やる夫まとめ劇場(仮)

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やる夫で学ぶ柳生一族 その10「柳生石舟斎、最後の務め」

812008/12/14(日) 22:25:50.69 ID:57aTd0VN0
 これは、江戸時代前半において「天下一の流派」と呼ばれた剣術流派
「柳生新陰流」を担った「柳生一族」についての物語である…。

【物語現時点(慶安九年(1604))での柳生一族】

   大膳長永
      :
   <柳生家>
      :
     ├─────┐
   柳生永珍   中坊源専
      :
     ├─────┐
     家厳      重厳
     |    (七郎左衛門)
     |     (松吟庵)
     ├──────────────────────────┐
     宗厳                                     妹
   (新左衛門)                                    |
    (石舟斎)                                 <幸徳井家>
     ├───┬───┬────┬──────┐         |
     厳勝   久斎   徳斎     宗章        宗矩        友景
   (新次郎)             (五郎右衛門)   (又右衛門) 
     ├────┬───┬───┐     
     純厳    長慶    妹    厳倚
    (久三郎)  (兵庫助)      (権右衛門)

1112008/12/14(日) 22:26:32.01 ID:57aTd0VN0
【前回までのあらすじ】
 時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の小豪族、柳生家の当主、柳生新左衛門宗厳は、
新陰流創始者・上泉伊勢守秀綱と運命の出会いを果たし、新陰流に入門。
克己努力の末、ついに「無刀取り」を開眼し、秀綱より新陰流の正統を受け継ぐ。

 こうして、新陰流正統二世となった宗厳であったが、
戦国の風雲児、織田信長の登場により、世は大きく揺れ動く。
嫡男厳勝の受難、足利幕府の滅亡、長年友誼を結んでいた松永久秀の滅亡など、
世の流れに対する己の無力さを噛み締めた宗厳は、遂に柳生庄への隠遁を決意。
剣の道を究めることに全力を注いだ。

 そして、隠遁から20年経った文禄三年(1594)。
名を石舟斎と改めた宗厳は、自らの創意工夫を加えた新陰流を天下に広めるべく、
四男宗章、五男宗矩、嫡孫純厳を柳生庄より旅立たせた。
その後、大納言徳川家康の前での新陰流上覧の場において、
見事家康を無刀取りで打ち負かした石舟斎は、家康より弟子入りの誓紙を受ける。
ここで石舟斎は自らに代わり、宗矩を推挙したことで、
宗矩は二百石で家康の侍従として仕える事になるのであった。

 しかし、宗矩の仕官をはじめ、宗章、純厳の仕官も適い、
柳生家の将来は明るく見えたその時、隠し田の密告による柳生庄没収の大難が降りかかる。
更に、嫡孫・久三郎純厳の討死などの悲劇により、柳生家は没落の憂き目に逢う。

1312008/12/14(日) 22:27:09.58 ID:57aTd0VN0
 そんな中、諦めずに家の復興を狙う柳生家に、絶好の機会が訪れた。
慶長三年(1597)、太閤・豊臣秀吉の逝去後、宗矩の主君、徳川家康と石田三成が不和となり、
結果、日本全土を巻き込んでの一大決戦「関が原の戦い」が発生、家康が日本の覇者となる。
その戦いにおいて、柳生家は一族を挙げて徳川家に味方した事で、
ついに柳生庄二千石を取り戻すことに成功、ここに柳生家は復興を果たした。

 そして、柳生家を復興させた功によって柳生家の家督を継いだ宗矩は、
徳川家の後継・秀忠の剣術指南役となることで更に千石加増され三千石に、
また、江戸に道場を兼ねた屋敷を下賜され、柳生の名声は更に高まっていった。

 その後、慶長八年(1603)、徳川家康が征夷大将軍となり、江戸幕府が開府、
その前後に宗矩は松下石見守の娘・おりんを正室に迎え入れ、柳生家繁栄の礎を着々と固めていった。
また、柳生庄では加藤清正・伊達政宗の仕官の誘いに応じ、
兵庫助・権右衛門がそれぞれ柳生庄を旅立っていった。

 しかし、陽の当たる時があれば、陰る時もある。
石舟斎の四男にして宗矩の兄、五郎右衛門宗章が、米子藩中村家の騒動に巻き込まれ、
武名を上げつつも凄絶な闘死を遂げる。
更に、肥後熊本藩加藤家に仕えていた兵庫助は、同僚と諍いを起こし、
僅か1年足らずで加藤家を退転してしまう。

 こうして、加藤家を退転し、武者修行の旅に出た兵庫助だったが、
慶長九年(1604)、柳生庄へ戻った際、石舟斎により、
新陰流の正統を継ぐ後継者として指名され、それを受けることを誓ったのであった…。

1512008/12/14(日) 22:27:49.26 ID:57aTd0VN0
 慶長九年(1604)八月、石舟斎より新陰流の後継者たることを定められた兵庫助だったが、
再び、諸国を巡る武者修行に旅立とうとしていた。

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1712008/12/14(日) 22:28:31.67 ID:57aTd0VN0
        / ̄\
        |    |
           \_/
           |    
   -ニ二二二二二二二二ニニ-   
 /                  ヽ   それではお爺様、また修行に出ます。
 | ,   i   ,i      i  , |   お体、お大事に。
 |_n__|i__|i____i|__|  
    /  <●>::::::<●> \      
    .|     (__人__)    |     
    \   〆⌒?   /
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\

     ____  
   /      \      
  /  _ノ三ヽ__\      まったく、せっかく新陰流を継がせようと決めたのに、
/  -((◎)-(◎)-\   また旅に出てしまうのかお。せわしない奴じゃお。
|     (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /      まあ、適当な頃になったら帰ってくるお。
(  \ / _ノ |  |      わしが死ぬ前に、正統の相伝だけは済ませておきたいからの。
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

2012008/12/14(日) 22:29:14.47 ID:57aTd0VN0
       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \  て
    /  ::/:::\:::: \そ    お爺様、不吉なことは言わないでくれよ!
   /  <○>::::::<○> u \    おちおち旅に出られないじゃないか!
   | u.  (__人__)     .|   
   \     `⌒´    /
    /         \ 

         ___ 
       / ⌒三⌒ \      ほっほっほ、すまんの。
      /-((◎)-(◎))-\    しかし、既にお前にはわしが持つ新陰流の全てを
    /   (((__人__)))  ヽ   その体に、心に刻み込んであるお。
     |     `Y⌒y'´    |   相伝はあくまでけじめじゃお。
      \     ゙ー ′  ,/  
      /⌒ヽ  ー‐    ィヽ     とはいえ、お前が帰ってくるまでは意地でも生きてやるお。
      / rー'ゝ       〆ヽ   安心して、行ってくるがいいお。
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |

2212008/12/14(日) 22:29:54.32 ID:57aTd0VN0
       / ̄\
       |    |
       \_/
       __|__
     / :::\:::/\
    /  。<○>::<○>。        お爺様…
  /  :::。゚~(__人__)~゚ \ グッ…
  |      `⌒´     |    
  \            /
  /              \

         / ̄\
        |     |      
         \_/      
          |         
       /  ̄  ̄ \     
     /  \ /  \    分かり申した!
    /   ⌒   ⌒   \  それでは、行って参るでござる!
    |    (__人__)     |  
    \    ` ⌒´    /  
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \ 

2412008/12/14(日) 22:30:22.04 ID:57aTd0VN0
  `〆⌒ヽ
  ( Θ_Θ)   大殿様、お元気でねー。
  (  目 )   
  | | |
  (__)_)
兵庫助の従者2
ガチャピン(仮名)

  、、、┯、、、
  彡(・)(・)ミ  
  彡 д  ミ_   無理されちゃいかんですぞー。
⊂彡      ミ⊃
  彡"  "" ミ
  彡_ミ""ミ_ミ
兵庫助の従者1
 ムック(仮名)

     ____         ほっほっほ。
   /      \       お前たちも、兵助を頼むお。
  /   ⌒ 三 ⌒\     無茶しないように、しっかり見張っててくれお。
/   ((⌒)  (⌒)) \   
|      (((__人__)))   |   「はーい
\           /     「わかったですぞー」
 /           \     「さあ、行くぞお前たち!」

2712008/12/14(日) 22:33:04.77 ID:57aTd0VN0
       ___        
     / /三\\       兵助…。
    /-((◎)-(◎))-\      あやつを得たことで、わしは秀綱先生より受け継いだ新陰流の
  /   (((__人__)))  .\    正統二世としての最後の務めを果たすことができるお。
  |              |    有難い話じゃお。
  \            /   
  /              \    

         ___
     /      \
    /  \ 三 /\
  /  .-((>) -(<))-\   …又右衛門には済まぬ話になるがの…。
  | ∪  (((__人__))) J |
  \  u   `⌒´   / 
  ノ           \ 

3212008/12/14(日) 22:35:03.57 ID:57aTd0VN0
     ____  
   /      \
  /  _ノ三ヽ__\     しかし、それはそれとして、
/  -((◎)-(◎)-\  やはり兵助には再仕官先を見つけてやらねばならんのう。
|     (((__人__)))  |  それにあやつももう27…早いトコ嫁も探してやらねばならんお。
/     ∩ノ ⊃  /    新陰流に魔法剣なんて加わったらえらいことじゃお。
(  \ / _ノ |  |     陰陽の術ならともかく…。
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

3512008/12/14(日) 22:36:22.34 ID:57aTd0VN0
    /// /   イ l  | |  | |   ヽ ヽ ヽ、     
ィニニ〔ゝノ_ノ   / ヽ\ヽヽ  | l    |l  |l  ヽ      今回は私が解説役をするわぁ。
'´/ /| |7   r/'´ ̄ヽゝニヽ-ヽヽ  │ | | ヽ ヽ    
イ/ / ! | |   ||-ャ─-,ニ、ミ‐`ヽ、ヽヽ / / /  | ヽヽ    前回、新陰流の後継として選ばれた兵庫助だったんだけど、
/ / / j |   l| `ー='-ニゝヽ`   |ノメ、/l  │ l | l   その場では正統の相伝はまだされてなかったのよねぇ。
./  / / ヽ   l|           ィ_ミヽ`リ ハ || |   正確な理由はよく分からないのだけど、
'  / /   ヽ  l          l、'rヽj`ァ' メ | / リ   正統相伝の際に渡す『没滋味手段口伝書』を完成させるために
  `,´l    lヽ ヽ         /ノ `'’,イ  /イ     しばらく時間が掛かったのでは、というところなんじゃないかしらぁ。
  /| |   |  `丶ゝ    ー、ー- 、    lノ  ,イノ     (「没滋味~」はこの時点でもある程度まとまっていたものの、
. /│|   |          ニ ´   ノ イ |        この後も書き足しがなされている)
/  ! |   !  、           ィニィ | |lハ
  | !   |   _`ト_、 _     , イ    ! |ル'   ,イ   とりあえず、後継者として選ばれてから、
  ハ ヘ  |‐'  ̄,.ィ´ヘ` ー- イ  |    |l |    /│  実際に正統を相伝されるまで、若干の間が開いて、
ノ  ヘ ヘ   | <´ィ´ /介「`ヽヽ│   ハ l   / ノ  その間、兵庫助はまた武者修行に出ていたらしいわねぇ。
ゞ、_ゝヽ  !  \ー´/ハ トニノノ !   / ハ ト、//,ィ  
  ヾゝヽ.ヽ lー-、  ̄ 1 |│|ヽハ 」  / _ハ _/ イィニィ'´  …もしその間に石舟斎が亡くなったら
    ヾゝヽ. l^ーィ- 、|│ ! ト、>-リ  イニィー '^ヽ、     どうするつもりだったのかしら?
     ヾヽヽゝ   ̄! | | lヽヾ/  /        ヽ

3812008/12/14(日) 22:37:12.30 ID:57aTd0VN0
 さて、兵助が新陰流の後継者となったのとほぼ同じ頃、
柳生家と深く関わることになるある重要な人物が生を受ける。

 時は慶長九年(1604)、八月十二日(旧暦7月17日)、
場所は江戸城…。
.                  {}
                 ,r'A':、
               ,r:'"/\`':.、
.         、_____,、.‐',,、_'___n,n__`_、,,`-、,_____、
.         ゙l、,!_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l,!、l゙
           |:::::::::::::::::::::::::::::n::::::::::::::::::::::::::::::|,
          ';王王王王王八王王王王王ヨ
           ]*;;r--.、;*r;"へ`':.*;;、--.、*;[
        _、,,,,,f'''*;;;^r:'",r'"' へ:'`' 、`':、^;;;*、L,,,,,.、
        ゙、=┴'ァ゙'"r'"´.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:..`'-、`'=t┴=',゙
        ゙r:''",r'"..:.:.:.:.:.:lコ:lコ:lコ:lコ.:.:.:.:.:..`';;,、` ‐!、
    ゞェェtエ゙┼┬i┬┬┬┬rハ┬┬┬┬i┬┼┬t'ェェブ
     ゙,~~i~~~~~~~~~~~~~~~~~{n}~~~~~~~~~~~~~~~~~i~~゙;┐
     「;、.|  .冂 冂  冂l:''"..へ`' .l,冂  冂 冂  .|.. .|Ti
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ソ;゙、ニ┴┴┴┴┴ァ'"r:'´。 ......::.. .:....... 。'‐、`'t┴┴┴┴┴=゙7
ヽゞz、:|;ヘ「]「],r'"r'´、z、r、、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. `': 、`'-.「]「] .|_,'、
Y;;ゝヾi彡〉''"r''";ヾ;ゞ::::ゞヾヽ]「バヘ,'z]「:]:.:.:.:.:.:...`''‐`、':-.、,|l l l.゙i
ソ ヽ;; i;;ゝソ ヽ;;ゝ彡ソ ヽ;;ゝゞヽi;ゞ::::ゞヾ;ヘ――――,rz、;ヘz、`''ー-、;;ソゞヘ
ヽ;;;;ゝヾiヽ;;;;ゝヾゝヾ;ゞ::::ゞヾ;iゝヾ;ゞ::::ゞヾヘソ;ミ^ゝヾ;ゞ:::ゞヾミヘtz彡ヾ;ゞ;ゞ
ヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾ
ゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ソヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾソ;;;;ゝヾ
ヾ ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ソゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾソ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞ

4412008/12/14(日) 22:38:35.49 ID:57aTd0VN0
    |┃      ,ィィr--  ..__、j
    |┃三   ル! {       `ヽ,       ∧
    |┃.   N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
    |┃   ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
    |┃    `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > 秀忠様!
 ガラッ.|┃     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠   男子…男子でございますぞ!!
    |┃      '、 `,-_-ュ  u /|   ∠      
    |┃三     .ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
    |┃. --─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´   
    |┃三  ヾく__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___  
    |┃    「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
    |┃三   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    |┃     ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    |┃  -‐''「 l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    |┃    ト| |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /

4712008/12/14(日) 22:39:56.15 ID:57aTd0VN0
    、__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__,
    _)                                                (_
    _)  ナ ゝ        ナ ゝ  /   ナ_``  -─;ァ              l7 l7   (_
    _)   ⊂ナヽ °°°° ⊂ナヽ /'^し / 、_ つ (__  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ o o    (_
    )                                                (
    ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
     / ミ:::,..::- 、::;;;ミミミ彡)             ./´.: .:: ~:. :.`゙ー=,
    !'"  ミ:::/   u`ヽ--、'k.、  ,..-一、,.‐--、,,_   i '.: .: ,,..,.,..,.. ドヾ   __,,,,...::-一=、
    i. ミ::/ ゙゙゙''ヽ、  u   iミ;!,.'";: .: .: .: .:. :: ド;'.  i _,.ァ='-ノノi!_、i    /.: .: :   :. :.ミ
  /',、ヾ ! u ,'"´r。`ヽ、_ :. _,,iミi ''  彡_イィiレヾi゙`  iヘi ゙--゚,..` t_;7!   .i .: ,.=-、ソiヾ、.,ヾ
  ゙i 'ヘ i:┘  ゙ー---.,,  ゙i''f..i ,.i.-./r'"r。ヾ、ィ;、゙!   ゝ. u .,.-、.,.ゞ. i   .r、:i‐i' ( ;) i-i;"゙i'
   .! ゙ヾ  u    "   .:ヤ''〈ヘォi u ̄,._ ト‐-!   ,,.ィ''ヾ ド--、 〉丿   ゞ_ u゙ー=、'.冫ィ
  _,__7‐'i     ,.:-‐-、.´/ .i,゙F'i   /__.゙ラ' ,..j_,,ィ'" i. .:ヾ.==-'/  _,,../i' .、(ー-7 ノ
;'";;;゙i.  i.    /`==‐-/  .ノ: i. \ ゙、__././  ゙、  :i. ゙' .:::`゙T´ i`ー'-、;,.  ゙、 ::゙ーr-'_´
;;;;;;;;;;゙i.  ,;\  ゙、-- 、.:/ /;,: : :゙i :. ;,,`ーr'´、.__   ゙、  .i.-、 ,.-i: .i   ゙i ;,  ゙、;::::i  ';,ー、
;;;;;;;;;;;;゙i. , ; ;;\  ゙二ニ'./: : : ;,: : :゙ト、 ;;::i: : :;,: :.ヽ  ゙、 .:i.   i :i    ゙i ;,  ゙、ノ  ;'  :i


5112008/12/14(日) 22:40:54.74 ID:57aTd0VN0
          | /    \ j冫`ヽ        /
             | |   ヽ / | 卜  |      /
           ||  /\ ヾー'  | /     /       そうか、男子か!
            |  |/´     ∨/     ´' -,,,_     でかしたぞお江!
          |  ||\     _ム,,,,,,,,、__──'''''´    
           |、_| / ,,         ヽ、          (というか、お前らなんで驚く?)
           ) ` ´       〉     ヽ
           /,,  /| ,    /:    !  ヽ、
            `~'''‐'、   /;;     !   \
                  ̄      
               徳川秀忠

 そう、秀忠に男子が生まれたのである。
後の三代将軍徳川家光…幼名竹千代の誕生である。

5412008/12/14(日) 22:42:06.74 ID:57aTd0VN0
                             _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_        
                          ,,, ‐''~    ,,  ~`''-,,    
< オギャ アーッ!!               /,,;.''  .    ';:,    `''、,        
.<オギャ アーッ!!             ,, '' ,,;'' .:  :     ; ';   ;,   `、     
                      /::  .:   :  :.  :: ;;  ';;;   `、     ウホッ…これは、なんといういい泣き声…。
                     /:: ,  ,; .:: ,:  ,:'   ;:  ::.. ; ':.   `、    お江様、おめでとうござりまする。
.                    /::  l,  il ;;:: ;:: ::.   ;:::. ,; ::.   ::..   ,,}   いい男子でござりまする!
                   /:::  li, {l;; '';; ';;i;;,,i;;,,,;;; ,';::: :i::: :! :::;;; ..::::}
                     /::   {{,,  \X^....    ゙´~~~`''''''''''''{;;::::;;'' }__
                   i゙:::..    \/:: ::  .::: :. :. :::. .::::::. { // i゙`、~'''-,,,,
                  l::.::::::::;;;;;; /:::: _;;;_ _ _ :::::.:::::.::  .::::: {// ./  ヽ   ~'''-,,,
                   \/~,,,,,ヽ/:: :. ,';;:::;;;;;;;::.'.     _;;;;;,,{, /‐、  `、;;,,.  ,,;;;|~''''-,,,
                 ,,-'''~゙i { :::゙i |~`-、 'ーん,,_;;`;、..,;.;,r'~___;;:`,_V~ i   `、;;,,,,;;;;;;|    ~'''-,,,,
               ,,-'~/    ゙i `i ( l_  `ー{;;;~゚^~ .ム‐-,{;;^゚~;;;::ノ :} {;/    |;;;;;;;;;;;|
            ,,-'゙゙ ,, /   .: ゙i ソ. `、 ...  `ー-‐'";;   | `ー-‐゙ ..:/_ソ.}i、   |;;;;;;;;;|‐t─--、,,,,_
         ,,,-''~  ,;;',,-IIi.  ::   ゙i ゙  } '''';;;,.::.:::..:;;;;;''   |;;;;::..,,,;''ソ~ ,,;;''}   |;;;;;; |  ';;;;
       ,,-''~    ,,=''  |;;|   ;;,  `‐--|.   ';;;;;;;''''Y ,;; | '';::;,..:;i  ,,;'' i    |;;;;; |   ';;
     ,,-''    ,,-i'~     |;;;|  ';;;;,,,   l_   ';;;;'\__2ュ,,,,∠,,;;:::::;'  ,;' i     |;:.:: |   ';;
   ,,-゙    ,,,-ii~ ,;'     |.;;;|   ';;;;;;;,, ...`、 ;,;''':."`、,,,,,,,,,,,,,,,,.....;::/ ,,;' i     |.  |    ,;
  .i゙、  ,,-ii~;;;;;;;  ,;;'    |.;;;;|   . '';;;;;;;,,,,, `‐;:,   ;;;'''''''''';;, :;/,,;;''  ,i      |  |    ,;;
  i゙ .l ~ ;::::::::;'  ,;;'    |.;;;;|   ;;,   ''';;;;,,,,,,`、,  '    ';; ;/ ,,;;;;-''        | |    ;;;
  i ゙ ゙l    ';;;;;'  ,;;;'    |.;;;;|    '';;;;,,,    ''-,,ヽ,_   ''_ノ  /  ,,-''     |. |    ;;;
 {    l   `;;'  ;;;;'      |  |     '';;;;;;;;;;;,,,,,  'ヽ ~~~ ̄  ノ _/       ||   ;;;;
 ゙i    l.   ' ;;:;;,     |  |        '''';;;;;;;;,, `、    ノ ̄            |.|    ;;;
  ヽ、  ヽ,   ;;;;;;..::;    |. |           ''''''''>-‐''~~^''メ、_         ||    ':::
    |`、,,,}   ;;,::     |.|          ,,,,-‐'''~  t-‐'''^~  ,ン'''-,,,      |    ::::
    {;;,, ''-、  '      ||        ,,-''~      l  __,,-''~     ~'i-,,,   |    ;::.
                              産婆(自称)

5712008/12/14(日) 22:44:06.56 ID:57aTd0VN0
           , -──‐-、__
        , - '´            \
       /     /   ⌒´ ̄二二rヘ__
      /    //    l  '´二二| ト、`ヽ、    
     / / /// 〃 // i レ'/ /ハ__)ヽ\\    やれやれ…流石に疲れたわ。
    ,'l  | /〃 // / / | |``ヾ彡///川ヘヽヽ ヽ   今度こそ、無事に育ってくれればいいのだけど…。
    | | | | | |l| //| || | /l !   ヽ// /川リ| ヽヽ|ヽ!
    | | | | | |l| L||_l|{| |レ!'T二、 V ///ハ |ヽ !l | !  …それにしてもアンタ、本当に産婆なの?
    | | | | |{ l」l〒ミ! ! '´l ) lヾィ |}lく ! | | ヽ!|ノ   (というかそもそもこんなでかいババアがいるのかしら…?)
    ヽ!l ! ト「 ├'j     上ソ   リし ,イ | | |ル'
     l!ヽ! |ヘ!  ̄ 〈       /r||イl |l | |
       ト!|ハ、  ー;;;‐'   ,ィl| || || || | |
       | |l || ヽ、   , '´ lリ || |! || | |
       | || || |川Ti ´ , -┴┴ヽ|| /l |
       | || ∠ --┴'´       ||川 !
      _|__|L人          r┴|"⌒ヽ、
     /  〈 (`ー<_ , -‐/7/     ヽ
    / | /  ト 、____/ __//       ヽ
    ノ   || __ ヽ、二二二二- '"  | | |      ヽ
        お江(秀忠の正室)

 秀忠には竹千代より前に長丸という名の男子がいたそうなのだが、
わずか9ヶ月で夭折した、と言われている。
(そもそも、秀忠とお江の間の子かどうかも不明瞭)

60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/14(日) 22:45:46.84 ID:57aTd0VN0
    /i||||||||||||||||||iヽ       
 / ̄ヽ||||||||||||||||||||||||iヽ                  
'""ヽ  ヽ!|||||||||||| ||||||! ヘ 、― /    
||l   ___ヽll,‐''''__ゞi .||||||   
||l  /ヽ、 o>┴<o /ヽ\||||||     
ヽ‐イ  |ミソ ̄'"ノ"/li゙ ̄゛l;|l |、     ホーホッホッホ!!
.\/l  .|ミミl l―――フ..l;ll /     これで我が徳川家の未来はつながりましたよ!!
 .\ノ  |ミミ.l..\=ヲ/ l;|/      
   ̄\ |ミミ.l..  ̄ ̄,,,l;/     
   l \ヾ゙゙....  ̄."/i     
 _/_``\ ̄、 ̄/ /l___  
       徳川家康

         / ̄ ̄\   
       /    \ /\
       |    ( ⌒)(⌒)     上様!
       |     (__人__)      おめでとうござりまする!
         |     ` ⌒´ノ      
         |         }
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

 徳川家の後継である秀忠の嫡男の誕生。
これにより、徳川家は己の天下を継ぐ三代目を得たのである。
家康の喜びはひとしおで、己の幼名である「竹千代」を授けている。

6212008/12/14(日) 22:47:02.97 ID:57aTd0VN0
 さて、この世継の孫が今度こそ無事に育つよう、家康と秀忠は乳母を捜した。

               ,.、-rァァァァァ‐-,.、
               ハシ'"`''ー‐''"`ヾ;ハ      わたくし‥‥‥‥
            lミ'   _ 、__,. _   ゙ミl     京都所司代を
            || へ、_`ー '_,._へ ||     おおせつかっております
               rョl ,.=。=゙ '=。=、 h     板倉勝重といいます。
               |ヒ|. `二} {二´ :|j.|     早速、竹千代様の乳母の条件を
.             ,ゞ|   人__人   |く     説明しましょう。
     _,,. -‐''"´| : lヽ、{. ̄- ̄.},.イ: :|``'''‐- 、.._
   /´l : : : : : : : :|: : |.\`'' ‐-‐''´/|: : l: : : : : : : : 「ヽ    説明は一度のみ。
   /: : l : : : : : : : |: : :|.  \  /  |: : :| : : : : : : : |: : l   繰り返しませんので
  ハ : : |: : : : : : :│: : |     ><   | : :│: : : : : : :| : : 〉  どうか皆様
.  {: : : : | : : : : : :│: : :|  /| /|\. |: : :│: : : : : : | : / }  集中力を持って
  ハ : : :│: : : : : : \;ノレ'´  〉〈.  ヽlヽ;/ : : : : : : |: : : ;ハ  お聞きください。
  〉:\ :│: : : : : :./: :│  |/ |   | : :\: : : : : : :|: : :/:〈
               板倉勝重

 この乳母を見つける下りについては諸説あるが、
ここでは京都所司代、板倉勝重が京都において乳母を求める高札を掲げ、
それに応募してきた女性たちの中から、将軍家の乳母たるに相応しい者を選別した説で話を進める。

6512008/12/14(日) 22:48:13.77 ID:57aTd0VN0
          \\      おっぱい!おっぱい!         //
              \\        おっぱい!おっぱい!  //
       _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
     ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
     (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡
    _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
   |   |     |   |     |   |     |   |    |   |     |   |     |   |
   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J
                   乳母に応募した者たち(女性)

 徳川将軍家の世継ぎたる人物の乳母…。
当然ながら、多数の女性たちが応募に赴いた。

6712008/12/14(日) 22:49:43.09 ID:57aTd0VN0
         __________
         .!ミミミ;;;;;,,..))))))))))))フ7                おっぱい…ククク…おっぱいだと?
        .!三ミ::::::: ""''==''"\ノ                わかっておらんな…お前たち…ッ!
        |三=-::::  "'ー-ー'" \       
        |/rヽi,,-ー-ー'"  ,i_,-=''|                将軍家の乳母たるもの、
        |/|ニ||::::===。=;; <=。==.|               ただおっぱいがあればよいというものではない…ッ!
       /|/.|:r||::::::` ー '   `〒'"|       
      / |/'ヽリ:::::,._ニニ    |:-'.|                将軍家の乳母に相応しい出自・教養・経験、そして人品…。
     /  |//,`|:::r'",_  i~- ._| .|               これらを全て満たした上で、それがしと面談…対決……ッ!
--ー''"""|  .|/,`::::|::::::`-二二二二フ|、        r-=,,   そして勝ち抜いた者だけが……ッ!
     |   |,` ::::|:::::::::::      .|.|`ー=;,,_     `ー、`,  竹千代様の乳母となる……ッ!
.,-''つ  |   |,`  `ー-;;:::::::=≡ ../ |   ~''-=_ (こ''ー、.丶
"/   |   .|\     "''-;;_/ノ|  .|      r-、 ヽ,.ヽ )  そう簡単なものではないぞ…ククク……。
/__,,--、 |   | .\    ::::::::::/ .|  |     ( ̄~"''-,, ヽ,!  というか、お前たちは選ばれるつもりなのか?
''" ,,--' |   .|   \    / .|   |     | ~|~"ヽ, .ヽ ,! 
 r',,-ーつ    .|    \, ,/   .|   .|    | ⊂''ー、, ,!   あ~~~~ん・・・・・・・・?
 ''",,-''"┴--ー'"|    /ヽ,   .ト---┴''/  .|  |,~''、  ,!
 r" _,,-っ    |  ,,,-へ /`-,  |    /  |  ( /  /

 だが、当然のことながら、乳母となるのただ一人。
その1人を選び出すための選別が始まった…。

69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/14(日) 22:51:33.30 ID:57aTd0VN0
 そして…

│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ _       │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ 7/   |`=、   │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ,コ lニn
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ 〈〈__ノノ    │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥|│.〈<l ワ/))
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ `ー‐ '′    │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ``'´ ´
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ 「|   lヽ    │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ .l L..  |ノ    │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ,コ lニn
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│  V'´      │|∥┃│┃│∥  │┃∥││.〈<l ワ/))
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ 「|   lヽ    │|∥┃│            ∥││ ``'´ ´
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│ .l L..  |ノ    │|∥  │  .、))l.      ∥││  /7
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│  V'´      |       | |.   n.     ││  .〉〉
│|∥┃│┃│∥  │┃∥│ 「|   lヽ            | |-―L!     ││  〈〈
│|∥┃│┃  │      ∥│ .l L..  |ノ     =‐1   _.、_/-|__i'"      ││  .〉〉
||  │    _     、)ノノ | │  V'´       ~ヽヽ__...ミミミミ::::ノ::::| ̄ヽ     │  〈〈
│|  │    |i┴-、.  | | | |  「|   lヽ   .   `ー┴`ー――''"\ ヽ_  |  .〉〉
│|      └‐l  l ,/、| | |  .l L..  |ノ                 ヽニ-┘ |   V
│       _r―;rミ巛彡./   |   V'´ 、__..、  |                  │  、_...、
│    └ヽ/ヽ、|M|ノ     |       つノ   │|            ┃  ││││   つノ
│|  ミ`--へ/  ̄   .   │   o      │|∥        │┃  ┃│││  o  _
│|∥    ̄ ̄ │┃  ┃││   o      │|∥┃│  │∥┃│┃∥││  o //
│|∥┃│  │∥┃│┃∥│   o      │|∥┃││┃∥┃│┃∥││  </
│|∥┃││┃∥┃│┃∥│   o      │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ <>
│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│   o           ↑乳母落選者2
       ↑乳母落選者

 公募とはいえ、後の天下人の乳母を捜すのである。
当然のことながら、その選別は厳重を極め、次々と応募した女たちは振るい落とされた。

7212008/12/14(日) 22:52:45.51 ID:57aTd0VN0
 しかし、遂に勇者…もとい合格者現る……ッ!

    ___,,,,... 、 -‐ァ´/'''7
   f r―-- ...,,,,__/./  /
.  | | |j~    //"'\/         うおっ・・・・・・!
  | |    ヾソ /ミ三彡ゝ,
  | | |j~ /,.<\     //\       ぐうっ・・・・・・!
  | `‐-//_ゝ"    i!/__ヽ.   /
.  | r‐.//<´ ̄`ヾ u. /´ ̄フ } ./ /
.  | レ´,.イ | ヾヽ 。 /   `i.゚=彡,.レ´ /   バカなっ・・・・・・!
,、-'´,、.'_`| |  ゞ三(  |j u ト.ァ''´,、-'´
 ,、i.| f. `| | /二ノ } u ,、-'´,、-'-、|
'´ | l に.|.| r‐t-,.、/,、-'´,、-'´u. ) u\    どうして 「合格」 っ・・・・・・!?
.  /| ゝァ|.| |二ン-'´,、,=;'_,=,=,´,-,‐n i
  |::::|. / `!,!-'´,、-,'〒〒〒〒〒〒.ヲ }__   どうしてっ・・・・・・!?
/::::::| !,-'´,、-'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  {::::
::::::、-'´,、-´|  u     三三三 u.  !:::   どうしてっ・・・・・・!?
-'´,、-.リ   '、__       u  /:::::
-'´:::::::|\ u      ̄ ̄"''‐-、._/|::::::::::
::::::::::::::|  \               /|::::::::::

7512008/12/14(日) 22:54:32.51 ID:57aTd0VN0
                        ,,,iiiiiiiii,,,、
                       ,lllllllllllllllllllii,,
                       ,l゙lllllllllllllllllllllllii,,
   .liiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii  .liiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii  ゙,,llllllllllllllllllllll!!!丶   何よアンタ弱いわね!
   .lllllllllllllllllllllllllll  .lllllllllllllllllllllllllll  '!llll゙llllllllll!°     罰ゲームよ!
   .lllllllllllllllllllllllllll  .lllllllllllllllllllllllllll   .lllllllllllllll       私を推挙する時、焼き土下座で10秒耐えなさい!
   .lllllllllllllllllllllllllll,,,,,,,,lllllllllllllllllllllllllll|  ,,,iillllllllllllll,、      
   .llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|  ゙!!lllllllllllllllllli、
   .llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|   .'lllll!゙lllll′
   .llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|   .,llll".゙llll
   .llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll|   ,llllli、 lllli、
   .lllllllllllllllllllllllllll!!!!!!!llllllllllllllllllllllllll   .'lllll′llllli
   .lllllllllllllllllllllllllll   llllllllllllllllllllllllll|   .lllll  .'!lll
   .lllllllllllllllllllllllllll   llllllllllllllllllllllllll|   .llll   ゙lll
   .lllllllllllllllllllllllllll   llllllllllllllllllllllllll|  ,llllli,、 .,,illii、

 数々の女性たちが審査を振り落とされる中、
ついに一人の女が適役として認められた。

80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/14(日) 22:56:02.12 ID:57aTd0VN0
             , - ─- 、_
         /        `丶
      rー‐<::/ ン-―ー- 、   、 \
    {(こ 〆.:::/  ____ \ ヽ..::::ヽ
    __/'´/  〃7了.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.j ::ヤ¬寸   
  /,イ>/ .:::/,':::{:::::!:::::::::::::::::ヽ ::|:. ::::Vヽ_,イ    この私に任せれば、乳母なんてちょちょいのちょいよ!
  レ/,イ ::/ :{:ハ\{ ::、::ヽ ::::::}::_|_: :::::l >::|   絶対誰にも負けない、天下無敵の大将軍に育ててみせるわ!
   {/::| :!{.::ィ'f坏ト\{ヽ ,><ム:!:::::::: Kヽ:ト、
    |::::ヽ::i:ヽi. r'_;メ  ヽ´ イ圷ハ|::::::::::|\/ヽ>
    |i:::::::トl::ハ.     ,    r';ン´j::::::::: l: V
    |i::::::::!:::: ヘ  {>ーァ   /:!::::::::/::/
    lN:ヽ:ヽ::',:::ヽ、ヽ _,ノ  ,.ィ::/::::::/ /
    ヾ /}::}八::::ヽ>.-‐か/7::/∨
   r<¨ リ\`ヽ、\__ {  〉/イ l  )}
   f⌒ \ \ヽ  )' \ニニ∧ | |!彡ヘ
   |    \ ヽム    ヽ‐' .| | }ヘ,__,イ
  r-ヽ     ̄ )\     Vrj/ ̄ヽ ヽ
  |  \     // /)ミ ー-∨   / ̄ ヽ
  |   (>―‐'/ /勺ヽ¨ア    /    }
  |   \三三‐'ノ ^ヽ/   /-―一 '
           お福

 こうして選ばれたのが稲葉正成の妻、お福(後の春日局)である。
夫・稲葉正成は元々小早川秀秋の下で家老として勤めていたが、
秀秋の死後、小早川家は取り潰しとなったため、浪人していた。
そのため、お福は御所へ出仕していたのだが、そこで今回の募集を知り、応募したのである。

 なお、余談ではあるが、稲葉正成は関ヶ原において、
小早川家が東軍側に付くための工作で功があった人物でもあった。
それもまた、選考された一因だったのかもしれない。

8312008/12/14(日) 22:57:13.59 ID:57aTd0VN0
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
≡≡//≡≡///≡≡≡≡≡三三三三
/////三三////三三三三///三三三三
////二二/////二二二/////二二二二
//──///////──///////────
ミミ          (彡       ミミミ
           (ミ
          []         ーミミミ
ミミミ        :[:::]
       ∥[{iiiiiiiii}]∥     ~~ー
      ┌TTTTTTTT┐
      |=======|
      |::::::::::::::|   ::::::|
───ーヽーーーーーー/ー─────
二ヘ   //  ミミミ   ミミゝ ヘヘ
≡≡  ミミ    ミ    ミミミ≡  ヘヘ
こうしてお福たちの長い一日・・・・・・
狂気と策略の交差する時が終わった
応募した参加者103名のうち102名が書類審査及び
その後の面談でも推挙に至らず不合格の書類に呑み込まれ消えた・・・・
彼女らの乳母としての人生は閉じた
ここから先は不明の一語


 そして、お福が選ばれたことによって、募集は終了。
板倉勝重は、家康、秀忠に御福を推挙した。

8712008/12/14(日) 22:58:36.14 ID:57aTd0VN0
  ブス…  ∫ ;′ ∫  ,;′
   ブス…',. -――-゙、  ;'  ジジジ…   …というわけで…この者こそが…ッ
    ;  /      へ `>、'; ∫        
   _;'___{.  ,>-/、/=;´イヽ;'_       …竹千代様の乳母に相応しいものだと…思われます…ッ!!
  /三三j='rー、\_>、)_℡, >;;〉三'`、ジジ…
 /三三└'゙ー:;‐;;‐;;'`ー;;ヾ'`"´三'三;`、     うがああああ………ッ!!
 囮ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ囮
 囮災炎災炎炙災炒炎災灸災炭囮
 ◎┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴◎

 
   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)     
. |  u   (__人__)     (板倉殿…なんで焼き土下座なんかやってんだ…?)
  |     ` ⌒´ノ    
.  |         }     
.  ヽ        }     
   ヽ     ノ    
   /    く        

8912008/12/14(日) 22:59:34.98 ID:57aTd0VN0
             __ __ _
.        _ , '"´  ,. _ ___`丶、
       / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ     ただの乳母には興味ありません。
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. |      天下一の徳川家の跡継ぎ…。
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |     その乳母として歴史に名を残すくらいの乳母になってみせます!
    |  l:l::i个| l ::l!     l⌒ヽ′} .:}:.l:: l
    |  lハ:l::{::', ::::{、   ヽ.ノ  /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/              |ヽ |     |_    「 〉
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ                 ⊥ 人_  _|_    |/
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、                            O
.   l     ',  \\   \  __| \
.   |      ',   \`ヽ、  ∨n| } ト、

9312008/12/14(日) 23:00:57.06 ID:57aTd0VN0
             ,-,ii|||||||||||||||||ii、‐、
  ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_/ i|||||||||||||||||||||||||i ヽ_,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
   ゛゛llll||||||||||/ ' i||||||  |||||||||||||||||i ` ヾ|||||||||||llll"""
       ゛lll/   |||||||  ||||||||||||||||||    ,llll"""   
         \   l|||||||||||||||||||||||||||l   /       ほっほっほ。
         彡   ゛ll||||||||||||||||||ll"   ミ       これは面白い女がきましたね。
         \_      ゛゛Y"""     __ノ      秀忠、お前はどうですか?
           | ]下ミ─-。、_|_, 。-―テ「 [ l      
           ゝ_,. lミミi=´<_,.`=i=ヲ 、__ノ      
                 ヽlミ| 「‐、=ラ7 |ヲ'´       
_______  , へ ノ`i=、_ 二 _,=iゝ、_,へ、  _ ______
i    i    i  ̄| |――-\ ̄∠-――| | ̄ i    i    i


   | /    \ j冫`ヽ        /
    | |   ヽ / | 卜  |      /   
   ||  /\ ヾー'  | /     /      …まあ、俺は別に構わないですよ。
    |  |/´     ∨/     ´' -,,,_  (手なんか出したらお江にぶっ殺されるからな…。
   |  ||\     _ム,,,,,,,,、__──'''''´    乳の出がよければなんでもいい…)
    |、_| / ,,         ヽ、       
    ) ` ´       〉     ヽ
    /,,  /| ,    /:    !  ヽ、
     `~'''‐'、   /;;     !   \
           ̄

9712008/12/14(日) 23:02:27.42 ID:57aTd0VN0

    /i||||||||||||||||||iヽ       
 / ̄ヽ||||||||||||||||||||||||iヽ                  
'""ヽ  ヽ!|||||||||||| ||||||! ヘ 、― /    
||l   ___ヽll,‐''''__ゞi .||||||   
||l  /ヽ、 o>┴<o /ヽ\||||||   よろしい!お前に竹千代の乳母を任せますよ!
ヽ‐イ  |ミソ ̄'"ノ"/li゙ ̄゛l;|l |、    
.\/l  .|ミミl l―――フ..l;ll /       しかし、その前に………いいですね?
 .\ノ  |ミミ.l..\=ヲ/ l;|/      
   ̄\ |ミミ.l..  ̄ ̄,,,l;/     
   l \ヾ゙゙....  ̄."/i         「…ええっ!?」
 _/_``\ ̄、 ̄/ /l___  

9912008/12/14(日) 23:03:35.62 ID:57aTd0VN0
=その夜=
        _ ._,
       /:::/:::ヽ-、
     /:::::::::::::::::::::::::} ̄`ー、.,_  ,,
.    /::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::ヘ,\く
    /:::/:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::ト、 i:::ヽ、   
.   i:::/:::::::::::::::::;:::::/::::::::::::::::::::::i:::i .|:::ヽ:i    ねえ正成。
   |:::i:::::::::::::::::/:::::i:::::::::::::::::::::;;ィ、:レ:::::::::ii|   竹千代様の乳母になるためには、
.   |::|:::::::::;::::/:::::i:|::::::::::::::::::<ィif.i::|:::/::::} |   アンタと離縁しなきゃいけないんだって…どうしよう?
    i:|i:::::::::i:/:::::/リ:::::::::::::::::::/i.|Y::|:/::::/
    i|ヤ ト::i::::::/:::::::::::::::、,ィ<./.|_|::|'.i/
.     〉ト}:}::::/'"'’`ー".,..,ィーァ,、::|
    ,.イ ノハリ \ .,ィー/ .ソ / i ト,i
   /   ,,.ィ,.ニ=´ヽ, {_,__.,.,.ィ´
.  /   //     \-ーキ
            ,ィュ-‐-、_          
         /: : : : : : : : : :`ヽ         当たり前だ。
         /: : : : : : : : : : : : : : :ヽ       何考えてたんだお前。
       イ : : : : ,ィ ./リ| ト、: : : : : ゝ
        !: :/: :,AZ__ |/' >r.、: :N        今更断りようもねぇだろ。
        !'ヽ: :! ―-   ニ| .! .!ノ        推挙人に焼き土下座までさせておいて…。
         _人_l、u.   i .(ヾ| .! iヽ
    _,..-'´/:::::| ヽ ~ ,.ネ、   ト、      
  r'´:::::::::::::く:::::::|  ノ` =く. .|::ヤ   .|:::`゙ー、   「そう…そうよね。ゴメンね正成」
 /:!::::::::::::::::::/::::::.レ'^YニY/レ!:::ヽz='=i::::::::ヽ
/::::::!::::::::::::::::ヽ:::::::|  .〉-〈 /::::::〈:::::::::::::|:::::::::::!
           稲葉正成

 お福は竹千代のために離縁した。
これも理由については諸説あるが、それは柳生とは関連しないため脇に置く。

10212008/12/14(日) 23:04:48.89 ID:57aTd0VN0
 そして…
        /:::::::::;'::::::::::;'´ ,.-'7´:::::l::::ヽ:ヽヽヽ\              オギャ アーッ!>
       /:::/:::::l::|::::::::::i' ,.:':::::/::::::::::::!::|:::';:::';:ヽヽ::ヽ.             オギャ アーッ!>
      '::::/:::::::|::|::::::::::|'::l:::::::l:::::::::::::j::::|::::l、::}::::l:::'t::::',       
.     ,::::;':::::::;:-rl::::::::::|:::|::::::j;::::::::::/|::;'|:::ハ:ハ::|:::::l::::::',    この方が竹千代様なのね!
.       |::::l:::::/  ハ::::::::::|:::|ーH-、::/ ,!/ |:;' ,l'-lイ:::::ト、::::l.  
     l::::|:::ヽ. ,イ |:::::::::::l::lヽ::| !::;:'` / / 伝:l !|::::;ハ.';::::l.    この方を天下一の大人物にするためにも、
      l::::|::::::::l 1_ !:::::::::::1 ,:状六゙i`    '砂 ,!:;ハ::V:::::|   優秀な側近が必要だわ!名づけて、SOS団よ!
.     l::::|:::::::;',':l |f,:::::::::::',ヽ.ヽ无_l    丶 'イ::::!:::|::::|
     l:::::|:::::;','::l |l. ';:::::::::::',  `¨´  ,..... 、1  /:::::|:::|l::r ¬、         S(将軍を)
.    l:|::::|::::|/::| |ヽヘ:::::、:::::'、    l.   |  /::::::;!:::|」._ 厂二ヽ、      O(大人物にする)
    lハ::::|::::::l::ヽ」:::::::ヽ::::\:::ヽへ、 ,.ヽ -' ,/::::::::;':::/   ヽ、l  ,.-ヽ、     .S(側近の)
.    || |:::::l::::::ヽ::::ヽ:::::::ヽ::::::::y′/`ヽ」__..ノハ::::::;'::::l ヽ、_.) ,'   l.    .団
.     |l !::::';:::::::::ヽ::::ヽ::::::::ト、/ / _,.-'´ ヽ|::ト|:::::!_::∧ ´   ト{.__仁 |
.    || l:::::';::;.-'´ ヽ::lヽ:::::|〈   ´  -一´T| ヽ:::|::',ヽ、',   l     /    早いとこ団員を探さないと!
     1 ゝ'二¬-、 リ ';::;' ヽ      fツ  ヽト;::| l ヽ     /

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \     
 |    ( ●)(●)    
. |     (__人__)      …なんかすごいのが来たな。
  |  u.  ` ⌒´ノ     あんなのが乳母で大丈夫なのか、竹千代様は…。
.  |         }    
.  ヽ        }     
   ヽ     ノ 
   /    く  \    
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、

 こうして、お福は竹千代の乳母として江戸城にて勤め始めた。

10612008/12/14(日) 23:08:00.54 ID:57aTd0VN0
 こうして竹千代の誕生に続き、更に徳川の世を確たるものにする動きは止まらなかった。
時は過ぎ、年は明けて慶長十年(1605)。

   \      ,..''  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  __,,,,/    /  |
  |   \        ` .、::::::::::::::::::::::::::.,-‐'"'"     /    .|
   i    `'''ヽ、       -:::::::::::::::::::      -‐'"'" /    /
   `i    |  `、'''ヽ、、     .ヽ.Y    , ..-':''" ゙/   /   ../
    `、  |    `、  (:、、   . .|  ,..-')   /   /  ‐-‐'   秀忠…お前に将軍職を譲ります。
     ‐-‐'| \  `、....,,,`_゙ヽ_、_,| ノ、."..-'''''''" // .. /     この徳川の世、お前が礎を固めるのですよ!
       |  \\γ .,--‐-‐ "゛"゛‐-‐'''"゙'' |///  /       
       `i| \\ |        、      |///  /\`i
       /`i  \ |   < ___ ゙''-''"'_,,,, >.. |///. /   `、
     /   `i\\|     ヽ゛⌒⌒/゛   |/ / /
          `i \|     `.、__ ノ     //.-
           ~\      ‐'''''‐   / '             |ヽ
               \      /              ,ヘノ:::::ヽ
                 "'''゙''-''"~              /:::::::::::::::::ヽ
                               /| /::::::::::::::::::::::::::ゝ
                              /::::|/:::::::::::::::::::::::::::::::::::〉/!
                              |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://|  
                              |::::::::::::::;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
                             |\:::::::::/  `、::::::::/ ヽ:::::::::::::::|/ 
                             ヽ:::::::::/    !::::/   !:::::::::::/      ははっ!
                             \::::::::>    V __<,,=-、/     承知致しました!
                               ヽ「`|〒=。,_;' 。=〒|#l)     
                               ‐ゝ、!  ̄",└≡=ナ-┘  
                                 `∧  i=`==、 ∧´     
                            ┬―i⌒/  \ー='/ ヽ⌒i―┬─┬─┬―
                             !  |  | |.  ハ`ー'´ハ  | |  |  !   !   !

10812008/12/14(日) 23:09:02.54 ID:57aTd0VN0
////////|   /ヽ              /       ヽ
////////|  |  ヽ            /          ヽ               /\
////////| |    ヽ         /            ヽ     |\       /  \
////////| |      ヽ       /              ヽ    |  \    /     \
//////// |        ヽ    /            |    |    |   \  /       \
///////  |          ヽ  /          / \!    |    |    \/         \
/////// | /\        V          /     ヾ、∠___|
/////// ∠   \               /    _-― ̄`\
//////// | ̄ -ヽ  \           /  /  ̄|       \    この俺が、
//////// |  |  \ \    |   /  /   /       /   
/////////|   ヽ、_  (\\_  |__/ /◯ _,.-'        /     徳川に歯向かう愚か者どもを
///////// | ._  ` ‐-‐' ヽ!.l|, l__/ヽ‐-‐‐'´   __,.   /      
//////////|   ̄=≡/ =i i= ヽ≡=== ̄     \      全滅させてみせますよ!
////////// |         | 「       -┐        \   
////////// |       /|       , ヘ        /ー \   ハーッハッハッハ!!
///////////|    __ヽ| ヽ    / /|       /  /
/////////// |    |‐--二二二二 =-イ  /       /  /     /|
/////////// |    Y´         `、/      /  /    /   |    /\
//////////// \   |          /     /  /  /      |   /  \
//////////////\  |         /     /  / /        |  /    \
///////////////ヽ  !二二二二/    / /  //          | /      \
////////////////ヽ   ━==    /   /              |/        \
/////////////////\_____/    /
////////////////

11112008/12/14(日) 23:09:50.36 ID:57aTd0VN0
             ,-,ii|||||||||||||||||ii、‐、
  ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_/ i|||||||||||||||||||||||||i ヽ_,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
   ゛゛llll||||||||||/ ' i||||||  |||||||||||||||||i ` ヾ|||||||||||llll"""
       ゛lll/   |||||||  ||||||||||||||||||    ,llll"""
         \   l|||||||||||||||||||||||||||l   /  
         彡   ゛ll||||||||||||||||||ll"   ミ    (…相変わらずですね。
         \_      ゛゛Y"""     __ノ     本当に大丈夫なんでしょうか秀忠は…)
           | ]下ミ─-。、_|_, 。-―テ「 [ l      
           ゝ_,. lミミi=´<_,.`=i=ヲ 、__ノ      
                 ヽlミ| 「‐、=ラ7 |ヲ'´       
_______  , へ ノ`i=、_ 二 _,=iゝ、_,へ、  _ ______
i    i    i  ̄| |――-\ ̄∠-――| | ̄ i    i    i

 この年、家康は将軍職を辞し、後継たる秀忠に譲ることを決意。
そしてこの年の3月21日、秀忠は将軍宣下を受けるべく上洛を開始した。

11312008/12/14(日) 23:10:51.19 ID:57aTd0VN0
                                   _          
                               ,.-'''☆´,.-、'‐-、_       
   /l | / //   _ヾ: : |(r、ヽl : :ヽ        /☆ _,.-,.´::::/  ☆\ト、
  /ミヽ、! l |へ   /,) ヾく ̄iノノ : : ミヽ、   /   フ_f::、__ノ ☆ ☆ヽ)  
 ノ三ヽヽ/゙Y゙〉 r'゙,.tラ   ゙l  l/ ゙'ーミヽヽヽ  /☆ ☆(ニl |::::::(☆ lニ) ヽ: : :|   ..| / ( ( 彡/~''ヽ,,__ _,,,.. -―''~~ ̄
/彡ニ,. -へ、〈 |、! ゙Y´    ゙  ヾ::   \_,.- | /  / | V:::::::::ヽ ,|i |  ☆: |  . \ 、   川ハ i;;;ヽ,\\  --‐''~'‐、_
|//   r'~レr、k='        l::   /   ヽ!☆ ☆∧\==ク ノ☆、l: :ヽ|    /_ノ,../ノ,,_|、 ''') ,|:.. \  -、_ ミ
l/   | / ゞ=;i ,...、 ノ    /:::::/   _,.- | /,.<_、゙ヽ.二.-''_,->、、☆|  ./~´ _| ||. ,.`彡  `ヽ::::.  `~~~~''フ''‐
    /゙"〉‐<l ゙"、''_/ ,:   /::/'´>>/   |☆/ 'て(・)>ゝ .r'r'(・)フ'´ヽi |   .||  | //;iく|  ';   ヽ::   /  ./
     | ,|  ::|.   \-<  //ヾ/--―-、 ||∧   ̄ :   |: :  ゙̄`: :∧:|   ヽ  |__ヽ__`,,,,,,,      i: //   |
  _ l゙´」=ラ:|      \_/r'/´ ̄_ -- 、_   ヽ|リi       |、   : :/|∨ _ . ヽ、__,-‐i''´,,,      /::/イ|  _,.-
r''7゙  | r┴-=L、    ,.-'二 ノ ̄         ゙|リi:    ゙'ゞ-゙'′  : /ゞミ、_,)ヽ   ノ // ,.-'  ,i    ./:/ _!''~´
l |  ミトゞ=、__ノノ|    l゙/´       _,. -‐'"   )!ヽ  '┬-ニ-‐テ : :/)リゞ、__ノ .  !く, `~´!,,i'´;;   ./::/_,._-‐ニニ二
!,. レ, ヾ::::::ノ''"ヾ|   //      _,. -'_,. -‐ラ  i、 ')ヽ\ `""~"´: /:://人ヽ、   `iノ    `'''|  ./,=´''//   //
ヾ \  Y´  ノノ  ||   ,.-'" ,.-'´ /,.-‐' ヽ三'人ヘ:`'ー--‐:'´::/'//   ̄_,.          ヽ-''´  | |   //
          伊達政宗                上杉景勝                 最上義光

 この時、引き連れた軍勢は、総数10万とも16万とも言われ、
徳川家だけではなく、伊達政宗・上杉景勝・最上義光らを従えての上洛であり、
天下が徳川のものであることを上方の人間たちに示すと同時に、
豊臣家への示威行為も含めた大掛かりなものであった。

11712008/12/14(日) 23:11:47.96 ID:57aTd0VN0
        (ヽ、00  ∩
      ⊂ニ、ニ⊃ ⊂ ⊃
       ,, -‐- \   | |/⌒ヽ  〇  〇           
      ( ⊂ニニ   / /⌒) )                 「あれが…徳川…ッ!?」
       `ー――'′ し∪  (ノ                  「勝てっこねえ…どう考えても…!」
                 (ヽ、00  ∩            「もう天下は徳川のものなんだ……ッ!」
               ⊂ニ、ニ⊃ ⊂ ⊃           「豊臣家に勝ち目はねぇよ……」
                ,, -‐- \   | |/⌒ヽ  〇  〇  
  /ミヽ,,,〃ヽ.   ヽ    ( ⊂ニニ   / /⌒) )                                  /´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`゙ヽ、
/|/    u   ヽト、│    `ー――'′ し∪  (ノ                              //`'ー---‐''´⌒ヽ.   ヽ
==ッ   r===:|ヽ!      __    _                               _      /'   u       ヽ  !
         │    、-‐ヽ``v'´ /-‐z                    <.⌒ヽr'´/-‐;z.._   |r===   r===  /   |
─‐-     -─ |   ∠⌒         >    ,. -───‐- 、     <⌒`         <.   r===__r====t=r‐ 、 |
    !  l     |   /   NヽNヽl\l\N 、ヽ    / ,r‐-、_  ,. -‐、ヽ.  ∠,.   , ,イ. lヽ. .    ヽ   l (´_・ [二{ __・_) l || r、.! !
 u  |   |   |   i  ゞ -─‐-  -─-ト!   i /     ̄  u ヽ ! ∠-ァ ∠|/u ヽ!-ゝl\   !   ! ー--イ  ̄ ト---‐'´ || レ,リ |
,r一' ー-‐' ー-、 |   | .r‐;、===  ===.|   |〈. -─‐   ─‐- .〉|   /イ´,:==   ==、 | r‐、|   |    l   l  u  |!_ン |
二二二二二) l !   ! {6|| `‐゚-1  ト゚-‐' |   i⌒!|. (  ̄。  。 ̄ ) |i⌒!  |.( 9    9 } !|f',リ|   |...........`ー-‐' .................|ヽ   |
   ___    /   :| ヽ_|!L._   L.___」 u イ  ヽ_|!   ̄ / ヽ  ̄  lLノ   |  ー l  | ー ' u |!ン |  l:::::(二ニニニ二)::::::|. ヽ !
    ̄ ̄   /、   |  /|  r;ニニニニニつ |    | u   ー-‐'     |      | u' (  )     |ヽ.│   !:::::::::::ー一:::::::::::::::::l   ヽ|
─────'  l  /ヽ/ !. ヽニニニニニソ |   /l.  ⊂ニニニニ⊃ l\    ! ⊂ニニニ⊃  l ヽ|\. ヽ、:::::::::::::::::::::::::::;ノ    /ヽ
     / │  |`''ー-、 \. \   ー一  /,.. -‐'! | |\  ー  ./1 |`'ー- 、\  ー一  /  /  |`ー-/ ̄l ̄ ̄ ̄ _,,. ‐''´  ,,.ゝ
`ー---イ /\  |.   |ヽ.ヽ\ ` ー--イV〔.    |. │ト、 ` ー-‐ '  /| │  ,, -‐1`i ー-‐ '   /|  |  |ヽ  │r‐'''"´    ,. ‐''´  \
ヽ.   ! /   \|   | ヽ. \\、.._/| ヽ`''n │ |. ヽ:`:ー---‐:::7 |   !. ∧  |. ! ヽ    /  |.   |  | 〉、 N∧   /    \
 ヽ  !/         |  l ,..へヽ::::/,へ、.l |.l. |   l  ヽ;::::::::::::/ |  |. | l.  |. |  ト、._,/  :|   !  |/ ヽ|│ ヽ. /      \
  `y'    ____|  ,|´  o |::i´ == ヽ!│| ! /`ヽ、ヽ;:::::/ /´\ ! |  l. |/\ |  / -‐'''^''‐ 、|  |  0 | | ==V     ,. -─ゝ、
.  /    f||   o | ,/ |    |:!     l !´    o\.∨´__     `' |   i     o.l /__        │  |  |      /
  l      |ヾ=====| / |    |!     | |       `{       |ヽ. ヽ     V           |.  |   |     /
                               京都の町衆

 京の町衆たちも、この大軍勢に驚き、あらためて徳川家の力を感じとった。

12212008/12/14(日) 23:13:05.13 ID:57aTd0VN0
          | /    \ j冫`ヽ        /
             | |   ヽ / | 卜  |      /    「徳川秀忠!
           ||  /\ ヾー'  | /     /      そなたを、征夷大将軍に任ずる!」
            |  |/´     ∨/     ´' -,,,_
          |  ||\     _ム,,,,,,,,、__──'''''´   ははっ!
           |、_| / ,,         ヽ、
           ) ` ´       〉     ヽ
           /,,  /| ,    /:    !  ヽ、
            `~'''‐'、   /;;     !   \

 そして4月16日、秀忠は将軍宣下を受け、ここに徳川二代将軍・徳川秀忠が誕生した。

12612008/12/14(日) 23:14:55.83 ID:57aTd0VN0
////////|   /ヽ              /       ヽ
////////|  |  ヽ            /          ヽ               /\
////////| |    ヽ         /            ヽ     |\       /  \
////////| |      ヽ       /              ヽ    |  \    /     \
//////// |        ヽ    /            |    |    |   \  /       \
///////  |          ヽ  /          / \!    |    |    \/         \
/////// | /\        V          /     ヾ、∠___|
/////// ∠   \               /    _-― ̄`\
//////// | ̄ -ヽ  \           /  /  ̄|       \    ハーッハッハッハ!!
//////// |  |  \ \    |   /  /   /       /   これで俺が征夷大将軍だ!
/////////|   ヽ、_  (\\_  |__/ /◯ _,.-'        /
///////// | ._  ` ‐-‐' ヽ!.l|, l__/ヽ‐-‐‐'´   __,.   /       忠明!宗矩!
//////////|   ̄=≡/ =i i= ヽ≡=== ̄     \      これでお前たちも将軍家指南役だ!
////////// |         | 「       -┐        \    誉れに思うがいい!!
////////// |       /|       , ヘ        /ー \
///////////|    __ヽ| ヽ    / /|       /  /
/////////// |    |‐--二二二二 =-イ  /       /  /     /|
/////////// |    Y´         `、/      /  /    /   |    /\
//////////// \   |          /     /  /  /      |   /  \
//////////////\  |         /     /  / /        |  /    \
///////////////ヽ  !二二二二/    / /  //          | /      \
////////////////ヽ   ━==    /   /              |/        \
/////////////////\_____/    /
////////////////

12912008/12/14(日) 23:16:19.01 ID:57aTd0VN0
ノ , ヘ      >                   〃
._,ノ  ,ヘ、    ミ、     ,、             ,イ     
  _,ノ  ,ヘ 、へ_ゝ     F ヾク ,イ        i{ |     
\ _,ノ   ヽヽ > 「ヽ   _」  }( リ | ,イト、( ) ヾ />|
  >     /Y  |ヾ\ i|   ヾ`  i! |  !{`リノY´_ |     ははっ…
/ ヽ__ノ   、ヘ く ヾ   〃ヽ______,   ≦ォタ |      
  //  | / /  ヽ _)    、、_, ̄゛〃く  ̄``l
//  / _1 /    `ー、      ̄´   __」    /   _  
/  /   |  ト、    ヽ           ヽ,/  ̄ フ/  ̄ ̄ ̄ ヽ
   /|   |   ヽ     ` 、     _ ` _´/  , へ ̄ヽ⌒ヽ´ ̄ ̄
  / |   i    \     \   ´  ̄ ├ー'   ヾ ヽ  `ヽー
 /  └  ヾ     ー―― -ヽヽ 、____〈______ヽ ヽ ヽ
>、     \_        __ _,ノ ̄  }     `ヽ ヽ
           小野次郎右衛門忠明

         / ̄ ̄\   
       /    \ /\
       |    ( ●)(●)   
       |     (__人__)    
         |     ` ⌒´ノ    ははっ!
         |         }     
         ヽ        }     
    /  ⌒ヽ    '´(     
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

 そして、この秀忠の将軍就任により、宗矩は小野忠明と共に遂に「将軍家剣術指南役」になる。
即ち、この当時、オフィシャル(公的な場)で最高の権威を持つ剣士(武芸者)となったわけである。

13112008/12/14(日) 23:17:31.88 ID:57aTd0VN0
   / ̄ ̄\         
 /    \ /\     この俺が将軍家の剣術指南役か…!
 |   ( ⌒)(⌒)l    遂に…遂にここまで来たか!
. |    (__人__) |    …感無量だ!
  |    ` ⌒´ |     
.  |         }     太祖伊勢守様、そして父上より受け継いだ我が柳生の新陰流こそが、
.  ヽ        }    天下一の剣であることを、この宗矩が示さねば!
   ヽ     ノ
   /    く
   /     ヽ

13512008/12/14(日) 23:19:25.20 ID:57aTd0VN0
   / ̄ ̄\     
  /   _ノヽ_
 |     (●)(●) 
. |     (__人__)     …だが……
  |      `⌒' |  
  |       ∩_ノ)   
.  |      | _ノ     
 |  \_/ ノ ヽ
  \     /_|  |     
  | \ /   _/   

   / ̄ ̄\     
  /   _ノヽ_
 |     (-)(-) 
. |  u   (__人__)    ……しかし…それで我が柳生家は
  |      `⌒' |   この先も家を保つ事ができるのか?
  |       ∩_ノ) 
.  |      | _ノ     
 |  \_/ ノ ヽ
  \     /_|  |     
  | \ /   _/   

13712008/12/14(日) 23:21:14.56 ID:57aTd0VN0
 さて、ここで慶長十年(1605)当時の状況を説明する。

                                .ノし~|
                                .i    |
                                |,.   .|
                                /.    |
                                /   ./
                                /   .(
                              _ノ   i `
                        ._   _/     |
                       .l (,,.-‐´     .|
                 .,,____  ,.ノ        ./´
          _,,. -‐'´     'ー┘         |
         __!.,,__ ,,__,.,..__,...,_     _       /フ ..i´
       <´~ し、 _.ノヽ- \ つ   (└‐-'´!ノ⌒ |,..i´
        )  .く .~| .,,.-‐.v´ .! ,.-‐'
       /   ./   `  .   `´
       .ヽ∩,!

 関が原以降、既に5年の時が過ぎ、日本は応仁の乱以降、
久しぶりに戦乱の無い時期を過ごしていた。

 そして、世が徐々に秩序と安定に進むに従い、乱世で武功を成した武将たちは、
世の中心から遠ざけられつつあった。

 そしてそれは、かつて徳川四天王として抜群の軍功を上げていた
徳川家随一の武将、本多忠勝・榊原康政ですら変わらなかった…。
(他の四天王、酒井忠次・井伊直政はこの時期、既に死去)

14212008/12/14(日) 23:23:46.20 ID:57aTd0VN0
           ´ ‐-、_:.:.:.ヽ):.:.:.:ヽl.:.:.:V.:.:.! ト、         
         _ -‐' ´ ̄:.:`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:リ.:.:! ト、       
        ´_ニ=-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.lノ:.:l       
    、_ -‐'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ       
 、  ___ニ-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く    なあ小平太、この頃をどう思う?
 \ ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ      
   `ー- _:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:,イ:.:./ ヽ:.:.:.:.l,-ヽ└-‐z   //
     /.:.:.:.:.:.:.:.:./:≧ミ:_,-イ.:.:.:.://彡≦冖ヽ:.:lV/.:.:.:.:.:.:.>十¬
   /-_ニ=-.:.:.:./.;イ^!/ヽ__ヽ/.:.:∠l/┛/_, ):.:V.:.:.:.:.:._:_:≧⊥_
  _-'三 ̄ニ=-:.lイヘ._l-   /イ  =´ ̄  ‐/.:.:.:.ト┬升: : : : : : :`
_-'     `ー-ァ冖ハ=     l !l      /イ:.l:イ  l l: : : : : : : :
         /:/.:.:ヽ  ,_ヽ__"____, rイ  /lノ: |   l l: : : : : : :,'
        /: :´7-z:/ヘ `┴__┴ ' ´ / /: :l  / l : : : : : : l
       V: : : :l  i、 |\  ̄  イ  /.: :/ / /: : : : : : : l
              本多平八郎忠勝

     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー-、   `
    /,:,:,:,:,:,:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : .`ー、
.   /.;.;.;.;.;.;.;.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:l,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .ヽ:.ヽ      …なにがだ?
  /.;.;.;.;.;.;.;.;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ィミ、イ l.:.!l:.:.:.l:.:.:.:.:.:.: : . ヽ:.ヽ
  /.;.;.;.;.,/=V.:.:.:.:.:,イ/叉`ヽ/イ !:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :. lヾ:、    「今の世だよ、つまんねぇな!
 /.;.;.;.;.;.ll / /.:.:.:.:./ -_  >へ ノイ:.:.:.;リ.:.:.:.:.:.:.:.:. l ヽ    昔は良かったよ!」
/.;.;.;.;.;.;.;.l! V{:.:.:.:.:.'ー-z       V/イ.:.:.:.:.:.:.: !.:.l   !
,:,:,:,:,:,:,:/`7オ-―¬ ̄    __ ,ィ___/.:.:.:.:.:.:. ハ:.:!
.;.;ィ;.;.:/  / |‐_     _   /-‐テ.:.:.:.:.:.:. / !:.:!
/ |:.:/  /ミ ト、-      ,,,__`/  /.:.:.:.:.:. / /:/
\!{   l ミ   >、      /  /.:.:.:.:. ; '  〃
\ \ l ミ     >- ,,,___/  /.:.:.: / /
  \ \     ,く\      ノ:.: /
       榊原小平太康政

14512008/12/14(日) 23:24:58.81 ID:57aTd0VN0
                        、 __
                           ´¨ 'ー- 、._                       _,  _, -::; ' ¨´
                                    丶::::゙丶、         ___ ,. - '/':::::; -'´
                                      ´ 丶:::::'ー-t: ,=、イ-イ-、! ∠:::::/
               _, -―――- 、              ̄ヽ:/´ K´>二」´イ´l !     「この蜻蛉切の錆となりたくば
            /        _   ,ゝ           r'-、  /ヘ¨「‐ _ ソ、〉-'、   __,  かかってこい!」
          , '     ,. '´ ̄: : : :7´ /!        _./´スノ- 'l´ /_.二!ニ!≧x」‐ '´
        '-―‐<: : : : : : : : : i   l |         _」」 Y´,. -, =ニ,´-i   Kr-、
              l: : :_; :-:―:〈_/:_L.   -‐ ' ´ └‐' /l_ノ >'^ーく ト- ヘ
               _./':´:_; : : :-:‐:」-‐、: 「´           r廴/__./       ヽf⌒ヽ
      _, -,‐r イ´ム〈:´: : : : : : : :」  ヘ:'、        (_/´          ´ ̄
 _,tャ'-ー'‐'┘¨ ´   \; : -:‐ '´:\   ヽ|
                  /: : : : : :_; -'´'ーァ
              _/´ ̄ ̄´    /
           丶、      _, - '
                   ̄ ̄´
                 (戦場で大暴れする徳川四天王の図)

「あの頃は良かったよなあ…。
 忠次のおっさんと、俺とお前と直政の3人がそろえば、100万パワーだった!
 どんな奴だって敵じゃなかった!
 小牧・長久手の時だって、戦でなら太閤に勝ってたんだ!」

150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/14(日) 23:26:30.82 ID:57aTd0VN0
                              ヽ;;;;;;;;;;;;;,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∧;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/        -==| .l  .l ヽ _',,- 、__ _\   ヾ_ ヽ   r^ - _,,  ,..;/ ,,/
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;(   fヽ=-;、_    ̄`ーゝ''=‐´,,-/ (,,==-―` ヽ`人  ヽ/ : ^ i  〉゚l_ /  ''γ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\/     \    ヽ,-、 =-‐´ゝソ ̄`;.ヾ, ;. `;  从r-ー⌒v、  〉 / '_ ,
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"''ヽ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;'''''''''i          `;, / `>(r_-   ̄_ , ,,    ,; ; 。 ゚ ; ;::...       >
   );;;;;;;;;;;''-'' ̄     i            〉く  〈 |< ; :, ≡ ; , , .. . ';; ;; . .,; ; ''    < . . .; :
   `);;;;/        i          /  \ ヽ__\ ― - /` ' , ; : ;;:.. .' ';;'' ' '`; . , :: ; ヾ
   (/           i        _/    \__,,` ` ̄ , ,_f `i_/_,,- ) . . . ,   ; ,:、; \ _
              ヾ      /ii ; --、        _,, :-/  >_,, : _´  i |  i\  ζ _ _, ,
               `- ; :.,_/γ  /-ー- --―'' ̄ ( ヽ   i_,,,= ),l  `、  、  、
                    〈  /  _/__,, : :-  ´ヽ ヽ_ / / / M  ヾ    ゝ; . .
                     ヽ-/  /          \/  , .. ;  . . .  V  \ . , ;;:.,
                      i|  /         ,, : - ソ  . . . ; : ..  i |i  丶'' '`
                      ヽ |       ..,, -"/r==ー-: 、 /  | |`  `ゝ
                      (戦場で大暴れする徳川四天王の図2)

「そして、殿に天下を取らせたんだ、俺たちが!
 あの頃は、槍働きで存分に立ち回れたっていうのによ!
 今じゃ合戦どころか、槍を振るう機会もねぇ!」

15912008/12/14(日) 23:29:30.38 ID:57aTd0VN0
              ,. -.:'':":~: ̄:¬ー- ,,_
        _,,,....... -┘: : : : :‐:=.ニ二_⌒ ' ーヽ、
     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー-、   `
    /,:,:,:,:,:,:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : .`ー、      
.   /.;.;.;.;.;.;.;.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:l,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .ヽ:.ヽ    
  /.;.;.;.;.;.;.;.;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ィミ、イ l.:.!l:.:.:.l:.:.:.:.:.:.: : . ヽ:.ヽ    …まあ、気持ちはわからなくはないが、
  /.;.;.;.;.,/=V.:.:.:.:.:,イ/叉`ヽ/イ !:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :. lヾ:、  上様が望んでおられた徳川による太平の世がやっと来たのだ。
 /.;.;.;.;.;.ll / /.:.:.:.:./ -_  >へ ノイ:.:.:.;リ.:.:.:.:.:.:.:.:. l ヽ  平穏であるに越したことはない。
/.;.;.;.;.;.;.;.l! V{:.:.:.:.:.'ー-z       V/イ.:.:.:.:.:.:.: !.:.l   !
,:,:,:,:,:,:,:/`7オ-―¬ ̄    __ ,ィ___/.:.:.:.:.:.:. ハ:.:!
.;.;ィ;.;.:/  / |‐_     _   /-‐テ.:.:.:.:.:.:. / !:.:!
/ |:.:/  /ミ ト、-      ,,,__`/  /.:.:.:.:.:. / /:/
\!{   l ミ   >、      /  /.:.:.:.:. ; '  〃
\ \ l ミ     >- ,,,___/  /.:.:.: / /
  \ \     ,く\      ノ:.: /

           ´ ‐-、_:.:.:.ヽ):.:.:.:ヽl.:.:.:V.:.:.! ト、        
         _ -‐' ´ ̄:.:`.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:リ.:.:! ト、      
        ´_ニ=-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.lノ:.:l      そりゃわからなくはねぇがよ。
    、_ -‐'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ     だからって、俺たちや、戦場で命をかけた連中を
 、  ___ニ-:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く      お側から遠ざけるのは、上様も冷たすぎるんじゃねぇか?
 \ ̄:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ      
   `ー- _:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:,イ:.:./ ヽ:.:.:.:.l,-ヽ└-‐z  
     /.:.:.:.:.:.:.:.:./:≧ミ:_,-イ.:.:.:.://彡≦冖ヽ:.:lV/.:.:.:.:.:.:.>十
   /-_ニ=-.:.:.:./.;イ^!/ヽ__ヽ/.:.:∠l/・/_, ):.:V.:.:.:.:.:._:_:≧⊥_
  _-'三 ̄ニ=-:.lイヘ._l-   /イ  =´ ̄  ‐/.:.:.:.ト┬升: : : : : :
_-'     `ー-ァ冖ハ=     l !l      /イ:.l:イ  l l: : : : : :
         /:/.:.:ヽ  _ヽ__"____    /lノ: |   l l: : : : : : :,'
        /: :´7-z:/ヘ        / /: :l  / l : : : : : : l
       V: : : :l  i、 |\  ̄  イ  /.: :/ / /: : : : : : :

16112008/12/14(日) 23:31:53.84 ID:57aTd0VN0
     /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー-、   `
    /,:,:,:,:,:,:,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : .`ー、
.   /.;.;.;.;.;.;.;.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:l,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .ヽ:.ヽ
  /.;.;.;.;.;.;.;.;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ィミ、イ l.:.!l:.:.:.l:.:.:.:.:.:.: : . ヽ:.ヽ    まあ、合戦のない時期に、俺たち武功派は煙たいのだろうよ。
  /.;.;.;.;.,/=V.:.:.:.:.:,イ/叉`ヽ/イ !:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :. lヾ:、  それに、「老臣が権を得るのは亡国の兆しである」からな。
 /.;.;.;.;.;.ll / /.:.:.:.:./ -_  >へ ノイ:.:.:.;リ.:.:.:.:.:.:.:.:. l ヽ  仕方ない。
/.;.;.;.;.;.;.;.l! V{:.:.:.:.:.'ー-z       V/イ.:.:.:.:.:.:.: !.:.l   !
,:,:,:,:,:,:,:/`7オ-―¬ ̄    __ ,ィ___/.:.:.:.:.:.:. ハ:.:!
.;.;ィ;.;.:/  / |‐_     _   /-‐テ.:.:.:.:.:.:. / !:.:!
/ |:.:/  /ミ ト、-      ,,,__`/  /.:.:.:.:.:. / /:/
\!{   l ミ   >、      /  /.:.:.:.:. ; '  〃
\ \ l ミ     >- ,,,___/  /.:.:.: / /
  \ \     ,く\      ノ:.: /

:::::::::::::::::::::::./ヽ:::::、  ┬_ l::::::::::!  /:::::::::::::::::/  /::::::::::::::/ /l:::::::::::::
::::::::::::::::::::::::l  |::::::!  l`ヽi:::::::::|∠::::::::::::::::/   /:::::::::::::::::レイVl:::::::::::::
ー─-、:::::::::ヽ/:::::::| ミl  \::::l∠彡''"レ' /  レ '"´:::/ ,,;; |:::::::::::::   
     >:::::::::::::::::| ミヽ ((ヽゾ/ 川   ___/::::__,,==''"フ   !:::::::::::::    そう言って老中になる話を断ったんだったな。
_─´::::::::::::::::::::::::::| ミ  \__ {i / / /l/:::::::::/o j    /    l::::::::::::::   お前らしいよ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|ヾ  三三`j| ||{::::::::::/ `''''"-─彡   /:::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!     三/    三ニニ彡  ̄ 彡  /::::::::::::::::::    …しかし、老臣で権を握っているのなら、
─-、___:::::::::::::::::::::::、      /      三    、___/:::::::::::::::::::::   一人いるじゃねぇか!
      `フ:::::::::::::::::.、    /〃      ー     \___:::::::::::::::::::::::::::::   
  ____/::::::::::::::::::::::∧   く ー      ____  /::::::::::::::::::::::::::::::    あの腰抜けがよ!
  `ー-、_::::::/{ / ヽ   r==ニニニ二 ─v─'''フノ::::,.イ::::::::::_____
      / V  リ    l   |  /        /| /V  {::::::::::`ヽ、
      !           |   ! /         / レ    \::::::::_ヽ
      ヽ        |  レ′        /      /::::::::::>
       \       ヽ |  __ -‐   ̄

16612008/12/14(日) 23:37:00.88 ID:57aTd0VN0
         _rxvxvxvxャ―- 、               
        ,ィf>^厂{爻}勹⌒^下ミ `ヽ、           この時期、徳川家の直臣たちのうち、特に功の大きかった者たちは、
     rfフ::.::.::.:_`ー'^ー'::.::.::.::.::.::.::ヽ>、ヽ          譜代の大名となって日本各地の要所に配置されていたのよぉ。
   _fヲ::.::.rxtタ^⌒^⌒^X≧z::::.::.::.::.:::圦ハ
  /r‐v':r彡 |l| l|l| l il li l l| !l| l|トミk::.::.::.:Vfハ         このうち、忠勝は伊勢国桑名に10万石、康政も上野国館林で10万石と、
 {〈 ィ/^ ,1l l|l !|l| |l|| |l | l | l |l| ! |ヽ>、::.:V! l|        それぞれ家臣中2位(1位は直政の近江佐和山18万石)だったんだけど、
 `7/ // ll| |l| |l!| |l!| l| l | l | |l| ! |//^ヽ:/⌒》        それでも、石高としては外様の大大名と比べれば見劣りするし、
/丁7 l| l l|l |l| |l!| |l!| |l |l l|l | |l| | |トミ=彳|厂´|        また、この時期、戦場での槍働きで立身した「武功派」の重臣たちは
レ⌒l| l| | |l| !l| !l| |l | || |l |l| | l|! | |レ⌒ヽ|レ⌒!        幕府の中枢から遠ざけられていたのよぉ。
  /|l |l! |仆ミ」l l| l |、」 斗 ヒて {{ィ/77ハ\j
. //lハト、ヽf予tぇミ     xfぞ牙ァ '/// l |! | |         世の中が平穏になれば、槍働きよりも、内政の方が重視されるから
/// 7∧ヽハ ゙ー'′     ゙ー' //ハ /! j l | |        武功派の重臣たちが遠ざけられるのも仕方の無い事だったし、
〃 // ハ/小.    、.    " /〈// l|| | ! |       石高こそ低くても、扱いとしてはそこらの大名より上だったのだけど…。
″{ { ,' // |l ヽ、   -      /// ハ | | | ト、 , =彡  
⌒ヾメ、/,'_川 |`丶、    , イ // ,'l lル' l| | ∨∠/三   でも、実際に家康に天下を取らせたのは
:―::.::厂:.:.:/// |!| l|l /`fT!^ヽ ̄} ' / | |l \_!」 / 彡竺三 自分たちの槍働きなんだ…!って自負があるから、
ー=彳:.:.:.///:`Yヽルヘ /」ト、/:/ /ハ/⌒7:´:.:.:.:`ヽ三三三 頭では分かっていても、やっぱり感情としては納得しづらいわよねぇ。
'⌒V:.:.:.:.{ l {:.:.:.:\ <ヽ:.:.jj:.:.:.:./ //ノ:.:.:.;':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\三三

16812008/12/14(日) 23:38:12.53 ID:57aTd0VN0
           _ -─ ─- ,- 、
        rメ´── 、::::::::::::::`ヽ \
        〆     /  `ヽ;:::::::::::\ ヽ       そういうことで、武功派の重臣たちの不満は、家康・秀忠だけではなく、
      // / / /      \::::::::::l  ',     その時中枢で働いていた「吏僚派」への非難・嫌悪という形で
     ,イイ | メ、 l   ,イ  l  }_::_}  !     出ることになるのだけど、そこで一番非難が集中したのは、
 _, -ー' /ル| l ァ=ミ、!   // | /! //`l|ヾ》  i     忠勝からは「佐渡の腰抜け」、康政から「腸の腹腐れ」と呼ばれ、
// ̄ {| | l ト、ヒソ | /二Zナ | ヾニソヘヽ   !    当時、家康第一の側近にして徳川家最大の謀臣である人物なのよぉ。
     、__}ハヽゝ , `´  r'::ンヽ}/ }| | ヾ\ i
     `ヽ:::| ∧ 、 _  `´ /  /| |   `ヽニゝ    その男の名は…。
    < ̄:::|  |\`__  ,ィ//  ハ| |   l  ',
   -=ニ´::::::|  l^`}ノ}バ7/  /!_ノ}/l__ ,ィヽ ヽ
    /ィ/:l  |::/、/l| ∨ / ̄`ヽ::::::∠ __\\

16912008/12/14(日) 23:38:58.46 ID:57aTd0VN0
........::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::
......::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::    :::::
.....:::::::::::::/:::::::::::::::::  ::::     :::::
............/:::::::::::::::             :::::::::
....../:::::::::::_::::)
....( :::'''   γ               ククク…まだだ、限界まで行く。
................... /               
....................... ____」 ||        徳川家が天下の全てを完全に握るまで…!
..........................ヽ-.         ..::::::::::::
............................../::::::::::.....   ..:::::::::   
.........................../:::::::::..     ...::::::::       
......................../::::::::::..

17312008/12/14(日) 23:40:13.77 ID:57aTd0VN0
       -:─- 、 ,. -─;z.. _
     ,  -‐ゝ. !i ′ i!i  ii  <
.  ∠..._  !!   !i   !i  i!i \         この徳川の世を安定させるためには、
.   , ' ´!!   !ii  !ii  i!i  !i  ヽ        最早武功ではない…内政…それこそが肝心…ッ!
 ∠ -;:‐ !i  !i ,、!!  ii!  !i!   !i l    
.  , ' i!i , ,ィ ./ーゝ.!ト、i、. 、 !ii   i! |        武功のみを誇って統治に才を持たぬ者は…
  /.イ ,ィ'l/`K  ̄ ,ゝ!ヘ.「ヽ!\ !ii  !i|        たとえ譜代の臣であろうと、重用しない…!
.   l/ l===。、 ,, ===。=:| r=:、 :|     
.       l`ニ/   `ニ二´ |iFvリii|         「狡兎死して走狗煮らるる」…ッ!
      l/  __-, ー- 、 :|l_ン |     
       `i ー───一 l ,.ヘ !i i!ト、        まさにこの言葉の通り…ッ!
.        !   ---    /:: ヽ :|(:ヽ
       ゙、      /:::    ヽii|:))::\      倍プッシュだ……!
.       _,.ヘ.  ./::::     ヽ!(:(:):):|`T''ー-    
 _,, ..-‐..T"./)(:`イ::::       /::))((:(|....l.......l.
 .......l.......l.../(::))::):|       /::)):((:::):)|....l.......l.
 ......l.......l../)):((:((:|    /:((:((::))):((::|....l.......l.
 .....l.......l/((:::);.ベ|   /));.べ::)):((::)):):|....l.......l
         本多佐渡守正信

 本多正信は、先に登場した正純の父である。
家康の側近として仕え、また秀忠が将軍職をついでからは、
自身は秀忠つきの年寄(後の老中)に、息子正純は家康付きとなり、
親子で徳川幕府の政治に大きな権限を振るった。

17612008/12/14(日) 23:41:20.21 ID:57aTd0VN0
 ただ、正信は幕政における権力にこそ執着したものの、
金銭的・権勢的な面での欲は殆ど無かったという。
(最終的な石高ですら相模玉縄2万2千石)

 そして、常に息子に言っていたことがあった。

     _. -‐- 、 ,. -─;-
     >- !i! ′ !i!  ̄`>
.    /  i!i  !ii  i!i  i!i \
   '7"´!i!  i!i  ,.、 i!i  !i! ゝ     いいか 正純…
.   イ !!i , ,ィ /-ヽ. ト、 ii! ii |゙
   | i!i /l/‐K ̄ ,ゝl‐ヽ!、i! |     考えるな………!
   ,h ノ==。= ,  =。== i r〈
    |f_|.| `二ニ | | ニ二´ |.|f,|     所領の加増なんて………!
    ヽ_|| , -‐' 、|_レ ー-、 ||:ン
     ハ l ー───一 l ハ      
_,.. -‐1:(:lヽ.   ==   /l:((!`''ー-
...l.....l....|::):l ::\    /  l::)):|....l.....l
...l.....l...|((:)l.  ::::`ー'´::   ,'((::(| ..l.....l
...l.....l...|::))(:ヽ.  ::::::   /;リ::)):|...l.....l
...l.....l..|::((::));.ヘ     /へ:((:(:|...l.....l

18112008/12/14(日) 23:43:18.36 ID:57aTd0VN0
      __       
.     /     `v─- 、  
.   /             <、 
   l      ./レ'\  \    石高など低くていい…。
   |  _ ,ィノ─- 、`ニ>、「   むしろ、大身に成らんとする欲…これがまずい。
   |. { rl |  ===。 く     
   | じ|.| u `二  _ \    いいか、石高なんざ低くてもいいんだ。
   |   ハl  r─‐' ‘ ‐、-'  実際に、幕府の中枢で己の才を縦横に振るう…!
  ,.へ / ヽ l ` ̄ ̄「´   それでいいじゃねぇか…!
. ∧  \  \   「´    
/  \   \  >、__j      たとえ小身の身でも…熱い小身なら上等よ!
     \   `く       
.       \  ∧       

            / ⌒`ー '' ⌒ `・、
       γ /し^ ~、/ー^ーヽ ヾ  
       ;' τvw、,vwv~Vw、)λ 
       i      ∧       ! 
       'l   ,., ノl ノu ヽiヽ   j    はあ…そんなものですか。
          λ/ー-   -`-ヽ,イ   
        !(|| ̄o` ,.  'o ̄ ||)!   (どうして…そんなことを…。
        ヾ| u `¨ ゙  `¨′ |/     大身になれるなら…それでいいじゃないか)
         l\  ,-亠-, `' //     
          `l/l\ ̄, ̄ イヽ   
            /=|  ` 、_/ |ニl.._
      _..-‐'"´|=|\    ./|ニ| `ー-.._
           本多正純

182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/14(日) 23:44:37.03 ID:57aTd0VN0
        :――‐:、, ―― ァ
       _,,.>        >
    ∠             \
     /              ',
   /                |   
  lイ        ∧        |    そんなもんだ。
   |.イ   /|/|/  \ト、       |   よーくおぼえておけ。
.     |/|/--:、   ,:---\    |   (まだ納得はしてないようだな…正純…)
      |===,  ====,= 〉==: /
      | 二/  ` 二二 1!^} |/     柳生…お前もそのことは肝に銘じておくがいい。
       / _,,、  、_   ||ニィ
        T ------‐‐ } ∧  ト、
         ハ  ‐‐‐‐  ./  | | n\
        ハ.    /    ∨ ij n ',
      , ―/\_/      / n  ij ∧

         / ̄ ̄\   
       /    \ /\      ははっ…!
       |    ( ●)(●)    
       |     (__人__)      (そういえば、松永殿が昔、正信様を褒めていたと
         |     ` ⌒´ノ      松吟庵大叔父が言ってたな。
         |         }        ”武勇一辺倒の徳川の家臣の中で、
         ヽ        }        本多正信だけはそれだけではない「非常の器」だ”と…。
    /  ⌒ヽ    '´(        確かに、この方は何か違う…!)
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

18412008/12/14(日) 23:45:44.63 ID:57aTd0VN0
 かくして、権力闘争の中心地でもある江戸城において、
宗矩は、その有様を見つめ、ひたすら考え続けた。

   / ̄ ̄\    ) ;;;;)   
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)   
 |    (─)(─)  /;;/    あれ程の武功を立てられた御歴々も、
. | u.  (__人__)  l;;,´    太平の世となれば追われる…。
  |     `∩_ノ)━・'    
.  |     |_ノ       …ましてや、一介の剣術者の術など、一片の鴻毛の如き。
 /ヽ    |  |_       いつ、放逐されるか知れたものではない…。
 |  \_/ ノ ヽ     
 \     /_|  |     
 | \ /  _/   


        / ̄ ̄\ 
      /       \     …やはり、ただの剣術を指南するだけでは駄目だ。
      |::::::        |   柳生家を保つため、太平の世に相応しい剣…。
     . |:::::::::::     |   上様の仰る”大将の剣”を我が物とせねば…!
       |::::::::::::::    |    
     .  |::::::::::::::    }          ....:::  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´

18812008/12/14(日) 23:50:08.79 ID:57aTd0VN0
                  _ .. _-‐ _‐__、
               .,´r_'7-'`´::::::「Lヲrt、       
             , ´rァ'::::::::::::::::::::::::ゞ__フ::\        さて、実際に宗矩が正信と会話する機会が
            / _ィケ::::::::::: __r__t__ァ、_z-_、:::ヽ      あったかどうかは不明なのよぉ。
              /  l/::::::__/ノ`´        ゞ.|    
           /r=アr≦/ /    /     ヽ ヽヽ     でも、この正信の正純に対する戒めについては、
            / |l_〆::|ヽヽ i:::   | |        |!  | !    折に触れて語っていたと言われるので、
          .イ ..ゞイ :::|| // |::::  | |::|:::     ハ  l |    宗矩がこの話を聞いていた可能性はあるわねぇ。
        / ,.::::::i:||  |ト∧ ∧:::l..| |::|::::.   /:::l:::/ /|    (あるいは、そのものでなくとも、権力が絶頂にあった正信が
         . ' :::::::/:;. ||lj:: ハリ廾丁ゞiハ;:: メ|:::/:/::/lリ    石高は然程でもないことが話題になることはあったと思われる)
        / .::::::::::/::/ 从:::: ハゞ=l‐   l、/_/レ::/ノ    
     / :::::::::::i::/  |iハ:: ∨        ´ フイ|ノ        ともかく、武功派が遠ざけられ、吏僚派が力を握る現状に対し、
    ,. ´.:::::::::::::: |:|::::  |ノ^ヽ.:| \ ヽ_ァ ′⌒ヽ|        徳川家の中では比較的新参の身だった宗矩が、
    / .::::::: ,..─|:|::::  |::::::丶`ヽr_ ーく //´リ :i|        柳生家を守るためにどうすればいいか、ということを
  / .::::::::;;//:::::::Ⅳ:::: ヽri :::r、_:::ヾ \// |/ _j _ァ       必死で考えていたのは間違いないと思うわぁ。
 7 ::::::::::::::| i::::::::::::::ヽ::.:....| | ////ヽ //三  /===、   
. ハ::::::::::::::| ::::::::::::_;:::::\::| `l l レ'ノイ  r -t   `ー-l l |     それでなくとも、当時、あくまで芸のひとつに過ぎなかった
/ :::::::::::::::ノ _,二 - :::::ヽ :::ハ   ゝv  人ノ    l7 )リ    「剣術」の指南役としては破格の三千石(二千石は元からの所領だけど)を
 |::::::::::.//:::::::::::::::::::::::ヽ\ハ   Vゝ         く j    受けていただけに、風当たりも強かったでしょうしねぇ。
..:|!:::::::::f ::::::::::::::::::::::::::::::入|_.〉  ノ       イ_フノ /   
:∧::::::::ゝ_;::::::::::::::::::::::/ ::: ハ  イ ノー─z人 j |  イ      言ってみれば、兵庫助が加藤家にいた時の状況が
:| ヽ.::::∧ >-i::::::::::::| ::::::イハ /ノ  ||  //ヽ::`ハ / :j|      更にスケールアップした、と言えるかもしれないわねぇ。
:|  ∨ |/ | /:::::::::::::|.,イ∧_ノ|:::フ ゞ- '  V|: |/:::r'ハ   

19012008/12/14(日) 23:50:40.06 ID:57aTd0VN0
 さて、秀忠に付随して京に上った宗矩は、柳生庄にも赴いたと思われる。

      ;;⌒  、
   (;;; ,,;;    ヽ、 _,,,...:-‐‐=-..,,,_
       (_,,,  ;;ノ,r'":: ::      ::\,,.....,            ;;⌒  、
          ,,r'":: :: :...     ::: . ::; :::.`'::.、      (;;; ,,;;    ヽ、
        ,:r'::: :: .::: ::      ::    :; ::: .:: `':.、      (_,,,  ;;ノ
      ,r'":::.. ..:: ..:::. ....      :  ::  :; :: ::. ::`'::、_
    ,r'"::::  ...::: :...::: :: ;,,, - '''' ''':‐-,, ,,      ::. ::`'::、_          __,, - ''""
  ,r'"...::::.. ......:::::               " ''''‐- ,..,,,...  __,, -‐- ,... .-‐‐''''"
,r'":::,,,,,, :::::......:::::: ...               _,, - ''" ""'''"" `'' -,..
  :::.....                     -‐"             "'' -‐‐‐-,..,,.
     ::::,,,::;;;;:::::::: :::::;;;;;::::::: ;;:::::;::;;;;::::,:::::;;;;;::;;; :::,,::::::: ::::; ;;;;:::::::;;; :::,,:::::::::::::;;,,,
   ...:::::;;:::::::::::;;;;,::::::::::::::::::::://::::,,;;;;:::::::::::;;;;:::::::: :::::;;;;;::::::: ;;:::::;::;;;;:::;;::;::::://:::::::.::::;;:.......
 ::::;;; :::,,::::::: ::::; ;;;;:: :::::::::: //...::::.::::;;;;:;;;;;,:;;;;;::;;;;;;;;;;:::::::::: :::::::: ;;;;;;;;;;;; :::://:;::::::::::;;;::::::;;::::::::...,,,
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″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″
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19212008/12/14(日) 23:51:56.26 ID:57aTd0VN0
         / ̄ ̄\   
       /    \ /\
       |    ( ⌒)(⌒)     
       |     (__人__)    父上、お久しゅうござります!
         |     ` ⌒´ノ      
         |         }
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

     ____        
   /      \       
  /   ⌒ 三 ⌒\       おお、又右衛門。
/  -((◎)-(◎).\   元気そうじゃの。
|      (((__人__)))  |   
\           /    
 /           \    

19412008/12/14(日) 23:54:11.05 ID:57aTd0VN0
   / ̄ ̄\         
 /  _ノ   \         
 |   ( ⌒)(⌒)l    ははは、勿論でござる。
. |    (__人__) |   父上!それがし、遂に将軍家剣術指南役となったのでござりますぞ!  
  |    ` ⌒´ |   即ち、天下一でござる!
.  |         }     
.  ヽ        }     父上より受け継いだ、この新陰流が天下一であることを、
   ヽ     ノ     この宗矩が示していきますぞ!
   /    く
   /     ヽ

         ___
     /      \
    /  _ノ三ヽ__\    
  /  -((◎)-(◎)-\  ………。
  | ∪  (((__人__)))   |
  \  u   `⌒´   / 
  ノ           \ 

19812008/12/14(日) 23:56:58.85 ID:57aTd0VN0
     ____  
   / u.   \
  /  _ノ三ヽ__\     …又右衛門。
/  -((◎)-(◎)-\  お前に、伝えねばならんことがあるお…。
|  u. (((__人__)))  |   聞いてくれお…。
/     ∩ノ ⊃  /   
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \      
 |    ( ⌒)(⌒)     はい。
. |     (__人__)     なんでございましょう?
  |     ` ⌒´ノ     
.  |         }     (兵助の再仕官でも決まったのか?
.  ヽ        }      それとも、あやつも嫁を見つけたのか?)
   ヽ     ノ       ふふふ、柳生家も春が来たなあ…!)
   /    く  \    
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、

20112008/12/14(日) 23:58:50.19 ID:57aTd0VN0
     ____  
   / u.   \      
  /  _ノ三ヽ__\     …新陰流の正統についてなんじゃが…。
/  -((◎)-(◎)-\  
|  u. (((__人__)))  |    又右衛門…。
/     ∩ノ ⊃  /    わしは正統を兵助に継がせようと思うお。
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \      
 |    ( ⌒)(⌒)    
. |     (__人__)     おお!
  |     ` ⌒´ノ      兵助に正統を……!
.  |         }     
.  ヽ        }     
   ヽ     ノ      
   /    く  \    
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、

20712008/12/15(月) 00:01:03.39 ID:NEsLZ95n0
   / ̄三\  て
 /:::u:::_ノ 三 \ そ
 |:::::::::::( ○)(○)  
. |;::::::::::: (__人__)   . 
  |::::::::::u |r┬-|     ………正…統ッ!?
.  |:::::::::::  `ー'}      そ、それは……父上ッッ!?
.  ヽ:::::::: u   }
   ヽ:::::   ノ  
   /::::  く  
   |:::::   \  
    |::::   |ヽ、二⌒)

     ____  
   / u.   \      
  /  _ノ三ヽ__\     
/  -((◎)-(◎)-\    そう、新陰流の正統じゃお…。
|  u. (((__人__)))  |    わしは、あやつを正統三世にすることに決めたお…。
/     ∩ノ ⊃  /   
(  \ / _ノ |  |      又右衛門…お前ではないお…。
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

21112008/12/15(月) 00:02:46.12 ID:NEsLZ95n0
     //            //  そんなっ…!
    / / __,‐⌒ヽ、       //  バカなっ…!  バカなっ…!
   / / /   '─ \    / /   常識外なっ…!  ありえないっ…!
  //ノ ノ-、 (○つ\  / /   新陰流が…!  こんなことがっ…!
//  | 。(○)  、゚ ヽ, ヽ l l   どうして……  将軍家指南役が…
/   ヽ Uヽ__,,,トー'i   )| |  あってはならない……!  常識的に……!
      ノ    ` ⌒''  ノ | |  どうして… 兵助が…
    (           } ノ ノ  こんな… 俺が正統を…
     ヽ         //  こんな…
      ヽ      //      こ ん な こ と が っ … … !


            ___         又右衛門、戻ってくるお。
       /      \
      /  _ノ三ヽ__\      無論、わしの新陰流の全ては、お前にも授けるお。
    /  -((◎)-(◎)-\   元々、印可も渡しておるわけじゃからの。
    | ∪  (((__人__))) J |
    \  u   `⌒´   /    ただ、正統は兵助にさせてほしいんじゃお。
    ノ           \   その理由を、聞いてくれるかお?

21612008/12/15(月) 00:04:41.25 ID:NEsLZ95n0
   / ̄ ̄\
 / u _ノ  \
 |    ( ○)(○)   
. |     (__人__)    …………。
  | u   ` ⌒´ノ   
.  |   u      }
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \       
   |     \   \        
    |    |ヽ、二⌒)、

         __     
       /   \
      / \, 、/ \   …失礼…しました。
     | (●) (●) |
     |  (__人__)  ..|   …父上、仰ってください。
     l   `⌒´ u |  それがしではなく、兵助を正統に選んだ理由を。
     .l         .|
      {        ./    「うむ…」
       ヽ      ノ、  
      /        `ヽ.

22312008/12/15(月) 00:06:50.50 ID:NEsLZ95n0
       ___        
     / /三\\       …というわけなんじゃお。
    /-((◎)-(◎))-\     
  /   (((__人__)))  .\     家をお前に継がせたのと同じく、
  |              |    新陰流を継がせるのに一番相応しいのは兵助…。
  \            /   あやつじゃと、わしは判断したんじゃお。
  /              \    

   / ̄ ̄\      
  /   _ノi||iヽ_      …なるほど。
 |     (-)(-)    そういうことでしたか。
. |     (__人__)     
  |  u    `⌒' |    (ここ数年、兵庫助の腕前は見ていないものの、
  |       ∩_ノ)     相当な腕前になっているのだろうな…
.  |      | _ノ     そうでなければ、父上が認めるわけが無い…)
 |  \_/ ノ ヽ 
  \     /_|  |     
  | \ /   _/   

22612008/12/15(月) 00:08:35.92 ID:NEsLZ95n0
         /  ̄ ̄ ̄ \
      /     /三 \\    又右衛門、お前では駄目なのじゃ。
    /   -((◎)-(◎)-|   お前には既に柳生家を継がせた。
     |     ゚ (((__人__))) j   新陰流は、兵助に継がせてやってほしいお…。
     \、     `⌒´,;/   
    /  ⌒ヽ  '"'"´ (      又右衛門…わかってほしいお。
   / ,_ \ \/\ \    頼むお…。
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

22812008/12/15(月) 00:10:04.88 ID:NEsLZ95n0
        ;/ ̄ ̄\;: 
      ;/       \;:     ……。
      ;|::::::        |;:     
     . ;|:::::::::::     |;:   (俺では駄目、か…。
       ;|::::::::::::::    |;:    これほど厳しい…辛い言葉は…ない。
     .  ;|::::::::::::::    } ;         
     .  ;ヽ::::::::::::::    } ;:     兄上も、兵助の奴も、俺が家督を継いだ時、
        ;ヽ::::::::::  ノ;:      こういう気持ちだったのか…)
        ;/:::::::::::: く;:         
-―――――;|:::::::::::::::: \ -―,――――  
         ;|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)


        / ̄ ̄\ 
      /       \     
      |::::::        |     
     . |:::::::::::     |   (しかし…ならば…俺は…俺は……!)
       |::::::::::::::    |      
     .  |::::::::::::::    }     「又右衛門……?」
     .  ヽ::::::::::::::    }         
        ヽ::::::::::  ノ        
        /:::::::::::: く         
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)

23012008/12/15(月) 00:12:09.99 ID:NEsLZ95n0
        / ̄ ̄\   
      /:::::::⌒ ⌒\      
      |:::::::::(⌒)(⌒)|   …父上、お気になさることなどござりませぬ。
     . |:::::::::::(__人__)|  それがしには新陰流の正統など…不要でござる。
       |::::::::::::` ⌒´ |     
     .  |::::::::::::::    }
     .  ヽ::::::::::::::    }      
        ヽ::::::::::  ノ   
        /ヽ三\´    
        |:::::::::::::::: \

       ____
     /     \       !?
   / \ 三 / \ て   
  / -(◎) - (◎)- \そ   ど、どういうことじゃお?
  | し  (((__人__)))   |    
  \     ` ⌒´     /
  ノ           \ 

232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/15(月) 00:14:50.16 ID:NEsLZ95n0
     ____  
   / U    \     
  /  _ノ!||!ヽ__\     駄目と言っておいてなんじゃが、
/  -((◎)-(◎)-\   お前は将軍家の指南役じゃお。
|  U  (((__人__)))  |   そのお前が流派の正統を継がなくとも問題ないというのかお?
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

    / ̄ ̄\   
  /:::::::⌒ ⌒\      
  |:::::::::(●)(●)|    …ええ、構いませぬ。
 . |:::::::::::(__人__)|  問題ござりませぬ。
   |::::::::::::` ⌒´ |     
 .  |::::::::::::::    }
 .  ヽ::::::::::::::    }      
    ヽ::::::::::  ノ   
    /ヽ三\´    
    |:::::::::::::::: \

23612008/12/15(月) 00:16:32.17 ID:NEsLZ95n0
  / ̄ ̄\
 /:::::::: - -
 |;;;;;;;:::(●)(●)      何故ならば、それがしの剣は既に新陰流にあって新陰流に非ず…。
. |;;;;;:::: (__人__)    それがしが、上様より薫陶を受けて編み出した「大将の剣」でござる。
  |;;::::::::; ` ⌒´ノ    
.  |;;;::::::::;    }      即ち…。
.  ヽ;;::::::::::;   }
   ヽ;;;::::::: ノ  
   /:::::::: く  
   |::::::::::  \  
    |:::::::  |ヽ、二⌒)

23912008/12/15(月) 00:17:42.88 ID:NEsLZ95n0
          , --────-- 、
        /          \
       /::::::           \
     /:::::ノ( :::       l:::::::::::::::::\
    ./::::::::⌒::::      ノ::::::::::::::::::::::.\
   /::::::::::::::::::::::    _, -'´:::::::;;;;;;;;;;;;;;:::::: \
  |:::::::::::::::::::::::: / / ̄\\:;;;;;;:// ̄\\
  .|::::::::::::::::::::::::| |. ○ .|  ,|:;;;;::| |. ○ .||    
   |::::::::::::::::::::::::: \ \_/ /::;;;;::\\_//    最早、上様が求めておられるのは、
   .|::::::::::::::::::::::::::    ,/   ::|::     \      新陰流ではなく、この又右衛門の剣…ということでござる!!
    |:::::::::::::::::::::::::::   |    |     |      
    |::::::::::::::::::::::::::::::  |    |     |     
    .|::::::::::::::::::::::::::::::::  \__/\__/|      
    |::::::::::::::::::::::::::::::::::   | トエエイ  |  /     
    .|:::::::::::::::::::::::::::::::::::  '.{    :l    }/ /     
     |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::  .{   :l    }/ )   
      丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::  .{       }  l    
      \:::::::::::::::::::::::::::::::::: 、`ー一一 ' )    
       .\:::::::::::::::::::::::::::::::::       / ,
        ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::    / 

24912008/12/15(月) 00:19:34.91 ID:NEsLZ95n0
          / ̄ ̄\
        / -  - \
        |  (-)(-) |      …故に、新陰流の正統を継ぐ必要はござりませぬ。
        |  (__人__)  |     それがしは、今まで学び覚えた分で十分でござる。
         |   ` ⌒´  ノ     
   r"ヽ   |         }      既に権威というだけなら、十分持っておりますしの。
  (   =‐' ヽ        }      今更新陰の正統など受けずとも、問題ござりませぬ。
   ゝ-'    ヽ     ノ     _
        _/     l__   / /
   __ゝ_/         ヽノ   ノ
   \___ノ'          ノ

         ____
       /::::::::::  u\
      /:::::::::⌒ 三. ⌒\     
    /:::::::::-( ◎)三(◎)\    …ま、又右衛門…。
    |::::::::::::::⌒(((__人__)))⌒|   お前は……。
     \::::::::::   ` ⌒´   ,/    
    ノ::::::::::u         \
  /:::::::::::::::::      u  

25412008/12/15(月) 00:22:21.05 ID:NEsLZ95n0
    / ̄ ̄\   
  /:::::::⌒ ⌒\     …まあ、新陰流の正統を継いだ者こそ、
  |:::::::::(⌒)(⌒)|    将軍家の剣術指南役であるべき…、というのが
 . |:::::::::::(__人__)|   父上の認識であるならば、また話は別ですが。
   |::::::::::::` ⌒´ |     
 .  |::::::::::::::    }     もし、そうお考えなのであれば、
 .  ヽ::::::::::::::    }    兵助をそれがしの代わりに推挙致しましょうか?
    ヽ::::::::::  ノ     ちょうど加藤家を退転したそうですしのぅ…。
    /ヽ三\´    
    |:::::::::::::::: \

     ____        
   / U    \       又右衛門…お前、性格悪くなったんじゃないかお?
  /  _ノ!||!ヽ__\    そんなこと、できるわけないお。
/  -((◎)-(◎)-\   加藤様に喧嘩売るも同然じゃお。
|  U  (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /     それに万一、兵助が加藤様の時と同じことをやらかしたら
(  \ / _ノ |  |     柳生家は今度こそ終わりじゃお。
.\ “  /__|  |      お前、わかってて言ってるじゃお?
  \ /___ /

26112008/12/15(月) 00:24:57.79 ID:NEsLZ95n0
   / ̄ ̄\         
 /  _ノ   \         
 |   ( ⌒)(⌒)l    …ははは、これは少々意地が悪うございましたかの。
. |    (__人__) |   お許しくだされ。
  |    ` ⌒´ |     
.  |         }
.  ヽ        } 
   ヽ     ノ
   /    く
   /     ヽ

         ___
     /      \
    /  _ノ三ヽ__\    
  /  -((◎)-(◎)-\  (意地が悪いってレベルじゃねーお。
  | ∪  (((__人__)))   |   なんという心臓に悪い話をするんじゃお…)
  \  u   `⌒´   / 
  ノ           \ 

26612008/12/15(月) 00:27:02.23 ID:NEsLZ95n0
        / ̄ ̄\ 
      /       \     
      |::::::        |    まあ、率直に申さば、それがしとて父上に剣を学んだ身。
     . |:::::::::::     |   その正統を継げぬのは…正直悔しゅうござります。
       |::::::::::::::    |  
     .  |::::::::::::::    }     兵助にも嫉妬致します。
     .  ヽ::::::::::::::    }     重ねて、お許しくだされ…。
        ヽ::::::::::  ノ    
        /:::::::::::: く         
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)

           ___
       /      \
      /u \  三 /\     …!!
    /   -(>) -(<)-\  
    | ∪   (((__人__)))  |   …又右衛門。
     \      `⌒´   /   すまん…すまんお…!
    ノ           \ 

27012008/12/15(月) 00:29:14.92 ID:NEsLZ95n0
   / ̄ ̄\
 / -  - \      …何をあやまられることがございますか。
 |  (●)(●) |    
. |  (__人__)  |     実際、兵助の腕前がそれがしより上と父上が見込まれたのであれば、
  |   ` ⌒´  ノ    新陰流の正統を保つためには、あやつに継がせるべきでござる。
.  |        }    
.  ヽ       }      父上の判断は間違っておりませぬ。
   ヽ     ノ    
   /    く  \       
   |     \   \         
    |    |ヽ、二⌒)、         


   / ̄ ̄\       それに、考えようによってはいい手かもしれませぬぞ。
 /  _ノ   \     例えば、万一、それがしが不覚を取る羽目になったとしても、
 |   ( ⌒)(⌒)l    あやつがいれば、保険はでき申す。
. |    (__人__) |    
  |    ` ⌒´ |    「新陰流の正統相伝者にして、柳生石舟斎本来の嫡流である
.  |         }      柳生兵庫助長慶が破れぬ限り、柳生は、新陰流は負けぬ!」
.  ヽ        }    
   ヽ     ノ      というところですな。
   /    く       逆に、あやつが負けたところで、
   /     ヽ      それがしがいる限り、柳生の面目は立ち申す。

274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2008/12/15(月) 00:30:50.38 ID:NEsLZ95n0
                   ,, -‐ 、
                  /'    ヽ      
       / ̄ ̄\      ./      i
     / ._ノ  ヽ、\    /    ...........i     それがしは将軍家の指南役として、
     |  (●)(●) |  /   ..:::::::::::::::|    あやつは新陰流の正統として、
     |  (__人__)  |  /  ..::::::::::::::::::l     権威を二等分すれば、それだけ荷物が減り申す。
     .|   ` ⌒´  .} ./  ..::::::::::::::::::::!      
      |         }/  .::::::::::::::::::::/       それがしにとっても、
      ヽ       ./   .:::::::::::::::::::/      これ以上、荷物を増やされるのは勘弁でござる。
      .ヽ    . ./  .:::::::::::::::::::/
   ,. ‐'"´  `'‐,r''"~   .:::::::::::::::::/        父上、思い起こして下され。
..:./,. -‐‐- 、 l′     ..:::::::::::::/|        柳生家の家督、新陰流の正統、
:,'      /       !.:::::::/:i..:..l        両方を継いでおられた際の気苦労を。
r   、  /           !::::::::::: i..:..i       
l  .......`:i    i         !:::::::::: ゙、:.i       …挙句の果てが家の取り潰しでございましたな?
!  ::::::::::/    i       i:::::::::: ヽ:i
.! ::::::::/     i      .....i::::::::::: ヽ
.ヽ ::::::|  `、   `、  .....::::::::::::l::::::::::::  `,
/ \:::l.   `、   ヽ::::::::::::::::::::l:::::::::::  /'''ー─----、
   `ヽ   `、  .::::\:::::::::::::::|::::::::: /,,   ,. ‐;''

     ____  
   / U    \
  /  _ノ!||!ヽ__\    
/  -((◎)-(◎)-\    そ、それを言わないで欲しいお
|  U  (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /    
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

27912008/12/15(月) 00:33:16.37 ID:NEsLZ95n0


   / ̄ ̄\
 / -  - \      今、それがしを取り巻く環境は、
 |  (●)(●) |     その比ではござりませぬぞ。
. |  (__人__)  |    なにせ、天下の中心でござりますからの。
  |   ` ⌒´  ノ   
.  |        }      それがしは、父上より十分受け申した。
.  ヽ       }      これからは、それがしの手で「大将の剣」を打ち立て、
   ヽ     ノ      柳生の名を、天下に轟かせて見せ申す。
   /    く  \       
   |     \   \         
    |    |ヽ、二⌒)、         

28212008/12/15(月) 00:34:55.03 ID:NEsLZ95n0
   / ̄ ̄\         
 /  _ノ   \      それに…ひとつくらい兵助に継がせるものがなければ、
 |   ( ⌒)(⌒)l     兄上に申し訳が立ち申さぬ。
. |    (__人__) |    
  |    ` ⌒´ |      兄上は、笑ろうて
.  |         }     それがしに家督を継げと仰ってくださった。
.  ヽ        }     ならば、それがしがここで我を張るわけには行き申さぬ。
   ヽ     ノ     
   /    く
   /     ヽ

       ____
     /     \
   / \ 三 / \ て   
  / -(◎) - (◎)- \そ    又右衛門…!
  | し  (((__人__)))   |    
  \     ` ⌒´     /
  ノ           \ 

28912008/12/15(月) 00:37:21.56 ID:NEsLZ95n0
        / ̄ ̄\ 
      /       \     
      |::::::        |     父上、このことは皆には黙っておいて下され。
     . |:::::::::::     |      
       |::::::::::::::    |     兵助に相応しい仕官先もそれがしが探し申す。
     .  |::::::::::::::    }     お待ちくだされ。
     .  ヽ::::::::::::::    }         
        ヽ::::::::::  ノ        
        /:::::::::::: く         
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――――  
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)

       ___        
     / /三\\      
    /-((◎)-(◎))-\      ………頼むお。
  / u. (((__人__)))  \   
  |              |    
  \            /   
  /              \    

29612008/12/15(月) 00:40:03.53 ID:NEsLZ95n0
   / ̄ ̄\
 / -  - \    
 |  (●)(●) |     では、父上、それがしは戻りまする。
. |  (__人__)  |    お元気で。
  |   .`⌒´  ノ   
.  |        }    「…うむ」
.  ヽ       }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \   ザッザッザ…
   |     \   \         
    |    |ヽ、二⌒)、         


     ____  
   / U    \      …これで、本当によかったのかお?
  /  _ノ!||!ヽ__\   又右衛門を選ばなくてよかったのかお…?
/  -((◎)-(◎)-\  
|  U  (((__人__)))  |   …いや、もはや後悔は無しじゃお。
/     ∩ノ ⊃  /   こうなれば、兵助を正統に相応しいものとして
(  \ / _ノ |  |    わしの…新陰流の全てを伝えねばならんお!
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

 こうして、石舟斎と宗矩の会話は終わった。

 宗矩は秀忠に付き従って江戸に戻り、
石舟斎は、兵庫助の戻るのを待つ日々が続いた。

29912008/12/15(月) 00:44:24.99 ID:NEsLZ95n0
'  l | !_/イl |,   l ',  | ヘ.   l     / |  ;i  ,    | l    さて、いつものように、この会話自体は>>1の創作なんだけど、
  ,l/,r‐'´!.| ',|ヽ | ヽ  l ヽ |     l l /l  l,     l|  実際のところ、兵庫助への正統相伝に際し、
 / /   ',| 十' 寸 二マT´ ヽ.|!    / ┼/-l、_,|    /! !   石舟斎が宗矩に一言も伝えなかったのか、というと、
,/ /l    | 丶 \ _\   '|l  / ‐ナ'´ |/lj  / /'゙   まあ、それはありえないだろうと思うのよねぇ。
. / |'、    ', ‐、―r┬ャ、`     i/  ‐/_‐__/ /-‐'i /    だって、どう考えたってそれなしじゃ収まらないもの。
/  ! ヽ.   ヘ ≧=一' ´          ゝ'-彡マ´ /     
   ! l \   ヽ                  〃  /!       そうなったら、現に柳生家の当主であり、
  l | l   \  \        /      / /i|      将軍家の剣術指南役である宗矩の意見の方が強くなるのは当然で、
 l  l|   | ト ̄´   、_, _,  - '´-‐イ   l|.      それを防ぐためには、石舟斎が確かに兵庫助に正統を譲ったということを
ー 、 l l   | /\\     ´ 二´   /  |   l       石舟斎が宗矩に話をして、納得させる必要があったわけねぇ。
:::::::::::| l   |:::::: \ ゙  、   _ ィ ´|    l   , -: ,
::::::::::::l|   !:::: ::::::::-_天    !   |   l/´::::::/ /´ |   で、この後のことになるのだけど、柳生家の書状その他を見ても、
:::::::::::::', l   |: ::::::::/´:|:::/「l\   !   !   l__:://  /   宗矩が自身を新陰流の正統を称した記録はないのよねぇ。
:::::::::::::::',    l ::::::/::::::l:/ l|::、 〉_;-:::|   !::::::::::;'/  ,:'   ただ、石舟斎から直々に学んだ、ということは書いてあるけど、
:\:::::::::∧  l、:::::::!:::::::l;'   l!::∧>:::::::::l   l::::::::::i/   」 ヽ  それはただの事実だものねぇ。
::::::ヽ:::/:::::ト  V\:l__」|  lY、::l>|\::l   /:::::::::/  |  
::::::::::V:::::::::l\ ヽ‐ト、:::/|   ヽ\!>ーl| /l::::::::::l     、 l  そこから見ても、宗矩が、
:::::::::::ヘ:::::::::l/ \ヽL.V∥    ヽ    / /!|:::::::::::l     丶  兵庫助の正統相伝を認めていたのは間違いないと思うわぁ。
                                  当時の世間が、どちらを正統(というか権威)と見たかはともかく、ね。

30312008/12/15(月) 00:47:28.62 ID:NEsLZ95n0
             ,. -ュ,ニニ弌垳ト、
             /r'^ _rヘ-ヘ/^ヽr宀、       ちなみに、石舟斎が宗矩に正統を継がせなかった理由に、
           /!7ト、7′ 〃    l ヽ ヽ     「政治に寄った宗矩を嫌って云々」とか言われる事もあるけど、
   、    / l//L」| ∧l | ! |l  | ! ヽ    それはこの時点の宗矩には当てはまらない話だと思うわぁ。
    |:l    / 〃 ||丁l トH、lV| |l  /l  } l |    だって、この時期の宗矩は、まだ単なる剣術指南役ですもの。
    ヾヽ  / 〃 |l | l抔卞`ヽ{ /-ト/ //リ
 \  ヽ:∨ |」 /l| lトヽ ̄   レ'戎シ' / ′    というか、ここで言う「政治」っていうのが
⌒ヽ!ヽ._j\\ / 八 |ヽ   __ ' ∠r1=彳     何を指すのかが不明瞭なことが多いのよねぇ。
::..::..::..::..::..`::..::ヽ/ ハ ヽ‐ >、  ,. イ| }::..`ヽ、    単に柳生家の維持/発展のために働くことを指すのなら、
::..::..::..::. /⌒ヽ、ヽjノヽ.∨r 芥、/:./ /::..::..::.、\   それを石舟斎が嫌うのはおかしな話なのよぉ。
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ}l,ハ/-/ 〈::..::..::.`ヾ\ヽ だって、宗矩に家を継がせて、家康のところに送り出したのは
::..::../:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_ || ヽ:レ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j  石舟斎本人なんだもの。
::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ーrヘ.:.:、:.:.\ヽヽ:〉  
仆、 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ}     まあ、後の宗矩の立身を踏まえた上の意見で、
′ \_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_ ゞ=仆ヽ.:.:_ノ     結論から原因を導き出すようなものねぇ。
 ,   〉个、:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ l  }〉:.}'´      
 |  く_/^ト、>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_リ 〈|:.ハ       実態は逆で、新陰流の正統を継げなかったからこそ、
 |  //:.:.:||:.:./ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨┐r':.:{ 、ヽ     宗矩は割り切って政治への志向を強めていった…と考える方が
 !| //:.:.:.:||:./   }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.| l |     まだ自然だと思うわぁ。

30812008/12/15(月) 00:50:07.14 ID:NEsLZ95n0
       __{〆..:::::::::〆        `  、
    /_{f7.::::::::::〆                 \        そして、兵庫助に正統を譲った理由としても、
   / __{f7.:::::::〆   /           \  \      「嫡流だから」という意見もあって、それ故に、
  厶イ7:r-、く  | |    |        ヽ   \    「本当に兵庫助に柳生家を継がせたかったけど、
 〈〈__/:ハ::.Vヽ\ | |   |、          |    ヽ    宗矩が継いでしまったので、新陰流の正統だけでも継がせたのだ」
. /ヾィ/ イヘヽノノ | |ヽ  | \   ',    |    | '.  とする説もあるのだけど、それもおかしな話なのよねぇ。
/ /://ll |:「´   |{ 丁ヾト、|  ヽ  |!   |    |l |
  |::|  l| |:|    |ヽ弋f==,ミメ、 ' ∥  /ハ     || |   だって、その話だと、新陰流の相伝は、
/|::|  || |:|ヽ   |   、_{._!ンヾ  }ノ|l /厶| , / ハ|  剣の腕前よりも嫡流であるかどうかってことになるもの。
  |::|  || |:| \  ヽ   ̄¨`    l/rテミ|/ / / }ノ   それだと、石舟斎が新陰流を秀綱から受け継いだことも
  |::|  l| |:|  l \ \         、ヾ' / イl/     おかしな話になるわぁ。
     l|     |   ` -\       ′/  ノ
      |l    |\        ‐-,,、  / /         だから、(少なくともこの時期は)新陰流の正統は、
     ハ    ト、  、      ` イ           あくまで剣の才能こそが相伝の条件だったと思うわぁ。
    / ハ     l::.\ >_,、   /  |
     / ∧   l:::::/.::7爪  丁   |            そうなると、石舟斎自身が正統を受けたのと同じく、
―-  _∠::::ヽ  ∨:::/ 小ヽ |l   |           「兵庫助が一番剣才に優れていたから」というのが
―‐ 、 ` マ}__ ト、  ∨/:||:lL)〉ハ   |            理由として一番しっくりくると思うのだけど、どうかしらねぇ?
::::::::::..\「` マ}___\  ∨:||:「く/  |  |

31012008/12/15(月) 00:51:22.22 ID:NEsLZ95n0
 〃///ヾ    i ll  i ! l   i   l |  l  ヽ  ヽ       ちなみに、ここでいう「剣才」は、
. i:|//i::i  》  /| li  !メ l   l   ! i  |   ',   ',      単なる剣の腕前だけではなく、より広い意味で、
 〆i !:L〃  i ', | !  | l ト,   !  /  l  ! i  }   !     「流派を発展させる力」、という意味よぉ。
// / |:|'" i  斗弋T、‐- ', | ヽ !  /i /! /! !  l.  } |
/ i |:l  ',  i弋ゝ‐-Y=、丶` ',.| /_.!ム、/_l /  /  ハ !      後の話になるのだけど、兵庫助の実績を考えれば、
.  | !:l   ∧. !  ヒ_q )_ヽ   レ'  レ' 7 メ  .イ / l !     この時の石舟斎の見立ては実に正しかったのだけど、
.  l |:|.   ,ヘヘ               ,r‐‐tァ/ /| ,/   レ     それはまたずっと後で話をするわぁ。
.  l l」   i  ヽゝ:::::::::::..      ゞ゚ノ//ノ |,イ
  !    ト、           ! .:::::..´ソ"   l:」   ,-'´     とりあえず、結論から言えば、
  i    |. 丶      、_ ,、_ ´    /',  ,    //
.  ',    ト、  ゝ .     ‐/ フ_,, ィ ´  !,〃 ,..-'´:∠_      「宗矩は兵庫助の正統相伝を認めていたし、
.   ',   |::::`:‐-.、`> . _ / /l´ ゙!i   lイ/:::::::::::::-= 二、_     正統を自称したこともない」
、___ヘ   !::::::;ィ;==,‐、 ;_/ / !  !|    |::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::ff《ヘ  i::≪::::::〃!,ィ´`‐-ヾ、l_/_il    l、::::::::::::::::::::::::::::::::    「兵庫助が正統を相伝できたのは
:::::::::ゞ》 ヘ. ト、::::゙彳/ゞ/r‐---、i/´::::|  /:::\:::::::::::::::::::::::::::     一番剣才があったからで、嫡流云々は無関係」

                                      というところねぇ。

31212008/12/15(月) 00:52:09.98 ID:NEsLZ95n0
 そして時は流れる。
兵庫助が戻ってくるまでの間、石舟斎は己の工夫を伝えるべく、
相伝に際して渡す「没滋味手段口伝書」に手を加え続けた。

        / ̄ ̄ ̄\
        /        \ 
     /   ─ 三 ─  ヽ   「極意三箇条」を記す也…と。
      | - ((◎)-(◎))-  |   
     \  ((__人__)) __,/   
     /   ` ⌒´   \     
   _/((┃))______i |  カキカキ…
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \  
/  /_________ヽ..  \     
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
         ____
       /      \     
     /  _ノ 三ヽ、_  \    あー、他の目録も書いておかねばならんお。
    / o゚((◎)) ((◎))゚o \    間が開くほど書きたいことが増えていくお!
    |    ((__人__))    |     兵助、早いとこ戻ってきて欲しいお!!
    \     ` ⌒´     /
   /´           `\
  /  /          l  l   .___
__l  l_¶______/_/__/     ヽ
  \, ´-'ヽ  ̄| ̄ ̄ ̄ ̄|   l二二二二l
    ヾ_ノ   | '''' '   |   l二二二二l
   |      . | '''..--  |   l二二二二l:::..
   |   ..''  |  ''-.  ,|
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

31412008/12/15(月) 00:53:12.68 ID:NEsLZ95n0
 そして慶長十年(1605)、六月。
石舟斎七十七歳、兵助二十八歳の時。

     |┃三        / ̄\
     |┃          |    |
     |┃ ノ//         \_/
     |┃三           |    
     |┃    -ニ二二二二二二二二ニニ-   
 ガラッ. |┃   /                  ヽ  
     |┃   | ,   i   ,i      i  , |  
     |┃三 |_n__|i__|i____i|__|  
     |┃      /  <●>::::::<●> \      お爺様!
     |┃     .|     (__人__)    |     兵庫助、ただいま戻り申した!
     |┃三    \   〆⌒?   /
     |┃三    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\

          ____
       / \ 三/\ 
.     / (◎)-(◎)\       おお、やっと戻ってきたかお!
    /  ⌒(((__人__)))⌒\   
    |      |r┬-|    |     …兵助、潔斎して、今晩道場に来るお!
     \     `ー'´   /    
    ノ            \   
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''""~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

31812008/12/15(月) 00:57:06.20 ID:NEsLZ95n0
       / ̄\
       |    |
       \_/
      ___|___
     /u     \
    / :::\,::::、/:::: \    ははっ!
  /  < ●>::::::<● >  \  
 |   '" (__人__)"' u  |  (…遂にか!)
  \     `⌒ ´     /
  /ゝ     "`   ィ `ヽ.


         ____
       /     \      
     / \   / \      
    /   (⌒)  (⌒)  \   兵助…お前は私の誇りだ…。
   |      __´___    . |    よくぞ今まで頑張ったな…!
   \      `ー'´     /   
   /           \   「父上…!」
    柳生新次郎厳勝

32112008/12/15(月) 00:58:10.66 ID:NEsLZ95n0
 そしてその夜。

         / ̄\
         |    |
         \_/
           |
         / ̄ ̄ ̄ \
      /   ::::\:::/::\  
     /   <●>::::::<●> |   お爺様…兵庫助、参りました。
     |      (__人__)  j 
     \、     `⌒´ / 
    /  ⌒ヽ  '"'"´ (    
   / ,_ \ \/\ \   
    と___)_ヽ_つ_; _ヾ_つ.;.

     ____  
   /      \     
  /  _ノ三ヽ__\     うむ。
/  -((◎)-(◎)-\  
|     (((__人__)))  |   さあ、兵助、
/     ∩ノ ⊃  /    これを受け取るがいいお。
(  \ / _ノ |  |    
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

32512008/12/15(月) 00:59:55.23 ID:NEsLZ95n0
                               /   |  |  l ヽ
                               |. `|  |  l  l.  |
                       「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |  ,' / ノ ̄ ̄|
                        .|         ヽ_j  / //     |
                       |.          ヽ_ハ/′     |
                        |                    |          
           /  ̄  ̄ \    |     没滋味手段口伝書     |   受け取るお!!
          / \ 三 /  \..  |     ・・・ ・・・ ・・・       |
        /  (◎)-(◎)   \ |     ・ ・ ・・ ・・・        |   「ははっ!」
        | :::⌒(((__人__)))⌒::: |/|                    |
        \    ` ⌒´    /l|.| :::::::::::::::::::::::: |
        ヽ、--ー、__,-‐´イ   l リ :::::::::::::::::::::::: |
          >'´/ / _,.ノ|/    l.| :::::::::::::::::::::::: .|
        ,r7′_,.レァ‐‐'′、 l  i  l|              __     |
       /,厶イ_:.:/    ヽヽ. :l  |            〃.  `ヾ   |
       /7   /:.:「       ゝL/|   ::::..... |l  柳 ||..  |
     /〈  /:.:.:.:',    /  //   |   ::::        |l 生. l.|..  |
    ∧',. ヘ /:.:.:.:.:.:',  /   〃   |            ヾー-‐シ   |
   / ヽヽ V:.:.:.:.:.:;.イヘ     トr'′  .!               ̄´    |
   l `ヽ >、フ:.:.:.:/:.:./     l    └─

 石舟斎は、古目録三巻と共に、
自身の工夫をまとめた公案『没滋味手段口伝書』を兵庫助へ与えた。
(なお、没滋味とは何の味わいも無い、即ち争闘私意の無い心の意)

32712008/12/15(月) 01:00:47.60 ID:NEsLZ95n0
 .
. マ.`ヽ、
  .ヽ.\ >、
   `<.\ >、
     `<.\ >、            「そしてこれもやるお!」
      .`< \ >、           「こ、これは…!」
       .`< \ >、
         .`< \ >、
           `<.\ >、
             `<.\ >、
               `<.\ >、__
                `<.\.>ヘ
                'ー-<\ >、
                  `.<\ >、
                      `<\ >、
                      `<\>、__ ∧
                          `<.\ ,ムE1
                         __k1| o j:E!
                      `寸nnn瓜>〈
                        ` ̄´ `<li>、
                               `<li>、
                              `'<li>、
                                .`<li>、
                                 `<li>ュ_
                                   弋k卞、
                                    廴_丿
                           永則の太刀

33212008/12/15(月) 01:04:37.25 ID:NEsLZ95n0
       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \  て
    / :::\:::/:::  \そ     こ、これは柳生家に代々伝わる大太刀ではござりませぬか!
   /  <●>::::::<●>   \    これもそれがしに?
   |     (__人__)     .|   
   \     `⌒´    /
    /         \ 


       / ̄ ̄ ̄\       
     / ⌒ 三 ⌒ \      かまわんお。
    /  -((◎)-(◎))- \.    ワシに残されたものは、もう全部お前にやるお。
    |   (((__人__)))   |    .残らず、受け取るがいいお。
    \    `⌒´   /    
    /             \

 更に、柳生家に代々伝わるという大太刀も兵庫助に与えた。
これは永享(室町時代前期~中期頃)の頃の備前の刀匠吉井永則の作と思われる大太刀。
現在は名古屋の徳川博物館に収蔵されている。

 ちなみに、柳生家を継ぐ者に代々伝えられている、といわれてもいるが、
実際のところは不明。

33612008/12/15(月) 01:06:46.17 ID:NEsLZ95n0
 | ・   i *゚・+゚   / ̄\ i  o.+  *。 |
 *o ゚ |+|   。*゚   |     | *゚・+゚ } o  |*
 o○+ | ∨      \_/ + |!*l::j o ○。
・+     ,-i| o.+  _|__   。*゚}‐ 、゚ + |
゚ |i   | {r|! *l:  /_ノ ' ヽ_\   ノヾ}  |
o。!    |! * .゚ /(≡)::::::(≡)\  レ ノ  ゚|
  。*゚  l ・ / /// (__人__) ///\o  ゚。・ ゚   お爺様…ありがとうございます…!!
 *o゚ |   |     |r┬-|      |   *|   (…感無量だ!!)
。 | ・   o ゚ l\     ` ー'´    /*゚・+゚ ||
 |o   |・゚ ,.‐- .ハ       イ | * ゚   |
* ゚  l| /    、` ニ ´ ノ  ノ   o.+ | ・
 |l + ゚o i     ` -、{! /_   \  ○・ |o゚
 o○ |  | ヽ.     ヾ´    ̄  `ヽ  *。
・| + ゚ o }  }                ヽ O。
 O。 |  | リ、  ..:::        ..   l 。
 o+ |!*。| / `ー::::       , ヘ:::::..  | *
 |・   | ゚・ |/   /  :::... ..   /:::/ | ::..... { |
    |_|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_|
    >                  <
 ┌─┐  ──┐| | \     ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
    /     │     / │ ̄| ̄ 月 ヒ | |
   /   ──┘  _/   / | ノ \ ノ L_い o o

33812008/12/15(月) 01:07:40.94 ID:NEsLZ95n0
     ____  
   /      \
  /  _ノ三ヽ__\ 
/   ((●)  (●))\   ……。
|      (((__人__)))  |    
\           /
 /      彡   \ 
( -つ◎-◎-  スチャ…  

      _____
     / \ 三/ \
   / ((●) (●)) \
  /    (((__人__)))  \   …柳生兵庫助長慶ッ!
 |        |::::::|      |    
  \       l;;;;;;l    /
 /       `ー'     \

         / ̄\
         |    |
         \_/
           |    て
         / ̄ ̄ ̄ \ そ
      /   ::::\:::/::\    …!
     /   。<○>::<○>。|  
    |    .:::。゚~(__人__)~゚|  ははっ!!
     \、     `⌒´ /  
    /  ⌒ヽ  '"'"´ (    
   / ,_ \ \/\ \   
    と___)_ヽ_つ_; _ヾ_つ.;.

34012008/12/15(月) 01:09:29.98 ID:NEsLZ95n0
     ____        
   /      \       
  /   \ 三 / \      「兵法は時代によって、恒に新たなるべし」
/   ((●)  (●)) \   
|      (((__人__)))   |    これは流祖、秀綱先生の御言葉じゃ。
\           /     時代に合わせ、常に工夫努力を怠らず、
 /           \     .新陰流を発展させよ、という言葉じゃ。

     ____        
   /      \       
  /   \ 三 / \       わしもこの言葉を胸に、新陰流を工夫してきたお。
/   ((●)  (●)) \    次はお前じゃお…頼むお、兵助。
|      (((__人__)))   |   
\           /      我が新陰流の後継者、新陰流正統三世よ…。
 /           \    

34312008/12/15(月) 01:12:24.23 ID:NEsLZ95n0
     ____        
   /      \       
  /   ⌒ 三 ⌒ \     
/   ((⌒)  (⌒)) \    新陰流を任せるお…兵助。
|      (((__人__)))   |   
\           /    
 /           \    


             / ̄\
             |     |           
             \_/        
            / ⌒`"|⌒`ヽ、         
           /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\    …ははあっ!!
          /,//::         \     
         ;/⌒'":::..            |⌒ヽ     
       /  /、:::::...           /ヽ_ \    
     __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、   /⌒`ー'⌒  )    
    ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─"  

 こうして慶長十年(1605年)六月、柳生兵庫助長慶は新陰流正統三世を継いだ。
これにより、柳生家は宗矩が、新陰流は兵庫助が、それぞれ受け継いだことになる。

 柳生石舟斎は、己が受け継いだものを、
次世代へ引き継がせる役目を果たし切ったのであった…。

34512008/12/15(月) 01:14:40.46 ID:NEsLZ95n0
                        \ヽ, ,、
                          `''|/ノ
                           .|    
   \ヽ, ,、               _   |    
    `''|/ノ                \`ヽ、 |     
     .|                   \, V"     
_   |                     `L,,_    
 \`ヽ、|                     |ヽ、) ,、  
   \, V"                    /  ヽYノ  
     `L,,_                  / r''ヽ、.|  
     |ヽ、)   ,、              | `ー-ヽ|ヮ 
      /    ヽYノ            |    `|  
     /   r''ヽ、.|             |.    |  
    |    `ー-ヽ|ヮ   / ̄\     ヽ、  |  
    |       `|    |    |     / ̄ ̄\
     |.       |    \_/    / _ノ ヽ_ \
     ヽ、     |    ____|__   |  (=)(=) |
      ヽ___ノ   /      \  |   (__人__) .|
     /     \/  ::::ノ:::::::ヽ_:::\ |   `⌒´  ノ
    /   ノ 三 ヽ_\ <=>::::::<=> \       .}
  /   ((=)  (=)) \. (__人__)⌒:: :|       .}
  |  :::::⌒((__人__))⌒:: |  `⌒´   /ヽヽ _  ノヽ
  \     |r┬-|   /.      |  |   |     |  |
   /     `ー'´   \      .|  |   |     |  |

                                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                                 d⌒) ./| _ノ  __ノ

【やる夫で学ぶ柳生一族(その10):「柳生石舟斎、最後の務め」】 完

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