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やる夫まとめ劇場(仮)

自分が面白いと感じたやる夫系スレをまとめるサイトです。長編を多めにまとめていきたいと考えていますので、時間がある人はどうぞ。
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やる夫で学ぶ柳生一族 その19「坂崎事件の巻」

112009/04/19(日) 21:31:21.83 ID:KneXjk290
 このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレです。

【今回のメイン柳生:柳生又右衛門宗矩】

   / ̄ ̄\
  /  ノ  \\
 |  .(●)(●)  |    柳生家の当主にして徳川将軍家剣術指南役、
. |  (__人__)  |      柳生又右衛門宗矩だろ。常識的に考えて…。
  |    `⌒´  |    ) ;;;;)    
.  |        |    .) ;;;;)   
.  ヽ       }   /;;/     
   ヽ     ノ   .l;;,´     
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ    
. \  ""  /_ノ  |   
   \ /___/  


612009/04/19(日) 21:36:46.38 ID:KneXjk290
【元和二年(1616)時の柳生一族系譜】

   大膳長永
      :
   <柳生家>
      :
     ├─────┐
   柳生永珍   中坊源専
      :
     ├─────┐
     家厳      重厳
     |    (七郎左衛門)
     |     (松吟庵)
     ├────────────────────────────────┐
     宗厳                                              .妹
   (新左衛門)                                             |
    (石舟斎)                                          <幸徳井家>
     ├───┬───┬────┬──────┐                   .|
     厳勝   久斎   徳斎     宗章        宗矩                 .友景
   (新次郎)             (五郎右衛門)   .(又右衛門)   
     |                            .|     
     |                            .|     
     ├────┬────┬────┐       ├───┬───┐
     純厳    利厳     妹     厳倚     七郎   .左門  又十郎
    (久三郎)  (兵庫助)         (権右衛門) 
            |
          新左衛門


712009/04/19(日) 21:37:46.01 ID:KneXjk290
【第1部(その1~11)のあらすじ】
 時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の領主、柳生新左衛門宗厳は、上泉伊勢守秀綱創始の新陰流の正統を継ぎ、
後に名を石舟斎とあらため、その剣名を天下に上げた。
しかし、長男新次郎厳勝の不具廃嫡、豊臣家による所領の没収、
そして新次郎の長男、久三郎純厳の死など、柳生家に辛く重い苦難が襲い掛かる。
だが、徳川家康の招きに応じ、「無刀取り」を以って家康に指南を請われた際、
末子・又右衛門宗矩を推挙したことで、再び柳生家にも光が差す。
その後、関が原の戦にて徳川家に味方したことにより、柳生家は旧領を回復する。
更に、家康が幕府を開き、後継たる秀忠を二代将軍とすることで、宗矩は将軍家剣術指南役となった。
そして、柳生家の家督を宗矩に、新陰流の正統を兵庫助に継がせた石舟斎は、
慶長六年(1611)、78年の生涯に幕を閉じたのであった…。

【第2部(その12~18)のあらすじ】
 石舟斎の死後、宗矩は正式に家督を継ぎ、新たなる柳生家の当主となった。
またその翌年、柳生庄にて宗矩に待望の嫡男・七郎…後の柳生十兵衛三厳が誕生する。
同時に、兵庫助も島左近の遺女・お珠を妻に迎えた。
その後、起こった戦乱の世の残照にして最後の大戦、「大坂の陣」。
冬と夏、二度にわたる戦の末、遂に豊臣家は滅亡、
幕府(徳川家)の天下が固まったことで戦乱の世は終わり、「元和厭武」が宣言される。
同時に、兵庫助は尾張徳川家の剣術指南役に仕官し、尾張柳生の礎を築いた。

 そして元和二年、遂に一代の英傑、徳川家康がこの世を去ったのであった──。


812009/04/19(日) 21:38:56.34 ID:KneXjk290
                     /^;^ll^;^ll^\
                 _,,,.-'''_,.-'ノ l l \\\
              _,,,.-'''_,,,.-'''_,,,.-'''ノl l \\\ \
          _,,,.-'''_,,,.-'''_,,,.-'''_,.-''ノ l l\\\   _''-.,_
      _,,,.-''''  "'''''''''''"''''''''''''''"''''''''''''''"'''''''"''''''''"'''''''''''"'"'''-.,_
   _,.-''                                 _''-.,_
_,.-''                                       ~''-.,_ ィ;;―‐''^―ー''"゙;:.:゙゙‐''''" ..,..
  _....-'""::::::____,,,,,,,,,,,,,,='゙″ィ;;―‐''^―ー''"゙;:.:゙゙‐''''" ..,..  ::  :: .,;:':;:.,".,.、
  ::  :: .,;:':;:.,".,.、-'´-'" :.,,,,,,,,  ';,~:";.,、、.,       - _,,.--'‐.、_,,.;:--''"´`丶、 .:. :;:::::::::::. : .: .: .: .     i
;: ;: : ;: ;:::;_,,''''''"゙゙.:".:;.:'"゙:.:゙,:;、,"'.:::::::::;;.:;,~゙"'゙"'''''--;:; . : .:     .... .. .. ... . ..:.. .:;:;: ::T:;: ;: ;: ー--‐'″  :、:;.... ―''''''''''"


 元和二年(1616)四月十七日、
一代の英傑、徳川家康は己が為すべき全てを成し遂げ、この世を去った。

 この家康の死を以って、徳川幕府は創業の時を終え、守成の時代に入る。
この先、250年にも渡る長き太平の世「江戸時代」のはじまりである。


912009/04/19(日) 21:40:07.16 ID:KneXjk290
                    (二二二ニ/二二ニ/二|二二ヽ二ヽ二ニニ)
                    //_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
                   //_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
                   //_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
   二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
   //_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
  //_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
  //_/__//_/__//_/__//_|   |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
 ○====○====○====○===.|   |││││││││││││││││||  .||===○===○===○===○===○
                  |   |││││││││││││││││||  .||
                  |   |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| 柳 ||
                  |   |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| 生 ||
  ___________|   |││││││││││││││││||   ||____________
  \/\/\/\/\/\|   |││││││││││││││││||   ||\/\/\/\/\/\/
  /\/\/\/\/\/|   |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
  """ ̄ ̄ ̄'''''''''''''''""""" ̄""" ̄ ̄''''''''''""""""""""""""""""""""""""" ̄ ̄'''''''''"""" ̄ ̄ ̄ ̄"""""""""

 未だ体験したことのない太平の世に、全ての武士たちが手探りで道を探す。
それは、柳生家当主たる宗矩もまた同様であった。
時に宗矩、46歳──。


1312009/04/19(日) 21:41:37.77 ID:KneXjk290
   / ̄ ̄\    ) ;;;;)
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)
 |    (─)(─)  /;;/
. |    (__人__)  l;;,´    人は必ず亡くなるもの。
  |     `∩_ノ)━・'    それは大御所様といえど変わらぬ…。
.  |     |_ノ
 /ヽ    |  |_
 |  \_/ ノ ヽ
 \     /_|  |
 | \ /  _/


        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |    だが、太閤の時とは最早違う。
     . |:::::::::::     |   もはや、大御所様が亡くなられたとて、この徳川の世は動かぬ。
       |::::::::::::::    |   いや、動かさせないだろ…天下のため的に考えて
     .  |::::::::::::::    }          ....:::,,  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´



1412009/04/19(日) 21:43:37.61 ID:KneXjk290
 ちなみに、家康はただ亡くなったわけではない。
死して後も徳川の世を護らんとしようとした、いくつかの逸話がある。
そのうち、剣に絡んだひとつの話を紹介する。

      ____ 
    /i||||||||||||||||||iヽ      
 / ̄ヽ||||||||||||||||||||||||iヽ    
'""ヽ u.ヽ!||||||||||||u.||||||! ヘ 、―   
||l   ___ヽll,‐''''__ゞi .|||||  
||l  /ヽ、 ->┴< .o/ヽ\|||||   光正…その三池光世で試し切りをするのです…。
ヽ‐イu. |ミソ ̄'"ノ"/li゙ ii|||l;|l |、   終わったら…報告するのですよ…。
.\/l  .|ミミl l―--―`..l;ll /    
 .\ノ  |ミミ.l..   ̄.u l;|/      「ははっ!」
   ̄\ |ミミ.l..    ,,,l;/    
   l \ヾ゙゙....  ̄."/i     
 _/_``\ ̄、 ̄/ /l___ 
       徳川家康

 家康は、その死の前日、四月十六日に駿府町奉行・彦坂九兵衛光正を呼び出し、
愛蔵の一振、三池光世を用いての試し切りを命じたという。


1512009/04/19(日) 21:45:17.08 ID:KneXjk290
                 ,.;;:':;::.'"  : : ::ll ll: . .
               ,.;';:;;:.':"   : : : ;ll ll; : .
              ,.;';:;';::'."   : : : : ;ll ll; . : .
             ,:';;:.:;:':."    : : : : ::;li il;: : : .
             ,:';::;:;;':;."    : : : : :.:;li il;: : : .
           ,:';::;:;:;':;."     . : : : : :.:il: :li: : : :.
           ,';::;:;:;':;.'' .     : : : : : ::ll: :ll:: : : :.
          ,:';:;:;:;:;':;''   :   . : : : : : ::ll: :ll:: : : :
         ,';::;:;:;':;:.:''.    :   : : : : : : ::li il: : : .
         ,';::;:;:;':;:.::.''     :   .: : : : : :li il: : : .
        ,':.:.:;:;:;':.:;' '.     :  : : : : : : :li il: : :
        ,'.:.;:;:;:;:;':;.' , .    :   : : : : : :li il: : :.
       ,'.':.;::;:;:;':;.' :,  .   :  : : : : :;li il; : :.
       .'.:. .:.;:;:;;':;. : .  .    : . : : : : :.;li il; : :
      ,' .: .::.;:;:;':;.'. . .;. .   .: : : : : :.;li il; : .
      ' . :;.; ;':;: ' o     .   . : : : : :.:;li il;: :.
      :o'. : .:;.:':;. ,.、   .,. . .   . : : : ::.;li il; : ::.
      ; . ::;.:;  `.' 。         : : :.;li il; : .
      : . : .;. .,、 o .: : , . .      :.:;li il;: :.
       : .,. ;:`.'   : : :.;. ゚      // ̄ ̄`ハ
       : ': ;.  。  ,,、 ,,,,     /´,'_,'-==-<` 、
       : . .,.  ゚ o `;´: : `ヽ. l ソ-=ー- 、 )ノ
      . : . : : . .   l:: :. . ; .l |l,:'"`ー=-、 )
        ' : .: ;. . . ゞ、._;;:_ノ  |i ,;;;;;;ッー-ィ、
        :  : . 。 o .   .,:  l' il::::r'.;‐==__゛ヽ
         : :  : :   : . . : : i,;::ハ;;r´  ___ヾ`i
         : :: : : :  : :  l :i;; ; ,ヒ ̄ _ ,` .l

 そして、早速、仕置(処刑)の場へ運び込まれた三池光世は、
一刀のもとに罪人の首根を断ち切り、勢い余って土壇場にまで達したという。


1612009/04/19(日) 21:47:07.84 ID:KneXjk290
   \      ,..''  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  __,,,,/    /  |
  |   \        ` .、::::::::::::::::::::::::::.,-‐'"'"  u.  /    .|  
   i    `'''ヽ、    u.  -:::::::::::::::::::      -‐'"'" /    /  
   `i    |  `、'''ヽ、、     .ヽ.Y    , ..-':''" ゙/   /   ../  
    `、  |    `、  (:、、   . .|  ,..-')   / u./  ‐-‐'    …そうですか、それほどに…。
     ‐-‐'| \  `、....,,,`_゙ヽ_、_,| ノ、."..-'ii||||| // .. /     
       |  \\γ .,--‐-‐ "゛"゛‐-‐'''"゙''i|||///  /      安心しましたよ。
       `i| \\ |        、   u.  .|///  /\`i.    では、この三池光世を、私の枕刀にするのですよ。
       /`i  \ |       ゙''-''"'     . |///. /   `、.   わかりましたね…。
     /   `i\\|     `──丿    |/ / /        
          `i \|             //.-          
           ~\      ‐'''''‐   / '             
               \      /               
                 "'''゙''-''"~                  

 これを聞いた家康は満足して床の上に起き上がり、
自ら二・三度打ち振るった後、自らの枕刀とするように命じたという。


1812009/04/19(日) 21:49:22.83 ID:KneXjk290
              ..-  .          
            /. . : : : : : :`: . 、        今回はワシが解説役じゃ。
          / : :,: :、: \: :ヽ: :,: .\      AAが少ないのは仕様なので諦めよ。
         'ⅰ:/: :i:|\厶: :∨ : : : ヽ     しかし…「秀吉」の名を持つワシが、
         .: :Ⅳ.: :从´ 丶V. :. : : : : : :.    家康の最後の逸話を語るというのも、因果なものじゃの。
.        i.: :|{.ヽ/' ィ'弐}|: :ト、: : : : j:|
.        |: :ハ._,,   '''|: :レ': : :i:|:从     まあ、それはともかく、今回の逸話なのじゃが、
.        |:/.: :{'' ′_  , |: i|:i : j从'^ `   この時期の葬儀では、出棺までの「守り刀」として
        八: :i 〕iァ== 个:|: リjL〔 ′`    亡骸の傍らに刀を置く習慣があったといってな、
           ヽ|:リ广ア¨´ :レ'    ヽ     家康は己の死後を守る刀を自ら選んだ…という話な訳じゃな。
          / j/廴__ ノ{    
            / /      :. ヘ    :.     更に言えば、家康は三池光世を枕刀に選んだ後、
.           / .′     \∧   :,
          / j          /     ',    「神霊を此れに止められ長く国家を守らせたまはん」
.          ' 厶 ====ミ:、 /    〉  〉
           /       `V   /  /    と言ったそうじゃ。
       ∨  ,     {   ,   ′   つまり、自らが死しても、霊となって三池光世に宿り、
          ′  ′    _ /  /     国家を…つまり徳川の世を守らん、と言ったわけじゃな。
       r―┐:r:r‐-/ ̄   /      言ってみれば、「国家守護の守り刀」といったところかの。
       / ....:::∨/.:::《/,:、,..::<
.      /..:::::::::::|d:::::::::´〈/.::::::::{         この三池光世は、同じく選ばれた備前長船行光の短刀や
      /.::::::::::::ー|:|:::::::::::::::::::::::::::i        .指料であった日光助真の一振と共に、
    く:::丶:::::::::`ヾ:::::::::::::::::::::::::::|        今も、日光東照宮に安置されておるそうじゃ。
    / ` ー--ゥ┴┬…‥―r┘       (尤も、たまに博物館で公開されたりもしますが)
.    ′     /  |      |


2012009/04/19(日) 21:51:10.74 ID:KneXjk290
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 さて、こうして亡くなった家康は、
その日の夜のうちに駿府の久能山へ遺骸を移されたという。
家康は亡くなるに際し、

 「我れ死後は遺骸を久能山に納め、葬儀は江戸増上寺で営み、
  位牌は三河大樹寺に立て起き、一周忌を過ぎてから
  下野日光に小さき堂を建て勧請し、関八州の鎮守にせよ」

 と遺言したため、その通り、久能山へ葬られる事になったのである。


2112009/04/19(日) 21:53:55.01 ID:KneXjk290
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ヾヽ;;::  /k==ー---r           "":::|i}}i!il::...
   _A:.:.:.:.:...   ゙̄ヽ、            l!i!ili!| il|""''i;::;; , ,..
   /,ヘ_ー-- -'``ー---`ー----ァ       ii!{ili|l l!l.   |!
 _ノ/彡;;:7;;:___};:ミi;:*@+:;:''了ミ/      ...:;.,::|i!i!ili| |i!::..,,.ji;;...
 `ー--、,イ.!r_tt-tt!i-tr-!|l'゙゙゙´       .,,;;ヽ;;ヾ;ヽ;;;;"":..,;,;:.:,,,,.....
:..il.ll::..  _ll|.|.||:;ii;:;ii:;!|;;:;:;;:;!|l        :;:;;ゞ::::ゞ   ;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾ;ヽ
 ;:;:.._,.ィ}三三三三!l乍≡|l三三{  :;;:  ;;ゝヾ
  `i}}}l|.:|i.:_l | ._jr-!|≡≡il==-i| :;::;,;:.: ヽ;;;;ゝ
,.....,ィ/:〉:;、_rヒj:_tァに=j-一''""´ -ー---,,  """ヾ:;:: ,,.. .., ..,., ,
Zr、           _,..ィr'二ニ'==--'"
`i、j_;:{_-;'=:-ニ==-'゙¨~    ̄

 なお、この際、家康は、

  「久能山にわが像を西面して立てよ」

 とも伝えたといい、
これは、徳川の天下を覆す者が西から来ると懸念した故、と言われている。


 ──だが、「その時」が来るのは、まだ遥か250年後である。


2212009/04/19(日) 21:55:36.34 ID:KneXjk290
 さて、久能山へ移された家康の遺骸は神道の埋葬式によって執り行われ、
やがて、神として祭られることとなった。

/ /// ///  ///   __,.,.,.,.,.,.____,._ 
 /// .///  //,..-'"´         >-、, 
//// ///  //  /´゙i ゙!:⌒ヽ   `'"´ ヽ、
/// /// ./   / ,.-,ニ,、゙i,::::::::\  ,..イ rニi,
// /// /    レ'/_::::::::〉〉::::::::::::`'":::::::|
/ /// ./彡  //_'、ヽ,=-'゙:::::::::::::::::::::::::└--‐
  ゙ヽ,  /三  /::/__:::::\\:::::::::;:;:;;;;.-、:::::::::::::::::      「大権現」だとッ!?
   ,,..-v'三 iー-':`-, r''‐ァ-、\`'',.-‐'"´゙!l;;;;:;:;:;:;:;..     大御所様の神号は、
  ´::::::ヾニ ゙i;:::::::,.ノ_ヽl゙_;;;;}ヽ;ヽ_」i::::::/:::!l;;:::::::::|「     
  >、::::::::`ヽ `,ン´::,.-`,.-‐`゙''`::〉゙ヾk::__ノ l;;:_;||:       「東照大明神」
  ,r'゙〉::::::::::::} レ',.-'´:::::::::::::::::'::::::::::/二二,`ー--     
  {::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::::::::::::::::;:;/;;;ヽr';;;;ヽ,.:;:;:       これで決まりだッ!
  ヽ;:::/::::::/ /:::::::::::::::::::::::,,;::::::::::::::l;;;;;;;:::゙ヾ',ノL;;:      意義など認めんッ!!
   .)/::::::/ /::::::::::::::::,..-、ヽ::::::::,;:ノ;;;;;:::::::::::::;;;;;//     
  ゙}/:::/ /::::::::::''∠__,...、.ヾ__ '"、::::::::::::::::__//::       この崇伝と大御所様の間の深遠なる砦に、
  ::゙i´   j::::::::::::::l  ヽ`+、゙--、 ゙!|::::::::::/,.-7''゙ーy'      貴様如き薄っぺらな藁の家が
  l:::゙i,  |:::::::::::::::゙i,,  ヽ,,,_ヽ/ .!|:::::://:::/,.-__;//      踏み込んでくるんじゃあないッ!
   i,:::ヽノ:::::::::::::::::::::`゙'ー、    〉':::://:::://:/  //      わかったかッッ!!
  l,゙i,::;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::;;;゙''ー'":::://:::/-':::ノ ///     
  ;゙i,.ヽ;;;;:::ヽ、:::::::::::::::::::::;;'゙:::::/ レ'::,イ´´/ /// /
  ;;;/ \:::::::::゙''-、:::::::'"゙:::/-;:ジ) /// /// /      「いや…それはどうでしょうか…?」
  / .∧  `'-、::::::::`゙゙'''";:;,..-'// ./// /// //
          金地院崇伝

 そのため、家康が亡くなってから1ヶ月も経たない五月三日、
家康の神号を「大明神」にするか「大権現」にするかの論議が行われたのである。


2312009/04/19(日) 21:58:45.26 ID:KneXjk290

 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;   あなたは「大明神」と言いました…。
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;  だが、それは違います。
 ヽ      i;  ___,,i_i,,__,, 丿 ノ ノ
  \     ';  `゙=ー'ー'ー'ー'一"´ |i / /   「大権現」であるべきだと神…いや、御仏も仰られています。
  ミ\     i;   `゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙""´   ;: ノノ
  /  ヽ        `ー,一"    ノ/ 
  /    \             ノ'ヽ      「なん…だと…?」
 .|     `ヽ          /  |
 .|       `゙ー、____________,,/    .|


 「東照大明神」を家康の神号にするべし、と主張する崇伝に対し、
「東照大権現」とするべし、と主張したのは、
この時、崇伝との論争の相手となった一人の人物であった。

 その人物は…。


2612009/04/19(日) 22:00:22.25 ID:KneXjk290
             _,. -―,.、
          _,. '" .:.   ヽト-、_
       _,. -'´   .:     丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
    _, '´    〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
  ,. "   丶.: "":.   /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.:   :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ     何故ならば、「大明神」では、
 /    . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、          l    かの「豊国大明神」と同じだからです。
 l     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ    、ヽ.   l| l   
 {   .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、  _  ヽ ,トシr'     太閤が大明神となった後の、
 '、  .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}   丶  :.:./     豊臣家の結末に思いを馳せるならば…
  ヽ .:  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、   / :./     大御所様の神号が、
   l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"'  _,ィ":.:.l     
   l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::.  .:.:.:.:.:.:.:/        「東照大権現」
   `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    '、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/          となるのは明白と言えましょう。
     ヽ、:.:.:.:.:.:  /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"  
     /`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:.....   ',          
     !:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:.....  」         「ああ…ッ!?バ、バカな…ッッ!!」
     「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l          
             南光坊天海

 崇伝と並び、家康に重用された僧、南光坊天海である。
彼は、「大明神」の神号を受け、「豊国大明神」となった豊臣秀吉と、
その後の豊臣家の辿った運命を例に上げ、崇伝の意見に異議を唱えた。


30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2009/04/19(日) 22:04:10.71 ID:KneXjk290
.    __  __
l l:::::::l : 5 l:::l 2 l::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;i:::::::_,/:::::::::::::::_,/     /::::l   / l   .l ̄ ̄ ̄ ̄ l
l l:::__.l :___├l__.:.__l:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;:- '::::::::::::::::::::::i'   ,-,_,,...-'::::::::"i i"  i'.  .l : 落  l
l l::l :7 l:::l 3 l:::::::::::::::::::::::::::::::,,-'':::::::::::::::::::::::::;-',-'"'-'::::::::::::::::::::::::l l:l /.     .l : ち.   l
.l l:l_:__l:::l___l::::::::::::::::::::::::,,- ''::::::::::::::::::::::::::::::/./::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l::l:/.    l : つ  l
..l l:::::::::::::::::::;;;::::::::::::::::::::::::/:l:::::::::::::::::::::::::::: _,,.-''./:::::::::::::::::::::::::ii:::l"'ゝl l:/     l : け  l
...l l:::::::::::::;;;;::::::::::::::::::::::::::/:::l;;:::::::::::::::_,-''"_,,. -''"::::::::::::::::::::::::::::i::l /=/┌‐‐‐‐‐‐ l____.l
 .l l:::::::::;;;:::::::::::::::::::::::::::/::::::l "'-'''"_,,-''"::::::::::::::::::::::::::::::::/"i:::/ /:/  l : こ 考 心 l   
  l ̄ ̄ ̄ ̄.l:::::::::::::::/:::::::::l  /":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/_.._l/ /:/  .l : ん え を .l
  l 落 ¬ 落 l:::::::::::::::i:::::::::::l--'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::':;;,::::'': ̄l //    .l : な る 平 l
  l ち 素 .ち l::::::::::::::::;'i,::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,i'i,'' "    l   .時 ん 静 .l
  l つ 数 つ l::::::::::::::::::;;;i;::::::l:::::::::::::::::::::::::  :::::::::::::::::::;;,:/        l.  ど だ に l
  l .く .'‐ く .l:::::::::::::::::;;;;;;'i.::::l:::::::::::::::::::::;;  l'iY:::::/i:::::::/           l.  う : し l
  l ん を ん l:::::::::::::::::;;;;:::::i,:::l:::::::::::::::;;-'i;; i,i_i,:::i'-,::::/         l  す .: て l
  l だ 数.だ lヽ二''.-::;;;:-''"'i,:::::::::::/  "'"  "  "'            l  る     l
  l .: .え : .l  i i'‐- -''"~ "''"                       l  か     .l
  l__.て___l                                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 だが、落ち着いてもどうにもならなかった。

 結局、このことが決定打となり、家康の神号は「大権現」と決まった。
そしてその死後、僅か1年7ヶ月で久能山東照宮は造られ、
家康は「東照大権現」として神となり、祀られることとなったのである。

 またこれにより、天海が株を上げ、崇伝は下げることになったという。


3112009/04/19(日) 22:07:45.04 ID:KneXjk290
              .  -―: .  .
          , -‐くス´ . . . .: .: .: .: .: .`: .、
        /     Y〉.:.:.:.:/.:.:.:.:.:._;.:.:.:.:.:.:.ヽ
        _|    /〉.:.:.:./. :.:.:/.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.
       〈入_rくソ.:.:.:./\>' //.:.:.:l、.:.:.:.:ト、     というわけで天海登場じゃ。
       く/// ハ_〉_:_;':/`ヽ |:l:.:.:.:.ハ/|.:.:| l    家康の…徳川家のブレーンの一人で、
     ,く// /.:/|ハ/ \、  Wlル'‐〈/l.:.i| |    俗に「黒衣の宰相」と呼ばれる天海じゃが、
     /.:/.:〈_/.:人|.:l:i^ー′    __∧;'.:.|レ′   実際に「黒衣の宰相」と呼ばれていたのは
     ̄///.:.:.:.:.:.|.:|:|'''     〈__/ノ.://.:廴〉    崇伝の方だったとも言われておるの。
     ´ /.:/.:.:.:.:.|.:|:|      ' ,,, /.://.:/lヽ>
       '/7.:r,=|.:N\__´’  イ.://.:/l |       ただ、出身や前半将の経歴が不明である事から
      , -‐くr‐|l.:ヘ:|/,三三]__,⊥!//.:/八|      「実は生きていた明智光秀」「足利将軍の落胤」など
     /   ,' . :ー:-〈〈:_:_: : :〃 ∠ 'イi/        様々な説が唱えられ、伝奇的重要度では
    i  l/ . : : : : :ヘ∨: : :|l    |   /\    崇伝より数段上の扱いをされることが多いのじゃ。
    | / . . : : : : : {燕}、: |l/     | /   `ヽ
    |  . . . : ; : : : : : .\」l    /__   /    「陸奥国会津郡高田の郷にて給ひ。
    | i . . : : j!: : : : : : : : .|   /_,ゝ、ヽ/       蘆名修理太夫平盛高の一ぞく」
    | |. : : : : : : : : : : : :|_< rく \ ヽ 〉
    | |. : : : : : : : : : : : : l/ ∨    /       などと書かれていることから、
    | | : : : : : : : : : : : : :〈  /〉ー<〉       会津の蘆名(芦名)一族出身では無いか、
     ′| : : : : : : : : : : : : :∧//  /        と言われているが、実際は不明じゃの。
    .'   | : : : : : : : : : : : : :! 〈/  ̄/
  /   |: : : : : : : : : : : :人__/〉           …双子だったかどうかじゃと?
  /    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ∧、<          そんなものはわしの知った事では無いわ。
. /    〈______, イ :|iヘ.:、\         「柳生忍法帖」とか「Y十M」とか言われても知らぬぞ。
/   / 八       ノ |: :|| V.:、 ヽ
 ̄`ヽ/ /         /   |: :||  ∨.:、/
    〉′            | 〃   |l: :i


3212009/04/19(日) 22:09:16.51 ID:KneXjk290
         , - ―― -.-. 、
        /: : : : : : : : : : : : : ` 、          まあ、それはともかく、
     /: : : : : : : : : : : : : /: : : : ヽ        こうして家康の神格化は進められたわけじゃ。
    /: : : : : : : : : : :l :l : : :l : l: :l :ヽ:ヽ      家康の遺言では、
   ,' : : : : l : : l-、r'l :| : : :| : |: :| : : l: :',
   l: : l : : l : : l`ソ__l.i、: : |::/j<:|: : : |: :l        「下野日光に小さき堂を建て~」
   l: : l |: : l : : |/_―l|ヘ: : /レ'__ヽ: : :l: :l
   |: : :| l: /l : : lイ:::`jヽ ∨ィ:`j`l: :l : |: l       とあったが、1年後、改葬された先の日光には
  ,i'|: : l: l:ヽl : : l `-'     ` ' l: :|: :l: :l      大規模な造営がなされたという。
   l: :∧l |、l : : | :::::     ::: / / /: /      今も残る「日光東照宮」じゃな。
   ∨  ヽ/`r、 > _  ' , </l// l/
         ,r,"'^'``ー-、T   l/          ちなみに家康の神格化と入れ替わるように
      //         \            徳川家は豊臣家の威光を消す為に、
       //           \          太閤から「豊国大明神」の神号を剥奪、
    ,/ /     , - =―- 、ヘ          .神として祭る事を禁じ、
   < <.     /'   _    `ヾ,         豊国神社も荒れるに任せたそうじゃ。
    \\  //  /      ',  l     _   (神号は明治維新後、復活する)
     l \`'/         |  |  ,  "  ` 、 ___
     | l `'  /       |  l "     , ''     ヽ
     | ',   l        l イ     /       ',
     |.  l.  |       /  l、             l
     ,'  |  l        l  l、ヽ/         , l
    /  /  l      l   |\\          /__/
   /  /  /        l    l\`、`ー 、    ///
_/  /    l      l    |  l `ー, l     ///
{.     l    l      l     l  l    l |   ///
\   l    l      l    /  .l   ハ. ///


3412009/04/19(日) 22:11:20.46 ID:KneXjk290
 また、家康は死に際し、殉死を固く禁じた。
そのため、家康を追って殉死した者はいなかった。

 今、この時、亡くなろうとしている一人の男を除いて…。

    〃     /l  l、    ヾヽ   ミ ヽ
〃   !il  ,.イ /;;;', .l;;',  l、   ヾ    ',    
  , /   /;;;l ./;;;;;;;ヽ l;;;ヽ l_,ゝ、!l li  |l l    
/./〃/. ̄`l/‐、'''''''ヽl ''´ヽ|  ヽ   ||  |
 / ./l ===。、 ,,,, ===。=`i r‐-、  .|    
.//  l `'---/::::''''' `''ー一 '´::|li!|- 、 .l .|     …正純、
.    l`ー-/::::::::    'ー--‐''´:| |--l l.l!l    どうやら俺は大御所様に呼ばれているらしい。
     l /::::::::::::、    ヽ、_:::::::|li!|--l .l l    おそらく、もうすぐにでもあちら行きだ。
    <_,,  -- '       :::ヽ:::| .|- '´ノ ll     フフフ…。
      l'ー─────一`::::l:::;V`''''´ll lヽ   
       l  ,,,,,,,,,,,,,,, ::::::::::::::/ l ll  i!l ヽ   
        l  ;;;;;;;;;;; :::::::::::/;  l li!  l  ヽ
         i. ...::::::::::::::::::::/;;;    l  li!.l   ヽ 
 .     _∧::::::::::::::::::/;;;;     l li!,'     ヽ、_     
,,、、-‐'''"´/  ヽ;:::::::/;;;;         l /      l  `"''ー-、、
     /    `´l;;;         l/      l
    ./      l'          l      l
          本多佐渡守正信


3612009/04/19(日) 22:13:16.51 ID:KneXjk290
      / ⌒`ー '' ⌒ `・、
    γ /し^ ~、/ー^ーヽ ヾ   
    ;' τvw、,vwv~Vw、)λ  
    i      ∧       !  
    'l   ,., ノl ノu ヽiヽ   j    し、しかし父上。
    λ/ー-   -`-ヽ,イ   殉死は大御所様の遺命により、
    !(|| ̄o` ,.  'o ̄ ||)!    固く禁じられているのですよ?
    ヾ| u `¨ ゙  `¨′ |/    大御所様の側近中の側近であった父上がそれでは…。
     l\  ,-亠-, `' //    
      `l/l\ ̄, ̄ イヽ    
      /=|  ` 、_/ |ニl.._
 _-‐'"´|=|\    ./|ニ| `ー-.._
     本多上野介正純

         __、─- 、
        > ,, `  ,, '´ ゙̄,Z._
       , ' i!i   i!i  !ii   !! <     
.      / ii!  !! i! , ii ハ ii! ii! ヽ       
     l i! i!! ,イ /l./--l ト ii ii l
      | i!,.、ii /‐l/-'、 ̄,V-|ハ ! N        フフフ…殉死?
      |!i.|.f1.| =。===.,, ,。===lW        この俺が大御所様の命に背くわけねえだろ…。
      |.i!|.「l | `ニニ´  ヾ二 l
     |ii ヾlノ.  , -‐' r _ \l   (._ ⊂    この俺の死はあくまで「病死」…ッ!
      /| ii /'\ ′'フ",二二ニ⊃   ,)   )  前々からの病気で、俺がロクに歩けもしねぇことは、
   _/):| /    \/ ,. ´二ニゞくう ( r '´   誰もが知っている事…。
‐..T....|((::K    / /./ ´, ─_'ニ\>,_'ノ    ならば、仕方ない…「病死」なんだからな。
.....|.....|::)):l(ヽ.  / ' '  .仄l ..|.....|....T..‐   
... |.....|((:(:l))(:><:\   ノ(:((:l...|.....|.....|....    
....|.....|:)):)l/./..>、:`:く)::)):))l .|.....|.....|....


3812009/04/19(日) 22:15:13.48 ID:KneXjk290
          ,.ゞ ̄ `ヽ,. -‐;z..__
           /         ′ <
          /              \
        i         , ノ'ヘ    l    だ、だから、ですか?
.        l       ,.ィ /|./ u│ハi、 |   大御所様が亡くなった後、私に家督を譲って、
       |      /‐l/、'   ,レ-'‐W   隠居されたのも、全て、このために…!?
.      | r=、 r' ====`   ,'===/
.        | {にl |  `゚ー '  /゚-‐7      でも、いくら病気自体は事実とはいえ、
.     /| ヾ=lノ ij     u  ̄//     ロクな治療もさせずにおけば、
    _/‐|  / ヽ.   ⊂ァー--〈、     死期が近づくのも当然…ッ!
 ¨  ̄ l=|/    \  l ',二二}j     っていうか、タバコはお止めください…!
 : : : : |=|ヽ.       \|,'  ;‐─{、    
 : : : :.|=|  \     ,_l ,'   lニン : `丶   父上、やはりこれでは大御所様の遺命に……ッ!
  : : : |=|、   \ _//,ヽ.___ノイ: : : : :    
  : : : |=|::\  ,.イoト〈/./ /.//: : : : : :

     _. -‐- 、 ,. -─;-
     >- !i! ′ !i!  ̄`>
.    /  i!i  !ii  i!i  i!i \
   '7"´!i!  i!i  ,.、 i!i  !i! ゝ      …やれやれ…正純。
.   イ !!i , ,ィ /-ヽ. ト、 ii! ii |゙     どうもお前は…今ひとつズルさというか、
   | i!i /l/‐K ̄ ,ゝl‐ヽ!、i! |      いい加減なところがない…。
   ,h ノ==。= ,  =。== i r〈
    |f_|.| `二ニ | | ニ二´ |.|f,|       しかし、その生真面目さは、
    ヽ_|| , -‐' 、|_レ ー-、 ||:ン      政の世界では通用しない…ッ!
     ハ l ー───一 l ハ       乱戦よ、政というものは…!
_,.. -‐1:(:lヽ.   ==   /l:((!`''ー-
...l.....l....|::):l ::\    /  l::)):|....l.....l   それでは足を取られて終わりだ…!
...l.....l...|((:)l.  ::::`ー'´::   ,'((::(| ..l.....l
...l.....l...|::))(:ヽ.  ::::::   /;リ::)):|...l.....l


3912009/04/19(日) 22:17:00.64 ID:KneXjk290
  ,' ,イ /. /‐l /、l /:::::::::::::::ヽ l;:ゝ l'ヽ. ヽ      
. ! / l ./ | /:::::| /::::l/\::::::::::/ヽ!:::ヽ!:::ヽ|::\       いいか。
 l/ |/ .l/l:=l/==。=、::::::::__ ====。=:::| |⌒ヽ   真面目である事は、悪癖だ…!
.       l ` ー--;;/:::::::"" ` ー-‐ '::´:::::| !⌒! !  かくあらねばならない…なんて考えは悪癖だ!
       l  ー-/:::::::::::::   ` ー--‐ ':´:::::::| .|⌒! l   もっといい加減に…柔軟になれ!
        l r/::::::::::::__:::)   `ー- 、:::::::::::| .|、_ノ l 
.         ゙!ー ,_________、゙!::::::::| .!、_,ノ    そう…政を…「勝負」を楽しめ…ッ!
         i             .:::::::!::::/l∧   

        ,, -‐''" ゙̄`ヽv'" ゙̄` ‐ 、_
      ∠´_..           -ニ_~
.      /´                `ヽ、
      /                  \
     l               ∧         l、
.     |           /l / . |. ト、i、.   ヽ、!
    │        /| /.| /  .|.| .l.,|_l.,ヘ   l.
     |   __  /|/゙|/`|/、u  | /l l Wヽ|
     |  ./‐ヽ | ==== __  ,''===== |      …父上ッ!
..    |  || ~)| |  ` ‐-゚‐' ''' /:.‐゚-‐'´ |      政を勝負などと…!
    │ || 6|.| u      `‐-;    l      それで、もし失敗すれば…この本多の家は…ッ!
.      |  ヽゝレ            / v l     
.   /|   /':\   ⊂ニニニ⊃   /     
  _/==|  /   ::\    __    /        「本多の家、か…」
''´ l====| /      ::::\   ̄ v  /
::::::|====|/        ::::\   /_
::::::|====|\        :::::\/=l::::`..‐、
::::::|====|  \        :::::::|===l:::::::::::::`..、


4012009/04/19(日) 22:19:07.34 ID:KneXjk290
       -:─- 、 ,. -─;z.. _
     ,  -‐ゝ. !i ′ i!i  ii  <
.  ∠..._  !!   !i   !i  i!i \     
.   , ' ´!!   !ii  !ii  i!i  !i  ヽ
 ∠ -;:‐ !i  !i ,、!!  ii!  !i!   !i l          …なあ、正純。
.  , ' i!i , ,ィ ./ーゝ.!ト、i、. 、 !ii   i! |         もし、お前がこの本多の家を保ちたいと思うのなら…。
  /.イ ,ィ'l/`K  ̄ ,ゝ!ヘ.「ヽ!\ !ii  !i|         加増は受けるな。
.   l/ l===。、 ,, ===。=:| r=:、 :|         そんなものは飾り…「人生そのもの」じゃない…!
.       l`ニ/   `ニ二´ |iFvリii|
      l/  __-, ー- 、 :|l_ン |          ただ、徳川の世で政の腕を振るえることを楽しめ…!
       `i ー───一 l ,.ヘ !i i!ト、        成功しよう…大身になろうなんて考えるな…!
.        !   ---    /:: ヽ :|(:ヽ        前にも言ったが、石高なんざ低くても…小身の身でも…。
       ゙、      /:::    ヽii|:))::\      熱い小身なら上等よ!
.       _,.ヘ.  ./::::     ヽ!(:(:):):|`T''ー-    
 _,, ..-‐..T"./)(:`イ::::       /::))((:(|....l.......l.   …わかったか?
 .......l.......l.../(::))::):|       /::)):((:::):)|....l.......l.
 ......l.......l../)):((:((:|    /:((:((::))):((::|....l.......l.
 .....l.......l/((:::);.ベ|   /));.べ::)):((::)):):|....l.......l


. ! / ! ,イ:::l /‐K    ゝ!‐\T:::N:、       ,!
 レ' l/ l キ==、   _ =====::|. r‐ 、 i 
.       l.` ー-゚,;) u ´ ` ー-゚ :::´:::| |-、 l |      この家を保つ為に、敢えて今の地位に留まる…。
      l ┌‐'"       u :::::::::|.l_;ヲ/ |.     そういう、ことですね…?
        l !           ::::::::::|Lノ ノ      (また、それか…。どうして…父上は…)
       ! (ニ二二二二⊃ ::::::::::/'\ 「


4312009/04/19(日) 22:21:01.47 ID:KneXjk290
     __   ___,  /!
.   /-、} / 、∠. イ  レ'|    |  
  // // l   !\  |  \|. ! | !
  l l//   \ ヽ >   __.」 1. ル'  
  ̄l'" / ̄`ー     ゙ 「   レ' l/   (…納得してねぇか…。ま、しょうがねえ)
.  |.    \  r  │       
.  !      \ ヽ │         ま、そういうことだ。
. !_.」     ,へ._/\」 ┘        よぉ~く憶えておけよ。
 |│   ./               
. l.l    /                  さて、そろそろ時間が来たな…。
イ`!`ー-'                  じゃあな、正純。
. | |
 ||

        __   __
    /    `´ -=`   
    /          ヽ て
   l      /ヽ   ヾ` そ 
   |   ノレナメ |j-レリ トl   
  │fr|.代。ラ 〈。ラレ      …父上ッッ!?
  │ゞ|| u  7  /    
.   | /\ ⊂ニ⊃/     
-‐f´|/   \  /__
:::::|=|       `i=|::::::::::::::   
:::::|=|ヽ    /|=|::::::::::::::


4412009/04/19(日) 22:23:05.05 ID:KneXjk290
  lll  ll  , /::/.// /::::::::\ヽヽ  ヽ ヽ
      ///_.//:://  ̄ ̄ ヾi,::\ ト|ヽ|
 lll  ll //'  /'`メ、    ,r'`ヽ::::ヽl    
     / ===_=== ≡  ./=_==== .|    
 /'⌒| ll|:::::::`ー--‐'" :::::::::::\‐-‐'" |    (行けッ…放たれろ…ッ!
 | l⌒| |::::::ヾ~::::'"ソ :::::::::::::::::\ー' |     飛散しろっ本多正信……!!)
 .| |二|ll |:::::::::::` ̄ ノ r‐:::::::::::::::::ヽ、    
  | !  | |::::::/ ̄ ~     ̄  ‐-- '    
  ヽこ, リ、::/:::::ム──────‐‐i .|     「父上…父上ーーッ!」
    /ミ :::\::::::::::::::          |    
   /ミ  :::::::\::::::::::::: ミ三彡   /     
   /ミ   ::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::/      
  /ミ     :::::::::::::\::::::::::::::::::::/
  /ミ      ::::::::::::::::\::::::::::/;|`ー,
  ヽ、      :::::::::::::/;;ヽノ;;;;;;| 7

 家康の側近中の側近、本多正信は、
家康の死後、僅か2ヶ月足らずの六月七日、
さながら家康の後を追うように亡くなった。
前々から患っていた病故の死であったという。
享年79歳。


4512009/04/19(日) 22:25:48.36 ID:KneXjk290
               ___
              |    |
              | 本 |
              | 多 |
              | 正 |
           ,,,.  | 信 |   ,'"';,
          、''゙゙;、). |    | 、''゙゙;、),、
          ゙''!リ'' i二二二二!゙''l!リ'''゙
           ∥  `i二二二!´ ∥
           昌 |: ̄ ̄ ̄ ̄:| 昌
          | ̄:|_|;;;l"二二゙゙l;;|_| ̄:|
          |  :|::::::| |;;;;;;;;;;| |::::|  :|
          |  :|::::::|┌─┐|::::|  :|
       ./゙゙└‐┴ ┴l,,,,,,,,,,l┴┴‐┘゙゙゙゙\
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
        ̄|三|三三|三三三三|三三|三| ̄
         |  |:::  |: :    : : |::   |  |
         |  |:::  |: :    : : |::   |  |
        /_|:::  |: :     : :.|::  :|_ヽ
       _|___|;;;;;;;;;;|,;,;,,,,,,,,,,,,,,,;,;,|;;;;;;;;;;|___|_
       l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l

 さて、こうして家康と共に、徳川幕府の創業を行った本多正信は亡くなった。
また、家康が亡くなったことで、本多正純を初めとする駿府で家康に仕えていた者達も
江戸へ戻り、秀忠の下で働くこととなった。

 これにより、これまで江戸と駿府…即ち、
大御所である家康と、将軍たる秀忠の二元政治というべき体制は崩れ、
幕府の全ての権力を二代将軍たる秀忠が握る事になるのであった。


4612009/04/19(日) 22:27:09.75 ID:KneXjk290
  \         /_ /     ヽ /   } レ,'
  |`l`ヽ    /ヽ/ <´`ヽ   ∨   i レ'
  └l> ̄    !i´-)     |\ `、 ヽ), />/
   !´ヽ、   ヽ ( _     !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬
  _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '')  ""'''`` ‐'"='-'" /    !   !    くくく…これでこの日本は俺のものだ!
   |  |;:;:;:{     ̄||     ,..   -> /`i   !   !  まずは手始めに…!!
   |  |;:;:;:;i\    iヽ、    ヽニ‐', /|  i   !   !
  __i ヽ;:;:;ヽ `、  i   ヽ、    / =、_i_  !   !
   ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i   /,ゝ_/|  i   ̄ヽヽ !  ! ,,
    ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ  ノ      ヽ| / ,、
                 ̄ ̄ ̄            Y´/;:;:;\
            徳川秀忠

 そして、後を継いだ二代将軍秀忠は、
元々の側近たる土井利勝、酒井忠世を中心に新たな幕閣を形成。
それまで家康の陰に隠れていた面もあった秀忠の政策が、
前面に押し出されるようになったのである。


4812009/04/19(日) 22:28:29.03 ID:KneXjk290
       ,,;;;;;''''                           /  / '", /   /
      ,,;;;;;;''                           /"  / /      /
     ,,;;;;;''                           | _       ,,  /   忠輝!
    ,,;;;;;;''                            |/ .ヽ 、   // //   お前は改易だッ!!
     ,,;;;;;'                            |/、 '"ヾ,   / /_    くらえッ!
     ;;;;;;''                            |/|  l/─‐‐、=‐''"/''''''ヽ
    ;;;;;;;                             冫ヽ,  / /:ヽ=/:::::::::::::::ヽ
   ;;;;;;;;                               ゙ヽ、 /‐'":::/=,|:::::::::::::::::::
   ;;;;;;;                            /:::://::::::/'"  | |:::、::/::::::::
   ;;;;;;;                          ,,-‐'"、/|ヽ,,-''"     lヽ、ヽ:::::::::
   ;;;;;;;                         / :::::::::/  ̄||   ___/'"‐-,ニlヽ:::
   ;;;;;;;;                         | :::::::::::|   llニ二二|"  /ヽ/   ヽ
   ;;;;;;;;                  ,、 /|,、/"ヽ、::::::,,,-ヽ/ニ二二二|  /、/  /
   '';;;;;;,                 | l,,,| |/ |::::::::::::l''"  | |ニ二,,-‐─ヽ-//   /"
     ;;;;;;;,                ヽ  |l  ゙‐--',    ヽヽ‐'"-‐''''''''''''ヽ、〉   |
    ';;;;;;,,               ,-‐'' ヽ、、,-‐'"     l,/::::::::::::::::::::::::::|   /‐-
     ';;;;;,,                ゙゙゙̄'''‐''"        /::::::::::::::::::::::::::::::::| /_'"|
     ';;;;,,,                           /、::::::::::::::::/::::::::::::::l",-|_,/ /
      ';;,;;,                         /:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::ヽ‐' //
      ';;,,,                       /:::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::|  '‐"
      ';;;;,                     / ::::::::::::::::::::::::::::/|:::::::::::::::::::::::|
       ';;;;,                   / :::::::::::::::::::::::::::/  |:::::::::::::::::::::/
       ';;;;;;                  /:::::::::::::::::::::::,,,-'"   ヽ:::::::::::::::::/
       ;;;;;                  l::::::::::::::::::ヽ'"       lヽ::::::::::::\
       ;;;'                   ヽ::::::::::::::::/ヽ      |:::::::::::::::::::::|、

 そんな秀忠が最初に行った大きな出来事のひとつに、
弟である越後高田藩主・松平忠輝の改易があった。
忠輝は元々蟄居となっていたが、秀忠は七月六日に改易を命じ、更に伊勢朝熊へ配流とした。
名目は、大坂の陣における数々の問題行動が原因ということになっている。


5012009/04/19(日) 22:30:13.41 ID:KneXjk290
     /⌒ー 、
   (⌒ へ    \
     ̄  \    \
       /       ̄\
     / ・・・・・`ヽ   ノ・・
    /             \
  _/        \  /   |
 /         ""    ""
 | 0  ) ⌒ \_______ゝ   / ̄ ̄ ̄ ̄
 |     |                <  …へへ~わかったよぉ
 \    ヽ             ___   \____
   \   \         / /
   /ヽ     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /\ 
      松平上総介忠輝

  \         /_ /     ヽ /   } レ,'      
  |`l`ヽ    /ヽ/ <´`ヽ u  ∨ u  i レ'         
  └l> ̄    !i´-)     |\ `、 ヽ), />/        
   !´ヽ、   ヽ ( _ U   !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬. (堪えてない…だと…!?)
  _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '')  ""'''`` ‐'"='-'" /    !   !   
   |  |;:;:;:{  U u ̄|| u u  ,..、_ -> /`i   !   !  
   |  |;:;:;:;i\    iヽ、   i {++-`7, /|  i   !   !  
  __i ヽ;:;:;ヽ `、  i   ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_  !   !   /
   ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i   /,ゝ_/|  i   ̄ヽヽ !  ! ,, -'

 忠輝はこの命令を受け入れ、配流先へ赴いた。
以後、元和四年(1618)には飛騨国高山藩に、寛永三年(1626)には信濃国諏訪藩に流され、
天和三年(1683)まで生き続けたという。
既に六代将軍家宣(つまり秀忠の玄孫)の治世であった。
享年92歳。


5212009/04/19(日) 22:32:23.75 ID:KneXjk290
                   /   /      ,,;;;:::'"        ゙   \
                  /     /     ,,;;::'"              ゙、,,,,,,,,,_
                 / /ノ   |     ,;;::'"       ヽ-,       ヽ   ゙ヽ
                 ./           '"          ゙        .| ヽ、
               ,-,,|               l〉             ,,‐-、ヽ、
            /"'''/  |                                \
          ,,,,/  ' /"|                                  ゙
      ,,-‐''"ノ./    / |  -、                             |l   この「野風の笛」があれば、
     /    / |   |  .|    ゙ヽ ヽ   , ,- _,,,-                  |||  別にどこでもいいもんね~。
    /    _ |  |   ゙、 / 二ニ ゙、 .|  /'" ,,‐" ,,,-‐''ニ-‐         |l    |l  べろべろばぁー。
   .//ノ,,-'''''"  ヽ、|   ノ   ゙"ヽ ゙、' ./"/ ,,-二-'''"'"  ̄        | l
  / /   ゙''ヽ_-、 ゙ヽ、./     ,,-、  ゙  "  "    ,,,,,_           ヽヽ_,,-'"   「ワンワン!」←笛の音色
/ /   ,,,-'''" ゙ヽ--‐─,,‐-、,,, |::::::\       ,-'"::::::l             /
 /   -‐',-''''Tフ"    ,,  ,,,  \''" ゙''ヽ──‐'"-、:::::::/            /   /
 ゙"'''ヽ、,,/  / ヽ、. | || ヽ\、.  ゝ  /       ,/            /  /
        / _ ゙''' \ヽ,,  -、゙、 ヽ |l     /''"            /
        | (  ,,,,,,,,,, /"-、  ヽ、  |     /            ,,-'"/
       /   ヽ / l||:::::ノ //-、 ヽ    |         ,,,,-‐''",,-'",,-'"
     / ,-     l: ヽ ̄ .// ,-、l〉 .|    /,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,;;-‐''''"''",,-''",,-''"     ,,/
    /  / =、     ゙ヽ‐''"''/、 ヽ' ノ   ./,,,-‐'''l-‐、-‐''",,-‐''"-‐'"    ,,,,,-‐'"::::::::
,,,,--、,,,|  〈   \       ̄ | ヽ  \,,,,-イ /|  "  〉 ̄"''''''''ヽ、 ,,,,-─'''" ./ /:::::::::::::
  / |   \-‐メ゙、       ∧   ヽ_,,-‐''"ヽlヽ ‐'l      \    //:::::::::::::::
/   ヽ    ヽ,  ヽ-,,,,,ゝ-'''"  \   ノ    ,,-‐-、-' \     .\  .//:::::::::::::::::::
    / \   |           ゙"''"   /、"''|  \ヽ .\    .\/./:::::::::::::::::::::/
  /   ,,\  |     ,,-─--、,,,,    /  \\  ゙‐'        \:::::::::::::::::::/

 この時、忠輝は、家康から母・阿茶局を通じて贈られたという「野風の笛」を持っていたという。
これは「信長→秀吉→家康」と渡り継がれてきたもので、家康は、死の床に際し、
駿府まで来ていた忠輝との面会は拒んだ(既に忠輝が蟄居を命ぜられていた為)が、
その代わり、この笛を忠輝に贈ったといわれている。


5612009/04/19(日) 22:36:01.36 ID:KneXjk290
 さて、この忠輝の改易・配流に伴い、関連する大名家へ使者が飛ばされた。
その中には忠輝の正室、五六八姫の父である伊達政宗も含まれていた(※)。

  V            /  \,.--─、:::::::::::::Ll_   /7     >''"
   V            /、  (二(二フi二}二ヽ::::::::::\ノ-/  >' ´.・^
   ',     ,.-z‐/ __`Y¨|/ / /_ ヽ Vハ::::i::::::::〉‐'| / ,. '^
    V   /´ ̄`ヽ\ ∨/   l ト、_ヒッ^ヽl !コノ:::ノ、,,_|' {  
     V  ,'::::::ヽ‐ァ'⌒ハ l    ', 、  ̄`/ /く-‐<-‐'フ ,}
     V i::::::::::::/ /´::l | ! ,. -─‐\)二)´_ノ、/´ ̄ヽ i ;     な、なん…だと…!?
     ', lヽ::::::ノ /::::::jリ-(__ ( (二ニフノ/´ i U ', V ;     い、今一度申してみよ!
      〉 ヽ ゙く_ノ::::::://  _ 二ニニ(○'イ u 、-─‐ァ' :   
     //  \__二´ィ'´ ̄l l  U        \// ,’
    /ソ  /  |  ,ノ    l し   、 , U    ,. ー、フ :      「はっ…」
   / /   /    ト- 1    .} l     l i   ∠´___L、、
 / //l/     ヽ._j    l l    | l  、   _  ,ノ ;
  ̄/  /     /   丶、... U    し   ̄   `{ i´
  /⌒   ̄`ヽ   }  ` 、:::::::::::.....        | {
 .           ',  | l    丶::::.:::::::::::::......__  ノ ;
              ', U   \ `--─ T¨ ̄ ̄ ,’
              伊達政宗

※ 忠輝の改易処分の一因には、政宗と組む事で政情不安を引き起こす危険性があったことが
  含まれていた、という説もあるので、その意味では、一番に伝えられる相手ですらある。


5912009/04/19(日) 22:44:02.03 ID:KneXjk290
         / ̄ ̄\
       /    \ /\
       |    ( ●)(●)   松平上総介様、
       |     (__人__)   この度、上様からの命により改易、
         |     ` ⌒´ノ   .伊勢朝熊へ配流、と相成りましてございます…!
         |         }
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

:::::::::::::::::::::::::::::ヽ、 /ニー‐ 、_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
:::::::::::::::::::::::::::::::/ |:::::::://////}>- 、____::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::、
:::::::::::::::::::::::::/  |::: /!//////|::::::::::////////}`ー──- 、__::::::::::::::::::::::::::::}
::::::::::::::::::/     |:::/ {//////|:::::: /////////} ヾ'´  / ⌒ヽ}ー‐-、::::::::::/
`ヽ 、_//       |/} {//////|::::://////////    /(    (r)/ヽ::::::::::}ー'´
::::: /::: |      | } .ヽ/////|:://///////./     { ヽ __.ノ::/|:::::|ヽ}    ……………マジ?
::::/::::::::::|      |ィ≦∧////.!/////////       !ヽ   |:::/:::|:::::| }
/::::} :::::::|    ..r<///>'´ヽ./.!/////./ ''´       }    .!/: : |::/|     「マジでございます」
/}:::}:::}::::| r<///>''´    / /  ̄ ̄  '´         !   ,′: : |/::|     (つーか、顔のタッチ変わってますよ。
/|:::}ヽ!:::|////>'´                        '.  / . : : : : : |     BASARA気味に)
}}}:::{ ::::: |‐ '                               、/ : : : : : : : |
ィ|::{::::::V                               }. : : : : : :. : :|
\∧:::::|            __            r-    /: : : : : : : : : :|
  \:::::|         .,, '´___             _ '´ /: : : : : : : : : : : :|
`¬  〉|       /  //_ / ̄/`ーr─r──ァ' / : : : : : : : : : : : : |
 / /:::|        /_/  {`ー{`ー‐{ー {ー{ / / : : : : : : : : : : : : : :|

 なおこの時、幕府からの使者として伊達邸へ赴いたのは宗矩であったという。


6412009/04/19(日) 22:45:59.55 ID:KneXjk290
     _. -―-  ._        
    .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶     
 /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   
/:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ           さて、この忠輝の改易・配流は、
:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',          忠輝の罪状そのものが問題というより、
:.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.          むしろ、より政治的な処置だったと言えるかもの。
:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l 
:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|          幕命に従順であったとは言いづらい忠輝を、
:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l         将軍にして兄である秀忠が処断することで、
:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′
l:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ          「幕命に従わぬもの、将軍家に反抗的なものは、
/:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.:/            たとえ家康の息子であろうと処断される」
::ヽ::ヽ:.:lヽ {`Ti ´丶//:.:./' 
:: ::\ ヾ:: \ |:l :: :: }ヾ/              ということを知らしめる為の
:: :: :: \:: :: ::ヽl:|:: :: :i:: :∨            スケープゴートではなかったか、ということじゃな。
、:: :: :: :: \:: :: |:| :: ::リ:: :: ',            あるいは、忠輝自身もそれを受け入れたが故に、
::l :: :: :: :: :: ヽ: |:|:: :: l :: :: ヽ            従順だったのではないか、などという説もあるが、
::|:: :: :: :: :: :: ::/::l: :: ::! :: :: ::ヽ           まあ、真相はわからんものじゃの。
::| :: :: :: :: :: :/:: /:: :: l:: :} :: :: :\
::|:: :: :: :: :: /:: /:: :: :;' ::/:: /⌒`\        ちなみに、配流された後の忠輝が
::!、 :: :: :/:: :/:: :: ::,)://:: :: :: :: :: :ヽ      百済団とかいう珍妙組織とつるんだところで
:l;;;` ー´---´-‐;;;;´;;}'/:: :: :: :: :: :: :: :: i      十兵衛が出てきて云々、とかいうのは
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/: :: :: :: :: :: :: :: :: |      言うまでもなく捏造なのだから気にするな。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〈:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::|      「諏訪百合城」なんて実在せぬのじゃぞ!
: 7 ー-  .___.  ´: |`丶 :: :: :: :: :: :: ::|
:/:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ハ:: ::l f`ヽ:: ::/ :: ::|
`:: ::___;: :: :: ´:: l:: :l :|;;;;;/:: ' :: :: ハ
\:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: |:: l:: !;;/:: :: :: ::/:: }
:: ::\:: :: :: :: :: :: :: :: ::l:: :: :l/ :: :: :: :;':: :ノ


6612009/04/19(日) 22:47:55.71 ID:KneXjk290
         _. -―-  ._        
       .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶     
     /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\        さて、このようにして、
    /:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ     家康亡き後の徳川幕府は秀忠を中心に動き始めた。
    /:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',     この後も秀忠の治世は続き、それにより、
    |::.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.|     徳川幕府の礎はほぼ固められたのじゃが、
    |:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l     その政策についてはまた次に語ろうかの。
    |:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|  
    |:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l      そして、この間、宗矩なのじゃが、
    |:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′   特に新しい役職などを得てはおらんようじゃった。
    ゞ:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ     おそらく、秀忠の下で小姓番(or書院番)を務めてつつ、
     /:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.::/     剣術指南役としての勤めも果たしていたものと
     ヽ::ヽ:.:lヽ  .{`Ti/ i>く,//::/     思われるんじゃが。
    ,/、  `ー<`ニア / /_.ゝつ    
    / _. ゝ 、  /-}ト、\ ´ く        そして、この年の六月、
   ./ / ` ー-\{ー〈ハ`; \   `:、     とある入門者が宗矩の門を叩いたのじゃ。
  / /       }|::::::∨ | /`  }      これが、ある意味、後の世まで影響を及ぼしたかもしれぬ
  / /    _ __ト;::::::::ヽ l、/    ,′    出来事じゃったのじゃよ…。
 ; 〈           ヽ::::::/ r7   /    
 l 、ヽ         \),/   /.    


6912009/04/19(日) 22:49:08.32 ID:KneXjk290
 元和二年(1616)六月二十三日、江戸の柳生家の道場にて──。


      / ̄ ̄\
    /    \ /\
    |    ( ●)(●)
    |     (__人__)    では、誓紙をお入れ頂く前に、
      |     `⌒´ノ   改めて、御名前を…。
      |         }
      ヽ        }
    /  ヽ    /    「はい、私の名は…」
    /        ヽ
    i   丶 ヽ   ヽ
    r     ヽ、__) (_丿
    ヽ、___   ヽ ヽ
    と_____ノ_ノ


7212009/04/19(日) 22:50:59.44 ID:KneXjk290
          _ノハヾヽー〃〃〃∠-ンiノiヽ,
         ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ゝンi
        <´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l
        <: : : : : r='"¨ヾヾヾヾヾヾヾ¨ヾ〃>jノ:_: : : :ゝ
       ミ: : : ミ`                彡: : ミ
       ミ: : ミ                  彡: :ミ
       ミ: :ミ                   彡: : ミ
       状: ミ                    〃: :ミ
      ,ヘ: :く,.-三三三ニー、   ,.-ニニ三三ミ、彡リヘ.
.     /,ヘ 〃}{ __,.-t====、ヾヽ_f´ィ‐t===- 、_ iレヾ/i l    鍋島三平です。
     l V ハ リll  ¨゙ー`ニ´彡}::i ̄:l `ーニ´‐彡  }リ/ヽl l
     l ', ゞ∧lヘ,         /::l  :ヘ,        ノlくヽ //
     ヽヽ〈k ',l `ー──‐'':::::l  :  ゝ------‐'' l)) 〉//
.      \\{l        〔_{  _ 〉        /_//
       ヽ、_',        ヾ¨j´        /_,.-'"
.         ∧      _____      /从
         彡ヘ       __       イjリゞ
          ∧l ヽ、           / l
           _l  ヽ、       /    L
           i `ー-- ≧======≦---‐''" l
          l        ̄ Y´          l
          /          l         l___    ,. ---、
r‐‐、__,,. --==''"ヾ、         l            〉     ̄¨tニ==゙≠─
_,.-'"_ノ ̄      `ヽ、_       l     _,,.-'"
-'"´             ̄lー─'゙ゝ-─''"
              鍋島三平(元茂)

 元和二年六月二十三日、鍋島家の庶長子・鍋島三平(後の元茂)が
宗矩門下へ入門、誓紙を入れている。


7412009/04/19(日) 22:53:51.68 ID:KneXjk290
   / ̄ ̄\
 / \  /\
 |  (●)(●) |
. |  (__人__)  |      …そして、そちらの方も、
  |   ` ⌒´  ノ     我が門に入門される、ということでよろしいのですな?
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    
   /    く   
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、

         ,. -iiメlリリリlli一- 、   
       ィ´    ゛゛'""'"'      ヽ,、 
      〃i|               }ll゙ッ      
      〃ill|                リlli゙ッ      
      ,ミミトiト、               ノ}イミミ,      
   i´、Yミミ、`                  "' 、ミミY、`i   
   | {リ|ミミ j_             ,. - 、|ミミ|リ} |    ははッ…!
  人ヾミ ≦ヘミマュ、  八  ,.ィアィ' ⌒゛ ≧ミッ丿  
 〃/ ヒi{  {` ‐==ー->ヒ'__ ソ´ー==‐' ´r' l }iヒ
´ /〃`tミ `  ‐' 〈 ヽ ´7/ ‐ '  {  〉ミt`
 /〃   `i     r'_ j   i_}、     〉 / ̄
  {    ゝ 、 _   ` = "   _ - l イ
  i     {\   ̄`_ニ_´ ̄7   ,. ィ′ /
  i  \  ヾ ` ー 、      / 〃   く
      丶  ヾ   ´  ̄ ` 7  〃 _   ヽ
        村上伝右衛門貞正

 またこの時、元茂の供をしていた村上伝右衛門も宗矩に入門している。


7612009/04/19(日) 22:55:49.72 ID:KneXjk290
              _. -―-  ._        
            .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶     
          /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   
         /:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ 
         /:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',      さて、これが後に宗矩の大名弟子のうち、
         |::.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.|     細川忠利と並んで双璧と呼ばれる達人、
         |:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l     鍋島元茂の入門の様子じゃ。
         |:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:| 
         |:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l      なお、元茂自身は長子ではあるが、
         |:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′    家を継いでおらぬのは、庶子である上、
         ゞ:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ     父・勝茂と家康の養女である正室の間に
          /:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.::/     別に子供が生まれたためなんじゃ。
          ヽ::ヽ:.:lヽ  .{`Ti/ i>く,//::/     しかし、祖父たる直茂からは愛され、
         ,/、  `ー<`ニア / /_.ゝつ      後に、その隠居料も譲り受けておるのじゃ。
         / _. ゝ 、  /-}ト、\ ´ く
        ./ / ` ー-\{ー〈ハ`; \   `:、      この時は、江戸で人質となっておったのじゃが、
       / /       }|::::::∨ | /`  }      だからこそ、宗矩との縁が出来たとも言えるの。
       / /    _ __ト;::::::::ヽ l、/    ,′
      ; 〈           ヽ::::::/ r7   /       そして、この時、元茂と同時に入門した
      l 、ヽ         \),/   /       村上伝右衛門は、後に元茂の打太刀を勤め、
      |  \ヽ       _. く´ , ′   /       元茂の重臣として仕えたそうなんじゃが…
      /     `{    /  /     /        こやつには、後に一人の甥ができての、
     ./   /  ヽ /、        /         その甥は随分と伝右衛門の影響を受けたそうじゃ。
    /   /     ー‐ ヘ      /
    /   /    /  / /\   /           …その甥の名は「山本神右衛門常朝」。
   ノ   /  、  /  / /  | ` ´            そう、あの「葉隠」の口述者じゃよ。
   ヽ   {    \!__ イノ   {
  イハ ノ     / _ノ_}_. -┴―:::::::::: ̄ ̄ ̄
 .{:.:.:ヽ >-‐   ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/-‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


7812009/04/19(日) 22:58:13.12 ID:KneXjk290
 さて、時は少し戻り、元和二年早春のことである。
ところは柳生庄──

         / ̄\
        .|    |
         \_/
           |  _
        / ̄ ̄ ̄ \
      /   ::::\:::/::\     父上…それではやはり名古屋へは
     / .u <●>::::::<●> |    おいで頂けないのでしょうか…?
     |      (__人__)  j
     \、     `⌒´ /
    /  ⌒ヽ  '"'"´ (
   / ,_ \ \/\  \
    と___)_ヽ_つ_; _ヾ_つ.;.
     柳生兵庫助利厳


     / ̄ ̄ ̄ \     
   /   ~~   \    
  /   \ .i||i. /   .\   ああ、わしはここ(柳生庄)で死ぬ。
 .|   (ー)  (ー) .  |  …お清もここで亡くなったしの。
  \    ./ ´ ヽ .  /  
   /   |  ̄` |   ヽ    「しかし…」
  ヽ、二⌒)   (⌒ニノ   
   柳生新次郎厳勝

 元和二年頃には、兵庫助は主君たる尾張藩藩主・徳川義直に従い、
既に名古屋に居を構えていたものと思われる。


7912009/04/19(日) 22:59:59.12 ID:KneXjk290
        ____
      / ~~ \     
    / \ .i||i. / \     自分の体の事は、自分が一番よくわかる…。
  ../   (-)  (-)  \  わしが父上のところへ向かうのは、おそらくそう遠くはなかろう…。
  .|     ./ ´ ヽ    .|  
  \     |  ̄` |   /
  /           \

       ____
     /\ .i||i. /\     
   /  (-) (-) \    そんなわしが、今更この柳生庄を離れてどうする。
  /     ./ ´ ヽ   \  生まれ育ったのはこの地以外で亡くなろうとは思わぬ。
 |      .|  ̄` |   .|  
 \             /  
 /            \


       ./ ̄\
       |    |
       .\_/
         |
        / ̄ ̄ ̄ \
     /   :::::\:::/\
    /    。<○>:::::<○>。   父上ッッ!
    |    .:::。゚~(__人__)~゚j   しかし、しかし…!
    \、   ゜  `⌒´/゜
    /          \


8112009/04/19(日) 23:01:58.78 ID:KneXjk290
   r 、.     ,、
   l ヽ,,, -ー -', l
  /  @ o  @ ヽ
 Y , ヘ^ ⌒ ^^⌒ヽ ヽ
  l γ::..:::::..:::...ヘ、: : : ハ j
  `ノ :ノ...:ノ ノ  ヽ ::::::)    …大丈夫よ、お兄様。
  リ::::::( ( ●) (●::(    お父様の面倒は、私が見るからね。
  ハ::::ハ  ,, r‐ァ j) )
    Y ヽ    ̄イ' y
    / 'ヘ   j ̄ヽ
   /、  ヾ /   ヘ
    il     Y    il
    l ヾ .._  i!  . . イl
    l j    i!     l l
      やなぎ
    (兵庫助の妹)

   r 、.     ,、
   l ヽ,,, -ー -', l
   /  @ o  @ ヽ
 Y , ヘ^ ⌒ ^^⌒ヽ ヽ
  l γ::..:::::..:::...ヘ、: : : ハ j
  `ノ :ノ...:ノ ノ  ヽ ::::::)  …もう、当面はここにいるわけだしね…。
  リ::::::( ( -) (-)::(
  ハ::::ハ  ,, r‐ァ j) )    「やなぎ…」
    Y ヽ    ̄イ' y
    / 'ヘ   j ̄ヽ

 正確な時期は不明だが、おそらく、この頃には兵庫助の妹は離縁し、
柳生庄の実家へ戻っていたものと思われる(離縁の原因は夫との不和という)


8312009/04/19(日) 23:03:33.84 ID:KneXjk290
         ____
       /::::::::::. ~\      
     /::::::::: ⌒  ⌒.\      まあ、そういうことじゃ。
    /:::::::::: (⌒ ) (⌒ )\     兵助、お前の気持ちは嬉しいが…
   |::::::::::::::::::::  / ´ ヽ  |    死に場所くらい、決めさせてくれんか。
   \:::::::::::::::::. |  ̄` |/    
    /:::::::::::::::::::     く     
-――|:::::::::::::::::::::::::::     \-―


       ./ ̄\
       |    |
       .\_/
         |
        / ̄ ̄ ̄ \
     /   :::::\:::/\     …父上…ッ。
    /    。<>>:::::<<>。  
    |    .:::。゚~(__人__)~゚j   わかり…ました。
    \、   ゜  `⌒´/゜
    /          \

 兵庫助は、名古屋へ移住した際、妻子(お珠と新左衛門)を呼び寄せたという。
だがしかし、父母については、特に記載は無い。
そのことから考えるに、おそらく厳勝は柳生庄を離れることはなかったと思われる。


8512009/04/19(日) 23:04:59.03 ID:KneXjk290
そして─

       / ̄\
      |    |
       \_/
         |
     /  ̄  ̄ \
    /  ::\:::/::  \     …では、父上。
  /  .<●>::::::<●>  \   行って参ります。
  |    (__人__)     |  なにかありましたら、すぐ参ります故…。
  \    ` ⌒´    /
   /,,― -ー  、 , -‐ 、
  (   , -‐ '"      )
   `;ー" ` ー-ー -ー'
   l           l

        ____       
      / ~~ \       うむ、達者でな。
    / ⌒   ⌒ \   
  /   (⌒)  (⌒)  \    …兵助、くれぐれも心を込めて
  .|     ./ ´ ヽ    |   義直様にお仕えするのじゃぞ。
  \     |  ̄ ̄ |    /   加藤家の二の舞は避けるようにの…。
  /           \ 


8712009/04/19(日) 23:06:39.66 ID:KneXjk290
       / ̄\
       |    |
       \_/
      ___|___
     /u     \
    / :::\,::::、/:::: \    そ、そのことはもう許してくだされ。
  /  < ●>::::::<● >  \  俺とてもう38、流石に道理は弁えておりますれば…。
 |   '" (__人__)"' u  |
  \     `⌒ ´     /
  /ゝ     "`   ィ `ヽ.

    r 、.     ,、
    l ヽ,,, -ー -', l
   /  @ o  @ ヽ
   Y , ヘ^ ⌒ ^^⌒ヽ ヽ
   l γ::..:::::..:::...ヘ、: : : ハ j
   `ノ :ノ...:ノ ノ  ヽ ::::::)   ふふふ、今までのことがあるからねー。
   リ::::::( ( ⌒) (⌒::(   お父様は心配なのよ。
   ハ::::ハ  ,, r‐ァ j) )
     Y ヽ    ̄イ' y
     / 'ヘ   j ̄ヽ
    /、  ヾ /    ヘ
     il     Y   il
     l ヾ .._  i!  .. イl
     l j    i!    l l


8912009/04/19(日) 23:09:49.80 ID:KneXjk290
         / ̄\
        |     |
          \_/
         _|___
       /     \
      /.u ::\:::::::/::\    な、何を偉そうに…!
    /    <●>::::::<●> \  そういえば、やなぎ。
     |       (__人__)   |  お前、今もあの韓人と逢うておるそうではないか!
      \      ` ⌒ ´  ,/
.      /⌒~" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ  「そ、それがどうしたのよ…!」
      |  ,___゙___、rヾイソ⊃
     |            `l ̄

       / ̄\
       .|    |
        \_/
     ノ L__|__
     ⌒:::\:::::/::\
    / <●>::::<●>\      何を考えておるかは知らぬが、
   /    (__人__)   \    俺は許さんぞ!
   |       |::::::|     |    父上からもしっかり言ってやってくだされ!
   \       l;;;;;;l    /l!|
   /     `ー'    \ |i    「まあ、そうじゃの…」
 /          ヽ !l ヽi
.(   丶- 、       しE |
  `ー、_ノ       ∑ l、E ノ
             レY^V^ヽ ワゴンッ!


9012009/04/19(日) 23:11:07.38 ID:KneXjk290
            / ̄\||i
            |    |
            \_/
              | |ii
         i||/  ̄  ̄ \||i
         /  ::\:::/::  \||i      フェード・イン!
      i||/  .<●>::::::<●>  \i    それでは父上!
       |    (__人__)     |    おさらばでござる!!
       \    ` ⌒´    /
      i||/,,― -ー  、 , -‐ 、|i
       (   , -‐ '"      )
        `;ー" ` ー-ー -ー'|i
       そi|l           l て  カシーンッ!!
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    |   ワ     ゴ      ン   |

        ____      
      / ~~ \     
    / ⌒   ⌒ \    うむ、お珠と、新左衛門にも達者でやれと伝えてくれ。
  /   (⌒)  (⌒)  \  元気でな。
  .|     ./ ´ ヽ    |  
  \     |  ̄ ̄ |    /  
  /           \ 


9212009/04/19(日) 23:13:38.34 ID:KneXjk290
    -=三 =-=三 / ̄\
            |    |
            \_/ヽ
                 \
         -= =-=三=/  ̄  ̄ \
   -=三=       /     ::\::::ノ\     
             /    < ●>:::< ●>ヽ    ………………………。
             |       (__人__)  |
-=三 =-=三  =-=三\       ` ⌒´  /
             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
         | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
-=. =- =..-    |  ワ     ゴ      ン    |
       .二三 |                      |
         |______________|
             ◎           ◎


    -=三 =-=三 / ̄\
             |    |
            \_/ヽ
                 \
         -= =-=三=/  ̄  ̄ \    
   -=三=       /     ::\::::ノ\     さらばだ、柳生庄…!
             /    。<○>:::::<○>。   もはやここは、我が故郷ではない…!!
             |       (__人__)  |   俺の生きる地は…尾張だ!
-=三 =-=三  =-=三\       ` ⌒´  /
             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \


9312009/04/19(日) 23:15:28.49 ID:KneXjk290

             (( / ̄\))
               .|     |` ̄\
              /\_/   :::\。
            /          ::::::\゚     さらば…さらばだ…ッッ!
            |            ::: |
            \           /
             ノ           \
        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
        |    ワ     ゴ     ン   |
        |                      |
        |______________|
            ◎           ◎

 こうして、兵庫助は尾張へ戻った。
そしてこれ以降、兵庫助が柳生庄へ赴いたという記録は無い。
(少なくとも公式には)



9412009/04/19(日) 23:17:28.37 ID:KneXjk290
         ____
       /:::::::::::  \       ……兵助。
     /:::::::::::::     \     我が息子よ。
    /:::::::::::::        \  
   |:::::::::::::::::::         |    例えこの柳生庄を離れようとも、
   \::::::::::::::::::::::     /   父上の、そしてわしの血を絶やすでないぞ…。
    /:::::::::::::::::::     く     それこそが…柳生の正嫡の血なのだからな…!
-――|:::::::::::::::::::::::::::     \-―――

       r 、.     ,、
       l ヽ,,, -ー -', l
       /  @ o  @ ヽ
      Y , ヘ^ ⌒ ^^⌒ヽ ヽ
      l γ::..:::::..:::...ヘ、: : : ハ j
      `ノ :ノ...:ノ ノ  ヽ ::::::)   …お父様、まだ外は少し寒いわ。
      リ::::::( ( ●) (●::(   さ、家に戻りましょう…。
.      ハ::::ハ U, r‐ァ j) )
        Y ヽ    ̄イ' y
        / 'ヘ   j ̄ヽ
       /、  ヾ /    ヘ
        il     Y   il
        l ヾ .._  i!  .. イl
        l j    i!    l l


9612009/04/19(日) 23:19:07.63 ID:KneXjk290
         ____
       /:::::::::::  \      
     /:::::::::::::     \    
    /:::::::::::::        \    ………………。
   |:::::::::::::::::::         |  
   \::::::::::::::::::::::     /   
    /:::::::::::::::::::     く     
-――|:::::::::::::::::::::::::::     \-―――

         ____
       /::::::::::. ~\      
     /::::::::: ⌒  ⌒.\     
    /:::::::::: (⌒ ) (⌒ )\     …そうじゃな。
   |::::::::::::::::::::  / ´ ヽ  |    やなぎ、後で少し、足を揉んでくれんか…。
   \:::::::::::::::::. |  ̄` |/    
    /:::::::::::::::::::     く      「ええ、いいわよ…」
-――|:::::::::::::::::::::::::::     \-―


 …そして、それから暫く後、元和二年四月五日。
柳生石舟斎宗厳の長子、新次郎厳勝はこの世を去った。
享年65歳。


10212009/04/19(日) 23:36:05.02 ID:KneXjk290
     _. -―-  ._        
    .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶           こうして、元和二年四月、
 /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\          兵庫助の父にして宗矩の兄、新次郎厳勝は亡くなったのじゃ。
/:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ       
:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',         ただ、「柳生藩旧記」によれば、
:.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.        
:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l       「筒井順慶に属し柳生庄を領すと雖も
:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|       他日故ありて旧地を避け他邦に経歴し、客中に死す。
:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l        故に宗矩家秩を継ぐ」
:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′     
l:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ         とあるのじゃよ。
/:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.:/        要するに、厳勝が柳生庄を継いだのじゃが、
::ヽ::ヽ:.:lヽ {`Ti ´丶//:.:./'         後に柳生庄を離れて他国で死んだので、
:: ::\ ヾ:: \ |:l :: :: }ヾ/           宗矩が跡を継いだ、ということじゃな。
:: :: :: \:: :: ::ヽl:|:: :: :i:: :∨         
、:: :: :: :: \:: :: |:| :: ::リ:: :: ',           だがしかし、不具の厳勝が老身を推して
::l :: :: :: :: :: ヽ: |:|:: :: l :: :: ヽ         柳生庄の外に出る理由も無いし、
::|:: :: :: :: :: :: ::/::l: :: ::! :: :: ::ヽ.        また、厳勝が柳生庄を継いだというであれば、
::| :: :: :: :: :: :/:: /:: :: l:: :} :: :: :\.       子である兵庫助がいるのに、
::|:: :: :: :: :: /:: /:: :: :;' ::/:: /⌒`\     宗矩が跡を継ぐのも不自然な話じゃの。
::!、 :: :: :/:: :/:: :: ::,)://:: :: :: :: :: :ヽ    
:l;;;` ー´---´-‐;;;;´;;}'/:: :: :: :: :: :: :: :: i    これはおそらく、長子相続を重視した江戸時代の空気に
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/: :: :: :: :: :: :: :: :: |    記述者が記述を合わせたものと思われるのう。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〈:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::|   
: 7 ー-  .___.  ´: |`丶 :: :: :: :: :: :: ::|     実際のところは、
:/:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ハ:: ::l f`ヽ:: ::/ :: ::|    柳生庄で普通に亡くなったというのが妥当なところじゃろうな。
`:: ::___;: :: :: ´:: l:: :l :|;;;;;/:: ' :: :: ハ.    おそらく、妻(お清)も同じく亡くなったのであろう。
\:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: |:: l:: !;;/:: :: :: ::/:: }   (お清の亡くなった年は不明)
:: ::\:: :: :: :: :: :: :: :: ::l:: :: :l/ :: :: :: :;':: :ノ


10412009/04/19(日) 23:38:15.36 ID:KneXjk290
              .  -―: .  .
          , -‐くス´ . . . .: .: .: .: .: .`: .、
        /     Y〉.:.:.:.:/.:.:.:.:.:._;.:.:.:.:.:.:.ヽ
        _|    /〉.:.:.:./. :.:.:/.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.
       〈入_rくソ.:.:.:./\>' //.:.:.:l、.:.:.:.:ト、      そして、この厳勝の死は、宗矩と兵庫助双方に対し、
       く/// ハ_〉_:_;':/`ヽ |:l:.:.:.:.ハ/|.:.:| l     大きな影響を与えたと思われるんじゃ。
     ,く// /.:/|ハ/ \、  Wlル'‐〈/l.:.i| |  
     /.:/.:〈_/.:人|.:l:i^ー′    __∧;'.:.|レ′     まず、宗矩からすれば、
     ̄///.:.:.:.:.:.|.:|:|'''     〈__/ノ.://.:廴〉     これで血族内において、自分より目上の者が
     ´ /.:/.:.:.:.:.|.:|:|      ' ,,, /.://.:/lヽ>    いなくなったわけじゃから、
       '/7.:r,=|.:N\__´’  イ.://.:/l |       最早、誰憚ることなく柳生家の最上位者として
      , -‐くr‐|l.:ヘ:|/,三三]__,⊥!//.:/八|       振舞えるようになるわけじゃな。
     /   ,' . :ー:-〈〈:_:_: : :〃 ∠ 'イi/         (一応、出家した兄の徳斎はまだいますが…)
    i  l/ . : : : : :ヘ∨: : :|l    |   /\     
    | / . . : : : : : {燕}、: |l/     | /   `ヽ    そして、兵庫助からすれば、
    |  . . . : ; : : : : : .\」l    /__   /    尾張藩に仕官した以上、父・厳勝が死ねば、
    | i . . : : j!: : : : : : : : .|   /_,ゝ、ヽ/      自分を柳生庄に繋ぎとめる理由が
    | |. : : : : : : : : : : : :|_< rく \ ヽ 〉      消えてなくなる…つまり、
    | |. : : : : : : : : : : : : l/ ∨    /       宗矩の支配下から離れられるわけじゃ。
    | | : : : : : : : : : : : : :〈  /〉ー<〉        
     ′| : : : : : : : : : : : : :∧//  /          つまり、宗矩と兵庫助の間を取り持っていた
    .'   | : : : : : : : : : : : : :! 〈/  ̄/           於鍋と厳勝の両者が亡くなったことで、
  /   |: : : : : : : : : : : :人__/〉           後に訪れる柳生家の分裂…
  /    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ∧、<           江戸柳生と尾張柳生の成立は決定的となった、
. /    〈______, イ :|iヘ.:、\          と言えるわけじゃな。
/   / 八       ノ |: :|| V.:、 ヽ
 ̄`ヽ/ /         /   |: :||  ∨.:、/
    〉′            | 〃   |l: :i


10612009/04/19(日) 23:41:15.03 ID:KneXjk290
 この厳勝の死は、当然、江戸の宗矩にも伝えられた。

        / ̄ ̄\
      /       \    …そうか、兄上が…。
      |::::::        |
     . |:::::::::::     |  兵助の奴も、尾張に居を据えたそうであるし、
       |::::::::::::::    |  もはや柳生庄に肉親はおらぬ、か…。
     .  |::::::::::::::    }          ....:::,,  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´


   / ̄ ̄\
  /  _ノ ヽ_\
 |     (●)(●)      …いや、やなぎがいたか。
. |     (__人__)     あやつの再嫁先も考えてやらねばな…。
  |     ` ⌒´ノ ) ;;;;)
.  |         }  .) ;;;;)   兵助の奴も名古屋へ移ったばかり。
.  ヽ        }  /;;/  そうそう嫁ぎ先を見つけられる状況でもあるまい。
   ヽ     ノ  .l;;,´   さて、どうしたものか…?
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/


10812009/04/19(日) 23:43:20.65 ID:KneXjk290

   / ̄ ̄\    ) ;;;;)
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)
 |    (─)(─)  /;;/    嫁ぐ、か…。
. |    (__人__)  l;;,´    そういえば…千姫様の件はどうなったのであろうかの。
  |     `∩_ノ)━・'     坂崎様が方々駆け回っておられたようだが…。
.  |     |_ノ
 /ヽ    |  |_
 |  \_/ ノ ヽ
 \     /_|  |
 | \ /  _/



11012009/04/19(日) 23:46:59.28 ID:KneXjk290
 ここで場面は変わる。
坂崎出羽守直盛(成正とも)は、幕府からの依頼により、
千姫の再嫁先を探すべく、公家の間を巡り廻っていた。

   r    ..    |    y'
,,,,;;;;/      ヽ,,  リ  /,ヽ
    、__.....   ''     -=)}
    ''==-、    ,-==' )ノ    よお…!
:::...      ノ    ヽ...  <    ひとつ、いい話をしに来たんだが、
, _,        _  ノ    )    聞いてやっちゃくれねえかい…?
乃    ....__/ '(  'ノ'ヽ, イ'
 (ー---'    ⌒'''′/ /
  \'ー-<‐====v=イ/イ ̄'ー‐―,_
   ヽ .ヽ=ニ二ニリ/ /\;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:
\,     'ー――‐'/;;:;;:ヽ;;:;;:;;:;;:;;:;;:;
''\~ヽ__   ⌒ ノ|;;:;;:;;:;;:;;:\;;:;;:;;:;;:;;:
   坂崎出羽守直盛
                  l三`ー 、_;:;:;:;:;:;:j;:;:;:;:;:;:_;:;:;_;:〟-三三三三三l
                  l三  r=ミ''‐--‐';二,_ ̄    ,三三三彡彡l_   この感じ・・・・
                  lミ′   ̄    ー-'"    '=ミニ彡彡/‐、ヽ
                  l;l  ,_-‐ 、    __,,.. - 、       彡彡彳、.//  縁談か・・・・
    _______∧,、_∥ `之ヽ、, i l´ _,ィ辷ァ-、、   彡彡'r ノ/_ ______
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ 1     ̄フ/l l::. ヽこ~ ̄     彡彳~´/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   ヽ   ´ :l .l:::.         彡ィ-‐'′
                    ゝ、  / :.  :r-、        彡′
                  / ィ:ヘ  `ヽ:__,ィ='´        彡;ヽ、
              _,,..-‐'7 /:::::::ヽ   _: :_    ヽ      ィ´.}::ヽ ヽ、
          _,-‐'´    {  ヽ:::::::::ヘ `'ー===ー-- '   /ノ /::::::ヘ, ヽー、
                       坂崎の知己の公家


11212009/04/19(日) 23:49:49.84 ID:KneXjk290
 この依頼は、千姫護送の縁からのものと言われ、
坂崎は、これを受けて知己の公家の間を奔走し、遂に適当な候補を見つけ出したという。

      _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、
    ,r'"             `ヽ.
    /  ::.              ヽ
.   /  ::                ヽ
   .|  ::                 |
__,,__,|__,,____,,____,,____,,___,,____,,____,,____,,___,|____,,___,
====================================/
 .| ヾミ,l _;;-==ェ;、   _;;-==ェ;、 ヒ-彡|
  〉"l,_l||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)=f';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;||゙レr-{ 
  | ヽ"::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,  iヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ r';' }     見つかったンだよ…千姫様の再嫁先が。
 . ゙N l ::.ヾ====イ;:'  l 、====/ ,l,フ ノ
 . |_i"ヽ;:...:::/ ゙'''=-='''´`ヽ.  /i l" ニカッ
   .| :゙l.''(<T''T''T''T''T'T>)゛|'",il"|   
    .{  ::| 、 \工工工工/ , il   |  
   /l  :|. ゙l;:ヽ========ノ ,i' ,l'  ト、
 / .|   ゝ、゙l;:       ,,/;;,ノ |  \
'"   |      `'ー--──'"   ,|    \_


11512009/04/19(日) 23:52:51.26 ID:KneXjk290
 しかし…
                        /: : : : : : : : : : :            : : : : : : : : : : : : : : : : : `'-、,
                       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :             : : : : : : : : : : : \
                      / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :                   : : :ヽ
                  / : : : : : : : : : : : : : : : : : : :./ : :.: : : : : : : : : : : :   :         :   : : :ヽ
                    / : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::/: : ,i′: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :  : :  : : ヽ
                 / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l゙: : .!: : : ./ : : : : : : : : : : '',: : : : : : : : : : : : : : :  : : .l
                   / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|: : :|: : ::/: : : : : : : : : : : : │: : : : : : : : : : : : : : : : : : .l
               / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : / ',: : ',: : :{: : : : .: : : : : : : : : |: : 、: : : : : : : : : : : : : : : : l
              / : :,,: : : : : : : ,,-''''、: : : : :_../`゙^'.lーイ: :.!: : : :',: : : : : : : : : !: |: : : : : : : : : : : : : : : : :|
             / : : /: : : : : : :/゙,i‐、 /'{゙⌒.-、    ゙'-.ヽ: ',: :  l: : : : : : : : ,!: ::.!: : : : : : : : : : : : : : : : : !
            / : : ::/: : : : : : :/   li′.! `''''゙ブ゙゙゙゙,゙゙''t-、 `-.ヽ: : :',: : : : : : :/: ::/}: : :,l: : : : /: : : : : : : : :|
           / : : : .,': : : : : : : :', .| │: | .、.!..‐´"r!/ ゙‐''  .\: .!: : : : : /ーy,'.:l: : : l: : : ::/: : : : : : : : :.!
             / : : : :/: : : : : : : : :.l,.ヽ│: :/   ゙'ゞii /       ." !: : : ,ノ゙,/  l: : ./ : : :./ : : : : : : : :./
          ,,': : : : .,': : : : : : : : : : :ヾ',': ./      `゙⌒       .,l,,,/'';;''ッ、,,ノ: : /: : :./ : : : : : : : :,ノ゛   嫌です。
         /: : : : .,': : : : : : : : : : : : `'}:l゙                  / . l;;`゙;;!./ ゝ ,,ヾ: / : : : :、: ::/
           /: : : : ::l゙: : : : : : : : : : : : : / l:!               !  ''ミニニ./  , '゙‐'゙´: : : : ,/ ,/
        ./: : : : : l: : : : : : : : : : : : : /  ゞ                  !      ,i'ト、,,,_,,,..∠ ‐"
       /: : : : : :.!: : : : : : : : : : : : /                   '"      ./  !: :{
       /: : : : : : |: : : : : : : : : : : ./    .!  .ヽ        ..,,,、         /   .|: :.!
      /: : : : :  l: : : : : : : : : : ./     !   .\         -     _,, ‐゙   .|: : ',
      !: : : : : : |: : : : : :.,,, ッ'′     l    .\     ,,, ー''"゛     ./ : : :',
     │: : : : :_,,,,|: _.. -'"゛ ./        .',      \,, / ´            ../゙: : : : :.l
      !: :_,././ '~                 l      /               / : : : : :  l
     ,..T" (  ゙'-、,,,              ',     /           /: : : : : : : : : l
  ,/´   `'ー..、  `゙'ー ..,,             l   l゙          ,/ `'、: : : : : : : : : l
./         ゙''ー 、、  .`'''- .._       .ゝ  !        /    |.l: : : : : : : : : !
                               千姫

 肝心の千姫が再婚を嫌がったため、話が纏まらなかったという。


11712009/04/19(日) 23:56:54.37 ID:KneXjk290
 千姫が再婚を嫌がった理由は不明だが、
秀頼の菩提を弔う為、自身も尼となりたい、などと言い出したから、という説もある。

             ,.;:-――一=-、,,,,,,,,,、、 
            ,.イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;``i,
        _.;:-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ ノ
     ,. -'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_.ィ<´〈
     ,i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,.;:=-‐''" ,、`i
      !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::==-'''"ノ  ;i:;> !ヽ,il    
      >、_,...='"´  Xノ 、 ;:; '、,,. ;  ノ ノ,/ l   
      /´ `i,   , / / ,. ;:;、 ゞ,.    / , i !、  
     /、_ゝ l , ,..;: _.;;´ .....,,,,,__´ ! =,//,ヘ .ノ   
     ヾ ,ィ i、 ,.;:"   ,i;;;;;;;;;;;;;;;;=イ ノ ノ ,.ィi"    …ま、そーゆーワケだ。
      `i、l 、へ、 ,..;-ヽ;;;;;;;;;;;;;;;丿ノ ヽ''"  l   スマンね。
     丿`ーiニて''"ヾ ヽ``=--ィ,   ノ) , ノ   
    ノl;;;  (  `!, /^i , // '=-、_ ,.) ,i丿
,.;:-ー;;メ i、  `ー、_ノ   ,i´ ,.;:-=ニ=‐┐ ノ          l;:;:;:;:l:;:;:;:;:;:;:、;:;l
  /   ゝ    ヽ、 / .,i´!、__ ヽ_,.;! ノ ノiヽ、         /;:;___l____:;:;:;:;.ヽ!
  ノ    ヽ、    `‐( 、``ー-ニ-‐'"イ l、 ~   .    'y'‐_ _ィ‐ヾ=ミ、_〉
/      `i、    `i、_      ,.ノ ノ      .    lfィ。ッ rf。ッ〈:::::ミ|   なんということじゃ!
                                  l! ´7_,! ´ ,.;!:::ミ,!  麻呂をたばかりおったのか!?
                                  | ィrュ,ヽ ' {::7〃
                                  ヽ  ̄ _,..ノソv′
                                   ,ハ三 =彡'く
                                  ,∠ニ ⊥ ニニム、_
                              . ,. -‐'7   /     / ̄`ヽ

 ともあれ、千姫自身がそのように言うのではどうしようもない、ということで、
坂崎は先方の公家へ断りの連絡を入れ、この件はこれで終わりとなった。
(この公家がどこであるかは不明のまま)


11812009/04/19(日) 23:59:34.79 ID:KneXjk290
 …はずであったのだが、
ある日、坂崎の耳に、不穏な噂が流れてきた。

.                  {}
                 ,r'A':、
               ,r:'"/\`':.、
.         、_____,、.‐',,、_'___n,n__`_、,,`-、,_____、
.         ゙l、,!_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l_l,!、l゙
           |:::::::::::::::::::::::::::::n::::::::::::::::::::::::::::::|,
          ';王王王王王八王王王王王ヨ
           ]*;;r--.、;*r;"へ`':.*;;、--.、*;[
        _、,,,,,f'''*;;;^r:'",r'"' へ:'`' 、`':、^;;;*、L,,,,,.、
        ゙、=┴'ァ゙'"r'"´.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:..`'-、`'=t┴=',゙
        ゙r:''",r'"..:.:.:.:.:.:lコ:lコ:lコ:lコ.:.:.:.:.:..`';;,、` ‐!、
    ゞェェtエ゙┼┬i┬┬┬┬rハ┬┬┬┬i┬┼┬t'ェェブ
     ゙,~~i~~~~~~~~~~~~~~~~~{n}~~~~~~~~~~~~~~~~~i~~゙;┐
     「;、.|  .冂 冂  冂l:''"..へ`' .l,冂  冂 冂  .|.. .|Ti
ゝ,、,,,,、、!‐''"┬┬┬┬;、‐'":'"::: ヘ:::`:.、`‐、┬┬┬┬┬`ーf-、、ィ,
ソ;゙、ニ┴┴┴┴┴ァ'"r:'´。 ......::.. .:....... 。'‐、`'t┴┴┴┴┴=゙7
ヽゞz、:|;ヘ「]「],r'"r'´、z、r、、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. `': 、`'-.「]「] .|_,'、
Y;;ゝヾi彡〉''"r''";ヾ;ゞ::::ゞヾヽ]「バヘ,'z]「:]:.:.:.:.:.:...`''‐`、':-.、,|l l l.゙i
ソ ヽ;; i;;ゝソ ヽ;;ゝ彡ソ ヽ;;ゝゞヽi;ゞ::::ゞヾ;ヘ――――,rz、;ヘz、`''ー-、;;ソゞヘ
ヽ;;;;ゝヾiヽ;;;;ゝヾゝヾ;ゞ::::ゞヾ;iゝヾ;ゞ::::ゞヾヘソ;ミ^ゝヾ;ゞ:::ゞヾミヘtz彡ヾ;ゞ;ゞ
ヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾ
ゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ソヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾソ;;;;ゝヾ


       ── 千姫様が本多家へ嫁ぐらしい ──

 という噂が…。


12012009/04/20(月) 00:02:39.35 ID:lOQ06jas0
              _
        ,.、..-ー'..."´.......``.."'丶,..、_
     ,r '":::::::::::::::::::::::::.    :::::  :::``丶,、
    ,:'"::;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...::::.. '''';::::ヽ,
  ,r´::;;;;;;::;;:::::::::::::::::::::::::::::::/:;;;;;::::::::::::::::::::::...'';;::::`、
  ,':::;;;;;;;;;;;;:::::;;::::::::::::;;;;:::::/:;;;;;ソ::::::|;,:::l::::::::::::::.::::::::'、
 ,";;;;;;;;;;;;;::;;;;;;::::::;;;;:::,-''";;;;;;;;;/::::::::ノ;;:::|:::i::::::::::i;;::::::::l
 l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;;;;;;;;;;;/''';/';;;::/|∧::,、:::|;;:::::::::|
 '、;;;;;;;;;,'、;;;;;;;;;,-'''"'',、‐''ヽ ''"´ソ;;;::/;;;;;;;;;lノ V;;;;::::::::l
  ゝ;;;;/,`l;;ヽ   '" /`i   /.;;r'"__'''f;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::ノ
 ,';;;;;;;| i.(|;;;i;|   ヽ l__/    ̄  ;'ヽ.`ii;;;;;;;;;;;;;;::::::/
. l;;;;;;;;;l.`y|;;;lj     ` ´      l_/ ,ノ;;;;;;;;;::::r'"
 i;;;;;;;;;ヽ、|;i            、   ./;;;;;,、-'´       管理に…いえ、千姫様。
 ヽ;;;;;;;;;;ノ'i            '´  /           僕でいいのですか…?
  ヽ;/    、      r-ー、    /
 .,r-/     ヽ、     ヽ-'´  , '
,r" .<       丶、    ,、-'´
.    \        ` ーナ´
      `ヽ、         イ::..、
ヽ      `ヽ、__   / |::/.i
 '、       ,、'"` /   rッ,´ ヽ、
  .',   /;;;;,, (   /' ,|  /`ヽ、
.  ヽ,/  ';;;;;;,,, ゝ / ,;;i /   `'丶,
         ''';;;;〈,,,.l,,,,;;;'' V       `ヽ._
          i';;;;;;;;;;Y            丶、,
         本多忠刻

 相手と目されるのは本多忠刻。徳川四天王の一人、本多忠勝の孫である。
どういうきっかけだったか、何故彼であったかはは不明。
(美形の忠刻を千姫が見初めたから、という説もあるのですが)


12312009/04/20(月) 00:05:01.40 ID:lOQ06jas0
                        ,..―'''''''''''''''ー ,,! |   .!
                      / : : : : : : : : : : : : : :`'ヽ、 !
                 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \|     Ο          ο
 0    。         / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::゙t  
                 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .!       「いいのです…忠刻さま。
             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \       私は、あなたとなら…」
                !: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|     
                !: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,....、: : : : : : : : : }     「千姫様…」
   ◯        _.!: : : : : : : : : : : .................. 、 |  .゙'、: : : : : : : ./      。      0
           / :ヽ: : : : : : : : :,,r'', i';'、   ..l\  }: : : :_..ir'"゙,゙ア'''-..,,、
             ;′::::::::.\_,: : : : : _,ス、`'       ゙' |..'¨''''''/ .,/  .'"  .`'ー..、
           !:::::::::::::::::::::::`''"゙゙゙!::::::,!        │,r' /              \
           !::::::::::::::::::::::::::::、:,l、:::ヽ、       .ilンレニ ..,_            \      ◯
          ..l.:::::.:::::::、:::::::::::l.ヾ .`'''''''"'ッ、.  .,/゛      .`'''ー ..、            \
 。    0    ヽ.:ヽ::::ヽ.:::::: l  ./   l.l゙'┬゙               \            \
            `'-=-='/'.l      .l! /               \            \
                   / / /      _ノ                 ヽ          \
                ! |'" ヽ、   !゛    ___,               ′          ヽ.
               ,!'"    `'、,,/         ̄ ̄                         ヽ
              /       ./     ......                               l,
   ο          /         /                         i             l
             / _,,    /                          |                 l
         / ,iブ,il―¬ーヽ..,,                       ,.  ,!                 l
           l゙ ./l l ,-l.r‐¬ー''゙                        /  ./                  !
           l .!  !./ .,! `゙''''―--..,                     /    /                   |
            l,.!    ./ ''''――‐''フ               /     ゛    .,,, ‐          l

 そして時が過ぎるにつれ、その噂がどうやら本当らしいことと、
千姫が再嫁するに際し、10万石が化粧料として加増されるという話が流れてきた。


12412009/04/20(月) 00:07:05.12 ID:lOQ06jas0
 -この噂を聞いた時の坂崎の最初の反応-

      ワ          ケ

       __  |   | |   | |  | |  
      (\O `ヽ   _,--、  | |  | |
       、● '0 l ̄ 「  \| |  | |  
       ゞ┴--'  /\_∧| |  | |
       /、__|_ノ┤ / ヘ\) |  |   
      (    )  ヘ \ノ V | 
      \_ ノ<_丿 /  )|      
        | ヽ \   / /丿
        \ > >--、 | , へ、,,,_    
         ~| (, <  / /---、 \
        ( / \__|  と-、 ''ニつ
        / ) |    |∧|ヽV|ヽヽ- |
       /(  \   ~ |     /
        | ヘ       |\_ \
         ̄  \    ノ    ̄
            ~'''''"~

    ワ  カ  ん  ね  ェ ・・・・・



12612009/04/20(月) 00:10:05.19 ID:lOQ06jas0
 そして、千姫の本多家への再嫁が公表された時…

     _,,:-ー''" ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i`ヽ、  
    ,r'"               |   `ヽ. 
   /  ::.             /      ヽ  
  /  ::             /        ヽ 
 |   ::       ,,--''~''--/,-        |     ……よォォし、
. |         --  _ /--         .|   
. |    ∠-'''"ニ\  /   /ニニ''--、   .|.       く`ヽ ___| ̄|__    r‐―― ̄└‐――┐ 
. |    / ̄.___/     /    ̄~~\  .|         ヽ冫L__  _ |  | ┌─────┐ | 
,-  | / ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ   / //~"\  |  -、      く`ヽ,__| |_| |_  !┘| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|‐┘ 
ト |  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノ   /  (__,,,、◎-''   |./||       ∨|__  ___|  r‐、 ̄| | ̄ ̄    
∧(  ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/. .|  |   ̄'--'~~   ミ|/∧       /`〉  /  \       │ | |   ̄ ̄|    
|/┐  `>─'''´/_ .|三|  __ \  /    |ヽ|     / /  / /\ `- 、_  丿 \| | ̄ ̄     
( (| -‐'   V, (  /- -ヽ'  )、\)     |) |     く / <´ /   `- 、_/ / ノ\  `ー―--┐
ヽ |      / '━(   ) ━' ~\     |ソノ      `  `´           `ー ´   ヽ-───┘
 N     / ____TーT___  \.   |// 
  H    (_彳┬┬-、,,,、┬┬┬ヽ_,,-)   ノY
 { \   \\++. + _l_+. + ++ //  ノ .|
/|  \   \ \UU、__l__,UU//    /  |\
  |   \    \'''----''' /     /   / |
 |     \    >----<   /     /
 \      \  (       ) /     /
         \ \     /
          ~"'------'''~

 坂崎は「ある決意」を固めた。


12712009/04/20(月) 00:13:34.92 ID:lOQ06jas0
 それから暫く日が過ぎ、時に元和二年九月上旬、
坂崎は、江戸の湯島にある坂崎邸に一族郎党を集わせた。
「ある目的」のためである。

      人                 _   人   /ヽ/ヽノ ̄V\丿ヽ
ノヽ_人丿  ゝ      /        丿  ̄ ̄  ヽ、 |   殿  と  
        丶っ__//       、_ノ         丿   .は  っ
  ン  知  し   ノ        ヽ   近  な  丿   本     
             |_,、--――--t、ノ    :  ァ  /     気
  な  ら  ッ   × 彡彡三ミミ;;ミミヽ   :    (rつ   .か    
           /彡:::;;;;彡 彡彡;;ミミミミヽ、 :   _| (   !?
  こ  ね   ・ /:::ヘ彡 彡彡三ミ;;;;;;ミ三ミミヽ\/ ̄ヽ   し、 _,,,,,,,_ 
         ・ レ"ヽ三ミミミ彡 三ミミミ三ミミ;;;;;i /       _,w';;;;;;;;;;;;;;;;;;::ヽ、
  た  ェ  ・ |  _  ̄\彡|~トヾ::ミ三ミ;;;;;;;ゝ、i _     l;;;;;;;;;;;:'゙"゙ヾ-、  ゙i
.  ァ     ・ |/ ゙    ;!  ヒヾ|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;トミ     |wミビ r-__  ゙、__!、
  ッ  よ  ・ |  r'7    :  U |ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)゙    |-、_ /゙ bノ   下ヽ
_     rγ-゙ヽ b/  u    Yンノ;;;;;;;;;;;;;;ト;;;;;;ヽノ     V_oヽ "  u  ゙゚人
  ヽっ /   ノ   __ヽ、  ! ー"ミミ"ヾ、ヾ;ノ゙゙ヽ    ゙i  と_    |
    |/      L - /",r';;;;;ヽ)l  l /  ゙~フ  ノ‐" ゙ゝ、._ ヽ r==-"ヽ  ノ
           ヽ┴"ヾ;;::::ノlノ  ど_,r< ̄        ヽ. ゙、゙ヒ三Yノ _/
              lニニノノ /-"   ':          \ ヽ、  /
              ゝ u _,<__      ゙、          ヽ ゙X'"
               ! r'" ̄ ̄ヽ     ':           Y
             近藤源左衛門(半右衛門?)       庄田知右衛門


12912009/04/20(月) 00:15:43.00 ID:lOQ06jas0
                      ´ `t、   ,,r=ヲミミ゙;;;;;;ミミミ;;;;;;;;;ヾ;`ヽi;;;;lr''ナ′
                    ''"~゙ヽ、,, `ゝ、 ニフ";;;三ミ;;ヽニゝ;;;;;;;illi;;;;;;》;;;;;;;;ti,;ヽ、、
                   ,,rニ三ミミヾ`゙゙゙´;;彡三ミ;;;;;;;ミ;;ミミミ;;;;巛'"川ゝ;;h;;;;、;;ミヾヽ, ,r
                  '"´ ==ミミミ;;;;;;;≡;;ー=;;;;;;;;ミ;;ミミゞヾハリ;;ハル;;;;;;》 lNヽ`";;;)i
                   ,,.==ミミミゝ;;;;;ミ≧;;;;;;;;;;;ミミヽミミ>ヽtリ;;iitN;;;;;;;h ノヾ);;;;;fl !
                   x=三ミ;;;ミ;;;;;彡ミ;;;;;;ミ》ゝヾf;;;;::ィ'^ヾ`ヽ;;ll;;リ;;;リ;ルリ;;;;));;;;;;;;゙i
                 ,,: -―≡ー-ミミ、rr ,..、ミゝ>>ヲ,イ´  ) ! ,' ゙i;;;;;;l リi li(ル;;;::;;;;;;〈》
                , ィ": : : : : : : : : : : : `ヾ.,ri;;;ミゝr‐'''´ゝ ノ//, い;;レ'l ,ノ)リル;;リノ)〈
             ,/: : : : : : : :: : : : : : : : : ::::::゙tt;;ノ ,r'''"^'ヾ:''y i ! ヽ;;;;;;;;;;;;;;;:::-=、ノノ;;;ミ
           ,,/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::゙i~ :;´    l;;l l l :;; /;;r ''"フ´  );;ノ)〃
           /,,.: : : : : : : : : : : : : : -=、: : : : ::::::::゙i,ー ヽ=、 ,/i;;l リ,,.ノノ;,::/  ,:'" i;;レノ{リ
         ,.r '´: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ、: ::::::::::゙i `ヽ\゙o、,!;itノ ,/ ノ::,ヘ ,,:'゙,-、 i;;;;;;ノ
       /: : : : : : : : : : : : : :__: : : : : : : : : ヽ::::::::::::::!  ヾ ゙'<゙)tl!ノ/,r'":; r'",ノ:へゝ!;;彡ノ
       /: : : : : : : : : : : : : :: : : `゙ヽ、: : : : :::: :゙!::::::::::::l..,.,.;::;:ゝ;`゙ヾ:;),,::' :;:リレ"∠、 ノメナ´ノ
      i: : : : : : : : : : : ,,.:-‐-=、::::::::.゙ヽ:::::::::: .l:::::::::::i',r'ヘ'' :;''::;;、゙ヽくノノ:ィro)´≧ 人三彡
     ,ノ: : : : : : : : :,r''"     ,.r=‐- 、::゙i,::::::::リ:::::::::リ / (ゝ、:: ,.ノノ:'''" '^ヽニ'"~ /ノ
     /: : : : : : : : ノ-―--= '";;:     `ヽ:::::ノ:::::::ノ イr:、゙'ヘ、ゝ''" 、、;::''r-、  ,/′   殿ッッ!!
   /: : : : : : : /´       ::;    ,,==ゝイ::::/! ::, ト∃´ヽ`゙'ヽ..ノィ′,.、 ,) /    本気なのかよッッ!!
  ,/: : : : : : : ::/            彡= '''`ヽ:i ). ゙tヽゝ: : `'''ヽ `'ー'テ /ノ     「あの話」はッ!?
 /: : : : : : : : :./::::  ,,,. _       r   ,,..==t,人 ヽヽユ、: : : :ノ fメ/ ,/′
 l: : : : : :,r-T(  ,.r''ニニミ  f へ、i   , '"'"~`ニゝ、 `ヽ`ー-==''" /
 l: ::::::.:/  i ヽ ,〃´ ''"~゙゙ ヾi,. == ヾ  ,'′ .r''´  __,)ヽ.  `゙`''::;'",ィく
 i ::::::::i′ t  Y   _   l〃   ゝ(   ヽ=''"´   ト、,   ,ィ": : :`ヽ、
 リ ::::::l      l 彡三ミ 、l    ''" `ヽ、      ノ、r'^''7"t: : : : :::::::ヽ.
. ノl::::,ノ::,       i  ,,.,.,.、  ゙! _,,ノ   / `ー-==-‐'"  `ヽ ゝリ: : ::::::::::::::ヽ
/,r''" /::ヽ、    ! r'"   ヽ :;.l"´      f   ,/    ,,..、 ト、,,ノ::::::::::::::::::::::::゙i,
./  ',  `ヽ、、 l l   ,.ノ′,!      _ゝ  i     i  Y::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙i
.i            iヽ=''"   ノ     ,:ィ'´`ヽ、t     ヽ ,i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
.t     へ、  ヽ、  ,,ノヽゝ-‐ '"::::::::::::::::::ヽ      ゙Y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::リ
. i,       \   `゙゙゙゙´   l  ゙i:::::::::::::::::::::::::::\     l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l


13012009/04/20(月) 00:18:31.23 ID:lOQ06jas0
     /.:::::::::::.            /     ヽ
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、       ヘッ
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ     
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i       俺ァ武士だぜ…
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |      こうやって、面子潰されてよォ…、
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.      一分も立てられずによォ…。
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ    
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐</ ヽヘ      黙って見過ごすわけにゃあいかねえだろうが。
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ     あぁン…?
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ 
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ

            |  .: _ノ_: : : : :゙゙''ミ;;;;;ミ
          |   /;''゙゙゙: : : : : : : : : : : :゙
          |  /: : : ∠-イ : : : : : : : :
              |ヽィ" イ゙__  ノ: : : : : : : : :
          ヽ、゙ー‐゙ヽ!/    l ヽ :;;   じゃ、じゃあ本当に……!?
            ヽ         し |;;;;
            丿          ヽ、
           /::.
          ヽ、 -    u
             ̄L  ___
               ̄ヽ一゙__ノ
                ト‐"
                ー、


13112009/04/20(月) 00:21:13.93 ID:lOQ06jas0
. . : : : : : ,.. -‐‐-. .. : : : : .:.::::::::::::::/ / . : : : `ヽ   _________
. : : : : : /////////`: ...、.:::::::::/{ / ,.x=.、     Y´
. :.-‐…{/////////////ヽ,イ.:::::j /:/〃. :ミ;、   }  オウよ…
. .:-‐…∨////////////,ハ:::::::::' /. . : : : :`ヽ {  
. . : :.:.::__∨////////////人:::.:{ /. . : _:_  )(∧ 千姫様の嫁入りの輿…。
.,. :''"´: : : ヽ二ニ≠-‐‐‐、く.ゝミメメ、 ,(´ゞ='ヘ.,_ }( } 
人,.ィ^ー''⌒¬=ニニ二三ミ刈 } ハ`三二ミ¬く{ ,ノ この坂崎の手で京の公家のところへ
: :{: :,ィf「「ミー=-‐''" ̄〃⌒ヾjjjj ノ }: : : . `ヽ /|  
: : .:{{. 从{x, , ,ィッッx、 人. : : 〃⌒ヽヘ. : : : .   ( | 運びこんでやんねェとなあ…!!
:ィf{リ: :`ヽ二.´゙゙゙゙゙゙ヾミ从ヽ(: : . .  )ハ: : : : .   ヽ |  
ィ勿{: : : .;, ⅥY⌒Yヽ. : :ヾ小..__ .ィく 八: : : : :  } \
f爪 ヽ: : :;;. ゞゝr‐ヽ.__ト=r--x. : `ヾツハ}}: :    /    ̄)'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハヘヽ: .:、: :ヽ.\{__/ /`7ーく ノ>ヾ}}ブ''从ッッ /
从ハ: : . } : : :ヽ ` ^ー'ー'--くノ>'〃. : 爪ハィ{
从ハ}ィx: 、: : : : :`ー‐-.....、 . : : イィ.: /ノハ/ |
ゞ勿}}ハ: ヽ: : : :_:_:_.::::/  . : :厂 /イ从ラ′ j

 坂崎は、千姫の本多家への嫁入りに際し、
江戸城を出たところでその輿を強奪し、話を通していた公家のところへ運び込む…
という計画を立て、そのために一族郎党を集めたのである。


13312009/04/20(月) 00:23:03.45 ID:lOQ06jas0
                            ,,,,,,,lll,e,,,             __,,,,,,        ,,,,,,w,,,,、
             _,,,,,,,,,,,、     .lll゙'W,,、  ゙゙ll,゙゙゙l゙l,,,l   _ ,._,,,,wr━l',,゙゙”゚,,,,,,,ll         ,ll゙,,e━l,,゚゙!l,,
  il゙゙*r+=*llllザ゙゙~,,,,,,, ゙゙q     .゙゙ll,, ゙┓  .゙゙!ヤ ,,,,、 .l,,゙゙゙゙,,,,,,wrllllll゙,llll!゙゙″       .ll゜ll,、  .゙l .'l、
  `r,iill┯┷ザ゙゚゚゙,,lll゙’,,,ll゙°  .il,*il,,,、゙ケ'゙     .,,ll゙,ll°   ̄^  ,,l゙,,ll゙゚ l l l,゚゙┓      ゙q,,il  ,,l゙`.,,l°
     ,,,,,、 ,,,lケ,,,lll゙°    ゙゙%,,,゙゙l,,    .,,,ll゙,,,lヤ       .,ll゚,ll°. ゙l,..゙i゙'llll!           ,,l゙゚,,ill゙°
     ゙%,゙Nll゙,,,ll゙゙`           ゚゙Nl!  .,,,ll゙゙,,ll゙゜           l゙ .l°  ””           ,l゚,ll°
        ゙゙l,, ゙lq             ,,,lll゙゙,,ll゙゙`         li, .l               l゙,l゙
        ゙ll, '゙l、       .,,,,,,,.,,,,ll゙゙.,,ill゙°           '!,,.゙li,,,、             '~
           ゙゙l'゙゜          ゙ll,,゙~,,,ill゙°             '゙%,,,゙゙゙━i,,          l ̄.,l
                   `゙″                 ゚゙゙''''゙ゲ          ゙゙'''゙°
         r´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ                 ,,,,,イ'''''''''''''ヽ、_
.        / ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ            r‐‐''"i 、ミi il l |リ´i i i ヽ--、
       /   y''''''''';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''''ヽ           ノミミ《ノ ノヽ、))| ノ ノ彡´彡ヽ__
     _/ r''" U  '''''';;;;;;;;;;;;;;;;;;;'''''''''ヾ;;;;'''   |         /ミ、``゙ヽ`゙リ、ヽi i l lノソノ彡 '彡彡ヽ
-‐''''" ̄_,/,ノ _,. -┐   '''''''''     ヾ    |         /ミミ、ヾ``、ミ、`、 リノiソシ ノ`ヽ彡彡彡''ヽ
   ,イ´ .|/ ̄ ̄ ヽ |     U  _   ゝ、  |       . ノミミヽ、ヾミミ、ミヾ》ノノ))/   ヾ、彡ノ,.、シ,|
  ./ //i´  ,..ニミi |   ,    ノ ,r‐=、  ヽ i‐、     . /ミミミミ,.---、;;;;;;;;;;;;;;;..シ   .i‐- 、``i | iヽ.|
 / {( .ノ  `i   `ヽゝ、 |   /ノ,,.:::::::::::ヽ  | i i`i`丶、  ノミミミミ/  /i´ u    \ゝ//'"`丶ヽi | i |
./ ./.|  {   ゝ,  ○ 〉、{ .| i''シ´,r‐''''''''''ヾ ! .|ノ,`i |     |ミミミミ!、 |´, -、      `i i ,r‐''''i´ .ヾ_.}.|
 / /ゝ_人 u `"'''''" ノ   ´ {  ○ ノ   .|ノi .| ||     |ミ、`ミミミゝ/r 、 \   i,  |.|´○ .ノ''''ヽ,)ノi
/ /  i  丶     ,.. !      `'''''"´    ノ::: ノ |.|     ヾrヾミミi´ i´ ,,. --\\ i  .|└‐<_,  ノ||}ノ)_
 i   {   >   !.ノ  '""ヽ        /l ./.| | |     |ゝ‐、ヽ  ヾ_  ○ `》  ,,,;::   ̄`i i .i |リミ、;;;;; ̄
.|   .!  ノ     ゝ__ノ‐‐''    U   /  l.:.:.:.:| | |      !、ノヽ .i   ` フ'" ノ´,,.     r''i ヽ |ヾゝ;;;;;;;;;;;
|   丶 i   ノ""''‐‐丶       |   ノ:::::::| | .|       iヽ.,,,,\゙゙`   ノi'´ .!.,__,..!    |'  .リ ヽ、 `''
|   :::ヽ|   {´''i''"""`ヽ.,,\  u  ノ  /   .| | |      ゝヽ`ヾ\゙` ノノ   '''"___ノ    /
|    :::::!  ゝ'""""''''‐-‐`\_  /./    ノ ノ /       );;;;;ノ´ `.i |r´   /´__,..ニフ´ /i
..\    :::::ヽ  `''''‐‐---‐''" ̄  //      // /      /;;;;;;/    ゝ、  ∠ -''´_/   / ゝ  
ゝ \   :::::i    ::::::::     /´      ,イ / /     . /;;;;;;;;;;|       `丶、  ̄リ    /   |
ヽ` ヽ`丶 :::::|  U      /   ,.. -''"´ノ .ノ /      ..i;;;;;;;;;;;;|          `` 、i__,.ノ
 `  ヽ `''‐、`''‐ ..,,   /´,. -‐''''"   ノ ノ ノ       ..|;;;;;;;;;;;;!,            ゝ-、


13512009/04/20(月) 00:25:15.89 ID:lOQ06jas0
                    ,.;:-――一=-、,,,,,,,,,、、
                   ,.イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;``i,
             _.;:-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ ノ
          ,. -'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_.ィ<´
            ,i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,.;:=-‐''" ,、`i
            !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::==-'''"ノ  ;i:;> !ヽ,il
         >、_,...='"´  Xノ 、 ;:; '、,,. ;  ノ ノ,/ l      当たりめぇだッ!
         /´ `i,   , / / ,. ;:;、 ゞ,.    / , i !、    俺たちゃ武士なんだぜ…ッ!!
          /、_ゝ l , ,..;: _.;;´ .....,,,,,__´ ! =,//,ヘ .ノ   
          ヾ ,ィ i、 ,.;:"   ,i;;;;;;;;;;;;;;;;=イ ノ ノ ,.ィi"i      ナメられちゃおしめえなんだよッ!!
         `i、l 、へ、 ,..;-ヽ;;;;;;;;;;;;;;;丿ノ ヽ''"   l  
         丿`ーiニて''"ヾ ヽ``=--ィ,   ノ) , ノ     さァ、40秒で準備しなッッ!!
        ノl;;;  (  `!, /^i , // '=-、_ ,.) ,i丿   
    ,.;:-ー;;メ i、  `ー、_ノ   ,i´ ,.;:-=ニ=‐┐ ノ       「「ハ、ハイッッ!!」
,.;:‐''"´  /   ゝ    ヽ、 / .,i´!、__ ヽ_,.;! ノ ノiヽ、_   
´     ノ    ヽ、    `‐( 、``ー-ニ-‐'"イ l、 ~`ー-=、..__
    /      `i、    `i、_      ,.ノ ノ        ``=ー-:;;、..,,,,,__
   /   ,;:-''"~~`i、 `ー、__   丶ー---ナ'"_.ィ´

 こうして坂崎出羽守直盛は、
江戸市中において公然と兵を挙げ、幕府(徳川家)の決定に叛旗をひるがえしたのである。
これが、秀忠の治世における初期の大事件のひとつ、

    「坂崎事件」

 のはじまりであった…。


135やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:49:00 ID:xHn00U30
              ..-  .          
            /. . : : : : : :`: . 、       
          / : :,: :、: \: :ヽ: :,: .\     
         'ⅰ:/: :i:|\厶: :∨ : : : ヽ    
         .: :Ⅳ.: :从´ 丶V. :. : : : : : :.      さて、ここで前知識として、
.        i.: :|{.ヽ/' ィ'弐}|: :ト、: : : : j:|     「坂崎事件(坂崎出羽守事件)」の「逸話」を
.        |: :ハ._,,   '''|: :レ': : :i:|:从    紹介しようかの。
.        |:/.: :{'' ′_  , |: i|:i : j从'^ `   
        八: :i 〕iァ== 个:|: リjL〔 ′`      これから話すのは、
           ヽ|:リ广ア¨´ :レ'    ヽ      まず事実ではないが、物語として
          / j/廴__ ノ{           一般に伝えられているところのお話じゃ。
            / /      :. ヘ    :.     (AAは適当なのでご注意をば)
.           / .′     \∧   :,
          / j          /     ',   
.          ' 厶 ====ミ:、 /    〉  〉
           /       `V   /  /   
       ∨  ,     {   ,   ′  
          ′  ′    _ /  /    
       r―┐:r:r‐-/ ̄   /      
       / ....:::∨/.:::《/,:、,..::<
.      /..:::::::::::|d:::::::::´〈/.::::::::{        
      /.::::::::::::ー|:|:::::::::::::::::::::::::::i        .
    く:::丶:::::::::`ヾ:::::::::::::::::::::::::::|       
    / ` ー--ゥ┴┬…‥―r┘       
.    ′     /  |      |



136やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:51:13 ID:xHn00U30
 『大坂城落城時、孫娘可愛さに家康が、
  ”千姫を助けた者には、姫を嫁に与える”と言ったため、
  これを受けた坂崎出羽守が燃え盛る大坂城へ突入。
  山姥の槍を振るって奮戦し、見事千姫を救い出したが、
  その際、顔に火傷を負い、醜い面相になったという』

                  _,,.,,;.;;:;j、,,__
                ,.i;':'"::::::::::::::::::::~`ヽ
              ,.i''´::::::::::::::::::,i'j,.=ニミミ`i、
             ,i´い;;::::'' ,l,j:''",、  ゛>、::::ヽ、
             ,i';;;::=-、ナ-',-ノ ,i' ,._ 彡ゞ彡`!,
  ,;:-─‐--=:;、     l:/´~   ノ= ,i,,.;;';三ニ'' `=`t;;;;i,.、
;:'"´       `ミ、、 !. ,......ゝ、l しi;'" ('о`) , -、 '''::レil,
           `i、 'l ",.=テ、`'> ,.! ,-`ニ´っ≧,,)  |ヾ)
             l,. ヽゝ-`'’ノl  ,- >、/.`´<=゛ ,i//
            ;l ,ゝ フ"i' :〉ー、'゛ヽ  .,,_ミ>,し'ヽ、 
            j' 'i、l、= `ー'"~´、.,,_ _,, 7  ,|  `!. いい男台無しだぜ
               ,!  \゛、  _,;,'ニ~',フ‐',ィ´/ ,i'ノ   ':、
            l    `ー、 `ミニニ=‐'"、,.,_' ,ノ     i、
          ,.ィ      |t     , 、 、、/l     <ノ,. l.
ヽ、       ,,,.イ j     ,..| `'ヽ、 くー、.,ィ´ |   '' ,, ' '!=、
  ~='''''=-‐''7ll  ,!    i'""lヽ  ヽ-=-‐'"   l    ,. ,,;:' `l)ゝ、.,_
       i'i'i'  i' ,,..,.;-'''jヽj、 \  `ヽ、    l     '''" j'jl 〉、,,_~
`ー=‐-‐==ィ"" .ノ"~ィ イ|ヽ |  ヽ、  `i、   l     ''' ノ ).ll.| `・
.,-y´.〉.、   ,.ィ´~     l lヽ、,;ニ>   `i   ノ     / / .)|l



137やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:53:00 ID:xHn00U30
 『さて、約束通り千姫を嫁に貰おうと
  徳川家に申し入れた坂崎であったが、
  千姫は、醜い面相の坂崎を嫌ったため、
  なかなか話がまとまらなかった』

      _/      ∠≠ニ二ニ≧=<´  ヘ.     ', ヘ\ヽ.      /
 _ -‐ ´/  ,   -‐´、_, '⌒`^  、 \::\ } l     ヽヘ ヽ}     /         _|_ \
   ̄ フ´,  /             丶\::V| |      Vl       ,'             |____
.  //./                   `Vヽl |      ヽ ' .     |         /|    ヽ
  / ,イ/                    ?Y/,       ヽ.\   |.   l       (_ノ  _ノ
  |/ /       |               ∨ヘ.      ト、 \_ |.   |
.  /     /  /  l:     /  l           ∨i    、   |  ̄   !  l       lヽ│/ /
  l│  /  イ  ,イ.    l  ト、ヽ     / | :l :|   |  l      |   ヽ_ノ   !ー┼‐ |‐┬
  | |   l_メ、」_,;./l     L  l V   ∧ /  :|/   ハ.  ト、   |          |./│ヽ l  |
  | ト.  |.____ ヽ    l´ヽ{ _⊥イ イ /   /    / l/⌒ヽ   .|  ー┼─ └── l  |
  | | ヽ | 、i┘::::i  \  | r┬┬‐┬ァ V  ,∧.   ,'  ´       |   ー┼-
  レ   ヽ!  ゝ- '   \l  i,.┘:::::iノ / ,/〉│ :| {         |    _⊥_     l   |
.      7/l/l/   、     `'ー‐ ' ∠≠r'ノ:jノ :| |         |   (__丿 ヽ    レ  |
     λ    `i`ァー-- 、  /l/l/l ∧‐'.:|:::|  ハ ',        |              l
      `、     レ'    ',     ,/| ::| :|:::| ./ ヽ_>      _|   __|_       _ノ
        ` = 、 '、    ノ  ,.イ∧'|:l.:/l:::|´            \    ._|
              `>-r  =ニi´、.,_`::: |:| { |:::l             |  .(_|
          _,.イ´ヽ.7   /  /:\;八:V:ノ                 |    ノ
       /7:::::!  ○O'´  /::::::::/ヽ.                ',
       /  /:::::::レ'/ムヽ.  /::::::::/   ヽ.



138やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:53:50 ID:xHn00U30
 『そして、当の約束の本人である家康の死後、
  秀忠は千姫を譜代の名門、本多家の嫡男・忠刻の元へ
  嫁がせることに決めたため、これに怒り狂った坂崎は、
  嫁ぐ途中の千姫を強奪せんと兵を挙げた』

  |l   ヽ\|                     =~_〈
  ヽ\____>                        ~> 
 ___,,,ニ==                       <_|'
  ~二;;;;.=-       /|l.l.| llヾヽ          -=ニ,T_    _、、-''~
     ~二ニ     /l;;;;;;||;;l;;;;;;ヽ;\ヽ           ~~'''''Z、-'''~
   _,,,ニ-=     /ノ;;;;;;;|;;;;l;;;;; ××_ヽ |⌒ ヽ         _、‐''''' ̄ ふざけるなっ……! てめえっ………!
     ///   ./\\ ;;;;;u/.×''~   | |⌒l .|      _,、‐~      んなこと通るかっ……!
    ///// |∥/ ~ 。ヾ||:.:.:.||/。  ,ノ | |⌒| |    ヽ
       //| | |/|ヽ,_,.、/::'''彡ーu <~u  |.|ニノ/    |ヾ\     できないなら………最初から言うな……!
      /     |u/ u u   `' u   ||ー ′    .l       汚ねえぞっ……!
     ./     / _丶u  u __,,О   /| .|      ヽ、
     /       ` l 、,,__,,.、、-;;;二-‐`l ./   l       ヽ、   この約束が反故なら………なんのために……
     /     \  l l''‐-‐'''~    ___| /;;  u|          俺はなんのために大火傷っ…!? なんのために……!?
   /        \ヽ|-‐'''┬;;ニニ゜-‐ /;;0   l|ヽ、        許せるかっ………! 許せるかよっ……!
  ./          \ヽ ̄O,,,,,,,;;;u /;;;;;  u  u |ヽ、ーー / ,,_ '''''''''    | | そんなペテン……!
  /           O ヽ u ''''''' /;;;;; u      /    ( / ,,_ ''''''''    | |
./       _,,,、、-‐‐-、、,/\ u /ヽ、   u u /     ( _/  ''''''    || 奪うっ……! 千姫っ………!
/      /        ~'''‐、、_/  ヽ、U   ノ       ''-==ヽ_____,,,,、-ノ |




139やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:55:04 ID:xHn00U30
 『これを憂慮した幕府は、評定の結果、
  坂崎に自刃させることを決め、
  それを伝えるため、柳生宗矩が使者となった』

【審議中】
        ♪      ∧,, ∧            ♪
♪          ∧,, ∧ ・ω・)
         ∧,, ∧ ・ω・)   )
    ♪∧,, ∧ ・ω・)   )っ__フ   ♪    ∧,, ∧
  ∧,, ∧ ・ω・)   )っ__フ(_/ 彡    .∧,, ∧    )
 ( ・ω・)   )っ__フ(_/彡    ∧,, ∧    )   )
 (っ  )っ__フ(_/彡    .∧,, ∧    )   ) Οノ
  ( __フ(_/彡   ∧,, ∧    )   ) Οノ ヽ_)
   (_/彡      (    )   ) Οノ 'ヽ_)
            (    )  Οノ 'ヽ_)
           (ゝ. Οノ 'ヽ_)      ♪
     ♪    ミ  ヽ_



140やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:55:58 ID:xHn00U30
 『使者として赴いた宗矩は坂崎と談判、
  事の理非を諄々と説いたことで
  納得した坂崎は自刃、騒動は収まった』

          _,l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,,_
        ,.r'´,.    -┐   ':..,゙ヽ
       ,r' ,::;:'    ,ノ ヽ、    ゙:::.ヽ
      ,.' _.,:;:'___ _立_  ___;;ミ゙、          ̄ノ ̄| ̄
     .l厄巳厄巳厄 i王i ,.巳厄巳厄巳l           ,勹 .├‐''
     l´ , "´  ̄ ̄ ̄ `'''′  ̄ ̄ ̄`.:`{         ´_フ  ヽ、_,
     | l ;;:.,.   ::、.       ...   '゙|
    ,.-''、.,! ,.::'    ヽ、:.゙、 ;;.:' ''  ヽ | ,.、       __l__
   ./  、/ `ヾー─tッ-ヽ''  kーtr─ツ'´〕. ヽ.        |
  / {´i Y::::..   ` ̄ ̄´.: "i! ::. 、` ̄´ ゙:::.、} r、 l        i,____
  | ヾ_,,入;:::.. `'' " ´.::; .::i! ::..  ```  :. }ツl l
  \  ノ ヾ ;:::.   .:r'' :: ll! :ヽ;:..:.   .: j,ノ ,!       ┬‐┌,┴┐
    ヽ',,;l  ゙i ;::.. _ `ヽ、;;,,,,'.ィ'' _,, .::,;r'1,,,/           l__ ノl士
  ッジ::::::|  ゙ ,r'´:::;;;;;;;::>  弋´;;;;;::::ヽ'" |:::::゙'イィ      ノ凵 l土
 弍:::::::::::l  /:::;r'´ ,,..-ー…ー-、 ヾ;:::'、  |:::::::::::ヒ
  シ:::::::::::l   i':::,!  ´  __  ゙  l::::l:. |::::::::::ス       __ヽ__‐┬┐
  彡;:;:::::l  l:::l     ''''''''⇒;;;:,   l:::l  |::::;;ャ`        ニ メ ,ノ
  ,r', 广'`ヽl:::l ::::. .::     ゙::.   l::l ノ^i`、         l ̄l ハヽヽ
 ,イ(:::j    i::;ヘ  :;:.       .::   l::l'"  l:ヽヽ         ̄   ̄
 |;:ヽヽ   l::l  ヽ ;:.... ..  .. :  /l::l   ノ ,.イ
 |;:;:;:;\\ l::l   ', :;.:;::::::::::..::.  /  l::l,r'' /;:;:;|



141やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:56:59 ID:xHn00U30
              .  -―: .  .            …というのが、逸話「坂崎事件」の大筋なのじゃ。
          , -‐くス´ . . . .: .: .: .: .: .`: .、        (なお、話の最後のオチは史実とほぼ同じなので最後に回す)
        /     Y〉.:.:.:.:/.:.:.:.:.:._;.:.:.:.:.:.:.ヽ     
        _|    /〉.:.:.:./. :.:.:/.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.        まあ、家康が千姫を嫁にやると言ったとか、
       〈入_rくソ.:.:.:./\>' //.:.:.:l、.:.:.:.:ト、      それを受けて坂崎が大坂城へ突入したとか、
       く/// ハ_〉_:_;':/`ヽ |:l:.:.:.:.ハ/|.:.:| l     そして、そこで顔に火傷を負ったとかは、
     ,く// /.:/|ハ/ \、  Wlル'‐〈/l.:.i| |     まず事実では無く、(その16)で書いたように、
     /.:/.:〈_/.:人|.:l:i^ー′    __∧;'.:.|レ′  
     ̄///.:.:.:.:.:.|.:|:|'''     〈__/ノ.://.:廴〉      『大坂方から千姫は城外へ送り出され、それを受け取り、
     ´ /.:/.:.:.:.:.|.:|:|      ' ,,, /.://.:/lヽ>      家康の元へ送る際、護送したのが坂崎出羽守だった』
       '/7.:r,=|.:N\__´’  イ.://.:/l |        
      , -‐くr‐|l.:ヘ:|/,三三]__,⊥!//.:/八|        というあたりが、一番実際に近いところだと言われておるの。
     /   ,' . :ー:-〈〈:_:_: : :〃 ∠ 'イi/        
    i  l/ . : : : : :ヘ∨: : :|l    |   /\     それに、千姫を強奪するという話も、
    | / . . : : : : : {燕}、: |l/     | /   `ヽ   坂崎はこの時50歳前後で、既に妻子があったことを考えると、
    |  . . . : ; : : : : : .\」l    /__   /    恋慕ゆえ、というのは些か考えづらいところじゃな。
    | i . . : : j!: : : : : : : : .|   /_,ゝ、ヽ/     実際には、警護の縁から縁談の取り纏めを頼まれた坂崎が、
    | |. : : : : : : : : : : : :|_< rく \ ヽ 〉      徳川家からその話を反故にされたことで
    | |. : : : : : : : : : : : : l/ ∨    /       武士の面子を潰されたゆえ、というところらしいの。
    | | : : : : : : : : : : : : :〈  /〉ー<〉        
     ′| : : : : : : : : : : : : :∧//  /          さて、それではこれから、
    .'   | : : : : : : : : : : : : :! 〈/  ̄/          「実際の坂崎事件はどうなったのか」という点を追って
  /   |: : : : : : : : : : : :人__/〉          話を進めていこうかの。
  /    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ∧、<           ちなみに
. /    〈______, イ :|iヘ.:、\         
/   / 八       ノ |: :|| V.:、 ヽ           『坂崎出羽守は実は朝鮮陰陽師だった!』
 ̄`ヽ/ /         /   |: :||  ∨.:、/        
    〉′            | 〃   |l: :i          などという珍無類な説は後世の某作家による
                              根も葉もないどころか成長し過ぎた宇宙植物並の愉快捏造なので
                              信じてはいかんぞ?ん?



144やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:58:14 ID:xHn00U30
        ∩___∩
        | ノ      ヽ
       /  ●   ● |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       |    ( _●_)  ミ < 通報したクマ
      彡、   |∪|  、`   \_______
       (ぃ9. ヽノ ../
       ./       /、
      /      ∧_二つ    n_____n
      /      /       ノ '     ヽ    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     /       \      i  ●  ●l、 < 通報したクマ
    ./    /~\  .\    ,メ、. (__●.) ヾ   \_______
    /    /   >   )     (ぃ9 .U '
  /   ノ    /  /    ./     .∧つ   ○_○
 ./   /     /  ./     ./     .\   (・(エ)・) クマ-
../ .  /     (  ヽ、     / /⌒~~> .)   ゚(  )-
(_ _)      \_ _つ  (_)    .\__つ  / >

 さて、この挙兵は、当然のことながら幕府の知るところとなった。
これは、異変に気づいた周囲の大名からの通報によるものとも、
坂崎の家臣の一人、田中道悦なる者の密書によるものとも言われているが、
とにかく将軍の御膝元たる江戸で、大名が公然と兵を挙げることは
まさに「反逆」と呼ぶ他にない出来事であった。



145やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 00:59:48 ID:xHn00U30
  \         /_ /     ヽ /   } レ,'      
  |`l`ヽ    /ヽ/ <´`ヽ u  ∨ u  i レ'         
  └l> ̄    !i´-)     |\ `、 ヽ), />/         …ひとまず坂崎のところに使者を出せ。
   !´ヽ、   ヽ ( _ U   !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―.   話は、それからだ。
  _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '')  ""'''`` ‐'"='-'" /    !   !     
   |  |;:;:;:{  U u ̄|| u u  ,..、_ -> /`i   !   !   
   |  |;:;:;:;i\    iヽ、   i {++-`7, /|  i   !   !  
  __i ヽ;:;:;ヽ `、  i   ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_  !   !  
   ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i   /,ゝ_/|  i   ̄ヽヽ !  ! ,, -'\
    ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ  ノ      ヽ| / ,、-''´
                 ̄ ̄ ̄            Y´/;:;:;\

            /`ヽ  
        ∠l /_l/  _.l_l.|_  `l
      /`~l/'''' u   '''ll'''l1/`
  l /⌒|.|  ===   ==.|  
  l |   ||   、゚__,  / ゚__, ./     ははっ。
  l ヽ、_|| ij  、、  `''7 .l   
  ヽl| / ヽ         ′l    (そりゃあさすがに…躊躇もするよなあ。
    ヾ/  ヽ、   ⊂ニ⊃ /     悪いのはこっちだもの…)
  //   ;;;;ヽ、   ≡ /
-‐/-/    ;;;;;;; ヽ、 _,/
-‐|ー.|\    ;;;;/ l-lー-、、,,_
  .l-l .\  / .l-l`"'''ー-
  l-l   \/  l-l

 しかし、秀忠はこれを兵を以って鎮圧しようとせず、
まず、使者を送り、坂崎を説得しようとしたという。



146やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:00:51 ID:xHn00U30
. . : : : : : ,.. -‐‐-. .. : : : : .:.::::::::::::::/ / . : : : `ヽ   _________
. : : : : : /////////`: ...、.:::::::::/{ / ,.x=.、     Y´
. :.-‐…{/////////////ヽ,イ.:::::j /:/〃. :ミ;、   }  矢でも
. .:-‐…∨////////////,ハ:::::::::' /. . : : : :`ヽ { 
. . : :.:.::__∨////////////人:::.:{ /. . : _:_  )(∧ 鉄砲でも
.,. :''"´: : : ヽ二ニ≠-‐‐‐、く.ゝミメメ、 ,(´ゞ='ヘ.,_ }( }
人,.ィ^ー''⌒¬=ニニ二三ミ刈 } ハ`三二ミ¬く{ ,ノ 火炎放射器でも
: :{: :,ィf「「ミー=-‐''" ̄〃⌒ヾjjjj ノ }: : : . `ヽ /|
: : .:{{. 从{x, , ,ィッッx、 人. : : 〃⌒ヽヘ. : : : .   ( | 持ってこいやァ・・・・
:ィf{リ: :`ヽ二.´゙゙゙゙゙゙ヾミ从ヽ(: : . .  )ハ: : : : .   ヽ |
ィ勿{: : : .;, ⅥY⌒Yヽ. : :ヾ小..__ .ィく 八: : : : :  } \
f爪 ヽ: : :;;. ゞゝr‐ヽ.__ト=r--x. : `ヾツハ}}: :    /    ̄)'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハヘヽ: .:、: :ヽ.\{__/ /`7ーく ノ>ヾ}}ブ''从ッッ /
从ハ: : . } : : :ヽ ` ^ー'ー'--くノ>'〃. : 爪ハィ{   
从ハ}ィx: 、: : : : :`ー‐-.....、 . : : イィ.: /ノハ/ |    (か、火炎放射器?)
ゞ勿}}ハ: ヽ: : : :_:_:_.::::/  . : :厂 /イ从ラ′ j

 だがしかし、坂崎は、

 「最早こうなっては武門の意地に掛けてでも千姫様を奪い取ってみせよう。
  それを止めたくば、拙者の首を刎ねるがよろしい」

 というようなことを言い、一向に妥協しなかったため、交渉は暗礁に乗り上げた。
(使者を送ったのは土井利勝で、その使者を通じての土井邸への召喚を断った後、
 改めて兵を挙げたという説もあり)



148やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:02:11 ID:xHn00U30
     _. -―-  ._        
    .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶     
 /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   
/:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ        
:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',         さて、ここで秀忠が明らかに叛乱しているといえる坂崎に対し、
:.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.        一気に兵を以って破ろうとせず、説得しようとしたのか…?
:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l 
:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|        それはやはり、この事件の発端が、
:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l       幕府の、あるいは徳川家の不手際によるものが
:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′      大きかったからじゃと思う。
l:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ       
/:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.:/         元々、この事件の発端となった千姫の再婚について、
::ヽ::ヽ:.:lヽ {`Ti ´丶//:.:./'         坂崎に嫁ぎ先を探すように命じたのは徳川家じゃ。
:: ::\ ヾ:: \ |:l :: :: }ヾ/           
:: :: :: \:: :: ::ヽl:|:: :: :i:: :∨           そして、せっかく見つけた嫁ぎ先を断ったのも
、:: :: :: :: \:: :: |:| :: ::リ:: :: ',          また徳川家(というか千姫)じゃ。
::l :: :: :: :: :: ヽ: |:|:: :: l :: :: ヽ         
::|:: :: :: :: :: :: ::/::l: :: ::! :: :: ::ヽ          そして、これが一番の問題なのじゃが、
::| :: :: :: :: :: :/:: /:: :: l:: :} :: :: :\       どうも本多家への再嫁に際し、幕府、あるいは徳川家は
::|:: :: :: :: :: /:: /:: :: :;' ::/:: /⌒`\     事前に坂崎に説明しておらなんだそうなのじゃな。
::!、 :: :: :/:: :/:: :: ::,)://:: :: :: :: :: :ヽ    
:l;;;` ー´---´-‐;;;;´;;}'/:: :: :: :: :: :: :: :: i     せめてこれが、事前に説明していればまだしも、
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/: :: :: :: :: :: :: :: :: |    事が成ってからの公表となれば、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〈:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::|    坂崎からすれば、コケにされたと感じるのも
: 7 ー-  .___.  ´: |`丶 :: :: :: :: :: :: ::|    無理はないであろうし、秀忠自身もそう思ったからこそ
:/:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ハ:: ::l f`ヽ:: ::/ :: ::|    できるだけ穏便に済まそうとしたのではないか…?
`:: ::___;: :: :: ´:: l:: :l :|;;;;;/:: ' :: :: ハ   と、まあ、そう推測できるわけじゃ。
\:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: |:: l:: !;;/:: :: :: ::/:: }
:: ::\:: :: :: :: :: :: :: :: ::l:: :: :l/ :: :: :: :;':: :ノ



149やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:03:03 ID:xHn00U30
         , - ―― -.-. 、           何故、こんな不手際が続いたのか、
        /: : : : : : : : : : : : : ` 、         その理由はさっぱり不明じゃが、もしやすると千姫のきまぐれと、
     /: : : : : : : : : : : : : /: : : : ヽ       不遇の娘の願いを叶えてやろうとする秀忠の意思が、
    /: : : : : : : : : : :l :l : : :l : l: :l :ヽ:ヽ      おかしなタイミングで重なった、ということなのかものう。
   ,' : : : : l : : l-、r'l :| : : :| : |: :| : : l: :',     連絡しようとしているうちに、あれこれと事情が重なり、
   l: : l : : l : : l`ソ__l.i、: : |::/j<:|: : : |: :l     結果、後手に廻ってしまった、というところかの。
   l: : l |: : l : : |/_―l|ヘ: : /レ'__ヽ: : :l: :l
   |: : :| l: /l : : lイ:::`jヽ ∨ィ:`j`l: :l : |: l      まあ、隆慶風に言えば、
  ,i'|: : l: l:ヽl : : l `-'     ` ' l: :|: :l: :l    
   l: :∧l |、l : : | :::::     ::: / / /: /       「全て女が悪い」
   ∨  ヽ/`r、 > _  ' , </l// l/
         ,r,"'^'``ー-、T   l/         とでもなるのかの?実際はどうか知らぬが。
      //         \          
       //           \          まあ、ともあれ、ある意味では誰も悪くない話なのじゃが、
    ,/ /     , - =―- 、ヘ          一度武士が面子をかけて行動してしまった以上、
   < <.     /'   _    `ヾ,        それを取り消す事自体が、既に面子に関わるため、
    \\  //  /      ',  l     _  最早どうしようもない状態になったというわけじゃな。
     l \`'/         |  |  ,  "  ` 、 ___
     | l `'  /       |  l "     , ''     ヽ
     | ',   l        l イ     /       ',
     |.  l.  |       /  l、             l
     ,'  |  l        l  l、ヽ/         , l
    /  /  l      l   |\\          /__/
   /  /  /        l    l\`、`ー 、    ///
_/  /    l      l    |  l `ー, l     ///
{.     l    l      l     l  l    l |   ///
\   l    l      l    /  .l   ハ. ///



150やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:06:04 ID:xHn00U30
.                  {}
                 ,r'A':、
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        _、,,,,,f'''*;;;^r:'",r'"' へ:'`' 、`':、^;;;*、L,,,,,.、
        ゙、=┴'ァ゙'"r'"´.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:..`'-、`'=t┴=',゙
        ゙r:''",r'"..:.:.:.:.:.:lコ:lコ:lコ:lコ.:.:.:.:.:..`';;,、` ‐!、
    ゞェェtエ゙┼┬i┬┬┬┬rハ┬┬┬┬i┬┼┬t'ェェブ
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     「;、.|  .冂 冂  冂l:''"..へ`' .l,冂  冂 冂  .|.. .|Ti
ゝ,、,,,,、、!‐''"┬┬┬┬;、‐'":'"::: ヘ:::`:.、`‐、┬┬┬┬┬`ーf-、、ィ,
ソ;゙、ニ┴┴┴┴┴ァ'"r:'´。 ......::.. .:....... 。'‐、`'t┴┴┴┴┴=゙7
ヽゞz、:|;ヘ「]「],r'"r'´、z、r、、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. `': 、`'-.「]「] .|_,'、
Y;;ゝヾi彡〉''"r''";ヾ;ゞ::::ゞヾヽ]「バヘ,'z]「:]:.:.:.:.:.:...`''‐`、':-.、,|l l l.゙i
ソ ヽ;; i;;ゝソ ヽ;;ゝ彡ソ ヽ;;ゝゞヽi;ゞ::::ゞヾ;ヘ――――,rz、;ヘz、`''ー-、;;ソゞヘ
ヽ;;;;ゝヾiヽ;;;;ゝヾゝヾ;ゞ::::ゞヾ;iゝヾ;ゞ::::ゞヾヘソ;ミ^ゝヾ;ゞ:::ゞヾミヘtz彡ヾ;ゞ;ゞ
ヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾヽ;;;;ゝヾ;ヽ;;;;ゝヾ;ゞ::::ゞヾ
ゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ゝヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾ ;;;;ゝヾ;;ソヾ ヽゞヾ;;;ゝヽヾソ;;;;ゝヾ

 さて、もはや説得も叶わぬ、ということで、
坂崎邸の周りを幕閣の手勢が押し囲み、その数は1万を越えたとすらあるが、
場所が場所(江戸市中)だけに、うかつに攻め込んだ後の被害を怖れ、幕府側も迂闊に動けなかった。
(なお、坂崎の手勢は300とも1000とも言われている。こちらは言うなれば完全に篭城状態)

 そうしてお互い身動きができない状況で、
幕閣は如何にするべきかで評議を重ねていった…。



152やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:07:06 ID:xHn00U30
=江戸城・幕閣達の間=
        ,,,,___,,.-‐一'' ";;-‐ヽ  ヽ
        「        \ ノ    l
       i         , へ
        "j          <
        }      __,,_,,./ } ヽ
        "「   .,/'゙ !`\   /
   __   ll   /″  ・〆ゝ  ヽ       そうだねぇ…。
  √  i !!!!/      丶.´ l /  \    やっぱり、自刃してもらうのが一番じゃないの?
  | r⌒ヾ !!          '     丶.  
  | { て !!!               /
  | L  )  !!!   ゝ、          ゝ  
  \ ""ヽ      \         /  
    \_ソ      {         "";                    .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
     i        {          /                    .|    自     .|
_,, .-‐''"    i ゝ             ヽ                    |          .|
         i  l              i                   |    刃    ...|
         l  -             /                   |          .|
          t  ゝ丶、._______/        lヽ          /ノ  |    ?     .|
          ゝ        ノ            ヽ,ヽ, - ー‐-、/、ノ   |              |
           ヽ      /             /        \   ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ ̄ ̄
         土井利勝                /              ヽ     .|  |
                               l   _____    ____     lヽ   ./^ヽ |
                             /, , ':::::::::::::', ,':::::::::::`ヽ   ヽ, ':::::::::::::ヽ
                           /  l l、ー- 、::::::l l:::::::, -ー ァ) , /:::::::::::::::::::::l
                          /ヽ  l l:::` ー ゜ソ. ヽr'_゜- ´:ノ / /:::::::::::::::::::::::::l
                         /:::::::::ヽ ',ヽ、;;;;;;ノ   ヽ-ー ' ノ l::::::::::::::::::::::::::::l
                        /:::::::: :::::::::ヽ、`- ,,_l ___   __,,  ', -':::::::::::::::::::::::::::::::l
                       /::::::::::  ::::::::::::::::`:二ニゝー- イ--- 、::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
                                   酒井忠世



153やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:08:37 ID:xHn00U30
               _,,.. ._
            ,r;';;;;;;, _,..、`、
           i´_,.. - ' _゙、,ヽ               そう、自刃。
           l゙、 ,.、 '´rニ,゙v i .             坂崎本人にね。
            ヾ iャ'j; `  i' r'~ヽ,ーュ: ; _
            ュ'ヘ ヽ ' _,  i .! .i !`ー┴-ニ`y、     まあ、こういうことをしちゃう人だから、
         ,.r'´;l´::.:..ヽ, '´.  / ! .l, :::.:.:.:.:.::: }' i .    そう簡単にはやってくれないだろうけど、
       _,.-'~ヽ l ::::.:.:. `!ー '" ry'`ーi ::.:.:.::::..: l  r,!    家老辺りなら、一人くらい
    ..,.-='´   `、゙、,l ::::.:.:.:. l .`t-r'  i ::.:.:.::.:.:: l リ !     困ってるのがいるんじゃないの?
   / `ヽ,    ヽ l :::::.:.:. .i 冫l '",i .:::.:.:..:.:. l ,  i,
 .,rー'ュ、 ゙,  _, -=' ト-t_ :.:. \_⊥-' :.::.:.:.,..._,./  ,7 `;t   そういう人にさ、お願いしてみたらどうかなあ?
. ,ヘ.! i^,.`i /' ~ .   loj :.:~`rー '"~  ̄ ̄l oj l ;'     l . 坂崎を自刃させてくれないか、って。
ヾ、」y' _r' ´      .i´、:.:.:∫::.:.:.:.:. .:. :.: , `´ `t ..,_   !
. `7,' ´         _,l._ ` ! :.:::.:.:.:. :. :.:. :.:. :.:.: { l,  `  `i 


. ! / ! ,イ:::l /‐K    ゝ!‐\T:::N:、       ,!
 レ' l/ l キ==、   _ =====::|. r‐ 、 i 
.       l.` ー-゚,;) u ´ ` ー-゚ :::´:::| |-、 l |   それはつまり…家臣の手で坂崎を…!?
      l ┌‐'"       u :::::::::|.l_;ヲ/ |.  つまり、家臣による更なる叛逆…ッ?
        l !           ::::::::::|Lノ ノ 
       ! (ニ二二二二⊃ ::::::::::/'\  ̄「



154やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:09:42 ID:xHn00U30
       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,     いやだなあ…物騒な。
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i    潔く自刃をすれば、罪一等を減じて、
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l    家の存続は許す…というところだね。
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i    まあ、「お家のため」ってことだよ。
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll    
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i     とりあえず、私らで奉書でも書かないか?
     i     l :::.      ..::::  ,/     その家臣たちにあげるやつを、ね。
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l

            /⌒゙ ‐''"⌒ヽ、
           /::;,,...:::..,,.;;::...,,,..;;:::ヽ           
           (:::::::/!::::;ノ !:::::::::::::::::}
           {:::ノム<  >∠、:::::::/           
            r i:l  O ) O .l:|,Y          …それがしは納得できぬ!
           ヒl:|u ̄ ヽ v ̄v||シ
            .(ヽ(⌒二⌒) /l           「…どうしたの、本多殿」
             wヽ、__, イw'   __       
         _,,,... / |   | T"" ̄__,,,iヽ
    , -‐'''ニニ --―/ i|\./|  l"" ̄   i \    
   /  /       / l:| ハ i|  l      l  ヽ
  /  /       /  !:ト/(Vl:|  |    _( ̄ ̄⌒) 、  
 ノ 、 i       /  .|::|  i l::|  l   ./ ( ̄ ̄  ) \ 
 i 、 ヽ|       > |:::! l  |::| <   し( ̄ ̄  )  ヽ



155やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:10:08 ID:xHn00U30
     ,-─`  ヽ´ '´‐z._    
     /          ‐-ゝ  
   /         .ノヘ    \  
    |      イ/::::::|∧ト、 トゝ 
   |    ,イ‐!-:: j:::!-‐!ヽN    土井殿…おぬし、家臣どもが
    | r‐、 |===    ==l    坂崎を切腹させる事に成功すれば、
   │.{ {、|| ゚‐-  /゚-‐ ,'    まことに家を存続させてやるおつもりか!?
   │ `ーl! u     `7 /
   /l.  /\  ⊂ニ=‐ /
,. -‐'|=|. /  :\  = /
   |=:|/    ::::\/|`ー- 、._
   |=:|\     ::::/|=|
   |=:|.  \   / |=|
   |=:|     \/   |=|
   |=:ト、    ∧  |=|

               _,,.. ._
            ,r;';;;;;;, _,..、`、
           i´_,.. - ' _゙、,ヽ         さあ、どうだろうねえ…。
           l゙、 ,.、 '´rニ,゙v i .       でも、それが通るものかどうかは…本多殿もわかるでしょ?
            ヾ iャ'j; `  i' r'~ヽ,ーュ: ; _
            ュ'ヘ ヽ ' _,  i .! .i !`ー┴-ニ`y、   
         ,.r'´;l´::.:..ヽ, '´.  / ! .l, :::.:.:.:.:.::: }' i .   
       _,.-'~ヽ l ::::.:.:. `!ー '" ry'`ーi ::.:.:.::::..: l  r,!   
    ..,.-='´   `、゙、,l ::::.:.:.:. l .`t-r'  i ::.:.:.::.:.:: l リ !    
   / `ヽ,    ヽ l :::::.:.:. .i 冫l '",i .:::.:.:..:.:. l ,  i,
 .,rー'ュ、 ゙,  _, -=' ト-t_ :.:. \_⊥-' :.::.:.:.,..._,./  ,7 `;t 
. ,ヘ.! i^,.`i /' ~ .   loj :.:~`rー '"~  ̄ ̄l oj l ;'     l 
ヾ、」y' _r' ´      .i´、:.:.:∫::.:.:.:.:. .:. :.: , `´ `t ..,_   !
. `7,' ´         _,l._ ` ! :.:::.:.:.:. :. :.:. :.:. :.:.: { l,  `  `i



156やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:10:30 ID:xHn00U30
        ,, -‐''" ゙̄`ヽv'" ゙̄` ‐ 、_
      ∠´_..           -ニ_~
.      /´                `ヽ、
      /                  \
     l               ∧         l、    ふざけるなっ…!
.     |           /l / . |. ト、i、.   ヽ、!    そんな奉書は認められない…!
    │        /| /.| /  .|.| .l.,|_l.,ヘ   l.
     |   __  /|/゙|/`|/、 v | /l l Wヽ|     如何に坂崎が反逆したとはいえ、
     |  ./‐ヽ | ==== __  ,''===== |      それを討つ為に、更に家臣に反逆を命じるなど、
..    |  || ~)| |  ` ‐-゚‐' ''' /:.‐゚-‐'´ |      これでは御政道が通らぬ…!
    │ || 6|.|  v     `‐-;    l     
.      |  ヽゝレ            / v  l        こんなメチャクチャ…
.   /|   /':\   ⊂ニニニ⊃   /        .無法が通るものか……!
  _/==|  /   ::\    __    /         天下の政治は信を失ってはならん…!
''´ l====| /      ::::\   ̄   /       
::::::|====|/        ::::\   /_          坂崎に罪があるならば、速やかに兵を向けて
::::::|====|\        :::::\/=l::::`..‐、      誅伐するべき…!
::::::|====|  \        :::::::|===l:::::::::::::`..、    私は、このような道を誤ったものには署名できぬ…!
::::::|====|   \       /|===|::::::::::::::::::  
::::::|====|.      \   /  |===|:::::::::::::::::     無効だ…!その奉書…!
::::::|====|l       \/    |===|:::::::::::::::::  
::::::|====|.|       ∧.     |===|:::::::::::::::::
::::::|====|:::l       /lOl、   |===|┌──   
::::::|====|:::::l    /:::| |:l.  .l|===|::|: CAM

 この時、利勝の提案に対し、正純ただ一人が署名を拒んだという。



157やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:10:54 ID:xHn00U30
       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i    …ふーん、真面目だねえ。
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll   まあ、私らは署名するからさ、今回は見ておいてよ。
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i    さ、酒井殿も…。
     i     l :::.      ..::::  ,/
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_              .
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ             .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,               .|    承    ..|
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i              .|          .|
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l               |    知    ...|
- '"   / i l丶,-ヽ- ='"  ,'  /  ,'  i               |          .|
                         lヽ          /ノ  |          .|
                          ヽ,ヽ, - ー‐-、/、ノ   .|              |
                          /        \   ̄ ̄ ̄| ̄| ̄ ̄ ̄
                         /              ヽ     .|  |
                        l   _____    ____     lヽ   ./^ヽ |
                      /, , ':::::::::::::', ,':::::::::::`ヽ   ヽ, ':::::::::::::ヽ
                     /  l l、ー- 、::::::l l:::::::, -ー ァ) , /:::::::::::::::::::::l
                    /ヽ  l l:::` ー ゜ソ. ヽr'_゜- ´:ノ / /:::::::::::::::::::::::::l
                   /:::::::::ヽ ',ヽ、;;;;;;ノ   ヽ-ー ' ノ l::::::::::::::::::::::::::::l
                  /:::::::::::::::::ヽ、`- ,,_l ___   __,,  ', -':::::::::::::::::::::::::::::::l
               .  /:::::::::::::::::::::::::::`:二ニゝー- イ--- 、::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
                 l::::::::::::::::::::::::::/            ` 、:::::::::::::::/

 そのため、正純以外の重臣たちによって署名され、奉書は用意される事となった。



158やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:11:15 ID:xHn00U30
       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,     さて、これでできた、と。
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i    じゃあ、誰を使者に立てるかだけど…。
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i     …なあ、柳生。
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll    行ってくれる?
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i
     i     l :::.      ..::::  ,/
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l
- '"   / i l丶,-ヽ- ='"  ,'  /  ,'  i

         / ̄ ̄\
       /    \ /\
       |    ( ●)(●)
       | u.   (__人__)   …ははっ!
         |      `⌒´ノ  (これが土井様か…)
         |         }
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

 そして、この奉書を携え、坂崎邸へ赴く使者として選ばれたのが、宗矩であった。
(実際に宗矩が重臣たちの評議の間に控えていたかどうかは不明)



159やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:11:39 ID:xHn00U30
                   __,,, .............. -........,,..、
              _,..-ー'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;´"''-、
             ‐";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'.
        /゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_....ー. 、.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`'、
        !,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;.;-'''"´     .`''<;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙l、
        !;;;;|´゙7r.''>/'"゙|.!          :!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l
        i";;″:l゙  .!|  `.l....-‐'';;;;;;¬-..,  .!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l
       l゙;;;,lr'"'一.、゙′ ''"'''" ´ ...... ゙̄''!  .|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!    
       l;;;;|./ . ̄⌒       _,,..、....,´   .! .;;;;;;;;;;;;;;;;;;;1     まあ、今、話した通りだからさ、
          i,ミ  .'"゙.,゙,.'..    : ゛ ゙┘  .゛    : (;;;;,,'''二''i,}    やり方は任せるよ。
        ゙'/, .' / │    .. .ニ'''''"゛     .|;;,,〉i゙ .、 }!   
            │ : -- │                  "."..゙_'.> |.!     …みんなでしあわせになろうよ。
         l゙    ,!               -    二  !;|
         、    .!  . : 、           l゙       .,./ ;|
          ゙、    ゙'゙´ ":┘        ゙    .:|''''|゙;;;;;;./    「ははっ…」
              /                    ! :!;;;;;/
           :!    .,i..iyィ==;;lljiフ        l゙  !;./
              ゙i,   .`-....イ―''"         丶 .|/
            ゙、     ¬             ゝ  .|′
            `、               ,.‐´,‐   .!
                `.   、          ‐       |
                 丶  .!     ,..‐  .,‐    .,,,/"゙.、
                  ゙'ー.r‐ー''.'''゙゙´    _.. .'''''"    l
                     /i    ._,....‐' ´         t-、
                .″ ..、  ….-    .          ":l'''ーT!;;i_、
               ハ''''''i, : /  .i゙  │  ‐       ,.;:゛;:/;:;:;::〔丶;:゙'/‐、.-、..
              ,,..i../  ,i゙ゝ .|,ー ._、‐│ ,.'゙" ̄"    .,.'";:;:;:;::`'''-、_;:"''''''/;:;:;:,ノ''''':-.. ,
      _,_..┬‐;|i=-''リ .!;;;`゙~"-'";;;;;;;;;| .゙.l;:;:;:;:′   -゛;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:´'ー゙;:;:;:;:./ ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::""ー
   _...-.,>l′⌒;:;:;:;:;:;::「 ";;;;;;;;;;;;;;;;.,ン'". , .1,′  / ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::'"´゙''ー .._;:;:;:;:;:;:;:;:;:
,..'"゙lぐ´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::/. !;;;;;;;;;;;;;;;/     .   .‐;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::`゙';;i.;:;:;:;:



160やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:12:16 ID:xHn00U30
              ..-  .          
            /. . : : : : : :`: . 、       
          / : :,: :、: \: :ヽ: :,: .\      さて、こうして幕府内での坂崎家への処分も決まり、
         'ⅰ:/: :i:|\厶: :∨ : : : ヽ    あとは、それを実行に移すのみとなったのじゃが、
         .: :Ⅳ.: :从´ 丶V. :. : : : : : :.   そこで、その直接の担当者(使者)として、
.        i.: :|{.ヽ/' ィ'弐}|: :ト、: : : : j:|   何故、宗矩が選ばれたのか、ということなのじゃが…。
.        |: :ハ._,,   '''|: :レ': : :i:|:从   
.        |:/.: :{'' ′_  , |: i|:i : j从'^ `    ① 当時、宗矩の役職が使番の役目も果たす
        八: :i 〕iァ== 个:|: リjL〔 ′`      「小姓番」だったから。
           ヽ|:リ广ア¨´ :レ'    ヽ    
          / j/廴__ ノ{    丶     ② 宗矩が坂崎と親交があったから。
            / /      :. ヘ    :.   
.           / .′     \∧   :,.    ③ 宗矩の武芸の腕前を見込んで。
          / j          /     ',  
.          ' 厶 ====ミ:、 /    〉  〉   というのが理由として挙げられそうなところじゃの。
           /       `V   /  /  
       ∨  ,     {   ,   ′    まあ、このうち、一番妥当なのは①というところじゃな。
          ′  ′    _ /  /     ②は実際のところ、本当に親交があったかどうかわからぬし、
       r―┐:r:r‐-/ ̄   /      ③は一見もっともらしいようで、
       / ....:::∨/.:::《/,:、,..::<.        実際にはまったく理由になっておらぬからの。
.      /..:::::::::::|d:::::::::´〈/.::::::::{.        武装した集団の中に、素肌(鎧無し)の武芸者一人を送り込んで、
      /.::::::::::::ー|:|:::::::::::::::::::::::::::i        何の意味があるのか、ということじゃな。
    く:::丶:::::::::`ヾ:::::::::::::::::::::::::::|       
    / ` ー--ゥ┴┬…‥―r┘      
.    ′     /  |      |



161やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:12:56 ID:xHn00U30
 さて、こうして、宗矩は老中からの奉書を持ち、坂崎邸へ使者として赴く事となった。

     __
    /   \
  / -   -.\
  | (●) (●)|
  |  (__人__)  .|   ………………。
  l   `⌒´  |
  .l         |
   {        ./
   .ヽ      ノ
  /      `ヽ.

      __
    /:::::::::::\
   / -::::- \
  |  (●) (●)  |
 . |  (__人__)  .|  ………これは、好機じゃ。
   |  :::`⌒´::::. |   
 .  |  ::::::::::::::.  |   
 .  ヽ  ::::::::::  } 
    ヽ   ::::::  ノ  
 . /      \



162やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:14:32 ID:xHn00U30
          , --────-- 、
        /           \
       /              \
     /          l        \
    ./           !、  ::::::::::::::::::ノ.\
   /             _`'- :::::::;;;;;;;;;;-'´:::: \
  |         / / ̄\\:;;;;;;:// ̄\\
  .|        | |. ○ .|  ,|:;;;;::| .| ○ .||
   |         \ \_/ /::;;;;::\\_//    この一件を見事治めれば、それがしへの評価も変わる…!
   .|             ,/   ::|::     \
    |            |    |     |      単なる剣術指南役…一介の新参旗本ではなく、
    |            |    |     |     累代の旗本衆にも見劣りせぬ名誉の者だと…!!
    .|             \__/\__/|   
    |.              トエエエエエイ  |     果たしてみせる…なんとしても!
    .|                   '.{    :l    }/ /   
     |                   .{   :l    }/ /    
      丶                  .{       }  l    
      \                 、`ー一一 ' /    
       .\                       /
       /ヽ                / 



163やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:15:10 ID:xHn00U30
              _. -―-  ._             そして、これを受けた宗矩についてなんじゃが、
            .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶        おそらく、これを好機と捉えたものと思われるんじゃ。
          /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   
         /:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ       何故なら、当時の宗矩の立場というのは、
         /:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',     実際のところ、かなり微妙なものだったんじゃ。
         |::.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.|   
         |:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l      というのは、徳川家には知られている通り、
         |:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|    「三河以来の」家臣たちというのが大勢おるのじゃが、
         |:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l     そんな彼らも、石高において宗矩より下の者が
         |:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′    大部分じゃったんじゃ。
         ゞ:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ     実際、あの大久保彦左衛門もこの時期は千石じゃしの。
          /:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.::/   
          ヽ::ヽ:.:lヽ  .{`Ti/ i>く,//::/      そして、彼らは先祖代々徳川家に仕え、
         ,/、  `ー<`ニア / /_.ゝつ      戦場を駆け抜け、家康に天下を取らせたという
         / _. ゝ 、  /-}ト、\ ´ く       強い自負があるわけじゃ。
        ./ / ` ー-\{ー〈ハ`; \   `:、   
       / /       }|::::::∨ | /`  }       そんな彼らにとって、一応関ヶ原の前とはいえ、
       / /    _ __ト;::::::::ヽ l、/    ,′    家康が天下に名立たる存在となってから取り立てられ、
      ; 〈           ヽ::::::/ r7   /      しかも、戦場での直接の武功が殆どない元武芸者なのに
      l 、ヽ         \),/   /       三千石の高禄を得ている宗矩という存在を、
      |  \ヽ       _. く´ , ′   /       好意的に見ろという方が無理な話じゃった訳じゃ。
      /     `{    /  /     /      
     ./   /  ヽ /、        /          それ故、おそらく宗矩に対して、
    /   /     ー‐ ヘ      /         周囲の嫉妬や侮蔑などが、かなりのプレッシャーとして
    /   /    /  / /\   /          掛かっておったであろうことは想像に難くないのう。
   ノ   /  、  /  / /  | ` ´          
   ヽ   {    \!__ イノ   {              だからこそ今回の使命は、宗矩にとって、
  イハ ノ     / _ノ_}_. -┴―:::::::::: ̄ ̄ ̄    功績を挙げ、周囲の空気を変える絶好の機会でも
 .{:.:.:ヽ >-‐   ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::     あったと思われる…ということじゃな。
/-‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



164やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:15:40 ID:xHn00U30
 さて、こうして宗矩は、幕府からの使者として、
幕府方・坂崎方と、双方の荒武者たちが気勢を上げる坂崎邸へ赴いた。

      / ̄ ̄\
    / ._ノ  ヽ、\
    |  (●)(●) |     皆の衆!
    |  (__人__)  |    柳生宗矩、使者として
    .|   ` ⌒´  .}    坂崎殿へ幕府からの命を知らせに参った!
   ./ヽ        }    道を開けてくれい!
  / ノ.ヽ    . ./\
 〈  〈|   / ̄|  |ニニ|   …今、状況はどのようになっておりますかの?
  \. ∧ /  :| /  /
    ∧ /|ハ__ハ/ /
    |トv'   / |/ |
   / ゝ._ノ/^,.|│ |
   .// 」 0_ 0_ L\へ               _,.ィ≡三ミミ:;、、
  / V {_:_:_} {:_:_:} V  :|             ,,r'";ノ彡三ミ;;;;;;;;;;゙ー:、
  |_人__--=ニ人  |             ,,ノ;;;;彡三彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ、_
     |__|フ/ ̄|                /;;;;;彡三Ξ彡;;;;;;;;;;;;;;;ミミ;ミ
     |:::::::| /‐‐‐|                 !;;;;;r''"´"´ー''"ノ'ヽ;;;;;ミミ;;;l   おお、柳生殿。
     | ̄ |/::::::::/                ,ハf -‐--‐''  ,.、 ゙`ヾ;;;;ノ  状況は相変わらずですな。
      ̄〈ニニ/             __,」.f.}  r'''ヽ.    `゙'ー レ_   坂崎側は篭もったまま…カメみたいなもので…。
                  r二二''く´  0 ,.>、l   ` ゚''′  ,r'。`) /ィj      _,..、 
                ,r''/´     ̄,フ´ /l     ,... 、  ̄´ /,シ'ーo、 ,.fヒi'-!   「ふぅむ…」
               / ,f′    /   / .! ( ,、_ヽ..ノ  _ ,イ´ ヽ=:.,`'',ヒ,i ヽ
              ノ! i      \,ィ'´! ヽ  ヽ、``゙;ゝ‐'ノノ,!   ゙i、`~.! ゙i、゙!,.ゝ、
             ノ/i  l    _,.ィ''´  i   \.   ̄´ ,/ ,i`ヽ、/   ゙i t ヽ ヽ`i.
            ,/l .i,! ii t     ヽ    i、 ,.ィ'^t:、,,...ィ''´  ,ノ  `ヽ、  ゙t,_ヽ ` ヽ,t、
              リ ヾ i ,..、   ゙t,     !.゙´   ゙i__,ノ ヽ//    /.   ,f´彡彡 /l `i
                            幕府方の役人



165やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:16:13 ID:xHn00U30
    |  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
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    |  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  |
    |  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
    |  |______||  |______||  |______||  |
    |  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  |
    |  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
    |  |______||  |______||  |______||  |
    |  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
    |  |::| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.|
    |  |;;|______________________|.| ←坂崎邸本部ビル
    |  |        ..:||  | |______| |______||  |
    |  |        ..:||  |  ┌―┬―┐   .|  |  |  |  |  ||  |
    |  |        ..:||  |  ..|  ..|  ..|   .|  |  |  |  |  ||  |
    |  |        ..:||  |  ..|  i.|.i  |   .|  |  |  |  |  ||  |
    |  |        ..:||  |  ..|  ..|  ..|   .|  |  |  |  |  ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |    …ならば、これよりそれがしが
     . |:::::::::::     |   坂崎殿へ談判をしに参る。
       |::::::::::::::    |   周囲の警護…頼みますぞ!
     .  |::::::::::::::    }   
     .  ヽ::::::::::::::    }     (なんだこの屋敷…。
        ヽ::::::::::  ノ     地上七階・地下二階はありそうな…)
        /:::::::::::: く     

 状況を聞いた宗矩は、膠着状態を動かすべく、自ら坂崎邸に歩み寄った。
一説によれば、この時、宗矩は大小を外し、丸腰だったという。



166やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:16:42 ID:xHn00U30
   / ̄ ̄\
 / \i||i / \
 |  (●)(●) |     坂崎家の者達よ!
. |  (__人__)  |    我が名は柳生又右衛門宗矩!
  |    |::::::|   |    使者として坂崎出羽守殿に上意を伝えに参った!
  |    l;;;;;;l   }
  ヽ   `ー'   }      会見を求める!
   ヽ     ノ     開けられいッ!!
   /    く  

      人                 _   人   /ヽ/ヽノ ̄V\丿ヽ
ノヽ_人丿  ゝ      /        丿  ̄ ̄  ヽ、 | ど  .使  ば、
        丶っ__//       、_ノ         丿  、  者
  ン  知  し   ノ        ヽ   近  な  丿 ど  だ  幕
             |_,、--――--t、ノ    :  ァ  /.   う  !  府
  な  ら  ッ   × 彡彡三ミミ;;ミミヽ   :    (rつ  す     の
           /彡:::;;;;彡 彡彡;;ミミミミヽ、 :   _| (.  る   
  こ  ね   ・ /:::ヘ彡 彡彡三ミ;;;;;;ミ三ミミヽ\/ ̄ヽ   し?_,,,,,,,_ 
         ・ レ"ヽ三ミミミ彡 三ミミミ三ミミ;;;;;i /       _,w';;;;;;;;;;;;;;;;;;::ヽ、
  た  ェ  ・ |  _  ̄\彡|~トヾ::ミ三ミ;;;;;;;ゝ、i _     l;;;;;;;;;;;:'゙"゙ヾ-、  ゙i
.  ァ     ・ |/ ゙    ;!  ヒヾ|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;トミ     |wミビ r-__  ゙、__!、
  ッ  よ  ・ |  r'7    :  U |ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)゙    |-、_ /゙ bノ   下ヽ
_     rγ-゙ヽ b/  u    Yンノ;;;;;;;;;;;;;;ト;;;;;;ヽノ     V_oヽ "  u  ゙゚人
  ヽっ /   ノ   __ヽ、  ! ー"ミミ"ヾ、ヾ;ノ゙゙ヽ    ゙i  と_    |
    |/      L - /",r';;;;;ヽ)l  l /  ゙~フ  ノ‐" ゙ゝ、._ ヽ r==-"ヽ  ノ
           ヽ┴"ヾ;;::::ノlノ  ど_,r< ̄        ヽ. ゙、゙ヒ三Yノ _/
              lニニノノ /-"   ':          \ ヽ、  /
              ゝ u _,<__      ゙、          ヽ ゙X'"
               ! r'" ̄ ̄ヽ     ':           Y



167やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:17:24 ID:xHn00U30
                       __,,,..、、_
                   _,;:・''"´    `丶、、
               _,.:;‐'"´ _,;:・''"´ ̄ `丶、、`:、、
             ,.-'"   ,,.;:'" ,.: _,.:-‐‐‐‐‐-  `ヽ、`:、.
            ,;レ-=='''"~,-";-'" _,.:-‐===-  `i, `:、
           ,:;´.、..___,.=.l="´_,/ ,.:-‐ニ_-、   ;l  `i
           ,i"´      L,..-フ´/,.:",.-'"´ ``‐=、 ‘i、  `i,
          ,!_,,..---=‐'"´l '" i'",.;'"   / ,- ,. `i, `:、  l,
         〉" 二_>=、`、 l  (/´   ∠<-'"--、.,_,. _ `i  ミ彡=    …お前達…。
           f ,.:'"´二二`>、 ヽ   l    ,!´.-‐、ニフノ:==ニ |r--=、ミミ   何をしているのかね?
          レ/'"´、`ヽ、ヽヽ、! f'   '"ー='""´丿=-、 f;;;;;;,, `iミ   早く、御使者殿を屋敷へ入れよ。
          j´、、- _,.>-、_  )  l:    、_``ー~=-、`- i;;;;;;;;;;  lミ  
         l、`- _,.:-ナ''フ/ (   .l   ヽ、二ー-- 、  `:、 ノl;;;;;;;;;, lミ    手出しはならぬぞ。
         't、- <=ニ'"´ノ 丿  l, __ ~`''=-、., `丶、 ,i'"l;;;;;;;;,,;;lミ   よいな。
         ,../`i ‐、_,.ノソ / l,.:- !、  `ヽ,    `::、  `i、l  .l;;;;;;;;;'lヾ
        ,,,..彡〃; ´,!" ,i' ,i´ .(   ;)--,,ノヽ、    `i、 `;、 t;;;;ノ ノ   「か、勘兵衛様…了解しましたッ!」
      ,!'"´彡ミr-! i / l' ,:'(`--,,.<..--―''"`-、__、  `!、 `l  ノ  /
        ! ( ノr >ヽ、l l' '",i´フ" _,,,,,,,.....,,,,,.,、_、 )、 !、 ),i´ /
        彡彡い(ヽ、l l  ,;:'" ,,.;;"iゝ !コ-'‐"、ヽ `i、!、 レ'´  /
      、..,,,,..彡彡;i、ヾ j .i ( ,,.;:'~-''"^~´,.ィ´  ':;  !, l  ノ  /  /
      ,.,:;-彡彡彡ミゝ t"i 'i、'"-;;''``ー'ニ´一''"`;, ;;  ,l ノノ / / ノ
     ,.=''"ソ´ノ彡''"´´i`-.い ヽ, ,;'"  ノー (´ '';;  ノ" ノ ノ / ノ
       ;"ー彡/"   j `i`::、、 ' `iー":、__,ノ"`ー ノノ ,i´ノ  / ノ
     フi il'ミノ    ,i´`i、.ヽ、`i、 ''"  ! ` ノ,;;:''"/_,,.;:"/  "",!´
      ,,..;;''"/     l`  `:ゝ `;、__,,....,,,_,;:::'"´_,,.='''"~ /    /
      _.ィ´     lゝ    `ヽ-、_,,,,,...;;::''''"´   /    /
                     坂崎勘兵衛
                    (坂崎家の家老)

 坂崎側の内情はともかく、宗矩は坂崎邸へ入り、坂崎出羽守と面会をすることとなった。



168やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:18:06 ID:xHn00U30
 だが…。
                     .┌┬┬┐
(       ∬    ∫   ∬ ││││
(    ))   ∫      υ  └┴┴┘
 (  .ノ    
  ソ   
∬∬        ____________
∬∬ 川 ジュワー/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄___ ̄ ̄ ̄ ̄
 ■●▲ ̄フ | ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ u ./\ ̄ ̄ ̄
▲◆■◆// ̄ ̄ ̄ /  u  - /,-  | ̄
 ̄| ̄| ̄|  | ̄ ̄ ̄ ̄|( (■) ll (◎ )
 ̄| ̄| ̄|  |      (6 、_,/  , ヽ |   ふぃ~…。
              | /ヽ(__(_ノ)、ヽ   い~い熱さだなぁ、オイ…。
              |,  ( 'ー─一ノ|  
              /\λ_ ⌒ ,ノ   
             /    ヾ  / ヽ   

 /
  坂崎殿!坂崎出羽守殿!!
  柳生宗矩でござる! 幕府よりの使者として参った!
  ここを開けられよ!
 \

 宗矩が来た時、坂崎は倉に篭もり、扉を閉めた状態だったという。



170やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:19:36 ID:xHn00U30
                   ,.;:-――一=-、,,,,,,,,,、、
                  ,.イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;``i,
            _.;:-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ ノ
         ,. -'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_.ィ<´
           ,i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,.;:=-‐''" ,、`i
           !;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::==-'''"ノ  ;i:;> !ヽ,il
         >、_,...='"´  Xノ 、 ;:; '、,,. ;  ノ ノ,/ l
        /´ `i,   , / / ,. ;:;、 ゞ,.    / , i !、
          /、_ゝ l , ,..;: _.;;´ .....,,,,,__´ ! =,//,ヘ .ノ    あぁ?
         ヾ ,ィ i、 ,.;:"   ,i;;;;;;;;;;;;;;;;=イ ノ ノ ,.ィi"i    柳生だと…今更なにしに来やがったんでえ!
        `i、l 、へ、 ,..;-ヽ;;;;;;;;;;;;;;;丿ノ ヽ''"   l
        丿`ーiニて''"ヾ ヽ``=--ィ,   ノ) , ノ
       ノl;;;  (  `!, /^i , // '=-、_ ,.) ,i丿 
   ,.;:-ー;;メ i、  `ー、_ノ   ,i´ ,.;:-=ニ=‐┐ ノ 
.;:‐''"´  /   ゝ    ヽ、 / .,i´!、__ ヽ_,.;! ノ ノiヽ、_
´     ノ    ヽ、    `‐( 、``ー-ニ-‐'"イ l、 ~`ー-=、..__
    /      `i、    `i、_      ,.ノ ノ        ``=ー-:;;、..,,,,,__
  /   ,;:-''"~~`i、 `ー、__   丶ー---ナ'"_.ィ´



  …坂崎殿、貴殿の怒りはもっともでござる!
 だがしかし、貴殿の今の行動は、果たして坂崎の家を保つ為になるかどうか、
 考えてくださらぬか!?


 宗矩は(あるいはそれを取り次いだ坂崎家の家臣は)、倉に篭もる坂崎に対し、
倉を出て、幕府よりの命に服するよう、説得したという。



171やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:20:13 ID:xHn00U30
      ./..::::             i    ヽ
     /.:::::::::::.            /     ヽ
     .i::::::::::::::        i  ./      |、
     |::::::::::::::         i .人ェュ、_    )、
    丶:::::::::::     ノ   .レ'´ /´:::::    / ヘ     へっ、家だと…?
     i':::::ヽ::   ''''´ ヽ .,イ  i::::::    _  V.i
   ┌-t::::::::::::  .___ X ! /:::  _,,ィク´  .i |    家のひとつやふたつ、潰れるのが怖くて、
    .!ヽ:ヽ:::::/ ̄´;;;;;;;;;;;;;;;ヽ, ヽ ::::::: fエィ'´   ノノ.   武門の意地が立てられるかよォッ!!
    i ヽ |:::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:ノノi  :::::::::     ィヽヽ    俺の家だ!俺が潰して何が悪い!!
     !`゙イ、::ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:::ヘ  i::_::: -‐‐</ ヽヘ
     `ヽ(ヽ、__`>─'''´ ,r  .ゝ (. `)‐-クi ):  i:::ヘ   このトーヘンボクがッ!一昨日きやがれッッ!!
      .i.ヽi-‐'ヽ/ ,:::-‐'´ゝ‐-、_,,ィ'´==ッ' 〉ノ /::: iニヽ
      .| ::::i   i (ヽ、__,, -‐=ニ''´  ̄// // !::::  ./|ヾ゙\
     ,,イ、:::ヽ、 ヽ\ `゙‐`''‐--─''´/ / i/i::::  :::||>メミノ三
    i'´゙〈::ゝ::::::::`'ヽヽ::::::..  ̄` ´ ̄   ノ:::/:::  ::ノノ爻》彡
  ノ´) 《ム、:::::...  ``ヽ、:::..       /:::::!:::: /ミ矢父<
三タ〈 父メミ`ヽ::::::::..  `'-、..__,,.--‐'´ :::/:::./爻爻ノ.ノミ


 ………………ッッッッ!!


 だがしかし、坂崎はこれを拒否。
倉から出ることもなく、結局、宗矩は坂崎と面会できなかったという。



172やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:22:10 ID:xHn00U30
              .  -―: .  .         
          , -‐くス´ . . . .: .: .: .: .: .`: .、      
        /     Y〉.:.:.:.:/.:.:.:.:.:._;.:.:.:.:.:.:.ヽ     
        _|    /〉.:.:.:./. :.:.:/.'.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.      ちなみに余談ではあるが、
       〈入_rくソ.:.:.:./\>' //.:.:.:l、.:.:.:.:ト、    坂崎の性格は、まさに「武辺者」そのものでの、
       く/// ハ_〉_:_;':/`ヽ |:l:.:.:.:.ハ/|.:.:| l    よく言えば剛直で一本気、
     ,く// /.:/|ハ/ \、  Wlル'‐〈/l.:.i| |    悪く言えば強情で短慮なものであったそうじゃ。
     /.:/.:〈_/.:人|.:l:i^ー′    __∧;'.:.|レ′  
     ̄///.:.:.:.:.:.|.:|:|'''     〈__/ノ.://.:廴〉     事実、この坂崎事件の以前にしても、
     ´ /.:/.:.:.:.:.|.:|:|      ' ,,, /.://.:/lヽ>   元の主君である宇喜多秀家と争って離反したり、
       '/7.:r,=|.:N\__´’  イ.://.:/l |      自家の罪人を匿った事から、
      , -‐くr‐|l.:ヘ:|/,三三]__,⊥!//.:/八|      姻族の富田信高を訴え、改易に追い込んだりと、
     /   ,' . :ー:-〈〈:_:_: : :〃 ∠ 'イi/        家よりも、まず武門の面目を重視する、
    i  l/ . : : : : :ヘ∨: : :|l    |   /\    というところの目立つ武将であったのじゃ。
    | / . . : : : : : {燕}、: |l/     | /   `ヽ  まあ、ある意味、戦国武将の一典型だったわけじゃな。
    |  . . . : ; : : : : : .\」l    /__   /   
    | i . . : : j!: : : : : : : : .|   /_,ゝ、ヽ/      そんな坂崎じゃったから、
    | |. : : : : : : : : : : : :|_< rく \ ヽ 〉     今回も、家の存続を元に話をしたところで、
    | |. : : : : : : : : : : : : l/ ∨    /      通じるはずもなかったんじゃ。
    | | : : : : : : : : : : : : :〈  /〉ー<〉       そもそも、それで話が通じるくらいなら、
     ′| : : : : : : : : : : : : :∧//  /        江戸の市中で兵など挙げはせぬじゃろうしの。
    .'   | : : : : : : : : : : : : :! 〈/  ̄/         
  /   |: : : : : : : : : : : :人__/〉           ともあれ、こうして宗矩は、
  /    厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ∧、<          坂崎との面会を断られてしまったんじゃが、
. /    〈______, イ :|iヘ.:、\         それからどうしたか、というところを
/   / 八       ノ |: :|| V.:、 ヽ       追っていくとするかの。
 ̄`ヽ/ /         /   |: :||  ∨.:、/      
    〉′            | 〃   |l: :i       



173やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:23:03 ID:xHn00U30
          / ̄ ̄\
        / /  \ \
        |  (-)(-) |      …やはり駄目、か。
        |  (__人__)  |     まあ、このような説得に応じるくらいなら、
         |    `⌒´  ノ     端から兵など挙げぬであろうしの…。
   r"ヽ   |         }     
  (   =‐' ヽ        }      
   ゝ-'    ヽ     ノ     _
        _/     l__   / /
   __ゝ_/         ヽノ   ノ
   \___ノ'          ノ


        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |
     . |:::::::::::     |    …仕方ない。
       |::::::::::::::    |   こうなれば、幕閣の方々の御命に沿って
     .  |::::::::::::::    }     片をつけるしかあるまい…!
     .  ヽ::::::::::::::    }       
        ヽ::::::::::  ノ      哀れな話じゃがの…。
        /:::::::::::: く      
-―――――|:::::::::::::::: \
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)



175やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:23:59 ID:xHn00U30
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●) |   
. |  (__人__)  |    …御家老殿、先ほどはかたじけのうござった。
  |   ` ⌒´  ノ   出羽守殿と面会できなんだのは残念でござったが、
.  |         }   まずは宗矩、感謝いたしたく…。
.  ヽ        }
   ヽ     ノ   
   /    く     
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、

           ,:;´.、..___,.=.l="´_,/ ,.:-‐ニ_-、   ;l  `i
           ,i"´      L,..-フ´/,.:",.-'"´ ``‐=、 ‘i、  `i,
          ,!_,,..---=‐'"´l '" i'",.;'"   / ,- ,. `i, `:、  l,
         〉" 二_>=、`、 l  (/´   ∠<-'"--、.,_,. _ `i  ミ彡=
           f ,.:'"´二二`>、 ヽ   l    ,!´.-‐、ニフノ:==ニ |r--=、ミミ
          レ/'"´、`ヽ、ヽヽ、! f'   '"ー='""´丿=-、 f;;;;;;,, `iミ   なに、感謝するのはこちらだよ。
          j´、、- _,.>-、_  )  l:    、_``ー~=-、`- i;;;;;;;;;;  lミ  この期に及んで、まだ幕府の兵は
         l、`- _,.:-ナ''フ/ (   .l   ヽ、二ー-- 、  `:、 ノl;;;;;;;;;, lミ  こちらに攻め入らず、
         't、- <=ニ'"´ノ 丿  l, __ ~`''=-、., `丶、 ,i'"l;;;;;;;;,,;;lミ  柳生殿を御使者として派遣してくれた…。
         ,../`i ‐、_,.ノソ / l,.:- !、  `ヽ,    `::、  `i、l  .l;;;;;;;;;'lヾ
        ,,,..彡〃; ´,!" ,i' ,i´ .(   ;)--,,ノヽ、    `i、 `;、 t;;;;ノ ノ   この温情に感謝したい。
      ,!'"´彡ミr-! i / l' ,:'(`--,,.<..--―''"`-、__、  `!、 `l  ノ  /
        ! ( ノr >ヽ、l l' '",i´フ" _,,,,,,,.....,,,,,.,、_、 )、 !、 ),i´ /
        彡彡い(ヽ、l l  ,;:'" ,,.;;"iゝ !コ-'‐"、ヽ `i、!、 レ'´  /
      、..,,,,..彡彡;i、ヾ j .i ( ,,.;:'~-''"^~´,.ィ´  ':;  !, l  ノ  /  /
      ,.,:;-彡彡彡ミゝ t"i 'i、'"-;;''``ー'ニ´一''"`;, ;;  ,l ノノ / / ノ
     ,.=''"ソ´ノ彡''"´´i`-.い ヽ, ,;'"  ノー (´ '';;  ノ" ノ ノ / ノ



176やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:24:45 ID:xHn00U30
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●) |
. |  (__人__)  |    …………………。
  |   `⌒´  ノ   (…こやつなら、いけるか…?)
.  |        }
.  ヽ       }
   ヽ     ノ    
   /    く  
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、


    / ̄ ̄\
  /:::::::⌒ ⌒\
  |:::::::::(●)(●)|    …御家老殿。
 . |:::::::::::(__人__)|  この坂崎の家のことについて、
   |::::::::::::` ⌒´ |  あなたを見込んで、相談したき儀があり申す…。
 .  |::::::::::::::    }
 .  ヽ::::::::::::::    }    聞 い て 下 さ れ る か ?
    ヽ::::::::::  ノ
    /ヽ三\´
    |:::::::::::::::: \



177やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:25:45 ID:xHn00U30
                   _,;:・''"´    `丶、、
               _,.:;‐'"´ _,;:・''"´ ̄ `丶、、`:、、
             ,.-'"   ,,.;:'" ,.: _,.:-‐‐‐‐‐-  `ヽ、`:、.
            ,;レ-=='''"~,-";-'" _,.:-‐===-  `i, `:、
           ,:;´.、..___,.=.l="´_,/ ,.:-‐ニ_-、   ;l  `i
           ,i"´      L,..-フ´/,.:",.-'"´ ``‐=、 ‘i、  `i,
          ,!_,,..---=‐'"´l '" i'",.;'"   / ,- ,. `i, `:、  l,
         〉" 二_>=、`、 l  (/´   ∠<-'"--、.,_,. _ `i  ミ彡=
           f ,.:'"´二二`>、 ヽ   l    ,!´.-‐、ニフノ:==ニ |r--=、ミミ
          レ/'"´、`ヽ、ヽヽ、! f'   '"ー='""´丿=-、 f;;;;;;,, `iミ    …聞きましょう。
          j´、、- _,.>-、_  )  l:    、_``ー~=-、`- i;;;;;;;;;;  lミ   いえ、是非、伺わせて頂きたく…。
         l、`- _,.:-ナ''フ/ (   .l   ヽ、二ー-- 、  `:、 ノl;;;;;;;;;, lミ  
         't、- <=ニ'"´ノ 丿  l, __ ~`''=-、., `丶、 ,i'"l;;;;;;;;,,;;lミ
         ,../`i ‐、_,.ノソ / l,.:- !、  `ヽ,    `::、  `i、l  .l;;;;;;;;;'lヾ    「…うむ、では、この奉書を……
        ,,,..彡〃; ´,!" ,i' ,i´ .(   ;)--,,ノヽ、    `i、 `;、 t;;;;ノ ノ
      ,!'"´彡ミr-! i / l' ,:'(`--,,.<..--―''"`-、__、  `!、 `l  ノ  /
        ! ( ノr >ヽ、l l' '",i´フ" _,,,,,,,.....,,,,,.,、_、 )、 !、 ),i´ /
        彡彡い(ヽ、l l  ,;:'" ,,.;;"iゝ !コ-'‐"、ヽ `i、!、 レ'´  /
      、..,,,,..彡彡;i、ヾ j .i ( ,,.;:'~-''"^~´,.ィ´  ':;  !, l  ノ  /  /
      ,.,:;-彡彡彡ミゝ t"i 'i、'"-;;''``ー'ニ´一''"`;, ;;  ,l ノノ / / ノ
     ,.=''"ソ´ノ彡''"´´i`-.い ヽ, ,;'"  ノー (´ '';;  ノ" ノ ノ / ノ
       ;"ー彡/"   j `i`::、、 ' `iー":、__,ノ"`ー ノノ ,i´ノ  / ノ
     フi il'ミノ    ,i´`i、.ヽ、`i、 ''"  ! ` ノ,;;:''"/_,,.;:"/  "",!´
      ,,..;;''"/     l`  `:ゝ `;、__,,....,,,_,;:::'"´_,,.='''"~ /    /
      _.ィ´     lゝ    `ヽ-、_,,,,,...;;::''''"´   /    /

 こうして宗矩は、家老の一人に対し、幕閣からの奉書を見せ、
「坂崎の家中で始末をつければ、坂崎の家は別の者を立てて残すことを許す」と伝えた。

 ……その奉書の奥にある、幕閣の真意を告げることなく…。



178やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:26:28 ID:xHn00U30
        / ̄ ̄\
      / ⌒  ⌒\
      |:::::: (●)(●)|
     . |:::::::::::(__人__)|   …そういう次第でござる。
       |::::::::::::::` ⌒´ |  それでは、それがしは一度立ち退き申す。
     .  |::::::::::::::    }   あとは、よしなに…。
     .  ヽ::::::::::::::    }
      //⌒)⌒)⌒) \  /⌒)⌒)⌒)  「…………………」
    ノ  | / / /   (⌒) / / / /
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  :::::::::::/
 |    l  |     ノ  /  )  /
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /
  ヽ __     /   /   /


        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |
     . |:::::::::::     |  (…さて、吉と出るか凶と出るか…。
       |::::::::::::::    |   全ては、あの家老次第じゃの…)
     .  |::::::::::::::    }   
     .  ヽ::::::::::::::    }    
        ヽ::::::::::  ノ    
        /:::::::::::: く     
-―――――|:::::::::::::::: \
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)

 こうして宗矩は、ひとしきりの話を伝えると、坂崎邸を退去した。



179やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:27:09 ID:xHn00U30
 そして夜もふけ、流石の坂崎も寝入った時、「それ」は起こった──

        ___
      / ̄   /\
    /     - /,-  |
   |( (■) ll (- )
   (6 、_,/  , ヽ |
   | /ヽ(__(_ノ)、ヽ  zzz...
    |,  ( 'ー─一ノ| 
     \λ_ ⌒ ,ノ 


      |      |  |       |
       |      |  |      |   「…………………」
      |        |  |      |
        |      |  |       |
       |      |  |      |
       | ,      |  |      |
        |ノ     、|   .|     、|
       ノ__ ___,ゝ  ソ_____ゝ
     _ノ゙⌒^⌒^⌒}  . { ⌒^⌒^⌒}   ザッ…
    'ニ===⊂⊃=}   {==⊂⊃===}



180やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:29:37 ID:xHn00U30
               r‐ー- 、                  /  rエエエェ- 、
          ィへ⌒`'ー-- `ヽ,            .   /   (      入
          (           `ゝ            /     `ーヘノ   `''ヘ      .   /
          /  γ'⌒`ヘ''ー   /⌒ヾヽ    .  ./         ミヽ    \ヘ      /
          |   ヽ ..,,,___,,,....,,_ γ  )ノノ ヽ     /            ミヽ     \ヘ   /
         . !     丿ヽ  `! て⌒)ヽ    /             入ヘ      y' ./
          〉ー、 / λ   ヽωノノ  . /              (  `' .,_ー / /
          /   `Y  / `ヽ        /               ,,;''`' ..,,  `ゝ′/        ;: ::
        . !    !  !   )(( (   (/              ,,;;;''     `y" /        !;;::
          ゙、.  λ ノ  ..:::ミ;;;::::ミミヾヽ            ,,;;;;;;''''     ,,;;''  /        ;;:::   ;;::
          ヽ  ! y´...,,,:::彡:::::ミヾミヾヽノ      .  |  _,,;;''       ,,;;'' //     ::,,:::''''∵  ’
           人  /  ,,.;;;;;;;;ミ彡ノ⌒ヽヘ     |   | /        ,,;;'' //      ;;;; ''::: ;;;;::
         /  ヾ ....,,,;;;;;;;;;;;;〈う{  ヘ;,;)    | .  | λ / / _,,.....;;'' //       :::;;; ....::∴ ‘”
         /   /      ヽ ;;) ==''ソヽ    | 从  υ/ι'" /.//         '''':::;;,, ;;::: つ
       . !    !        );;;!!,,.:::cひ ! \从|         /_,,... -''"         ;;::: ::;;  '':::;;,,,
        !    !      /⌒''::;;;;;;;;;;;{  ヒヽ              -''"~             `
        !    !   c- 、n      ヾ⌒. )    _,,,.......,,_ _r― ..,,_,,.rヘ,,..,nヘ
        ゙、   ゙、   ヽ ヽ、__,,.. -ーヽ''"~⌒`'ー'"::::::::::::::`´:::::::::::::::::`ヽ ヽ,. ●¬ ヽ
         ヽ /`'8三三  ))    ーノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉 〈∂ ーλ>|
          〉" /⌒ つ ,,..ノ-ー''"⌒`''ー--ーー`ヽ、__,,..::::::::::::   ヽ::::::ミソーヘrヽ |
        . / ヽ(__ι′  )`'''''/ヽ,,.ィ人         / ,,,...:::':::::::::::ゞ___丿       
         !  ヽ(   ┃ ̄ ̄)/ / / (_,,....,,_        /   :::''" :::::::::::::ヽ      
         ! \ ゝ--ーー―''"ヽ( (   ヽ ノ      /|   ;;;''"~::::::::::::::::λ
         ヾ、__ミ______/.ヽ._)  _,,..::´-   .  /  λ κ   :::::::::::::::::`ヽ
          ゝ||||||||  ||  __,,,...ィ ノ   /  ノ/W  从  ! ヽ `'- .. :::::::::::::  ノ
         / ヾ ⌒ ー''"~丿ヽ / .ヽ/ ! //  /!!  ', !  ヽ   :::::::::::::::::: ヽ     _,,..
        /ノ   ヽ    ノ ヾヽ( . !   `イ   / |  ノ',!   ::::::::::::::::::::::::::::::: ノ    ノ 《つγゝ
        ノソν   ..,,:::    ヽλ  !  ! ノ      く   :::::::::::::::::::ノ  (:::::: `r-ー''"',   ''"ノ⊃
       /   ノμ从ソ      !  ノ  ) λ       〉  :::::::::::::::ξ   ゝ:::: /,. '".入...,,,__ `'っ
      /  / / / ν)w从  ノ  ノ ィ  /       〈 ::::::::_,,,,,......人_    !:::::入_,. '"   └'"´
 . /  / . / /   /    /  / /ノ/        /,,.r''"´  ヽ  `ヽ  `''''''"



181やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:30:18 ID:xHn00U30

      ワ          ケ

       __  |   | |   | |  | |  
      (\O `ヽ   _,--、  | |  | |
       、● '0 l ̄ 「  \| |  | |  
       ゞ┴--'  /\_∧| |  | |
       /、__|_ノ┤ / ヘ\) |  |   
      (    )  ヘ \ノ V | 
      \_ ノ<_丿 /  )|      
        | ヽ \   / /丿
        \ > >--、 | , へ、,,,_    
         ~| (, <  / /---、 \
        ( / \__|  と-、 ''ニつ
        / ) |    |∧|ヽV|ヽヽ- |
       /(  \   ~ |     /
        | ヘ       |\_ \
         ̄  \    ノ    ̄
            ~'''''"~
    ワ  カ  ん  ね  ェ ・・・・・ !!





183やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:30:42 ID:xHn00U30
                                   …オ トワ ラヴィ~

                                    真心込めて愛し合える恋人も無くて
                                   ただ過ぎて行く日を悲しみ込めて見送るだけ
           / ,..'ニ._ ~''‐- 、 ,...、..,×、, ヽ、      
          ,r' _,...,、   ̄`'‐‐‐-.、./`'i, 'i,  \       オ トワ ラヴィ~
        ,.,.rk'ニ,.,r.、'‐-.、-‐i, .,;'  /"'ト, "i, .l,  .'i,     
.r-‐.i ;-‐‐' '/ ミ ,,,,__.. ,."゙''ヾ゙'''i'" /゙ ,i' .ヽ .'、 .'‐、 .'i,      もし明日も暗い朝が訪れた時は
'i、"~} .l,r' "'/, ニ-''ミ'‐゚@iニ'、 `i.l / ,..r、-i `'、`'‐、`  '}      ただ寂しいその日を苦しくても耐へて行こう
) 'i,r'l 'i,ツツ   ~,r‐,','.."~   ,.r' .',r' '"'ヘ、ヽ、 "'‐、.'i, l .}   
,r',i'゙i ,ri ト  ' ´.'"´,.,r- '  .,.'  ./   -、'‐、'‐、  i !  l     いつの日か小さくても
i 'i",rリ .ノ/.'i  ',r''"´ ,r‐'"ィ' ' v.'    ,.!、r@、~''i.'i, ト  .l'    かほり高く素晴らしい夢を
,i'"ツ,rツ  } ,r'" ,rニ_ト,r'''i' ,.r .'i ,ヽ `i,,.`''゙キ, トソ  ノ'i     いつの日か見つけた時は
ノツ.,,r'ヾ .,i',r' .,r' ,、,-';'~"''t;ニ~i `l ' i;  '.; ',~'.i ミ‐、,rッソノ    この両手にしっかり抱いて
/ ,ri,  .lノ, ,r',,;',ィ,rtiュニ'‐-、';,:ヽ、i  .i; , ';';, 'ツi.;./''"/   
i' i ,r'/ /゙i,:'ノ., ノ `''"~h,,, .'i,';':iノ  ;: .:  .: .,i.l ノ /       オ トワ ラヴィ~
,i  v' { ノ  ツ, ', 、     .i, ,i;'ソ  ,;l ./   ノッソ  {,     
) ノl,ノ/l  .;i i≡r''"ヾ,.、.,. ,i/;,/  ,;i' ノ  ,.,.r'. ノ,l,.  `i,     雨の朝も、嵐の夜も、命の限りに…
l,r' ; ,! l ,i'l~ゾt-、_´~  `'il,l,.r' ,;;ツ,.r‐''て ,r'"ノ ,'; ,.~、~l    もし苦しい時は 青く晴れた空を想い 堪えて行こう
ノ  ,r'i  .l { l,_'~t,l,イユ'ッ、/./,r'' .~~"''‐'-‐' ' " ; '-, ‐l    それがラヴィ~~~
 ,i' .l l, r'-'.、 ~'r、 ''‐.、_.',rツ-'´, ;''~  /イ ; .; ''", .r'‐-'"    ラヴィ~ラヴィィ~ラヴィィィィィ~~~~!
 { l '‐、   `'‐、-.'"~,r' , r.' ,;   -  l,i - ' "         ラヴィィィィィィィィィィィ~~~~~~~~ッッッ!!



  なんだッこの声は…御家老様…ッッ!?
  殿のおられる方だッ!!急げッ!!


 ドタドタドタ



186やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:32:14 ID:xHn00U30
                                              \
                 ラヴィィィィィィィィィィィ~~~~~~~~ッッッ!!
                                              /
  ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
  (((((((((((()ノ((リノ
 /      __ノ   ヽ
 |     /   '´\|
 |   __ /    __  /
 | / ヽ  u  <_0`丶      ご、御家老様…ッッ!!
 | ゝ_ \     ιつ     そ、その奇怪なる歌は…って、ええええッッ!?
 /  (  ゝヘ  ,==′
/  |. `ヽ  | /
|   |  ヽ  丶=
ヽ  |    \  <
  \. _____ /⌒ー'
))) ̄.. ,__ヽ        
)))) __ノ.  \       
ヘ/ノリノ.  '´\|          そ、そんな…と、殿をッッッ!?
)ノリ    __  |      
リ.  u <_0`(       
 |      つ     
つ -┐    」      
jヾ.  |  / ̄ \     
´ヽ  | └┐   \   
 \   「     \  
  /ー '       \



187やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:33:24 ID:xHn00U30
                                      ,),r ニ,イノ,!ィ
                    __,,,,,......,,,,,__ ヽ(  `! `!,r''彡'ノ ノ,ノ/´/´`
                 '、( ,. ‐''"´         ``''='、、'、 {f //,'/,rニン、レ'´
               !、  、/.. .._ __ ,,..          ヾ;,、゙!i;〃/ ;r'ノノ´ /`ヽ
          -、 ゞニ/_二´-、ー‐.:-‐ ニ''‐-:.、      'ッヾ='、ノ,rニ彡ノ‐'´_
       _  ヽ )ヽ.,;';ニ-‐:.、.: r.:ニ ‐''''ー ‐-:..、    '彡ヾjr ミ二≠、='、
       `ヾ:、ゝニ/、、..__,.、;. ; ;  _,,,,,,__.、ィ,ッ, :.  :..  、;三ンヽニ、ー- '  !
        、 ゞニ 彡=、;;;;;;ツ,: i;. '; '、;;;;;;;;;;、==ミミ.:     ミヾニ、;ヘ,、_,.
     ´`ヽ `ヾゝ:'、"i:.ィt=,=、::.  .:::::::: 元テ=、 .:      ミヾ三ーkニ、ー、,r'
      _  ゙ヾ、 ⌒ゞ}.:` ̄ ´/ .:::::::ヽ` ̄ ̄´;,:、、     ミヾニー'}キ‐'メ     諸君、慌ててはイケナイ。
     -ヽ、_ ゞ二/.´`'''´.::;′ ::::::.,  `  ´   ヾ 、   'ミヾーニ;{ゞ='ニ´-、  これは全て、坂崎の家を守る為じゃ。
          ,.ニ、`{    ( ,、:. ,.-、 .:) 、           ;ゞミ三;}二ノ⌒   殿は、己を恥じ、自刃なさったのじゃ…!
             `ヘ';  / `,.;.;.;.;.;.;.,´  ヽ     , , ,:,:,:,., ミ;;ヾ;、ニ'ヽニ´-'´  
           ヘi;';. i .,.;';';';';';';';';';';';';.;., ヾ:.  .;';';';';';、';、';ヾヘヾ、゙i !彡'⌒    これは幕府の御意向に沿ったことである。
            、};'; ;',r'_二二二`_ー 、:';.,.':  ';';';、';'、';';ミ;ミ;)ゝ:::.、l !、_,ノ    さあ、外におる柳生殿に伝えてまいれ!
           、_'j;';';、´ ̄ ̄ ̄ ̄``ニー';';  .;';';ミ';';ミ;ミ;f (ッー 'ノ/、_,    
           、_ 'ッ;';';` ̄,:;:, ̄ ̄´ .,.,.,';';.,.;';';ヾ';';ミ';ミ、´  ,r'ゞニ、   
             `ーキ;ソ;'ノ;';!;'、;';';'、;';';';';';ヾ';';';'ミ';';ミ';ミ;ミ;'、 `7'''"ニヽ‐'      「「は…ははッ!!」」
              ゝ-ゞ、ツ;'メ;'i;'ハ;;ゞ;;ヾ;;ヘ';';ヾ';ミ';ミ';ミ`::   |ミゞ-、 `      (つか、なんで顔変わってんの?)
            ´,ニ、ー ヘ;ハ;ソ;r;ソ;リ;ハ;ゞ;ナ;イミゞ``::.    .:|_ー、ヽ、
           ´   'ー_ヘ:;":::"::`::::::`:::::`:::;;;:.:..:    :.:|;::ヽ
                     ,,|:':;:::::::::::::::::::::::::::;;;:.:..      .:.:.リ::::;!ヽ
              ,/;r,!: i:::::::'    .:;;:.: :      /::::/::::::}、
       _,,.. 、-‐::''´/::/ノ:: :ヽ::':..  . : ,:: .    ,,.、-''":::::::/:::::::::::::`::-..、,_
 ,,.. -‐ '''"´::::::::::::::::::::/:::i′::::. :. :::   .::  ,r''´::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::``''‐- 、,_

 こうして、元和二年九月十一日、坂崎出羽守直盛は、家臣の手によって殺害され、
表面的には、自刃した、ということで届けられることになった。
享年は永禄六年(1563)生まれ説が正しければ、54歳となる。
(宗矩と同年の46才という説もあるが不明)



189やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:34:12 ID:xHn00U30
        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |
     . |:::::::::::     | ……………
       |::::::::::::::    |          ....,:::´, .
     .  |::::::::::::::    }          ....:::,,  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´

 /
   や、柳生殿!
  拙者、坂崎家の家臣で…!
  こ、この度、我が主君、坂崎出羽守様が…!!
 \

    / ̄ ̄\
  /:::::::⌒ ⌒\
  |:::::::::(●)(●)|
 . |:::::::::::(__人__)|   …全て、承知しており申す。
   |::::::::::::` ⌒´ |  
 .  |::::::::::::::    }    あとは、それがしにお任せあれ。
 .  ヽ::::::::::::::    }    きっと幕閣の方々に、このことお伝え申しますからの…。
    ヽ::::::::::  ノ   
    /ヽ三\´
    |:::::::::::::::: \

 そして、この坂崎の「自刃」の報を受けた宗矩は、これをまとめ、
幕閣への報告に向かったという。



191やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:35:20 ID:xHn00U30
               _,,.. ._
            ,r;';;;;;;, _,..、`、
           i´_,.. - ' _゙、,ヽ      おー、お疲れさん。
           l゙、 ,.、 '´rニ,゙v i .      で、どうだった?
            ヾ iャ'j; `  i' r'~ヽ,ーュ: ; _
            ュ'ヘ ヽ ' _,  i .! .i !`ー┴-ニ`y、   
         ,.r'´;l´::.:..ヽ, '´.  / ! .l, :::.:.:.:.:.::: }' i .   
       _,.-'~ヽ l ::::.:.:. `!ー '" ry'`ーi ::.:.:.::::..: l  r,!   
    ..,.-='´   `、゙、,l ::::.:.:.:. l .`t-r'  i ::.:.:.::.:.:: l リ !    
   / `ヽ,    ヽ l :::::.:.:. .i 冫l '",i .:::.:.:..:.:. l ,  i,
 .,rー'ュ、 ゙,  _, -=' ト-t_ :.:. \_⊥-' :.::.:.:.,..._,./  ,7 `;t 
. ,ヘ.! i^,.`i /' ~ .   loj :.:~`rー '"~  ̄ ̄l oj l ;'     l 
ヾ、」y' _r' ´      .i´、:.:.:∫::.:.:.:.:. .:. :.: , `´ `t ..,_   !
. `7,' ´         _,l._ ` ! :.:::.:.:.:. :. :.:. :.:. :.:.: { l,  `  `i

         / ̄ ̄\
       /    \ /\
       |    ( ●)(●)   
       |     (__人__)   …はっ。
         |     ` ⌒´ノ  坂崎出羽守殿は「自刃」なさいました。
         |         }   一族郎党は武装を解除し、恭順しておりまする。
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.



192やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:36:23 ID:xHn00U30
       , '"  ̄` ー''⌒ヽ、
    /           \
.   /               ヽ   
   l       ,ィ j`ヘ. ハ .、   l   
  │    ,.ィノ-jノ  lノ-リ‐l  N     「自刃」、か…。
.   |. r'コ.r'=ヒァ= _ ;セァ=:|nノ     柳生よ、お前がこれほどまでに
    l |.ヒ|.| `ー- '  / ー ' :||.|     上手く事を運ぶとは…思わなかったぞ。
.    l. ヽl| u'     冫   :ル'     たかが剣術指南役如きに、な。
    ヽ ト.、  'ー----   /″  
   /ヽ|. \  ー  ,:く       …見事なものじゃの。
-‐''"|:.:.:.:.:ト、   \._. イ:.:.:.|`''ー-
:.:.:.:.:| .:.:.:.:| \ ,⊆ニ_ヽ、|:.:.:.:.:.  
:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|.   / r─--⊃、.:.:.:  
:.:.:. |:.:.:.:.:.| ,.イ   `二ニニうヽ.:.::

         / ̄ ̄\
       /    \i||i/
       |    ( -)(-)
       | u.   (__人__)    …お褒め頂き、有難く存じまする……。
         |   u. ` ⌒´ノ
         |         }
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.



193やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:38:16 ID:xHn00U30
   ' , \、 、|       ヽ   l / /    ヽ,   / /  /
  ``ヽ  ヽヽ! ,      ヽ  i/ , '     !/ /  /
  、 ヽ\ ` l_/ /`ヽ、   ヽ/ / ,. ' ´ヽ l ,'/'´   /__
  、 ヽ、 ,へ、/ ,ヘ``ヽ、ヽ. ` / /,. -‐,´ _!,-、 / /'´/
 ヽ\`` l l^ヽ,',  ',  oヽ`、} レ/o   ,'  〉"^l//'´/    宗矩…よくやってくれた。
   \、 l l r' ',  ー―‐",`ー´`ー―‐'  //_',/_,. -;ァ    お前への褒美は、この度の処断の後に決めよう。
    ,.ゝ-\ー、 ',      ノ_      /'_j /  /
    ``,ゝ-ゝ、_',              ./-/_/       今日は下がるが良い…。
     ´ ̄``ー,ヘ    ´ ̄ ̄`    /=''"´
          ,'、 `ヽ、,:' -‐-  ,/ '``>、
         ノ`::ー-、_\__,/_,. ::'´:::::冫二ニ77ー-
  ,...-、‐ニ二{{:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ニニニ〃::::::::
  :::::::::ヽニ二ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/二二ニ〃:::::::::::


        /⌒`"⌒ヽ、
       /,, / ̄ ̄ ̄\
      /,//::       \     …ははっ!!
     ;/⌒'":::..        |⌒ヽ
    /  /、:::::...       |ヽ_ \
  __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒  )
━━━`ー──ゝィソノ-ヾy_ノー─━━


 こうして、「坂崎事件」は、その首謀者たる坂崎出羽守の「自刃」を以ってその幕を閉じ、
あとは、幕府の裁定に委ねられる事となった。



194やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:40:25 ID:xHn00U30
     _. -―-  ._                さて、これが大坂の陣にまつわる逸話のうち、
    .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶           真の宗矩の功績というべき「坂崎事件」じゃ。
 /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   
/:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ          これは、不明瞭なところの多い七人斬りと違い、
:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',         複数の記録が残っており、宗矩の関与により、
:.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.         事件が解決した事がほぼ確実と言われる逸話じゃよ。
:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l 
:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|        ちなみに、ここで補足をしておくが、
:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l        この坂崎事件の記録にも複数のパターンがあっての。
:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′      せっかくなので、それぞれ簡単に説明するぞ。
l:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ    
/:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.:/         【その①:坂崎説得説】
::ヽ::ヽ:.:lヽ {`Ti ´丶//:.:./'          柳生家の記録(玉栄拾遺)記載の説。
:: ::\ ヾ:: \ |:l :: :: }ヾ/           宗矩が単身無腰で坂崎邸に乗り込み、
:: :: :: \:: :: ::ヽl:|:: :: :i:: :∨          坂崎を誠心誠意説得し、その情理に心打たれた
、:: :: :: :: \:: :: |:| :: ::リ:: :: ',           坂崎出羽守が自ら自刃した、というもの。
::l :: :: :: :: :: ヽ: |:|:: :: l :: :: ヽ      
::|:: :: :: :: :: :: ::/::l: :: ::! :: :: ::ヽ         【その②:坂崎謀殺説】
::| :: :: :: :: :: :/:: /:: :: l:: :} :: :: :\         徳川実紀記載の説。
::|:: :: :: :: :: /:: /:: :: :;' ::/:: /⌒`\      今回の話の流れはこれに準拠している。
::!、 :: :: :/:: :/:: :: ::,)://:: :: :: :: :: :ヽ     面談を断られた宗矩は、坂崎の重臣と謀り、
:l;;;` ー´---´-‐;;;;´;;}'/:: :: :: :: :: :: :: :: i    家の存続を条件に坂崎を殺害させた、というもの。
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/: :: :: :: :: :: :: :: :: |
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〈:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::|     【その③:坂崎謀殺説2】
: 7 ー-  .___.  ´: |`丶 :: :: :: :: :: :: ::|     及聞秘録記載の説。
:/:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ハ:: ::l f`ヽ:: ::/ :: ::|    宗矩は坂崎邸の前で門前払いを受ける。
`:: ::___;: :: :: ´:: l:: :l :|;;;;;/:: ' :: :: ハ    仕方がないので、坂崎の重臣を呼び出し、
\:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: |:: l:: !;;/:: :: :: ::/:: }    その後はその②と同じ。
:: ::\:: :: :: :: :: :: :: :: ::l:: :: :l/ :: :: :: :;':: :ノ
                          というのが概ねのところじゃな。



195やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:42:39 ID:xHn00U30
              _. -―-  ._            
            .:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:ミ:、:`丶        3つのパターンのうち、
          /:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\       一番妥当と思われるのは、まあ、②じゃな。
         /:.:.:.:./:.:/:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ     史料としても、公的記録である徳川実紀のものじゃしの。
         /:.:.:.:./:.:.:l:./:.:.:.:.:.,:イ:.:.:.:.:.ヽ:.:.!:.:.',   
         |::.:.:.:':.:.:.:l:.:.:_:.:/ l:i:.:.:.:.:.:.:}:.:|:.:.:.|     ①でカタが付くようなら、そもそも
         |:.:.:.l:.:.:.:l:.:./`ヽ. |i|:.:.:.:.:.:.ハ:.l:.:.:.:l     坂崎とてこのような所業には出なんだであろうし、
         |:.:/!:.:.:.:レ'、    l!|:.:.斗/'"}|:.:.:.:|    大体、自家の記録というのは飾られがちなものじゃ。
         |:.:、!:.:.:.:lr'、 `ヽ  ヽ.:∠-ァ/!:.:.:.:l   
         |:.:.:|:.:.:.:.lゞーフ′   之/'/.:':.:.:.:,′    ③は③で、この後、宗矩が取った行動を思うと、
         ゞ:.ハ:.:.:.:.ト、""     ""/:./:.:.:,イ    些か不自然なところのある流れなのじゃよ。
          /:: 、:.:.:.| \  . ′.イ:.:/:.:.::/     門前払いされたのに、何故、というような話でな、
          ヽ::ヽ:.:lヽ  .{`Ti/ i>く,//::/     それはこの後軽く触れるでな、ちょっと待っておれ。
         ,/、  `ー<`ニア / /_.ゝつ    
         / _. ゝ 、  /-}ト、\ ´ く        ともあれ、宗矩が坂崎事件を解決できたのは、
        ./ / ` ー-\{ー〈ハ`; \   `:、     前提となる幕閣の意思が明確であったこともあるが、
       / /       }|::::::∨ | /`  }     宗矩自身が状況にあわせて臨機応変に対応できた事が
       / /    _ __ト;::::::::ヽ l、/    ,′    極めて大きいと言えるのじゃ。
      ; 〈           ヽ::::::/ r7   /    
      l 、ヽ         \),/   /       坂崎自身への自刃の説得が失敗した後、
      |  \ヽ       _. く´ , ′   /       即座に重臣との謀略に移り、即興でお膳立てを
      /     `{    /  /     /       整えたのは、紛れもなく宗矩の才ゆえよ。
     ./   /  ヽ /、        /       
    /   /     ー‐ ヘ      /          いくら上の意思が明確であろうと、現場での行動に際しては
    /   /    /  / /\   /          個々人の能力が大きく物を言うからの。
   ノ   /  、  /  / /  | ` ´           ましてや、場所は武装した兵士がたむろする敵地、
   ヽ   {    \!__ イノ   {             その中で即興の計略を立て、主殺しを成功させた才覚がどれ程の物か…
  イハ ノ     / _ノ_}_. -┴―:::::::::: ̄ ̄ ̄    少し想像してもらえば、わかってもらえるであろう?
 .{:.:.:ヽ >-‐   ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::   
/-‐ ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



198やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:45:02 ID:xHn00U30
              ..-  .         
            /. . : : : : : :`: . 、        そして、この時の宗矩の行動と結果は、
          / : :,: :、: \: :ヽ: :,: .\      あらゆる意味で、幕府にとって理想的なものだったんじゃ。
         'ⅰ:/: :i:|\厶: :∨ : : : ヽ   
         .: :Ⅳ.: :从´ 丶V. :. : : : : : :.     まず、単純に言えば、
.        i.: :|{.ヽ/' ィ'弐}|: :ト、: : : : j:|    江戸市内で兵を挙げられたにも関わらず、
.        |: :ハ._,,   '''|: :レ': : :i:|:从    結果的には幕府側は一兵も損なわず、
.        |:/.: :{'' ′_  , |: i|:i : j从'^ `   また、江戸市内も荒れることなく、事態が執着した事。
        八: :i 〕iァ== 个:|: リjL〔 ′`  
           ヽ|:リ广ア¨´ :レ'    ヽ      次に、幕府が唱えた「元和偃武」の精神に則り、
          / j/廴__ ノ{    丶     武器を用いることなく事態を収めきったこと。
            / /      :. ヘ    :.  
.           / .′     \∧   :,.     最後に、如何に幕府側にも非があろうと、
          / j          /     ',   その理由が如何なるものであろうと、幕府へ反逆した以上は
.          ' 厶 ====ミ:、 /    〉  〉   断固たる処置を取ることを、諸大名へ知らしめたこと。
           /       `V   /  / 
       ∨  ,     {   ,   ′    宗矩の行動は、これら全てを満たす結果を出せたのじゃ。
          ′  ′    _ /  /     特に、家康の死後すぐの時期で、権力基盤が
       r―┐:r:r‐-/ ̄   /      比較的確立しきっていない秀忠政権において、
       / ....:::∨/.:::《/,:、,..::<.        今回の坂崎事件の結末(後の処断も含める)は、
.      /..:::::::::::|d:::::::::´〈/.::::::::{.        「強い幕府/強い二代将軍」の印象を与えるのに
      /.::::::::::::ー|:|:::::::::::::::::::::::::::i        絶好の材料だったとすら言えるのう。
    く:::丶:::::::::`ヾ:::::::::::::::::::::::::::|      
    / ` ー--ゥ┴┬…‥―r┘        そして、おそらく宗矩は、これらの状況を把握した上で、
.    ′     /  |      |         この結果を出す為に立ち回ったものと思われるのじゃ。



201やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:48:13 ID:xHn00U30
         , - ―― -.-. 、          
        /: : : : : : : : : : : : : ` 、                  それ故、この時の宗矩の行動は、
     /: : : : : : : : : : : : : /: : : : ヽ               紛れもなく一介の武芸者のそれを超えておった。
    /: : : : : : : : : : :l :l : : :l : l: :l :ヽ:ヽ              
   ,' : : : : l : : l-、r'l :| : : :| : |: :| : : l: :',               武芸者は、確かに武芸の達者ではあるが、
   l: : l : : l : : l`ソ__l.i、: : |::/j<:|: : : |: :l              このような場においては、ほぼ無力と言ってよい。
   l: : l |: : l : : |/_―l|ヘ: : /レ'__ヽ: : :l: :l             仮に、刀を抜いて坂崎を斬ろうとしたところで、
   |: : :| l: /l : : lイ:::`jヽ ∨ィ:`j`l: :l : |: l             その前の時点で針鼠にされるのがオチじゃ。
  ,i'|: : l: l:ヽl : : l `-'     ` ' l: :|: :l: :l             さながら、無数の矢の前に敢え無く死んだ
   l: :∧l |、l : : | :::::     ::: / / /: /             斎藤伝鬼坊のようにの。
   ∨  ヽ/`r、 > _  ' , </l// l/             
         ,r,"'^'``ー-、T   l/                  単なる武芸者では、おそらく、
      //         \                    誰もこの事件を解決できなかったであろう。
       //           \                  しかし、宗矩は、一兵も用いる事もなく、
    ,/ /     , - =―- 、ヘ                  また、一度も剣を抜くことなく、事を収めたのじゃ。
   < <.     /'   _    `ヾ,                
    \\  //  /      ',  l     _           つまり、宗矩は、単なる武芸者や、
     l \`'/         |  |  ,  "  ` 、 ___      過去の武辺を誇る武辺者などではなく、
     | l `'  /       |  l "     , ''     ヽ    己がそれ以上の才能を持った武士であること、
     | ',   l        l イ     /       ',   また、新たなる時代の武士であることを、
     |.  l.  |       /  l、             l   結果を以って証してみせることに成功したのじゃよ。
     ,'  |  l        l  l、ヽ/         , l   (相手となったのが、典型的な戦国武将である坂崎というのも
    /  /  l      l   |\\          /__/    余計にその対比を浮き彫りにしたと言える)
   /  /  /        l    l\`、`ー 、    ///    
_/  /    l      l    |  l `ー, l     ///      その意味では、我々が知る柳生宗矩という男は、
{.     l    l      l     l  l    l |   ///     この事件があって、初めて存在し得たといえるかもしれんの。
\   l    l      l    /  .l   ハ. ///       



203やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:49:52 ID:xHn00U30
 さて、それから時は過ぎる。
千姫の本多家への再嫁もつつがなく済み、世間も落ち着きを取り戻した頃…
                   ___ ,,,... --- ..,,,_
                ,.r‐''´:.:.:.:`:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` ''‐-、
             ,.r '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、
           ./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.,
          ./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,,:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//‐ヽヽ:.:.:.ヽ、.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',     再婚しました。
        l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//,r',.=;;ヽ‐ヽ、:.:l ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:',
       .|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ "ヽ.シ;:).  .l:.:|).|:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
       l、:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'、ヽ、:.:.:.:.:.:.:.|    `''´   l:| .i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
       .ヽ:.ヽ:.:.:.:.:.:ヽ‐--,.r‐ヽ ‐-         ',,/:.:.:.:.:.:.:.:.:,l
         ヽ、ヽ、:.:.:.:.-ヽ'' .ゞ.;ツ          ./l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
           ''‐ '''‐-:.`ヽ ´   ヽ ,,.. ,    ./ ',:.:.:.:.:.:.:.:.:l
     ,.rヽ,.、     .l:.:.:.:.:ヽ、    ヽ.ノ    ,.'   ',:.:.:.:.:.:.:.l
     | | | ',     .l:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、    ´  ./    .',:.:.:.:.:.:l
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    ヽ     /  _i     ll      __,,,.... --‐‐/ ,.,  ヽl

 坂崎事件の裁定は下された──。



204やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:50:38 ID:xHn00U30
                    ,,-''ヽ、
                 ,, -''"    \
               _,-'"        \        【津和野藩坂崎家】
             . /.\          .\        津和野藩坂崎家は取り潰しとなった。
             /\ \          .\      (ただ、家財の一切は出羽守の弟・大膳へ
           . //\\ .\          \     引き渡されたという)
            /. \/\.\ .\         . \
          . //\ \/  \  \         ..\
          /. \/\  /\ \  \         ..\
         . //\ \/  \/\ \  \         ..\
         / .\/\  /\  \/  .\  \          \
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   (⌒ヽ、_,ノ⌒Y´ ⌒) ノ''"⌒ヽ,_ノ⌒ゝ'⌒ヘノ⌒)  /
:::(⌒::::::::::::(⌒ヽー゙ ....::(  ..::....... __人.....::::::::::::::::::::.⌒)、
:::_ノ⌒ヽ::::`Y⌒ヽ;;:::::"':::::::::::::::::::::::::::::(::⌒::⌒::)::::::::::::::::::`⌒)⌒つ
(´   ....:::.....:::::::::::::Y"´⌒ゝ、ノ⌒)::::::::::::::::,ノ⌒:::ヘ:::::::::::く::⌒´:::`)::::::`)
::::::::::::::::::::::::::::::ヽ....  γ⌒ヽ::::::::::::::::::::::(⌒)::::::::彡⌒::::ミ::`)::::::::`):::::::::`つ、 ,,,,,



205やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:51:07 ID:xHn00U30
           / ,..'ニ._ ~''‐- 、 ,...、..,×、, ヽ、
          ,r' _,...,、   ̄`'‐‐‐-.、./`'i, 'i,  \    【坂崎勘兵衛】
        ,.,.rk'ニ,.,r.、'‐-.、-‐i, .,;'  /"'ト, "i, .l,  .'i,     一説によると、
.r-‐.i ;-‐‐' '/ ミ ,,,,__.. ,."゙''ヾ゙'''i'" /゙ ,i' .ヽ .'、 .'‐、 .'i,   
'i、"~} .l,r' "'/, ニ-''ミ'‐゚@iニ'、 `i.l / ,..r、-i `'、`'‐、`  ' }  「如何に反逆したとはいえ、
) 'i,r'l 'i,ツツ   ~,r‐,','.."~   ,.r' .',r' '"'ヘ、ヽ、 "'‐、.'i, l . }  主君を殺害するなどもっての外である」
,r',i'゙i ,ri ト  ' ´.'"´,.,r- '  .,.'  ./   -、'‐、'‐、  i !  l   
i 'i",rリ .ノ/.'i  ',r''"´ ,r‐'"ィ' ' v.'    ,.!、r@、~''i.'i, ト  .l'   として打ち首とされたという。
,i'"ツ,rツ  } ,r'" ,rニ_ト,r'''i' ,.r .'i ,ヽ `i,,.`''゙キ, トソ  ノ'i
ノツ.,,r'ヾ .,i',r' .,r' ,、,-';'~"''t;ニ~i `l ' i;  '.; ',~'.i ミ‐、,rッソノ   なお、彼以外は誰も処罰は受けていないようである。
/ ,ri,  .lノ, ,r',,;',ィ,rtiュニ'‐-、';,:ヽ、i  .i; , ';';, 'ツi.;./''"/   
i' i ,r'/ /゙i,:'ノ., ノ `''"~h,,, .'i,';':iノ  ;: .:  .: .,i.l ノ /
,i  v' { ノ  ツ, ', 、     .i, ,i;'ソ  ,;l ./   ノッソ  {,
) ノl,ノ/l  .;i i≡r''"ヾ,.、.,. ,i/;,/  ,;i' ノ  ,.,.r'. ノ,l,.  `i,
l,r' ; ,! l ,i'l~ゾt-、_´~  `'il,l,.r' ,;;ツ,.r‐''て ,r'"ノ ,'; ,.~、~l
ノ  ,r'i  .l { l,_'~t,l,イユ'ッ、/./,r'' .~~"''‐'-‐' ' " ; '-, ‐l
 ,i' .l l, r'-'.、 ~'r、 ''‐.、_.',rツ-'´, ;''~  /イ ; .; ''", .r'‐-'"
 { l '‐、   `'‐、-.'"~,r' , r.' ,;   -  l,i -



206やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:51:46 ID:xHn00U30
          / ̄ ̄\      
        / ._ノ  ヽ、\      【柳生宗矩】
        |  (●)(●) |    
        |  (__人__)  |      「身に寸鉄も帯びず、単身説得に趣き、
        .|   ` ⌒´  .}      これを収めたやりかた、神妙なり」
       ./ヽ        }    
      / ノ.ヽ    . ./\     と賞賛され、この後、津和野藩の取り潰しを伝える上使となり、
.     〈  〈|   / ̄|  |ニニ|    また、当地での城地受け取りや、家士の身の振り方の手配など
      \. ∧ /  :| /  /    各種の事後処理を行った。
        ∧ /|ハ__ハ/ /     
        |トv'   / |/ |     
       / ゝ._ノ/^,.|│ |
.       // 」 0_ 0_ L\へ
      / V {_:_:_} {:_:_:} V  :|
      |_人__--=ニ人  |
         |__|フ/ ̄|   ̄
         |:::::::| /‐‐‐|
         | ̄ |/::::::::/
          ̄〈ニニ/



208やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:55:01 ID:xHn00U30
   ミミシ,r二`` -、   /-‐''"二 、ヾシ
   ヾミ゙:|'´_ニ=ミ、`ヽ  }´ .ィ-==、、`ヾ彡
   ミ{.:::::::!、__○`i :ゝ ノ: (_○ _ノ::::::彡
   r、{::.    ̄  ::i }::.    ̄   .::|'ヽ
  {r:i.l::.     ,.:::.} .{:::、     .:::|l)}
   ゝ、.i::.     ゝ.(__)-'     :::::lノノ
   入,|::  、___、.ィ,...,__,,..- .::::/ィ
   |;;;;;ゝ::.  ``ヽ ___,,ノ´  .::::/`.:{
   |:::::..゙\、..         .::/´:::::;|
  /{:::::::::.. ヾヽ       /´  :::::::ト,
  ∧ヘ:::::::::  `i:\___,//;´  .:::::ノ.::!,
イr メ .ヽ:::::::   i::. :::::::::::: /;  ..::::::/.:::''ヽ`
         坂崎平四郎

                 ,.-――-,,、_         ,,,,,iiiiii(i(i(ii))i)シ                 _/       /
               /:;;;;;::;;:::;;:::::::;;;;、       ミミミ"""''    ̄\               ノ(  ̄      /
              ,/;/ ̄ヽ、;;;;;;;;;,,,,:ヽ     ミミ     /  ノ'ヽ, !             _/        _/
             ,、l/_--、   ̄ ̄ヽ:::゙l     tミ    ソ  '、ニ・<)          _/         /
              lリ __  l  ,―、 l;:;;l     i   r-<      ヘ'ヽ、       /         /
             Y ' o)    __  ヽ/     {   | k},''ヽ、_´  iニ )     ,/         /
          __ト,      'o > /)      |   ヽ yノ   _'_,<  ,ー、/         /
         /r― lノr、 く      /ノ      ヽ,    '(  ( ( ttTTT_/ シ         /
       _r‐l/;;;;;;;人 ヽ、'――ァ r/、―、      人_    ヽ   '-ttTT_ ヽ      レ/   <'
     ,r‐'゙,, (;;;;;;;;;/  f、 二 ̄ 彳l;;;;;;;;;;;ヽ       'ヽ   \( ´ ニ,y'  \    !   /
    ( ;;'''' ..::..ヽ;;;;ハ  lヽ_,,rイ゙ /ヾ;;;;;;;;;;;>-、       \  ミ, 'ー-、 (''\ ,<    ヽ/ /|
  r‐┴‐'゙ ̄ヽ l l |  |    /゙ / |;;/ ̄,_ ヽ          ミ  (' '-’  ヽ ヽ    }//

 また、宗矩は、坂崎出羽守の遺児・平四郎を引き取り、
己の知行三千石の中から、生涯に渡って二百石を与えて大和に住まわせ、
その他、近藤源左衛門、庄田知右衛門の坂崎家元家臣二名も
新たに家臣として召抱えたという。

 一説には、この処置故に、津和野城引渡し時、
家中の士による篭城などの最悪の事態を避けられたともいう。

(先の解説での、その③が不自然というのは、門前払いされた身で、
 その遺児や家臣をここまでの待遇で引き取ったりしないのでは、ということでアリマス)



210やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 01:57:19 ID:xHn00U30
 これらの功績により、宗矩には、坂崎家から没収された武器類の全て、
及び、坂崎愛用の山姥の槍、また坂崎家の伏見の屋敷、
そして、坂崎家の家紋である「ニ蓋笠」の紋を与えられた。


                ,__ , _ 、           _, .._ 、
             _....j|lllll_|lllll_|lョ__      _j|lll|l|llll|:ョ 、
         __uョllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll亡uョllllllllllllllllllllllllョllllllllllllllllョョu_
       _ullllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllF]lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllョ_
     ,,,ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll〔ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllL_
      ̄ ̄ ̄’ ̄ ̄lll ̄ ̄”'lテ ̄"匸 二 ̄""'lllll_ ̄lllll"、lllll" ̄_]ll厂゙゙"ア''llllllll'、
              ゙゙ゞlll_ _____llll′"lllllL_ `゙lllllj リlr 'lllll!_ョll厂 __llll广
               __;]lllllテllll′    ゙゙''lllllョj ]lllllョェ__,三ニ_jllll广′
              ulll广    ゙lllll       ´~~~~`lllll~~゙lllllニ
                                 ~~   ゙゙


 この時、与えられたこの二蓋笠の紋こそ、
後に、柳生の…江戸柳生家を象徴する家紋として、
このように呼ばれることとなる。


         「柳生二蓋笠」と──。




211やる夫で学ぶ柳生一族(その19)09/04/20 02:00:12 ID:xHn00U30
  \ヽ, ,、
   `''|/ノ
    .|
_   |
\`ヽ、|
 \, V"
   `L,,_
    |ヽ、) ,、
   /  ヽYノ
  / r''ヽ、.|
  | `ー-ヽ|ヮ
  |    `|
  |.     |
  ヽ、   |
   / ̄ ̄\
 /  _ノ ヽ_ \
 |  (≡)(≡) l
. |   (__人__) .|
  |   ` ⌒´  |
.  |        }
.  ヽ       }
   ヽ     ノ

┼ヽ  -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ  __ノ

【やる夫で学ぶ柳生一族(その19):「坂崎事件の巻」】 完



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[ 2018/03/06 12:00 ] やる夫で学ぶ柳生一族 | TB(-) | CM(0)
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