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やる夫で学ぶ柳生一族 その25「紫衣事件の巻」 後編

378やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:02:31 ID:XlimBWyT
            r、      ,.、
         _  i |  ィ'7//
      /::ヽ、 y ┴'-!ト、
      |:{_}::::V //  !|、\
      |:(_):イ/レ-、ヘ|-、| i `>     _,.. -───-、     こんばんは!
  ,.、-.( ー-'、): {/j‐、 ィテiy j l/_,. -,.ニ、´::::::::(__):::::(_):::}    三度目の正直!
  ヽニ'´丶 l:(j:レl、'、__゙'彳レiィ'´::__::::ゝー<::::::::::::(_)::(_):/     今日こそ「その25」が終わる…はず!!
    ` Y  |::(ィ` ニァ ,「'^ニ_::(_)::ヽ__ノ :::::::::::(_):/
      |  j/レヘ_j_/  /<:: (_)::::::(⌒)::::::(_):/         また宗矩が語りだすところからだけど、
      |   {__,.「i  ̄! /  ヽ:::::::::::::( ̄) :::::::::/        よろしくね!
      ヽ_,.∠L∠.ゝイ 7:::\_,. \`):::: ̄::::(_):/
          /.:ijo.j{´.:〈.. - '´   )::::::::::(_):/
       r'.:.:,jf oj{.:.:/   _,. -<\::(_);/
      ィミ、:fj.o_{L.:ゝ、.__ン<::::::::::..ヽ  ̄
      `ヽ‐三三彡==r彡'´:::::(\::::〉
          |、゙⌒l´___,.ィ、):(_):(_)>'´
          7!  ̄l.  r Tiフ─ '´
        `'l.  l   ヽ「
          l.  l   |
          l  l.  │
           i   l   |
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              │ l.  |
           |  |  |
           /ニYニ7|
             ト..ノ、__ノ j
           丶-ヽ__/



382やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:04:07 ID:XlimBWyT
   / ̄ ̄\  ( ;;;;(
 / _ノ  ヽ\ ) ;;;;)
 |  ( ─) (─)/;;/   そもそも、この「紫衣事件」というのはの、
. |   (__人__) l;;,    様々な「権威」が幾重にも絡んだ事件なのじゃ…。
  |    ∩ ノ)━・'
.  |   /  ノ´ }    
.  ヽ  / /    }    
   ヽ/ /   ノ


  -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ  \
//, '/ / -  -_ハ、ヽ  
レ!/(   (●) (●)从|i|    権威…でしゅか。
 .| ⊂⊃(__人__)⊂⊃ 
 .|      `⌒´  |     「うむ」
  ヽ         /
 /   ヽ     ノヽ



383やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:06:53 ID:XlimBWyT
『ことの起こりは、前(寛永三年)の上洛の際、大御所様より、
 以前より出されていた「大徳寺諸法度」にある
 「幕府の許可無き出世入院を禁ずる」ことを遵守するように、という命が出されたことにある』

          l      /    ヽ    /   ヽ \
          /     / l    ヽ /      |  \
| し あ 何 〉 //  l_ , ‐、   ∨ i l  | |    \   従  法  坊
| ら っ が |/ l ,-、,/レ‐r、ヽ  |   /`K ,-、 <   
| ん て      / | l``i { ヽヽ l | / , '/',` //`|_/      .度  主
| ぞ も       |> ヽl´、i '_   。`、llィ'。´ _/ /,) /\    え
| |        |`/\ヽ'_i ,.,.,.⌒´)_ `_⌒  /__/l  \      に.  ど
っ   |         |/ / l´,.-― 、l`ー一'_冫 /l l |   /.   っ
!!!! |        \ ', /  /`7-、二´、,.| /// |   /           も
           lT´ {  /  /  ト、 |::| /// /  /    !!!!!
          l´ ヽ、 > ー    ,/ |ニ.ノ-' / / _
              i``` 、/ }    ',,,..'  |-'´,- '´     ̄/ ヽ∧  ____
           \/ ' \_  `´ノ7l´      /    // ヽ l
         / ̄ |      ̄ ̄/ ノ L___/          U
        /   ヽ      /`ー´     /
                   徳川秀忠



387やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:11:00 ID:XlimBWyT
『大徳寺・妙心寺などは、元々幕府の管轄下にあった京五山と違い、
 朝廷の詔によって出世入院する「勅願寺」での、これらについて、
 ”以後は出世入院する際、朝廷より前に幕府に事前に告知するように”との法度が
 以前から出されていたのじゃ』

  _■_ ________________
 |∵∴∵|:::ー-ーーー-ー─ーー--ーーーー-ーー-ー,||
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 |===|::::     勅許紫衣之法度        ! ||===-3
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   ̄■ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 『最初は、もう16年も前になる慶長十八年(1613)の「勅許紫衣之法度」というものじゃった』



388やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:13:48 ID:XlimBWyT
『じゃが、これはそのすぐ後、金地院殿が
 自らの息のかかった者を出世入院させようとするなど横槍が入ったこともあり、
 有名無実のものになってしもうた感があったの』

                /⌒ヽ        /⌒ヽ
                {:::::::::::::::`ー――‐‐:´:::::::::::::::}
              ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
    ______   〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈
    |           | |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
    | 話 大 こ | 「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   ___
   ! だ.. 徳 れ | |   /⌒ヽ    /^ヽ| | イ.|
    i ろ .寺 は > l    l  ┌l     | ┌l| | ヤ|
   !    の    | l    |   Ll     | Ll|<  だ. !
    i_________」  |    ヽ___,ノ     ヽ_,ノ|  l  よ i
              |       ⊂⊃    |    ̄ ̄
              l       ____   |
                 ',       '´―‐′   ,′
                 ヽ            /
         「勅許紫衣之法度」を嫌がる大徳寺の僧



390やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:16:07 ID:XlimBWyT
『そのためか、元和元年(1615)、
 神君様と大御所様は、新たに「諸宗本山諸法度」を定め、各寺に公布なされた。
 その中に「大徳寺諸法度」というものもあったのじゃ』

           /⌒ソ/⌒ヽ、
        . /  //    ..\      ._,
        /  //      .`ヽ,.._,ィ''´  `'ー- 、      /i
        /  //                  \,.   _..ノ .|
    .   /  //                     ⌒´   .|
      /  //     ◎ 大徳寺5つの誓い ◎     |
      /  //                           |
    . /  //  ひとつ、寺法はきちんと守ること       .|
    /  //  . ひとつ、無闇矢鱈に出世入院させないこと .|
    /  //    ひとつ、新しい院をやたら建てないこと   |
   ./  //    ひとつ、寺領はきちんとまとめること    |
  /  //     .ひとつ、諸院の塔主は輪番を守ること   |
 ッ芝ヾシ⌒ヽ、                           |
 .ヾニジ    \      ._,.イ⌒ヽ               |
          `ヽ,.._,ィ''´      `'ー- 、        .  |
                         .\,.   _., 、  . .リ
                            ⌒´   \._,ノ
                大徳寺諸法度
 
『そして、この中にある一文が、この度の一件に絡んでくるようになるのじゃ』



394やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:19:14 ID:XlimBWyT
『それは、このうち二条目のことでの。
 簡単に言えば、到底実現不可能な要求が書かれておったのじゃ』

             ____
             /ヽ_//
            /  /  /
            /  /  /
           /  /  /
           /  /  /
          /  /  /
           ̄ ̄ ̄

【大徳寺諸法度、二条目(「ひとつ、無闇矢鱈に出世入院させないこと」の原文)】

 一、参禅修業、就善知識三十年、費綿密公夫、千七百則話頭了畢之上、
   遍歴諸老門、普途請益、真諦俗諦成就、出世衆望之時、以諸知識之連署、
   於被言上者、開堂人院可許可、近年猥申降論帖、或僧臘不高、或修行未熟之衆、
   依令出世、匪啻汚官寺、蒙衆人嘲者、甚違干仏制、向後有其企者、永可追却其身事。

 【実現不可能な要求」の箇所】
  ”参禅修業、就善知識三十年、費綿密公夫、千七百則話頭了畢之上、遍歴諸老門”
        ↓
  意訳 : 参禅の修行は、善知識(師僧)に三十年就いて修行し、千七百の公案を解き、
      更に諸師について修行をし…


『つまり、この法度によれば、
 一人の僧が修行を始め、そこから30年の修行と、諸師に就いて修行をし、
 更に1700もある公案全てを説かねば、出世入院は許さぬ…ということじゃな』



397やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:22:34 ID:XlimBWyT
【1レスで分かる法度を守った場合の僧侶の出世入院・解説図】
         ___
       / ⌒  ⌒\
      / (⌒)  (⌒)\      拙僧、只今15歳だお!
    /   ///(__人__)///\    これから頑張って修行するお!
     |   u.   `Y⌒y'´    |   
      \       ゙ー ′  ,/   (ちっとも出番が無いからせめて坊主役で出るお!)
      /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |  →(30年後)→↓
        少年僧侶             ____
                          /      \
                        /  ─    ─\
                       /.   =⊂⊃=⊂⊃=\   やっと30年の修行が済んだお。
                       |       (__人__)    |  次は他の師僧にも就いて学ぶお。
                       /     ∩ノ ⊃  /  
                       (  \ / _ノ |  |
                       .\ “  /__|  |
         ↓(修行達成後)←    .\ /_____ノ
        ____              中年僧侶
      / ~~~\
     /  ~~~  \
   /   -(◎)―(◎) \    …ついに入院出世を認めてもらえたお。
   |   ( ( (__人__)))  |   長かったお。
   /     ∩ノ ⊃  /
   (  \ / _ノ |  |
   .\ “  /__|  |
    . \ /___ /  →(その後)↓=ニ二二ニ=
       老年僧侶             ____
                         / ~~~\
                       /  ~~~  \
                      /   -(◎)―(◎) \   弟子の修行が30年終わる前に
                      |   ( ( (__人__)))  |  わしの寿命の方が尽きてしまったお。
                      /     ∩ノ ⊃  /  わしの法嗣は断絶しちまったお(エター)
                      (  \ / _ノ |  |
                      .\ “  /__|  |
                       . \ /___ /
                        |  /
                        | /
                         \\
                         //
                         \/
                           入寂

『これでは如何に才があろうと、出世する前に亡くなる僧とて出かねぬ。
 それに、無事出世できた僧とて、余命はどれほどあるかわからぬ。
 それでは法嗣はどうなる…ということじゃ』



399やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:26:58 ID:XlimBWyT
『それに、これはまたもや金地院殿が動かれたようでの、
 金地院殿の出身である五山派に出された寺法には、このような年数規定などはなかったのじゃ。
 まあ、勅願寺である大徳寺・妙心寺を、幕府の権威下に置く為の法度というわけじゃな』

                     ____
                   , .:':::::::::::::::::::::::::::ヽ、       法度…法度ですか…?
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\      …見えませんっ…!
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ     …読めませんっ…!
          /:::::::::::::::::/` ー―-、__:::::::::l     …聞こえませんっ…!
            /:::::::::::::::::/: .   ̄ ̄  ヽ \::::!
.            l:::::::::::::::::/∠二ー―ノノ}|`ー―ァ|:::ト 、    , -┐
         |::::::::::::::/    ` ̄   / ̄´  }/!.: !   / /⌒)
         /´l::::::::::l   ー<二>.:.: | -こ>‐|/.:_ノ_/ / ,-r′
   _      {  lハ::::|.:.:.:ヽ、_ノ.:.:.: | ヽ、_ノ l:.:.:.:.:.: 、/ / ノ
 r┴、 \   ├ ! ヽ|.:.:.:   .:.:.r' _ )    ノ:.:.:.:.:.:.:.:.. r'´/^!
 ゝ-、 \ \_L ヽ  !:.:.:    :./: :   l    ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:..:!ノ ノ
 \ \「ヽ.j  l   ヽ.:.:.:.: /      ノ ノ  / }‐'⌒:/ ´ /
  /\ l  l、_{_  ト、.:.: {  /`ー‐--ヘ } /  {: : : :  ,イヽ、
. /: : : :ヽ!  ヽ     } ヽ:.'、   ` ̄ ̄ ノ/ .:.: ヽ. -‐'  l  ',
 l: : : : : : :\      }ヽ:.\'、      /.:.:_:    l     l   !
 | : : : : : : : /`ー― 7 : :\_:.:` ー‐一' _/      l     l   |
  「大徳寺諸法度」を無我の境地で無視する大徳寺の僧

 『…なので当然、これもロクに守られず、有名無実のものになってしもうた』



403やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:30:39 ID:XlimBWyT
『じゃが、いくら無茶な法とはいえ、神君様の命によって定められた法度じゃ。
 これが守られぬようでは、幕府の権威にも関わる。
 それ故、大御所様が上洛の際、改めて遵守するよう申し付けられたわけなのじゃが…』

                 .rニYニヽ          , ---一 、
   |レ               //_夢_ j |         / 幕 く .i
   !!_           イ t` !_,` } |        ,'  府 っ i
   ゙- '´ ,、       /j ト ‐=' レj        l  の く .|
      -''´   ,r'´ ̄`゙} |二二j l|rニ二ト、    |  法 っ |
           〉─7-'´l|jト、`}-イl;|`--l一〈   .|  度 く .|
     __ii__    |   レ ルリ-ト、|州リ   |  .|   `|  だ っ |
     イi    j  j ,,  ヽヽ |/     |  ',   |  と  : i
      `  , イ  ハ ヒ、 ト、 |     j   ',  ヽ  :   ノ
        ノ  }  / }、 ヽ} ヽヽ|    ノ ',  |   ` ---一 '
      /   イ  } {ニ二ニニ}´7二ニニ}  ',  |
    //  / l  | ',ニ二ニニi |ニ二Y   ', |
.  //  /   l  } ヾニ二ニi |ニ二イ   ', ',
/ /    l    レミj   {ニ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄{    {三i
 / i   /    } ヶ / `丶、 _, -'´ |    } ヽ
ん-ト、        |_彡 j 二ト、 }-|    |   ヽj-''
   ヽ/    /    {    / |    |     l
    ヽ   /    レ、   |  |    レ-、  /
     `-- ´--、__  j ヽ  j  |  ./', |  `丶{
             ̄|  ', / ̄| /  ij
             ',   〉{   |./   l|
              ',__,r' }  .|k   j
               ',   |   |`丶、r'
               ',  |  |   j



406やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:35:51 ID:XlimBWyT
                                 Y  
                ,. '"´三二二三`ヽ      _ノ     _l┐ ____   そ
              /,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ     〈    . r>l F┤ァ'r│  ん
              /   /    夢     ', ヽ    ノ    `lニ〈 ニ「|l│〕   な
            /   /::(         ノ:::)  ヽ   く   .. _/ rコ┤し! l   も
              /   /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``',   ヽ ノノ    . ー'´ `'゙‐"゙‐′  .の
          /    ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ',   ヽ )   .   t土‐っ    
            /    /     ,,   ,,      ',    〈{    .   ノユL_    
         /   /::、  /   .;;;;;;'  ヽ   /::ト、   〃     ノ父 冖'ヽ、  .
         ./   //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V //   ..  ゙"〈f ∩..リ   .
        /   // 1:::::;  V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV  ;:::::ト、V /    .   冖‐''"    
      /   // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ  ;_ ___ノ      .  ,//__.  
       /   // /  l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   ;::: ̄\       iニ ノ-i ゞヽ
     /   // /   1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|  ;::! i i 弋   ....  // / | ヽ〉
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    /   // /   / .|ヾ、  L二二二ニノ / | | |  ヽ   ...    ィ''i
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.      // /   /  ノ  ',  l}}}}}}}}}}}}}  /| | | |   __,)  ...   │.|
     // /   /  ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/  l | | |  `ヽ.        'ー′
.   // /   /   l  >.-、/   ヽ  ヽ  | | ! !   ノ  ...  Fi  i゙゙l
   // /   /    |/ /       \)  l/ | |  く.   ...  |│ .|│
  .// /   /    V   〉   '"´  ``ヽ).     | !   ゝ  ...  iコ iコ
      /    /  〈    '"´   ``ヽ)    l/   .ノ  ...

『しかし、沢庵殿は翌年の寛永四年(1627)四月、
 隠遁先である出石の投淵庵から八年ぶりに出てきたかと思うと、
 大徳寺の正隠宗智を出世入院させてしまったのじゃ。
 無論、幕府の許可など無しにな。

 …もう、間違いなく、「わかっていて」されたことじゃろうな』



411やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:40:19 ID:XlimBWyT
『その話を聞いた時は、わしも驚いたものよ。
 だが、沢庵殿らしいといえば、沢庵殿らしい話ではある』

  ゙!  沢庵ッ!!                 /
  ゙! おまえごときうすっぺらな藁の家が    |
   | 深遠なる目的の私と幕府の法度に   |
   | 歯向かうんじゃあないッ!        |
   |            __,.,.,.,.,.,.____,._       ヽ
   j         ,..-'"´         >-、,  /
  /      /  /´゙i ゙!:⌒ヽ   `'"´ ヽ、
 /      /   / ,.-,ニ,、゙i,::::::::\  ,..イ rニi,
       /    レ'/_::::::::〉〉::::::::::::`'":::::::|
       /彡  //_'、ヽ,=-'゙:::::::::::::::::::::::::└--‐
  ゙ヽ,  /三  /::/__:::::\\:::::::::;:;:;;;;.-、:::::::::::::::::
   ,,..-v'三 iー-':`-, r''‐ァ-、\`'',.-‐'"´゙!l;;;;:;:;:;:;:;..
  ´::::::ヾニ ゙i;:::::::,.ノ_ヽl゙_;;;;}ヽ;ヽ_」i::::::/:::!l;;:::::::::|「
  >、::::::::`ヽ `,ン´::,.-`,.-‐`゙''`::〉゙ヾk::__ノ l;;:_;||:
  ,r'゙〉::::::::::::} レ',.-'´:::::::::::::::::'::::::::::/二二,`ー--
  {::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::::::::::::::::;:;/;;;ヽr';;;;ヽ,.:;:;:
  ヽ;:::/::::::/ /:::::::::::::::::::::::,,;::::::::::::::l;;;;;;;:::゙ヾ',ノL;;:
   .)/::::::/ /::::::::::::::::,..-、ヽ::::::::,;:ノ;;;;;:::::::::::::;;;;;//
  ゙}/:::/ /::::::::::''∠__,...、.ヾ__ '"、::::::::::::::::__//::
  ::゙i´   j::::::::::::::l  ヽ`+、゙--、 ゙!|::::::::::/,.-7''゙ーy'
  l:::゙i,  |:::::::::::::::゙i,,  ヽ,,,_ヽ/ .!|:::::://:::/,.-__;//
   i,:::ヽノ:::::::::::::::::::::`゙'ー、    〉':::://:::://:/  //
  l,゙i,::;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::;;;゙''ー'":::://:::/-':::ノ ///
  ;゙i,.ヽ;;;;:::ヽ、:::::::::::::::::::::;;'゙:::::/ レ'::,イ´´/ /// /
  ;;;/ \:::::::::゙''-、:::::::'"゙:::/-;:ジ) /// /// /
  / .∧  `'-、::::::::`゙゙'''";:;,..-'// ./// /// //
   /  `'''- .,_`゙゙''二,.-;;'":::/  /// /// ///
  '        `i };;;;/:::/i;ヽ, /// /// ///
           / /;;:イ:/ i゙:::::;)// /// /// /
  、        /,// l:L,ノ/::゙y、  /// /// /
   ゝ、___//;;(_,ノ::/:::/::;ハ/// /// //
  / /,.----';;;;;;;:;:;:;::l:::,.::::,..-':::::::::\/// //
         金地院崇伝

『だが、大御所様の命が正面から破られたのじゃ。
 当然、幕府はこれを咎めざるを得なくなる。
 特に怒り心頭なのは金地院殿じゃ』



412やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:43:49 ID:XlimBWyT
『早速、大御所様の命を受けた金地院殿は、京都所司代・板倉重宗殿と連名で、
 その年(寛永四年)の七月、五ヶ条からなる「諸宗法度」を出された』

   l i: : : :\\ : : : : : : : : : : : : : //: : : ___ヽ:V
.  l ん : : : / /: : : : : : : : : : : : :└、 ヽ'´ >'"´:リ
   l { ,、 \/./:_: : : : _/: : : : : : : :/ >'" :_: : :/ ー、  /:    この五ヶ条の法度のうち、肝心なのは一条目だ…。
..  LK: :`: ー- _¨ Y´ : : : :/ ィ,.ィ" __竺三-ミ : : : : l /: : :
  /´ヽ: : イ¨迂疋トミヽト-‐ '¨  ィ_´ 辷仄レ': : : : : :l /: : :/「    『先に出された法度が守られていない』
  \: ハ.:.`: :ヾ┴': : / }:.: : : : :.、: : `¨  ̄ ´: : : : : :// : : 〈 :}: 
.    V i.: : : : : : :// i:_:_: : : : : ヾ: : : : : : : : : : :.//: : : : :)リ:    『故に、元和以降に出世した者については
.    ヽi: : : : : : : : i. ,': : :`ヽ: : : : : : : : : : : : : ://: : : :i:ノ: : :     一旦出世を止め、吟味の上、改めて出世させる』
.      l:ヽ : : : : : : V : : : : : : : : : : : : : : : : : //: : : :.(: : :_;.ィ
     ヽ:_!: : : : : : :{ : : : : : :_: : : : : : : : : : : | l: : : : : l: ̄:/:::    これが「鍵」だ…。
       ',: : : : : : :ヽ:ー'::::ノ: : : : : : : : : : :l l: : : : : i: : /::::::   肝心なのは、幕府の法度は守られるべき、
.        ハ: : : : :_/ヽヾ-" ‐- .._: : : : : : : :! l : : : : ;!: /:::::::::.  ということなのだ…!
     _,,. -‐'; : : : r‐ 、`_´==‐- ニ): : : : :! l: : : :/ :/:::::::::::
 _.. -:::¨:::::::::::::ハ: : : ヽ       _.ノ: : : : : l l: : :/: :/:::::::::::::
 :::::::::::::::::::::::::::::::'; : : : `¨: :´  ̄: : : : : : : : : :j !: / : /::::::::::::::::

『…ちなみに、この対象になった僧(元和以降で出世入院した僧)は15人もいたそうじゃ。
 法度が如何に守られておらなかったか、ということじゃな』



415やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:47:22 ID:XlimBWyT
『結果、大徳寺・妙心寺共、大騒ぎじゃ。
 幕命に従うことを甘受する者、
 このような法度に従うことなどない、と気勢を上げる者、
 状況をひとまず静観する者…様々じゃった』

             |            |                 |
   な 落 生 そ い  |            |    落  不  自     |
    く ち 死 う や  |            |    ち  思  分     |
   て つ を い !  |            .|    つ  議  で     |
    : き か う    / \  _i__     |    い  な  も     |
     じ け     /   l   /|  ._i__ |    と   く        |
     ゃ た    /   ̄   / .|   /|  |    る   ら       |
          /        ,      ヽ、  わ  い       | _i__
         /                 ヽ  :           /  /|  . .
       /                   /ヽ_         /
      <               llll     l从::::::ヽヽ  ,. -──''
       |              |llゝ    l益ヾ::::::l__∨    ,
 話 と 話 |     て         ヾ/`ー- -‐'ヽ丿彡 ヽ、
 を .り そ |ー─--、 そ         `丶、__::::,,:.:.:.:_,.- '  l
 し .あ う .|:::::;;;;;;:ノ     ,        ミ ー-、:::::...   / |
 よ え ! |Vll-D っ    ,.        `ー 'l`ー──く  |   ,
 う ず   |__uノ: っ _   ',    ,      |::::::::::::::: ヽ |
 !     /ア   ///   ',      ,    ノ::::::::::::    |
       |  |_ノ フ   ,','        /:;;;;;:::::::   /|
       | ヽ|─ ' ´    ',,'      /:::::::::::::::::::::  //
      /l__.|ヽ      ,'',      /;;;:::::::::::::::;;:::  //   ' 
     /::::::::| |::| ,  , ' '' '' ,' ,     l::::::ヽ,;;;;;;;;,..-‐`´ /     ,
__/ ::::/l::| |:| ' ,,'     ,   ,  l::::::::::/  (::::::: ヽl
  :::::::::::::::─:::| ||  ,'     ,'     l:::::::/    \::::::ヽ,     ,
  ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| l|  ',    , '    ,.-''ー-l      \,.‐'、
  ::::::::::::::::::::::::从 ::::::::::::::     ::::`──'"::::::::::::::::::::::'ー-‐''::::::::::::::::::::::
         論争を繰り返す大徳寺の僧たち



418やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:50:52 ID:XlimBWyT
『そして寛永五年(1628)の初め頃、重宗殿より、
 大徳寺諸長老に対し、申し開きがあるならばきちんと申せ、と譴責があった』

              _          _
        _,. -‐-`' ``'‐、,.‐'"´,. =ニ`      
        ,.‐'"´           __`ヽ
       /               ``''‐、   
.      /                 `''‐、   
       i            , /i  、     ヽ‐-ヽ    なあお前ら…
.      !       /| /| / ! .!ヽ..ト、  、.ヽ     何時まで経ってもハッキリした態度を決めない…。
     |       /''l/、l/_, l/ _,.ゝ' ゝ、 iヽ!    そんなんじゃダメだ…ッ!
      |      ノ`''‐ 、._/   /_, ‐'´ !.\!    
     !  ,.-、 r' =。=== _  ,=。===,!         言いたいことがあれば
     /   { ‐、!|  ` ー-‐' ''  \--‐' !        堂々と…正面から言えよッ…!
.    /    !( r||.        r __  \./|        正面から…!
   /.  ,、 ゙ー'|!、  ,..-‐───; 7゙│      
  /_,./ l    │\ `ー-----‐'´/!\i         この間の出世の事だって、
  ̄ .!  1    l  ヽ、   ー一 ./ |  |`'‐、      まだちゃんとした答えは聞いてない…ッ!
    |    i、   l.    ヽ、    / |  .|   `'‐、   俺は納得してないんだ…!
.   |    ヽ  i       ヽ、.イ │  |      
.    |    |ヽ  !.       | !  !   .|      
   |      |. ヽ. i、        | W1  │     
    |  ,. ‐'´\|ヽi.ヽ、    ノ|/`‐、  !
    !.‐'´      |     `'ー-‐' .|     \!     
             板倉重宗
       (前所司代・板倉勝重の長男)



420やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:53:58 ID:XlimBWyT
『この重宗殿の譴責に、流石に危機感を持ったからか、
 大徳寺は再び評議を繰り返した末、最終的に、沢庵殿が筆を取ることになったのじゃ』

                  _,, iー' .、 '、. ..'-, .'、      . _..
              _.. イ'".ヽ .ヽ. \ .ヽ. \.ヽ. ..,,, -''"゛
          ,,, ィ'''"`'、  ヽ  ヽ .ヽ  ヽ ヽ,,..ノ‐'゙´
      ._..y‐''゙ヽ. .ヽ  .ヽ  ヽ _> |-.. ┴´
  ._.. -',"  ヽ  ヽ  ヽ  .ヽ./ ~    _,,二ー 、
."`',.  ヽ   ヽ  .ヽ  .l./ ゛    ./´   `'-.\
  .ヽ  .ヽ   ヽ._,, ;;ゞ゛     ./   : 夢   ヽ ',
 、 .ヽ  . ..lr‐'"´/      / .l,    ~''"   .! .!
 .ヽ._.. ゙‐'゙゛   ,./        /',''''''!ly、     ._.イ│    お前らこんなことでオロオロしてどうする!
: '''´     ./ ,-      ,/'''''゙‐'t;;',',   ,i,'!!~゙゙} .|    この俺が真の抗弁書というものを見せてくれるわー!!
      ././       /         ゙‐''゙⌒.! ',
     ,,i,'イ゛          /.l  .、   _      |  .l
    / .,/ノ           ,' l゙ l.l .,,―`-ニ. ., .,.. l   ヽ
     .,/イ        ,'  l  l ',l゙,.. - ,,..,!.il! l ./    \
.\,  .,''゙,!        l  l ,i'/ッ._,,,,,, .゙!/│ !     .゙y
  .`'-,,"."        l'、 .!.l l .,!.l   ゙l .l',゙ll゙ i____,,,..-'"゛.ヽ..,,,_
    .`'ー、,、     / ゙' l .゙" .',.|    !/.|"!/          `''
        `゙'ー、、  .!   .\ .! !..,_, . 〃 /
              `'-',,_    ___;;,,.. --┴''''''¨'ー、、
               ̄ ̄           `'-、,
                               `''ー ..,,,,,,,,.. ‐'



424やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 21:56:00 ID:XlimBWyT
               _.. -ー'''''''―-..,,,
             /゛         `゙''ー ..,,,,,,__、
           ,i'゙,,....,,,、                ,,,,.....,,..二T"     .',..、
        i./    `''、                  `'';;;;;;i、 .r'"゙|,/
       ,!l 夢>   i'i|.゙l ,               `'- 、,,, ノ'"
       l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、               │       さあ、江月!玉室!
          !l,,_  l / '´   ...}               /       行くぜ!!
        .',_/       / !                /..l       
           l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ              /   .l,       題して”KOUBEN!!”
            l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\  _,,,,.............../ !    .l     _- 
            リ',、  .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ /   .,.‐',   l    .,ソ一'''''"
             '!|.l.  / .゛', ;;l" /   ., /  l,  .',  /
             _,.l,', ;;,'-'./ ゙./  _,,,/  !  ..l  ,ゞ゛
      ,./ '"   ゙''" / , ''"'''"| / .l   l   .l./

         /⌒丶  
  /^!   イ :fェ´r}l  
  !: : :L_イr、 ト=tテ |  おう!任せろ!
  |: :/⌒ヽ: |リ ゝく :!  
  |: ムハr、/___丈c!V`ヽ.     
  V   /: ゝ='∨k}`ヽ´\
   }____ム: :r、: :ト':ハ::::::::
      江月宗玩
       _
      /¨ ̄¨7
     ム r--tl   ………ククッ。
     |リく+!+
   __,.弋、jにレ'_,.._,.r─--=..__ _rュ
  ./´¨ヽ\ムf>、 _弋ソ____/´ ̄7
  ヽ.  ∨ ニヽテ7       丶f^ュ'
   ト、 r=ゝ、─  /          | l
     玉室宗珀

『ちなみに、この抗弁書は、沢庵殿だけではなく、
 大徳寺の長老である江月殿、玉室殿も署名しておられる。
 長老三名による連名、と言うわけじゃな』



428やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:01:12 ID:XlimBWyT
                             ___
                            7_y|
          /⌒丶              <_/ /!
   /^!   イ :fェ´r}l               ///'                  _
   !: : :L_イr、 ト=tテ |              ///                  /¨ ̄¨7
   |: :/⌒ヽ: |リ ゝく :!             .///                  ム r--tl
   |: ムハr、/___丈c!V`ヽ.        ,.rtュ'/./                    |リく+!+
   V   /: ゝ='∨k}`ヽ´\___ _,.≠く: / //                  __,.弋、jにレ'_,.._,.r─--=..__ _rュ
    }____ム: :r、: :ト':ハ:::::::::::`ヽ.ヽハノ: :,.-'////                 /´¨ヽ\ムf>、   弋ソ____/´ ̄7
   f、__)`ゝ: :\` {'|::::::|`ヽ::::∨r'j´  //// 『これが俺達の答えだ!』ヽ.  ∨ ニヽテ7'´:::::::::\  丶f^ュ'
   |\ } }: : : : ヽ_| !:::::j  }::::! fゝ-'7///                   ト、 r=ゝ、─ /:::::r¨ ̄ヽ::::∨   | l
   }、: 、! |: : : : : : 〉|::::::| ノ::::∧!:..::////ハ___                {\}   \j:::::/    L:::lr'  :り
    |___j ゝ: : : : /K|::::::レ':::::ノ  j:.://// /  フ}    _            |  >  /|:::::ト、__,.≠<__   l,;
   /: : ∨レjー、/: :/:::_,.≠  /:.//// / /: : :ー'f~f=-マヘ-rft_____   {___>,r、:::\r'____ノ::::/
    ktf、ソ'j   ∧7ハ  ∨´:. ://// ¨´f、: :< ̄`∨l=t=l |t_{-、_: : : )   |: : : : : : `ー|\:::::::::::::::ノ
      i   / ヽ.   (、:. :. :.:. :. 8f、 ∨: :`´ヽノ !j}={ソ !____ノ: : / ハ  ゝ: : : : : : : : :i  >-<
      |   /   \  ゝ--............_| ヽ. ∨: : : ソリ`¨´|リ': : : : :ノ /ハ ∧: : : : : : : : ハ
      ソ   /    ソ  /`<ノ ̄ ̄、  〉、ィュ: : / !=、|´  レ: ムf^ノ\ソ∧: : : :∧: : : : :}
     |   }    / ヽ/       ∨ノ }: : \7==、.  / ̄!: : :|   { |: : : : / ∨: : ::|
     |ヽノ    ∧  /        ,ハ  ノ、: : :/::::::∧^∧::::::!: :∧   ∨: : :/   }: : : ノ
     |: :/    ∧: :/        ノ  / ヽ:/:::::::::::::∨::::::::ハ/、 ∨  ∨::/   |: : : |
     |: :l     |: : /        /  /   /::::::::r、::::::::::r、::ハ::、  ∨ ∨    ヽ: : |
     {___/    {___{        /____/⌒、_/:::::::/: ,ヽ:::::/: ヽ:::ハ:、  ∨-'、     }___ノ、
    {r、リ    ! r、\     /ゝノ|   ´ー‐´  ー   ヽー、7  |弋ノ\    |ソ´`ヽ-、
    !___ノ    >'`ヽニス  ム´、__r´j__/                  ∨_j\__ヌ   ==、ニニニニ
       江月                     沢庵            玉室

『こうして書き上げられた抗弁書において、
 沢庵殿は元和元年の法度に対し、その法度の問題点を逐一指摘することで、

  ”大徳寺はあくまで古来よりの寺法を守っているだけに過ぎず、
   この法度の条文にこそ問題がある”

 と正面から言ってのけたわけじゃ』



430やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:05:11 ID:XlimBWyT
                       ..                                         _,..-'''""'- 、
                                      r 、                        , -'"::::::::::::,.-、::::::l
                                      l l                      , -'":, -、::::::::::::ゝ ':::::::l
                                    , - ヽヽ                     /:::::::(  l::::::::::::::::::::::::l
                              rヽ    l / _ヽ、-‐- 、             /:::::::::::::::::`_´::::::::::::::::::::::::l
 あ、宗矩の話の途中だけど、             ヽヽ   ゝ レ´ ヾ    "'- 、__..,      /:::::::::::::::::::::::(__)::::::::::::::::::::::/
私達の出番みたい。          ....        ヽヽ  /          ....... l,    /:::/ `l:::::::::::::::::::::::::::::::::O:::::::l
                       ..          ヾ〆 /、   \、 _ ヽ ヽ::::::::l   /:::::(__// ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
 準、それじゃ早速だけど、       ,- 、        / l  l \ ,、×\ヽl  ヽ:::l /:/ヽ_,.:::::::(__/__::::::::::::::::::::::::::, 、::: l
この時の抗弁書って、           .l::::: "'''- ._    l / ヽ ,l‐  `' ィ〒ミ、,l ::::::l::l /:::::/   し、::::::(____):::::::::::::::::::::::l丿::::l
具体的にはどういう内容だったの?  ヽ::::l´`l:::: ":'- 、l l  :lヽ,,れ、   pi:j )l.:::::l//::::/     丶__,,..::::::, -'"ヽ::::::::::::::::::::::l
                         ヽ::`´::::::::(__, l l  : ::l h ri:j l    `ー'/ へ l:::::/         l:::(___, -'::::::::::::::/冫:::l
                          ヽ::l´`l::::::::::::l´ヽ :::::::ヽゝ ' `t―ァ ん>_`-/ヽ、       ゝ::::::/ ̄`;:::::::::´:::::::l
                           ヽ`´:::::: ○:(`丶!\_ヽ、 _ 丶ノ /と´  i )\{       l:::::::(_ /:::::::::::::::::::/
                            \::::::::::::::::`,==´,-、____ ̄l   {/   l 3 ヽ        `ー―、:::::::::::::○::::/
                             ヽ:::::,-、::丶_, ノ ,´   l了 {/,へ  / >  ヽ          r:::::::::::_::::::::/
                              ヽ:l j:::::::::::( l  ,__ヽ}_(//::::::l /イ    ヽ.        l::::::::::(_)::/
                               ヽ:::::::::::::::´( ヽ/:::::::::::':::::l::::::::::)メi\    丶      ノ::::::::::::::::/
                                ヽ (_)::::::乙l::::::/`:i:丶=二、: : |. \    ヽ--==――---'"




431やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:05:37 ID:XlimBWyT
           ,  ‐ ´  ̄ ̄ `ヽ、
          /     、    、 \
          ,.'./  .:/ ;小:.. ヽ:. :\:.:.ヽ         また急に振ってきたわねー。
.        //:.:.:.:/.:./:. ./ i ヾ:.:.丶:. ...ヾ:ー'、
       //,':.:... :.:厶:./- ヽ 弋:.‐\:.:.:. 丶:\       じゃあ、このうち、沢庵の反論全部について
         ! |:l:j:.:.:´/ ィ天t、   ィ天女、-、:.. ヘ、:.ヽ     逐一書いてたら長くなるから、
         ! | :.!.:.:.:ハ´ち;;;j    ち;;;;j !K }ヽ:.、.! ヽ!     一番問題になった例の二条目の
         ヽヾj:.ノ小 `::::.   '  ::::´ ハイ: |`リ  ノ
       、_ノイ:..:.:リ;:ゝ-‐っ ー-   イ:.l::|:. i |         「出世入院するには、
      /´/:.:/ ‐<>.、 _., .イ_.l:.:l::|:. i |         三十年修行して、千七百の公案を解き…」
     /_/∠ ァ┐l !ノーソノl  ̄ ヽ、」::|:. .:i:ハ
   , ./´   `∨イしリ  / ハ  / ヽ ̄`ヽハ       に対して、沢庵がどう反論したかを解説するね。
  / |====、∧/  >‐/{ヽ‐‐<   l    l ヽ  r/7-、_
, '   /     / /   7〃 {{ヾ〉\   |/ ̄ |  厂し' / /┐
.   /     / /  /   {{.   \  |    | ,/=(_/_/_,人
   |     / / イ    o. {{       \|    l/     'ヾ、/



432やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:08:37 ID:XlimBWyT
    , '"  ̄ `ヽ
    //    ^ヽ ',
   .///f / j  ヽ ヘ !       まず、沢庵は、
   ノイl | レト'Vハ斗ト、_>    この「参禅三十年」「公案千七百則」について、
   lハj | >  < |レV  ))
((  ノ火ヽ"V ̄}"/゙) {        「このような数字に意味は無い」
  //  匸 }>示iくこ八
 .// ! / /《小.》「`ヽ ヽ      って断言しちゃったの!
 V{  !ヽノ   {: ト-イi }
  レl∧く   人__j /八/
    / `7´/ l |'´
   .`‐r</__!」
      |  / /
               .              ,.-、
                   ,-,     ,r-‐ァl i´
                  ヽヽ   / Y ! i             ,z---- 、
                   ヽ.ヽ  ゞ、 .l‐-! !- 、          /;:;:rっ;:;:oi
 ええっ!?      .. r- ...、   ヽ`く    l l   ヽ て    /;:;:;:;:;:;;:::;.::::::l
そこまでストレートに   !o:rっ:ヽ./ `'",.    u    ヽ そ /;r-y:;:;:とつ::o:l
書いちゃったの?  ..... !:n::.:.rチ :/ _」_/ ヽ.  .:ト、 .:、   , ヽ/:;:く_,.イ::r‐ァ::;、;:::/
               l;:u::::,ン :/  :V`u \:弋~ゝ :l   :l::. .:`Zヽ:.:::.::.:.:::::::'J:/
               VY:::l ;イ .  ,:;レ公   `r::=ミ V  .:l:.: . ./:{:r- 、:::.::::::/
                V::o::'::l::l .:l.:トzJ    l孑リ/  .::l:.;∠: : : :}::一'::.:::.0:l
                `i;、::.:.Nヽ.:ト`¨ '__ `ー'/  ,.イ:こ) : : r':.:仁) . .:::.l
                 V::.::.:.こ) i>、Y__ノ_ ,.,ムイヽl⊂⊃: :,!: :.: . .::::::.:ol
                  ヽ。::.::.:.::ト、,..、 T´,r'´  `ヽ: : : : : :{:.:r'⌒) . .::.: ナ
                   ヽ、_:_.l !: :`o':~:ブ`~ナ´: : : :_:_:ノ:.::`ー':.::::. /



435やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:11:16 ID:XlimBWyT
                       ____
              ,. ‐''"´        ` ー- 、
           /                \   \           うん。
             ,イ            \   \::: : \        例えば、「修行三十年」については、
           /   /     !   :|  :|ヽ\   \:::::. ヽ
           ,'  .:/  .::::/ ,'   :,' .::iハ . ヽ:::: :::ヽ:::::. ヘ      「そもそも大悟というものは
        i   .:/  ::/ /  ::/!: .::,' | |∨:|ヘ:::: : :::ヘ:::::::ハ       修行年数によるものではない。
         |  .:,' /  .:/  ::/,' :::/ |:.! |:.:| |∨::::::::∧::::::i、      如撃石火似閃電光ともいうではないか。
          | .::i:./  .:::,イ ::_/:::/   リ !斗f‐-、::::::::::ハ::::| !      宿知の名匠は、一を聞いて万を知るのだ」
          |/:|/  :/,ィ"´/:``   /  |/'_」」. i:`: :::::::|::::| |  
         ,ィ|  / ::::::/i,.>''"アiヽ      /´::::}`.|:::::::::::::l::::| |     と返して、「公案千七百則」には
      / | ,'::::/{ rT{::::::::::r !     {:::::rリ ∥:: :::::/ト、ハ|
        {  | {::/::::::ヽ|:|乂、_,ノリ      ヾ之' ,'|::::::::,'. | 乂     「千七百則というのは、
      ヽ | |,' |::::|::::|`ト! ''' "´     、 ,,,,, ハ|::::.::i  !   `''ー‐  伝燈録(禅宗の祖師の名と言句を記した書)にある
        i   |::::|::::l::::|ト、""゛          /:::|:::::::|  ヽ       千七百の祖師の数に則っているわけだが、
          ハ::  l: ::|::::|::::iハ \     ` ´  .イ:|!:::ハ:::::|          実際には言句が残っているのは九百六十三人である。
       ∧:  !::::i:,.-、「|∧  > 、 _,. <:i::|:::|:::::.ヘ:::ヘ         あれは 一人一則で千七百則といってるだけで、
       /::::: _厶イ ./ |:.:.|` ー-L>、:::::::|::|:::|:::::::::.`iー\        千七百の公案があるというわけではない」
.      />< \   ヘ. i:.:.i   ,'!ハ| `<ュ」::|::::::::.:.∧   `ー
.     ,イ-― 、` 、\  ヽ|,イ   /_||__〉   ハ`ヽ :::::.:.:.∧        という具合にね。
    / :: :: :: :: \ \`'''" `''ー-イ>=<ヽ  | !:: ヘ:::::.:.:.∧
    ,i :: :: :: :: :: :: :\ \  く/,' ハ ト、\ ` | |:: :: }:::::::.:.:.ヘ
.   /:| / ̄\:: :: :/:ヽ ヽ   // ,':: ヘヽ ) | |:: :/!:::::∧::.:.ヘ
  /::::| :: :: :: :: :ヽ::/:: :: ヘ ヘ く/ /:: ::.∧.   | |,イ/:::::::::::ヘ:::.:.ヽ



438やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:13:58 ID:XlimBWyT
      〃  .::  ..:      !  lヽ ヽ...   ヽ:::.::.         そして、古の名僧たちの行跡を
     .,'  ..〃..::::  }  .::i .:l }ハ :ヽ::::. :::::ヾ:::::ヽ       具体的に引き合いに出した後、
     l  .::://.::;:' , 〃../〃::/ i:l ',.:i',ヽ:::. :::::',:',::ヽ',
     l .::///:///::://::::/  il  i_Li_ヽ:::::::::l:::l::::i::!      「このように、古の名僧にも、
    .| ::/:::'ノノナ フサフ`  / イ /」_ぃ::::::::l:::l::::| i       三十年の修行・千七百の公案を
    .|,彳/:::::ノイメi" ___      チ´::7` ! ::::::i:::l::::| i       満たしておられぬ方などいくらでもいる。
   .〃| ::l::::〃(ヤ"i:ッ===ミ    i、:::ゎ l::::::::lリiヾ乂      大体、”千七百則”と言われるようになったのは
  (( | ::|::〃::::ヾ、i::i        ヾ-" ,ハ::::;;;;l li 乂、      (中国の)宋朝以降の事であり、
   ` | ::レ i:::::::::::i::i .::::::::.    ' :::::::::.,':::i::::',:l_X''  `ー    それ以前は無かったのだ」
    | :::.: i::::::::::::i::iヽ    `ー'  _ ,ィ:i::::i:: :::,i ヾー
    | :::  i :::::__」i:::! `  ,     ,( ヽ l::!::::ヽ::ヾ          というように逐一数字に反論を入れて、
     ! :::. _ノ-'´ノl i::::!`ー、__トえ:::::::\\___::::::::心ヽ
   ノマヾ、、  ヽヽ::::!   瓜 (`rー-l"rz, ヽ::::',:::::',       『三十年にせよ、千七百則にせよ、
  / '⌒ヽ、 ヽヾ、_ノシヽ、_/乙女 `ー‐ k´/ ヽ、:',:::::',       定まった数ではない。
 |     \\ ̄  >'´,-只-、`コ. l i | rヘ  ハ:',::::::ヽ      (故に、この法度はおかしい)』
 | ,- 、   \\  ヽー'/ ハ 〈 く  l !'-'`|ヾャ }っ:,:::::ヽ
                                    と結論付けちゃったのよ。

                      ....                  ,.-、
                              _         ,..‐ァ | /
                             〈 ヽ     /  .:/ |. !
 あー、まあ、               .       ヽヽ、   (   :.:! ||            
確かに長くやって、数をこなせば   ..        \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、          
悟りが得られるのか、と言われると、  r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、       
そりゃそうだろうけど…         . l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.     
また真っ向から言ってるのねー。   . |.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /
                        l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..
                         !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `  \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠
                         V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不 u.  `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :
                         V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : :
                          ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r
                       .    l::.::.:.:::に\ト、"  '___ `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:
                           V_)::.:::.::(二)i:> 、Y__.ノ_"ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::
                            V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(
                            ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:
                             `ヽ、o::.:', !:.:.::Y:Y:.:.:.:/^´ /: : : : : : : : :_:ノ:::



441やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:16:23 ID:XlimBWyT
            , '´                     \           …更に言えばね、
           //      ,イ           \         この時、沢庵はこんなことも書いてるの。
           / /        / / l l            ヽ
         / /   ./ /ィl .イ l  .! ト               ハ        「そもそもこの条文は、大御所様が
.         / /   ./ /ハl/ i l  ヽヽ\'、、           l        各宗派は修行を極めるように、と仰ったと
         /.  l   十ナ-ェ、_ リ    __X‐弋\   \   l        いうことであろうか。
      /// l l  l V,ィ示`   ` ´ rァ‐-、ヽ、 \ \  l        それとも…
.      // j  :l l  ト、{ h:::::}.       h::::::::i:l ト  ヽ ヽ.  ハ
     // .j   :l l   ハ. 、ノ::リ       ,_ノ::::::リ’ l l\ ', ', l ハ        この法度を作成した”誰かさん”が
    /   .l   l |i.   l -ゞ'’,       ゞzッ’ j i lノ \ ! l  ハ       物知らずだからこうなったのか?」
       l l /.|l |  l "          ""    ノ l l_ノ ,入i l   ヽ  
       V / l| | 小     ⌒         ./ /ム-'  l    ヽ     ってね。
.       //    l //i \             / / /             ヽ
       レ    j // |レ ’. > 、       _.  _/ / /               ヽ  (原文:古相国様も御分別の上にて、
              レ/ / ,へ  ヽ---ェニ-‐'フ /7/   i                   大底にこの如く仰せ出され候事、
           /'/ ィiヘ  \/ニ-===ノ /ヲイ   l l                 其の家の修行よく勤め申すようにとの
        //' / |Lヽ-ニニヽ\  // ̄li l  l .l                儀たるべく候か。
     -―//‐'   /     \ V'/     | l   l l               又は案文を調め御目に掛けられ候人の
   //¨フ/    /        〉ハヽ    | l  l .l               不案内にても候か)



445やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:19:38 ID:XlimBWyT
          '   /     /::: ,.イ ::: / |:: /´  | :::|! ::::: |\:::
        .|     '  / .'.::... / !: /  |:::!    !::::ハ ::::::|:::::\::::    そして、さっきの千七百則だけど、
        .|    |   ::!:::::| ::::j -‐|‐|─ ト::|    l::::| -‐─ヽ--ヾ::::  あれにも続きがあって、
         i⌒v::::|!  ::|::::::ィ:´::|  |: |   |:::|     ゝv  ゝ:::::ヾ::::::ヽ
        |  v ::|  i: l ::∧:::::|   V -- ゝ       \ __ \::::\    「もし自分は千七百則を解いた、などと言う奴がいたら
        |  |:::|:: !:::l:::| ヽ_:l _ __          __`_ー    そいつは嘘吐きのクソ坊主である」
         |  | ::ハ::ij:::ハ::!イ`弋ゝ-'フ``        ´ !ノ__フハ
        |  | :::|:V:::::::ヽヽ    ̄                `  ´     と書いてるのよねー。
      , -v ,イ V::| ::::::ハ::\ :::::::::::     ,.       ::::::::::::::
    , -<.   `| ` ヽ| :::/ゝ∧`´         <:i             (原文:今の世にも千七百則を
 , '⌒ヽ  ヽ  ヽ   ヽ/ヘ/::l!                            我は通りたるなどと申すは
 !    |  | -.ハ    V|!:::∧                           世のへつらひ偽りを申すにて候)
 l ー|  | r トi_ノ ゝ    |:|:::|:::,.\        ´ `         . イ
 |  人 i´ト l_ノl      ノ/:::j:/::|::::ゝ.、             イ:::: |:::::



451やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:21:46 ID:XlimBWyT
                      ..                   ,.-、
                              _         ,..‐ァ | /
                             〈 ヽ     /  .:/ |. !
                      ..        ヽヽ、   (   :.:! ||                ,.. -‐一ー-、
 …沢庵って…。            .         \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、            /::.:.:.r_つ::.::.0:!
なんていうか…その、大丈夫なの?   r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、          /::.:.:.:.:::.::.:::.:.::.:::.::.|
                      ..  l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.      /:::.::.:::.::.:.とつ:.:::.::.::::l
 そこで言う「誰かさん」って、       |.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /::/´ ):.::.::.::.:::.:.:::.:.:.0:.l
どう考えたって、崇伝でしょ?       l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..:.ゝイ:r‐‐ァ::.:::.::.r 、:.::/
                      ...   !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `u. \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠ ヽ::.::.:.:ー':.:.:.::.::.:し'.:/
 ここまで思いっきり          .   V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不    `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :{:.:.r―-、::.:::.::.:.:::.:.:l
喧嘩売って大丈夫なの?          V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : : : }:.:ー一':::.::.:::.:n:.:r'
                          ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r‐'::.:::.::.::::.:::.::.:.:.U:.:!
                       .      l::.::.:.:::に\ト、"  '___ `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:.:(___)::::.::::.:.:::::.::.:.:|
                            V_)::.:::.::(二)i:> 、Y__.ノ_"ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::.:.:::.::.:::.:.::::.::::.:.:0:.::|
                            V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(´ ̄ }:.:.::::.:::.::.:::.::::i
                             ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:`ー‐':.:::.:::.:.:::.:.:::.::ノ
                              `ヽ、o::.:', !:.:.::Y:Y:.:.:.:/^´ /: : : : : : : : :_:ノ::::.:::.::::.:.:::.::.::::.:.:/

            -‐   ̄ ̄ `丶、
         /           ヽ
           / / /〃/{ { ヽ `ヽ. ∧
        l / /斗/ハ ィー‐ヽ  ∨ l          まあ、そこについては、
        { {  レテく  ヽ\{ヽ\ ヾ│         これから先の話ってところよ。
          乂l f r'ハ     __ 7ハ\リ l          とりあえず、今回の抗弁書で
  (⌒⌒)    .八,}弋ソ    ''⌒ソノ ) 八    
.  ヽ〃`ひ、 ノイ }ゝ" n  "" { {´  丶\         「沢庵は幕府に正面から反論した」
       / rz-、_ ,>‐r<_∧!>、   \丶
.    , -‐"  とノハ/  ヽ{>ロ<フ〈.  ヽ     \     ということを憶えておいてくれれば
    //  / / ヽ、__,/∨{   j><__〉\   丶.ヽ   それでいいからね。
.    {八 〃 ハ  { /{  / 大   , <   }ヽ  }  }
     )/ ヽ(. ヽ人{ >‐ヽ/ j \/  ∨} ノ  ヽjイノ    じゃ、話に戻るわよー。
     "   ` ′ ヽ ヘ_,ん</__j_{_/ ((   ( "
              /  /  |  l
                /  /   .|  l
             /` V   l  .,′
             `ー'′   ├-/
                    ̄



453やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:24:54 ID:XlimBWyT
『当然、これを読んだ重宗殿は驚いたであろうの。
 なんせ、正面から法度が…即ち”幕府が間違っている”と言っておるのじゃからな』

    /::://:::! /-=、 ,// u / _,,.-ゝ. 「ヽ l    ! , l    これは…幕府に対して正面からの挑戦…っ!
   /::_;イ-‐=レ'==ミ"   '∠-==ヽl=ヽlヽ  レ'レV    だが…っ!あまりにも理が通り過ぎている…っ!
 /::::::::..、   o   ,≡:::::::〈、  o   ,  :|│ リ '     無理…っ
 ::::::::::::::::: ` ー--‐ '´三 :::::::::ヽ`::ー-‐:'.´   |│ l       俺の裁量だけではもう捌き切れない…っ!
 :::::::::::::::    ニニ  ::::::::::::::ヽ::::::::: U  |│ !
 :::::::::::::::U  ̄ ̄   U::::::::::::::::ヽ::: u   |│ .l        江戸に…金地院殿に回すしかない…っ!
 ::::::::::::::::   U    r‐:::::::::::::::::::::ヽ.    Lノ  |       それが最上の策…っ!!

『結果、重宗殿はこの抗弁書を江戸へ送り、判断を仰いだのじゃ』



455やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:27:34 ID:XlimBWyT
『そして、三月に入り、この抗弁書は江戸に着いた。
 早速、金地院殿が目を通す事になったそうじゃが、
 まあ、これを読んだ金地院殿が怒り心頭の体であったであろうことは想像に難くないの』

.    __  __                    .┛┗
l l:::::::l : 5 l:::l 2 l::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;i:::::::_,/:::::::::::::::_,/┓┏  /::::l   / l   .l ̄ ̄ ̄ ̄ l
l l:::__.l :___├l__.:.__l:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;:- '::::::::::::::::::::::i'   ,-,_,,...-'::::::::"i i"  i'.  .l : 落  l
l l::l :7 l:::l 3 l:::::::::::::::::::::::::::::::,,-'':::::::::::::::::::::::::;-',-'"'-'::::::::::::::::::::::::l l:l /.     .l : ち.   l
.l l:l_:__l:::l___l::::::::::::::::::::::::,,- ''::::::::::::::::::::::::::::::/./::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l::l:/.    l : つ  l
..l l:::::::::::::::::::;;;::::::::::::::::::::::::/:l:::::::::::::::::::::::::::: _,,.-''./:::::::::::::::::::::::::ii:::l"'ゝl l:/     l : け  l
...l l:::::::::::::;;;;::::::::::::::::::::::::::/:::l;;:::::::::::::::_,-''"_,,. -''"::::::::::::::::::::::::::::i::l /=/┌‐‐‐‐‐‐ l____.l
 .l l:::::::::;;;:::::::::::::::::::::::::::/::::::l "'-'''"_,,-''"::::::::::::::::::::::::::::::::/"i:::/ /:/  l : こ 考 心 l   
  l ̄ ̄ ̄ ̄.l:::::::::::::::/:::::::::l  /":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/_.._l/ /:/  .l : ん え を .l
  l 落 ¬ 落 l:::::::::::::::i:::::::::::l--'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::':;;,::::'': ̄l //    .l : な る 平 l
  l ち 素 .ち l::::::::::::::::;'i,::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,i'i,'' "    l   .時 ん 静 .l
  l つ 数 つ l::::::::::::::::::;;;i;::::::l:::::::::::::::::::::::::  :::::::::::::::::::;;,:/        l.  ど だ に l
  l .く .'‐ く .l:::::::::::::::::;;;;;;'i.::::l:::::::::::::::::::::;;  l'iY:::::/i:::::::/           l.  う : し l
  l ん を ん l:::::::::::::::::;;;;:::::i,:::l:::::::::::::::;;-'i;; i,i_i,:::i'-,::::/         l  す .: て l
  l だ 数.だ lヽ二''.-::;;;:-''"'i,:::::::::::/  "'"  "  "'            l  る     l
  l .: .え : .l  i i'‐- -''"~ "''"                       l  か     .l
  l__.て___l   

(寛永五年三月十日「本光国師日記」にある崇伝の言。
 『逐一一見を遂げ候。甚だ以って上意に相叶はず候なり』)



456やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:30:13 ID:XlimBWyT
『この抗弁書は、実に理にかなっていただけに
 それだけに、幕府内でもどのように取り扱うべきか非常に紛糾した挙句、
 最終的に、金地院殿だけではなく、大御所様付の年寄である
 土井様、井上様、永井様のお三方も加えての評議と相成ったのじゃ』

       r-' " ̄ ̄~ =- .,_
     r-;' ,;;;;;;;;;;;;    ;;;;;, ヽ、
    / ,;;;;; _,.ハ 、 , , ,,,,, ;;;;;;;, ヽ
 .  / ,;;;;;; リ`"i ハヽ丶ミ ;;;, ;;;;;;;;, ,y
  ,i ,;;;;; リ/  ヽリヽ、ヽ , ミ ;;;;;;;;, i
  i ,;;; /-ニュ.,_丶_ヘ,,. -=-ゝ、 ;;; i
  ヽ,..i,i" ~,,..-、 `i-- l~,.- ._~`i l,;;_/    いやぁ、実に面白いねぇ!
.   i ri.i '´   /l 、 'i.i   ` i/, i    良く書けてると思いませんか、土井殿?
   i ヾ-=ー ' .ソ  、~` ー=''i j i
 .  ヽ'l     丶    、   l_,/
     l  ' ー - ─ ─ '  l
     ヽ    "~".    イ
       lヽ、      / l
      l :::.ヽ、..._ , -'..:::_,l
     /~` =- .,_ _,. -='" .ヘ
   _.-'´l     /`'ヘ、     lヽ、
-'7´  lヽ   /i   冫   /i  `ヾ-
        井上正就

       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i 
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l     いやいや、確かに面白いんだけどさあ。
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i    参るよねえ…こういうのって。
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll    
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i     正しいのはわかるんだけど、
     i     l :::.      ..::::  ,/     こっちにも都合ってもんがあるんだからさ。
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l
- '"   / i l丶,-ヽ- ='"  ,'  /  ,'  i
         土井利勝



458やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:33:33 ID:XlimBWyT
                \-_
                 /  \
        ,,,,___,,.-‐一'' ";;-‐ヽ  ヽ
        「        \ ノ    l
       i         , へ
        "j          <
        }      __,,_,,./ } ヽ
        "「   .,/'゙ !`\   /
   __   ll   /″  ・〆ゝ  ヽ       
  √  i !!!!/      丶.´ l /  \
  | r⌒ヾ !!          '     丶.    …とりあえず、この三人を江戸に呼ぼうか。
  | { て !!!               /   話は、それからだね。
  | L  )  !!!   ゝ、          ゝ    
  \ ""ヽ      \         /     
    \_ソ      {         "";     
     i        {          /
_,, .-‐''"    i ゝ             ヽ
         i  l              i
         l  -             /
          t  ゝ丶、._______/
          ゝ        ノ
           ヽ      /

『そして、この評議の結果、沢庵殿たちは江戸へ召喚される事となったのじゃ』



462やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:38:19 ID:XlimBWyT
『こうして今年(寛永六年)の二月、沢庵殿・玉室殿・江月殿の三名は江戸へ召喚されたのじゃ』

                 .rニYニヽ          , ---一 、
   |レ               //_夢_ j |         /      i
   !!_           イ t` !_,` } |        ,' 聞 俺 幕 i
   ゙- '´ ,、       /j ト ‐=' レj        l か の 閣 |
      -''´   ,r'´ ̄`゙} |二二j l|rニ二ト、    | せ 話 に |
           〉─7-'´l|jト、`}-イl;|`--l一〈   .| て を   |
     __ii__    |   レ ルリ-ト、|州リ   |  .|   `| や     |
     イi    j  j ,,  ヽヽ |/     |  ',   | る     i
      `  , イ  ハ ヒ、 ト、 |     j   ',  ヽ      ノ
        ノ  }  / }、 ヽ} ヽヽ|    ノ ',  |   ` ---一 '
      /   イ  } {ニ二ニニ}´7二ニニ}  ',  |
    //  / l  | ',ニ二ニニi |ニ二Y   ', |
.  //  /   l  } ヾニ二ニi |ニ二イ   ', ',
/ /    l    レミj   {ニ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄{    {三i
 / i   /    } ヶ / `丶、 _, -'´ |    } ヽ
ん-ト、        |_彡 j 二ト、 }-|    |   ヽj-''
   ヽ/    /    {    / |    |     l
    ヽ   /    レ、   |  |    レ-、  /
     `-- ´--、__  j ヽ  j  |  ./', |  `丶{
             ̄|  ', / ̄| /  ij
             ',   〉{   |./   l|
              ',__,r' }  .|k   j
               ',   |   |`丶、r'
               ',  |  |   j

『尤も、沢庵殿はこの召喚に際して出した書状で、

  ”今度訴訟のため申し上げるべく罷り越し候趣”

  と書いておるから、当人としては、
 ”この際、言いたい事を直接幕閣言えるいい機会”と考えておられたのかもしれんがの』



465やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:41:16 ID:XlimBWyT
『そして、二月中に江戸に着いた後、神田の広徳寺に入られたのじゃ』


   O  人
   o 人 人  .____
    ||人 人 人 |広徳寺|
   人 人 人 人 | ̄ ̄ ̄
  /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\
   |  □□  .|
   |  □□  .|
─卜|  □□  .|
  ヒ|       |
    ̄|| ̄ ̄|| ̄\      λ λ λ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (広徳寺に入る三僧の図)



467やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:43:47 ID:XlimBWyT
  -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ  \
//, '/ ─  ─ヽハ 、ヽ
レ!小l (●) (●)从|i|
 .| ⊂⊃(__人__)⊂|    …そういえば、
 .|      ( <   |    あの頃は父上も胃の調子がよくなった頃でしゅたね。
  ヽ     `-'  ./
 /   ヽ     ノヽ
./ /   ∩ノ ⊃|  |
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
 . \ /___ /


   / ̄ ̄\  ( ;;;;(  
 / _ノ  ヽ\ ) ;;;;)    まあのう。
 |  ( ─) (─)/;;/    これがもう少し前であれば、
. |   (__人__) l;;,      果たしてまともに身動きできたかどうか…
  |    ∩ ノ)━・'
.  |   /  ノ´ }       ともあれ、
.  ヽ  / /    }       久々に和尚と対面したわけじゃが、
   ヽ/ /   ノ       和尚は変わっておられなかったのう…。



468やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:46:30 ID:XlimBWyT
=回想開始=

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)    宗彭殿…いや沢庵殿、お久しゅうござる。
  |     ` ⌒´ノ   この度は、とんだ災難でござったな。
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く    
   |     \  
    |    |ヽ、二⌒)

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |     おお、宗矩か!
/ /イ   /  |::::::| / _┗'  ,イ 、|    相変わらず細長い面しおって!
 /   /  |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ    こんなものは災難でもなんでもねえ!
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\   
  /  / / ! \| | |::::::::::|! /!  ! |
 , /  / / |┐ \ `━彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



469やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:48:26 ID:XlimBWyT
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (⌒)(⌒) |    …和尚もお元気そうでなによりでござる。
. |  (__人__)  |   ともあれ、この度の件については、
  |   ` ⌒´  ノ.   それがしも赦免の為、できる限りのことをしますぞ。
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く    
   |     \  
    |    |ヽ、二⌒)

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / / u  夢  | ヽ     そ、そうであるか。
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',    その心がけは見事である。
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |     褒めてやるぞ。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |   
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|    …だが、お前の家に災難は掛からんのか?
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ   俺は仏法の大将(自称)故、貴様の助力などなくとも
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\    まったく困らんのだぞ。
  /  / / ! \| |      ./!  ! |   
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



470やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:50:13 ID:XlimBWyT
     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(●)      心配はいりませんぞ、和尚。
.   |     (__人__)     その辺りはそれがしとて弁えておるつもりでござる…。
    |     ` ⌒´ノ 
   .l^l^ln      }       …それに、それがしとて
.   ヽ   L     }      .一切の見返りなしで助けようなどと
    ゝ  ノ   ノ        考えてはおらぬのですからな。
   /  /    \      
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |    …ほう、この貧乏坊主から
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |   何か取れる物があるとでもいうのか?
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



472やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:53:04 ID:XlimBWyT
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \     …当然だろ。
 |  (●)(●) |    和尚にしか頼めない事があるから、
. |  (__人__)  |    .ここで恩を売っておこう…そういうことなんだよ。
  |   ` ⌒´  ノ
.  |         }     だから…気兼ねするな。
.  ヽ        }    和尚はいつも通りにしてくれれば、それでいいんだ。
   ヽ     ノ      
   /    く    
   |     \    
    |    |ヽ、二⌒)、 


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、_ゝ  イ_ノ| |   
//イ    / /::::、  '´  `  '|| |   ………。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



475やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:55:31 ID:XlimBWyT
                 _..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
                   /             `'‐、
                /                    `'、
             /                       ゙l,
               /                        !
            |       . ___、               |
              l    ., ‐'"゛    '''''''、            |
           l   . /           l           |
              ,'   /      . 、    !        !
          /   / 、    l.夢´!   .,!       |   ………いいだろう。
            /   ./ l     .f゙'‐.,i',   ,!       |  では、遠慮気兼ねなく助けられてやろうじゃねえか。
         /   .l ゙l \           !           l゙  
        ./     !.ゞ \ .ヽ        l゙        !    この江戸で、たった一人の御味方殿にな!
       ./      |   .`ッ',     .,r‐/         !   
      ./       .!      ゛   ./;:;:;l            |   
    ./  .r    .!         ゙‐''''}            l
   .-'´   . l     l、 .、   i ..,,、   |          l
       /     .!',  .!、  `―"   !         、   !
       !      }.l  l-二― ......,,.. |       |   .|
       .|      .l  l  .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,!       !    |
       .l     │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./   !       |
       !     !.〈,,,  ゙'-..____,,..-'"l゙      /
          !    /.、  `''-,,.      ,..l゙      ./ 

<ドタドタドタ



476やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 22:57:46 ID:XlimBWyT
       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \
    (⊃   ( ●)(●)       たった一人…そんなことはないぞ、和尚。
     |     (__人__)       あの抗弁書を読めば、和尚の側に理があるのは
     |     ` ⌒´ノ      誰にでもわかる筈だ。
       |         } \     .味方はきっと他にもおる…。
     /ヽ       }  \ 
   /   ヽ、____ノ     )
  /        .   | _/
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (
   \  /   /⊂_)


<ドタドタドタ…!


       / ̄ ̄\
      /  \   .\ 彡
    .(●)(● )   |
     (__人__)   u. |   …って。
     .(`⌒ ´     |  なんだこの足音は?
     {         |  (まさか…賊か!?)
      {        /
      \     /
      ノ     \
     /´        ヽ



477やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:00:11 ID:XlimBWyT
      |┃三      ......┃
      |┃        ....┃
      |┃  ガラッ!  ┃
───|┃        ....┃
      |┃三=        ┃
      |┃        ....┃
      |┃        ....┃
      |┃        ....┃
      |┃三=       .┃
      |┃        ....┃
      |┃        ....┃
      |┃        ....┃



479やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:02:02 ID:XlimBWyT
   >                            
  /             _─/    /`~ヽ|\  | 
. // ̄ ̄ /   X\  /   /  / ./ |  |  |
/    _ V  / (.\ \|   ヽ // / | |  |  /| /
. \   / _ /| /ヽ/⌒\\  /∠─-、/ / |/~ヽ
  \/ / | | ( (  (。O)\ゞ//(O。) ヽ/ .|/ヽ |
    | .l | | ヽ ヽ___/   \__ノ   |  //     沢庵殿!
  /  \` |                   |_´/ |   この直寄、沢庵殿に味方するために
 /    |`-|.         |         .l__  |   参上したぜ!
/     |  |         /l          /  /  |
      |  |         ・・         /  /  |     …って、柳生殿、
      |.  |    -、_____     /  /   |    お主が一番乗りだったか!
      |  l    \ニ二二二ニ.`7  /  /   |    
       |  \   `-、____/ /  /     |
       |    \     --   ./  /    / 
        |     \__二___/   /   / 
       |      /|`ー─-┬─-<     /
        |    /  ヽ    /    \ /
        .|  ./    L__/       7
        |/     /  |         /
            堀丹後守直寄


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \  て
 |    ( ○)(○) そ
. | u   (__人__)    貴方は…堀丹後守様ではござりませぬか!
  |     ` ⌒´ノ   何故にこちらへ?
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    
   /    く  
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、

 堀丹後守直寄はこの時期、越後本庄(村上)藩十万石の藩主であった。
これ以前の沢庵とどういう縁があったかは不明だが、沢庵を非常に慕っていたという。



480やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:05:03 ID:XlimBWyT
_l' 、 /'1 ,-‐'T_..、;;;;;;;┤;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;ノ;;;;;;;;;;;;;;;;`リ :广│/
′ ゙'´ '´  ゙ヽ!;;;;;`l;;;;;;;;;;;;;;;;;ィ''ゝ;;1;;゙、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;//||||||||/
′知 そ    l|llllllllllllll∟、;;;;;;;!  、」;;;; r;;;;;u4llリ|||||||||!!‐、> 助 .好
  っ .れ  ..;llエ!'lナ''jア┤;;;;;卜 、丿;;;;;jlク|'こ,,ノu 丿ヾj /  け .き
  た 以 ''' ̄/. 弋ニンノ|、;;;;;l l}'lL ( l弋 ’`‐‐ー'"、_../ \  .に な
  こ  外   lゝ-──‐´ `'´ヾ ‐' ̄′ `────´  丿 .き 坊
  っ  は   〈-        ヾ/´´           丿   た 主
  ち      /′        .|           -'   ん を
  ゃ     ノ   、      + |' 、           `ヽ.  .だ
  ね     _ゝ    ./´`丶 /∟            ソ.  !
  |     !    /...._ ー' 、 "゙ ' r‐''''          ヽ  
  !     '、   _r''、 `''‐-ゞ=ニ-一''' 二ニ 、      |
        '、   | ,,_,__ィ-----------,,__,....」      ゝ__
      ,,__ │   | ./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; .r│     /  ト│ / ┐
丶   、 'ヘ厂´   ゝー┐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/.l/    ./  丿 ゙∨’
t..‐"゙l/「'  ヽ    冫、┬─┬──┬‐//    /  丿
  _..、、 、 .. ヽ   ゙ ..`──────´ノ    ./  〃 、  -


      / ̄ ̄\
     /  u  ノ \
     |    .u ( ●) |
.     |      (__人_)   いや、知ったこっちゃねーって、
     |      ` ⌒ノ   仮にも十万石の大名家たる堀様がそのような…!
      |        }
      ヽ u      }
       ヽ     ノ
      ノ     \
     /´        ヽ



481やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:07:39 ID:XlimBWyT
                 _..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
                   /             `'‐、
                /                    `'、
             /                       ゙l,
               /                        !
            |       . ___、               |
              l    ., ‐'"゛    '''''''、            |
           l   . /           l           |
              ,'   /      . 、    !        !
          /   / 、    l.夢´!   .,!       |
            /   ./ l     .f゙'‐.,i',   ,!       |    …くっくっく。
         /   .l ゙l \           !           l゙    宗矩、お前の言った通りだな。
        ./     !.ゞ \ .ヽ        l゙        !
       ./      |   .`ッ',     .,r‐/         !     「味方はきっと他にもおる」
      ./       .!      ゛   ./;:;:;l            |
    ./  .r    .!         ゙‐''''}            l     …その言葉通り、
   .-'´   . l     l、 .、   i ..,,、   |          l   お前の他にも物好きが来たってわけじゃねえか。
       /     .!',  .!、  `―"   !         、   !   なに驚いてんだ?
       !      }.l  l-二― ......,,.. |       |   .|
       .|      .l  l  .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,!       !    |
       .l     │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./   !       |
       !     !.〈,,,  ゙'-..____,,..-'"l゙      /
          !    /.、  `''-,,.      ,..l゙      ./
        ',   .,'  `'、   `''" ̄ ̄ .,!      /
        !  .i',    ゙'y.     .._.. !     /
        |  ./ ヽ    ゙',゙'---ッ'"  !     /
        | /  ..l.   ..l, /    .l    ./
        l ,i',    l    .li′   .!    ./
        // \  .!    !    l   ./
       〃   ヽ. !   !    :!  . /
       l′    ヽ|   .l    | ./
       .゛          !     ! /
                      l′



482やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:10:54 ID:XlimBWyT
         / ̄ ̄\
       / ヽ、. _ノ \
       |  (●)(●) |     物には順番ってもんがあるだろうが!
       |  (__人__)u|    説得を重ねれば、味方になる方も出るとは見込んでたが、
          |   ` ⌒´  |     いきなりこんな風に押しかけてくるとか想定外だろ!
        |        }     .常識的に考えて…!
        ヽ       }
        人_____ノ"⌒ヽ
      /           \
     /            へ  \
     (  ヽγ⌒)     |  \   \
  ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   >                       
  /             _─/    /`~ヽ|\  | 
. // ̄ ̄ /   X\  /   /  / ./ |  |  |
/    _ V  / (.\ \|   ヽ // / | |  |  /| /
. \   / _ /| /ヽ/⌒\\  /∠─-、/ / |/~ヽ
  \/ / | | ( (  (。O)\ゞ//(O。) ヽ/ .|/ヽ |     気にすんな!
    | .l | | ヽ ヽ___/   \__ノ   |  //     さあ、早速、和尚の赦免のために
  /  \` |                   |_´/ |    どうすればいいか相談するぞ!
 /    |`-|.         |         .l__  | 
/     |  |         /l          /  /  |
      |  |         ・・         /  /  |
      |.  |    -、_____     /  /   |
      |  l    \ニ二二二ニ.`7  /  /   |
       |  \   `-、____/ /  /     |
       |    \     --   ./  /    / 
        |     \__二___/   /   / 
       |      /|`ー─-┬─-<     /
        |    /  ヽ    /    \ /
        .|  ./    L__/       7
        |/     /  |         /



483やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:13:58 ID:XlimBWyT
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (○)(○) |
. |  (__人__)  |
  |   ` ⌒´  ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ     
   /    く 
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |     最早、俺に言えることはもうねえな。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|    
 /   /  |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ    .…柳生殿、堀殿、よろしくお頼み申す。
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



485やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:17:39 ID:XlimBWyT
       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \
    (⊃   ( -)(-)       
     |     (__人__)        ………。
     |     ` ⌒´ノ    ,r'゛ヽ  
       |         } \ `‐=   )  
     /ヽ       }  \ ヽ-.´  
   /   ヽ、____ノ     )
  /        .   | _/


       ., ──‐、
      /     \
.     .|     _ノ  ヽ
     |     ( ⌒) (⌒)        …そうですな。
     |       (__人__) , -―ーっ  それでは早速、相談を始めましょうかの。
      |     ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄
.      ン         } ゙| ̄'|      「おう!」
    /⌒ヽ、     ノ  .|,  |
__/   ノ \_ィ ´ー‐ィ'  |
| |  /   /    r_____/
| | /   /      |i   
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 こうして、宗矩と堀直寄による、
沢庵赦免のための活動が始まったのである。



487やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:20:11 ID:XlimBWyT
例えばある日は…

           / ̄ ̄\
         / ._ノ  ヽ、\
         |  (●)(●) |
         |  (__人__)  |
         |    `⌒´  .}
       ./ヽ        }
      / ノ.ヽ    . ./\
.     〈  〈|   / ̄|  |ニニ|
      \. ∧ /  :| /  /
        ∧ /|ハ__ハ/ /
        |トv'   / |/ |
       / ゝ._ノ/^,.|│ |
.       // 」 0_ 0_ L\へ
      / V {_:_:_} {:_:_:} V  :|
      |_人__--=ニ人  |
         |__|フ/ ̄|   ̄
         |:::::::| /‐‐‐|
         | ̄ |/::::::::/  パカパカ
          ̄〈ニニ/


       .l         l
       .l 儿      |
       .| ]「       !  
      .ノrミ r=ミ、   |    おや、あそこに見えるは柳生様ではないか。
      /ハソ iLノ}    !  
      l \  `¨´  ノ |
     厶  二二  ,ィ彡ト、
   ,rfミx一-…―   ノ ト、
  T{ ヽ、        _∠  ノ  ≧、
    上野寛永寺の門番

     .l!
     .∥
     |l
     ||  ム
     fヲ 笊     おお、確かに。
    .{「|弌少ミ}   せっかく諸大夫を賜ったばかりなのに、
     .| !Zr-Yヘ   乗り物にも乗らず馬とは、どうされたのであろうか?
     .| | ノ7Zり
     .| |{ {  Y!
     .| |iN〉 |l
     .Lリ厶ヘリ
上野寛永寺の門番2



488やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:21:54 ID:XlimBWyT
           / ̄ ̄\
         / ._ノ  ヽ、\
        .|  (●)(●) |      役目ご苦労。
        .|  (__人__)  |     柳生但馬守である。
        .|   ` ⌒´  .}
       ./ヽ        }      沢庵殿、玉室殿をお連れした。
      / ノ.ヽ    . ./\    天海様に、お目通りを願いたい。
.     〈  〈|   / ̄|  |ニニ|
      \. ∧ /  :| /  /
        ∧ /|ハ__ハ/ /
        |トv'   / |/ |
       / ゝ._ノ/^,.|│ |
.       // 」 0_ 0_ L\へ
      / V {_:_:_} {:_:_:} V  :|

       .l         l
       .l 儿      |
       .| ]「       !  
      .ノrミ r=ミ、   |    は、ははっ!
      /ハソ iLノ}    !  (あの大徳寺の僧達を乗り物に乗せて、
      l \  `¨´  ノ |   自らは馬とは…)
     厶  二二  ,ィ彡ト、
   ,rfミx一-…―   ノ ト、
  T{ ヽ、        _∠  ノ  ≧、



489やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:23:55 ID:XlimBWyT
また、別のある日には…

       _.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
     ,r'",,;;  ,;;;; ,,;;;  ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
    / ;;;,  ,,   ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
   ./;; r- ...,__  ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,
  ,i ;;; l  / ノ ~l;'~       l ;;;;;;;;;; i
  i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___  .v ;;;;;;;; l
  !, ;; i'-,- '''ヾヽ  ~`r' ー=-~` i r- 、i    やあやあ、丹後守殿。
   ヽ、i 'rーu-,i l   t'~"uー,.   l,lr' ll   今日は何かお話があるとかで…どういったご用件で?
    i, i ヽ、_,/,i   ヽ, -'"   リ j i
     i     l :::.      ..::::  ,/
      l    i_ ヽ     ..:::::: r'"-.,_
     i   ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ
     ,._,-'"-' ~`二  '"  :::::: ,y ,i ヽ,
     ~_.ヽ    ''    ..::: ,-'" i   /i
  _,.-=' /, ヽ、      ,.-' ,'  ,r  ,y l
- '"   / i l丶,-ヽ- ='"  ,'  /  ,'  i


      _/  /''''ー 、.     ヽ
     ..イ   /' ....=ーこ 、    \
     /}′  ,'/´ ..r= 、 ^! ' 、    ヽ       _
    :l   」〕 〈L__丿 ! ヘ    │ __,,..--‐''''"′
    |    | ゝ `"ニ_.. ''  ノ      `'ヽ、
    |     弋 `''"゙ _ ´  ''"ゝ     _/        土井殿!
    l .|    `''''"´    _ ′   _ノ´   ヽ 、   今日の俺の話は、沢庵殿たちの赦免の件なんだ!
   _..ク │   ___,,,, 丶‐''"` ,,._rY'、      ヽ    早速だが、俺の話を聞いてくれ!
   弋__ ゛ 二 ___,,..=jjノ.(世.)  |      |
    ノ~~゙'i!llnコナ(世)从)yjl.'''冖'''  |      丿
    / ,,/Y ll(l  '''´ ’ ´      l ''     〃′
  ,,/ /|` 、./_|、     _ _、 _、  / ..゛  /′
../ / 丿‐ ー.. }ソヽ、  _ ニ-;=イ7 / ⊥ヘ/
'"/ 丿      ィ<ヽ_,'て辷ニナ/、..‐_ィと_、
/_ノ′     」 ̄`  '、''―'´卜  ' 〈J∀
-''´        {ぃ..、  |''Fコクl _  -/ ..jlリ 、 __
 、        |l⊥ 个 、`∪''"´ ヘl’│ ノヤ''" 、、 `



490やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:25:15 ID:XlimBWyT
      _/  /''''ー 、.     ヽ
     ..イ   /' ....=ーこ 、    \
     /}′  ,'/´ ..r= 、 ^! ' 、    ヽ       _
    :l   」〕 〈L__丿 ! ヘ    │ __,,..--‐''''"′
    |    | ゝ `"ニ_.. ''  ノ      `'ヽ、
    |     弋 `''"゙ _ ´  ''"ゝ     _/          …というわけなんだ!
    l .|    `''''"´    _ ′   _ノ´   ヽ 、     土井殿、何卒沢庵殿の御赦免を
   _..ク │   ___,,,, 丶‐''"` ,,._rY'、      ヽ      お願いします!!
   弋__ ゛ 二 ___,,..=jjノ.(世.)  |      |
    ノ~~゙'i!llnコナ(世)从)yjl.'''冖'''  |      丿
    / ,,/Y ll(l  '''´ ’ ´      l ''     〃′
  ,,/ /|` 、./_|、     _ _、 _、  / ..゛  /′
../ / 丿‐ ー.. }ソヽ、  _ ニ-;=イ7 / ⊥ヘ/
'"/ 丿      ィ<ヽ_,'て辷ニナ/、..‐_ィと_、
/_ノ′     」 ̄`  '、''―'´卜  ' 〈J∀
-''´        {ぃ..、  |''Fコクl _  -/ ..jlリ 、 __
 、        |l⊥ 个 、`∪''"´ ヘl’│ ノヤ''" 、、 `

               _,,.. ._
            ,r;';;;;;;, _,..、`、
           i´_,.. - ' _゙、,ヽ             なるほどなるほど…話はわかりました。
           l゙、 ,.、 '´rニ,゙v i .            じゃ、今日はそういうことで。
            ヾ iャ'j; `  i' r'~ヽ,ーュ: ; _     
            ュ'ヘ ヽ ' _,  i .! .i !`ー┴-ニ`y、  (この間は柳生が来たと思ったら、今度は堀殿か。
         ,.r'´;l´::.:..ヽ, '´.  / ! .l, :::.:.:.:.:.::: }' i .   大した人気だねえ、沢庵ってのは…)
       _,.-'~ヽ l ::::.:.:. `!ー '" ry'`ーi ::.:.:.::::..: l  r,!   
    ..,.-='´   `、゙、,l ::::.:.:.:. l .`t-r'  i ::.:.:.::.:.:: l リ !    
   / `ヽ,    ヽ l :::::.:.:. .i 冫l '",i .:::.:.:..:.:. l ,  i,
 .,rー'ュ、 ゙,  _, -=' ト-t_ :.:. \_⊥-' :.::.:.:.,..._,./  ,7 `;t 
. ,ヘ.! i^,.`i /' ~ .   loj :.:~`rー '"~  ̄ ̄l oj l ;'     l 
ヾ、」y' _r' ´      .i´、:.:.:∫::.:.:.:.:. .:. :.: , `´ `t ..,_   !
. `7,' ´         _,l._ ` ! :.:::.:.:.:. :. :.:. :.:. :.:.: { l,  `  `i



492やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:27:11 ID:XlimBWyT
  「`' ―- 、,_ ∠、 ―――- 、 __/     l         …という具合に、
  ヽ.      /              \     l        宗矩と堀直寄は沢庵たちの赦免の為に、
    ヽ.   /      ,ィ         \     ハ       ある日は天海のところへ沢庵たちを連れて行き、
     \ /     / / / l i   ヽ     ヽ \ /  l       またある日には幕閣に赦免の嘆願をしたりと、
     /    j .ハ j l ヽヽ ヽ ヽ \  \ `<、 l       色々奔走しているのね。
     .j /    l_l_ l l ヽヽヽ_ヽ__`__.\ \\-、 .l       
.     l |. l l ハ l 弋  \\\  \\> ヽ\`ト、       後の沢庵の手紙にも、
     .l li .l l l fTテヽ   \ 'Τ圷ヽ、:f ( `ナ、 \\    
      l l.l l l ハ .b::::l       b:::::::::l | ノ ノ|   l\、     「玉室、愚老をのり物にて、さきに立ち、
     ', ,ヽヽ、 l ヘ弋n!       .ヒ辷ッ |‐'´l l   l        其の身はのり物にものられず、顔うち出して
       ヽ \\ ヘ "" ' __    "" ,イ |. i l l   l        .馬にて供をして、上野の僧正へつれてゆきかへり」
        ヽ  }i| \>.、 ヽ )   / .i|:|__. i l l  ハ      
           jj.l i. /: l l |l:>.、イ   ノ | >,‐ 、_ヽ  ヽ     「主の家にて内談いく度ともなく、
        〃ノ//  l | |l, イ|_  __/ || .∧ _,. >、 \    としより衆へ様々に申され、心をつくされ候」
       ノ ノ_ィ ノ /l l/ | ィl |ハ .  |レ  //´/ ヽ,、. \  
        ' ノ / / rl ||  lハ| || ヽ,/.!|.  // /   ハ \ \  とあるわね。
       / / /  .l.| ||  ,.-H-、 ∨リ // / / /  ヽ、\ \
                       .         _                 ,. ---、
                             ,.......!|            _,. - '´:::(__) |
                        「ヽ「ヽ  j/⌒!ト、          ,.ィ'´:/⌒ヽ:::::::::::::|
                         ヽ.Vン',.´  ̄i「 、ヽ、    /:::::::::::ヽ,.-<::::(_)::|
 へえー。               ...... __,/ヽ j、 、 ヽ ヽ \_ / - 、, 、::::ヽノ:::(_):/
結構色々やってたのねー。     ..... `7  l∠ヽメゝ、j、 l. ラ´//  /   ):::::::::::::::::::::{
                       .  j/ 、!,ニ、 ィ'升ュ|  j. レ':.:`ーへ_ - く:::::::::::::::(_)::|
 で、ちなみにこの二人の他に、   .  | ,ト、化! ヾ┴'  /く-、 __:.:.:.:ヽ-- ':_:::::::::::::::: |
どんな人たちが味方についたの?    r'ヽヽト `r;r' ーァヘゝ__ノ´ ):::::::.:.:.::(  )::::::(_):|
                       ,へ丶、 ) >ョ彡┴'7jヘヽ‐'´:;. --、:::::/⌒ヽ::::::::::::j
                       }=ニ三ヲ_//シ'_  /Y l j::::::丶__ノ:.:.:.ヽ--':::(_) /
                       (_ヽ二7 7Yニ´ Vィ[r′ 「:::::::::::::, -- 、:.:.:.:.:.:_::::: /
                       <..X´7ri'゙ハ!、_ l  i   |::::::::::::ヽ_ノ:.:.:.:::(._):/



493やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:28:56 ID:XlimBWyT
           ,  ‐ ´  ̄ ̄ `ヽ、
          /     、    、 \
          ,.'./  .:/ ;小:.. ヽ:. :\:.:.ヽ
.        //:.:.:.:/.:./:. ./ i ヾ:.:.丶:. ...ヾ:ー'、       …ええと、それがね、
       //,':.:... :.:厶:./- ヽu.弋:.‐\:.:.:. 丶:\     どうも沢庵本人の記述によると、
         ! |:l:j:.:.:´/ ィ天t、   ィ天女、-、:.. ヘ、:.ヽ   この二人以外、この時期、沢庵たちに味方した人は
         ! | :.!.:.:.:ハ´ち;;;j    ち;;;;j !K }ヽ:.、.! ヽ!   いなかった、とあるのよね…。
         ヽヾj:.ノ小 `::::.   '  ::::´ ハイ: |`リ  ノ
       、_ノイ:..:.:リ;:ゝ-‐っ ー-   イ:.l::|:. i |
      /´/:.:/ ‐<>.、 _., .イ_.l:.:l::|:. i |
     /_/∠ ァ┐l !ノーソノl  ̄ ヽ、」::|:. .:i:ハ
   , ./´   `∨イしリ  / ハ  / ヽ ̄`ヽハ
  / |====、∧/  >‐/{ヽ‐‐<   l    l ヽ  r/7-、_
, '   /     / /   7〃 {{ヾ〉\   |/ ̄ |  厂し' / /┐
.   /     / /  /   {{.   \  |    | ,/=(_/_/_,人
   |     / / イ    o. {{       \|    l/     'ヾ、/

                                         _,..-'''""'- 、
                 r 、                        , -'"::::::::::::,.-、::::::l
 えー?           l l                      , -'":, -、::::::::::::ゝ ':::::::l
そ、そうなの?    , - ヽヽ                     /:::::::(  l::::::::::::::::::::::::l
        rヽ    l / _ヽ、-‐- 、   て         /:::::::::::::::::`_´::::::::::::::::::::::::l
        ヽヽ   ゝ レ´ ヾ    "'- 、そ__..,     /:::::::::::::::::::::::(__)::::::::::::::::::::::/
        ヽヽ  /          ....... l,    /:::/ `l:::::::::::::::::::::::::::::::::O:::::::l
            ヾ〆 /、   \、 _ ヽ ヽ::::::::l   /:::::(__// ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
,- 、        / l  l \ ,、×\ヽl  ヽ:::l /:/ヽ_,.:::::::(__/__::::::::::::::::::::::::::, 、::: l
l::::: "'''- ._    l / ヽ ,l‐u. `' ィ〒ミ、,l ::::::l::l /:::::/   し、::::::(____):::::::::::::::::::::::l丿::::l
ヽ::::l´`l:::: ":'- 、l l  :lヽ,,れ、   pi:j )l.:::::l//::::/     丶__,,..::::::, -'"ヽ::::::::::::::::::::::l
 ヽ::`´::::::::(__, l l  : ::l h ri:j l    `ー'/ へ l:::::/         l:::(___, -'::::::::::::::/冫:::l
  ヽ::l´`l::::::::::::l´ヽ :::::::ヽゝ ' `t―ァ ん>_`-/ヽ、       ゝ::::::/ ̄`;:::::::::´:::::::l
   ヽ`´:::::: ○:(`丶!\_ヽ、 _ 丶ノ /と´  i )\{       l:::::::(_ /:::::::::::::::::::/
    \::::::::::::::::`,==´,-、____ ̄l   {/   l 3 ヽ        `ー―、:::::::::::::○::::/
      ヽ:::::,-、::丶_, ノ ,´   l了 {/,へ  / >  ヽ          r:::::::::::_::::::::/



496やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:31:52 ID:XlimBWyT
            , '´                     \
           //      ,イ           \         うーん、実際、記述こそ無いけど、
           / /        / / l l            ヽ        陰ながら味方をした人は
         / /   ./ /ィl .イ l  .! ト               ハ       いたんじゃないかな、とは思うんだけど、
.         / /   ./ /ハl/ i l  ヽヽ\'、、           l       後に沢庵が手紙によると、
         /.  l   十ナ-ェ、_ リ    __X‐弋\   \   l
      /// l l  l V,ィ示`   ` ´ rァ‐-、ヽ、 \ \  l      「大徳寺難儀に及び申し候時は、
.      // j  :l l  ト、{ h:::::}.       h::::::::i:l ト  ヽ ヽ.  ハ      柳生殿と堀丹州両人の外に、
     // .j   :l l   ハ. 、ノ::リ       ,_ノ::::::リ’ l l\ ', ', l ハ      さまで笑止とも申す人はこれ無し候。
    /   .l   l |i.   l -ゞ'’,       ゞzッ’ j i lノ \ ! l  ハ     我身を大事に皆々存じて、
       l l /.|l |  l "          ""    ノ l l_ノ ,入i l   ヽ    其の時分はのがれぬ人達も、
       V / l| | 小     ⌒         ./ /ム-'  l    ヽ    よそに見ており申し候」
.       //    l //i \             / / /             ヽ
       レ    j // |レ ’. > 、       _.  _/ / /                  とあるから、ストレートに言えば、
              レ/ / ,へ  ヽ---ェニ-‐'フ /7/   i            
           /'/ ィiヘ  \/ニ-===ノ /ヲイ   l l            「宗矩と堀直寄以外は、
        //' / |Lヽ-ニニヽ\  // ̄li l  l .l            皆、保身のために見て見ぬ振りをした」
     -―//‐'   /     \ V'/     | l   l l        
   //¨フ/    /        〉ハヽ    | l  l .l           ということみたいね。



498やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:34:06 ID:XlimBWyT
                        ......                 ,.-、
                               _         ,..‐ァ | /
                              〈 ヽ     /  .:/ |. !
                               ヽヽ、   (   :.:! ||                ,.. -‐一ー-、
                                \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、            /::.:.:.r_つ::.::.0:!
 …正直、意外に思う人も多いかもね。  r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、          /::.:.:.:.:::.::.:::.:.::.:::.::.|
”あの”宗矩が、                l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.      /:::.::.:::.::.:.とつ:.:::.::.::::l
そこまで周りが保身に走った中で、    ..|.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /::/´ ):.::.::.::.:::.:.:::.:.:.0:.l
人を助けようとした、っていうのは。    ..l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..:.ゝイ:r‐‐ァ::.:::.::.r 、:.::/
                        ...... !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `u. \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠ ヽ::.::.:.:ー':.:.:.::.::.:し'.:/
 もう少しこういう話が広まれば、     ... V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不    `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :{:.:.r―-、::.:::.::.:.:::.:.:l
宗矩の評価も                  . V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : : : }:.:ー一':::.::.:::.:n:.:r'
少しは良くなるんじゃないの?       ..  ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r‐'::.:::.::.::::.:::.::.:.:.U:.:!
                          .    l::.::.:.:::に\ト、"  '___ `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:.:(___)::::.::::.:.:::::.::.:.:|
                             V_)::.:::.::(二)i:> 、Y__.ノ_"ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::.:.:::.::.:::.:.::::.::::.:.:0:.::|
                             V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(´ ̄ }:.:.::::.:::.::.:::.::::i
                              ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:`ー‐':.:::.:::.:.:::.:.:::.::ノ
                               `ヽ、o::.:', !:.:.::Y:Y:.:.:.:/^´ /: : : : : : : : :_:ノ::::.:::.::::.:.:::.::.::::.:.:/
                                /` ̄', ゝイ^ト-イ   /!`ー==ニ二. ____:.:o:.::__(プ´



499やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:37:55 ID:XlimBWyT
                       ____
              ,. ‐''"´        ` ー- 、
           /                \   \
             ,イ            \   \::: : \           まあ、そのあたりはねー。
           /   /     !   :|  :|ヽ\   \:::::. ヽ         今ある宗矩のイメージは、
           ,'  .:/  .::::/ ,'   :,' .::iハ . ヽ:::: :::ヽ:::::. ヘ        剣豪系の逸話/小説からのものが多いから
        i   .:/  ::/ /  ::/!: .::,' | |∨:|ヘ:::: : :::ヘ:::::::ハ        こういう風に、剣と関係ないところで
         |  .:,' /  .:/  ::/,' :::/ |:.! |:.:| |∨::::::::∧::::::i、       尽力した話はスルーされがちなのよ。
          | .::i:./  .:::,イ ::_/:::/   リ !斗f‐-、::::::::::ハ::::| !       坂崎事件の時と違って、こっちは刀を振ったところで
          |/:|/  :/,ィ"´/:``   /  |/'_」」. i:`: :::::::|::::| |       本当にどうしようもない話だから、
         ,ィ|  / ::::::/i,.>''"アiヽ      /´::::}`.|:::::::::::::l::::| |       「他の剣豪なら…」って話のしようもないし。
      / | ,'::::/{ rT{::::::::::r !     {:::::rリ ∥:: :::::/ト、ハ|       (「③:どうにもならない。現実は非情である」で終わる)
        {  | {::/::::::ヽ|:|乂、_,ノリ      ヾ之' ,'|::::::::,'. | 乂     
      ヽ | |,' |::::|::::|`ト! ''' "´     、 ,,,,, ハ|::::.::i  !   `''ー‐    若干気の毒だけど、
        i   |::::|::::l::::|ト、""゛          /:::|:::::::|  ヽ       .剣豪のカテゴリで話がされる以上、
          ハ::  l: ::|::::|::::iハ \     ` ´  .イ:|!:::ハ:::::|          仕方ないわね。
       ∧:  !::::i:,.-、「|∧  > 、 _,. <:i::|:::|:::::.ヘ:::ヘ         
       /::::: _厶イ ./ |:.:.|` ー-L>、:::::::|::|:::|:::::::::.`iー\         というか、宗矩は剣士以外の側面が
.      />< \   ヘ. i:.:.i   ,'!ハ| `<ュ」::|::::::::.:.∧   `ー     他の剣士と比べて段違いに多いからこそ、
.     ,イ-― 、` 、\  ヽ|,イ   /_||__〉   ハ`ヽ :::::.:.:.∧        剣士としてだけ評価した場合と、
    / :: :: :: :: \ \`'''" `''ー-イ>=<ヽ  | !:: ヘ:::::.:.:.∧       それ以外も含めた場合の評価が
    ,i :: :: :: :: :: :: :\ \  く/,' ハ ト、\ ` | |:: :: }:::::::.:.:.ヘ       かなり異なる、という現象が起こるんだけどね。
.   /:| / ̄\:: :: :/:ヽ ヽ   // ,':: ヘヽ ) | |:: :/!:::::∧::.:.ヘ
  /::::| :: :: :: :: :ヽ::/:: :: ヘ ヘ く/ /:: ::.∧.   | |,イ/:::::::::::ヘ:::.:.ヽ

                                         ____
                          ri               ,.ィ'´.:::rュ:::〉
                         ,.ィl.!           / く_,):::::(_)::}
 その割には、       .....     ト、  ゝレヽ¬ヽ、__   /、:::::::<_)::::::::/
大目付になった事とか、     _   ` y'i ト、 、_ 、ヽ./| /i_.ノ⌒):::::::::(_):|
出世したことは       ..... |i::::\   ハヽL..`>ァェ、 Vレ':::::::::ゝ'⌒):::::::::(_):l、
色々言われるのよねえ…。  {l:〈_):::>| } lィテi , ヾ彳/j:::(_)‐、:::: ̄(⌒)::::(_):|
                    \(」::{_)lへ{ゞ'゙ <.フ,.j/-ィス`ー';. -、:::(⌒)::::::::|
 なんていうか、        .   \(_):::(_)::ィ`二I_/;  iハ:::::`- '_::::: ̄::(_):/
割を食ってる感じよね。   .     lY_)::(〈{_,r、j,>'´}_,<. \:::( __):::::(_)::/
宗矩って。          ....     ヽ:<ハ:Vl_ン<¬<.:.l\ 丶─_---‐'′
                        ヽY_):l.`Llゝイ、;.:.:ヽ  \::::>、._,.、



500やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:39:52 ID:XlimBWyT
 こうして、宗矩と堀直寄は沢庵たちの赦免のために奔走をしていたのと平行に、
幕府内において、沢庵達への処断について、評議が始まっていた。
評議に当たったのは…

 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/  _,,.
 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/-‐::/
 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ヽ::;.、:::::::::::::::::__:::::::/_   さて、御両人。
 :::::::::::::::::::::iヽ:::::::::::;'i:/ l:/ V::::::::::/ ハ::::::,. -''"  それじゃあ評議を始めましょうか。
 :::::::::::lヽ:lヽ!. \:::/ l/  l!,.ィ´_!::::::::iノ〉.l/-ァ
 ::::::::::::i,,__    ';/ l!,ィ弋アフ.j;::::::/ノ./::/
 、::::::::i::lf弋ラヽ l! ''"' ─''" /!/i/ .ノ,<..___ ,ィ             ,.ィ     __
  V、::::トヽ. ̄ ';i   `      j/ Y:::::::::<´ ト、      /ヽ/ />'´ ̄ _ -‐ ¨
  ';!ヽ:lゝ   .::i          レi:::::i¨‐-ヽ  ヽr--‐''´/  /¨´    , イ
    ',! \  ,,,,ヽ、ィ =-‐_,.  / l ∨!     l l   / /     /     -一
       \ ー= 二.ブ´ ,.イ  l l:l.l   \l. l.  / /     /      /
     _/  \`ー,、‐''" / i   l  l      l  i  l   /   _.. ‐''"
    r'´/   // ヽ::::ヾイ   l.   l   l     l l.  l  〉  /
  ,.ィ ,'    l l  `¨´   ,l   l  i     l i  l. /l ノ
 '´ f .i    l l  ヽ \  ノ    l  l       ハ  l  l
  /l l    l l    ',  } /   /  .l       ', ll l
  / i. l      l l    ∨    /   l  ,       ハ l i  i、
 / l i     l i\        /`ヽ- l /        ', i l  l:ヽ \
  l l     l l  \¨ヽ、  ノ /   /          ',ヘ',. i /:::::\ ヽ_
            藤堂高虎



502やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:41:35 ID:XlimBWyT
             _,. -―,.、
          _,. '" .:.   ヽト-、_
       _,. -'´   .:     丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
    _, '´    〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
  ,. "   丶.: "":.   /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.:   :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
 /    . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、          l
 l     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ    、ヽ.   l| l   そうですね。
 {   .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、  _  ヽ ,トシr'  それでは、あの者達について
 '、  .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}   丶  :.:./   貴方は如何思われますかな?
  ヽ .:  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、   / :./
   l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"'  _,ィ":.:.l
   l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::.  .:.:.:.:.:.:.:/
   `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    '、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
     ヽ、:.:.:.:.:.:  /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
     /`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:.....   ',
     !:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:.....  」
     「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l
             南光坊天海



506やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:43:39 ID:XlimBWyT
  ゙!                          /
  ゙!  あの者たちは幕府の定めた法度に  |
   |  公然と逆らっているのだ        |
   |  当然!「厳罰」だーーッッ!!     |
   |            __,.,.,.,.,.,.____,._      ヽ
   j         ,..-'"´         >-、,  /
  /      /  /´゙i ゙!:⌒ヽ   `'"´ ヽ、
 /      /   / ,.-,ニ,、゙i,::::::::\  ,..イ rニi,
       /    レ'/_::::::::〉〉::::::::::::`'":::::::|
       /彡  //_'、ヽ,=-'゙:::::::::::::::::::::::::└--‐
  ゙ヽ,  /三  /::/__:::::\\:::::::::;:;:;;;;.-、:::::::::::::::::
   ,,..-v'三 iー-':`-, r''‐ァ-、\`'',.-‐'"´゙!l;;;;:;:;:;:;:;..
  ´::::::ヾニ ゙i;:::::::,.ノ_ヽl゙_;;;;}ヽ;ヽ_」i::::::/:::!l;;:::::::::|「
  >、::::::::`ヽ `,ン´::,.-`,.-‐`゙''`::〉゙ヾk::__ノ l;;:_;||:
  ,r'゙〉::::::::::::} レ',.-'´:::::::::::::::::'::::::::::/二二,`ー--
  {::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::::::::::::::::;:;/;;;ヽr';;;;ヽ,.:;:;:
  ヽ;:::/::::::/ /:::::::::::::::::::::::,,;::::::::::::::l;;;;;;;:::゙ヾ',ノL;;:
   .)/::::::/ /::::::::::::::::,..-、ヽ::::::::,;:ノ;;;;;:::::::::::::;;;;;//
  ゙}/:::/ /::::::::::''∠__,...、.ヾ__ '"、::::::::::::::::__//::
  ::゙i´   j::::::::::::::l  ヽ`+、゙--、 ゙!|::::::::::/,.-7''゙ーy'
  l:::゙i,  |:::::::::::::::゙i,,  ヽ,,,_ヽ/ .!|:::::://:::/,.-__;//
   i,:::ヽノ:::::::::::::::::::::`゙'ー、    〉':::://:::://:/  //
  l,゙i,::;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::;;;゙''ー'":::://:::/-':::ノ ///
  ;゙i,.ヽ;;;;:::ヽ、:::::::::::::::::::::;;'゙:::::/ レ'::,イ´´/ /// /
  ;;;/ \:::::::::゙''-、:::::::'"゙:::/-;:ジ) /// /// /
  / .∧  `'-、::::::::`゙゙'''";:;,..-'// ./// /// //
   /  `'''- .,_`゙゙''二,.-;;'":::/  /// /// ///

 金地院崇伝、南光坊天海、藤堂高虎の三名であった。
そして、この評議に於いて、真っ先に厳罰を科すことを主張したのは崇伝であった。

 「法度にも叛いているだけではなく、
  自らそれを認めた上でやっているのだから、その罪は重い」

 というわけである。



507やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:45:44 ID:XlimBWyT
                          ふむ…しかし、私はそうは思いません。
 
                          そもそも、この法度の本旨は、
                         大徳寺の仏法が成り立つようにするためのもの。
              ,,,ノニミ=ミ-、、    沢庵は、それについて正面から説明をしています。
     .∩「)')     /=7 ̄ ̄~7)、、
    n._|_{|_||_|    |彡二フ''"~^^"`}.))   これは罪と言うものなのでしょうか?
    ヽー`  },r'フ ,へノノ   、、 ,, }ノ                            ,、-ーっ
     { ' ̄ ( ノ―-〉} !   イ迯 '〈ョ{                           _ノ 二ニフ
     ヽ   .∧   ヾ i    フ,” j`〈                         ,,,/  ,/
   ノ^~}   {ー=7、  \ イー=='/ー---、,,,,、_,-ー~' ̄ ̄! ̄)ー-ー―――;;「{'"   ∠ニ 、
   ノ |  ヽー フ ヽ   \. \___二}'     ヽ ヾ  }  // /  --- ー―-{ ヾフー--ーー'
   | |_,,,ノ" 入 \   ミニ/  {      ヽ } } / / /  ̄ ̄       {―"
  ノ| └―''''`   } 、 \  \ V''""ヽ      レ /// /           |
 /|       入ゝ ヽ   ヾ `旦 ヽ      V  / /    ,,,,,-―ーー"" ̄
 | {      ノレ ノノヽ 〉   \ \ 〉      }//,,,-ー'''"
 | |人ー―'''" ノ   ヽ_|    ヽ  〉 ヽ     } //
 | |  |ヽ ,ー<     |     } }∩ }      |
 | |  | ’       | '|     .} <○、}      |
 | |  |  ノ      〉 |      |() 〉 `<)     {
 ヽ { |  /       ` |      | ^ヽ 〈     |
  り |          |     |  `ー'|     |

 これに対し、天海は、

 「沢庵は、法度のおかしいところをおかしいと言っただけに過ぎない。
  ただ、法度に叛いた事自体は事実だし、不調法であることも確かなので、
  罪を三人に分け、なるべく軽く済むようにするべき」

 と軽罪を主張し、また藤堂高虎もこれに同調したという。



509やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:47:55 ID:XlimBWyT
 この天海の擁護には、宗矩・堀直寄による活動の他、
沢庵たちが評議に際して呼び出され、詮議を受けた際の答弁にもあると思われる。

=詮議の場にて=
             _,. -―,.、
          _,. '" .:.   ヽト-、_
       _,. -'´   .:     丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
    _, '´    〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
  ,. "   丶.: "":.   /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.:   :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
 /    . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、          l
 l     :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ    、ヽ.   l| l   沢庵殿、玉室殿、江月殿。
 {   .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、  _  ヽ ,トシr'
 '、  .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}   丶  :.:./    あの抗弁書について、
  ヽ .:  .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、   / :./    何か申し開きする事はありますか?
   l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"'  _,ィ":.:.l
   l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::.  .:.:.:.:.:.:.:/
   `ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
    '、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
     ヽ、:.:.:.:.:.:  /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
     /`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:.....   ',
     !:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:.....  」
     「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |    ………。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



510やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:49:22 ID:XlimBWyT
                               
                ,. '"´三二二三`ヽ     
              /,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ    
              /   /    夢     ', ヽ   
            /   /::(         ノ:::)  ヽ   
              /   /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``',   ヽ 
          /    ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ',   ヽ
            /    /     ,,   ,,      ',    \ \、_ハノ
         /   /::、  /   .;;;;;;'  ヽ   /::ト、   ヽ\).',..、
         ./   //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V .  / 
        /   // 1:::::;  V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV  ;:::::ト、V ヽ,)  . あの”KOUBEN”は俺のソロだ!
      /   // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ  ;_ ___ノ) )  .玉室、江月は関係ねぇ!
       /   // /  l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   ;::: ̄\ `ヽ   . .
     /   // /   1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|  ;::! i i _)  . 俺の”KOUBEN”に文句があるなら
.     /   // /   / l:::;.   |WWWWWW!  /1 | | .l,)   .俺一人で受けて立ってやるわー!!
    /   // /   / .|ヾ、  L二二二ニノ / | | | /-、
.   /   // /   /   |(__ノ\ /xxxxxヽ/   /! ! !  .,ソ/ヘ '"
.      // /   /  ノ  ',  l}}}}}}}}}}}}}  /| | | |  /  //7/ヘ /l ト、 |\
     // /   /  ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/  l | | |        /   V | l ヽ|
.   // /   /   l  >.-、/   ヽ  ヽ  | | ! ! 
   // /   /    |/ /       \)  l/ | |  
  .// /   /    V   〉   '"´  ``ヽ).     | ! 
      /    /  〈    '"´   ``ヽ)    l/  

 この詮議の場にて、沢庵は

 「抗弁書は自分ひとりの覚悟で書いたものである。
  玉室、江月は関係ないので赦免してほしい。
  代わりに自分は如何様にでもしてくれていい」

 と述べたという。



515やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:52:06 ID:XlimBWyT
         /                      ヾ、ー、,
       /                         ト、ー、
      / ノ ノ /                     ゝヽ、
      ノ      ,,r´           -ミ'‐"´´ 、   `、`、
      /    ,_ソ /, '         r"´´´     ヾ  ヘヽ
     ノ   , __丿/´  __,,,,,,,,,,,ゞー''         |  ヽ
     /     イ  / ̄                i   ヽ
     ノ      丿丿                   〈   i
     リ  , '   ,'       , -ー‐-----''''""´    ヽ  |
     ノ     丿          :::.  :'         ヽ i
    ,--、、、   ,'            ヽi ゝ,          Y⌒',   (…今時、珍しいほどの者ですね。
    |i  ヽ 、、、ヽ     ___, 、_,i  ヾ, _,,,,-‐t、、__   /r /    この沢庵というのは。
    '、'  ヽ       ,〃"でヅ''ゝ、i   |彳´ゞ┘ニ=.   | /
     ヾ  i;,        `゙ゝニ==彡';;   いミ三ニ"´   | /      …大した潔さです)
      ヘ ゞ       `゙ー‐'''"  :.   ヾ   ̄`゙ヽ  |丿
       ヽ ヽ           ,,r 、;:   ' ヾ、      |
        ゝ、_,         / ヽ、_'     : )ヽ       |
          ヘ      /    `゙゙ー-‐"´  \   |
            ヽ      i;  ___,,i_i,,__,, 丿 ノ ノ
           \     ';  `゙=ー'ー'ー'ー'一"´ |i / /
            \     i;   `゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙""´   ;: ノノ
              ヽ        `ー,一"    ノ/
               \             ノ'
                `ヽ          /
                 `゙ー、____________,,/

 この沢庵の答弁に感心した天海は、後に評議の場においても

 「南光(天海のこと)などの僧中には左様の者は今はこれ無く候間感じ申し候」

 と述べたという。



521やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:54:17 ID:XlimBWyT
   ,'  ゙、       /'    ノ l
 .  f、  ノヽ、   _./: ノr=-‐'"   !
 .  l 「ヽ : : `¨ ´: :/': : : i:l   l   
 ... l !: :《 : : : i : : : ヽ>_:,.:j l  /¨ヽ  .
   ,.、ト.、'<: /:l : :_ノ '∠: j: :L/: :/: i  .   だが、法度に
   ヽ:V:'弋ラゥ⊥レィ'ヽヒソ: 、: : : : ):リ    あのような抗弁をすること自体が…!
    i:l: :` ̄: l:、: : : : ̄ : : i: : /:/
    `ハ : : : :,': :ヽ : : : : : : :! : l‐'ソ
     `'; : : :ヽ-ァ : : : : : : : : !:l: :iヽ
       ハ : :-、_ ニニ : : : : /:/ :リ i、
       ヽ ー:-  イ: : :/ : :i :/ .i::\
        ト、: : : : : ;.イ : : : //  ';:::::::
       /::/ ̄ ̄: : : : ;.イ /   〉::::

                         
              ,,,ノニミ=ミ-、、   
     .∩「)')     /=7 ̄ ̄~7)、、
    n._|_{|_||_|    |彡二フ''"~^^"`}.)) 
    ヽー`  },r'フ ,へノノ   、、 ,, }ノ   とはいえ、それならば
     { ' ̄ ( ノ―-〉} !   イ迯 '〈ョ{   何故五山派の寺法には……
     ヽ   .∧   ヾ i    フ,” j`〈   
   ノ^~}   {ー=7、  \ イー=='/ー--
   ノ |  ヽー フ ヽ   \. \___二}'    
   | |_,,,ノ" 入 \   ミニ/  {    
  ノ| └―''''`   } 、 \  \ V''""ヽ   


 こうして、評議は長く続き、
沢庵たちが江戸に召喚されてから、五ヶ月の間、処断は定まらなかったのである…。



524やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:56:22 ID:XlimBWyT
=回想終了・寛永六年(1629)七月二十五日=

   / ̄ ̄\
  /  _ノ ヽ_\
 |     (●)(●)       …というわけじゃったのじゃ。
. |     (__人__)      そして今日、遂に処断が下され、
  |     ` ⌒´ノ ) ;;;;)   沢庵殿は出羽上山へ、玉室殿は陸奥棚倉へ
.  |         }  .) ;;;;)   配流ということになってしまったのじゃ。
.  ヽ        }  /;;/
   ヽ     ノ  .l;;,´
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/

  -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ  \
//, '/ ─  ─ヽハ 、ヽ
レ!小l (-) (-)从|i|  
 .| ⊂⊃(__人__)⊂⊃   …そういうことだったんでしゅか。
 .|   u  `⌒´   |   
  ヽ         /    (なんか物凄く長く感じたでしゅ。
 /   ヽ     ノヽ     そう、まるで2週間分くらい…)
./ /   ∩ノ ⊃|  |   
(  \ / _ノ |  |   
.\ “  /__|  |
 . \ /___ /



527やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/26 23:57:53 ID:XlimBWyT
   / ̄ ̄\    ) ;;;;)
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)    まあ、遠島の危険すらあったそうじゃから、
 |    (─)(─)  /;;/    配流で済んだだけ、少しは赦免活動の甲斐が
. |    (__人__)  l;;,´     あったのかもしれぬが、やはり残念じゃのう…。
  |     `∩_ノ)━・'
.  |     |_ノ
 /ヽ    |  |_
 |  \_/ ノ ヽ
 \     /_|  |
 | \ /  _/

   / ̄ ̄\
  /  ノ  \\
 |  .(●)(●)  |          配流が決まった以上、
. |  (__人__)  |         おそらく、近々には江戸を出立となるであろう。
  |    `⌒´  |    ) ;;;;)   その前に、広徳寺に顔を出しておかねばな…。
.  |        |    .) ;;;;)
.  ヽ       }   /;;/
   ヽ     ノ   .l;;,´
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/

      -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
    / /" `ヽ ヽ  \
    //, '/ /_ノ  ヽ、_ハ、ヽ
    レ/) (●) (●)从|i|   …って、あれ?
   / .イ'⊂⊃(__人__)⊂⊃  父上、今、気になったんでしゅが、
.   /,'才.ミ)     `⌒´  |    処罰を受けたのは沢庵殿と玉室殿だけなんでしゅか?
.   | ≧シ'         /
 . \ ヽ  ヽ     ノヽ



529やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:00:43 ID:SfbDfxf9
           / ̄ ̄\
         /   _ノ  \           …ああ、江月殿のことか。
         |    ( ●)(●)         お三方のうち、江月殿だけは無罪と相成った。
         |     (__人__)         曰く、
         |      `⌒´ノ
          |         }           「江月は沢庵、玉室よりも罪は軽く、
          ヽ        }      (      また大徳寺北派存続の為にも、
           _ヽ     ノ`ヽ、_     )     一人は長老を残さねばならぬ故」
.           _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
        _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)   だそうだが…江月殿については、
.   , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁    一人、崇伝殿に詫びを入れられたのではないかと
  /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ 〉〉〉|    .噂されておるの。
. /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   !


  -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ  \
//, '/ /_ノ  ヽ、_ハ、ヽ  
レ!/(   (●) (●)从|i|   …それは、確かに変でしゅね。
 .| ⊂⊃(__人__)⊂⊃  そういう噂が立つのも仕方ないでしゅ。
 .|      `⌒´  |   
  ヽ         /
 /   ヽ     ノヽ



530やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:02:09 ID:SfbDfxf9
        / ̄ ̄\
      /       \    …まあ、実際のところはわからぬ。
      |::::::        |
     . |:::::::::::     |   ただ、このように言うてはなんじゃが、
       |::::::::::::::    |  お三方が苦難にある時、保身のために見て見ぬ振りをした者どもが、
     .  |::::::::::::::    }   .そのように噂するのは、正直、浅ましいようにも思うがの。
     .  ヽ::::::::::::::    }     
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´

  -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ  \
//, '/ /  \ヽハ 、ヽ  
レ!小l (-) (-)从|i|    …………。
 .| ⊂⊃(__人__)⊂⊃
 .|  u  `⌒´   |    
  ヽ        ./    
 /   ヽ     ノヽ



532やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:03:52 ID:SfbDfxf9
                    .....  ___                  r'|
                       |.:::::...  ̄`丶、             l |  ト、  r'7
                       |:(_)::::(_):::. \       _,. ィ| ¬Y、_ //
                       !::(_):::(_ゝ:::::::::::..\    ト'´/ ,   ト ンく      ___
 ねえねえ、実際のところ、       ヽ::(_ゝ:::::::. /ヽ<_,>\  l V /,.-/ ,.ハ |ヽト、  ,. イ´ヽ::(_):|
この判決ってどうだったの?    .   〉.::::::::::::::::>--く:::::::::\V!/,レ∠ -'⌒V ハ.」<::::::ゝ <:: :::/
                    .....  |.::(_)::::::_ヽ--'::( ヽ>、ヽ/,,⌒ , 冖 〉ハ |::r⌒)::::ヽノ(_)/
 どうして三人とも呼ばれたのに、   |:::(_):::(_,)::::_::: ̄:く `ーゝヽフ_,''ィレ' V::r⌒):::::::::(_):/
江月だけ無罪だったの?        l.:::..::::::(_,):〈___ >:::∠、r 二ヽ「[i_,.ゝ 、i,>:∠フ::::::::(_):/
                        \:(_)::::::::::,.-- 、:::: /,.>l  ニYl;r<ヽ` 〉-、::(__,〉:::::: :/
                          \(_)::: ヽ__ノ::::/´  ヽ rィi lハ、` イl.∠::(__)::(_):/
                           ヽ-─ ニ=‐〈.___,. イ]「=Tラi ´ ヽ_ノ:::::::(_)::/
                             /.:::::::::/ン.:.:.:.:.:.:li o fハ\.___ノ_::::::(_):/
                           /.::::::::::::くZヽ-- 、 i{.oj{.:.:,_>、:::\  ̄ ̄
                           ト::(>_::∠ー 三ΞミVfニ三彡ヽ::::.ヽ
                            ヽ::(_ノ/7::`「⌒^´´Y「‐-'^^Y::〈_):/

           ,  ‐ ´  ̄ ̄ `ヽ、
          /     、    、 \
          ,.'./  .:/ ;小:.. ヽ:. :\:.:.ヽ           どうだったの、と言われても、
.        //:.:.:.:/.:./:. ./ i ヾ:.:.丶:. ...ヾ:ー'、         実際、よくわからないのよね。
       //,':.:... :.:厶:./- ヽ 弋:.‐\:.:.:. 丶:\
         ! |:l:j:.:.:´/ ィ天t、   ィ天女、-、:.. ヘ、:.ヽ       『万松祖録』によると、世間では、
         ! | :.!.:.:.:ハ´ち;;;j    ち;;;;j !K }ヽ:.、.! ヽ!      「只江月のみあやまりなるよし申」とか
         ヽヾj:.ノ小 `::::.   '  ::::´ ハイ: |`リ  ノ      「大徳寺焼香役相勤め候様に」とか噂された、
       、_ノイ:..:.:リ;:ゝ-‐っ ー-   イ:.l::|:. i |         とあるんだけど、結論としては、
      /´/:.:/ ‐<>.、 _., .イ_.l:.:l::|:. i |
     /_/∠ ァ┐l !ノーソノl  ̄ ヽ、」::|:. .:i:ハ          「分明ならぬ」
   , ./´   `∨イしリ  / ハ  / ヽ ̄`ヽハ
  / |====、∧/  >‐/{ヽ‐‐<   l    l ヽ  r/7-、_  とされているわね。
, '   /     / /   7〃 {{ヾ〉\   |/ ̄ |  厂し' / /┐
.   /     / /  /   {{.   \  |    | ,/=(_/_/_,人
   |     / / イ    o. {{       \|    l/     'ヾ、/



536やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:07:35 ID:SfbDfxf9
            , '´                     \
           //      ,イ           \         …ただ、この結果、
           / /        / / l l            ヽ        江月の人気は随分と
         / /   ./ /ィl .イ l  .! ト               ハ       落ちちゃったみたいなのよね。
.         / /   ./ /ハl/ i l  ヽヽ\'、、           l
         /.  l   十ナ-ェ、_ リ    __X‐弋\   \   l       それまで珍重されていた
      /// l l  l V,ィ示`   ` ´ rァ‐-、ヽ、 \ \  l      江月の墨蹟も捨てられた、とか、
.      // j  :l l  ト、{ h:::::}.       h::::::::i:l ト  ヽ ヽ.  ハ      市中の落書で、
     // .j   :l l   ハ. 、ノ::リ       ,_ノ::::::リ’ l l\ ', ', l ハ
    /   .l   l |i.   l -ゞ'’,       ゞzッ’ j i lノ \ ! l  ハ     「降る雨に 沢の庵も玉の室も
       l l /.|l |  l "          ""    ノ l l_ノ ,入i l   ヽ     ながれてのこる にごり江の月」
       V / l| | 小     ⌒         ./ /ム-'  l    ヽ
.       //    l //i \             / / /             ヽ   「江戸味噌を 二すりすりて一すりは
       レ    j // |レ ’. > 、       _.  _/ / /                  みそかすばかり のこる江月」
              レ/ / ,へ  ヽ---ェニ-‐'フ /7/   i            
           /'/ ィiヘ  \/ニ-===ノ /ヲイ   l l             なんて書かれたとか、
        //' / |Lヽ-ニニヽ\  // ̄li l  l .l           随分と評判は厳しかったみたい。
     -―//‐'   /     \ V'/     | l   l l        
   //¨フ/    /        〉ハヽ    | l  l .l        



537やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:08:00 ID:SfbDfxf9
                                     ,.-、
                         _         ,..‐ァ | /
                        〈 ヽ     /  .:/ |. !
                         ヽヽ、   (   :.:! ||                ,.. -‐一ー-、
                          \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、            /::.:.:.r_つ::.::.0:!
 キ、キツいね…。       .  r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、          /::.:.:.:.:::.::.:::.:.::.:::.::.|
でも、それを言うなら、      l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.      /:::.::.:::.::.:.とつ:.:::.::.::::l
処断を下した崇伝の方は    |.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /::/´ ):.::.::.::.:::.:.:::.:.:.0:.l
どうだったの?       .....  l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..:.ゝイ:r‐‐ァ::.:::.::.r 、:.::/
                    !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `u. \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠ ヽ::.::.:.:ー':.:.:.::.::.:し'.:/
                    V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不    `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :{:.:.r―-、::.:::.::.:.:::.:.:l
                     V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : : : }:.:ー一':::.::.:::.:n:.:r'
                     ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r‐'::.:::.::.::::.:::.::.:.:.U:.:!
                        l::.::.:.:::に\ト、"  '___ `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:.:(___)::::.::::.:.:::::.::.:.:|
                       V_)::.:::.::(二)i:> 、Y__.ノ_"ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::.:.:::.::.:::.:.::::.::::.:.:0:.::|
                       V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(´ ̄ }:.:.::::.:::.::.:::.::::i
                        ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:`ー‐':.:::.:::.:.:::.:.:::.::ノ



540やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:11:06 ID:SfbDfxf9
          '   /     /::: ,.イ ::: / |:: /´  | :::|! ::::: |\:::
        .|     '  / .'.::... / !: /  |:::!    !::::ハ ::::::|:::::\::::     もうボロボロね。
        .|    |   ::!:::::| ::::j -‐|‐|─ ト::|    l::::| -‐─ヽ--ヾ::::   例えば『細川家記』では、
         i⌒v::::|!  ::|::::::ィ:´::|  |: |   |:::|     ゝv  ゝ:::::ヾ::::::ヽ
        |  v ::|  i: l ::∧:::::|   V -- ゝ       \ __ \::::\     「金地院取沙汰の事、
        |  |:::|:: !:::l:::| ヽ_:l _ __          __`_ー     日本国上下万民悪口申し候、
         |  | ::ハ::ij:::ハ::!イ`弋ゝ-'フ``        ´ !ノ__フハ     にがにが敷儀候事」
        |  | :::|:V:::::::ヽヽ    ̄                `  ´
      , -v ,イ V::| ::::::ハ::\ :::::::::::     ,.       ::::::::::::::    とか書かれてあったり、世間では
    , -<.   `| ` ヽ| :::/ゝ∧`´         <:i
 , '⌒ヽ  ヽ  ヽ   ヽ/ヘ/::l!                         ”大欲山気根院僭上寺悪国師”
 !    |  | -.ハ    V|!:::∧
 l ー|  | r トi_ノ ゝ    |:|:::|:::,.\        ´ `         . イ    と呼ばれたりしてるとか、凄かったみたいよ。
 |  人 i´ト l_ノl      ノ/:::j:/::|::::ゝ.、             イ:::: |:::::

                                 r 、                     
                                 l l                     
                               , - ヽヽ                     /
                         rヽ    l / _ヽ、-‐- 、             /::::::
 うわあ…。          .....       ヽヽ   ゝ レ´ ヾ    "'- 、__..,      /::::::::::::
よくクビにされなかったね、          ヽヽ  /          ....... l,    /:::/ `l:::::
崇伝…。             .          ヾ〆 /、   \、 _ ヽ ヽ::::::::l   /:::::(__//
                   ,- 、        / l  l \ ,、×\ヽl  ヽ:::l /:/ヽ_,.:::::::(__/
                   l::::: "'''- ._    l / ヽ ,l‐  `' ィ〒ミ、,l ::::::l::l /:::::/   し、::::::(_
                   ヽ::::l´`l:::: ":'- 、l l  :lヽ,,れ、   pi:j )l.:::::l//::::/     丶__,,..
                    ヽ::`´::::::::(__, l l  : ::l h ri:j l    `ー'/ へ l:::::/         
                     ヽ::l´`l::::::::::::l´ヽ :::::::ヽゝ ' `t―ァ ん>_`-/ヽ、       
                      ヽ`´:::::: ○:(`丶!\_ヽ、 _ 丶ノ /と´  i )\{       l
                       \::::::::::::::::`,==´,-、____ ̄l   {/   l 3 ヽ       
                        ヽ:::::,-、::丶_, ノ ,´   l了 {/,へ  / >  ヽ       
                         ヽ:l j:::::::::::( l  ,__ヽ}_(//::::::l /イ    ヽ.     



542やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:13:26 ID:SfbDfxf9
           ,  ‐ ´  ̄ ̄ `ヽ、
          /     、    、 \
          ,.'./  .:/ ;小:.. ヽ:. :\:.:.ヽ         まあ、法度の内容そのものはどうあれ、
.        //:.:.:.:/.:./:. ./ i ヾ:.:.丶:. ...ヾ:ー'、       崇伝のやっていることは、幕府の側からすれば、
       //,':.:... :.:厶:./- ヽ 弋:.‐\:.:.:. 丶:\      必要なことだったし、誰かがやらなければ
         ! |:l:j:.:.:´/ ィ天t、   ィ天女、-、:.. ヘ、:.ヽ    ならないことだったからね。
         ! | :.!.:.:.:ハ´ち;;;j    ち;;;;j !K }ヽ:.、.! ヽ!
         ヽヾj:.ノ小 `::::.   '  ::::´ ハイ: |`リ  ノ     ある意味、誰かが被らなければならなかった泥を
       、_ノイ:..:.:リ;:ゝ-‐っ ー-   イ:.l::|:. i |       被ったのが崇伝、とも言えるの。
      /´/:.:/ ‐<>.、 _., .イ_.l:.:l::|:. i |       「幕府の権威」を確立する為にね。
     /_/∠ ァ┐l !ノーソノl  ̄ ヽ、」::|:. .:i:ハ
   , ./´   `∨イしリ  / ハ  / ヽ ̄`ヽハ
  / |====、∧/  >‐/{ヽ‐‐<   l    l ヽ  r/7-、_
, '   /     / /   7〃 {{ヾ〉\   |/ ̄ |  厂し' / /┐
.   /     / /  /   {{.   \  |    | ,/=(_/_/_,人
   |     / / イ    o. {{       \|    l/     'ヾ、/



546やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:15:45 ID:SfbDfxf9
                       ____
              ,. ‐''"´        ` ー- 、
           /                \   \           ちなみに、本文では書いてなかったけど、
             ,イ            \   \::: : \        この紫衣事件、大徳寺の3人だけじゃなくて、
           /   /     !   :|  :|ヽ\   \:::::. ヽ       妙心寺からも東源和尚、単伝和尚の2人が呼ばれて、
           ,'  .:/  .::::/ ,'   :,' .::iハ . ヽ:::: :::ヽ:::::. ヘ      同じように、配流になってるの。
        i   .:/  ::/ /  ::/!: .::,' | |∨:|ヘ:::: : :::ヘ:::::::ハ       
         |  .:,' /  .:/  ::/,' :::/ |:.! |:.:| |∨::::::::∧::::::i、      まあ、妙心寺の方でも同じように揉めたけど、
          | .::i:./  .:::,イ ::_/:::/   リ !斗f‐-、::::::::::ハ::::| !     この場合、沢庵がいたことが、
          |/:|/  :/,ィ"´/:``   /  |/'_」」. i:`: :::::::|::::| |     より大徳寺側に問題がクローズアップされた
         ,ィ|  / ::::::/i,.>''"アiヽ      /´::::}`.|:::::::::::::l::::| |     というところね。
      / | ,'::::/{ rT{::::::::::r !     {:::::rリ ∥:: :::::/ト、ハ|      
        {  | {::/::::::ヽ|:|乂、_,ノリ      ヾ之' ,'|::::::::,'. | 乂      あと、大本の問題になっていた
      ヽ | |,' |::::|::::|`ト! ''' "´     、 ,,,,, ハ|::::.::i  !   `''ー‐ 「元和以降の出世入院の沙汰」については、
        i   |::::|::::l::::|ト、""゛          /:::|:::::::|  ヽ      結局、15人のうち、6人の紫衣が剥奪されたの。
          ハ::  l: ::|::::|::::iハ \     ` ´  .イ:|!:::ハ:::::|         まあ、残りの9名については、
       ∧:  !::::i:,.-、「|∧  > 、 _,. <:i::|:::|:::::.ヘ:::ヘ        既に亡くなっていた人もいたそうだから、
       /::::: _厶イ ./ |:.:.|` ー-L>、:::::::|::|:::|:::::::::.`iー\       実際のところ、半分以上が紫衣を
.      />< \   ヘ. i:.:.i   ,'!ハ| `<ュ」::|::::::::.:.∧   `ー     剥奪されちゃったわけね。
.     ,イ-― 、` 、\  ヽ|,イ   /_||__〉   ハ`ヽ :::::.:.:.∧         
    / :: :: :: :: \ \`'''" `''ー-イ>=<ヽ  | !:: ヘ:::::.:.:.∧        こうして、幕府と朝廷&寺社による
    ,i :: :: :: :: :: :: :\ \  く/,' ハ ト、\ ` | |:: :: }:::::::.:.:.ヘ      「権威」をめぐった争いである「紫衣事件」は
.   /:| / ̄\:: :: :/:ヽ ヽ   // ,':: ヘヽ ) | |:: :/!:::::∧::.:.ヘ      幕府の処断によって一旦幕を閉じたの…。
  /::::| :: :: :: :: :ヽ::/:: :: ヘ ヘ く/ /:: ::.∧.   | |,イ/:::::::::::ヘ:::.:.ヽ



547やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:17:11 ID:SfbDfxf9
                                         ,.-、
                            _         ,..‐ァ | /
                            〈 ヽ     /  .:/ |. !
                             ヽヽ、   (   :.:! ||                ,.. -‐一ー-、
                              \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、            /::.:.:.r_つ::.::.0:!
 幕府と朝廷&大徳寺で争って、   r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、          /::.:.:.:.:::.::.:::.:.::.:::.::.|
結局、幕府が押し切った…   ......  l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.      /:::.::.:::.::.:.とつ:.:::.::.::::l
ということなんだね。         .  |.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /::/´ ):.::.::.::.:::.:.:::.:.:.0:.l
                        l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..:.ゝイ:r‐‐ァ::.:::.::.r 、:.::/
 沢庵、残念だっただろうね…。.......   !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `  \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠ ヽ::.::.:.:ー':.:.:.::.::.:し'.:/
                        V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不    `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :{:.:.r―-、::.:::.::.:.:::.:.:l
                        V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : : : }:.:ー一':::.::.:::.:n:.:r'
                         ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r‐'::.:::.::.::::.:::.::.:.:.U:.:!
                     .      l::.::.:.:::に\ト、"  '__  `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:.:(___)::::.::::.:.:::::.::.:.:|
                          V_)::.:::.::(二)i:> 、____ ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::.:.:::.::.:::.:.::::.::::.:.:0:.::|
                           V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(´ ̄ }:.:.::::.:::.::.:::.::::i
                           ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:`ー‐':.:::.:::.:.:::.:.:::.::ノ



549やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:19:46 ID:SfbDfxf9
                   ___
                 ´       ` 丶、
             '"                  丶              …でもね、逆に言えば、
          /                  \           沢庵が動いたからこそ、事はここまで
         /  /  //!    \       .:.:.:.:ヽ          膨れ上がったと言えるのよ。
          〃 /    ,小      \   丶.:.:.:.:.:.: ',
       /:/ :/.:./.:.:./.:. ,' !.:l.:.:.:.:l    丶 ...:.:.:.\:.:.:.:.: l           元々、幕府と朝廷・寺社勢力じゃ、
        /:/ :/.:./.:.〃.:.:/  |:ハ.:.:.:lヽ     .:\ .:.:.:.:.`<.:{_         力関係が全然違うんだもの。
     ,' / :|.:.:l.:.: l{.:.:.:|  |l  ヽ.:{_. \―-.:、.:.:丶、 .:.:.:.:.:.:.:\       有耶無耶にしていたら、
     l l  |.:.:l.:.:イヽ丁ヽ {   \   \.:.:.:.ヽ.:.:.:.:\ー‐-!、.:.\      そのまま押し込まれて終わっていたでしょうね。
     | !  ハ.:.|!.:.:j r仗沁 ヽ    \  `ヽ、.:.:.:.:.:.:.:.\:ハ ヽ:.:ヽ
     | | l Ⅵ.:.:ハ  う;;:ハ      ‐ __  l! `≠ト、.:.:.:.ヾ.:', 〉.:リ      でも、こういう「事件」にしたことで、
     | | l   Ⅳ{ i', _Vソ      〃 ̄`゙ヾ|l  ノl.:.\ .:.;小 j/´     何が問題になっているのかハッキリさせたからこそ、
     l ヘ│  j .:リいxxx.  ,     xxxX !!_/ :l.:.:.:.:j:/.:.:.:',       問題を論議する機会も生まれたし、
 (⌒⌒)ヘ⌒乂 } ハ人     _       イヽ :.:..:| .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.      ひいては、解決できる可能性も生まれた、と
  \/  \   ,′'.:. V个    ヽ._)   /ト-、: \:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ヽ    言えるんじゃないかしら。
         / .:.:: _ノ /;_jz≧  _,  <_/ ∧_.:.:\ _ .:.:.:.:.:.:..:\
         / /.:.// /  ∠ ノ`7| r‐≠  (  Y ̄ 丶 `ヽ   .:..:.:.\
        / /.:._j/ ヘ / ノ| ∧l/∧    {  /    `ー=i、  ヽ :.:.:\



550やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:20:40 ID:SfbDfxf9
                    ......                   ,.-、
                             _         ,..‐ァ | /
                            〈 ヽ     /  .:/ |. !
                             ヽヽ、  .(   :.:! ||                ,.. -‐一ー-、
                              \ヽ、 ,.ゝ  :;「 ̄| |‐- 、            /::.:.:.r_つ::.::.0:!
                        r─..-..、    `>、ヾ        | !   `ヽ、          /::.:.:.:.:::.::.:::.:.::.:::.::.|
 解決って…でも、         .....  l:.o:.:r‐、\ ./  `'’       'J       ヽ.      /:::.::.:::.::.:.とつ:.:::.::.::::l
配流が決まっちゃったんでしょ?    |.::.::.::゙ー'::.:;:>'     .:ハ     .:|   :.      ヽ、  /::/´ ):.::.::.::.:::.:.:::.:.:.0:.l
もうお終いじゃない。         .  l:.0::.::.:.:f´/ .:/ _」__/ ヽ   :.:l\  ::ヽ   ;.  \'__:..:.ゝイ:r‐‐ァ::.:::.::.r 、:.::/
                      .   !:.::.::.:.:::V .:/   :.!V `  \ 弋_卞、::l   :!::.. ..:::∠ ヽ::.::.:.:ー':.:.:.::.::.:し'.:/
                        V^!:.::.::l..;イ.:: .:.:|/,不    `>ァ=ミ、V  .::|:.: . .:/: :{:.:.r―-、::.:::.::.:.:::.:.:l
                         V:.:.::.:l/::|::i :.:〈 l.J::l    ' 勹::::::!V   :.:!::.:/ : : : : }:.:ー一':::.::.:::.:n:.:r'
                         ヽo:.::.:.::N、 :::l 弋_ソ    「廴xリ/.:   .:;ムイ二) : :r‐'::.:::.::.::::.:::.::.:.:.U:.:!
                      .      l::.::.:.:::に\ト、"  '__  `ー‐'/.:;  /! : : : : : : :!:.:(___)::::.::::.:.:::::.::.:.:|
                           V_)::.:::.::(二)i:> 、____ ムイ/ ヽ| :(⌒) : r'::.:.:::.::.:::.:.::::.::::.:.:0:.::|
                           V_)::.::.:.:.:.:{´   |{、'  ,ィ'´ `ヽ、: : : : : : : : :{:.:(´ ̄ }:.:.::::.:::.::.:::.::::i
                            ヽ::。:.::.:.:.::ト、,.-、ヽ_,ィ'_  ___ 〉 : : :(´ ̄): :!:.:`ー‐':.:::.:::.:.:::.:.:::.::ノ



551やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:22:14 ID:SfbDfxf9
                     ___
                    ´     `   、
                  /           丶
                /               \
.               / /                ヽ
              /ィ /         /ハ     ∧     …ま、それはこの先の話ってところね。
             / / /   __ / /  / lハ  | l i ト、
            /  //  ィ´/`/ / 斗-、. | l i l !    さあ、いよいよ大詰めになってきたし、
          /  イ ///-r==ミ     r=ミ|  | l i l ノ   話に戻りましょ!
           l / /{ {/ 人 {{ 以シ    似ノ}   / /l/イ
          し /人 ∨川小xxx   、xx/ / / イ 从|
.           //〃⌒ヽ厂ト)}\ ー'  ィ7 ///ヽ{ ∧
           // {   i|  V}\`T7´ / /ノ   ∨ \
         // ,小、  .し'ノ人 N∧_/l/l      }_  \
        / /  ∧ \   <三≧「≦ニ>/    /< `ヽ \
       /  /  / ∧  \  | ヲイ`ト、ー〈/  / / ̄`ヽ \ \
     /    /   l i ∧   \_アイ| | \〉  /  ./i\   ∨ミハ  \
    /     /    .l i | i   <__jノ| ,ハ_/  /   / i|}} 〉ー-lヽ:∧   \
.   /    /|    l i | l      ト、  o / ./   / . i|ノ/   .| |:::::|      ヽ
  /    / .|    l ∧! !     .! \ / /  /   l|/     lイ::::::ト、     ',
  /     /  !     |/ | |     .|  | 〈 /   ∧  i|     //::::::::|:::\    i
. /    /  |    |.  | 〈      | ∧ }/   イ ハ /!   /j:::::::::::::!::::::::〉     l
/    /   .|    |. ∧∧  \| /::::∨  / iイ:::∨ | /l/::::::::::::::|:::::〈    /
    /    |    | { ∨|\  V::::::/  / l::| /`7´:::/|:::::::::::::::::|:::::::> /
     i    |    人.   |  ヽ .|:::::/   /  l::(:ハ::::/::/::|:::::::::::::::::|::/          _
     |    .ハ、     \  |     ト/  /  /:::::::::::∨::/:::z====T           l´ `ヽ
    し     \.      |     |/    /:::::::::::∨:::::irー' : : : : : : | __      / __`ヽ L _
                    |     |    /ー⌒ー< ̄i| : : : : : : : /´: : : : : `: :ー― '´: : `ヽ、_`ヽ`}
                    |     |    / : : : : /    .i| : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : :_ノ爻)つノ
                    |     人.  人 : : : /    八: : : : : : : : : :_: -―   ´ ̄ ̄   ̄ ̄´
                 `ヽ>≪\ア  `ー´      ` ー- -‐ ´
                 _人_}・ノ  ` ーァ
                 ` ーヘ __  〕
                        ̄



552やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:24:18 ID:SfbDfxf9
=翌日・広徳寺にて=

         / ̄ ̄\
       /    ー ー\
       |   ( -)(-)
       | u   (__人__)    …沢庵殿、申し訳ない。
         |     ` ⌒´ノ   できる限りのことはしたのじゃが、
         |         }    このようなことになってしまい、無念じゃ。
         ヽ        }
    /  ⌒ヽ    '´(      …すまぬ。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |     気にするな、宗矩。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |    こんなもの大したことではない。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|    俺は、俺の思うようにやれて満足してるのだ。
 /   /  |::::::| │`---´:;/ | |ヽ   
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



554やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:25:50 ID:SfbDfxf9
                                 Y  
                ,. '"´三二二三`ヽ      _ノ  
              /,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ     〈    .そ ....配
              /   /    夢     ', ヽ    ノ    ん ....流
            /   /::(         ノ:::)  ヽ   く   ..な   .先
              /   /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``',   ヽ ノノ    .山  は
          /    ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ',   ヽ )   .な   .上
            /    /     ,,   ,,      ',    〈{    .ど   .山
         /   /::、  /   .;;;;;;'  ヽ   /::ト、   〃.   .調  と
         ./   //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V //   ..伏  か
        /   // 1:::::;  V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV  ;:::::ト、V /    .し .....言
      /   // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ  ;_ ___ノ      .て   .う
       /   // /  l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   ;::: ̄\      く .....と
     /   // /   1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|  ;::! i i 弋   ....れ  こ
.     /   // /   / l:::;.   |WWWWWW!  /1 | | _ノ     る   .ろ
    /   // /   / .|ヾ、  L二二二ニノ / | | |  ヽ   ...わ  ら
.   /   // /   /   |(__ノ\ /xxxxxヽ/   /! ! !  ム  .....|  し
.      // /   /  ノ  ',  l}}}}}}}}}}}}}  /| | | |   __,)  ...!!!   い
     // /   /  ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/  l | | |  `ヽ.       が
.   // /   /   l  >.-、/   ヽ  ヽ  | | ! !   ノ  ...
   // /   /    |/ /       \)  l/ | |  く.   ...
  .// /   /    V   〉   '"´  ``ヽ).     | !   ゝ  ...
      /    /  〈    '"´   ``ヽ)    l/   .ノ  ...

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( -)(-)    わかった。
. | u   (__人__)   わかったから少し黙れ。な?
  |     ` ⌒´ノ  
.  |         }   (とりあえず、気落ちしてないようで何よりだよ…)
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    ビシッ
   /    く__,-ュ__   て
   |    ___ 三)  (
    |    |       ̄   ´



559やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:28:21 ID:SfbDfxf9
       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |    まあ、こんなものは武家の国替えと大して変わらん。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |   場所が何処であれ、気にもならぬわ。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ    …それより宗矩よ。
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\  お前に一つ、尋ねたいことがある。
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉


     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●    なんですかな?
   |      (__人__)
.   |        ノ
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /



560やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:29:42 ID:SfbDfxf9
       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |    お前が最初に来た時、
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |   俺に言っていた「見返り」とはなんだ?
/ /イ   /  |::::::| / _┗'  ,イ 、|
 /   /  |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ    もし、俺に今やれることならば、
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\  すぐにでもくれてやるぞ。
  /  / / ! \| | |::::::::::|! /!  ! |
 , /  / / |┐ \ `━彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉


   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●) |
. |  (__人__)  |   ………。
  |   ` ⌒´  ノ
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    
   /    く  
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)、



564やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:31:27 ID:SfbDfxf9
     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●    …和尚。
   |      (__人__)   わしが上様の剣の御指南役をやっているのは
.   |        ノ   知っておるな。
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |     そりゃ知っておる。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |    今の世で「天下一の剣士」と言えば、
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|    即ち、将軍家剣術指南役たるお前のことだからな。
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



565やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:33:56 ID:SfbDfxf9
          / ̄ ̄\
        / -  - \         …その「天下一」なる言葉については
        |  (-)(-) |        色々言いたいこともあるが、まあ、それはいい。
        |  (__人__)  |    
         |   ` ⌒´  ノ        わしが和尚に頼みたかった「見返り」とはな、
   r"ヽ   |         }     
  (   =‐' ヽ        }          「禅を以って剣を論じて欲しい」
   ゝ-'    ヽ     ノ     _
        _/     l__   / /   ということなのじゃよ。
   __ゝ_/         ヽノ   ノ
   \___ノ'          ノ

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |     ……ほう。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



566やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:36:28 ID:SfbDfxf9
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \
 |  (●)(●) |      そもそも、一対一の立ち合いでの腕前など、
. |  (__人__)  |     大将たる上様には不要のものじゃ。
  |   ` ⌒´  ノ      故に、わしは上様に「大将の剣」として「護身の剣」をご教授した。
.  |         }      大御所様の時と同じくの。
.  ヽ        }
   ヽ     ノ      
   /    く       
   |     \
    |    |ヽ、二⌒) 


     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)       じゃがの、最早それでは、
.   |     (__人__)     真の「大将の剣」とは言えぬのじゃよ…。
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



568やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:38:00 ID:SfbDfxf9
   / ̄ ̄\
  / _ノ  ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) |     …わしはずっと考えておった。
. |  (__人__)  │
  |   `⌒ ´   |     この先、太平の世が続くならば、
.  |           |    稽古以外で…即ち実戦で上様自ら剣を抜くことなど
.  ヽ       /    果たしてありえるのか、と。
   ヽ      /
   >     <
   |      |


       / ̄ ̄\
     / \.i||i/ \      だとすれば、
     |  (●)(●) |    わしが上様にお教えしておる剣とは一体なんじゃ?
    . |  (__人__)  |    無用の長物か?
      |    |::::::|   |
      |    l;;;;;;l   }      …いや、わしが父上より受け継いだ
      ヽ   `ー'   }     我が柳生の剣が、無用などということが
       ヽ     ノ     あってはならぬ!
      /      く l!| !
     /       \ |i
   /       ヽ !l ヽi
   (   丶- 、    しE |そ  ドンッ!!
    `ー、_ノ    ∑ l、E ノ <
             レY^V^ヽl



573やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:41:40 ID:SfbDfxf9
   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \/`i       そこで、かつて参禅しておった頃の己を思い返し、
 |  (●)(●)./  リ      ふと、気づいたのじゃ。
. |  (__人__)..|  /
  |   ` ⌒´ リ  ヒ        禅を以って剣の鍛錬と為すならば、
.  ヽ     //  ,`弋ヽ    その逆…剣を以って禅の鍛錬と為し、
   ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l   以って、将軍家に最も必要となる「心」を鍛える剣こそが、
   /〈  `ー〈::....ノ   V   「真の大将の剣」なのではないか…と!
   | ヽ_ー 、 `ヾ_/ // 
    |    フ-、`ー┴‐-〃
         `ー‐一′

       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\  て
    / / / /    夢  | ヽ そ
   /    / イ^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ○ゝ イ○ノ| |
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |     剣と…禅だと?
/ /イ   /  |::::::| / _┗'  ,イ 、|
 /   /  |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
  /  / / ! \| | |::::::::::|! /!  ! |
 , /  / / |┐ \ `━彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



574やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:43:25 ID:SfbDfxf9
     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ー)(ー)    …じゃが、わしの知識では、
.   |     (__人__)   如何にしてば剣を以って禅に通じるか、語る術が無い…。
    |     ` ⌒´ノ   わし自身、あくまで参禅の末に自得したものじゃからな。
   .l^l^ln      }  
.   ヽ   L     }
    ゝ  ノ   ノ
   /  /    \
  /  /       \
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ



576やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:44:15 ID:SfbDfxf9
         / ̄ ̄\
       / ヽ、. _ノ \
       |  (●)(●) |     …そこで、沢庵殿。
       |  (__人__) |    お主に頼みたかったのじゃ。
          |   ` ⌒´  |
        |        }      わしが目指す、「真の大将の剣」の要である
        ヽ       }      剣と禅を繋ぐ為の論をな…。
        人_____ノ"⌒ヽ
      /           \
     /            へ  \
     (  ヽγ⌒)     |  \   \
  ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、_ゝ  イ_ノ| |   
//イ    / /::::、  '´  `  '|| |   ………。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



578やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:46:06 ID:SfbDfxf9
                 _..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
                   /             `'‐、
                /                    `'、
             /                       ゙l,
               /                        !
            |       . ___、               |
              l    ., ‐'"゛    '''''''、            |
           l   . /           l           |
              ,'   /      . 、    !        !
          /   / 、    l.夢´!   .,!       |
            /   ./ l     .f゙'‐.,i',   ,!       |
         /   .l ゙l \           !           l゙    …いいだろう。
        ./     !.ゞ \ .ヽ        l゙        !   ちょうど時間もできたことだ。
       ./      |   .`ッ',     .,r‐/         !
      ./       .!      ゛   ./;:;:;l            |     やってやろう。
    ./  .r    .!         ゙‐''''}            l
   .-'´   . l     l、 .、   i ..,,、   |          l    くっくっく、剣と禅か。
       /     .!',  .!、  `―"   !         、   !   身近に、こんな事を考える奴がいたとはな。
       !      }.l  l-二― ......,,.. |       |   .| 
       .|      .l  l  .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,!       !    |
       .l     │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./   !       |
       !     !.〈,,,  ゙'-..____,,..-'"l゙      /
          !    /.、  `''-,,.      ,..l゙      ./
        ',   .,'  `'、   `''" ̄ ̄ .,!      /
        !  .i',    ゙'y.     .._.. !     /
        |  ./ ヽ    ゙',゙'---ッ'"  !     /
        | /  ..l.   ..l, /    .l    ./
        l ,i',    l    .li′   .!    ./
        // \  .!    !    l   ./
       〃   ヽ. !   !    :!  . /
       l′    ヽ|   .l    | ./ 
       .゛          !     ! /  
                      l′



583やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:47:51 ID:SfbDfxf9
         / ̄ ̄\
       /    \ /\ て
       |    ( ●)(●) そ
       |     (__人__)
         |      |r┬|ノ    …やってくれるのか、沢庵殿!?
         |      .| | |}
         ヽ     `ニ/
    /  ⌒ヽ    '´(
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |     ああ、ちょうど暇になるわけだからな。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |    暇つぶしにちょうどいい話だ。
/ /イ   /  |::::::| / _┗'  ,イ 、|
 /   /  |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ     こんなことで礼になるなら、
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\   いくらでもやってやるわ!
  /  / / ! \| | |::::::::::|! /!  ! |
 , /  / / |┐ \ `━彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



584やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:49:37 ID:SfbDfxf9
   / ̄ ̄\
 /  _ノ   \
 |   ( ⌒)(⌒)l
. |    (__人__) |   …ありがたい!
  |    ` ⌒´ | 
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ
   /    く
   /     ヽ


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |    ふん、そんなに喜ぶほどのものでもないわ!
//イ    / /::::/// '´  ` ̄'|| |   あくまで暇つぶしだ!
/ /イ   /  |::::::| / _┗' ///イ 、|  .暇つぶしなんだからな!
 /   /  |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉


 こうして沢庵は、宗矩の頼みにより、
禅と剣(兵法)についての論を工夫する事になるのである。

 ─後の「不動智神妙録」であった。



591やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:51:56 ID:SfbDfxf9
そして、沢庵が配流先に向かう江戸出立の日…。

                 .rニYニヽ      
   |レ               /    j |      
   !!_           イ     } |      
   ゙- '´ ,、       /j      j      
      -''´   ,r'´ ̄`゙}     j l|rニ二ト、 
           〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈 
     __ii__    |   |  ルリ-ト、|州リ  |  .| 
     イi    j  |           |  |,
      `  , イ  |     |      |  |
        ノ  }        |         |
      /           |          |
    //  /                  |
.  //  /                   ',|
/ /    l                     |  
 / i   /                     ヽ
ん-ト、               |          |'
   ヽ/    /    |    |           l
    ヽ   /     |    |      レ-、  /
     `-- ´--、__  |___|__ _|  `丶{
             ̄|  ', / ̄| /  ij
             ',   〉{   |./   l|
              ',__,r' }  .|k   j
               ',   |   |`丶、r'
               ',  |  |   j

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)    …沢庵殿、体をいたわるようにな。
. |     (__人__)    この流罪も解けるように働きかけは続けるからの。
  |     ` ⌒´ノ   それまで、どうか耐えてくれ。
.  |         }
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    
   /    く  
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)



592やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:54:01 ID:SfbDfxf9
                 _..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
                   /             `'‐、
                /                    `'、
             /                       ゙l,
               /                        !
            |       . ___、               |
              l    ., ‐'"゛    '''''''、            |
           l   . /           l           |
              ,'   /      . 、    !        !
          /   / 、    l.夢´!   .,!       |
            /   ./ l     .f゙'‐.,i',   ,!       |    フン、俺を誰だと思っている。
         /   .l ゙l \           !           l゙    俺は沢庵だぞ!
        ./     !.ゞ \ .ヽ        l゙        !
       ./      |   .`ッ',     .,r‐/         !     貴様こそ来年には六十の爺ではないか。
      ./       .!      ゛   ./;:;:;l            |    せいぜい胃潰瘍が再発せぬよう、
    ./  .r    .!         ゙‐''''}            l    .養生するがよいわ!
   .-'´   . l     l、 .、   i ..,,、   |          l
       /     .!',  .!、  `―"   !         、   !
       !      }.l  l-二― ......,,.. |       |   .|
       .|      .l  l  .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,!       !    |
       .l     │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./   !       |
       !     !.〈,,,  ゙'-..____,,..-'"l゙      /
          !    /.、  `''-,,.      ,..l゙      ./
        ',   .,'  `'、   `''" ̄ ̄ .,!      /
        !  .i',    ゙'y.     .._.. !     /
        |  ./ ヽ    ゙',゙'---ッ'"  !     /
        | /  ..l.   ..l, /    .l    ./
        l ,i',    l    .li′   .!    ./
        // \  .!    !    l   ./
       〃   ヽ. !   !    :!  . /
       l′    ヽ|   .l    | ./
       .゛          !     ! /
                      l′



595やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:56:22 ID:SfbDfxf9
         / ̄ ̄\
       /   _ノ  \
       |    ( ⌒)(⌒)   …和尚とて、わしと2つしか変わらぬではないか。
          |     (__人__)   まあ、お互い、息の絶える前に会いたいものじゃな。
        |      ` ⌒´ノ
          ,|         }
       / ヽ       }
     く  く ヽ     ノ
       \ `'     く
        ヽ、      |
            |       |


       _,.-'"´ 三ミ、ー-、
      / / ィ /⌒`⌒ヽ\
    / / / /    夢  | ヽ
   /    / イ´^ー、   ,.. 、)、 ',
 , '   / / //ヽ、 ゚ゝ  イ ゚ノ| |      …まったくだ。
//イ    / /::::、  '´  ` ̄'|| |     
/ /イ   /  |::::::| / _┗'   イ 、|     さて、そろそろ出発のようだな…。
 /   /  |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ   
/ / ,イ ,'  | ハ:::::| /     ;|/ | |\
  /  / / ! \| |      ./!  ! |
 , /  / / |┐ \ `─彡' |   !ヾー-、
 / /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ!     `ヽ、
 , ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、      ヽ
  / 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ'   ヽ   _,. ' 〉



596やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:58:49 ID:SfbDfxf9
               _.. -ー'''''''―-..,,,
             /゛         `゙''ー ..,,,,,,__、    \ \、_ハノ
           ,i'゙,,....,,,、                ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
        i./    `''、                  `'';;;;;;i、 /
       ,!l 夢>   i'i|.゙l ,               `'- ヽ,)   では、さらばだ!
       l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、                ) )   .
          !l,,_  l / '´   ...}               /`ヽ    また俺が降臨する時を
        .',_/       / !                /..l_)  待つがいいー!!
           l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ              /   .l,)  
            l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\  _,,,,.............../ !    /-、 
            リ',、  .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ /   .,.‐',   l    .,ソ/ヘ '"
             '!|.l.  / .゛', ;;l" /   ., /  l,  .',  //  //7/ヘ /l ト、 |\
             _,.l,', ;;,'-'./ ゙./  _,,,/  !  ..l  ,ゞ゛   ___,/ _____V__ | l ヽ|
      ,./ '"   ゙''" / , ''"'''"| / .l   l   .l./
     i'"    ./ ./ /   ., '~',  .l   ! / ;',
   _..-'"゙゙フ'./ / ,/   ./',  .',  .l /;:;:;:;:;:|
 /゛  イ゛,/./ ,/   ,,-',  .l  .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;|      .、  ,
   , ',゛i!〃゛ /   ., ''.l  ',  .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、   ゙',ゝ、,.l,
 ,..┴-iフ" ./   ._‐{  . !  ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|   `''' !./ -',、`′
   / /   .// l  ', .,ゞ゛  !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !     . ゙'- `'
 / . /   .,,/゙l゙ .!  .l ._ソ"    .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
   /   ., ''l'7 !  ヽ,,,,','"|      ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
 ./  .,-{..,i,' |  ′    .l_      !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ      .',,'',、     .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、.      _,,,',. ゙リ..,,,_   !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
 ', l  l..,ノ'´ `'-、 .,,...../   ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
 .l .!/      `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
 .,','----.... ......,,,,,_、  `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
 ------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
 ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛    `''ー ..,,,_;:;: /
             `゙'''‐    ~

 こうして、「紫衣事件」はひとまずの決着となり、
他の長老達と同じく、沢庵は配流先・出羽上山へ流されることとなった。

 寛永六年(1629)七月二十九日(または二十七日)、
沢庵57歳、宗矩59歳のことであった…。



597やる夫で学ぶ柳生一族(その25)09/07/27 00:59:18 ID:SfbDfxf9
  \ヽ, ,、
   `''|/ノ
    .|
_   |
\`ヽ、|
 \, V"
   `L,,_
    |ヽ、) ,、
   /  ヽYノ
  / r''ヽ、.|
  | `ー-ヽ|ヮ
  |    `|
  |.     |
  ヽ、   |
   / ̄ ̄\
 /  _ノ ヽ_ \
 |  (≡)(≡) l
. |   (__人__) .|
  |   ` ⌒´  |
.  |        }
.  ヽ       }
   ヽ     ノ

┼ヽ  -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ  __ノ

【やる夫で学ぶ柳生一族(その25):「紫衣事件の巻」】 完



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[ 2018/03/07 10:00 ] やる夫で学ぶ柳生一族 | TB(-) | CM(0)
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