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やる夫で学ぶ柳生一族 その11「柳生石舟斎の死」

512008/12/21(日) 21:01:50.43 ID:7W68QYHh0
 これは、江戸時代前半において「天下一の流派」と呼ばれた剣術流派
「柳生新陰流」を担った「柳生一族」についての物語である…。

【物語現時点(慶安十年(1605))での柳生一族】

   大膳長永
      :
   <柳生家>
      :
     ├─────┐
   柳生永珍   中坊源専
      :
     ├─────┐
     家厳      重厳
     |    (七郎左衛門)
     |     (松吟庵)
     ├──────────────────────────┐
     宗厳                                     妹
   (新左衛門)                                    |
    (石舟斎)                                 <幸徳井家>
     ├───┬───┬────┬──────┐         |
     厳勝   久斎   徳斎     宗章        宗矩        友景
   (新次郎)             (五郎右衛門)   (又右衛門) 
     ├────┬───┬───┐     
     純厳    長慶    妹    厳倚
    (久三郎)  (兵庫助)      (権右衛門)

712008/12/21(日) 21:02:28.48 ID:7W68QYHh0
【前回までのあらすじ】
 時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の小豪族、柳生家の当主、柳生新左衛門宗厳は、
新陰流創始者・上泉伊勢守秀綱と運命の出会いを果たし、新陰流に入門。
克己努力の末、ついに「無刀取り」を開眼し、秀綱より新陰流の正統を受け継ぐ。

 こうして、新陰流正統二世となった宗厳であったが、
戦国の風雲児、織田信長の登場により、世は大きく揺れ動く。
嫡男厳勝の受難、足利幕府の滅亡、長年友誼を結んでいた松永久秀の滅亡など、
世の流れに対する己の無力さを噛み締めた宗厳は、遂に柳生庄への隠遁を決意。
剣の道を究めることに全力を注いだ。

 そして、隠遁から20年経った文禄三年(1594)。
名を石舟斎と改めた宗厳は、自らの創意工夫を加えた新陰流を天下に広めるべく、
四男宗章、五男宗矩、嫡孫純厳を柳生庄より旅立たせた。
その後、大納言徳川家康の前での新陰流上覧の場において、
見事家康を無刀取りで打ち負かした石舟斎は、家康より弟子入りの誓紙を受ける。
ここで石舟斎は自らに代わり、宗矩を推挙したことで、
宗矩は二百石で家康の侍従として仕える事になるのであった。

 しかし、宗矩の仕官をはじめ、宗章、純厳の仕官も適い、
柳生家の将来は明るく見えたその時、隠し田の密告による柳生庄没収の大難が降りかかる。
更に、嫡孫・久三郎純厳の討死などの悲劇により、柳生家は没落の憂き目に逢う。

 そんな中、諦めずに家の復興を狙う柳生家に、絶好の機会が訪れた。
慶長三年(1597)、太閤・豊臣秀吉の逝去後、宗矩の主君、徳川家康と石田三成が不和となり、
結果、日本全土を巻き込んでの一大決戦「関が原の戦い」が発生、家康が日本の覇者となる。
その戦いにおいて、柳生家は一族を挙げて徳川家に味方した事で、
ついに柳生庄二千石を取り戻すことに成功、ここに柳生家は復興を果たした。

812008/12/21(日) 21:03:12.63 ID:7W68QYHh0
 慶長五年(1600)、柳生家を復興させた功によって柳生家の家督を継いだ宗矩は、
徳川家の後継・秀忠の剣術指南役となることで更に千石加増され三千石に、
また、江戸に道場を兼ねた屋敷を下賜され、柳生の名声は更に高まっていった。

 その後、慶長八年(1603)、徳川家康が征夷大将軍となり、江戸幕府が開府、
その前後に宗矩は松下石見守の娘・おりんを正室に迎え入れ、柳生家繁栄の礎を着々と固めていった。
また、柳生庄では加藤清正・伊達政宗の仕官の誘いに応じ、
兵庫助・権右衛門がそれぞれ柳生庄を旅立っていった。

 しかし、陽の当たる時があれば、陰る時もある。
石舟斎の四男にして宗矩の兄、五郎右衛門宗章が、米子藩中村家の騒動に巻き込まれ、
武名を上げつつも凄絶な闘死を遂げる。
更に、肥後熊本藩加藤家に仕えていた兵庫助は、同僚と諍いを起こし、
僅か1年足らずで加藤家を退転してしまう。

 こうして、加藤家を退転し、武者修行の旅に出た兵庫助だったが、
慶長九年(1604)、柳生庄へ戻った際、石舟斎により、
新陰流の正統を継ぐ後継者として指名され、それを受けたのであった。

 それと平行に、江戸では次々と時代に関わる出来事が起きていく。
徳川家の世継・竹千代の誕生、秀忠の二代将軍就任、
そして、それに伴い、慶長十年(1605)、遂に宗矩は将軍家剣術指南役となる。
また、同年、石舟斎は新陰流の正統を兵庫助に継がせ、正統三世としたのであった…。


1012008/12/21(日) 21:03:45.53 ID:7W68QYHh0
 慶長十年(1606)、嫡孫・兵庫助長慶に新陰流の正統を相伝したことで、
石舟斎は、己が受け継いだものを次の世代に引き継がせる役目を果たし終えた。

 そして、時は過ぎ、年も明けて慶長十一年(1607)の正月…。

          ,へ                      \     |    /     ,ハ百
         \ \                   \   |  /      ム.只
         /へ/)                    ./ ̄\
    ∧_∧∩  )(            ‐ ‐ ‐-──( ゚ ∀ ゚ )──-‐‐ =夫=_
    .(*・∀・)7   (  !      ______ノ'""ゝ. \_/       フi三iヽ
   ゚ .冂つム゚_」   Y       (_   ____)    ':;  |  \      '─'
  ゜ ム_」」」」ゝ   人    ___) (__∠__   \|    \
   (,_,,ノ `ー´   (  ';   (__________)   ~':;,,.     \
   ,' . / .'     ヽ (_        ,,;::'~            ~':::;;,,,_
  / / '        \ヽ.  __,,,,-‐''"~     ∧_∧   ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
   '0      __,,..l⊂Z_).⊃!         ( ´∀` )    ̄ ̄ ̄ ̄) (二二二二二......  0
  0Π0- ‐‐'''""   |;;:.:. ヮ . .:::;|        ,べヽy〃へ  ( ̄ ̄ ̄             0Π0
  HΠH       ∩.∧_∧∩    ∧∧/  :| 'ツ' |  ヽ  ̄λ_λ ̄ ̄ ̄ ̄ ∧∧ ̄ HΠH
 淼淼淼      匸(´∀`;)フ   (,゚Д゚,). o |=宗=! o |  ( `ー´) ヮ    (゚ー゚*) 淼淼淼
  |l|lil|ili|        瓜ゞッ=Lく   ,くリ=ッ=[ゝ.__」「「「「L_.」  厂〉=ッ冂づ ヌ Oヮ⊂[]ヨ  |l|lil|ili|
,,.<卅卅ゝ.__.,.,.,___.__.,.,.,(__)ヾZ)'_.,.,_じ(ノルハ)Jつ」」」」」⊂ソ.,_.,_.(入ム]つつ.__,L!__. (_」つ.,<卅卅ゝ,,.,,

                 正月を祝う柳生庄の住人たち(想像図)

1112008/12/21(日) 21:04:47.58 ID:7W68QYHh0
       ____
     /⌒  ⌒\
   /=⊂⊃=⊂⊃=\     父上、おめでとうございます。
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \    
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /
  /               \
       徳斎
     (石舟斎三男)

        _________
      /    \
     / ⌒ 三.⌒ \
   / -(◎)-(◎)- \    おお、徳斎。
   i ⌒ (((__人__))) ⌒ i    元気そうで何よりじゃお。 
   ヽ、   `ー '    /
   /              \

       ____
     /⌒  ⌒\
   /=⊂⊃=⊂⊃=\      ええ、父上も、お元気そうで何よりです。
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \    やはり鍛え方が違うのですかの?
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /
  /               \

1312008/12/21(日) 21:06:22.10 ID:7W68QYHh0
       ____
     /      \        
    /  _ノ  ヽ、_ .\      …兄上も鍛えておれば、
  / =⊂⊃=⊂⊃= \    今もここにおられたのですかのう…。
  |     (__人__)    .|  
  \     `⌒´   /    
  /             \    
         ___
     /      \
    /  _ノ三ヽ__\    
  /  -((◎)-(◎)-\   徳斎……。
  | ∪  (((__人__)))   |
  \  u   `⌒´   / 
  ノ           \ 

1512008/12/21(日) 21:07:09.95 ID:7W68QYHh0
          / ̄ ̄\
        /  ヽ_  .\   「一応次男なのにこれが初登場ってありえないだろ御仏の慈悲的に考えて…」
       ⊂⊃=⊂⊃=  |     ____
        (__人__)      |     /      \
        ||||||||||    |  / ─    ─  \   「兄上、拙僧はこれで2度目ですぞ」
       . {         |/  =⊂⊃=⊂⊃=  \
         {       / |      (__人__)      |   「………」
    ,-、   ヽ     ノ、\    ` ⌒´     ,/_  
   / ノ/ ̄/ ` ー ─ '/><  ` ー─ ' ┌、 ヽ  ヽ,
  /  L_         ̄  /           _l__( { r-、 .ト
     _,,二)     /            〔― ‐} Ll  | l) )
     >_,フ      /               }二 コ\   Li‐'
  __,,,i‐ノ     l              └―イ   ヽ |
              l                   i   ヽl
     次男・久斎       三男・徳斎

 石舟斎こと柳生宗厳には男子が5人いた。
このうち、武士となったのは長男・新次郎厳勝、四男・五郎右衛門宗明、五男・又右衛門宗矩の3人で、
残る2人、次男・久斎、三男・徳斎(両方出家名・本名不明)は早くから出家し、僧になっていた。

 そして、次男久斎は慶長十年(1605)、3月に亡くなっていた。
大叔父、松吟庵について修行し、瑞雲寺の住職となったという。

1712008/12/21(日) 21:08:32.12 ID:7W68QYHh0
       ____
     /      \        
    /  _ノ  ヽ、_. \      兄上とは、いつも話しており申した。
  / =⊂⊃=⊂⊃= \    五郎右衛門と久三郎が討ち死にしてしまった以上、
  |     (__人__)    .|    僧となった我らは長生きして、せめて逆縁の不孝は避けようと…。
  \     `⌒´   /    
  /              \    …孝行とは難しいものですな。

         ___
     /      \
    /  _ノ三ヽ__\      徳斎、寿命は人の手でどうなるものではないお。
  /  -((◎)-(◎)-\   そのことで思い悩むのはやめるお。
  | ∪  (((__人__)))   |
  \  u   `⌒´   /    わしとて、そう先が長いとは考えておらぬお…。
  ノ           \ 

1912008/12/21(日) 21:09:42.26 ID:7W68QYHh0
       ____
     / ⌒  ⌒\      
    / -(◎) -(◎)-\      じゃがの…わしはやるべきことは全てやり終えた…。
  /   (((__人__)))  \   もはや悔いはないお。
  |      ` ⌒´     |  
  \            /   だから…もういつ死んでも構わんのじゃお。
  /               \

       ____
     /      \        
    /  _ノ  ヽ、_ .\      …父上……。
  / =⊂⊃=⊂⊃= \    
  |     (__人__)    |  
  \     `⌒´   /    
  /              \    

 こうして慶長十一年(1606)、柳生家の年は明けた。

 なお、余談ではあるが、この三男徳斎は龍蔵院の住職として、
寛永元年(1624)まで生きた。

2112008/12/21(日) 21:10:44.73 ID:7W68QYHh0
 そして時は過ぎ、2月の上旬。

        _________
      /~~~\
     / ⌒  ⌒  \
   / -(◎)-(◎)- \   あ~、茶が美味いお。
   i ⌒ (((__人__))) ⌒ i     天気もいいお。
   ヽ、   `ー '   ./
     /    .┌─┐|      兵助は、今、どの辺におるのかのう…。
     i  丶 ヽ{ .茶 } |
     r   ヽ、__)一(_丿
     ヽ、___   ヽ ヽ
     と_____ノ_ノ

2312008/12/21(日) 21:12:34.10 ID:7W68QYHh0
         / ̄\
        |     |      
         \_/      
          |         
       /  ̄  ̄ \     
     /  \ /  \     さて、次はどこに行こうか!?
    /   ⌒   ⌒   \   お前たち、何か面白い話は知らぬか?
    |    (__人__)     |  
    \    ` ⌒´    /  
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \ 
     柳生兵庫助長慶

  `〆⌒ヽ
  ( Θ_Θ)     若、そんなことを
  (  目 )     急に振られても、ボク、困るよー。
  | | |     
  (__)_)    
兵庫助の従者2

  、、、┯、、、
  彡(・)(・)ミ     大体、新陰流の正統を継いだ身で
  彡 д  ミ_    こんなフラフラしていてはいかんですぞー。
⊂彡      ミ⊃
  彡"  "" ミ    「ははは、そう言うな。
  彡_ミ""ミ_ミ     まだまだ兵法の奥は深いのだ」
兵庫助の従者1

 正統三世を受けた兵庫助は、再び兵法修行を続けていた。
正統を継いだ後も兵助は仕官せずに修行を続け、それはこの先9年間続くこととなる。

2512008/12/21(日) 21:13:36.53 ID:7W68QYHh0
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ  
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    お前さん、この頃、随分ゆっくりしてるねえ。
 (:::::::::/ ⌒ 三 ⌒ \  )   兵助に正統を継がせたからかい?
  \:/ ((⌒) (⌒)) \ノ    
    |   (((__人__)))   |
   \    `⌒´   /  
    /          \
      春桃御前

     ____  
   /      \        
  /   ⌒三 ⌒_\       そうじゃお…。
/  -((◎)-(◎))- \     わしが父上と先生から受け継いだ柳生家と新陰流は、
|    (((__人__)))   |     それぞれ又右衛門と兵助に任せることができたお…。
\            /     
 /           \    

      ___        
    /⌒三 ⌒\       だから、ここにいるのは、もう柳生家の当主でもなければ、
   /-((◎)-(◎))-\      新陰流を背負った正統相伝者でもないただの石舟斎…新左衛門宗厳じゃお。
 /   (((__人__)))  \   
 |              |     もう、思い残すことはないお…。
 \            /   
 /              \    

2712008/12/21(日) 21:15:00.58 ID:7W68QYHh0
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ て    やめておくれよお前さん!縁起でもない!
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ そ  お前さん、正月に徳斎がきた時も、そんなことを言ってたそうじゃないか! 
 (:::::::::/  ノ 三ヽ、_\  )   
  \:/ ((●) (●)) \ノ      せめて、又右衛門の孫と、兵助の嫁の顔を見るまでは
    |  u (((__人__)))   |     生きておいておくれよ!
   \     `⌒´    /     
    /          \      

     ____  
   /      \        
  /   ⌒三 ⌒ \       ははは、すまなんだの、於鍋。
/  -((◎)-(◎))- \     …お前にも、随分苦労をかけたのう。
|    (((__人__)))   |    
\            /     
 /           \    

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ     
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    なんだい今更…。
 (:::::::::/ \ 三 / \  )   ま、まあ、その気持ちくらいは
  \:/ ((●) (●)) \ノ    嬉しく受け取ってやらなくもないからね!
    | xxx (((__人__))) xxx |    
   \    `⌒´     /  
    /           \

2912008/12/21(日) 21:16:23.27 ID:7W68QYHh0
          ____
        /_ノ 三ヽ、\
 ミ ミ ミ /o゚((◎) -(◎))゚o      ミ ミ ミ      
/⌒)⌒)⌒) .::::::((__人__)))::::\    /⌒)⌒)⌒)    うひょーほっほっほっほ!
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //    なに赤くなってんじゃお!?
| :::::::::::(⌒)    | | |   /   ゝ  :::::::::::/     婆のツンデレとか嬉しくないお!
|     ノ     | | |   \   /  )  /     似合わないことやってんじゃねーお!!
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /      
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''""~~``'ー--、   -一'''''''ー-、 バシバシ
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ     
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    ………!!
 (:::::::::/  \i|||i/ \  )   
  \:/ ((○) (○)) \ノ    
    |    (((__人__)))   |    
   \    `⌒´    /  
    /          \

3212008/12/21(日) 21:17:51.29 ID:7W68QYHh0
               ____
            /~~~\_
           / / ~ \( ;:;:;)
         /(;:;:;:;ノ ―(◎);:;:;;\    於鍋…死にかけの爺にこれはキツいお…。
        (;:;:;:;;;:(((__人__))) .:::::)  (つーか、わし、今どうやってボコられたんじゃお?
        / ||    ` ⌒|||   ,/   忍術?忍術なのかお!?)
        / / |\/ /  /l |  ̄   
        / /__|  \/ / | |   
       ヽ、//////) /  | |      
        /  ̄ ̄ /   | |      
     ____,/  )--- ヽ   ヽ つ  
    ⊂---― 'ー----'

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ      くだらないこというからだよ。
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    さ、手当てしてやるから、起きとくれ。
 (:::::::::/  ノ 三ヽ、_\  )    
  \:/ ((-) (-)) \ノ     (本当にただの爺になっちゃったねぇ。
    |  u (((__人__)))   |      …あんまり変わってないような気もするけど)
   \     `⌒´    /  
    /          \

3412008/12/21(日) 21:19:06.00 ID:7W68QYHh0
               ∩_
              〈〈〈 ヽ
      ____   〈⊃  }
     /⌒三⌒\    |   |   …ああ、そうそう。
   /( ◎)-(◎)\  !   !   せっかくじゃから、やっておきたいことがあったお。
  / :::::⌒((__人__))::::\|   l   於鍋、新次郎を呼んできてくれお。
  |     |r┬-|       |  /  
  \     ` ー'´     //     「はいはい」  
  / __        /     
  (___)      /

3712008/12/21(日) 21:19:41.35 ID:7W68QYHh0
         ____
       /     \      
     / -   - \      
    /   (●)  (●)  \     父上、お呼びでしょうか。
   |      __´___    . |   
   \      `ー'´     /   
   /           \   
    柳生新次郎厳勝

     ____  
   /      \
  /  ⌒ 三 ⌒\      おお、新次郎、よう来てくれたお。
/  -((◎)-(◎)-\   お前に渡したいものがあってのう。
|     (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /     
(  \ / _ノ |  |     「渡したいもの?」
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

3812008/12/21(日) 21:20:30.07 ID:7W68QYHh0
             ____
            /- 三 -\
          / (◎)-(◎) \      
         /::::⌒(((__人__)))⌒:::\   
.       ┌────────────‐┐
       .|                   .|      …これじゃお。
   ,. -‐ '|                     |     新次郎、お前のための新陰流の印可じゃお。
  / :::::::::::|                   .|__
  / :::::::::::::|        印可状      rニ-─`、   受け取ってくれるかお? 
. / : :::::::::::::|                  `┬─‐ .j
〈:::::::::,-─┴-、                   |二ニ イ
. | ::/ .-─┬⊃                     |`iー"|
.レ ヘ.  .ニニ|_____________.|rー''"|
〈 :::::\_ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: /::::::

         ____
       /     \      
     / \   / \     
    /   (○)  (○)  \    ……!
   |      __´___    . |   
   \              /   
   /           \   

4012008/12/21(日) 21:21:23.96 ID:7W68QYHh0
           ____
         /     \
       /  \i|||i/  \        父上…ッ!
      /   (○)  (○)  \      それがしを愚弄なさるのですか?
     |      __´___    . |      まともに歩けぬそれがしに、
     |        |::::::|     |      新陰流の印可を受ける資格などござりませぬ!
     \      l;;;;;;l    /l!|     
     /      `ー'     \ |i
   /            ヽ !l ヽi
   (   丶- 、         しE | ドンッ!
    `ー、_ノ        ∑ l、E ノ >
                  レY^V^ヽ

     ____  
   /      \
  /  ⌒ 三 ⌒\      …そうかお?
/  -((◎)-(◎)-\   わしには、そうは見えんがの。
|     (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /    そうでなければ…疋田殿から印可を受けることなどできんお?
(  \ / _ノ |  |      
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

4212008/12/21(日) 21:22:38.51 ID:7W68QYHh0
         ____
       /     \ て
     / \   / \そ    ち、父上!?    
    /   (○)  (○)  \   何故それを?  
   | u    __´___     |    
   \             /
   /           \  

       ___        
     /⌒三 ⌒\       ふふふ、父は何でも知ってるんじゃお~。
    /-((◎)-(◎))-\     
  /   (((__人__)))  \      まあ、それはともかく、わしでは情も入ろうが、
  |              |    あのお方ならば要らぬ気遣いなどないであろう。
  \            /    お前の実力は、新陰流の印可を受けるに相応しい、ということじゃお。
  /              \    

4412008/12/21(日) 21:23:30.65 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \
  /  _ノ三ヽ__\ 
/   ((●)  (●))\   
|      (((__人__)))  |    
\           /
 /      彡   \ 
( -つ◎-◎-  スチャ…  

     ____        
   /      \        
  /   ⌒ 三 ⌒.\       よく…よく、その体で、今まで頑張ってきたお。
/   。(⌒)  (⌒)。\    新次郎、この印可、受けてくれお。
|    。 ~(((__人__)))~ |   
\      `⌒´   /     
 /           \    

4712008/12/21(日) 21:24:16.68 ID:7W68QYHh0
         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\  
     /    。(○):::::(○)。     ち、父上……!
     |    .:::。゚~ __´___~゚j     
     \、   ゜    ,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.


        / ⌒`"⌒`ヽ、             
       /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\             我が師、柳生石舟斎様!
      /,//::         \         柳生新次郎厳勝、印可をお受け致します!
     ;/⌒'":::..            |⌒ヽ    
    /  /、:::::...           /ヽ_ \ 
  __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、   /⌒`ー'⌒  )   
━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─━━


4912008/12/21(日) 21:25:27.40 ID:7W68QYHh0
       ___        
     / /三\\       うむ、うむ…。
    / 。((-) (-))\       
  /  。 (((__人__)))  \    …新次郎、すまなんだの。
  |               |    あの時、わしが情に流されて松永殿につかなんだら…。
  \            /   
  /              \    

         ____
       /     \      父上、もうそのことは口にしてくれなさるな。
     / ⌒   ⌒ \    それがしは正統を継げずとも、  
    /   (⌒)  (⌒)  \  我が子兵助が父上の新陰流を継いでくれたのです。 
   |      __´___     |   
   \      `ー'´     /   それで十分でござる…。
   /           \  


          / ̄ ̄ ̄\    .  
        / ノ三 \,_. \        新次郎…!
     / ̄|((>) (<))   \     
   /  _ノ|(((__人__))) ゚o    |
  /  o゚⌒  \ `⌒´     ./      父上…!
  |      __´_ \       .カ
  \        ン       ノノ  ギュッ
   /  ̄   ./    . ..  し}
     .(⌒二_⊿ニ⌒)   .i

5112008/12/21(日) 21:26:49.53 ID:7W68QYHh0
          / ̄ ̄ ̄\    .  
        / ノ三 \,_. \      ……。
     / ̄|((>) (<))   \
   /  _ノ|(((__人__)))     |    ……。
  /   ⌒  \ `⌒´     ./
  |      __´_ \       .カ
  \        ン       ノノ 
   /  ̄   ./    . ..  し}
     .(⌒二_⊿ニ⌒)   .i


          / ̄ ̄ ̄\    .  
        / ノ三 \,_. \     父上…加齢臭がきつうござる…。
     / ̄|((-) (-))   \
   /  _ノ|(((__人__))) u   |   お前のう…考えてみればお前ももう54じゃしのう。
  /  (-)  \ `⌒´     ./  お互い、年を食ったもんじゃお…。
  | u    __´_ \       .カ
  \        ン       ノノ 
   /  ̄   ./    . ..  し}
     .(⌒二_⊿ニ⌒)   .i

5512008/12/21(日) 21:28:38.33 ID:7W68QYHh0
      γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、 
     /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ  
    γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ     …お前さん!新次郎…。
   (:::::::::/ \ 三 / \  )     そこで何を……?ま、まさかアーッ!?
    \:/ ((○) (○)) \ノ     
/⌒)⌒)⌒. :::: (((__人__)))l_j :::\    /⌒)⌒)⌒) 
| / / /     |r┬-|     | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒) U .| |  |    /   ゝ  :::::::::::/
|     ノ    | |  |    \  /  )  /
ヽ    /    └ー.┘    ヽ /    /


          / ̄ ̄ ̄\ て    .  
        / ノi||i \,_u \そ    お、於鍋!?
   Z / ̄|((○) (○))   \
  >/  _ノ|(((__人__))) u   |    は、母上!?
  /  (○)  \ |r┬-|     /
  | u    __´_ └ー.┘    カ
  \  u  |r┬-| ン      ノノ 
  / ̄  └./    . ..  し}
     .(⌒二_⊿ニ⌒)   .i

5712008/12/21(日) 21:30:17.59 ID:7W68QYHh0
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ     ま、まあ、衆道は武家のたしなみって言うからねえ…。
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ   お邪魔したみたいで、悪かったねぇ…その、そう!「ゆっくりしていってね!?」
 (:::::::::/u ノ 三ヽ、_\  )    (これは…お清(新次郎の嫁)にも教えてやらないと…!)スタスタ
  \:/ ((=) (=)) \ノ    
    | ***(((__人__)))*** |     「ち、違うお!?於鍋!誤解じゃお!待ってくれお!!」
   \     /⌒l   /       「は、母上!お願いです、頬染めて去らないでください!」
    /   /  /    \

6012008/12/21(日) 21:32:17.72 ID:7W68QYHh0
                 l`ヽ、-―- 、 _
                /| l  \_  `ヽ、       さて、この第1部の最後の解説役をするのは
               {, '´い  //⌒ヽ   \     薔薇乙女一の策士のカナかしら。
             /  ム \{_レr行ミ⌒ヽ   `、    楽してズルしてトリを頂くのかしらー?
                l ー'´ ヽ、Vヘ_彡ヘ. ノ    l    口調については以下略かしら。
             ノ 、_,  `ヾヽ _>彳    |
             「   xx ̄xx  _V    l     l     で、解説をするのかしら。
          lr‐1         》⌒! |   /    石舟斎の長男、新次郎厳勝は、兵庫助が正統の相伝を受けた翌年、
          ヽ/7┐ ヾ==彳_,ノ  ノ    /     慶長十一年(1606)の2月に石舟斎から新陰流の印可を受けているのよー。
          _rク/ /     r'⌒ヽ、__ /
       __/)'´ 丿rク{ ̄ _〕仁ニ、  \          何故、息子(兵庫助)より後に、というのも謎だし、
     /{{くヽ._,.ィ-‐兀/l:レ―ヘ / ̄`ー- 、     そもそも足の不自由な新次郎に印可を与えたのは何故か、
 _, -‐'´  ||厶|¬t┴ / ゚/└rー、ノ,        l     という疑問もあるのだけど、
「      ll ノ|く rこ7 。//{三ヲ l       n|    ひとつ、気になる点があるのかしら。
`、      ||ヽj‐'⌒7    匸フ  |    _ |lく
 ヽ.     || く> ∧ ゚  >くノ   `ー┬ーヘ.   \
  ヽ、   |トィ> ノ‐rr<´       {    \   \

6212008/12/21(日) 21:33:29.18 ID:7W68QYHh0
         /i     _ ___ _
          l lト、,ィ.:´:::::::::::::::::::.:.`ィニ心ニヽ
         | |/7:.:.::.::::::::::::::::::::ノ^ヽV仁ニント、
        ,イ ,イ::::::::::::::::::::::::::.:フ  ,イ7⌒ト、イ      それは、実は時をさかのぼること10年前、文禄五年(1596)に、
         / //(´ ̄`ヽ、::::::::.:.> 〈 j f 薇゙i 〉!     新次郎は、疋田豊五郎からも印可を受けているのね。
        〈, イ/  `丶   `ヽ、[ _ノヽミ二ソ.」 /
          V  ヽ,,      _,, `ミヽ 二 イ´ /      一体どうして、どうやって新次郎が豊五郎から印可を受けたのか、
        ij ,r‐-、     ,r‐-、 j介:: |イ      それは謎なのだけど、ともあれ、印可状は実在するので、
         ',〈 ト云'}     〈ト以ノ〈jj」::|_」〈       受けていたことだけは確かなのね。
          ハ ゝ=='     ゝ- '′Nト、ト、i \/
      <^ヽ:',' ' ' ' /⌒ヽ ' 'ノ ̄ リj i l|  、/    そういう意味では、足が不自由なりに、
     ,rく久,ィ'^ゝ、  ゝ, ィ<´ ̄`ヽ /  | 」|_/     相当な腕前だったと見ることもできるかもしれないのだわ。
 r‐-、 _>ュ// /  _><   `二ニニヽ!   ヌノ
 )<ー><ー><ー-ュ'^ヽ‐ュ`\  ̄`ヽ.ノ_ ノに7
 `Y´ ̄``^´ ``y'^ヽ     ト、   ト、に孑′       つまり……「把足の剣士!」かしら!?
  |    i .:| V.:.:.::.:.`ト、   j \ /厂          (注:厳勝の受けた傷は腰です)
  〈^ヽ   ヾ:! /.:.::::::::::.:.ヾト、    l/
  i     /.:.::::::::::::.:.:.:.:ヾト、    |
  ト、    ノ.:.::::::::::::::::::::.:.:.:.ヽト、  ト、
  ヽ!   〈.:.::::::::::::::::::::::::::::::.:.:..`ト、 ト、\‐、

6412008/12/21(日) 21:35:45.48 ID:7W68QYHh0
                       /  , '          \
                       /  :::...       Y(   `... y ヽ 、
      _,,_ _            .:/   入:::.,, `:::.`:::'   `.      `,,_
     // '"ア=-ェえ_う- ニ⌒ニXメ,   /:::l \,__)__,,;, yx  ノ/  /,'  f.::::lj
    /l/  イレィ'/ リ `\辷 = -メ リ:: / ::/ :::/T T 7 ̄7`f-' イ  |ト ,_   |}
   l/l  イkトノ   カ   ヽヽ,\`X  レ ' :/::ノ リ  y '    / /リ   l|//
  / 1  l ニk_,;; ィ //ケ . . :l Y `!,  `\   .::/ ,r ~-ヵ ノ~.:::. jj r = y/
  //1  l j片ヾ`/;{i( :i : / 廴_,,ソ ヽ`,, ` ヽ  !/ ⌒\⌒j fr〆彳  ノ
///入 `,.心 / . .ヽ: : / ソ 7 ァ_ _ ̄   \ヽ\f/~~ \ j 彳 ,〆 _/      「ああ、あれこそは厳勝さま必勝の位…。
     イ入`xアァ>= オチ::k_'  ,,_⌒`ヽ_- , --__\メ /~\ y ヽ  ' ',/::::::|i       逆風の太刀・改のお姿…!」(byお清)
    / l 川7メ | ノて_.テ爪癶 ,,_ 癶\ ゝノ⌒y /入 ィ 丸_'y Y l//イ::::::::::j
  / ///ハ り |リ/ )TT1il::  :i:::, リ ! h/ //:: ||ミ:ト:l|f~Yノ  ::lヽ::::ケ j
../ /// l|ノ |リ  // リ |::  i::::_,Y_' }/::l //:::: ||ミ:ト:l|Lソ::::イ ::l  i:::::メヽ
      //   l| ///川|:`ヽY/..::: Y:vy '~ カ:: :/_,以⊥| __::::/.::/   ' ヽ从
      //   ノ | リY'~ ll    :i::y ::` r::::::f廴 ~ V⌒i:::/.:/ 1 \i `,
    ノ       | | |リハ,'  》= .  i:: イV/ : ::l廴 _ ~ y じ'!_;;;;ィ  /  ::ハ  il
           |// |ハv ll    ` ,彳 V. ク::f    - y /::::_,,イ  :::/ ::: il
           /リ   入彳   fr   リ イ|ク:::イ  ̄   l リ イ  :::/  ノ i
                从h   ィ'  /' ' li 气:l{_ /~ア y'  二 7      i
                 从),  ノ , イ' :`カヵ'⌒ィ≦三≧ 、 _,,ノ - '"   イ
                 ヽ,`!  T' , 彳 ,  ∬frT刃|x豸i  _,,    !  l
                   \! .::l イ'  / __ _`气ll 1||y '' ,__入    :.i: l
                    \! '  fr ' ノ-  |∫|| 二 i::::...   :: ll
                      `-=-ァィ' Y::  |∫||  ,,__ ミ:::::..  i::::lh
                         / il  l: : |∫|| ヾ ミ Y::::...::::::/,イ
                         / .::il .:::l : |∫||  `, \Y:::::::ノ/::|l
                        il .::il :::ハ  |∫||  ` \ ,,__  ノ ::|l
                        ll   Y Y  |∫||   ヽ y    , ::::li
                        lトヽ .:::l/::  |∫||   ~`丶,  ノ :::li
          不自由な体で必殺剣を叩き出す厳勝(想像図)

6712008/12/21(日) 21:38:23.53 ID:7W68QYHh0
        ,ー、--―--、-、 _
     rーく__  `ー-、 _r-、,-、_\_           …まあ、厳勝の必殺剣を妄想するのも愉快なのだけど、
    / ,j\ \  ノ`r' ̄ ヽrク=rヽ_        義理許し(実力と関係のない部分での印可)、という可能性も
    i ,イ   \ `ーr┤___,-riー、 `イi        なくもないのかしら。
   ///     \  ))::::::::::f { fハ!} j`}       
   ソ/       `ーLヽ ̄ヽ二トク:\!        なにせ、厳勝の経歴、『若い頃に戦場で傷を受けて以来、
   V ー '     ` ―ヽメト、  _ィノヽ:|       柳生庄で30年以上隠遁せざるを得なかった不遇の長男』を思えば、
   | ,=、      , ==、 ゝrクィ"l  |        せめて印可は、と考えたとしても無理もないのかしら。
    f!イ:::::r     イ:::::::iヽ _ゝ, -、 ノ       
 γ゜ i| ゞっ'      r-ク   リ r /ク-、        ちなみに石舟斎も義理許しの印可/免許はいくつか出しているのよ。
   ,ィ/// 、     ///   _ノ/ ´  _>      前にも紹介した、自分の危機を救ってくれた松田源次郎の息子の他、
  / ,∧   、 _       _r ー'ヽ/,/_i-─、<    縁のあった三好新右衛門などにも免許を出しているのかしら。
  ヽ、イ> 、       _ イ     ` く , ―r_    しかも、その中で、「己の子供にも相伝しておらず云々」と明記しているのよ。
   /´f rー/`7ーr....√_:./       `f´ ̄ _)   でも、内容的には他にも教えていることしか書いてないのかしらー。
   /  ヽ´三匕メ-イL./            |ヽ-ニ-、
  /    f rj lil::|o |::|入          ) `-ノ   そういう意味では、印可や免許の絶対性というのは
  ゝヽ   ffノi |L! oL:i  \|      ノ rー、_'   今、考えられているほどのものではない、ということなのね。
   `7    /ノノ  o   ノノ |    rイV   ノ   (無論、名目だけ、というわけでは決してない)
    l   く > == =‐'  ,|    L_-L--<二`─--

6912008/12/21(日) 21:39:44.67 ID:7W68QYHh0
          /:::、::::::、::::::、::::/::::jL、     
            /:::/::/\:::\:::辻-く仁、      そう考えると、「一国一人」「一族にも教えてない」「唯一人」というのは
         i::::i::/__  ` ー ミ _∧ ニ/{     字義通りの意味ではなく、あくまで「そのくらい重要な事ですよ」という
         l::::レ.ァニ、ヽ   ィニ、ヘ_ノレ'      修辞的表現だと考えておく方が無難だと思うのかしら。
            ゙:」 ´込ソ  .  込ソ i::/      (実際、上泉秀綱ですら、「一国一人」の印可を
         /∧  ̄ r==┐ ̄ ∧ヽ       同じ国の複数の人間(石舟斎と胤栄、あるいは松田織部)に出している)
      , --、 {!`ーヽ.   、___ノ  メー' i}、
     / ̄>-、」::_:_:_-:i>┬<!:-:_:_:_:」i      、そういう意味では、状況を踏まえた上で、その人物に渡された印可が
   /  / / ト、7∠イ::i⌒i:::iヽ:ニ:ニ:ノ\     「技許し(=実際の技量で許された印可・免許)」のものであるかどうか
  _ヽ       ´/、 __ニ」:::! ゚ i:::l〉=:、. .ヽ   \   判断した方が妥当だと思うのかしらー?
  \___\     ノ/r=_ _「i::! ゚ i:/{!三:`ー' i ,,  l
   /z{::::\ /::Y <<.     、ニr=_ノ .::i.:/ /

7212008/12/21(日) 21:40:32.68 ID:7W68QYHh0
 さて、新次郎に印可を与えてから更に時が過ぎ、春になった…。

                \ │ /
                 / ̄\  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               ─( ゚ ∀ ゚ )< やぎゅうやぎゅう!
                 \_/  \_________
                / │ \
                    ∩ ∧ ∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ∩∧ ∧∩\( ゚∀゚)< やぎゅうやぎゅうやぎゅう!
やぎゅう~~~~! >( ゚∀゚ )/ |    / \__________
________/ |    〈 |   |
              / /\_」 / /\」
               ̄     / /
                    ̄
       春の訪れを喜ぶ柳生庄の住人たち(想像図)

7412008/12/21(日) 21:41:49.81 ID:7W68QYHh0
       / ̄ ̄ ̄ \
      /   ノ 三\ \  zzz...
  __ /   ((=)  (=)) \      (あー、ぬくいお。
    (     (((__人__)))   |      最近は起きるのも難儀じゃし、
  \ヽ\__  `⌒´__/ \     暖かいといつまでも寝ていられそうじゃお…)
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \


    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ      お前さん、せっかく天気もいいから布団を干すよ。
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    悪いけど、ちょっと起きておくれ。
 (:::::::::/ ⌒ 三 ⌒ \  )  
  \:/ ((●) (●)) \ノ       「おお…わかったお。
    |   (((__人__)))   |        あ、どっこらしょっと……」
   \    ` ⌒´    /    
    /           \   

7612008/12/21(日) 21:42:36.85 ID:7W68QYHh0

 ごめんっていうwwwwwwwwwwwww
  どなたかおられぬかっていうwwwwwwwwwwww


    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ  ,
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ -   おや、誰か来たみたいだね。
 (:::::::::/ ⌒ 三 ⌒ \  )    ちょっと出てくるよ。
  \:/((● ) (● )) \ノ    
    |   (((__人__)))   |
   \    `⌒´    /  
    /          \

         ____
       / _ノ 三ヽ_\
.     / -((◎)-(◎)) \       よいしょっと…。
    l^l^ln  ⌒((__人__))⌒ \   
    ヽ   L   |r┬-|    |      …誰かも何も、あんな声出すの一人しかいねーお。
     ゝ  ノ   `ー‐'   /     於鍋、こちらにお通してくれお。
   /   /          \   
  /   /             \     「わかったよ」
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

7812008/12/21(日) 21:43:31.58 ID:7W68QYHh0
         /ニYニヽ  
   (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)      石舟斎殿、
   (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))    久しぶりだっていうwwwwwwww
  /∠_| ,-)    (-,|_ゝ \  
  ( __  l  ヽ__ノ   ,__ )
      \   |r-_,,..、;  /
       |  | | .二二二二二二二二二 ̄ ̄>
       |  | |`|   |          ̄>./
       |  `ー'    |        / /
       宝蔵院胤栄        /  <___/|
                      |______/

         ____
        /⌒三⌒\           和尚殿、久しぶりじゃお。
    (ヽ /-(◎)-(◎)-\   /)      最近はいかがかの?
   (((i )::::::⌒((__人__))⌒::::\ ( i)))    またその歳でどこぞの達者に弟子入りしてるのかお?
  /∠ |     |r┬-|     |_ゝ\     
  (___     `ー'´   ____ )

7912008/12/21(日) 21:44:20.67 ID:7W68QYHh0
       /ニYニヽ
   (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)
  (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))   そのことだが、拙僧は槍を捨てたっていうwwwwww
 /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \  
( ___、  |-┬-|    ,__ )
    |    `ー'´   /´
    |         /

       ____
     /     \    
   / \ 三 / \ て    なんと!
  / -(◎) - (◎)- \そ   では弟子の胤瞬殿はどうするんじゃお!?
  | し  (((__人__)))   |    
  \     ` ⌒´     /
  ノ           \ 

8112008/12/21(日) 21:45:16.26 ID:7W68QYHh0
      / \Y/ヽ キリッ
     / (ー)(ー)ヽ
    /:::::::⌒`  ´⌒:\   あいつにも「槍は捨てよ」と言ったっていう。
   | ,-) ヽ__ノ(-、|  僧侶が武具を持つなど、間違いだったっていう。
   |  l   |r┬-||   |
    \    `ー'´   /
    ノ        \
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

          / ノ Y ヽヽ
        o゚((●))((●))゚o             拙僧の武具は全て封印したっていうwwwwwww
        /:::::::⌒`´⌒:\            もう殺生沙汰はさせないっていうwwwwww
 ミ ミ ミ  .|  ,-)    (-|      ミ ミ ミ   でっていうwwwwwwwwwww
/⌒)⌒)⌒. | l   ヽ__ノ l|   /⌒)⌒)⌒)
| / / /  \   |r┬-|  / (⌒)/ / / //   バ
| :::::::::::(⌒)    | |  |  \  ゝ  :::::::::::/      ン
|     ノ     | |  |   \/  )  /    バ
ヽ    /       `ー'´     /    /     ン
 |    |   l||l 从人 l||l     l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、  -一'''''''ー-、
      ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))

 宝蔵院槍術の開祖にして、稀代の槍術家、宝蔵院胤栄は、
その生涯の最後に「仏門にある身が武事を業とすべきでない」として槍を捨てた。
同時に、後継者と見込んでいたはずの弟子の胤瞬にも槍を学ぶことを禁じたと言われている。

8312008/12/21(日) 21:46:27.10 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \
  /  _ノi||i ヽ_\    
/  -((◎)-(◎)-\   (…いい事言ってるはずなのに、
|     (((__人__)))  |    何でこんなにウザいんじゃお…?)
/     ∩ノ ⊃  /   
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

      ____
    / -  -\      
   / -(◎) -(◎)-\     しかし、御坊は槍を捨てられたのかお…。
 /   (((__人__)))  \   大したものじゃお。
 |      ` ⌒´     |  
 \            /   それがしには、剣を捨てることなどできぬお…。 
 /               \


      /ニYニヽ
     /( ゚ )( ゚ )ヽ
   /::::⌒`´⌒::::\    石舟斎殿はそれでいいっていうwwwwwwww
   | ,-)___(-、|   そなたが剣を捨てるとかありえないっていうwwwwwwwww  
   | l   |-┬-|  l |  
    \   `ー'´   /

8512008/12/21(日) 21:47:33.75 ID:7W68QYHh0

      フY ヽ
 o ゚ ゚o/(/)(\) ヽo゚ ゚ o   ところで…今日来たのは他でもないっていう。
   /⌒`´⌒  \
  | -)___(-、 |     疋田殿が亡くなったっていう。
  |    `⌒´  l |
   \       /


          ____
        / u 三  \ て
      /((○)) ((○))\そ            な、なんじゃと!?
/⌒)⌒)⌒. :::: (((__人__)))l_j :::\    /⌒)⌒)⌒) 
| / / /     |r┬-|     | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒) U .| |  |    /   ゝ  :::::::::::/
|     ノ    | |  |    \  /  )  /
ヽ    /    └ー.┘    ヽ /    /



        : / ̄ ̄ ̄ \;:
      ;/   :::::\三/\;:     
     ;/     。((>):::::(<))。;      あ、あんまりじゃお…。
     ;|    .:::。゚~((__人__))~゚j;     大坂に来ておられることまでは聞いておったに…。
     ;\、   ゜ ` ⌒´,;/゜;     せめて最後に一試合したかったお…!
    ;/  ⌒ヽ゚  '""'""´(;゚ 。  
   ;/ ,_ \ \/\ \;:;
    ;と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

8812008/12/21(日) 21:50:50.32 ID:7W68QYHh0
              _,,,,------,,,,,,,,,_         
             ,,-‐'゙⌒         ゙゙'''ー-,,、     
        ,,-'"                 `''-、、  
       ./       ,,-r‐―‐r‐-、,,,、     ゙,!  
      /      _,-'l°    |   `゙''-、,,、 丿  
     ./  _,,―''"^   .|     ゙l       `''イ   
     .,},,,-'"`      ,,ノ  .,、―く,,、   .ィi、  .|   
    .l゙       .,,-‐″  .゙ー''¬、,"'-,、 .|.゙l'゙,! .|   
    l゙  _、   ,/`       .,,,,,,,,,,゙''-,"'-,と,i´ ゙l   
    .l゙ ,,i´:`''i、 │   { ゙゙̄'''-,,゙ーヽi"''i、`'x,ノ .y-∧  
    .|,,i´` l, | .| }ィ¬. \   `'-,,,_`゙__r'′ ./''l/'''フ  
    .|l゙  .,∠`-゚ ゙---)、 \     ̄  ._、 .ヽヘ.,/  
    { ゙ヽ | .゙l      ヽ  ゙l     .,-',_, . ゙'⊥  
    .| 丿 .ヽl゙      ‘ l゙     Z"` ` ‘'''/.7  
    .レ'゙'゙l,          {     /ン''''''''¬ー",l゙   
   ,i´  ‘ヽ,,,,y       l゙     _,,,,--、,,_  ,l゙   
   .l゙      |″      ,"   .r'"`,--‐t―,,`'丿   
   l゙      .|       .l゙    \ `'--,,,,"'゙‐',!   
  ,i´      |       .|     ゙l,_.,r‐-i、,゙l ,!    
 .,/       ″      .|      ゙"''ー、,,フ /    
  |    .|゙\   、_    `i、             |     
: ,/    l゙  .゙l    ゙''ー-,_  \、        ゙l     
. l     .|  .|       `''-,,,,`.、      ,l゙     
.l゙     .l゙  |  /''-,、     ``゙「,,,,,,,,二ニ,/`     
″    l゙  .| .|  `'-,, `'-,,,_  .丿           
      疋田豊五郎景兼(栖雲斎)

 石舟斎の新陰流における兄弟子、疋田豊五郎景兼は、晩年、栖雲斎を名乗り、
細川家を退転した後、大坂城に入り、慶長十年九月、その生涯を終えたという。
享年70歳。

9012008/12/21(日) 21:52:08.38 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \
  /  _ノ三ヽ__\      しかし、疋田殿も亡くなられたのかお…。
/  -((◎)-(◎)-\   鈴木(意伯)殿は行方知れずじゃし、
|     (((__人__)))  |   未だお会いした事は無いが、奥山(休賀斎)殿も亡くなられたという。
/     ∩ノ ⊃  /    …松田織部も既におらぬしのう。
(  \ / _ノ |  |     一人、丸目殿だけか。壮健なのは。
.\ “  /__|  |      
  \ /___ /

       ____
     / /  \\      
    / -(◎) -(◎)-\     …あの日、宝蔵院の道場におった人間で残っているのは、
  /   (((__人__)))  \  もはや御坊とそれがしだけじゃお。
  |      ` ⌒´     |  
  \            /   さびしいもんじゃお…。
  /               \

       /ニYニヽ
   (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)     気を落とすなっていうwwwwwww
  (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))   人間、誰もが寿命を持つっていうwwwwwwwwww
 /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \   生き死には生きる者の習いだっていうwwwwww
( ___、  |-┬-|    ,__ )
    |    `ー'´   /´
    |         /

9612008/12/21(日) 21:55:19.30 ID:7W68QYHh0
        _________
      /    \
     /  ⌒三⌒ .\    …ははは、悟ったようなことを言うのう。
   / -(◎)-(◎)- \  
   i ⌒ (((__人__))) ⌒ i     
   ヽ、   `ー'    /
   /            \


     ./ \Yノヽ    
    / (0)(―)ヽ    拙僧とて僧だっていうwwwwwwww
  /  ⌒`´⌒ \  
  | , -)    (-、.| キリッ  
  l   ヽ__ ノ  l |
  \         /

9812008/12/21(日) 21:56:08.64 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \
  /  ⌒ 三 ⌒ \      おお…そういえばそうじゃったお。
/  -((◎)-(◎)-\   (てっきりただの爬虫類だと思ってたお)
|     (((__人__)))  |  
/     ∩ノ ⊃  /   
(  \ / _ノ |  |     
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /


   /ノYヽヽ
   /(0)(0):::ヽ     ………。
 ./ ⌒`´⌒ ::\   
 | )ノ(、_, )ヽ, (::::|   (なんか失礼なこと考えてることだけは分かるっていう)
 |.l ,;‐=‐ヽ  l :::|   
 \ `ニニ´ ::::/
 /`ー---―´\

10012008/12/21(日) 21:57:37.01 ID:7W68QYHh0
人人人人人人人人人人人人人人人人人人人
)                          (
) で?wwwwwwで?wwwwで?wwwwwっていうwwwwwwwwwww    
)            ,rrr、            (      
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y| |.l ト⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y/つ))) 
           ⊂ ヽ | __ ☆   __  _/ 巛     用はそれだけだっていうwwwwwww
     /ニYニヽ  ,`ー   \ | |l / \  __つ     ではさらばだっていうwwwww
    /(゚ )(゚ )ヽ  /|| ,  \.|||/  、 \   ☆      
  /::::⌒`´⌒::::\ /  __从,  ー、_从__  \ / |||     
  | ,-)___(-、|,/ /  /   | 、  |  ヽ   |l   パァーン!   
  | l   |-┬-|  l |ノ/ )  `| | | |ノゝ☆ t| | |l \    パァーン!
  \   `ー'´   /゙─ー`// `U ' // | //`U' // l    
     ̄ ̄ ̄ ./   /   W W∴. |      /
       /    ☆   ____人___ノ     
                  ヾ      ≦ 三 

         ____
        /⌒三⌒\           おお、達者での
    (ヽ /-(◎)-(◎)-\   /)     さらばじゃお。
   (((i )::::::⌒((__人__))⌒::::\ ( i)))   
  /∠ |     |r┬-|     |_ゝ\     
  (___     `ー'´   ____ )

10212008/12/21(日) 21:58:36.75 ID:7W68QYHh0
         ___
     /      \
    /  / 三 \\     …胤栄殿も、老いたお。
  /  -((◎)-(◎)-\  まあ、わしもそうじゃが…。 
  |     (((__人__)))   |
  \     `⌒´   / 
  ノ           \ 

       ____
     / /  \\       …宝蔵院で秀綱先生とお会いしたのが、昨日のようじゃお。
    / -(◎) -(◎)-\     あれがなければ、今のわしは無かったお。
  /   (((__人__)))  \ 
  |      ` ⌒´     |     …先生、それがしは、正しく新陰流を残せたでしょうか。
  \            /   又右衛門、兵庫助を選んだことに後悔はござりませぬが、
  /               \    願わくば、いま少しだけ見守ってやりたいですお…。

         ____
       /     \      .|
      /   ─ 三─.\    ||
    /   -((◎)-(◎)-.\ -==-     そして、なによりも、一人の剣士として、もっと剣を極めたいお。
   /     (((__人__)))  \ || ./l   剣に終わりはないんじゃお…。
   |        `⌒´     | |//    
   \              ///      最後の最後まで手放せぬのは、
   /              //      やはりこの一振りなんじゃお。
  /    ;         //
  |    |        //
  \    ̄ ̄ ̄( ̄/
   |`ー―‐、;_;_;_;/ |

10412008/12/21(日) 22:00:04.96 ID:7W68QYHh0
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ     
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    胤栄様は帰られたのかい。
 (:::::::::/  ⌒ 三 ⌒ \  )    おや、調子よさそうじゃないかい。
  \:/ ((●) (●)) \ノ    
    |   (((__人__)))   |    
   \     `⌒´    /  
    /          \

      / ̄ ̄ ̄\
     /  ノ 三\ \     ああ、そうじゃの…。
   / -((>))ii((<))- .\    …ゲホッ、ゲホゲホッッ…!!
  . |  |  (((__人__))) | .|      
   \     /⌒l    /      
    /    /  /    .\

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽて     
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ そ   
 (:::::::::/  ノ 三ヽ、_\  )     だ、大丈夫かい!?
  \:/ ((●) (●)) \ノ     お前さん!!
    |  u (((__人__)))   |    
   \     `⌒´    /     
    /          \      

10612008/12/21(日) 22:02:14.59 ID:7W68QYHh0
      / ̄ ̄ ̄\      
     /  ノ 三\ \      …於鍋、騒がなくともいいお。
   / -((⌒))ii((⌒))- .\    生き死には生あるものの習いじゃ。
  . |  |  (((__人__))) | .|   ようやく、わしの番が来ただけのことじゃお…。
   \     /⌒l    /    
    /    /  /    .\    できれば…もう少しだけ待ってほしかったがの…。
 
    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ     
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    
 (:::::::::/  ノ i||i ヽ、_\  )    そんなこと、言わないでおくれ!
  \:/o゚((○)) ((○))゚o\ノ    (これは大変だよ…又右衛門と兵助に連絡を取らないと…!)
    |  u (((__人__)))   |    
   \     `⌒´    /     
    /          \      

 慶長十一年(1606)の春、石舟斎は体調を崩し、
それ以降、ほぼ寝たきりの状態になったという。
(病気か単なる老衰かどうかは不明)

 そのため、急遽、江戸の宗矩と修行中の兵庫助へ使いが出された。

10812008/12/21(日) 22:03:41.74 ID:7W68QYHh0
=某所=
           .. .. . ... .::::.. . . .:: : :.. . ... ::: :::.. ... ..
.. . ... ... ..::. .. . .. . .. .::::: :: :. ... .:::::
 :... . .:::: .. . .

          .. .. . ... .::::.. . . .:: : :..
                    . ... ::: :::.. ... .. .. . ...
                             ... ..::. .. . .. . .. .:::
                :: :: :. ... .::::: :... .
              .::::
          .. . .
                  ,,-‐''"´'':、,,                ,,_,__
_,,.--ー''''''"゙゙ ゙゙̄"'''''―--.,,,,,,-‐'゛.:'"゙:.:゙,:;、,"'.:.:  _,,.;:--''"´`゙''ー、/ヽヾ\
::;.:".:;.:'"゙:.:゙,:;、,"';,_,,.-ー'''"゙゙:,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"゙:.:゙,:;、,:゙',`:;,':,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"゙:.:゙,~゙"'ー-:;、,"'.:
":;;;: : ;: ;: ;:  ; ::; : ;:; :; :  :: :; ":;;;: :;: ;: ;:  ; ::; : ;:; :; :  :: :; ":;;;: : ;: ;: ;:  ; ::; : ;:; :
'' ;~ ; ::; : ;:; '',;''゚  ; ::; : ;:; ;~'',;'' ;~'',;''  ; ::; : ;:; ;~ ; ::; : ;:; '',;'' ; ; ::; : ;:; '',;''゚ ;~'',;
":;;;: : ;: ;: ;:  ; ::; : ;:; :; :  :: :; : ;:; ;~'',;'' ;~'',;''  ; ::; : ;:; ;~ ; ::; : ;:; ': ;:; ;~'',;'' ;~'',;''゚  ; ::
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10912008/12/21(日) 22:04:18.68 ID:7W68QYHh0
       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \  て
    / :::\:::/:::  \そ     な、なんだと!
   /  <○>::::::<○>   \      お爺様が!?
   |    (__人__)     .|   
   \     `⌒´    /
    /         \ 


     γ´`ヽ
     _ゝ -''` ー- _
   /           \
  ,′              ',
  !    , -────── 、 |
  |    |   ィェァ    ィェァ| |     はい、随分体調を崩されて、かなり危うい状態だと…。
 |    `───────' |
  |                 /
   |  ヽ          /
      ` 、     /
         ` ー'ー '
     柳生庄からの使者

11112008/12/21(日) 22:05:38.54 ID:7W68QYHh0
         / ̄\
         |     |
         \_/
         __|__
       / :::\:::::/::\
      / <●>::::<●>\      わかった!
     /    (__人__)   \    今すぐ戻るぞ!
     |       |::::::|     |   ガチャピン(仮名)!ムック(仮名)!
     \       l;;;;;;l    /l!|   支度せよ!
     /     `ー'    \ |i
   /          ヽ !l ヽi
   (   丶- 、       しE |    ドンッ!
    `ー、_ノ       ∑ l、E ノ >
               レY^V^ヽ

  `〆⌒ヽ
  ( Θ_Θ)    はーい
  (  目 )     
  | | |     
  (__)_)    

  、、、┯、、、
  彡(・)(・)ミ    
  彡 д  ミ_    わかったですぞー
⊂彡      ミ⊃
  彡"  "" ミ    
  彡_ミ""ミ_ミ     

 こうして連絡を受けると、兵庫助はすぐ柳生庄へ戻った。

11212008/12/21(日) 22:06:46.23 ID:7W68QYHh0
=江戸・竜閑堀、道三河岸の柳生屋敷=

                    (二二二ニ/二二ニ/二|二二ヽ二ヽ二ニニ)
                    //_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
                   //_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
                   //_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
   二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
   //_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
  //_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
  //_/__//_/__//_/__//_|   |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
 ○====○====○====○===.|   |││││││││││││││││||  .||===○===○===○===○===○
                  |   |││││││││││││││││||  .||
                  |   |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| 柳 ||
                  |   |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| 生 ||
  ___________|   |││││││││││││││││||   ||____________
  \/\/\/\/\/\|   |││││││││││││││││||   ||\/\/\/\/\/\/
  /\/\/\/\/\/|   |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
  """ ̄ ̄ ̄'''''''''''''''""""" ̄""" ̄ ̄''''''''''""""""""""""""""""""""""""" ̄ ̄'''''''''"""" ̄ ̄ ̄ ̄"""""""""

11412008/12/21(日) 22:07:46.07 ID:7W68QYHh0
     γヽ
     _ゝ` - _
           \
   /        ヽ
   ,′         ',
   !   , -─── 、 |
   |   |ィェァ  ィェァ| |     …というわけで、大殿様は相当お体を悪くなされたのです。
  |   `────'..|    正直、今日・明日もわからぬかと…。
   .|           ..|
   |           l
    l         /
    |        /
          /
       `-'- '
  柳生庄からの使者

   / ̄ ̄\    ) ;;;;)   
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)   
 |    (─)(─)  /;;/    
. | u.  (__人__)  l;;,´     …そうか……。
  |     `∩_ノ)━・'     (父上が遂に…とうとうその時がきてしまったか…)
.  |     |_ノ       
 /ヽ    |  |_       
 |  \_/ ノ ヽ     
 \     /_|  |     
 | \ /  _/   
 柳生又右衛門宗矩

11612008/12/21(日) 22:09:51.02 ID:7W68QYHh0
   / ̄ ̄\
 / \i||i / \     
 |  (●)(●) |    
. |  (__人__)  |    源太、今すぐ柳生庄へ向かえ!
  |    |::::::|   |   
  |    l;;;;;;l   }      
  ヽ   `ー'   }    
   ヽ     ノ    
   /    く  \   
   |     \   \         

     --=ニ二ヽレ― 、
            ⌒ヽ、 〃 ⌒ヽ ',
          /=-Zr冖‐f^iヽ リ
        /三==f ,ノ}Vノィ
>____ /:::r-r‐}く/ `く
:::::::::::::::::::/ /く !7   /メヽ V ///
ニ` ー - -- '⌒ヽi ハ/ ソ   jメ f'! レ  三
::::`⌒ー<{n_,、{! ヽ! u U  `ヽソ {_, 、\
:::::::::ヽ、__ソヽ、_}///U  ''"´ ノ     ええっ!? と、殿様!?
ヽ、::::::::::r-、_,>-、u U u }     殿様は戻られないのですか!?
、 `ヽー‐―‐ '  ,r'⌒ヽ}ヽ ヽr/ ̄「
ヾ`ヽ、_` ー‐‐ー'}ノ {  r }ハj{匸.⊥
‐、` - 、 `ヽ‐ 、二 _  ヽ ヽノ u ‐r'
=ヽ、_,.- ヽ/}  }{_)‐、 /{ヽr U }
n}⌒ヽニニ/::ヽ ヽ、_, -、ノ ノ‐||‐r‐'’
ノ \、__/-┬`ー~~r'´{し リ‐'
  _)   IエI レ1"´ ̄/ ̄ ̄\_,_,
 ノ:::::::::::::::::::::::::|
  源太(宗矩付の小者・仮名)

11812008/12/21(日) 22:11:47.91 ID:7W68QYHh0
     / ̄ ̄\
   /       \               …それがしには役目が、責任がある…。
   |::::::        |             それらを放棄して、勝手に柳生庄へ戻ることなど…まかりならぬ!
  . |:::::::::::     |             上様にこのことを報告し、お許しを頂かねばならぬ。
    |::::::::::::::    |   
  .  |::::::::::::::    }        ....:::  ..  だから、お前が先に行くのだ…!
  .  ヽ::::::::::::::    }        ,):::::::ノ .  急げ、源太!!
     ヽ::::::::::  ノ      (:::::ソ: .
     /:::::::::::: く         ,ふ´..      「は、はいっ!!」
-―――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――  
.      |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´

 宗矩は小者を先に向かわせた後、
秀忠に柳生庄へ戻る許しを得るため、江戸城へ向かった。

12012008/12/21(日) 22:12:45.99 ID:7W68QYHh0
=柳生庄=

      ;;⌒  、
   (;;; ,,;;    ヽ、 _,,,...:-‐‐=-..,,,_
       (_,,,  ;;ノ,r'":: ::      ::\,,.....,            ;;⌒  、
          ,,r'":: :: :...     ::: . ::; :::.`'::.、      (;;; ,,;;    ヽ、
        ,:r'::: :: .::: ::      ::    :; ::: .:: `':.、      (_,,,  ;;ノ
      ,r'":::.. ..:: ..:::. ....      :  ::  :; :: ::. ::`'::、_
    ,r'"::::  ...::: :...::: :: ;,,, - '''' ''':‐-,, ,,      ::. ::`'::、_          __,, - ''""
  ,r'"...::::.. ......:::::               " ''''‐- ,..,,,...  __,, -‐- ,... .-‐‐''''"
,r'":::,,,,,, :::::......:::::: ...               _,, - ''" ""'''"" `'' -,..
  :::.....                     -‐"             "'' -‐‐‐-,..,,.
     ::::,,,::;;;;:::::::: :::::;;;;;::::::: ;;:::::;::;;;;::::,:::::;;;;;::;;; :::,,::::::: ::::; ;;;;:::::::;;; :::,,:::::::::::::;;,,,
   ...:::::;;:::::::::::;;;;,::::::::::::::::::::://::::,,;;;;:::::::::::;;;;:::::::: :::::;;;;;::::::: ;;:::::;::;;;;:::;;::;::::://:::::::.::::;;:.......
 ::::;;; :::,,::::::: ::::; ;;;;:: :::::::::: //...::::.::::;;;;:;;;;;,:;;;;;::;;;;;;;;;;:::::::::: :::::::: ;;;;;;;;;;;; :::://:;::::::::::;;;::::::;;::::::::...,,,
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12212008/12/21(日) 22:14:18.21 ID:7W68QYHh0
  |┃           / ̄\
  |┃ 三        |    |
  |┃           \_/
  |┃    ガラッ    ___|___
  |┃ 三      /u     \
  |┃        /  :::\,::::、/::: \   お爺様!
  |┃ .      /  < ●>::::::<● > \    兵庫助、只今戻りました!
  |┃ 三   |   '" (__人__)"' u |
  |┃       \    ` ⌒ ´    /
  |┃        /ゝ    "`   ィ `ヽ.
  |┃ 三   /              \
,⊆ニ´⌒ ̄ ̄"  y           r、  ヽ
⊂二、 ,ノ──-‐'´|              | l"  |
  |┠ '       |              l/'⌒ヾ
  |┃三        |              |ヾ___ソ


       / ̄ ̄ ̄ \
      /   ノ 三\ \      
  __ / ヽ ((-))ii((-))/ \    ………。
     (    |(((__人__))) |  |      
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

12812008/12/21(日) 22:33:13.48 ID:7W68QYHh0
       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \  て
    /  ::/:::\:::: \そ    お、お爺…様…?
   /  <○>::::::<○> u \    (そ、そんな、まさか…!)
   | u.  (__人__)     .|   
   \     `⌒´    /
    /         \ 

    γ::::::::::::::::桃::::::::::::ヽ、     
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::::  ヽ       おかえり兵助。
  γ:::::::::人::::人::人::::人  ヽ    今、この人は一日中寝てばかりでね。
 (:::::::::/  ノ 三ヽ、_\  )    起きてる時間の方が短いくらいなんだよ…。
  \:/ ((●) (●)) \ノ   
    |  u (((__人__)))   |      でも、お前だけでも間に合ってくれてよかったよ…。
   \     `⌒´    /      又右衛門からは、まだ連絡が来てなくてねえ…。
    /          \     

13012008/12/21(日) 22:34:24.09 ID:7W68QYHh0
※ちょっと長めのさるでした。支援すいません。

       / ̄\
       |     |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \
    /  ::/:::\:::: \      そ、そうでしたか。
   /  <○>::::::<○> u \    なんとか間に合いましたか…。
   | u.  (__人__)     .|   (叔父上は…まだ戻っておられぬのか?)
   \     `⌒´    /
    /         \ 

 こうして柳生庄に戻った兵庫助は、しばらくの間、
春桃御前や新次郎厳勝と共に、石舟斎の看護をしたという。

13412008/12/21(日) 22:36:41.19 ID:7W68QYHh0
 その頃

               -=/ ̄ ̄\  て
            -=三/   \||| / そ 
              =|   ( ●)(●)
   -=三/  ̄| ̄| ̄V|     (__人__)  
      / / .|  | | || -=  `|!!!|!l|ノ    宗矩「走れ日之出牧場王(仮名)!
 -=三/ V \_/|  | V|      |ェェェ|        一刻も早く、柳生庄へ戻るのだ!
   l  /\__/..」__⊥ {ヽ   -=    }        父上と…父上と、話が出来る最後の機会なのだ!
 -==|. 〈  ⌒\  く  `:‐‐‐r '‐‐|___ノ         走れ!急げ!いっそ飛べ!!日之出牧場王(仮名)!!」
   \ \   >、 \.  │. │           (間に合え…間に合えェェェェェッッッ…!!)
  -=三 ̄ `‐‐く/  ̄ニ) /\_ノハ
        -=/\厂二/      ノ) て       
      _/_/ / /  \.!|||!Lニl  そ     馬「んあーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
 -=三`V / : : /| | / __◎_◎_ |
  -=_// : : /ハV、  {:_:_:_:} {:_:}ヽ.
  _ィ  く: : : : .V (__ノ‐‐--エエエエエエ }    ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨!!
=|  | _> ̄|/   \    !il|!!il|!|!ノ   
  ̄ ̄    ̄ /\_/‐‐>-|ェェェェ|
     -=三∧__ /  =\ /  >そ
        \_/     へ / て

 宗矩もまた、秀忠の許しを得て、一路、柳生庄へ駆け戻っていた…。

(※ 実際、宗矩が柳生庄へ戻れたかどうかは史料がないので不明瞭だが、
  この話では、戻ったものとして話を進める)

13612008/12/21(日) 22:37:39.26 ID:7W68QYHh0
 そして、四月も中旬に差し掛かろうとしていたある日のこと。
その日の早朝、石舟斎は不意に目が覚めた。

     ____  
   /      \         …よっこらしょ…今日は、少し体が動くお…。
  /  ⌒ 三 ⌒ \       まだ陽は明けておらぬの…。
/ヽ-((◎)-(◎))-/\    
|  | (((__人__))) |  |      厠へ行きたいけど、於鍋を起こすのも悪いお。
\            /     体も動くし、一人で行くかのう…。
 /           \    


    |┃三 ガラッ
    |┃  ____
    |┃/⌒三⌒\
    |┃‐(◎)―(◎)\    えっへっへ
――‐.|┃:(((__人__))):/\    
    |┃|  |r┬-|   |  |⌒)   
    |┃   `ー'ォ     //   
    (⌒ヽ・ ^^^  ・ ̄ /   
    |┃ノ       /
    |┃       <
    |┃  (::)(::)   ヽ
    |┃/  u  >  )
    |┃     (__)

13812008/12/21(日) 22:38:09.52 ID:7W68QYHh0
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ├―┼―┼―┼―┤ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ├―┼―┼―┼―┤ |  |二二二二二二
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ├―┼―┼―┼―┤ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ├―┼―┼―┼―┤ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ├―┼―┼―┼―┤ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| └―┴―┴―┴―┘ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
\:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ┌――─────┐ |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
\\|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l_________,| |  |::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|___________|_|ニニニニニニニ
:::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

                _____
      r⌒ヽ、   .  / /三\\ て
     / \  \. / -(◎)-(◎)\そ 
    _/ / ヽ   /ヽ   (((__人__)))/\   やれやれ、こう薄暗いと、
   〈__/  . |  |   |    |r┬-|  | |  足元も良く見えんお………(ツルッ)…あっっ!?
        /  .\     i⌒\_」   / 
       ./   / ⌒ヽ, _.ヽ  .\ /
   .__   r  /     |/ー、\   \ 
  ."ヽ |  i,        ノ   .\^   i
    .| ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
    .i /  //  ./   
    .ヽ、_./ ./  /    
        ./ /      
      .ノ.^/    つるっ
      |_/ て 
         そ 

14312008/12/21(日) 22:40:25.72 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \   
  /  ⌒ 三 ⌒ \    って、ほっ…!!
/ ヽ-((◎)-(◎))-\
|   | (((__人__))) | |
/     ∩ノ ⊃  /  ∩ノ ⊃
(  \ / _ノ    \/ _ノ 
.\ “  /  . \ “  /
  \ /      /\/
   \       \
    \    \  \
      >     >   >
     /    /  /  スタッ
   て(____)(__)て

14612008/12/21(日) 22:41:31.71 ID:7W68QYHh0
     ____  
   /      \
  /  ⌒ 三 ⌒\      ふむ、転びそうになったが、転ばんかったお…。
/ヽ -((◎)-(◎)-\   不意の際にも、体勢を崩さず保てる術…。
|  |  (((__人__))) | .| ))
/     ∩ノ ⊃   /    「浮身の法」…とでも名づけるかお。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /


     ____  
   /      \
  /   ノ 三 \ \      できればこれを、兵助や又右衛門に、
/ヽ -((◎)-(◎)-\   直接剣を取って教えてやりたいものじゃが…。
|  |  (((__人__))) | .|   最早、それもならんかお…残念じゃお。
/     ∩ノ ⊃  /     
(  \ / _ノ |  |      
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /

14912008/12/21(日) 22:42:42.06 ID:7W68QYHh0
    〃⌒ヽ     _ __ _           
      |     >' ゙´  ―=ニ二"'- 、       
        /\ ヾ __   r─v⌒Y⌒ヾ‐、   このエピソードは、厠に出た石舟斎が、暗い廊下で転びそうになった時、
        / //^\\二ニ廴f⌒Y⌒ミx⌒Y)  我にも思わぬ形で体勢を立て直せたので、
.       / //   \_二廴{r=((辷ソ))ニコ}  これを「浮き身の法」あるいは「西江水」と称した、というのが
.       |/イノ        ヘヾィ|ト、彡|レ' ソ  ベースなのだけど、実際のところ、本当かどうかは不明なのかしら。
.       i/|   '⌒       ゙‐-|ト、ニィ||r'
     |!|  x==ァx、         i」 i!i!i」     最も、「西江水」については、
.       rヘ 仆r為リ    X气ミx i!i!/     十兵衛三厳がその著作の中で触れているのだけど、
.       X_l. ゞミン     トr為リ ,iレ'}     実際、具体的にどんな内容なのかはよくわからないのよ。
.      (( ヘ     、_ '_  `''‐''´厶ク     ただ、心得については「尻を張れ」「尻をすぼめろ」とか
.       辷⊇>x、.ry     ∠廴))     書いていたりするので、技法としては確かに存在していたみたいかしら。
.      >'´⌒{>//zxz‐‐ュ≦ミ三⊇     (だから、剣を取って直接教えることは出来なくとも、
.   Y´    ,/)' ^,ニ⊃コ} ̄`\⊇       口頭で伝える事はしたのかもしれない)
.     {   x'^^^ス  ,二)./    \
.     > / 幺 幺x‐ュ,)〈       〉      なんにせよ、死に際にまた新たな奥義を悟った、というのは、
.   / ^   幺 幺・i」 .ノ〉八_r=、 /      石舟斎の剣豪らしさを伝えるいいエピソードだと思うのかしらー。
.  {        〉〉 〉〉-<´/   「i|iト、v、
.  \    乃 乃|i」》/   .|」i」x、幺

15212008/12/21(日) 22:44:24.55 ID:7W68QYHh0
 そしてそれから数日後の四月十九日。
石舟斎は、遂に最後の刻を迎えつつあった…。

       ;/ ̄ ̄ ̄ \;:
      ;/   ノ 三\ \;      し…新次郎…
  __ ;/ ヽ ((=))ii((○))/ \;:    ……ま…又右衛門は…まだか…お……?
     ;(    |(((__人__))) |  |;      
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

         ____
       /     \       父上…!
     / \ i||i / .\     今しばらく、今しばらくだけお待ちくだされ……!
    ./  .(○)  (○) u\    又右衛門は、きっと間に合いまする…!
   |  u   __´___     |    
   \             /    (又右衛門…何をやっておるのじゃ!
   /           \     早く…早く戻って来い…!!)

      / ̄\
      |    |
      \_/
       _|__
     /      \      父上!俺が村の外まで見に行ってこようか…!?
    /\ i||i /::: u \   
  / <●>:::::<●>    \   「いや!お前はここにおれ!
  |   (__人__)    u.   |   決して離れてはならぬ!」
  \ u.` ⌒´      /
  ノ           \

15512008/12/21(日) 22:46:26.03 ID:7W68QYHh0
 パカラパカラッ

 ヒヒーン!

 ズシャッ

 ドタドタドタ!!!
              __
             /   \
  |┃    ガラッ / \i||i/ \
  |┃ 三     | (●) (●)| 
  |┃        | u (__人__)  |     父上!又右衛門、只今戻り申した!!
  |┃ .        l.   .|::::::|  u |
  |┃ 三      {   .l;;;;;;l   .| 
  |┃         { u .`ー'   /  
  |┃        / ヽ     ノ`ヽ.
  |┃ 三   /            \
,⊆ニ´⌒ ̄ ̄"  y         r、  ヽ
⊂二、 ,ノ──-‐'´|            | l"  |
  |┠ '       |            l/'⌒ヾ
  |┃三        |            |ヾ___ソ

15812008/12/21(日) 22:47:28.66 ID:7W68QYHh0
           ____
         /     \
       /  \i|||i/  \       
      /   (○)  (○)  \      
     |      __´___    . |     遅い…遅いぞ又右衛門ッ!
     |        |::::::|     |      何を、何をやっておったのじゃっ!!
     \      l;;;;;;l    /l!|     
     /      `ー'     \ |i     「あ、兄上…ま、まさか…!?」
   /            ヽ !l ヽi
   (   丶- 、         しE | ドンッ!
    `ー、_ノ        ∑ l、E ノ >
                  レY^V^ヽ

16012008/12/21(日) 22:48:41.97 ID:7W68QYHh0
       ;/ ̄ ̄ ̄ \;:
      ;/   ノ 三\ \;       ……おお、又右衛門…じゃお…。
  __ ;/ ヽ ((=))ii((⌒)) /\;:     最後に…間に合って…よかったお……。
     ;(   | (((__人__))) |   |;      
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

         / ̄ ̄\   
       /    \i||i/
       |    ( ○)(○)    (よかった…間に合うたか……!)
       | u.   (__人__)     
         |   u. ` ⌒´ノ      父上…ッ!
         |         }      
         ヽ        }      
    /  ⌒ヽ    '´(      「………又右衛門…兵助…
   / ,_ \ \/\ \      そばに…寄ってくれお………」
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

16312008/12/21(日) 22:49:48.08 ID:7W68QYHh0
       ;/ ̄ ̄ ̄\;:           …又右衛門、兵助……。
      ;/   \ 三 / \;        よく聞いてくれお…。
  __ ;/ ヽ ((=))ii((○))_/\;:   
     ;(   | (((__人__))) |  |;        お前たちには、それぞれ、
  \ヽ\__  `⌒´__/ \      わしが受け継いだ大切なものを継がせたお…。
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \


       ;/ ̄ ̄ ̄\;:           又右衛門…お前には先祖代々の柳生家を。
      ;/   ⌒ 三 ⌒ \;        兵助…お前にはわしが一生をかけて工夫した新陰流を…。
  __ ;/ ヽ ((=))ii((⌒)) /\;:   
     ;(   | (((__人__))) |  |;        …どちらも、かけがえのないものじゃお…。
  \ヽ\__  `⌒´__/ \      違いはあれど…優劣なんか…ないんじゃお…。
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \     .「……!!」
      \               \    「……!?」

16412008/12/21(日) 22:50:37.27 ID:7W68QYHh0
       ;/ ̄ ̄ ̄ \;:
      ;/   ノ 三\ \;       
  __ ;/ ヽ ((=))ii((○)) /\;:      頼むお、又右衛門、兵助…。
     ;(   | (((__人__))) |  .|;    …あとを…頼むお……!!
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

         / ̄\
         |     |          
         \_/        
      / ⌒`"|⌒`ヽ、               /⌒`"⌒ヽ、         
     /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\            /,, / ̄ ̄ ̄\        「ははっ!」
.    /,//::         \           /,//::       \     「承知しました!」
   ;/⌒'":::..            |⌒ヽ       ;/⌒'":::..        |⌒ヽ   
   /  /、:::::...           /ヽ_ \     /  /、:::::...       |ヽ_ \ 
__( ⌒ー-ィ⌒ヽ、   /⌒`ー'⌒  )   __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒  )
━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─"  ━━━`ー──ゝィソノ-ヾy_ノー─━

16612008/12/21(日) 22:51:08.93 ID:7W68QYHh0
       ;/ ̄ ̄ ̄ \;:
      ;/   ノ 三\ \;      …ありがたい……。
  __ ;/ ヽ ((=))ii((=))/ \;:    もう……これで………………。
     ;(    |(((__人__))) |  |;      
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ
     ヽ               \
      \               \

   / ̄ ̄\ 
 /     \i||i/
 |   。( ○)(○)。     
. |   。゚~(__人__)~゚   父上ッ!!
  |     `|::::::|ノ     
.  |      l;;;;;;l}      
.  ヽ     `ー'}      
   ヽ     ノ      
   /    く   

       / ̄\
       |    |
       \_/
         |
      / ̄ ̄ ̄ \
    /   :::\i||i/::\  
   /   。<○>::<○>。|  お爺様ッ!!
  |    .:::。゚~(__人__)~゚|
  \、     `⌒´ /  
   /          く   

16912008/12/21(日) 22:52:57.99 ID:7W68QYHh0
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::::: (…父上、秀綱先生。
::::::::::::::::/   ノ 三 \ \::::::::::::::::::::  わしは、やれましたかのう…?)
::::::::::/ ヽ ((=))ii((=)) /\:::::::::::::::
:::::::::|  | (((__人__))) |  |:::::::::::::: (柳生家は又右衛門に、新陰流は兵助に、
::::::::::\     `⌒´   ./::::::::::::::: : わしが見込んだ者たちに、それぞれ継がせ申した)
::::::::::/          \::::::::::::::::

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::::: (…迷いはあれど、これがそれがしの最善と信じた選択でござる…)
::::::::::::::::/  - 三 - \::::::::::::::::::::
::::::::::/ ヽ ((=))ii((=)) /\:::::::::::::: (あの者たちならば…きっと柳生家も、新陰流も……更なる発展を…)
:::::::::|  | (((__人__))) |  |::::::::::::::
::::::::::\     `⌒´   ./:::::::::::::::: (できれば…二人の子の顔を見たかったものじゃお…)
::::::::::/          \:::::::::::::::

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 「お前さんっ!」「父上っ!」「父上ッ!!」
:::::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄\:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::/. - 三 - .\:::::::::::::::::::: (於鍋…新次郎…徳斎…。
::::::::::/ ヽ ((=)) ((-)) /\::::::::::::::  …お前たちにも苦労させたのう……)
:::::::::|  | (((__人__))) |  |::::::::::::::
::::::::::\     `⌒´   ./::::::::::::::: (…じゃが、きっと大丈夫じゃ…。
::::::::::/          \:::::::::::::::  もう、心配はいらないお………。
                      …だから…泣くな…お…………………)

17312008/12/21(日) 22:54:14.49 ID:7W68QYHh0
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄\:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::/. - 三 - .\:::::::::::::::::::
::::::::::/ ヽ ((-) .(-)) /\::::::::::::::  (…………………………………………………)
:::::::::|   | .(((__人__))) |  |::::::::::::::
::::::::::\     `⌒´   ./:::::::::::::::
::::::::::/          \:::::::::::::::

17612008/12/21(日) 22:56:34.36 ID:7W68QYHh0



 (…………………………………………………‥‥‥  )


 

17912008/12/21(日) 22:57:29.72 ID:7W68QYHh0

 …その男は、戦乱の世に生を受けた…。

         ____
       /⌒  ⌒\
      /( ●)  (●)\     柳生家の嫡男
    / ::::⌒(__人__)⌒:::: \   柳生新左衛門宗厳だお!
    |     |r┬-|     |  
    \      `ー'´     /
      >         <
     ( |        / )
      `|       /'
         |  (u)  /
       ヽ  ヽ/
        >__ノ;:::......

18112008/12/21(日) 22:58:59.62 ID:7W68QYHh0
 小豪族、柳生家の当主として、その前半生を合戦に、

            /
          //  
        ///          (⌒\
       ///         ___ \  ヽ 
       (  (        /\.三./\ \\ \ 
       \ \    /( ●)三(●)\ ト\ヽ     柳生の意地を見せてやるお!
         \ \ /::::::⌒(__人__)⌒::: |  \ヽ  
          \ \.     |r┬-|    ノ  ノ  \
            \  ヽ   `ー'´   / /    
             /            /  ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
           //  /           ̄ ̄ ̄ ̄)  )
         /  (  ⌒ ̄ ̄ ̄ヽ         ノノ/
      _/  / `ー―――、  )        ノ/
 ー=二三 __ノ        ノノ/       /
                  ノ/
                /

 そして剣に費やした後、生涯の師と出会う。

         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\  
     /    。<○>:::::<○>。    上泉先生…ッ!!
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j     それがしを、新陰流の門下に加えてくださいお……!!
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜      何卒、お願いしますお……!!
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。  
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

18512008/12/21(日) 23:00:43.86 ID:7W68QYHh0
 そして、師の道統を継いで、流派を更なる高みへ引き上げ、

               ___._
              □|::〈 〈 〈〈||三三三三三三
      ____    〈⊃} ̄} ))   ))
     /⌒  ⌒\    |   |
   /( ●)  (●)\  !   !
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ |   l
  |     |r┬-|       |   /     取ったお!
  \     ` ー'´     //
|        ___
\      <  __)て
  \.    <  __) そ
    \   <  ___) そ
      \_ <____ノ て


 また、その腕前を示して、剣名を天下に上げた。
       ____
    / ~~~\
   /  ⌒ 三 ⌒ \       
 /   (⌒) (⌒) .\      徳川様…それがしは既に年寄り…。
 |     (((__人__)))   |    代わりにここにいるそれがしの息子、宗矩を
 \     ` ⌒´   /     お側仕えさせて頂けませんかお?
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、.     
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||

18712008/12/21(日) 23:01:33.64 ID:7W68QYHh0
 しかし、時には所領を奪われ、

。   ゚         | i    ゜     。i    。    ゚l  。    i    ┼┼``
     。  ゜i   ゚    i      !    |    ゜   i          /  ア ア ア ア ア ア ア ア ア ───‐─ ─
                  i     l       i     ! ゚            ゚          。    ゜
  i    ゜  i           |    ゜ i       |       ゜ i   l
             ゜   i         。   i          l        i   l
  |         l    ゚    ;゜   ゜   : ; ; i        l       l           !
:  ゜   i   ゚          i             、i;,| i, ゚,゜   ゜ i      l ゚;   l     。i
   |         。i     l   l   ゜;/ ̄u ̄;j\。´    i    ゚ |         !
゜  。       .|   i      i     :。/ :j::::::\三/\;゚  !゜   ゜ i        l      | ゜
 l ゜  ゚           。゜    i / u  。<◎>:::::<◎>。 ! ゚先祖代々の柳生庄が、それがしの代で奪われてしまったお…。
    i   ゜     |           |:j  .:::。゚~(((__人__)))~j   これからは牢人じゃお…無念…無念じゃお…!
  |。     !          i    !  \、 u ;゜.` ⌒´,;/゜   ゜ i     l    ゜ i     l
    !            l       。i      /゚:j⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。     !   ゜    。i
       。  ゚:     ! ゚    l   / ,_ \ \/\ \゜      !        ゜ i  ゚
  、i;,  、|;      、i;, 。  ゜ ;゚ 、i;,と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._ 。  l  。i ゜    ;゚ 、i;,   ゜ ;゚ 、i;,
´´ ゙ ´ ゙ ´ ``" ´ ´ ` ~ " ゙ ゙" ゙ ´ `"  ゙ ´´ " ´ ' ´ ´ ´ ' " " ゙ ゙ ´ ゙ ´ `" ´ ゙ "´´ ゙ ゙` ´ '  ´ " ´ ´

18812008/12/21(日) 23:02:28.87 ID:7W68QYHh0
 あるいは、戦火に子や孫を失い、絶望に陥ることもあった。


       ;/ ̄ ̄ ̄ \ ;         久三郎…なんでお前がわしより先に死ぬんじゃお…。
      ;/   ノ 三\ \;       
  __ ;/ ヽ ((○))ii((○)) /\;        もう…もうワシはダメなんじゃお…。
    ;(    |(((__人__))) |   |;       ワシには柳生家の復興なんて無理じゃお…。
  \ヽ\__  `⌒ ´__/ \;     
    \( ̄ ⌒⌒⌒⌒ ̄⌒ ⌒ ⌒ヽ  
     ヽ               \
      \               \

19212008/12/21(日) 23:03:32.76 ID:7W68QYHh0
 だが、己が鍛えた一族の者たちの働きにより、絶望から脱却、
柳生家の、新陰流の更なる繁栄の礎を打ち立てた。

        _____
       / \ 三/ \
     / ((●) (●)) \
    /    (((__人__)))  \     決めたお!
    |       |::::::|      |    我が柳生家は、徳川様にお味方するお!
    \       l;;;;;;l    /l!|   
    /      `ー'     \ |i     
  /           ヽ !l ヽi
  (   丶- 、        しE |そ  ドンッ!!
   `ー、_ノ        ∑ l、E ノ <
               レY^V^ヽl


          ____
        /_ノ 三ヽ、_\
 ミ ミ ミ /o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ     遂に柳生庄を取り戻せたお!
/⌒)⌒)⌒.  :::⌒((_人__))):: \    /⌒)⌒)⌒)   これでご先祖様に顔向けできるお!
| / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //    貧乏も今日までじゃお!めでたいお!
| :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/     本当に…よかったお!
|     ノ     | |  |   \  /  )  /    
ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /      
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''""~~``'ー--、   -一'''''''ー-、 バシバシ
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))

19512008/12/21(日) 23:04:46.34 ID:7W68QYHh0
 そして、己が引き継いだものを次世代へ引き継がせ、
その男は、己の役目を全て果たし終えた…。

          ____
       / \ 三/\ 
.     / ((●) (●)\       …柳生又右衛門宗矩!
    /    (((__人__)))  \     お前に、この柳生家の家督を継がせるお!
    |      |r┬-|    |     
     \     `ー'´   /      柳生家の当主として、以後、立派に振舞うお!
    ノ            \
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''""~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


     ____        
   /      \       
  /   ⌒ 三 ⌒ \     
/   ((⌒)  (⌒)) \    新陰流を任せるお…兵助。
|      (((__人__)))   |   我が新陰流、正統三世よ…。
\           /    
 /           \    

19812008/12/21(日) 23:05:27.78 ID:7W68QYHh0
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                                             .  :  . . .

 こうして、日本の剣の歴史において、確固たる足跡を残した剣豪、
柳生石舟斎こと柳生新左衛門宗厳は、その生涯に幕を閉じた。
享年78歳。

 戒名、芳徳院殿故但州剌吏荘雲宗巌居士。

 

20112008/12/21(日) 23:06:18.15 ID:7W68QYHh0


           _____
         /     ./=\
        /      ((=)(=)    「うかまざる兵法ゆゑに石の舟
      /        ((__人))     くちぬうき名や すゑにのこさん」
      |             |  
      \            ./     柳生石舟斎-兵法百歌
        >         <
       ( |        / )
        `|       /' ||
           |      /  ||
         ヽ   ヽ/  .||
          >__ノ;:::.....  .||

                   ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                   d⌒) ./| _ノ  __ノ 

【やる夫で学ぶ柳生一族(その11):「柳生石舟斎の死」】 完

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