。
  | u   ` ⌒´ノ   
.  |         }
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \       
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、
  柳生又右衛門宗矩

3312008/10/11(土) 22:45:19.80 ID:p9/wD73P0
     ___     ━┓
    /  ― \   ┏┛
  /ノ三 (◎)) \  ・
. |((◎)   ⌒)) \     …又右衛門?
. |  ((__ノ ̄    |    徳川様のところにいるはずのお前が、何故ここにいるんだお?
   \        ノ    
    /´     `\
     |        |

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( -)(-)     何故も何も、先祖代々の柳生庄を没収された、なんて話を聞いたら
. |     (__人__)     戻ってくるに決まってるでしょう…常識的に考えて。
  | u   ` ⌒´ノ    
.  |         }      それに、殿は今、伏見におられますからな。
.  ヽ        }     それがしも、お供で来ておるのです。
   ヽ     ノ      馬を飛ばせばその日のうちにこちらに戻れますよ。
   /    く  \    
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

 この時期、家康は伏見城建築の指揮を取るために京に住んでいた。
家康の近侍であった宗矩もまた、それに付いてきたのである。

3612008/10/11(土) 22:48:48.14 ID:p9/wD73P0
                     /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
                    /           \
                       /:::::             \        そういうことかお…
 _______ +      /:::::::::                 ヽ      なら、話は早いお…もうなんともならないんじゃお…。
 |i:¨ ̄ ,、    ̄¨.: i       |:::::::::::                    |      剣豪なんていわれてもこんなもんなんじゃお…。
 |i: /ヘ:\     :i|     _ |::.:. : :     ,,ノ三ヾ、       |
 .|i:〈`_、/´_`>.、  :i| ,.r:;'三ヽ:: :: . ー'""´   ,,、  ー‐‐,,     /`、  
  |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:"":::::::::::\;;(((ー一)  (ー一)))。;:;:. /::::: ヽ
  |i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──~ 、((___人___,)))⌒;;::/::|:::::〆::\
  |i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::..    "" ニニヽ、⌒ij~"";_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~   ̄       ̄


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( -)(-)     (やれやれ…厭な予感がしたけど、戻って来てよかったよ)
. |     (__人__)      
  | u   ` ⌒´ノ      父上、しっかりしてくだされ。
.  |         }     それがし、吉報を持って参りましたぞ。
.  ヽ        }      
   ヽ     ノ       「…きっぽう?なんのことじゃお?」
   /    く  \    
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

3712008/10/11(土) 22:51:18.41 ID:p9/wD73P0
   / ̄ ̄\         
 /  _ノ   \      父上の困窮をお聞きなされた関白秀次様が、
 |   ( ⌒)(⌒)l    ご自身の所領の中から、近江愛知郡の知行地百石をくだされるそうです。
. |    (__人__) |    直に正式な連絡が来るでしょう。
  |    ` ⌒´ |    
.  |         }     柳生庄二千石と比べれば僅かなものですが、
.  ヽ        }     それでも、当座を凌ぐ役には立ちましょう。
   ヽ     ノ     それがし、それを知らせに参ったのです。
   /    く
   /     ヽ

       / ̄ ̄ ̄\て
     / ─ 三 ─ \そ
    / -((◎) - (◎))- \.    そ、それはまことのことかお!?
    |   (((__人__)))   |
    \    ` ⌒´   /
    /             \

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   
. |     (__人__)    嘘言ってどうするんですか、本当ですよ。
  |     ` ⌒´ノ   
.  |         }
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \       
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

4012008/10/11(土) 22:54:11.08 ID:p9/wD73P0
           _,.. .... 、
         ,.‐'" , 、  `ヽ、
        ,.'/`:'-、jノ ̄j\\
       //         `、ヽ
      i i'          `i  |
      | |,:'"  \,. '"    i  |
      j. |. _,.. 、,i |  _,...,  .| ,!、    「ふむ、あの柳生石舟斎が所領を没収されて困窮してるとな?
      .i j.|. ´,-,テ,L,.- .,  | i i     …隠し田の件は見逃せぬにせよ、
      l !, |   ̄フl_,.,!`=   j .l); |     あれほどの剣の達者が困窮しておるのは不憫。
      ヽ; !、_   j  !、   _,! 、,./.     よかろう、俺の領地から生活できる分の知行地を与えてやれ」
      ノ!j  !  ^. ^   「.〈 ,,ゝ.i
      j,:' i   --==‐-   └l.  l
     j  !.   ‐'"~` '" メ  j  、ゝ
     ヽ,  `;-!、___,メ_,!-‐';^i ノ‐'
      'ー-..! ! `==.l.,=='' !! .|
         !、゛'!三:、l _,:'三j " _」
         `===l===''""
          豊臣秀次

 関白秀次は武芸者の庇護に熱心であったといわれ、
そのことから、今回の柳生家への援助が行われたのではないか、と思われる。

4212008/10/11(土) 22:56:52.62 ID:p9/wD73P0
       ______
      /   / 三 \\
    /   -(◎)-(◎)-\     そうか…ありがたい話ではあるが、
    |     (((__人__)))  |    しかし、我が柳生庄を奪ったのは豊臣、
     \      `⌒´   /    今回の援助もまた豊臣…複雑なもんじゃのう。
    ノ           \ 


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   
. |     (__人__)     それはそれ、これはこれ、ですよ。
  |     ` ⌒´ノ    既に兄上(宗章)や久三郎にも連絡しておられるのでしょう?
.  |         }     それがし達も出来る限りの援助は致しますので、気を落とさないでくだされ。
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \       
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

4412008/10/11(土) 23:00:02.41 ID:p9/wD73P0
     ___     ━┓
    /  ― \   ┏┛
  /ノ三 (◎)) \  ・
. |((◎)   ⌒)) \    すまんの、又右衛門…。
. |  ((__ノ ̄    |    しかし、今、気づいたんじゃが、何故に関白様の内意を、
   \        ノ    お前が知ってるんじゃお?
    /´     `\
     |        |


   / ̄ ̄\
 /u   _ノ  \
 |    ( -)(-)    
. |  /// (__人__)      …あー、まあ、その、なんといいますか、その…
  | u   ` ⌒´ノ      
.  |         }     …於万の方様が教えてくださったのです。
.  ヽ        }      
   ヽ     ノ       
   /    く  \    
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

4512008/10/11(土) 23:02:36.52 ID:p9/wD73P0
      ____ て
   /  ~~~\そ
  /   - 三 - \  
/    -(◎)-(◎)-|    於万の方様…というと、多羅尾家のあの娘じゃないかお!
|      (((__人__))) |   もしかして、あの娘が関白様のお耳にこの度の件を入れてくれたのかお?
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

4612008/10/11(土) 23:05:40.03 ID:p9/wD73P0
.       ///
      .ノ' /                             .
.       / /      .                         }
      / イ    i !斗 l 「!{       フ7lト li
     ′ | i l  ´il l l |¦l从       / //l| l|`l 、     /      まあ、柳生のおじさまが柳生庄を!?
.      {   | | |{  i|Nィf干云ミ、丶. __/ ィf;云干ミjxj |   i⌒V      なんてお気の毒な…。
.       . _乂八 |l 卦 f_刈        {_,刈  }形;|   |' }|       関白様にお助け頂けないかどうか、話してみましょう。
       \/  Ⅵ! 弐_弋ツ       弋'ツ_,ノ弄'j  |} 八
        ´ \   } l|´^'宀冖’       ‘冖宀'^~//,   |イ
             / 八 .:.:.:.:.:.:.   }     .:.:.:.:.:.:.ノイ ′ ト、 |
         / /∧丶._    ヽ       ´ |.   | ヽi|
           / // l     r v'^v 、       |¦  |  l\
.          / //, ¦ l |丶. | |  l ト   . イl |¦  |  |
         / ///   l  l |  | | | | 「    //l |¦  |  |
                 於万の方

 秀次の側妾の一人、「於万の方」は、近江信楽庄の豪族、多羅尾光俊の娘であり、
柳生家とも縁のあった多羅尾家のこの娘と、宗矩は幼馴染でもあった。

4912008/10/11(土) 23:09:14.64 ID:p9/wD73P0
      ____
     /⌒ 三 ⌒\        
   /( >)-(<)-\      小さい頃、お前とも仲が良かったけど、また会っていたのかお!
  /::::⌒(((__人__)))⌒::::\    幼馴染萌えってやつかお?
  |    /| | | | |      |   もしかして…まだ嫁貰ってないのは於万の方様のことなのかお?
  \  (、`ー―'´,    /    
       ̄ ̄ ̄

          ____
        /_ノ 三ヽ、_\
 ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒.  :::⌒((_人__))):: \    /⌒)⌒)⌒)   
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //   だったらツラに似合わねーことするのはやめとけおwwwwwwwww
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/    鏡見てから考えるがいいおwwwwwwwww
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    剣士を止めて魔法使いでも目指すつもりなのかおwwwwwwwwww
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /     あーひゃっひゃっひゃひゃwwwwwwwwwwwwwwwww
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''""~~``'ー--、   -一'''''''ー-、 バシバシ
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

5212008/10/11(土) 23:12:33.18 ID:p9/wD73P0
   / ̄ ̄\
 /       \    うるせえ馬鹿!
 |      ノ(   |   ツラはあんた譲りだよこのしわしわ白饅頭!!
. |     ⌒   |           、  ____    ,
  |          |           `/、,:/,';;}: ;\ / 
.  |         }        \ /、,:',. -‐‐-、 ; ,\ ,.   /┃・・
.  ヽ        }           /` ;ヽ|:::: ::   |ノ ,'\    ┣━  ━━┓・・
   ヽニニニニノ 、_    ‐ ― | ',`冫|::::: :: :   |イ'; 、| --┃        ┃
  /::::::::::::::::::::: ̄`ーニニ==i=┬r===| ,. -―- 、|`;、'(⌒).       ━━┛ ┃┃┃
  ヽ:::::::::::::::::::::::ーt-.._:::::::::_,. -┴一″   (      ) /i ヽ                 ━┛
   ヽ::::::::::::::::::::::::i   ̄     l___ノ // `ー,,-一' ノノ ヽ___i

5412008/10/11(土) 23:15:12.02 ID:p9/wD73P0
      ∧                __ __
     /  \_ ,.ィ'"´ ̄`l´ヾ¨`ヽ-、 /   /
.    {  ヽ.//.// l l rv、.| l i 、ヾ   /     まあ、そんなわけで、柳生家は無収入の状態から一足抜けて、
.   人  /: i:. !l:. l:,!:|`´}:.j_!:l:l:|.:l:!.:∨'∧    なんとか最低限の収入だけは確保できるようになったのね。
   l: /\!:: lーl匕「ハ{ ノノノフ廾1:!.:::}く:i.::',    それに、それぞれ仕官している宗章・宗矩・純厳も
   |/  人::.イ三三`    '三三ミイ}、ノ、\j    まったく援助しなかったって事はなかったでしょうし。
   |\  ,{Υ            リ }、 ヽノ|    
   |:. l:Υハ.と⊃┌──―┐⊂つ'i: Υl :|     あと、この秀次による知行地百石の件だけど、
   |:. |: i::| l::ト、  ヽ.___.ノ ,.イ!:! !:: j.:j:!:|    於万の方の他に考えられるパターンとしては、当時、秀次のところにいた
   |:: {: i::| l::l.:介ァ-,、.._ ,..ィ介jリ:i::l:...l::l:l |    疋田豊五郎、鈴木意伯たち経由で、ってのもあるかもね。
    ヽ:.ヾ :! !:{::j:j;/´入_八_ノ厂∨::j::l. :{ :{ハl    (大体、於万の方と宗矩の関係自体、不明瞭だし)
     }:: } :l_レ'´  ̄>个个く ̄``ヾ、:. ):)::)   
   //_/\   〈  ,.辷j、 〉  /∨/,.イ     ちなみに、ここで宗矩が柳生庄に来てるのは>>1の創作だけど、
  (::.(: (/  j    ∨:l|O|l∨   {   ∨i::|    伏見からだと距離的には然程でもないし、顔くらいは出してたんじゃないかしら。

5612008/10/11(土) 23:18:17.87 ID:p9/wD73P0
 ちなみに、この頃のエピソード(おそらく講談話の類)として、このような話がある。
秀次からの知行地百石によって、ようやく一息つけた石舟斎は、
門弟を何人か連れて、有馬の湯へ湯治に行った。

    ―― [] []
   | l ̄ | |
   |_| 匚. |
\\   | |
   \\ |_|  / ̄ ̄ ̄\
     \\/ ─ 三 ─ \
 [] [] ,-, / -((◎)-(◎))- \
   // /   (((__人__)))     \    ,.r-、
 匚/ /      `⌒´       \  P{三)   疲れたお!湯治に行くお!
    /              |\   \/\ノ    
    /ヽ/^y           |  ヽ     /
\  (、、J  |           |   \_/
 \\    |           |
   \\ |            |
\    \/           7
从从   (            /
Σ  ヽ、  へ        ω/
Σ  /  ̄   \     \
Σ_ノ \、__ / \      ヽ
  \\  \ \   \    〉
 ̄\\\ ̄| \\  //  /
 ̄ ̄\\\ ̄\ \//  /
 ̄ ̄ ̄\\\ ̄|  // /
 ̄ ̄ ̄ ̄\\\ ̄\二フ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\\\ ̄|_

5812008/10/11(土) 23:21:12.90 ID:p9/wD73P0
       {    !      _,, -ェェュ、   |
ィ彡三ミヽ  `ヽ     ,ィハミミミミミミミミミヽ、|
彡'⌒ヾミヽ   `ー  /ililハilミilミliliミliliミliliミ|
     ヾ、        /iiiiイ!ヾヾミ、ミニ=ー-ミ|
  _    `ー―' i!ハ:.:.\\_::::::::::::::/:.|    この時、あること(詳細不明)で石舟斎に恨みを持つ人物が、
彡三ミミヽ        i! ヽ:.:.:.:冫': : :::/,,∠|   なんとか石舟斎を倒したいと付けねらっていたが、
彡'   ヾ、    _ノ i!::: ̄二ー:: : ::::ソ ・ ,|   石舟斎自身が達人である上に、普段は門弟たちがまわりにいて、
      `ー '    {ヘラ' ・_>シ;テツ"''''"|   なかなか手が出せない。
 ,ィ彡三ニミヽ  __ノ ヽヘ`" 彡' 〈     | 
彡'      ` ̄       `\   ー-=ェっ |    しかし、今回の湯治では、連れている門弟の数も少ない。
      _  __ ノ  {ミ;ヽ、   ⌒   |   温泉ならば、剣豪・石舟斎とて隙を見せるやも知れぬ、とこれを追った。
   ,ィ彡'   ̄        ヾミミミミト-- '  |   
ミ三彡'        /⌒ / ̄ ̄ | : ::::::::::|
       ィニニ=- '     / i   `ー-(二つ
     ,ィ彡'         { ミi      (二⊃
   //        /  l ミii       ト、二)
 彡'       __,ノ   | ミソ     :..`ト-'
               仇討者(イメージ)

5912008/10/11(土) 23:23:33.27 ID:p9/wD73P0
            ____
          /      \
         / ⌒ 三 ⌒  \     ほほほ、いい子じゃ。
   __ /  (⌒) (⌒)    \     かわいいのう。
  (0θ0)|   (((__人__)))     |
  ミ_m9 \   ` ⌒´     _/     「1羽でチュン!」
  ″″ノ              \
  (__.ノ|            |  |
-――――┴―――――――┴┴――

 すると、ある日、門弟たちが側を離れている時に、
石舟斎は宿にいた鷹を左拳に止まらせ、かわいがりはじめた。
(AAでは右拳だけど気にしないでください)

6312008/10/11(土) 23:27:52.01 ID:p9/wD73P0
        ,,,、-ー '''''" ア,r''''''ア/  ̄ア
   ,,,、イー ''" ,,,、-ーァ  / / ,//  / ,,ィ     ,,,zー -- ァ   ,,,,、ィ,r''''''ア
  イ  ,,、- ''"   /  / /  / /,r'",、 'ノ ー '''" ̄    /  /"  ,//,、-'"_
  //      /  / /,、r'"  ,、 '"  ,,,,、 -ー ''"フ  / ,,,w/,、-''"、、,,,r''''"/{{:::::.....从;;;从 :::::_、ー' ̄ ̄ ̄ ̄
  /     ,、- '  〈     ク.  /     ノ  /  )ヽ":::::::::::从(/  ,/:: : :{{:::::~'::::、从 :::::)
     ,、-'"  ,、-'" ⌒ ::::::/  _/:::) :::::: /  ,,,| ((从 ::::::::::从从レ'''"⌒ミ:::::ヽ:::::乂:::::  <
   ,、-'"  ,、-'" ⌒⌒:::S:::::: イ/ :::::) ::::ノ,、 '" ,w((  ッッ从i''''''ヽ彡/ 三ミ、: ::`' 、:::::;;;;;;;;:::::|    華  ど
 ィ"  ,、 '"::(::: ::: :: :  ,、-ーー 、 :::::(::::((  ::::⌒⌒ 't ー-从,、-'" ::::: "彡ヽiiiミ::ヽ:::: ::::~''- 、:::::ノ
 ノ / (:: ::(:::(::(:: /''~~,) :::ヽ、 :::::::: :::((⌒::::;r''了ii''""     ,,,rz',ヽyj:::::',::::t:: : ::: :: ::: <    山  あ
. )/    ,,,、、 、,,:::(  ̄ ̄ :::リ '::..',,,,、、、、、,,, ,,、r"='i;;::'、 :: ※",r'ノ''´ ヽ::::::l  |、_~'、;;;;,,,/{
ノ ::(:::(: /,,、、、 :::::~''' 、,,,,;;、-'" :::::::',"傘~'' 、ヽ、 -、~''リリ、''、y';r,ヲ、ヽ::t,、ヘ';; ',:::リ: l;|;;;t::: ン/::}    獄  あ
::::::::::'',(/,'、-'''´::::j::  :::::`'t::ーー''~::: '、ヽ、;::※ヽ~' 、::ヽ ::::~'、ミ、 :::廴)ノ入ヽ}.lリr=リ;|;;;;|,、-'"ツ"|       ∫
::::::c::)',''t,,  :;;;ノ::::: ノノ::::ヽ、"  :::::::ヽ:::::ヽ;::::::' 、:::::::`'' 、 ::::',~' 、ヽ'マ彡ノヽ}| ||ノ;;リ;;;リ`〉彡" j    握.  ∫
::(: ::   ,,>'''ー-ミニi、" :: ノ'~::::'ー'''彡 ::ヽ:::::::ヽ;:::::',:::"""::~'、:::lヽヽ;;ミ、'、~´ ノノ;;;;;;/;;;/,/ 〉彡:ヽ       ∫
;;:; ,,r''"~ー、:::::'''YYミ:ヽ::~''''"::::::::::―'';;"彡::~ii、:::::ヽ;:::';:::    ::::::| |~'ー`~'ー'-''";;;r-'';;;;;//::::::| 〉::::/|   爪  ∫
. ::{:::/ぅ :::}::: ノ:::: /::  :::::::::::::::;r;;/;;彡彡'''"ii、::::::',::::';:::''''~~ :::ll| }ー- 、;;;;;;;;;;;;;ノ;;)-''"/:::::/:/...::.:::|   //  っ
:::::''、/´ ::/-彡ー''、,,r、,,, :::::::::::/;;::::(:::::::::::::........iii、 ii|;;;;;;l::::、  ::|} } }ー、――;;''";;;;;;;;;;;;;;;;::://: : : : |,、-、 ・・
::::: t;;;;、r''":::ミ(((从从从((ii、,,/;;::: :;r''' ~~~ '''' ー::、:::..;;;l|:::::::::::::::l| } リ:: :~'、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/::::;、 '"三::::〉
(:::::  / ::(ミミミミミミミ'''ミiiミii))::" ,'  :j~~ヽ:: iiヽ:ヽ:: :l|:::::::::::::::リ //::  ~'ー、;;;;;;;;;;;;;、-'::::::/三三三:レ|     __/
::)::: r"'''''::ミミ三三ミミ,,,,ミ,,ミ'从、{:: '、 ::ノ  ノ:::::ノ::}:::ノ::: リ::::: ::::::/:ノ ::::''"     ̄´::::::::/三三 : : :: : : :|,、- 、/:::)
: :::)( :r、 ≧;;;;::;:;;:;::;::;/t;r''ィ" '' 、;;;;::~'' 、",,,,,,;;、 ''"///::ノ;;;、-'::: ::::        ,、-'~二三  : ::: :: :从:::从:::::::)ヽ
:;::(::::y ノ::::Yリ;;;;;;;;;;;;;;;;イヽl|. | ::::::::>::::::::;;、彡彡:::::ノ::ノ''"~彡`''-、 ,,,,     ,,,、-''"三彡三三  ::::: (:( (:::::::ノヽ从)
::: ::): '、,,,,ノ {;;;;;;;;;;;;r、ァ }|:l |:::::;、イ;;、 '";;;; ,、'"彡-'"::::彡彡彡彡: :::~~~~~~ :: 彡彡彡     从从:::(:::::::(:::)))ノノ
:: :(::::::::  ,,,〉ェ;;;;从:: :: {|;ヽj ''"' 、,,,,,,,,,、彡-''"´    ::::彡Y"  彡   彡彡彡::: : : :)     ):::::ノノ::::)::::),、-'''
""">,,r'"ーー-、―,,二≧~-、,,,,,  ~~´(:::⌒ : :: :: : :: :: ::ノ,,,、 ' :::  :::  彡::ノ :::::(:::::::)....ノノ:::::(ノノ彡彡彡 ::::
                      仇討者、石舟斎に切り掛かるの図(イメージ図)

   「手が使えぬ今こそ好機!」

 そう見た仇討者は、ここぞとばかりに石舟斎の頭めがけて刀を振り下ろした。

6512008/10/11(土) 23:30:25.70 ID:p9/wD73P0
            ____
          /      \
         / ⌒ 三 ⌒  \     ほほほ
   __ /  (⌒) (⌒)    \     
  (0θ0)|   (((__人__)))     |
  ミ_m9 \   ` ⌒´     _/     「「2羽でチュンチュン!」」
  ″″ノ__             \ミ 
 (__.(0θ0)            ミ シュッ!!
―――ミ_m9 ―――――― ミ
      ″″
  その時、振り向きもしないまま、石舟斎のもう一方の手が瞬時に動き…

6612008/10/11(土) 23:33:11.72 ID:p9/wD73P0
                       |   あ
                 __    j   ぷ
             ,,、- '"´   ``゙゙'''{    ぱ
          ,、-''"::::::::.....|ヽ::ノ::/:: ,, )   //
        ,r''..:::::::::::;;;;;xーュ、::}:::::ll| // :`ヽ ・・
         / ..:::::::::ィ'_,イ,,,ィ".l `゙゙'''ヽ|||  ::::ノ'⌒)_,,,,,、-'
、,,      | ::::,、-'t、ゝ- '''""''ー  |;;l|:/ | l| :::゙、 ::::::
  ``゙ '''''''' '''''''''"::''ー、      lレ':::リ / リ ',,,l~゙ヽ、ヘ
         ...::::::::ヽ   :::::l||::X/ ノ / 彡Y| |:: ヽ::::
     .......:::::::::::::::::::: }     ゙'゙::/ ナ "  '}} 、',ヽl }
 ::: ::: : :::::::::::::::::    イ,,,,,,,,,_,、 '"ノ,r,r;、-<  l}:}ノ l|
  ::::::::::::::    ,、-''''" ゙'''ー-(::イ llノ/__,゚ ノ ,彡リ ン〈::::
  :::::::::::   ,、 '" : :_゙' 、'''ーz彡ン== '''' ´ 彡ノl|゙''";;;
  :::  、 '"((゙l゙'ー(c ,>'ーミシ彡  S>'''>ー、  〉;;;;;;ミ
   ,、ィ"::: ',Yt  `゙゙´''"::( (,,,,ノ'''彡彡シ~゙'、;;;ヽ从;;;;ミ
  '" :',O  ',tヽ、,,,__二r''r≦彡天彡"~゙i::r''〉、;;;ヽ;;;;;;ミ
   ::::::::ヽ::::.. '、ヽ、入ミ,,,ヽヾ゙'i":::::::::}  ::リ::{=| ヽ;;;;ヽ、ミ
   彡 〉、:::::..ヽ、l| 从从ヽ',::{⌒'''''l :::/::('-j  ヽ;;;;;;ヽ
     /;;;;ヽ○::: l|il|lリリj||;;;゙llミ'、   イ_r,,ノ  从;v、;;;;
    /,,、-ヘ;;〉、::::::〉从,,゙ リ;;;{.'、::'、__,,,ノ''",,、 シ ミ;;;;;;;;;;
       ノ;;;/`゙''l|リリ 从|;;;;t ゙'",,、-''"''" 从从ミ;;;;;;;
      /:::/   ゙' 、从从|;;;`゙゙"´,;l|从从゙'ー、从从ミ
      仇討者、返り討ちにあう(イメージ図)
  
 腰の小刀を抜き、仇討者の急所をえぐったという。
当然、仇討者はその場に倒れた。

7012008/10/11(土) 23:35:42.99 ID:p9/wD73P0
            ____
          /      \
        / ノ 三 \  \     何者かは知らぬが…気の毒なことをしたかの。
   __ / ( ●) ( ●)   \     
  (0θ0)|   (((__人__)))     |
  ミ_m9 \   ` ⌒´     _/    「「「3羽揃えば!」」」
  ″″ノ__    __     \ 
 (__.(0θ0)  (0θ0)   |  | 
―――ミ_m9 -ミ_m9 ―┴┴――
      ″″   ″″
 しかし、石舟斎の腕に止まっていた鷹は、驚きもせず、そのまま止まっていたという。

7312008/10/11(土) 23:38:26.01 ID:p9/wD73P0
                  .,,_  _,,=-、
                  '、  ̄_  _.,! __       .r-,.  _    r -、
                 _/  _!」 .└ 、( `┐   .,,=! └, !、 .ヽ  ヽ  丿
                (.     ┌-'( ヽ~/ ̄ ̄ ヽ, r'  r.、''  r' ./
                 ゛,フ .,.  |   `j ../        ', ヽ   | .l  '、ヽ、
               ,,-.'  , 〈.|  |  i' {0}  /¨`ヽ  {0} {,_ノ ヽ  nnm
             、_ニ-一''~ ヽ   |  \l   トェェェイ   ',     }   ) /ノ
                    ヽ__,/   ノ   `ー'′   ',''''''''''''″  (  ノ
                       /´           `\    i |
                     / /ヽ           ノ\ \   | |
                    / /  |         |  \ \ | |
                    ,..u´/     i          i    \`u.、|     / ̄ ̄  ヽ,
    / ̄ ̄ ヽ,     / ミノ      )         (     ヘミ. \   /         ',
   /        ',   / /`´     /  、     ,  \     `i'\ \  {0}  /¨`ヽ  {0},
  ,、{0}  /¨`ヽ  {0},,/ /   /⌒ヽ、'   /ヽ___ノ \  \   ノ  | \ \l  トェェェイ   ',
  ノ/i   トェェェイ   ' イ    / /⌒l | /          \  ヽ 〈   |  \ノ   `ー'′  ,'
 ( )    `ー'′     `ー' /   | |)               (  /  )   ̄ ̄         ヽ
  i' | ゝ            γ     ノ Ll、           l /  ノ            /ヽ |
  | ヽ⌒           ヽ____|__)__r⌒l  l⌒i__,..!-'一´           /   \\
  ゝ.ノ/\________________|   |______,. -―――――‐イ      cl_l_iゝ

          ____
        / u 三  \ て
      /((○)) ((○))\そ
/⌒)⌒)⌒. :::::: (((__人__)))l_j:::\    /⌒)⌒)⌒)  こっちの方がビックリじゃお!
| / / /     |r┬-|     | (⌒)/ / / //   
| :::::::::::(⌒) U .| |  |    /   ゝ  :::::::::::/
|     ノ    | |  |    \  /  )  /
ヽ    /    └ー.┘    ヽ /    /

7712008/10/11(土) 23:41:33.25 ID:p9/wD73P0
 また、別のエピソードとして、このようなものもある。
ある日、石舟斎のところに一人の若者が来て、涙ながらに訴えた。

         ,.. -─‐''''' ‐`ヽノ
         ,.‐'´            ~`ヽ
.      /                ヽ、
.    /                 i.
    /   {( ト 、              .}      石舟斎様!
   .!  .ノ八ヾ=、三ー 、_         !     私は明日、父の仇を討たねばなりません。
   l  /‐- 、     ,..-─ヾj l j   (     しかし、私は剣術をやったことのない身…(カラテならあるけど)。
    {.   i ‐r:qヽ   ‐f┬o;-ヽjノノ    ゝ    
   ヽ.  l.`‐-'/}   ー-‐__`ー'、.     {      惨めな負け方だけはしたくありませぬ。
    \. l.  ヒ._     `゙ 6 }     l      どうか一言でかまいませぬ。
     j, !.   `___     _ン   ノ      敵に勝つ方法をご教授頂けませんでしょうか!?
     ヽ、_ ヽ、  -    |l ̄` ー-r'´
.     |l ゙̄ー-丶、__,,. ‐'_,|l    _ ノ
      |l_   .f,「  ̄  7ヽ ̄  ̄`.二/^
     \  _,7 .| `ー--‐'//   /
      ____ 
   /  ~~~\      ふむ…一朝一夕に剣を学ぶことは難しいが、
  /   - 三 - \    そなたの孝心に免じて、極秘の剣法を教えてやるお。
/    -(◎)-(◎)-|    古来より、
|      (((__人__))) |   
/     ∩ノ ⊃  /     「刀峰(切先)を以って人を斬る者は敗れ、刀盤(鍔)を以って人を殺すものは勝つ」
(  \ / _ノ |  |      
.\ “  /__|  |       というお。
  \ /___ /      明日、仇に向かい合ったら、刀盤で斬る覚悟で踏み込むといいお。

 そのあまりの必死な様に、石舟斎も心動かされ、助言を与えた。
若者は感謝して去っていった。

8012008/10/11(土) 23:44:06.58 ID:p9/wD73P0
 そして翌日、若者は仇と向かい合った。

           ,.. -──- .、
       , ‐'´   __     `ヽ、
      / , ‐'"´       ``''‐、  \
     / /             \ ヽ
.      y'   /` ‐ 、    ,.. -'ヘ   ヽ. }
    ,'     /   /`,ゝ' ´     ヽ   Y.
.    i    ,'     { {        ヽ   `、      不愉快だな…。
    l    ,イ─- 、.._ ヽ ,, _,.. -─:}   !     生の感情丸出しで戦うなど…。
.    |  r‐i| ー=ェェ:ゝ ,.∠ィェェ=ー' |r 、.  l     もう貴様は消えてよい!
   |  {ト」l|.      : | "    ``: |!トリ  |
.  │  ヽ、|      ;.」_      |'ソ    !
.  │     ヽ     r──ッ    /ノ    |     「何を言う!」
    |      lヽ    ̄ ̄     / イ    │
.    !    丶ヾヽ    ~   , ' ノ │   !
    ト.    ミ.ゝ ヽ.____./  /  l   /
    ヽ  ヽ├ ============/イ ,' / , '
     \.   |    ゝ-|||‐ァ'    |ノレ'/
        ` ┤    ヽ.|||ノ    ト,
     __,. -‐'´ゞ:=====|||=====' ' ` ー-

8212008/10/11(土) 23:48:04.64 ID:p9/wD73P0
            /l  ,,,;;-―''"::: ̄ ̄ ̄::::::::`ヽ、
              l::|/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::二`ヽ、
          ノ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
          /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::L、
       /::::::::::::::::::::::::::/::::::::/::::_::::::::::::_::ソ'ノイ:::::::::::::::`ヽ=、
      ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::/  ___\  ∠:ノィ:::::::::::::::::::::\
     /::::::::::::::::::_::::::::::::::::::::l    ` _/::\\  ィ" ヘ::::::::::::::::::::::::ヽ
      |::::::::::::::::/ ┐):::::::::::::::::`ァ   ヽ、 `<_l! ` ´   \::::::::::l:::\:l
 、_ ノ: ::::::::::: :| r.〈::::::::::::::::/      ` 、       ∠、 |::::::::::|::::、:::|     お前は父の仇だ!
  \´::::::::::::::::::::l ヽ \::___チ             `〈_:ノl!ノ::::::::ノ:::::|:::|    お前のような奴は…生きていちゃいけないんだ!
   Y::::::::::::::::::::\_  `ー          __  、 ノ .|:::::::::::::::|::| ||    うおおおおおおおおおッッッ!!
    |:::::::::::::::::::::::: ̄フ´         /::ー-、_ヽ ´  |::::::::_ノイ /    (刀盤で…斬るッ!!)
    \::::::::::::::::::::::::チ´          /::::::::::::::::|;;;/   |::::/
   ,,r-、`、:::::::::::::::::ノ            l!_::::::: :::: :レ'    /::::L_,
  /;;;;;;;;;;`ー、< ̄ ̄  l \         `ー-、:ノ   /::::::チ
_ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;フー、   |  \      ー    /::::、::/
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/   \」_   `ヽ、       /::::::::::チ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; /      `ヽ、_   .〉`ー― '"'" ̄ ̄
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ        // `ヽ.」
;;;;;;;;;;;_;;;;;;/         //   /`ヽ、
-―'"   \\      .//   /  / l__
.          \\    .//   /  / /;;;;;;;;;\
         \\ //   /  / /;;;;;;;;;;;;;;;;;\

 若者は、石舟斎の言の通り、「刀盤で斬る」ため、仇の懐へ飛び込むが如く踏み込み、斬りつけた。

8312008/10/11(土) 23:50:34.61 ID:p9/wD73P0
 ' ,  rァ 、 ' -'  ,、 ' _ ´ ャ , イニ,、-ヽ´  ヽ
i  ,. =' '  _  =r、 ` ,、 { !イr,_,ァ'ヽハ_ ノ _ =-     ぐああッッ!!
  ´ _イ ,.  ´iゝ ,ィ`  ' rj ||/'ハ iゝノjノィ7⌒Vl      …なん…だと?
   /!二 i  ` v' iォ ' ,ャ・ |ヽトァ了// { ' {∧     この私が…やられる!?
  _/lr=i ̄ ーr―  ヽ。・ >rチr' ´ l 、_ ヽ jヘ、!
イrV_二 _   /ヽ -- /ーァ | {j丶レー<ヽ |ヽ{ ヽ  
|ハヽ三-ヽ / ヒ   /}ト、 > ':::::::::::::::ヾ-{ィ_j -、!
|l !< _ 、 /  ,ィ_> 了 `アー、::::::::::::::::/、 レ|r-v′
r' j レi 、  ̄ > ´ヽ   。 ` }! i::::::::::::::/ ハ | 〈ヘ V
レ イ r-rイ-i ,_  l! '    j| ,/l:::::::/ ノ !|l ー lハj
/-ァz -/  /´  , ァ- ̄'   /:::::l/::_,/! l!  j!ィ __l
/ / j | '    /l   '   ::::rァ:::::/__j| ヘ| ̄lL |
 /  / |   ,_ jl/   _  ,/r_、::::j!/ , _ヽ | 7 l
 /  / |    jl  ノア:::::::::::::::lレー /イ_>´  !
  / ノ|{=-, / l lrー'::::::::::::::r ハ!' __j´ィ_ノ-, /
/=-  jヽーく_ イ |!:ィ:::,ォ:::::::/ヘハハ l!/ァ´===v-
/  /  l!ヽ  /ァイ|く//! /´ァ /7_//  rァ  V
、  / _j_ノ -=' ‐ j !::::〈// ,ィ ,/イ l/´_ _-ァ‐  /-
_ ニ:::::::::::::::::::::://:::::V / / /,ハrく     ,/ _
::::::::::::::::::::::::ノノ:::::::::::l -' ァ'  l!    // V

 こうして、若者は見事に仇を取ったという。
これは「相討の覚悟で斬り込むことで、はじめて勝ちの道は得られる」ということであり、
つまりは、命を惜しんで遠間(切先)から斬るのでは有効な斬撃など見込めず、
身(命)を捨てる覚悟で相手の懐まで踏み込んでこそ、真に相手を斬ることができるのだ、という話である。

8712008/10/11(土) 23:53:18.85 ID:p9/wD73P0
 さて、話は戻る。

       / ̄ ̄ ̄\       宗矩、吉報ご苦労だったお。
     / ⌒ 三 ⌒ \     於万の方様へは、深くお礼申しあげておいてくれお。
    / -((⌒) - (⌒))- \.   
    |   (((__人__)))   |    あと、くれぐれも徳川様への忠勤に励むんじゃお。
    \    ` ⌒´   /    頑張るんじゃお。
    /             \


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)   
. |     (__人__)      承知しております。
  |     ` ⌒´ノ    そのようにお伝え致します。
.  |         }
.  ヽ        }      父上も御元気で。
   ヽ     ノ    
   /    く         
   |     \       
    |    |ヽ、二⌒)

8812008/10/11(土) 23:55:53.86 ID:p9/wD73P0
            (ヽ三/) ))
        __  ( i)))
       /⌒三⌒\ \
     /( ◎)- (◎)\ )     おお、そうそう。
   ./::⌒(((__人__)))⌒::\    伏見に戻るついでに幸徳井に寄るといいお。
   |    (⌒)|r┬-|     |    友景があそこへ養子に行ったじゃお。
   ,┌、-、!.~〈`ー´/   _/
   | | | |  __ヽ、   /
   レレ'、ノ‐´   ̄〉  |
   `ー---‐一' ̄

   / ̄ ̄\ そ
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   
. |     (__人__)     友景が幸徳井に?
  |     ` ⌒´ノ    わかり申した。ついでに顔を見てきますよ。
.  |         }     
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く         
   |     \       
    |    |ヽ、二⌒)

 石舟斎には妹がいた。
この妹は、春日の神人(神社に仕える下級神職)、安井某のところへ嫁に行ったのだが、
その次男である友景(幼名不明)が、奈良の幸徳井家へ養子となったのである。
つまり、宗矩とは従兄弟同士の関係になる。

9012008/10/11(土) 23:59:18.68 ID:p9/wD73P0
 宗矩は、伏見へ戻る前に幸徳井家へと赴いた。

   / ̄ ̄\ 
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)   
. |     (__人__)    ああ、ここだここだ。
  |     ` ⌒´ノ   お頼み申す!
.  |         }    それがし、柳生宗矩と申す。 
.  ヽ        }    お取次ぎ願いたい。
   ヽ     ノ    
   /    く         
   |     \       
    |    |ヽ、二⌒)

.   /./ /  l  /ヾl   ト.   l lト  lヽ. \l l | l
    l /!  !  l!  {  {   !ヽ.   l llヽ. ヽ.` ‐-ゝ! !
    !. !.{ ,イ、 lト. l   !  l \. ヾ、`‐、._\/;:三ヾ ̄
   ヽ! l. |{ ヽ、i \!   ヽ、 ヽ  `'ー-ゝ-‐  Ti l r 、l
      ヽ!ヽ { `‐ゝ___ `'ーゝ____-‐_,,.!{ ! ! {i } .} } }    おや、宗矩様ではありませんか。
         `'‐ゝ[i´   l二{ ̄ {" ̄(:゚r゙i ] -‐!l l し'リ ノノノ   ご無沙汰しております。
             l   リ .l  l  ̄ ̄ !   ,ゞ三<--─   
            ヽ、__/  ヽ、._l___ ノ    !〃r' ヽ       ※ 実際の友景は天正11年(1583)生まれなので、
                 <.__           { ! !( l } .} } }     この頃(1595)頃は、まだ12歳程度なのですけど、
              t___,.          !.l l ` リ ノノノ      子供アバンAAがないのでご容赦をば。
                 l  ̄           ヽミニシ' __       
               `T          / /´ ̄ ̄ ̄   
                 !         / ,r'-──- 、.
                  ヽ、.___,. イ ,. ‐'´  、     `
                    ,.. -┴ヽ、    \
               幸徳井友景

9312008/10/12(日) 00:02:09.61 ID:CcTmngvS0
   / ̄ ̄\ 
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)   
. |     (__人__)    おお、ちょうどよかった。
  |     ` ⌒´ノ   お前がこちらへ養子に行ったと聞いて、顔を見に来たのだ。
.  |         }    元気にやっておるか?
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く         
   |     \       
    |    |ヽ、二⌒)

    /' ,.ィ / /  ,.ヘ/  i   l ll  l. ヽ  | | !
.   /./ /  l  /ヾl   ト.   l lト  lヽ. \l l | l
    l /!  !  l!  {  {   !ヽ.   l llヽ. ヽ.` ‐-ゝ! !
    !. !.{ ,イ、 lト. l   !  l \. ヾ、`‐、._\/;:三ヾ ̄     ははは、この幸徳井の家を継ぐべく、
   ヽ! l. |{ ヽ、i \!   ヽ、 ヽ  `'ー-ゝ-‐  Ti l r 、l      毎日勉学に励んでおりまする。
      ヽ!ヽ { `‐ゝ___ `'ーゝ____-‐_,,.!{ ! ! {i } .} } }    宗矩様こそ、今は徳川様にお仕えになっておられるとか。
         `'‐ゝ[i´   l二{ ̄ {" ̄(:゚r゙i ] -‐!l l し'リ ノノノ   
             l   リ .l  l  ̄ ̄ !   ,ゞ三<--─     
            ヽ、__/  ヽ、._l___ ノ    !〃r' ヽ       「まあな。
                 <.__           { ! !( l } .} } }     しかし、それがしよりもお主の方がよほど変わっておるぞ。
              t___,.          !.l l ` リ ノノノ     なにせ、剣豪・柳生石舟斎の甥が、陰陽師になるのだからな」
                 l  ̄           ヽミニシ' __       
               `T          / /´ ̄ ̄ ̄   
                 !         / ,r'-──- 、.
                  ヽ、.___,. イ ,. ‐'´  、     `
                    ,.. -┴ヽ、    \

9512008/10/12(日) 00:04:30.39 ID:CcTmngvS0
                   人      }\
   /\    _ ________ ___/  \ _ /  }     というわけで、知ってる人は知ってるわけだけど、
   {  ヽ,. '´       \_ /´  `ヽく、   この幸徳井家は、賀茂氏の庶流で安倍氏の系統でもあり、
   ,>/          /{     ∨    南都(奈良)の陰陽師として代々活躍していた家柄なのよね。
 / /   ,.  /∨l  i  \ ヽ、     !    で、そんな幸徳井家の8代目当主・友豊の養子になったのが、この友景ってわけ。
 \_,l   i  !  |´ ̄|   l、  |`ー',     |    (養子に入った正確な時期は不明なので、実際はもっと幼い頃に養子入りしてたかも)
   l l  i{  |  |:::::::::|  ハ ,ハ /l     !   
   | ', |i∨人ノ::::::::::!ノ::::人::::::∨::l     |     剣豪・柳生石舟斎の甥にして、
   | ヽ!l<  >:::::::::::<  >::::::::l     !    後の将軍家剣術指南役たる柳生但馬守宗矩の従兄弟が陰陽師、ってのも
   l   i l:::::∨::::    :::∨:::::::   !    l    随分変り種なわけで、まあ、伝奇力(でんき・ちから)がぐるぐる廻るわね。
   ',  l八             ,.rrー|    /    どこぞの伝奇作家が大ハッスルするのも納得なのよ。
   ヽ !  \  ⊂つ   /、!l l |   ,'l     うふ、うふふ、ふふふふふふふふふ…!
      |  l i >┬―…T´  `ヾ.l   ! !    (友景の大暴れ天童っぷりは荒山徹「十兵衛両断」「柳生陰陽剣」をご一読をば。
      |  l i {   `╋…´      l   ! |     ええそうです宣伝なのです。両方新潮文庫から発売中でアリマス)

9712008/10/12(日) 00:07:09.78 ID:CcTmngvS0
 さて、その後、伏見へ戻った宗矩は、暇を見て、聚楽第に於万の方を訪ねた。

         / ̄ ̄\   
       /u  _ノ  \
       |    ( ⌒)(⌒)     於万の方様。
       | ///  (__人__)     この度は関白様へのお口添え、ありがとうございました。
         |     ` ⌒´ノ     父からもお礼申し上げるようにと言付かっておりまする。
         |         }
         ヽ        }      …あと、その、この宗矩も、感謝の心で一杯でございます。
    /  ⌒ヽ    '´(       
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

.       ///
      .ノ' /                             .
.       / /      .                         }     あらあら、又右衛門様。
      / イ    i !斗 l 「!{       フ7lト li       /    私は関白様におすがりしただけでございます。
     ′ | i l  ´il l l |¦l从       / //l| l|`l 、     /    お礼なら関白様へ申し上げてくださいませ。
.      {   | | |{  i|Nィf干云ミ、丶. __/ ィf;云干ミjxj |   i⌒V       
.       . _乂八 |l 卦 f_刈        {_,刈  }形;|   |' }|      
       \/  Ⅵ! 弐_弋ツ       弋'ツ_,ノ弄'j  |} 八      「ははは、そのためにも、関白様へお目通りできるよう、
        ´ \   } l|´^'宀冖’       ‘冖宀'^~//,   |イ        この宗矩、名を上げてみせねばなりませぬな」
             / 八 .:.:.:.:.:.:.   }     .:.:.:.:.:.:.ノイ ′ ト、 |
         / /∧丶._    ヽ       ´ |.   | ヽi|    
           / // l     r v'^v 、       |¦  |  l\     うふふ、又右衛門様ならすぐでございますよ。
.          / //, ¦ l |丶. | |  l ト   . イl |¦  |  |      きっと 天下一の剣士にだってなれますとも。
         / ///   l  l |  | | | | 「    //l |¦  |  |

 宗矩は、ひと時の楽しい時間を過ごし、聚楽第を去った。
これが、宗矩と於万の方の交わした最後の会話となった。

9912008/10/12(日) 00:09:34.99 ID:CcTmngvS0
 そして、悲劇が起こる。

               _,..----、_
              / ,r ̄\!!;へ
             /〃/   、  , ;i
             i,__ i ‐=・ァj,ir=・゙)      我が豊臣家は、相応しい者に受け継がれなければならぬのである!
             lk i.l  /',!゙i\ i      身の程を弁えぬ愚か者には裁きの鉄槌が下されねばならんのだ!
             ゙iヾ,.   ,..-ニ_ /      ジーク・豊臣!
             Y ト、  ト-:=┘i
              l ! \__j'.l
              」-ゝr―‐==;十i      _,r--――、
             .ト、.j.!レ' ̄三! >ーr‐r‐r‐<  _,.r<"「 l_____
     ____,..r--r=ヾヽj,r―'"≦__ ̄ ̄r―'"\\ \r",.-、, \
    ∧   ト-'‐'"三へ>ト-‐'"~    ゙i  /       \\(_.人 ヽ._ ヽ
    レ'へ._ノi 「 \ ゙l //./",「 ̄/ / /       ヽ-ゝ. \   /
    レ'// .l l   ! ! i/./ ./  /  / /         ,(  \  ノハ
    レ'/  .! !   i ゙'!  ̄ ∠,  /  ヽ._        ,ター  '",〈 !
   /゙" ,r'" .l‐=ニ゙,「l ! 「 ̄!. /./   ー=='       .l.ト、. -‐'"/!.ト,
  /   .ト-  ゙ー―┘!└‐'='-‐"   ヽ._/   、     トミ、 ̄ ̄._ノノli\
               豊臣秀吉

 文禄四年(1595)、太閤・豊臣秀吉によって、関白・秀次は謀反の疑いをかけられた。
いわゆる「秀次事件」である。

10112008/10/12(日) 00:12:11.87 ID:CcTmngvS0
           _,.. .... 、
         ,.‐'" , 、  `ヽ、
        ,.'/`:'-、jノ ̄j\\
       //         `、ヽ
      i i'          `i  |
      | |,:'"  \,. '"    i  |
      j. |. _,.. 、,i |  _,...,  .| ,!、    「(切腹など)やらせはせん…とは言えんか。
      .i j.|. ´,-,テ,L,.- .,  | i i     …無念だ」
      l !, |   ̄フl_,.,!`=   j .l); |
      ヽ; !、_   j  !、   _,! 、,./.
      ノ!j  !  ^. ^   「.〈 ,,ゝ.i
      j,:' i   --==‐-   └l.  l
     j  !.   ‐'"~` '" メ  j  、ゝ
     ヽ,  `;-!、___,メ_,!-‐';^i ノ‐'
      'ー-..! ! `==.l.,=='' !! .|
         !、゛'!三:、l _,:'三j " _」
         `===l===''""

 原因は色々推測されているが、大きな要因として、
文禄元年(1593)に秀吉の実子・秀頼が生まれたことで、
子がないために後継とされていた秀次が疎まれた、というのがある。

 だが、この物語において、重要なのは原因ではなく、事件の結果である。
まず、関白秀次は高野山へ送られた後、7月に切腹となった。

 そして…。

10312008/10/12(日) 00:15:12.66 ID:CcTmngvS0
 同年8月、三条河原。

      /.:.:::.:.:.:::::::.::::::::::.:.::.:.::::::::::.::.:::::::::::::::::::::::::::::::l
     ,'.:.::::.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::.:.:.:.:.:.:::::::.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:
      |.:.::::::;.:.:.:.:.:::::::::::::::.:.:.:.:.:.:::::::.:.:::::::::::::::::::::::::::::.::.::::ゝ
     l.:::::::::i.:.:::.:.:::::::::::::::::.:.::::.:::::::::.::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:::::::l
     ';:::l::::::i::::::::::::ハ::L::、::::.:::::::::::::::::::::::;:::: ハ:;:::::::::::.:.:::::::::l
     ';::l::::::i:::::::::::、ヽ __ヽヽ::::::::::::::::::::/j_ ノ、!ll::::::::::::.::::::::::l
      ';:ゝ:::i::::::::::l」,-、:。:iヽ\::::::::::::/,'ノ:゚::j`!::::::::::::::j::: ノ!:
.      !' |::::i.::::::::ヽゝー"‐` ヽ、/ ´ ー-ノ::ノ:::::/ノ/ j      (…秀次様…今、おそばに)
.       l j.:i:::i.:.:::::`"´            /ノj:::/'ノ         (………又右衛門様)
        `!:|!::i.:.::::、:.ヽ、     .. ..    ´ ノj:::::::l 
       l/!::i.:.:::::ヽ、ヽ`          _,ノ:::.:::::|  
      //j.:::i.:.::::::iヽ、    --‐::::-‐     /::::::.::::|   
     /〃/.::;'.:.::::::l }`ヽ         /|!:::::::.::::|   
.    / / |.:.:::::.:.::::::l\l ` 、      /jヽ||l::::::::.:::|   
   / / _」.:.::::::.:.:::::|\!、  ` ー--‐ ´ 〃 |!|:::::::.:.::|   
   (r‐'´ l::.:.::.:::.:.::::l  \\      //   |:::::::.:.::ト 、 
  /     !:.::::::::.::.:::!   \\     ,//    j::::::.:i:.:l   `
/     l!´l:::j:::::::l    \\_ / /   ノ::ノ:j:::l    
         | !l :::::::l      \//   ' " ノ:!::ノ   

10512008/10/12(日) 00:18:05.36 ID:CcTmngvS0
   / ̄三\  て
 /:::u:::_ノ 三 \ そ
 |:::::::::::( ○)(○)  
. |;::::::::::: (__人__)   .  秀次様の家族・妻妾まで打ち首だと…!?
  |::::::::::u |r┬-|      …於万どの!
.  |:::::::::::  `ー'}   
.  ヽ:::::::: u   }
   ヽ:::::   ノ  
   /::::  く  
   |:::::   \  
    |::::   |ヽ、二⌒)

 秀次には四男一女の遺児の他、数多くの妻妾や侍女がいたが、
それらの大半になる三十九名が、同年8月、処刑された。
場所は、秀次の首の収められた塚のある三条河原である。

 そして、処刑された妻妾の中には、於万の方も含まれていた…。

10712008/10/12(日) 00:20:13.51 ID:CcTmngvS0
             ;;/三 ̄ノ(;;     なんで…ッどうして……ッ!
            ;;/三 ヽ、:⌒::\;;    何故女まで殺す……ッ!常識的に考えて……ッ!!
       l⌒ヽ o((○)(○))゚o::::::.|;     おのれ秀吉……ッ!どうして俺は…俺は………ッッ!!!
        ヽ、 \(__人__) :::u:::::::::|;;
     //   \  |エエエエ|  :::::::::::|´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ;;
           ヽ { `ー' u:::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ\;__
     | l l|,, ___,{   ::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\__)_;;
    て ゝ____`ヽ_(  ̄ ゙̄  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ、:::::::::::: );;
     そ ドンドンッ!    ̄ ̄ ̄               ̄ ̄ ̄

 宗矩がこのことを知ったのは、江戸においてであった。
主君家康が事件が始まったと同時に江戸へ引き上げたからである。
当然、家康の近侍である宗矩も、それに従うことになる。

 宗矩が事の次第を知ったのは、すべてが終わってしまってからであった。

10912008/10/12(日) 00:23:01.50 ID:CcTmngvS0
 そして…

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ○)(○)
. |     (__人__)
  |     (      ・・・・・・・・・
.  |     ` ⌒´ノ
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く             \
   |     \\         \
    |    |ヽ、二⌒)           \
   l    l     \          \

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ○)(○)
. |     (__人__)
  |     (      ……於万どの……それがしは………
.  |     ` ⌒´ノ    ……それがしは………
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く             \
   |     \\         \
    |    |ヽ、二⌒)           \
   l    l     \          \

11012008/10/12(日) 00:25:31.69 ID:CcTmngvS0
          , --────-- 、
        /           \
       /::::::            \
     /:::::ノ( :::       l:::::::::::::::::\
    ./::::::::⌒::::      ノ::::::::::::::::::::::.\
   /::::::::::::::::::::::    _, -'´:::::::;;;;;;;;;;;;;;:::::: \
  |:::::::::::::::::::::::: / / ̄\\:;;;;;;:// ̄\\
  .|::::::::::::::::::::::::| |. ○ .|  ,|:;;;;::| |. ○ .||    豊臣家が…大嫌いでござる!!
   |::::::::::::::::::::::::: \ \_/ /::;;;;::\\_//    
   .|::::::::::::::::::::::::::    ,/   ::|::     \  
    |:::::::::::::::::::::::::::   |    |     |
    |::::::::::::::::::::::::::::::  |    |     |      ,.-,.、 て
    .|::::::::::::::::::::::::::::::::  \__/\__/|      | .-,.| そ
    |::::::::::::::::::::::::::::::::::   | トエエイ  |  /      |   |
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      丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::  .{       }  l       |   |
      \:::::::::::::::::::::::::::::::::: 、`ー一一 ' )    .-,.、 /  -=j"i.-,.
       .\:::::::::::::::::::::::::::::::::       / ,.--、/i.-,//     /  /
        ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::     / }ヽ \ /ノ   _}  / \

11412008/10/12(日) 00:30:15.54 ID:CcTmngvS0
   \      ,..''  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  __,,,,/    /  |
  |   \        ` .、::::::::::::::::::::::::::.,-‐'"'"     /    .|
   i    `'''ヽ、       -:::::::::::::::::::      -‐'"'" /    /
   `i    |  `、'''ヽ、、     .ヽ.Y    , ..-':''" ゙/   /   ../
    `、  |    `、  (:、、   . .|  ,..-')   /   /  ‐-‐'    (……ほほほ、宗矩。
     ‐-‐'| \  `、....,,,`_゙ヽ_、_,| ノ、."..-'''''''" // .. /       いい顔になってきましたね…気に入った!)
       |  \\γ .,--‐-‐ "゛"゛‐-‐'''"゙'' |///  /
       `i| \\ |        、      |///  /\`i
       /`i  \ |   < ___ ゙''-''"'_,,,, >.. |///. /   `、
     /   `i\\|     ヽ゛⌒⌒/゛   |/ / /
          `i \|     `.、__ ノ     //.-
           ~\      ‐'''''‐   / '
               \      /
                 "'''゙''-''"~
                 徳川家康

11712008/10/12(日) 00:32:43.12 ID:CcTmngvS0
  kー----.、      _____,,,,_r‐‐‐''''''''''''フ
.    ̄`<''´'''ヽ     ,!:::::::::::::::::::;r‐'''''''´      まあ、ここまで書いておいてなんだけど、柳生関連の資料では、
    /';::;/   ,r'´::::::::::::::::::::::`'フ        於万の方と宗矩の関係どころか、そもそも於万の方って実在すんのか、
   /:::::::::l    ,r':::;r‐、::::::::::::::::::;/  ,r'''''フ''   というとこも不明瞭なくらい、記載がないのよねー。
  /::::::::::::::::`ー-、f;;;r';;;;;;;;i::::::::::::::::/   `、::`、    一応、載せてる資料もあるにはあったから、今回、書いたんだけど。
   ̄ ̄'''''''''''‐,rー-;!;;;;;;/::::::::::::::::::`ヽ,r'''´::::::`、   (「春の坂道」が初出でしたー、とかいうオチがありそうなのが怖いが)
     __  l;:::::::l;;;/;!;!;!;!;!!;!r、:::::::::;!'''''''フ''´   
.     ヽ, ̄''ー='7 `;!;!;!;!;!;/  l:::;!/;;;;;f''´      ただ、それを無いものとして考えても、
       `ヽ、:.:.ゝ 、,,,,,,,,,,,,ヽ !:;/;;/         
         `7:.:.i  ''''''''''′;;;;;;;;;;          1:柳生庄を没収された
        ,f:.:.:.:.`.、 <,! _,丿           2:唯一、豊臣側で恩のある秀次を自害に追い込んだ
       ,/::.:.:.:.:.:.:.:. ̄'''i, ̄             
       ,!:`iヽ,;,;_:;`ーi-:.;;,;`ヽ、           この2点において見ても、柳生家が豊臣に反感を持つのは
.      レ''il::::::i::::`iヾ!`ヽ、 ̄           ごく自然なことと考えることもできるわね。
        l''''''ーi'''''ヾ''''i´            ましてや、宗矩は家康の近侍なんだし、尚更、ね。
        `、::::::::!  `''′            (まあ、宗章は小早川秀秋に、純厳は浅野幸長のところに仕官してるから、
          `ー'′                柳生全てが、というわけでもないとは思うけど)

11912008/10/12(日) 00:36:30.73 ID:CcTmngvS0
 そして、時は流れ、文禄五年(1596)九月

          /ミミミミミミミ川\
        /ミミミミ/\ミ川川|/\      諸君! あ…ありのまま、今、起こった事を話そう!
       /ミミミ/::::::::::::\|/ u  ヽ
       /三三三|:::::u::::::::::       |    『明国からの降伏の使節を迎えたら、
      /三三三>::::::::::::: \ /  <|     ”日本の降伏を認め、日本国王に封ずる”と言われた』
      |三三三/::::〈____  )) __)
       |三(⌒||:::  \_◎>  <__◎/     な…、何を言ってるのか、諸君も理解できないものと思うが、
       |ミ(6 |_|::u::::::   / |\  〉    この私、豊臣秀吉も何を言われたのか理解できなかったのだ!
        | し  ::::::::::: /   |   |
        丶|:::::::|::::::u::::   〈  」〉 |      頭がどうにかなりそうだったのだよ諸君!
        |:::::::|:::::::::::::::: __  /
        |::::::: \::::::::::::(__)/       それは、半島南部の割譲や明の皇女と天皇の婚姻など、
        | ::::::::::::\::::::::::  |  |       降伏条件の調整などというチャチなものであったのか…?
        | ̄ ̄ ̄ ̄\___/        否!断じて否である!
        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄|       
        |   二二二\_| | |_/二      もっと恐ろしいものの片鱗を味わったのだ!
            二二二__| | |_二|      ジーク・豊臣!
             豊臣秀吉

 文禄の役の後における明国との和平交渉が決裂。
詳細は略すが、要するに、日本と明、それぞれの和平担当者が、
互いに都合のいいように報告したことが露見し、和平は決裂したのである。

12112008/10/12(日) 00:39:32.18 ID:CcTmngvS0
               ,、
             //
           ///)
          /,.=゙''"/       _,r'三 ̄`ヽ、ノ(
         i f ,.r='"-‐'つ     /ヘ/" ゙̄\,ミ⌒
         /   _,.-‐'゙~     ,! 、!r r。-r ミ   i     我が忠勇なる日本軍兵士たちよ!
        ,i    ,二ニー;     ドツ ヽ ̄  fハ, il    明国は我が日本を侮辱した!
        ノ    il゙ ̄ ̄      l ー-_゙   ,、/ /    日本は明国に従属するものではない!
      ,イ「ト、  ,!,!         ゙! )二」゙  ,!i Y     敢えて言おう!カスであると!
     / iトヾヽ_/ィ"___.     ヽ.t  _/,!  i     行け!我が兵士たちよ!ジーク・豊臣!
    r;  !\ヽi._jl/゙_ブ,フヽヾーtー:、__ ,トf-≦-=、_,L
    ∧l   \゙7'゙ .j!/ / /\jr=ニ:ー-゙┴、 ゙ミ三ヽi]l「/l      _____
   ./ i !   \.// /./  ./   \ ┌‐ヽミ≦‐十'"!    r",.-、, \
  /  i゙i     /  ̄ ̄ ̄       i .l ッー-、\_ミ「彡゙'ー=‐ (_.人 ヽ._ ヽ
 ノ   ヾ、  /            i! ! \_ ̄i i l r‐へ.__ ゝ. \   /
/      ゙''y'              l .i  、 l  !.j .l l 「,> (  \   人
 
 怒り心頭に発した秀吉は、翌年の慶長二年(1597)二月、
明国に再度戦いを挑むべく、14万の軍を朝鮮へ送った。

 二度目の朝鮮出兵「慶長の役」である。

12312008/10/12(日) 00:43:22.37 ID:CcTmngvS0
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /             \
   /  U               ヽ       何でこんな戦いに…。
    l:::::::::      \,, ,,/      .|     でも、ここで手柄を立てれば、もしかすれば、
    |::::::::::   (●)     (●)   |     没収された柳生庄を取り戻して、柳生家を復興させられるかもしれない…。
   |::::::::::::::::::   \___/    |     嫡孫のボクが頑張らないと!
    ヽ:::::::::::::::::::.   \/     ノ
        柳生久三郎純厳

 朝鮮へ向かう14万の日本軍。
その中には、柳生家嫡孫、柳生久三郎純厳の姿があった…。

12512008/10/12(日) 00:47:14.14 ID:CcTmngvS0
             ,.ィ
       _  _/;;;;!.----..、 _  ,.ィ        前にも書いたけど、この時、厳勝の嫡男、純厳は、
       ヾ;;;>へ'r、:::/`ーヽヽ;;;;;>'-、!       浅野幸長の下で、五百石で召抱えられていたの。
         l/;l:::::::::iヘ:|::::::::::::ヾ〃;|::::::}       まだ二十そこらの歳で、叔父二人(宗章三百石、宗矩二百石)より高禄なのよね。
        |〈;|:;ィ:::ノ  |:;ィ::;;;;;;;;ヾ<|:::::::|       腕前が石高だけで推し量れるものではないのは確かなんだけど、
       ノ::!イ:i''Y"´ ヾ`ヾヾ!'レヘ:::::::|       その実力が高く評価されていたのは間違いないわね。
       /:::::::≡≡≡ ≡≡≡ ,)::::::| 
      /::::::::::(         ''ノ^::|:::::::::ト、      で、その上で、なんだけど、この時の純厳の状況はといえば、
      /::::::::::/ ,>,、 __,.. ‐' :〉::::|::::::::::l:ヽ、    父、厳勝は不具の身の上で嫡男のままいられるかどうかわからず、
     ノ::::::::::/</ |:/:`ニ≡: : :\:::|:::::::::::l:::::〉    実家の柳生家は代々の領地・柳生庄を奪われ、
   /::::::::/     /: :l: : : : :十: iヽ:|::::::::::::|:::;>   しかし、日本は既に統一され、もはや手柄の立てようも無い…。
   ヽ、:::::(  ,. -─{‐‐‐'-ニフ_: : :|/\ー-、(´     
      >:r' /   l'二!:/´〃| : :〉二'、 ノ:`Z_    そんな状況だから、純厳が朝鮮での戦いで手柄を立て、柳生庄を取り戻す、
    <:ノ /   r',r'⌒ヽヽ// |lV;|;ヽ;/r、` ̄ヽ)  あるいはそれに匹敵する領地を得ることで、柳生家の嫡流たらんことを示そう!
   ,r'二、ーL.__{_{.><.} }__,イ|_;;;|;/|| |_,.ィ> ´   そう考えたとしても、不思議じゃない…そう思うのよ。
  `{.l二リi/三 三ヽr'⌒ヾi  ∧ | ̄ 7´ リ>     
   _lゞ=ン{ 三  三,ィ!i 三,リ  {ii|/-- ノ/|__/>     あと、叔父の宗章も小早川秀秋に従って、朝鮮に渡っていた可能性があるんだけど、
  (二二| }ニニニニ{ |二二二){|;|____||i;L〈     それを裏付ける史料が見つからなかったのでわからないのよねー。
     ̄し'、[_R_],.し'-、  ;-  !|--、  |;|>ゝ    まあ、渡っていても別におかしくない、というところかな。
       ヽ____/   ヽ_ハ___ノ  ヽ___ノ       (伝奇だと、渡っていた説準拠の話が多いんだけど)

12712008/10/12(日) 00:51:08.38 ID:CcTmngvS0
 そして蔚山にて明軍・朝鮮軍との戦いがはじまった(後の蔚山城の戦いとはまた別物)
時に、慶長二年(1597)二月二十二日。

     ('⌒)
    γ'|l ̄ ̄`ヽ
     !=| |=[口]=!\ ⊂(⌒`)8二二二二二二>     ジャーンジャーン
    ノ"ノノ;`Д´)く,-'"~〉∨|                      
   ンへ二介二ノ^  ,-へ_/ ミ仝        ワーワー  
  く_>'ヘへ^/―メ‐'" `ヽミ γ'呉`ヽ
 (_ィ)、―`=ロ==|(゚Д゚ |_|   |_|゚Д゚)        仝         仝    ワー
   (ヽ'ヽ,/ |__ゝ≫ ━○━○━━∞  γ'呉ヽ        γ'呉ヽ
    くニノ リ/ L_|O=|   |=O=|       |_|゚Д゚),      |_|`Д´)  ニダー
    (_ん~!、_リ_ソ ∪  ∪ ∪      ━○━○━━∞ ━○━○━━∞
   ,,/";;〈《;;;`く___ゝMMN;;,;,;;MMNMW  ´⌒)´⌒)  ´⌒)´⌒)  ´⌒)´⌒);;  
  〈「'"〈 ;;''"ヘ;(__)  ´⌒)´⌒)  ´⌒)´⌒)  ´⌒)´⌒);;MMW,;'"';;;WMWM,,,;,;,''"""'""
MM,,;;;,,WWW;;,;,,;,MN;,;NW    ´⌒)´⌒)  ´⌒)´⌒)  ´⌒.  _                 _
                ドドドドドドドドドドドド!!      | |              _    | |
                                      | |  _           | |   | |
                                      | |  | |        | |   | |
                              ブルルル!      | |  | |           | |   | |
                ヒヒーン!           _∧ ∧(oノヘ| ̄  | |          | |(oノヘ| ̄
                              (_・ |/(゚∀゚ )|\.   | | ._∧ ∧(oノヘ|/(∀゚ )|\
                       _∧ .∧(oノヘ   |\Ю__∧ ∧(oノヘ| ̄ (_・ |/(゚∀゚ )|\ ⊂)_|√ヽ
                   (_・ |/(゚∀゚ )\ (  (_・ |/(゚∀゚ )|\   |\Ю ⊂)_|√ヽ~∪ )^)ノ (´⌒(´⌒;;
                      |\Ю ⊂)_ √ヽ| ||   |\ Ю ⊂) |√ヽ (  ̄ ~∪ )^)ノ( | ( |(´⌒(´⌒;;
          ワーワー        (  ̄ ~∪ )^)ノ '~ ~   (  ̄ ~∪ )^)ノ  .|| || ~( | (´⌒(´⌒'~ (´´
                        ||` || ( | ( |(´⌒(´    ||` || ( | ( |  (´⌒(´⌒;;  (´⌒ '~ (´⌒(´⌒;;
                     '~ ~(´⌒(´⌒;;  (´⌒(´⌒  (´⌒(´⌒  (´⌒(´⌒;;  

12812008/10/12(日) 00:54:28.38 ID:CcTmngvS0
     )\∧/ヽ(_/(_∧/(_∧/(_
  )\/                  (_
  \    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\      /   
    ) /             \    フ
  )~ /                  ヽ  (      柳生純厳推参!
  ゝ l:::::::::.     \,, ,,/       |  /      うおおおおおッ!!
 <  .|::::::::::   (●)     (●)   |   >      (手柄を!手柄を立てるんだ!)
   ) |:::::::::::::::::   \___/     | (
\/   ヽ:::::::::::::::::::.  \/     ノ  フ   ズゴゴゴ
\\  \              /
 \\/ ̄              \
   \|             /   ::|
     \__         |   ::::|  
       \\|  _     \_/
         \|/  \    :::|
         /     |   :::/   
         |    /   ::/  しゅざっ
         \_/    ::/\\
          /     ::/   \\
          \__/      \|
      ///

 純厳の戦いぶりがどのようなものであったのかはわからない。
ただ、おそらくは、味方の弓・鉄砲による攻撃後の槍による攻勢、その中にいたのではないかと思われる。

13312008/10/12(日) 00:58:02.28 ID:CcTmngvS0
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /             \
   /              ヽ
    l:::::::     \,, ,,/     |    うりゃっ!
    |::::::::::: (●)     (●)  |   
    |:::::::::::::   \___/    |
    ヽ:::::::::::::    \/     ノ
     ̄ ̄/    ヽ ̄ ̄      ri/ 彡  ∧        ∧
      /   i     ト、   __,,,丿)/    / ヽ      _/ .∧
      |    !     )`Y'''" ヽ,,/     /   ⌒ ̄ ̄   ⌒ヽ
       ! l   |   く,,   ,,,ィ'       (              )
       ヽヽ  ゝ    ! ̄!~~、       /:::::::::    ::::      V \   ニダッ!?
       ヽ  / ̄""'''⌒ ̄"^'''''ー--、/::::::::::  ,_;:;:;ノ      干 /
        Y'´          /    """''''~--   \___/  /
        (      丿  ,,;;''  ....::::::::::: ::::r''''"" ̄""ヽ\/  ノ 
         ゝ   ー--、,,,,,___      ::: ::,,,,,ー`''''''⌒''ーイ.. '" 1         
         ヽ      \  ̄""'''"" ̄  /          `ヽ

        __           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
        〈〈〈〈 ヽ       /          \
        〈⊃  }      /              ヽ
         |   |      l:::::::::.              |
 アイゴー!    !   !    、 |::::::::::   ,_;:;:;ノ     (●) |   ぐはっ!
     ∧ ∧ /  /    ,,・_ |:::::::::::::::::   \___/  .|
    (#`Д´)  /  , ’,∴ ・ ¨ ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ
    /   /   、・∵ ’  /     ̄ ̄ヽ
   /  /           /          〉

 純厳は槍を振るい戦ったと思われる。 
もしかすると、槍を失って刀を抜き、新陰流の腕を振るったかもしれない。

13512008/10/12(日) 01:00:55.17 ID:CcTmngvS0
 そして…。

      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\;;
    / ノ(     U  × \;;      ダーンッ!!
   /  U ~  メ          ヽ て    
    l:::::::::     \,, ,,/     # | そ    うぐっ!
    |::::::::::  |||(○))  ((○))   |;
   |::::U::::::///U\___/ /// |;;
    ヽ:::::::::::::::::::.  \/     ノ;;

 奮闘する純厳を襲ったそれは、父・厳勝と同じく、一発の銃弾であったのかもしれない。
ともあれ、純厳は戦いの中で傷を負い、倒れた。

13812008/10/12(日) 01:03:31.32 ID:CcTmngvS0
     ;;/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\;;
    ;/         U ×\;;
   ;/   U  メ          ヽ;   
   ;l:::::::::   /      \ # |;;    あぁ……ボクは…やられたの……?
   ;|::::::::::   (○)    (○)   |;     銃…?父上と同じ……?
   ;|:::::::::::::::::   \___/|||   |;;   
   ;ヽ:::::::::::::::::::.  \/     ノ;


     ;/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\;:
   ;/メ (○)     (○)  \;:
  ;/    U\___/ |||    ヽ;:     腰…じゃない。腹か……。
  ;l:::::::::.    \/    u    |;:      動けないよ……不覚だ…。
  ;|:::::::::: U          メ    |;  
  ;|::::::::::::::::              |;:
   ;ヽ:::::::::::::::::::.            ノ;

14212008/10/12(日) 01:06:44.18 ID:CcTmngvS0
     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\;
    /メ (=)     (=) \;
   ;/    U\___/U|||  ヽ    …無念だ…柳生家を…復興させなければ……。
   l:::::::::.   U  \/    u  |;     こんなところで…父上…お爺様…お婆様…兵助…権右衛門…。
  ;|::::::::::   U         メ   |  
   |::::::::::::::::              |;     ……母上………。
  ;ヽ:::::::::::::::::::.           ノ


      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /メ  _     _  \
   /     U ___ U |||  ヽ    ……………。
   l:::::::::.  U          u |
    |::::::::::  U         メ   |  
   |::::::::::::::::             |
    ヽ:::::::::::::::::::.           ノ

 柳生石舟斎が嫡孫にして柳生新次郎厳勝が長子、柳生久三郎純厳。
朝鮮・蔚山にして討死。
享年21歳。

14412008/10/12(日) 01:10:15.44 ID:CcTmngvS0
        _ ___
  r‐;ァ'⌒7⌒7'´ ̄:ヽ;:.`.ュ_
  L/.:.:.:.:(;;;;_ノ:./:/:,.:_:l:.:.:.:.:.ヾニユ_     …実際のところ、
  r;'l.:.:.:.:广ヽ;./:./://^ー'1:l:.l:.:Y;;;;;;>   この二月二十二日の蔚山の戦いがどういうもので、
  ∨.:.:.:ハ;;;;rイ|_イlイ{    }.:|:.|.:.ト=く     その中で、久三郎がどういう風に戦って、どんな風に最期を遂げたのか、
  |:.:.:.:!:.ハノrflハ「リ  ./イ;イノ-;;r「     史料が無いので、わからないのよ。
  .|:.:.:.:|:.:ト{ ゞ=′   /ナ>ム`'「:.:!     (少なくとも柳生系の史料では見つからなかった)
  |:.:.i:.:|:.:トヘ.     , `" //|.:.|.:.:|    
  |:.:.|:.:|:.:::::|\  一- ,. イ「::|.:.|.:.:.|     だから、この久三郎の最後については、>>1の創作なんだけど、
  |!.:|.:.:|:.:r┴-.ニl、r;ニ´:::::||:::|.:.:|.:.:.|     この戦いで、石舟斎の嫡孫・柳生久三郎純厳という剣士が亡くなったことだけは…事実なのよ。
 ,||.:.|.:.:.l::|   /ハY ト-、--v冖、:!    
-й.:.|.:.:.ヾ!  ノ什^l.ト 、j |  |  l::!     そして、しばらくして、この悲報は、柳生庄の石舟斎と厳勝にも届くの…。

14712008/10/12(日) 01:12:26.03 ID:CcTmngvS0
         ____
       /     \
     / ─    ─  \      ………なん…だと?
    /   (○)  (○)  \     もう一度…もう一度、申してみよ。
   |      __´___     |
   \      `ー'´     /


    ,..-――――--.、
   /          \
  / ,/"`ー―'" ̄`ヽ、  ヽ
  lf" ,.-―、  r―-、  l  l
  l!  ‐¬,.) (¬‐‐┐ l  l     はい、柳生純厳様、
  l!  `"/::::::::::`‐-'"  l  l     朝鮮国蔚山での二月の戦にて、討死を遂げられましてございます。
  lヽ  〈::::::::::::)、  ,...rイ  l  
/l l  ,,,,^,,,^",,,,,,,,,;rっ  l  l\_
  ト、 `ー―――‐"´ / ノ  ヽ
    ̄ー、二二,.―'"
    浅野家の使者

15112008/10/12(日) 01:15:18.33 ID:CcTmngvS0
         ____
       /     \
     / ─    ─  \      
    /   (○)  (○)  \     ……………馬鹿…な…。
   |      __´___     |
   \      `ー'´     /

       ____
     / ノ三ヽ、_\
   /((○)}liil{(○))\     きゅ、久三郎が朝鮮で戦死した!?
  /   (((__人__)))   \     そ、それはまことのことかお!?
  |    ヽ |!!il|!|!l| /   |       何かの間違いではないのかお!?
  \     |ェェェェ|     /


    ,..-――――--.、
   /          \
  / ,/"`ー―'" ̄`ヽ、  ヽ
  lf" ,.-―、  r―-、  l  l
  l!  ‐¬,.) (¬‐‐┐ l  l    間違いございません。
  l!  `"/::::::::::`‐-'"  l  l     こちらは、身に着けておられた品でございます。
  lヽ  〈::::::::::::)、  ,...rイ  l  
/l l  ,,,,^,,,^",,,,,,,,,;rっ  l  l\_
  ト、 `ー―――‐"´ / ノ  ヽ
    ̄ー、二二,.―'"

15312008/10/12(日) 01:18:41.83 ID:CcTmngvS0
         ____
       /     \
     /  _ノ  ヽ、_  \    …!これ…は…!
   / o゚((○)) ((○))゚o \     ……久三郎ォォォッッ!!
   |     __´___     |      久三郎ォォォォォォッッッ!!!
   \            /

 
     //            //  そんなっ…!
.    / / __,‐⌒ヽ、       //  バカなっ…!  バカなっ…!
   / / /  三'─ \    / /   常識外なっ…!  ありえないっ…!
  //ノ ノ-、 (○つ\  / /   どうして…!  こんなことがっ…!
//  | 。(○)  、゚ ヽ)) ヽ l l   どうして……  こんな…
/   ヽ U(ヽ__,,,トー'i   )| |  あってはならない……!  常識的に……!
      ノ    ` ⌒''  ノ | |  どうして…
    (           } ノ ノ  どうして…  こんな…
     ヽ         //  こんな…
      ヽ      //      こ ん な こ と が っ … … !

 実際のところ、遺品などがあったかどうかは不明。
だが、亡くなった日まで明確にわかっている以上、おそらく、遺体は確認できたものと思われるので、
ならば、訃報に際し、遺品も届けられても不自然ではないものかと思われる。

15612008/10/12(日) 01:22:18.92 ID:CcTmngvS0
    ;γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、;
   ;/:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ;   
  ;γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ;
 ;(:::::::::/ :::/:三\::: \  );;   どういうことだい!?
  ;\:/ o゚((○)) ((○))゚o\ノ;     あの子はまだ少ししか生きてなかったんだよ!
    ;|    (((__人__)))   |;       こんな酷い目に遭う道理があるもんかい…!
   ;\     ` ̄´    /;  
    ;/           \;;


         ;-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、:;
        ;/ /" `ヽ ヽ  \;: て
     ;//, '/   し ヽハ  、 ヽ;:そ
     ;〃 {_{ _ノ '  ヽ_ リ| l │ i|;:     …あの子が…!
     ;レ!小l((○) (○))从 |、i|;:      久三郎が…どうして…どうしてっ!?
      ;レ |    ,_,,_, |||i  |ノ;:      
         ;ヽ、   ̄´   /;: 
          ;ヘ,、 __, イ;: 
           お清
(厳勝の妻、久三郎・兵助・権右衛門の母)
   ※ 家康の正室・築山殿の姪

15712008/10/12(日) 01:25:49.24 ID:CcTmngvS0
       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄\
    / :::\:::/:::: \     
   /  <○>::::::<○> \    …兄上……ッ!
   |   U(__人__)U    |  
   \    ` ⌒´   /
    /         \ 

   /.:::::::::::::::::::::::::::::ヽ
    |.:::::::γ⌒^Y⌒ヽ:::.|
    |::::::::ゝu ⌒ メ ⌒ |      あの久三郎兄上が…そんな…まさか!
   |:::::: ((( ○) (○)|    
   (@  :::: U(__人__)||||
    |  メ   |r┬-| U |
    \     `ー'´/ 
     柳生権右衛門

16112008/10/12(日) 01:29:06.14 ID:CcTmngvS0
=伏見=
       / ̄ ̄\      
      /    ノ( \     
      |::::::    ⌒  |    久三郎が…!?
     . |:::::::::::     |    こんな…こんな出鱈目な戦さえなければ…秀吉ッッ!!
     .  |::::::::::::::    }          ....:::,,  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━

 嫡孫・久三郎死す…。
この悲報は、この時期、柳生庄を失ったことと並び、柳生家を揺るがした悲劇であった。

16312008/10/12(日) 01:32:14.80 ID:CcTmngvS0
  :..   |        /!
 ⌒):  |        }ヽ∠-┴──-- 、r 、  /|         柳生久三郎純厳…。
  く   〈     ≠ ,ィ   rミイ  、 ヽL_>‐、」        次男・兵庫助利厳が目立ってるから知名度は低いんだけど、
   }   ヽ. / / / /  /_,  |__| l | |   |        彼こそが、本来の石舟斎の嫡孫で、柳生の本流を継ぐ資格も持ってたのよね。
 /    | {   |T下「   ヽ  V!/l |   |         (作品によっては、兵庫助を長男と書いてるものもあったりするのがまた…)
 |     {     圭三ニ  千三込、}ム    |       
  \  r┘    /       -z   }!   ト、        実際、石舟斎直々に教えを受けていて、
    }  `¬     {           厂l|  |{       新陰流の印可も受けている上、宗矩との年差は僅か5歳なのよね。
    ヽーヘ{   _ ->、       _∠i ハ  | \      もし生きていれば、柳生家の本流・新陰流の正統の両方を継いでいた可能性すらあったのよ。
        </   } ̄`7Tブ´: : ∨ |   |   丶    悪くても尾張柳生の他に紀州柳生、または安芸柳生が出てたんじゃないかしら。
      ‐¬    /   | 「: : ,ノ : : \|  L.  く    (朝鮮柳生?…何のことかな)
  r≦-‐   ̄|l    |    | `フ⌒{ : : : : ヽ  {_  \ 
  |       |l   〈   / j′. : |: : : : : : ∨Tー-ミ、 |   そして、これが重要なんだけど、概ね分かっている範囲での石舟斎の直接の親族のうち、
   |       (^ー 、  \く  「: : : :|: : : : : : :V{    j〉   戦で亡くなったのは、実はこの久三郎が初めてなのよね。
   |       `7 「 ̄`ヽー<: : : : 〈 : : : : : : :|`      つまり、石舟斎は初めて戦で家族を失ってしまったわけ。
    |    _ T´〉: : : : : : : :`: : : ;ノ : : : : : : : |        しかも、それが嫡孫(初孫)なわけだから…まあ、その衝撃はおして知るべき、ね。

16512008/10/12(日) 01:35:07.19 ID:CcTmngvS0
       ;/ ̄ ̄ ̄ \ ;
      ;/   ノ 三\ \;       
  __ ;/ ヽ ((○))ii((○))/ \;      もう…もうワシはダメなんじゃお…ワシには柳生家の復興なんて無理じゃお…。
    ;(    |(((__人__))) |  |;      葬式代は茶碗売って作ってくれお…。
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \;     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

 その後、久三郎討死のショックがよほど大きかったのか、
経済的困窮も相まって、その後の石舟斎は相当気弱になってしまった様子が伺える。

 例えば、後の話ではあるが、慶長四年(1599)、
「自分が死んだら、茶器を売って葬式代を工面して欲しい」などと書かれた遺書も残っている。
(実際に亡くなるのは、これより7年も後であるが)

16812008/10/12(日) 01:37:51.01 ID:CcTmngvS0
             ____
             /ヽ__//
            /  /  /
            /  /  /
           /  /  /
          /  /  /
          /  /  /
           ̄ ̄ ̄ ̄

 その遺書の文面は以下の通り。宛先は於鍋宛。
(原文はひらがなが多いけど、読みやすくするため漢字入れてます)

 『年寄候まま、いつくにも行転びはて、あとに御残り候はば、
  我々が道具、家財ことごとく、それさまへ参らせ候べく候まま、それの御まま、召され候べく候。
  又それよりは残り候ものも候はば、又右衛門尉に御とらせ候べく候。
  さりながら茶の湯の道具は又右衛門、徳斎などと御談合候て、我々か葬礼、当座の御支配に召され候べく候。
  そのあまりは、それさまへ御取り候べく候。
  ほんよのことくなりゆくおはねのひいさまの屋敷南はしもとは、それさまの御下地にて候ままそれへめされ候べく候。
  これは美作存候。それ米を御とり候て、そのかたにまいり候下地にて候。
  まへの屋敷二郎四郎か井ども其分にて候。
  其ほかわれわれが取り分は、みなみなそれさまへ参らせ候。
  又右衛門尉に御とらせ候て給い候べく候。
  それふかうに候はば候ままにて候。
  新二郎には何もしらべとらせ候。
  ただいまわれわれはとらせ申間敷候。
  何も何も大かたまでをゆりなく候ままはづかしく件の如し。

  柳生但馬入道宗厳(花押)

  慶長四年亥己七月三十日 御なふ様』

16912008/10/12(日) 01:41:25.58 ID:CcTmngvS0
             __.--------.、,,,,,_   /" ̄"フ             
          __,--" ̄~:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'‐i    ,l゙          ちなみに、一説によると、妻宛に遺言状を書いたのは、
      ,.-"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ノ ノ          この時期、石舟斎は仕官を求めて諸国を廻っていたからだ、
   /~''''''i::::..-:::::::::::::::::::::::::::::MM:::::::::::::::::::::::::::::::ソ\i           という説もあるんだけど、まあ、実際のところは不明なのよ。
   i .,/;:;;/::::::,、:::{:::::::!:l::::i  l;;|::::::::|::::::::::::::::::|:::::ア\            
 <,,、 ̄/::::::::i::i:::::゙l::::::::|;;;l;;;!,,、 'i'''/i''i'''!'!Λl゙i::|ノ|::::::::::ヽ         あと、この遺言状で、家財道具を処分して自身が取った残りは宗矩に取らせよ、
   `'―,/::::::::::i゙::::::::|::::::iヽ::i   !/ i/ |/ . i:::/:ノ::|::::::::::::\       また、自身の葬式や当座の生活費なども徳斎(出家した三男)と宗矩に相談せよ、などとあることから、
    /"'::::::::::i:::::::::|ヽ;;i .V       ,,,,,,,,,,,,,,V -く::;;:::::::::::::\      この時期には、石舟斎は宗矩に家を継がせようと決めていた、
    ''"|::::::::゙.i::::;;:::|   ,,,,,,,,    '''''~~/|/‘ ' 6 i::\:::::::::::::\     という説もあるんだけど、これも正直、これだけじゃわかんないわね。
 ,,,,   |'i::::::/ヽ::::::|''''~~~            i- '::::::::i\:::::::::::^~\    
<  >  .|ヽ/;;::::::ヽノ/|/   ,,,--¬    _,,r_,,_:::::::::::\\::::::::::::::/   理由としては、兄・宗章は、実際は小早川家に仕える家へ養子に行ったのであり、
. \\  l::::::::|::::::::::!       !,  .ノ  ,,,--'  ,!ノ::::::::::::::::i  >::::::::/   久三郎が亡くなったことで、柳生家で仕官している男子が宗矩だけになったので、
. /`゙ | . !::::::::|::::::::::`-- .............二ニ--''`  ir ':::::::::::::::):::,-‘ l゙::::::::く,   故に、宗矩が家督を継いだのだ、というわけなんだけど…。
. !......ノ  !:::::::|:::l:::::::::::::::., -,-‐'''"__ y †  ヽ,_::::::::::,i´.,゙l,   `''i:::::,>  ま、そうと断ずるには些か不明瞭なものが多いわね。
    \ i:::::::ヽ.゙l、ヽ::::::`'''--'''::::::i     ./二フ---,     V`    
       |:::::::::,i:::::::l゙:::::::::::::::::::':!::::::::,!    /-フ-‐'~          実際のところは、まだ決めきれてなかったんだと思うわ。
      /:::::::::/\(゙―ー----┤::::::}―--i'''iく_<~             遺言状まで書いておいて、跡継ぎを決めてない、ってのも
      ヽ;;;;;;゙-、 "''===''i、` \ .l_____゙l゙__レ’~              随分な話だとは思うけど、ね。
         `i;;i    ノ      | / ̄                    
          ゙ゝ          l_ノ

17112008/10/12(日) 01:43:48.16 ID:CcTmngvS0
      _  __ _
     く〃  ,、,、 ヽス   
      Rレ从|""|从!R.|   あと、この遺言状の中にある「おはねのひいさまのおやしき」とは、
      | (|─‐ ─‐|)│  宗矩と縁のあった公卿・烏丸家の姫が住んでいた屋敷のことであり、
      |l人  ヮ ノ| i!|   この姫が、後の宗矩の次男・友矩の母である…というのが
      ノj |::ブ千弋::| 八  山岡荘八版の話なんだけど、まあ、これはさっぱり不明ね。
     巛小f レっ! |小 》〉  (年代的にも友矩が生まれるよりずっと前になるし…。
      "7├‐'´ー┤7 "   まあ、お藤が友矩の母でもある、とかいうよりはまだありえるかもだけど)
        |┬r┬.|    
        |_|_|__|_j|     
        ├|   |┤

17212008/10/12(日) 01:46:56.68 ID:CcTmngvS0
             ____  ____ _,,,,,,,,_            
          ,r'''''''<´;;;:::::::`<:::::::::`ヽ;;;;;::ヽ            最後に、前に質問が上がってた「領地没収の時、屋敷は取られなかったのか?」の件だけど、
        _,l;;;;:::::::l;;;;;;::::::::::;r、,r、:::::::ヽ;:::::l          これについては、ここにある「まへの屋敷」って言葉がキモになるんじゃないかな、と。
      i´;;l;;;;;::::::!;;;;i;i::i;;;;i:l   !;:i::i::i::!::::l          「まへの」とあるからには、やはり屋敷を取られていたのでは、とも読めるんだけど、
      ,!;;;l;;::;;::::l;;i;;l'VVヾ!  レ'V、:l::!:::;!           逆に、取られていたのであれば、財産相続に関する遺言状で話題に上るのも変な話だし。
      レ´!;;:::::::l´ヾ!_,,,,,_   _,,,,_ レレ::::!f'ヽ          ”二郎四郎”ってのも誰のことかわかんないしね。
         ヽ;;;:::ヽ '´ // //,!::;;:::l `!ヾ¨ヽ      
         ヽ;;;;;;:ヽ、__     _,/;;;;;_;r''''ヽ_!ヽ!         で、更に調べてみたところ、どうもこの時期の柳生家と柳生庄の関係は、
        /:.ヽ;;:;;:::ヽ`ー--‐'´:. ̄¨´:.:.:.:/ !:.:.:ヽ、      「荘園」と「代官」というものだったらしいのよね。
          !:.:.:./l;::;:::::;!:.:.†:.:.:.:.:l-<''''''''¨´:::l l:,r‐、:.:`.、   
       /:.:.://;,!::::::l;,;,;,;,;,:.:.:./  ヾ;r'´ヾノ  !☆ ヽ:.:.ヽ    つまり、元々柳生庄の土地自体は柳生家のものではなく、
      /:.:.:/ ,!;rl::::::l;,_;,;.:.:_;,/-r7 ̄ ̄ヽ   ヽ__,ノ:._;,;,_!   あくまで、一帯の管理(外敵からの防護含む)をする代わりに、
  ,r'''''7''´ヽ_;/,r'ヾ::l::i::;!::::: ̄::::::/ l::::_i_:::::::::l   ヽr'´_;/  上がってくる収入の幾らかを得る権利を持っていた、というものだったらしいのよ。
   ̄ ̄ ̄`´ !:;r'´V`ー-----<,,..-'´ ヾ::::::!      ̄      (まあ、時代が時代だから、実質的な支配者であったことは間違いないと思うけど)
          `ー-::;;;;;;;;;;;;;_:::::::::::l    !:::::ヽ___       
                `ヾ、ノ     `ー---'′          で、検地で奪われたのは、その代官の権利であって、これにより収入は絶たれるけど、
                                    家屋敷など、元々柳生家のものであるものは奪われなかった、という話ね。
                                    まあ、明確なところは分からないけど、どうも取られなかったらしい、というところで良さそうかな、と。

17412008/10/12(日) 01:49:14.19 ID:CcTmngvS0
 そして純厳の死から1年半、慶長三年(1598)八月十八日。


 i:.:.:.:.:./ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.::::::::::::::
 l:.:.:.../  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.゙ヽ.:::::::,
 |:.:.:.:i'   .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`"
 l:.:.:.:レ  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、:.:.:.:.:
 i.:.:.:|' ,r":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:
  ゙,:.:.:|  -t:r:.、――- 、..:::::::::::
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i 'ヽ.i:.l  ,;;''" ̄ ̄:.:.::/::::::::::|:.:.:.      「露と落ち 露と消えにし 我が身かな
|  ゝl:.l, ":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::|:.:.:.       浪速のことは 夢のまた夢」
i,ヽ,゙i'i :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::|:.:.:.
 ヽ.)i,! .:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:::::::::::::::::|:.:.:.
   ゙i,  λ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::!;:;:,、
     `‐'|',  .:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::':':'
      | :':, .:.:.:.:.:.:.:.:,,_____
      | :.:.':、 .:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄ ̄ ̄
    .  | :.:.:.ヽ. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;;;;;;:.:.:
     .  | .:.:.:.:.:゙:、 .:.:..:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     r.'!  .:.:.:.:.;;::゙:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
     ト、 `''‐、、_;;:.:.:.:ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:
     レ' r'~`'ー-、_`''ー-、、`'''''''''"


   太閤・豊臣秀吉逝去。


 これにより、安定したはずの天下は再び大きくうねりはじめ、
また、柳生一族の運命も大きく動きはじめるのである。

17712008/10/12(日) 01:53:08.57 ID:CcTmngvS0
  \ヽ, ,、
   `''|/ノ
    .|           \ヽ, ,、  
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┼ヽ  -|r‐、. レ |
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【やる夫で学ぶ柳生一族(その5・続):「柳生一族の苦難の巻」】

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[ 2018/03/04 18:00 ] やる夫で学ぶ柳生一族 | TB(-) | CM(0)
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