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やる夫まとめ劇場(仮)

自分が面白いと感じたやる夫系スレをまとめるサイトです。長編を多めにまとめていきたいと考えていますので、時間がある人はどうぞ。
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やる夫で学ぶ柳生一族 外伝その3・後編3「活人剣・治国平天下の剣、その礎1(「剣」新陰流-伊勢守と石舟斎)」

193やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:06:27.27 ID:oOt0KuI0
やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)

 このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレの外伝であり、
柳生一族と関連のある物事についてあれこれ紹介するスレです。

【今回のメイン柳生:なし】

                     /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
                    /           \
                       /:::::             \    うう……
 _______ +      /:::::::::                 ヽ
 |i:¨ ̄ ,、    ̄¨.: i       |:::::::::::                    |
 |i: /ヘ:\     :i|     _ |::.:. : :     ,,ノ:..:ヾ、       |
 .|i:〈`_、/´_`>.、  :i| ,.r:;'三ヽ:: :: . ー'"´   ,,、  ー‐‐,,     /`、
  |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:":::::::::::\;;。(ー一)   (ー一)。;:;:. /::::: ヽ
  |i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──~ 、(___人___,)"⌒;;::/::|:::::〆::\
  |i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::..    " ニニヽ、⌒ij~";_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~   ̄       ̄

194やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:08:31.00 ID:oOt0KuI0
   / ̄ ̄\
  / _ノ  ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) |
. |  (__人__)  │   どうした、やる夫。
  |    `⌒´   |   なに飲んだくれてんだ?
.  |           |
.  ヽ       /
   ヽ      /
   >     <
   |      |
    |      |


         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\     飲まなきゃやってらんねーお!
     /    。<一>:::::<ー>。  今回で外伝が終わりだから、
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j   これでまた当面出番無しだお!
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.

196やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:09:58.01 ID:oOt0KuI0

         / ̄ ̄\
       /   _ノ  \
       |    ( ⌒)(⌒)   …あー、そのことか。
          | u   (__人__)  実はそのことで一つ話があってな…。
        |       `⌒´ノ
          ,|         }
       / ヽ       }
     く  く ヽ     ノ
       \ `'     く
        ヽ、      |
            |       |

           ____
         /:::     \:
       /::::::::::     \      何の話だお…?
      /::::::::::         \:   やる夫のガラス細工のような繊細な心(グラスハート)は、
     |:::::::::::::::         |    もうひび割れ過ぎて、触れるだけで砕けそうな勢いなんだお…。
    /⌒:::::::::      ⌒ヽ/
  ;/::::::::::::            \;
  ;/::::::::::::::          \ ヽ;

197やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:11:21.29 ID:oOt0KuI0

       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \      (本当に繊細な奴なら、
    (⊃   ( ⌒)(⌒)       グラスハートとか恥ずかしい事自分で言わねえだろ、
     |  u  (__人__)       常識的に考えて…)
     |      `⌒´ノ     
       |         } \       実はざっくり書いてみたら、
     /ヽ       }  \    今回で収まりきらなくてな…。
   /   ヽ、____ノ     )  
  /        .   | _/    まだ続くんだ、この外伝。
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (
   \  /   /⊂_)

       ____
     /⌒三 ⌒\      
   /( ○)三(○)\      …これだけ続いてるのに、
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\   まだ終わらないのかお…。
  |     |r┬-|     |   
  \      `ー'´     /   


198やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:13:00.81 ID:oOt0KuI0

               そういうわけで、
     / ̄ ̄\    今回で全部終わらせるつもりだったが、
   / ._ノ  ヽ、\   まだもう少しかかりそうなんだ。
   |  (-)(-) |
   |  (__人__)  |   なかなか本編に戻れず、
.   |.   `⌒´  }   長々とお付き合いさせて申し訳ない。
    |         }
    ヽ      /       / ̄ ̄ ̄\
    __ヽ    ノ__      / ._ノ  ヽ、 \    
  /         .ヽ   /  (-)  (-)  \    「もうちょっとだけ続くんじゃ」って
  ||        || . |    (__人__)    |   .不吉にもほどがあるお…。
  ||        ||   \.    `⌒´    /   
  ||        ||  /            \

199やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:14:05.54 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \       まあ、こうなった以上は、
 |    ( ー)(ー)     少しでも話を進めるしかねーよ。
. | u   (__人__)
  |      `⌒´ノ      そういうわけで、
.  |       nl^l^l    今回は「活人剣・治国平天下の剣」の”礎”…
.  ヽ      |   ノ    即ち、この宗矩の思想に影響を与えたものについて紹介するぜ。
   ヽ    ヽ く
   /     ヽ \


     ____
   /      \ ( ;;;;(
  /  _ノ  ヽ__\) ;;;;)
/    (─)  (─ /;;/    …まあ、やる夫としては、
|       (__人__) l;;,´|    出番があると思えば、まだマシではあるお。
./      ∩ ノ)━・'/    それじゃ、早速話を進めてくれお。
(  \ / _ノ´.|  |
.\  "  /__|  |
  \ /___ /

200やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:15:19.54 ID:oOt0KuI0

 うむ、それでは始めるが、
まず、”「活人剣・治国平天下の剣」に影響を与えたもの”を大別するとこうなる。

    / ̄ ̄\ 
   /   _ノ  \.      【「活人剣・治国平天下の剣」に影響を与えた要素】
   |    ( ●)(●)
.   |  ::::::⌒(__人__)      .”剣”…石舟斎の「新陰流」
   |      `⌒´ノ       .”禅”…沢庵の「不動智神妙録」
.   |         }.    。  ”政”…幕府(家康)の「武家諸法度」
.   ヽ        }    /
    ヽ     ノ   ./ 
     / lヽ介/lヽ、 ,rE)    ※ その他、能や古典などの影響もあり。
.     | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
    | |  ゚|  |\/____E[]ヨ___________
  _ | |  ゚|  |__
  |\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
  |\\  ⌒  ⌒ 甘 \
  |  \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

         ____
       /      \
      / ─    ─ \   結構色々あるもんだお。
    /   (●)  (●)  \   
    |      (__人__)     |
     \    ` ⌒´    ,/
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

201やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:17:56.56 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\
      / -  - \     まあな。
      |  (●)(●) |    実際、今までの剣術とはかなり異質な思想である
      |  (__人__)  |    「活人剣・治国平天下の剣」を作り上げるために、
       |    `⌒´  │    その材料も多岐に及ばざるを得なかった、ということさ。
       |         .|    
       ヽ        /      それじゃあ順番に
        ヽ     ノ      それぞれについて話をしていこう。
      _/     l__       どれからがいい?
 __ゝ_/         ヽ   .
 \___ノ'        ヽ⌒)

                                    ∩_
                                    〈〈〈 ヽ
                            ____   〈⊃  }
 そりゃ勿論、”剣”…「新陰流」だお!    /⌒  ⌒\   |   |   
ここから話をしないと始まらねーお!   /(●)  (● )\  !   !  
                        / :::::⌒(__人__)⌒:::::\|   l
                        |     |r┬-|       |  /
                        \     ` ー'´     //
                        / __        /
                        (___)      /

         / ̄ ̄\
        /   _ノ  \
        |    (⌒ )(⌒)    まあ、妥当なところだな。
        |     (__人__)   当たり前だが、こいつが一番
          |.      `⌒´ノ   影響がでかいわけだからな。
        |         }
        ヽ     ヘミ|     では、まず「新陰流」という流派が、
        /,` 、` -`,--` ,  どういう流派なのか、というところから話をしようか。
  __,---/;;;;;`  `-,-/ニニ |
 /;;;;;::::、:::::::::|、_ ,>、 /::l,_l・ ,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::<:::::::ヽ``l::::|  |`l,::::ヽ

203やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:21:04.21 ID:oOt0KuI0
           /⌒ソ/⌒ヽ、
        . /  //    ..\      ._,
        /  //      .`ヽ,.._,ィ''´  `'ー- 、      /i
        /  //                  \,.   _..ノ .|
    .   /  //                     ⌒´   .|   『且又、懸待表裡は一隅を守らず、
      /  //                          |   敵に随って転変して一重の手段を施す事
      /  //                           |   恰も風を見て帆を使い、兎を見て鷹を放つが如し、
    . /  //         新影流目録            |   懸をもって懸と為し、待をもって待となすは常の事也。
    /  //  .                          |    懸は懸に非ず、待は待に非ず。
    /  //                             .|    懸は意待に在り、待は意懸に在り。
   ./  //                            . |   . 牡丹花下の睡猫児、学ぶ者此句を透得して識る可し』
  /  //                               |
 ッ芝ヾシ⌒ヽ、                           |
 .ヾニジ    \      ._,.イ⌒ヽ               |
          `ヽ,.._,ィ''´      `'ー- 、        .  |
                         .\,.   _., 、  . .リ
                            ⌒´   \._,ノ

            / ̄ ̄\
       rヽ  / ノ  \ \     こいつは、永禄九年(1566)五月、
       i !  |  (●)(●) |    .新陰流の開祖、上泉伊勢守秀綱(武蔵守信綱)が
    r;r‐r/ |   |  (__人__)  |    石舟斎…当時は宗厳に与えた「新影流目録(影目録)」に書かれた一文だ。
   〈_L (`ヽ .}  |.   `⌒´  ノ 
   l` ( ``/ .  |        }     この部分が、「新陰流」という流派の特徴を
   ヽ   l  .  ヽ       }     端的に現していると言える。
    |,.   l   /⌒   ー‐  ィ ヽ  

      ___    ━┓
    / ―\   ┏┛
  /ノ  (●)\  ・
. | (●)   ⌒)\    …あれ?
. |   (__ノ ̄  |   目録の題名が「新影流」になっているのはなんでだお?
  \        /   「新陰流」じゃないのかお?
    \     _ノ
    /´     `\
     |       |
     |       |

204やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:24:08.24 ID:oOt0KuI0

     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \      あー、こいつはなぁ…。
   |    ( -)(●)    伊勢守は伝書を書く際、「新陰流」と「新影流」、
   |      (__人__)    この2つの表記の両方を使っていて、
.   |        ノ     ここでは、「陰」と書いたところを、
    |      ∩ ノ ⊃    「影」に書き直したりしているんだ。
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │     この「陰」と「影」の解釈に絡んで
  \  “ /___|  |    これまた色々あったりするんだが…。
.    \/ ___ /


         ____
         / _ノ ヽ_\          …まあ、要するに、
.     / (ー)  (ー)\        「話すと長くなる」ってことだお。
    l^l^ln  ⌒(__人__)⌒ \
    ヽ   L   |r┬-|    |       とりあえず、>>1の打ち間違いとか
     ゝ  ノ  `ー‐'    /       そういうのじゃない、ということだけわかれば、
   /   /         \      ここはそれでいいお。
  /   /            \     .これ以上話が長くなるのは勘弁だお。
. /    /         -一'''''''ー-、.  さっさと本題の話を進めてくれお。
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

205やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:26:41.90 ID:oOt0KuI0

      / ̄ ̄\ ( ;;;;(
    / ._ノ  ヽ、\) ;;;;)      まあ、確かにこれは宗矩の思想とは
    |  (●)(●)/;;/      関係のない話だからな…また別の機会にするか。
    |  (__人__)l;;,´|
    | ./´ニト━・' .l        さて、それじゃ話を元に戻して、
    | .l _ニソ    }        「新陰流」という流派の特徴についてなんだが、
     /ヽ、_ノ    /
    __/  /    ノ__         『懸待表裡は一隅を守らず、
  / /  /       `ヽ.       .敵に随って転変して一重の手段を施す』
  /´  ./       ,.  ヽ.    
  ト、_,/.       |、  ヽ     この一文にほぼ全てが集約されていると
   |         |/  /    言っていい。


         ___
      /)/ノ ' ヽ、\
     / .イ '(●)  .(●)\   これは…どういう意味なんだお?
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \
  .  | ≧シ'    ´⌒`     |
  . \ ヽ           /

206やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:28:32.19 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \   平たく言えば、
 |  (●)(●) |
. |  (__人__)  |   『ひとつのことに固まるな(こだわるな)。
  |    `⌒´  ノ    その時々の敵の動きに合わせて自在に対応せよ』
.  |         }
.  ヽ        }   ということだな。
   ヽ     ノ    
   /    く  \  
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、

     ____
   /      \
  /   _ノ ヽ、_.\     それじゃ「兵法家伝書」で
/    (●)  (●) \   説明していたままじゃないかお。
|       (__人__)    |
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

207やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:30:14.94 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\      だから「一番影響がでかい」って言ってんだろ。
 /   _ノ  \   .それだけ宗矩の思想は、
 |    ( ●)(●)  新陰流の基本に忠実だってことだよ。
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }  ミ        ピコッ
.  ヽ        } ミ  /\  ,☆____
   ヽ     ノ    \  \ /     \
   /    く  \.  /\/ ─    ─ \     それもそうだお。
   |     `ー一⌒)  /   (●)  (●)  \  じゃあ続けてくれお。
    |    i´ ̄ ̄ ̄ \ |      (__人__)     |
               \_   ` ⌒´    /
                /          \

208やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:32:23.21 ID:oOt0KuI0

          / ̄ ̄\           そうだな。
        /  _ノ   \         新陰流の基本となる部分については、
     |  ( ●)( ●)        先の一文に集約されるわけだが、
        |      (__人__)        この他、ポイントとしては、
       |     `⌒´l
      |         }.           「殺人刀」
      ヽ        }           「活人剣」
       ゝ     丿
  ____( ̄ ̄    / ̄ ̄/´ ̄/_   があるな。
i⌒ゝ、  ヽ ヽ.   /    /  ⊂)  i⌒ゝ、
i;;;;;;;;;;|__ L人   ̄ ̄`´ ̄ ノ__i;;;;;;;;;;|


           _____
         / '⌒ヽ  ; '⌒゙\       ||  ||
        /               \      ||  ||
      / /´  `ヽ   /´  `ヽ \     o   o
     /  (   ● l    l ●   )  \
   /    ヽ_   _ノ   ヽ_  _ノ  ; \    それって
   |  ;  ''"⌒'(    i    )'⌒"' ∪  |   「活人剣・治国平天下の剣」の前提じゃないかお!
   |  ∪      `┬─'^ー┬'′      |   伊勢守の時点でもうあったのかお!?
    \          |/⌒i⌒、|         /
     \       !、__,!      /
     /       、____,,      \
    /                        ヽ
     |  、                 ,   |

209やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:35:45.54 ID:oOt0KuI0

          / ̄ ̄\
        / ノ  \ \
        |  (●)(●) |     ああ、違う違う。
        |  (__人__)  |    伊勢守の伝書上における「殺人刀」「活人剣」は、
        |    `⌒´  .|    思想的なものじゃなくて、あくまで技法的な話だ。
      .  |        .|
      .  ヽ       /      概念・思想としてのものじゃなくて、
         ヽ      ノ     勢法…つまり技法の名として
 r、     r、/      \    「殺人刀」「活人剣」を使っているんだな。
 ヽヾ 三 |:l1         ヽ   実際、目録でも、他の勢法と同じ扱いで並んでるし。
  \>ヽ/ |` }        | |
   ヘ lノ `'ソ         | .|
    /´  /         |  |
    \. ィ           |  |
        |          |  |


      _____     
    / ―   \   
  /ノ  ( ●)   \    そんなのがあったのかお…。
. | ( ●)   ⌒)   |   じゃあ、それはどういうものなんだお?
. |   (__ノ ̄    /
. |             /
  \_    ⊂ヽ∩\
    /´     (,_ \.\
.    |  /     \_ノ

210やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:38:04.71 ID:oOt0KuI0

                       実を言えば、伊勢守本人が言う
        / ̄ ̄\         「殺人刀」「活人剣」がどういうものだったかは
      / -  - \        正確にはわからん。
      |  (●)(●) |
      |  (__人__)  |        ただ、石舟斎の口伝(※)によると、
       |    `⌒´  │ 
       |         .|        『当流(新陰流)にかまへ太刀を皆、殺人刀と云。
       ヽ        /         かまへのなき所を、いつれのも、皆々活人剣と。
        ヽ     ノ         又、かまへ太刀を不斬截断してのけ、
      _/     l__.         なき所を用に付て、其生るにより、活人剣と云』
 __ゝ_/         ヽ  
 \___ノ'        ヽ⌒)    というものらしい。


       ____         つまり、
     /⌒  ⌒\
    /( ●)  (●)\       殺人刀 : 構えがある状態からの太刀
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\     活人剣 : 構えがない状態からの太刀
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /    というところかお?


※ 正確には、その口伝を受けた兵庫助が語ったものを
 七郎兵衛(後の連也斎厳包)が書き留めたもの。
 これは「没滋味手段口伝書」に絡んでの口伝。
 (原文のカタカナはひらがなにしてます)

211やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:41:00.89 ID:oOt0KuI0

                    そうだな。
     / ̄ ̄\         十兵衛も自身の著作「月之抄」で、
   /   _ノ  \  ( ;;;;(   「活人剣」について、
   |    ( ─)(─  ) ;;;;)
   |      (__人__) /;;/   『活人剣
.   |        ノ l;;,´     これより構なくして仕掛を先にして、
    |     ∩ ノ)━・'      敵のはたらきに随、拍子あひ、この心より出るなり』
  /    / _ノ´
  (.  \ / ./   │       と書いているから、
  \  “ /___|  |       少なくとも柳生家に伝えられた新陰流における
.    \/ ___ /       「殺人刀」「活人剣」はその理解で良さそうだ。


          ____       
       / ノ  \\             いやいや、ちょっと待ってくれお。
      / (●)  (●)\           これだけじゃまだ具体的な技法の中身も、
    / ∪  (__人__)  \          何でそんな名前がついてるのかもわからんお?
    |      ` ⌒´    |  
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)    結局、どういう意味があるんだお?
    ノ  | / / /   (⌒) ./ / /
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  ::::::::::/
 |    l  |     ノ  /  )  /
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /
  ヽ __     /   /   /

212やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:43:07.79 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
  /  _ノ ヽ_\
 |     (●)(●)        命名の真意については、
. |     (__人__)       特に説明がないから、これもわからん。
  |     ` ⌒´ノ ) ;;;;)
.  |         }  .) ;;;;)     ただ、敢えて言うならば、
.  ヽ        }  /;;/    どうもここで言う「活人」「殺人」というのは、
   ヽ     ノ  .l;;,´     相手の「命」ではなく、「動き」のことを
. /    ∩ ノ)━・'      指しているようなんだな。
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/


         ___
      /)/ノ ' ヽ、\
     / .イ '(●)  .(●)\    …命ではなく、「動き」?
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /

213やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:45:23.31 ID:oOt0KuI0

       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \        ああ、つまり、
    (⊃   ( ●)(●)       「活人剣」でいう「人を活かす」というのは、
     |     (__人__)       「相手を殺さない」という意味ではなく、
     |     ` ⌒´ノ       「相手を動かす」という意味だってことさ。
       |         } \
     /ヽ       }  \      つまり、兵法家伝書でも語られていた
   /   ヽ、____ノ     )    「相手を動かして勝つ」のが「活人剣」ってことだ。
  /        .   | _/
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (
   \  /   /⊂_)


..      ____
     / ―  -\
.  . /  (●)  (●)    と、すると、「殺人刀」というのは…
  /     (__人__) \
  |       ` ⌒´   |
.  \           /
.   ノ         \
 /´            ヽ

214やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:47:24.13 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \/`i       ああ、その逆…つまり、
 |  (●)(●)./  リ      「相手を動かさない(=動きを殺す)」、
. |  (__人__)..|  /       即ち、「自ら仕掛けて先を取る剣」というのが
  |   ` ⌒´ リ  ヒ       「殺人刀」というわけだな。
.  ヽ     //  ,`弋ヽ
   ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l    だから「殺人刀」では、
   /〈  `ー〈::....ノ   V   自ら構えを取る必要がある、ということになる。
   | ヽ_ー 、 `ヾ_/ //
    |    フ-、`ー┴‐-〃
         `ー‐一′

                              _∩
                            / 〉〉〉
 物凄く大雑把に言えば、              {  ⊂〉     ____
                              |   |    /⌒  ⌒ \
殺人刀 : 自分から仕掛ける剣。先の先     |   |  /(●)  (● ) \
活人剣 : 相手の動きに合わせる剣。後の先  |   |/:::⌒(__人__.)⌒:::  \
                              ヽ   |     |,┬‐ |       |
 という感じでいいのかお?           .   \.\   `ー ´     /
                                \       __ ヽ
                                 ヽ      (____/

     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●
   |      (__人__)    まあ、イメージ的にはそんなところかな。
.   |        ノ
    |      ∩ ノ ⊃
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /

215やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:50:02.18 ID:oOt0KuI0

                              あと、細かい話になるが、
                             新陰流は比較的手首を狙う技が多い。
                             これは、
            / ̄ ̄\
          /   _ノ  \          1: 戦国当時の剣術は敵味方共、鎧着用を前提にしており、
          |    ( ●)(●)           そのため、防御の薄い関節部分を狙うのが基本となるため
          |     (__人__)
             |     ` ⌒´ノ          2: 活人剣…つまり相手に切り掛けさせた時、
              |         }            こちらの手前に来て、打ちやすい箇所になるのが手であるため
              ヽ        }
            ヽ、.,__ __ノ           という具合に、合理的な理由があるんだが、
   _, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、         結果論として相手を無力化するだけに留め、
  /;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_       命まで奪わずに済むこともある、という面もある。
 丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、     (無論、そこで止めず、とどめを刺すこともできる)
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|     そういう意味であれば、伊勢守時代の「活人剣」も
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::    「人を殺さない剣」とも言えるかもしれん。


        ____
      /      \       なるほど。
     / ─    ─ \     確かに武器を持つ手を切られたら、
   /   (●)  (●)  \    その場での戦闘能力は格段に落ちるし、
   |      (__人__)     |   無力化できそうではあるお。
    \    ` ⌒´    ,/
   /⌒ヽ   ー‐    ィヽ      …結局、出血多量で死ぬかも知れないけど。
   /      ,⊆ニ_ヽ、  |
  /    / r─--⊃、  |
  | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

217やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:53:09.04 ID:oOt0KuI0

    / ̄ ̄\           まあ、ここいらが少しややこしいのは確かだな。
  /   _ノ  \         宗矩は「殺人刀」「活人剣」に新しい意味を与えたが、
  |    ( 一)(●)       .勢法としての「殺人刀」「活人剣」もそのまま使っているから、
  |     (__人__)        .同じ言葉に意味が二つある状態なんだ。
   |     `⌒´ノ
   |   ,.<))/´二⊃       言ってみれば、
   ヽ / /  '‐、ニ⊃
   ヽ、l    ´ヽ〉         .伊勢守・石舟斎 : 「勢法(技法)」としての「殺人刀」「活人剣」
''"::l:::::::/    __人〉         宗矩         .: 「思想」としての「殺人刀」「活人剣」
:::::::::|_/ヽ.   /|||||゙!:゙、-、_
:::::::/´∨/`ー'〉゙||i l\>::::゙'ー、      というところだな。
:::y′.: ',ゝ、_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!    どちらの意味も正しいことは正しいわけだ。
/: ://: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|


     ____
   /      \ ( ;;;;(
  /  _ノ  ヽ__\) ;;;;)     …ややっこしいお。
/    (─)  (─ /;;/    同じ言葉なのに、使う文脈で
|       (__人__) l;;,´|     意味が変わるってことかお?
./      ∩ ノ)━・'/
(  \ / _ノ´.|  |
.\  "  /__|  |        「ま、そういうことだな」
  \ /___ /

219やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:55:06.22 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\                 ちなみに、
 / ノ  ヽ /\'ー、       ,, ..,、   この「殺人刀」「活人剣」という言葉は元は禅語でな、
 |  ( ●)( /  .\` 、   . // /   禅の公案集である「碧巌録」や「無門関」に載っているのを、
. |  (__人/     \ヽ、,.// ../    伊勢守が勢法の名前に使ったんだ(※)
  |    ` /       ``77   /    
.  ヽ   /          / /   /      禅語としての意味は、
   ヽ.. /      fヽ、/ / , -,./      禅の師が弟子を導く際の有様を表す言葉だそうだ(※2)
   /./     r-、 ヽ ∨,ノ /
   |. \   〈\.\,〉 `,  f         この他、「一刀両段」「斬釘截鉄」「長短一味」なんかも
    | . \  (ヽ ヽ `..   |        同じく禅語が元だな。
    |    .\ \      ノ


         ___
      /)/ノ ' ヽ、\       あれ?
     / .イ '(●)  .(●)\     剣に禅を取り入れたのは、
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \   宗矩が最初じゃなかったのかお?
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /


※1 【『碧巌録』 第一二則「洞山麻三斤」】
     『垂示に云く、殺人刀、活人劍は、乃ち上古の風規にして、亦た今時の樞要なり。
     若し殺を論ぜば、一毫も傷つけず。若し活を論ぜば、喪身失命す』

    【『無門関』 第十一則「州勘庵主」】
     『頌(じゅ)に曰く。
      眼は流星、機は掣電。
      殺人刀、活人剣』

※2 【「デジタル大辞泉」による「殺人刀活人剣」解説】
     禅宗で、師が修行者の智慧のはたらきをとどめ、
    修行の完成に向かって自由自在に導くはたらきを活殺自在の剣にたとえた言葉。

     なお、禅林句集にして辞書でもある『禅語字彙』に
    「破壞と建設、與と奪、把住と放行等、凡て物の兩面を劍に喩へていふ也」とある。

220やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 21:57:56.17 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\         そいつは「取り入れた」の意味合いにもよるが、
      / -  - \.       単に”禅と関わりがある”という程度のことを指すなら、
      |  (●)(●) |       伊勢守どころか、日本でも最古の流派のひとつ
      |  (__人__)  |       「念流」の開祖・念阿弥慈音(室町初期の人物)なんか
       |    `⌒´  │      本人が禅僧だぜ?
       |         .|  
       ヽ        /        元々、剣士に限らず、
        ヽ     ノ        「戦」という命の掛かった局面に立ち向かう際の心の修行として、
      _/     l__         武士と禅は縁が深かったんだ。
 __ゝ_/         ヽ       技の名に禅語が引用されるくらいなら、別におかしくもないだろうさ。
 \___ノ'        ヽ⌒)

     ____
   /      \
  /  ─    ─\      そうだったのかお…。
/    (●)  (●) \    宗矩が「剣禅一致」を言い出すまで、
|       (__人__)    |    まるっきり剣と禅は無縁だと思ってたお。
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

222やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:00:04.01 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\        というか、元々、日本の剣術は、
 / ノ  \ \      仏教や神道と縁が深いんだ。
 |  (●)(●) |
. |  (__人__)  |      原初の剣術ともいわれる「鹿島の太刀」からして、
  |   `⌒´  ノ      鹿島神宮の神官、国摩真人(くになずのまひと)が
.  |        }      神託を受けて編み出したと言うし、
.  ヽ       }      後代の流派の開祖たちも、一流を興すに際し、
   ヽ     ノ.      神託や霊示を受けたと称することが多い。
   /    く 
   |     \       実際、伊勢守自身も、新陰流を確立した際のひらめきを、
    |    |ヽ、二⌒)  「尊天の感応を蒙り」と伝書内で表現しているしな。


         ____
         / _ノ ヽ_\ 
.     / (●)  (●)\     じゃあ、宗矩が剣に禅を取り入れたのは、
    l^l^ln  ⌒(__人__)⌒ \   それほど新しいことではなかったのかお?
    ヽ   L   |r┬-|    |
     ゝ  ノ  `ー‐'    /
   /   /         \
  /   /            \
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

225やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:02:56.35 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\           いや、それはさっき、
 /   _ノ  \         「取り入れた」の意味合いによる、と言ったろ?
 |    ( ●)(●)
. |     (__人__)         従来の剣術では、前述のように
  |     ` ⌒´ノ        技名に禅語を用いるなど「要素の取り入れ」に過ぎなかったが、
.  |         }        宗矩の「活人剣・治国平天下の剣」は、
.  ヽ        }        .剣と禅の「一致」まで説いているんだ。
   ヽ     ノ   
   /    く__,-ュ__       剣術の意義のレベルにまで禅を取り入れ、
   |    ___ 三)     おまけに明文化までしたのは、
    |    |       ̄.     やはり宗矩が最初だっただろうさ。


          ____           なるほど…そう言われてみればそうだお。
        /_ノ  ヽ\         でも、明文化と言っても、もうちょっと簡単にしてもよかったんじゃないかお?
      / ( ●) (●)、       .例えば、伊勢守の伝書だと、
    /::::::::⌒(__人__)⌒\
    |      |r┬-|    |       『懸待表裡は一隅を守らず、
    \       `ー'´  /         敵に随って転変して一重の手段を施す』
⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒つ
  \ ヽ  /         ヽ /      で済んでいた部分が、
   \_,,ノ      |、_ノ      「兵法家伝書」だとかなり長い説明になってたし…。

226やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:05:16.09 ID:oOt0KuI0

     / ̄ ̄\           まあ、そこは家光の…将軍家のためのものだからな。
   /   _ノ  \        本来、稽古の果てに、半ば悟りに近い形で自得する「境地」を、
   |    ( ー)(ー)       他人に分かるように文章で説明しなければならないわけだから、
.   | u    (__人__)       例えを入れたり、説明を細かくしたりすることで、話は長くなる。
    |     ` ⌒´ノ
   .l^l^ln      }         実際にやって見せることもできる「技」ならまだしも、
.   ヽ   L     }        具体的に見せることの出来ない「心理的状態」を
    ゝ  ノ   ノ         「俺(家光)にもわかるように説明しろ」と言われんだ。
   /  /    \
  /  /       \        …実際、苦労しただろうな。
. /  /      |ヽ、二⌒)、
 ヽ__ノ

227やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:08:25.23 ID:oOt0KuI0
                                     ____  
 …そう言われると、ゲームだけ渡されて、     ....   /      \  
                               ...  /        .\
 「俺の講演用に、そのゲームの各要素について、 ./           .\
  ”どうしてそうしたか”を説明する資料を作れ。   |     \   ,_    |
  どこを聞かれるかわからんから、一通り全部な」 /  u  ∩ノ ⊃―)./
                               ...(  \ / _ノ |  |
 とか上司に言われてる気分だお…。         .\ “  /__|  |
(元の開発スタッフは大半退社済み)             \ /___ /


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \         いや、
 |    ( ⌒)(⌒)       その例えなら稼動中のシステム見せられて、
. |  u  (__人__)
  |      |r┬|}         「このシステム、マニュアルがないから、
  |      | | |}         今から作ってね。できたら使うからちょうだい。
.  ヽ     `ニ}          ちなみに間違ってたらお前の責任な」
   ヽ     ノ
   /    く  \        とかの方が近くね?
   |     \   \     (元の開発者は以下略)
    |    |ヽ、二⌒)、

228やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:11:27.09 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\   ………。
      /  u     \      ____
      |::::::      i|||| |   /      \
.      |:::::::::::  u.  |  /  _ノ  ヽ_ \   ………。
       |::::::::::::::    |/   (-) (-) u \
.       |::::::::::::::    } |     (__人__) ii||  |
.       ヽ::::::::::::::    } \.     `⌒´   _/
        ヽ::::::::::  ノ   |           \
        /:::::::::::: く    | |         |  |
-―――――|:::::::::::::::: \-―┴┴―――――┴┴――


231やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:13:00.33 ID:oOt0KuI0

               …まあ、なんだ、その、
              新陰流の話に戻そう。な?
        / ̄ ̄\ 
      / _ノ  ヽ_\      ____
      |::::::(⌒)(⌒) |   /      \
.      |:::::u:(__人__) |  /  _ノ  ヽ_  \    そうだお、それがいいお。
       |:::::::::::`⌒´  |/   (⌒) (⌒) u \  変に話が逸れてすいませんですお。
.       |::::::::::::::    } |      (__人__)    | 
.       ヽ::::::::::::::    } \    `⌒´    _/   ちなみに上記2つの例は、
        ヽ::::::::::  ノ   |           \   実際の人物・出来事とは無関係のフィクションですお。
        /ヽ三\´     | |          |  |
-―――――|:::::::::::::::: \-―┴┴―――――┴┴――


233やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:14:59.54 ID:oOt0KuI0

              ./ /
     / ̄ ̄\   ./ /
   / _ノ   ヽ_\ / /
   |  (⌒)(⌒) .|/ /     それじゃあ、新陰流の話に戻るが、
   | u (__人__) ./ /     術理の他に忘れてはいけないポイントとして、
   |   `⌒´ / /       この「ふくろしない」を用いたことがあるな。
   |.      / /|
   ヽ     / //
    ヽ    ./ //
   /    / / \

               ∩_
              〈〈〈 ヽ
      ____   〈⊃  }
     /⌒  ⌒\   |   |     そうだお!それがあったお!
   /( ⌒)  (⌒)\  !   !    今の竹刀の原型だお!
  / :::::⌒(__人__)⌒:u:\|   l
  |     |r┬-|       |  /
  \     ` ー'´     //
  / __        /
  (___)      /

236やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:17:47.14 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\                   伊勢守考案のこれにより、
 /   _ノ  \                 従来、木刀や真剣で行なっていた稽古において、
 |    ( ●)(●)           _   不要に命を落とさずに済むようになったわけだ。
. |     (__人__)          //
  |     ` ⌒´ノ         //     実際、伊勢守の逸話などを見ると、
.  |         }        //      伊勢守はこのしないを用いて立ち合いに臨み、
.  ヽ        }       //       無為に相手を傷つけないように心を砕いている。
   ヽ     ノ      //
   /    く      //           その有様は、今、「活人剣」と言われて
   |     \    //            想定されるイメージに近いな。
    |    |ヽ、二⌒)ゝ

                       .__
                  .//
                      //  
                 // 
         ___   //   
        /⌒  ⌒\ //     実際、こいつがなかったら、
      /( ●) (●)//    今でも木刀で打ち合ってたかもしれないわけだお。
     /:::::⌒(__人__) // ヽ    洒落になってねーお。
    .|     |r┬-|.//  |   
     \     `ー"//   ノ    
     (  i__ .i⌒L_丿
     `ヽ、    ⌒)
        ̄ ̄`"''"

237やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:19:10.70 ID:oOt0KuI0

                / ̄ ̄\       だが、同時に伊勢守は
               / \  / \     あくまで兵法の実戦性も忘れていなかったんだ。
               | (●)(●)  |     例えば尾張柳生家に伝わる口伝によると、
_              |   (__人__)  .|     
\\           │  `⌒´   .|      『兵法(=新陰流)は時代によって恒(つね)に新たなるべし。
  \\          .|         |       然らざれば、戦場戦士の当用に役立たず』
   \\         丶       /
     \\         ヽ      .ノ       という言葉があったという。
      \\.      __l     ヽ_    まあ、読んだままの意味だな。
        \\.   ,/          \
         \(⌒,´          ヽ、二⌒)


     ____
   /      \
  /  ─    ─\      結構進取的だお…。
/    (●)  (●) \    大流派の開祖なんだから、
|       (__人__)    |    自分の技法を遵守せよ、と言ってると思ったお。
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

238やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:21:36.91 ID:oOt0KuI0

                    いや、それは違う。
                   伊勢守の生きていた時代…即ち、戦国時代の真っ最中、
   / ̄ ̄\           剣術は「現役の実用術」だったんだぜ?
 / ノ  \ \/`i      
 |  (●)(●)./  リ        だからこそ、戦の現状に対応して、
. |  (__人__)..|  /       常に更新される必要があった。
  |   ` ⌒´ リ  ヒ        「役立たず」の技術はすぐ淘汰されるからな。
.  ヽ     //  ,`弋ヽ   
   ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l     その意味では、伊勢守のこの言葉は、
   /〈  `ー〈::....ノ   V    時代のリアリズムに沿った言葉だと言える。
   | ヽ_ー 、 `ヾ_/ //    しないを考案したのだって、
    |    フ-、`ー┴‐-〃     「武士が死ぬべき時は戦であり、稽古中などではない」
         `ー‐一′     という考え方があると言えるわけだからな。


       ____
     /_ノ   ヽ_\       そう言われると確かにそうだお。
   /( ●)( ●)\
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \    つい忘れがちだけど、
  |     (  (      |   伊勢守はガチの戦国武将でもあったんだお。
  \     `ー'      /   伊達に「長野十六本槍」「上野国一本槍」と呼ばれてないわけだお。

239やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:24:12.78 ID:oOt0KuI0

     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \  ( ;;;;(
   |    ( ●)(─  ) ;;;;)    その意味では、
   |      (__人__) /;;/   宗矩が「活人剣・治国平天下の剣」を提唱したのも、
.   |        ノ l;;,´     この伊勢守の言葉通り、「太平の世」という時代に合わせて、
    |     ∩ ノ)━・'     新陰流を「新た」にした、と言えるかもしれないな…。
  /    / _ノ´
  (.  \ / ./   │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /


          ____
       / ノ  \\            いやいや、いくらなんでも
      / (●)  (●)\          ここまで変わるとか想定してなかったと思うお?
    / ∪  (__人__)  \
    |      ` ⌒´    |          伊勢守が想定していた変化は
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)  兵庫助の「直立たる身」とかの方だと思うお。
    ノ  | / / /   (⌒) ./ / /   宗矩の場合は、技とか構えとか
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  ::::::::::/    そんなレベルじゃねーお。
 |    l  |     ノ  /  )  /
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /      「…そうかな?
  ヽ __     /   /   /         まあ、流石に極論だったかもしれんな」

241やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:27:30.00 ID:oOt0KuI0

      / ̄ ̄\ ( ;;;;(
    / ._ノ  ヽ、\) ;;;;)      さて、少し話が延びたが、
    |  (●)(●)/;;/      「上泉伊勢守の新陰流」はこういうものだった。
    |  (__人__)l;;,´|
    | ./´ニト━・' .l        ふくろしないによる安全性を高めた稽古法、
    | .l _ニソ    }        それに、「相手の動きを読んで、それに合わせて打つ」という
     /ヽ、_ノ    /        「技術」主体の技法は、体格や腕力まかせの剣術が多かった
    __/  /    ノ__        .当時において革新的だった。
  / /  /       `ヽ.
  /´  ./       ,.  ヽ.     だからこそ、そこに惹かれた剣士たちが
  ト、_,/.       |、  ヽ    数多く弟子入りしたんだろうな。
   |         |/  /


           *  _______
    / ̄|  +   /         ヽ   +
    | ::|    /⌒       ⌒   \
    | ::|x  / ( ●)    ( ●)   |  .人   そして、その中の一人が石舟斎…というわけだお!
  ,―    \   | ::::::⌒(__人__)⌒:::::     |  `Y´
 | ___)  ::| .!     l/ニニ|      /
 | ___)  ::|+ヽ    `ー‐'      /     十
 | ___)  ::|   .>          \
 ヽ__)_/   /                 \

242やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:30:24.32 ID:oOt0KuI0
       ., ──‐、
      /     \ 
.     .|     _ノ  ヽ          そういうわけだ。
     |     ( ●) (●)
     |       (__人__) , -―ーっ    そして、ようやくここから宗矩が修めた
      |     ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄    「石舟斎の新陰流」についての話になる。
.      ン         } ゙| ̄'|       今までは開祖である「上泉伊勢守の新陰流」の話だったからな。
    /⌒ヽ、     ノ  .|,  |
__/   ノ \_ィ ´ー‐ィ'   ∫
| |  /   /    r_____ ∬
| | /   /      |i    ┌‐┐
| | ( 〆⌒'──r─≒、.((|   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄└‐┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                                   .       ____
 やっとなのかお。                             /      \
いつもながら話が長いんだお…。               .   / ─    ─ \
でも、これでも陰流とか、他の三大源流の話をしないだけ   / -=・=-   -=・=- \
まだマシになってるとか、大概にも程があるお。        .|      (__人__)  U  |
                                      \      `⌒´     /

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)    ははは…。
. |  u  (__人__)    まあ、カンベンしてくれ。
  |      |r┬|}    それじゃ話を進めるぜ?
  |      | | |}
.  ヽ     `ニ}
   ヽ     ノ
   /    く  \
   |     \   \
    |    |ヽ、二⌒)、

243やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:32:39.83 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\              さて伊勢守から新陰流を受け継いだ石舟斎は、
      /   _ノ  \            その後、新陰流に自身の工夫を付け加えた。
      |    ( ●)(●)          .その工夫も様々なものがあるが、代表的なものを挙げると、
     . |     (__人__)
       |     ` ⌒´ノ               『無刀』
     .l^l^ln        }
     .ヽ   L       }            ということになる。
       ゝ  ノ    ノ
     /   /     \            伊勢守の時点でも無刀の概念はあったという話はあるが、
    /   /        \          有名な盗賊と子供の逸話の他、それらしいものはなさそうだから、
  . /    /        -一'''''''ー-、.     新陰流において「無刀」を確立したのは石舟斎、と見ていいだろう。
  人__ノ       (⌒_(⌒)⌒)⌒))


       ____
     /⌒  ⌒\ 
   /( ―)  (―)\     なるほど…。
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\   こうして「活人剣」が仕上がったわけなのかお。
  |             |
  \              /

244やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:36:18.27 ID:oOt0KuI0

      __     ━┓
    / ~\   ┏┛
  / ノ  (●)\ ・
. | (./)   ⌒)\      なんだそりゃ?
. |   (__ノ ̄   \   なんで「無刀」が「活人剣」に絡むんだ?
  \          |   
    \       /    …いや、お前、今、「活人剣(かつじんけん)」って言ったのか?
.      \  ⊂ヽ∩
      /´    (,_ \. 
       /       \. \
      ./   /       |. \ソ
    (  y'      .|

         ____
        /     \        え?違うのかお?
      /  u   ノ  \      だって「無刀」と言えば、自分は武器を持たないわけだお?
    /       (●)  \    その上で「無刀取り」で相手の武器を奪うに留める
    |         (__人__)|    「人を殺さない剣」だお?
     \        .` ⌒/
    ノ           \      現代の「活人剣(かつじんけん)」のイメージそのものだお?
  /´               ヽ   「活人剣(かつにんけん)」と別物なのはやる夫だってわかってるお。

245やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:38:54.94 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \ 
 |    ( ー)(ー)     …ああ、そういう理解か。
. |     (__人__)    やる夫、「兵法家伝書」の「無刀之巻」の内容を思い出せ。
  |     ` ⌒´ノ
.  |       nl^l^l    あそこで「無刀であれ」「人を傷つけるな」なんてことが
.  ヽ      |   ノ   一言でも書いてあったか?
   ヽ    ヽ く
   /     ヽ \


         ____
       /      \     …内容がうろ覚えだから
      /  -   -\   .ちょっと読み返してみるお。
    /    (●)  (●) \  ええと、『無刀とて、必しも人の刀をとらずして…』
    .|       (__人__)   |   __
     \       `⌒'/ ̄ ̄⌒/⌒  /
    (⌒\     / 兵法  /    /
    i\  \  ,(つ家伝書/   ⊂)
    .|  \   y(つ    /,__⊆)

246やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:41:01.74 ID:oOt0KuI0
        ____
     /     \
    / ._ノ    \ \       『…悉皆無刀のつもりより出る故に、是簡要の眼也』
  / u (-) (-)   \
  |      (__人__)     .|       …確かにそんなこと書いてなかったお。
  \        |\  / /|
  /     /⌒ノ  \/ ( )
  |      / / |       |


       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \
    (⊃   ( ●)(●)       そうだ。
     |     (__人__)       伊勢守の逸話のこともあって
     |     ` ⌒´ノ       誤解されている事が多いが、
       |         } \     本来「無刀」は「緊急時の対応」のためのものだ。
     /ヽ       }  \    「無刀取り」は、その際の特定の技法を指すに過ぎない。
   /   ヽ、____ノ     )
  /        .   | _/     『わが刀なき時、人にきられじとの無刀也』
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (      というわけだ。
   \  /   /⊂_)

247やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:44:31.50 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \        そもそも「無刀取り」自体、
 |    ( ●)(●)      他にどうしようもなくなった時、はじめてやることで、
. |     (__人__)      道具があるなら躊躇無く使うべきだし、
  |     ` ⌒´ノ      そもそも自ら進んでやるようなものじゃない。
.  |         }
.  ヽ        }        ましてや、相手を傷つけない、などというのは
   ヽ     ノ  mm   まったく論外だ。
   /    ̄ ̄ ̄ つノ
   |    | ̄ ̄ ̄


         ____
         / _ノ ヽ_\       …そう言われてみると、
.     / (ー)  (ー)\     さっき言ったような「活人剣(かつじんけん)」のイメージが
    l^l^ln  ⌒(__人__)⌒ \   何処から出てきたのか、
    ヽ   L   |r┬-|    |   そっちの方が逆に気になってくるお。
     ゝ  ノ  `ー‐'    /    つーか、「かつにん」「かつじん」と、ややこしいったらありゃしねーお。
   /   /         \ 
  /   /            \  講談話か剣豪小説辺りが発端なのかお?
. /    /         -一'''''''ー-、.
人__ノ        (⌒_(⌒)⌒)⌒))

249やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:46:54.50 ID:oOt0KuI0

                           さあな。
                          ともあれ、石舟斎が工夫した「無刀」は、
        / ̄ ̄\ 
      /   _ノ  \            『「常住坐臥戦場」という心掛けが生み出した護身術』
      |    ( ●)(●)
     . |     (__人__)           という見方の方が妥当だろう。
       |     ` ⌒´ノ          .自分に武器が無い時に襲われる、という極限状態で、
     .l^l^ln        }           少しでも抗い、生き残るための技であり、
     .ヽ   L       }           .そのための心掛け、というわけだ。
       ゝ  ノ    ノ            ある意味、死が日常に近かった戦国時代だからこその術とも言える。
     /   /     \ 
    /   /        \          自らは武器を持たず、相手を傷つけず制する、
  . /    /        -一'''''''ー-、.    という類のものではないな。
  人__ノ       (⌒_(⌒)⌒)⌒))  (結果的に出来ることと、それが目的であることは違う)


          ____
        /_ノ  ヽ\         そういうことなら
      / ( ●) (●)、      家康が石舟斎を呼び寄せたのも分かる気がするお。
    /::::::::⌒(__人__)⌒\
    |      |r┬-|    |      有馬新当流(有馬流)と奥山新影流(神影流)を修めたくせに、
    \       `ー'´  /     「大将に必要なのは、逃げる時に必要な馬術と水練だ」とか言ってるし、
⊂⌒ヽ 〉        <´/⌒つ   そういう家康なら、「武器が無い時、その場を切り抜ける術」が
  \ ヽ  /         ヽ /     ある事を知ったら、興味を持つに決まってるお。
   \_,,ノ      |、_ノ

250やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:49:13.24 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\
      / -  - \      そうだな。
      |  (●)(●) |     そして、この「無刀」の工夫があったからこそ、
      |  (__人__)  |     柳生は世に出ることができたわけだ。
       |    `⌒´  │
       |         .|      地方の小豪族として見た場合、
       ヽ        /     政治的には失敗し、一度は家を潰した石舟斎だが、
        ヽ     ノ      この「無刀」の工夫の一点だけで見ても、
      _/     l__      やはり柳生一族繁栄の礎を築いた人物であるのは間違いない。
 __ゝ_/         ヽ  
 \___ノ'        ヽ⌒)


      *   ____
    + 。 / \  /\ キリッ
       / (ー)  (ー)\+ 。 * 
     /   ⌒(__人__)⌒ .\       ふふふ、もっと褒めるといいお…!
  + 。|      |r┬-|    |  + 。
     \     `ー'´   /
       \ ,,,,    ,,, / + 。      「おめーのことじゃねーよ。
       /        \          大体、今は十兵衛だろお前」
     / ,、      .l> ,>
     \ リ       l <
      <_/       ト-'
       i        l
.       l        l
       l   、__.    l
       l    ∧    l
.      l    / l.   l
      l   /' ̄l   l'
      (__ノ   ゙'-、,_)

251やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:51:12.57 ID:oOt0KuI0

      / ̄ ̄\ ( ;;;;(
    / ._ノ  ヽ、\) ;;;;)    まあ、「無刀」についてはそんなもんだ。
    |  (●)(●)/;;/    この他、「棒心」「西江水」などの工夫もあるんだが、
    |  (__人__)l;;,´|     これはここでは省略する。
    | ./´ニト━・' .l
    | .l _ニソ    }       それより、もっとストレートに
     /ヽ、_ノ    /      石舟斎の思想…即ち「兵法観」を表したものがあるから、
    __/  /    ノ__      .そいつを紹介することにしよう。
  / /  /       `ヽ.
  /´  ./       ,.  ヽ.
  ト、_,/.       |、  ヽ
   |         |/  /

     ____
   /      \  ,
  /  ─    ─\ -
/    (●)  (●) \     なんだおそれ?
|       (__人__)    |
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


252やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:53:37.90 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 / ノ  ヽ /\'ー、       ,, ..,、  うむ、その名を『石舟斎兵法百首(宗厳兵法百首)』という。
 |  ( ●)( /  .\` 、   . // / こいつは石舟斎が柳生庄に引っ込んで以降、
. |  (__人/     \ヽ、,.// ../  練り上げた自身の兵法観を歌にしてまとめたものだ。
  |    ` /       ``77   /
.  ヽ   / 兵法百首   / /   /    慶長六年(1601)、竹田七郎(金春七郎)に与えたものだから、
   ヽ.. /      fヽ、/ / , -,./    概ね石舟斎の兵法観の完成形と見ていいだろう。
   /./     r-、 ヽ ∨,ノ /     この中から、代表的な歌をいくつかチョイスして紹介する。
   |. \   〈\.\,〉 `,  f
    | . \  (ヽ ヽ `..   |
    |    .\ \      ノ


         ___
      /)/ノ ' ヽ、\
     / .イ '(●)  .(●)\     兵法歌って、要するに俳句のことかお?
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \   石舟斎の句と言えば、とりあえず出るのは…
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /


254やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:56:44.72 ID:oOt0KuI0

 『兵法の かちをとりても 世のうみを わたりかねたる 石のふねかな』
 [兵法の 舵(勝ち)をとりても 世の海を 渡りかねたる 石の舟かな]

  (意訳 : 剣術でいくら勝っても、世の中どうにもならんよね) ※

      r ‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧    良い子の諸君!
   (⌒`    ⌒ヽ   /,、,,ト.-イ/,、 l
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)   剣の腕が立っても
   │ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  それで世渡りできると思ったら大間違いだ!
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |   立ち合いに勝っても世の中どうにもならないぞ!
   |  irー-、 ー ,} |    /     i    勉強になったな!!
   | /   `X´ ヽ    /   入  |

 (※以下、この「兵法百首」に於いては、兵法=剣術という解釈で話を進めます)

257やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 22:59:32.59 ID:oOt0KuI0

     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●     そう、まずこれだ。
   |      (__人__)    石舟斎の無念を示した歌、として扱われ、
.   |        ノ    また「石舟斎」という号の元となったとも言う。
    |      ∩ ノ ⊃    (実際には、石舟斎を号した後に、この歌があるわけですが)
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /

                              ..     ____
                                  /      \
  あらためて読むと、色々と解釈できる歌だお。   /_ノ   ヽ、  \
 出世できなかった無念を表す歌とも読めるし、 .../ (-)  (-)   \
 剣自体への諦念とも読めるし、          ...|    (__人__)      |
 逆に、世間への反発とも読めるし…。       \   ⊂ ヽ∩     <
                                 |  |  '、_ \ /  )
                                 |  |__\  “  /
                                 \ ___\_/

            / ̄ ̄\
          / _ノ  .ヽ、\    まあ、歌なんてそんなもんだ。
          |  (●)(●) |   実際、どの解釈の意図も含まれるだろうな。
          |  (__人__)  |
           .|    `⌒´  .ノ    似たような歌として、こんなのもある。
   r─一'´ ̄`<ヽ       }
   `ー‐ァ   ,    )     , -'~⌒ヽ、
     ノ   {.   ,ヘ    ,l. ゝ、_ .'ヽ).
   ./, 、 _   /. |    . ',  . ..  .ヽ、
  (/ / // / / ...|      ...|\..\\ \_)
     / // / /         . . \_\_)、_)
     ー' {_/ノ              ."´

258やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:02:15.73 ID:oOt0KuI0

 ・『世をわたる わざのなきゆへ 兵法を かくれがとのみ たのむ身ぞうき』
  [世を渡る わざの無き故 兵法を 隠れ家とのみ たのむ身ぞ憂き]

  (意訳:世渡りの才がないから、剣術くらいしか頼れるものがない。ああヘコむ)

  l::::::::::::::::::|_!::lヽ:::::::::ハ::::::::::::::::::::::::::::::::i、::! ノ
  !:::::::::::::::::l-‐ェ!;ト ヽ:::::l ´!:::::::::::::::::::::::::::::l ` ヽ   幺ク 亡 月 |  ┼‐ .|] |]
  l:::::::::::::::::「(;;;)ヽ、__、::レ'´l:::::::::/l、:::::::::::::l   /   小巴 三l三. ヽ_ノ / こ o o
  !:::::::::/l:::l__,,,rタ"゙、;!)、__!::::/ノ 〉、::::::::l   \
   l::::/ lヽ!    _ _   l;/´  ! >、::l   /  剣術しか頼れるものがない自分に絶望した!!
  ノノlヽ、_!    r――‐┐   /_ノ:::|  /
    l::::::>、   レ,二二ェ!  /i:::::::::::l   ̄ ̄|_     /ヽ、  /\   /\    /
    l:::/ /::ヽ、 `ー-―-' ,ィ'::::!\:::::l    (ヽ、//\/   \/   \/   \/
    レ' ム-''´lヽ、  _,,./! ゙ヾ!__ヽ!    ヽ´ヽ、ヽ
            !   ̄     レ;'´  |  (,ゝ、 \ ヽ l、
        /| _,,.-/´  ;; .,,,-!  ヽ、 ヽ、 | | ! l
       / 斤'"〇 /´    ,;;:''" _,l_   ヽ ヽ/  l | l
      /; l、」_,,/     '' ゙;;/  ヽ、   〉  `ヽ  l/
      /!,r''´!/  /     ';,/"゙''':;,,,,;;'' \ /     ,!
    / l ,;;  |l  /`'';, ,,   /   ,;;''"゙''   l     /

 ・『兵法は 能なきものの わざなれば かうぎやうけんくわの もとひ成けり』
  [兵法は 能無き者の わざなれば 口業喧嘩の 元成りけり]
  (意訳 : 剣術は他に能がない奴がやることで、それが元で喧嘩する馬鹿もいるんだよなあ)

 ・『たばかりと 矢とめかうおく 長具足 たぜひにぶぜひ 兵法のほか』
  [謀りと 矢とめ剛臆 長具足 多勢に無勢 兵法のほか]
  (意訳 : 謀略、弓矢、槍や長刀、多勢に無勢、どれも剣術じゃどうしようもないね)

 ・『兵法を しりたるよしの 手柄たて しらぬにおとる せうし成けり』
  [兵法を 知りたるよしの 手柄立て 知らぬに劣る 笑止なりけり]
  (意訳 : 剣術を知らない奴でも、俺と同じような手柄を立てちゃうんだよなぁ…)

 ・『つはものの 法と書たる 兵法を いらぬといふも 無念ならずや』
  [つわものの 法と書きたる 兵法を 要らぬと云うも 無念ならずや]
  (意訳 : 剣術とかいらないって言われた…死にたい…)

263やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:05:40.22 ID:oOt0KuI0
          ____
       / ノ  \\      …ここまで来るとヘコみ過ぎ、というか、
      / (●)  (●)\    .いくらなんでも卑下し過ぎなんじゃないかお?
    / ∪  (__人__)  \   流石にちょっと引くお。
    |      ` ⌒´    |
     \ /⌒)⌒)⌒)   //⌒)⌒)⌒)
    ノ  | / / /   (⌒) ./ / /
  /´    | :::::::::::(⌒)  ゝ  ::::::::::/
 |    l  |     ノ  /  )  /
 ヽ    ヽ_ヽ    /'   /    /
  ヽ __     /   /   /


   / ̄ ̄\         まあ、この辺りは戦国武将としての石舟斎のリアルだろうな。
 /   _ノ  \       剣豪といえど…というか、剣豪だからこそ、
 |    ( ー)(ー)      「剣の限界」というものを知っていたわけだ。
. |     (__人__)
  |     ` ⌒´ノ       剣じゃ世渡りは出来ないし、
.  |       nl^l^l    戦場でも弓には勝てない、槍や長刀にも勝てない、
.  ヽ      |   ノ     多勢を相手にも出来ないし、謀略を避けることも出来ない。
   ヽ    ヽ く      というか、他に能がないからやるものだ、とな。
   /     ヽ \    「ないないづくし、それが剣術」というわけだ。

265やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:09:19.79 ID:oOt0KuI0

         / ̄ ̄\         そして後に宗矩が、「兵法家伝書」において
       / ヽ、. _ノ \
       |  (●)(●) |       『兵法といはば、人と我立ちあふて、
       |  (__人__) |       刀二つにてつかふ兵法は、 負くるも一人、勝つも一人のみ也。
          |   `⌒´   |       .是はいとちいさき兵法也。勝負ともに、其得失僅か也』
        |        }
        ヽ       }        と説いたのも、
        人_____ノ"⌒ヽ     この石舟斎の兵法観…剣への諦念や無力感が
      /           \   影響しているんじゃないかと思う。
     /            へ  \
     (  ヽγ⌒)     |  \   \
  ̄ ̄ ̄\__/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ____
   /      \
  /   _ノ ヽ、_.\     …ここまで来ると、逆になんで石舟斎は剣を捨てなかったのか
/    (-)  (-) \   不思議になってくるお。
|    u   (__人__)    |
/     ∩ノ ⊃  /     なんでなんだお?
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
                   .       / ̄ ̄\
                        ⌒  ⌒   \
                       (●)(● )   |
   ああ、その理由は単純だろ。.  (__人__)     |
  この歌を読んでみろ。         (`⌒´     |
                    .    {           |
                        {        ノ
                         ヽ     ノ
                         ノ     ヽ
                          /      |

266やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:11:14.53 ID:oOt0KuI0

 『兵法は うかまぬ石の ふねなれど すきのみちには すてられもせず』
  [兵法は 浮かまぬ石の 舟なれど 好きの道には 捨てられもせず]

 (意訳:剣術なんかやってても世渡りの役に立たん事くらいわかってるけど、
     でも、好きなんだなあ。やめられない止まらない)

.     .// /,ィlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllミ;;,,_    .  ∧∧∧∧∧∧∧∧∧
.    .// ../,イllllllllllllllllllllllllllllll llllllツミllllllllllllllミi;,,,    .  <             >
..  // /,イlllllllツ/''" ,ィ''"~‐''"   'illllllllllllllllllミi;;,_  /< 剣術とか!     >
..// / ,イlllllllll' ,ィ;;;.r''"~"''‐ 、;; ノ .i .'' "llllllllllllll'i ̄"/ . <   好きだから!! >
' / / ,illlllllllll',イ,ィ .`'‐ 、  _,.}=;;,ツ-.、 .'' ;;ll;;;;;;;i,/ /. <             >
ィ /  ,illllィ-ミ,ィ'/       ̄   l'i,_   `' 、'lll,;;ト、i//  ∨∨∨∨∨∨∨∨∨
/ /。iツ i''i, 'i::;;''i,        ..::,.,l  `'‐- t''ソi'i;i//         .,;;;;;;;;; ;;;;;;;,,
 /  /i  /':::::;;;;;;'i       '':::::;i     .l'ソi',_..',ィ         ,,;;;;;;;;;;:'' ;;;;;;
,イ  /  !,'‐'i;::::::;;;;ソ   .,ィ-- 、_       ,ィ!,ィ;;;;;          ,,;;;;;;;;;'' ,;;  .
  /   ';,,,,,i:::::::;ツ  .,/イ''‐- 、`' ‐ 、  ,イ .,i' ;;;;;        ,,,;;;;;;;;;;;;;,,,;;;;;;;
,イ    ィllllツ::::::ツ  ,i'      ~ソ / 'i'ツ,,,;' ;;;;' ,     _,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
   ./ ,lllllll,::::::::' ,i'       '-/ ,;ツ;;;''  ;;;' ;      ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
  /  ,lィllツ'i;::::' i,. - 、     ,/' .,;;ツ,;''  .';' ;     ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
../  // lツ 'i,:::. ト- .、_~ "''‐、 /  /;;;;'',; .;  ' ,;;    ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
.'  /   ,i':::::::'i,::. ""~' ‐~-''=-'/ /';;;;;;;;; ';  .,;;;    ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
../  ,イ,i':::i:::::::'i:::.      `' ./ ';;;;;;;;;;  ;,; ,;;;    ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;''/
イ_,. r/ i::::::l:::::::::'‐、::::::....    イ  .'';;;;;;'   ; ,;;;;   .,;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/


269やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:14:54.22 ID:oOt0KuI0

          / ̄ ̄\
        / _ノ  ヽ、.\
          |  (⌒)(⌒) .|    まあ、こういうわけだ。
        !  (__人__)  |   好きになったんじゃしょうがねえよなあ。
          , っ  `⌒´   |
       / ミ)      /    家の事ほっといて何やってんだ、と思われるかもしれないが、
      ./ ノゝ     /    石舟斎の場合、剣術をやってなかったとしても、
      i レ'´      ヽ     結局家は潰れてただろうしな…。
      | |/|     | |    

               ∩_
              〈〈〈 ヽ
      ____   〈⊃  }
     /⌒  ⌒\   |   |
   /( ●)  (●)\  !   !    わかったお!
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\|   l   つまり…!
  |     |r┬-|       |  /
  \     ` ー'´     //
  / __        /
  (___)      /


270やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:16:27.45 ID:oOt0KuI0
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  ほんとは出世したかったんだお…
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /


       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  でも世間は剣の腕が立っても相手にしてくれないお…
  |     (__人__)    |  
  \     ` ⌒´     /


       ____
     /⌒  ⌒\
   /( ●)  (●)\
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \   だから趣味でやるお!
  |     |r┬-|     |
  \      `ー'´     /


271やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:18:11.68 ID:oOt0KuI0
       ____
     /_ノ   ヽ_\
   /( ●)( ●)\    …ってことかお?
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
  |     (  (      |
  \     `ー'      /


                           .      / ̄ ̄\
 そういうことだな。                   ./  ヽ、_  \
石舟斎にとって、剣術は実用術である前に    (●)(● )   |
なによりも、                   ..   (__人__)     |
                           .   (          |
  「好きの道」                     .{          |
                           .   ⊂ ヽ∩     く
 だったんだ。                 .     | '、_ \ /  )
役に立つとか立たないとか      .         |  |_\  “ ./
そういう以前の話だな。                 ヽ、 __\_/


       ____        まあ、「好きだから!」と言われたら
     /⌒  ー、\      石舟斎個人としては、そこで話は終わるお。
   /( ●)  (●)\
  /::::::⌒(__人__)⌒:::::\    特にこの場合、
  |     |r┬-/ '    |   剣の限界を知った上で言ってるんだから、
  \      `ー'´     /   もう揺るぎようがないわけだお。

273やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:23:04.85 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
  / ノ  \ \
 |  .(●)(●)  |         ちなみに余談になるが、この点は、
. |  (__人__)  |         石舟斎と宗矩の大きな違いではないかと
  |    `⌒´  |    ) ;;;;)    思われるんだ。
.  |        |    .) ;;;;)
.  ヽ       }   /;;/
   ヽ     ノ   .l;;,´
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/


      _____     ━┓
    / ―   \    ┏┛
  /ノ  ( ●)   \  ・    どういうことだお?
. | ( ●)   ⌒)   |
. |   (__ノ ̄    /
. |             /
  \_    ⊂ヽ∩\
    /´     (,_ \.\
.    |  /     \_ノ

274やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:25:01.30 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\    ) ;;;;)
  /  _ノヽ_\   ) ;;;;)  石舟斎にとって、剣術は「好きの道」だったんだろうが、
 |    (─)(─)  /;;/  宗矩にとっては、あくまで「家業」だったのでは、ということさ。
. |    (__人__)  l;;,´   
  |     `∩_ノ)━・'     つまり、「何のために剣術をやるのか」という
.  |     |_ノ       根本の部分が、実は石舟斎と宗矩は違っていたのではないか、
 /ヽ    |  |_       .ということだな。
 |  \_/ ノ ヽ
 \     /_|  |
 | \ /  _/


     ____
   /      \
  /  ─    ─\     そういや本編(その9、その10)でもそんなこと書いてたお。
/    (●)  (●) \   確か兵庫助に新陰流の正統を継がせる時、
|       (__人__)    |   それが理由として推測されてたお。
./     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /

275やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:27:02.04 ID:oOt0KuI0

           / ̄ ̄\
         /   _ノ  \
         |    ( ●)(●)          まあ、その話はいずれやる予定の、
         |     (__人__)
         |      `⌒´ノ           「柳生宗矩とは結局どういう人物だったのか?」
          |         }
          ヽ        }      (     で話すことにする。
           _ヽ     ノ`ヽ、_     )   長くなりそうだから、ここや本編で書くのも厳しいしな。
.           _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
        _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
.   , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁
  /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ 〉〉〉|
. /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   !

                                 ____
                               /      \
                              / ─    ─ \
        まーた外伝予告かお…。     / -=・=-  -=・=- \
       つーかいつやるんだお、それ?   |      (__人__)  U  |
                            \     `⌒´     ./

   / ̄ ̄\
  / ノ  \ \
 |  .(⌒)(⌒)  |         ははは…まあ、そう言うな。
. |  (__人__)  |
  | u  `⌒´   |    ) ;;;;)    さて、話は戻すが、
.  |        |    .) ;;;;)   前述の通り、石舟斎は剣に対して
.  ヽ       }   /;;/   「役に立たないが」と卑下しているが、
   ヽ     ノ   .l;;,´     反面「役に立つ」ことについても言及してるんだぜ?
. /    ∩ ノ)━・'
 (  \ /|_ノ ヽ  
. \  ""  /_ノ  |        「え?そうなのかお!?」
   \ /___/

278やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:29:21.10 ID:oOt0KuI0

 ・『兵法や こしのかたなも あひおなじ 朝夕いらで いることもあり』
  [兵法や 腰の刀も 相同じ 朝夕いらで いることもあり]
  (意訳 : 剣術も刀も、いらない時もあるけど、使う時だってあるよ)

 ・『兵法は かなはぬ折の 身のためと こころにかけて 稽古能せよ』
  [兵法は かなわぬ折りの 身のためと 心にかけて 稽古能くせよ]
  (意訳 : 剣術は「こんなこともあろうかと」という時のため、と心掛けて稽古しなさい)

                             _..-‐'''" ̄^゙^'ー-,,
                         /             \
                       /              ヽ
                         /  _,,,_                 l
                     / /   .`-、       ._,   │
                        |,,, ′    `''-.... -ー'''"゛ `',   ,!
                       l゙.、l│'〔゙`cー-、_        ! ./
                       l .{|.l゙  ``'''''゛、  `トーc-_,  /.,/   こんなこともあろうかと!
                     ヽ.リ      l     ̄´ ,l,i,゙i } 
                      `l     _/        l`∨
                       ',     ゛ `     /ー ゛
                          ,'、   `──-'   /
                       l .ヽ       /l゙
                     / `'-、,ゝ ..,,_,,,..‐゛ .!
               ___,,.... -ー'''゙.l:::::::::::::`゙'―─-─-"l
          ,―- 、''''''゙゙゙´_,,.. ―ー'''''^゙ゝ ,,,,_::::::::::::::::::::::::::::::l゙_、
      ./    `t'''"゛           ``''- ..,,,,,,,,,.r‐''~''''`-;;;;;,._
     / ::`'' ,、   .l               `l¬一:',       ``==r‐、
   ./゙'-、、::::::\  .l                   l::::::::::.l              l  l
  ./ ::`''-、 \ ::::ゝ  ',               ゙l::::::::::.l          ', !
  ./ ,,_:::::::::::`' ,`'′  l.     ゙゙`-''― ..,,_    .',::::::::::.!      ._,,..〟  ! .|
 │  `゙'-、,:::::/     ',       ゙' ,、:::::::::`'''- 、,}:::::::::::.!  _,..-'"´::./    .', .l

280やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:31:23.83 ID:oOt0KuI0
      ____
    /:::::::::  u\          だから地味だって言ってんだお!
   /ノ└ \,三_ノ\   ,∩__
 /:::::⌒( ●)三(●)\ fつuu    「この新陰流を修めれば、貧弱な坊やでも
 |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒ | |   |     みるみる逞しくなり、身長も伸び、婦女子にもモテモテ!」
 \:::::::::   ` ⌒´   ,/_ |   |
   ヽ           i    丿    とか、そういう景気のいい歌はないのかお?
  /(⌒)        / ̄ ̄´    これじゃ「たまには役に立つこともある」って言ってるだけだお!
 / /       /


        / ̄ ̄\
      /       \
      |::::::        |   そんなものはない。
     . |:::::::::::     |  諦めろ。
       |::::::::::::::    |          ....,:::´, .
     .  |::::::::::::::    }          ....:::,,  ..
     .  ヽ::::::::::::::    }         ,):::::::ノ .
        ヽ::::::::::  ノ        (:::::ソ: .
        /:::::::::::: く         ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
         |:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´

283やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:34:11.94 ID:oOt0KuI0

         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\
     /    。<一>:::::<ー>。  一言で終わらされたお…。
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j  
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.


   / ̄ ̄\
  /  _ノ ヽ_\
 |     (●)(●)       まあ、逆に言えば、個人の剣術が
. |     (__人__)      戦国時代当時、世間からどの程度評価されたかが
  |     ` ⌒´ノ ) ;;;;)   この歌から読み取れるかもな。
.  |         }  .) ;;;;)
.  ヽ        }  /;;/    さて、「いざという時に」使うための剣といえば、
   ヽ     ノ  .l;;,´    既に述べた通り「無刀」があるわけだが、
. /    ∩ ノ)━・'     そいつについても歌がある。
 (  \ /|_ノ ヽ
. \  ""  /_ノ  |
   \ /___/

286やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:36:19.55 ID:oOt0KuI0

 ・『無刀にて きはまるならば 兵法者 こしのかたなは むよう成けり』
  [無刀にて きわまるならば 兵法者 腰の刀は 無用なりけり]

  (意訳 : 「無刀」が極まれば、刀が用いずとも済むのである)

       , ---――---、
     _/lllllllllllllllllllllllllllllll`ヽ、
    /lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllヽ
   /\、llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll冫
   |:/ ヽlllllllllll,,--ーヽ--'´::::::::::|
   | `ヽ、二二_..-''''-、 |:::::::::::::|
   / -ニヽ、   _..-'ニヽ \::::::::::|
  r-‐‐‐--、  二二____   ,!‐-<    とんだところで護身完成、ってか…。
  〔 | ̄ ̄`i --' r‐‐---、`/ /^ 冫
  i、----//~l\ヽ_____//  > 〉/
   `| ̄ / ノ┐`‐--‐'´ / __ノ
   `l`l<ヽニ-'´ヽ、  ,-‐' /ト、
    \`‐‐-‐-‐->    / | \
   ,-'´ |トニ二ニニ/ __/ / | |\
 .,-'´ //|ー‐‐‐‐' /   / ///\
      ヽ――'´    ///

287やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:38:31.48 ID:oOt0KuI0
     ____
   /      \
  /   _ノ ヽ、_.\     いわゆる「護身完成ッ!」ってことかお?
/    (●)  (●) \
|       (__人__)    |    ここで言う『むよう成けり』って
/     ∩ノ ⊃  /    素で読むと「刀は要らない」と読めるけど…
(  \ / _ノ |  |     今までの事を考えると、なんか違う意味があるような気がしてくるお。
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


       (⊃ ̄ ̄\
     (⊃   _ノ  \
    (⊃   ( ●)(●)        まあ、この場合、直接的な技法ではなく、
     |     (__人__)        危機管理的なことを指していそうだな。
     |     ` ⌒´ノ        そういう意味では、この辺りは
       |         } \      宗矩の「無刀」にも引き継がれていると言える。
     /ヽ       }  \ 
   /   ヽ、____ノ     )     そして、この直接的な技法を越えた部分について、
  /        .   | _/    石舟斎は更に踏み込んだ歌を詠んでいるんだ。
 |         / ̄ ̄(_)
  \   \ /| JJJ (
   \  /   /⊂_)

288やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:40:23.18 ID:oOt0KuI0

 ・『てうぶくの 二字のこころを 兵法の ごくいとつねに くふうしてよし』
  [調伏の 二字の心を 兵法の 極意と常に 工夫して良し]

  (意訳 : 心の迷いを如何に抑えるか。これを兵法の極意と心得、常に工夫するべし)

                i!              i|
                |i,             ,i|
  /i             |ii,            ,ii|               |.i,
  i' |i ゙ヽ、,            |li,          i'l|          ,,ィ'  ノノi,
  i ゙i,i,   ゙ヾ、,          ||i!         | li|        /''´  // .}
  { ゙ii,     \\      jl |_,,,r-‐''个''‐-、,_,| i i      //   // ,i'
  i  ヾ、.     ヽヘヽ   ,,rッ' j.ハ,          / i i弋、    //   //  /
  ゙i,  ヽ\    ゙i,ヽi,_,r'''∨//_ ゙i,      / ,ハ i, 仆,  /.//   //  /
  ゙i,  ヽ\   ゙i, i゙i,'ヾ〈.〈〈 ))i,     / r))i 〉 〉'゙i,/ //   /"  /
   ヽ,   ヽ\   i, i i,  i ゙l i,((ヽi,,,r─‐v' ))'シ // / //  /'"  ,ィ
     ト、   ヾ\. ハヾi, i ゙i,゙i,ヾ,シ/√i、゙、((ノ/ // .ノ / i' /'"  /|
    i, \   ヾメ ゙i,ヽ\} ヽ Y´ i" ハ } 乍‐' /厶' ノシ/"   / /
    ゙i,   \ r-、「i  \ヽヘ,_゙'''}. | {  } | ├‐'.ノ-、'//Yノ|  /  ./
     ヽ、  ゙'i,=、ヽ、/ ゙'ニ、ヽ,|,=゙i,゙''''"/=!,/r‐''''く,,r''"、厶″  ノ
      〈\  i,((ゝヽ,,/iH:::::トi::i, ))─'))/仆、:~ヽ/(('''/  ,,,r'〉     天魔降伏!
       ヽ ゙ヾi,ヾ、,, { ヾ、\{゙''ヽ,=' ゙='/"ヾ‐゙'ヽ} ノノ/,,,r‐'"/
       ヽ   ゙i, ))゙i, ミ三三ミ└─、‐ヾ三彡 j i( /'"  /
   _,,,,,,r‐‐''"~゙ヽ、,i,ヾ))\         i ヾ::゙i  ///)ソ,,,r-‐';;::::゙ヽ,、_
_,r‐'":::::::::::::;;;r-‐'::::,r=、 i iヾヽ、    ...i  }:}/" i } /ヾ、:::::::::\、::::::゙ヽ、  _,
゙'''ヽ、,::::-‐'':::::::::::::/(('/\ヽソ ヾi   ゙″ ノii´ {ソ,,仆ノ,ハ::::::::::::::\ヾ,,,r-‐''"
    ゙'ヽ、,,_:::::::/ヘi ゙ヾ、,_\  i|  ー=‐  |i  /,,r='//゙i::::,,,r‐''''"~´
        ゙'ヽi ゝr=、 ゙ヾ,\,_{、  ゙‐   ,i,,r'/" ii/゙)) |'ヘ
          ゙i, (( i!}  i}   ゙ヽ、,,__,,r'″ i{   .|{シノ .|,/
          ゙i, ゙ .{{ヾi, .ii,          ii ((ヾノ   レ
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_゙i, ヾノノ,、ii         ii ヾ、〈  /,,,,,r---──''''''''''"~
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙'i,  {レ' }゙'ト、,     _,,,r┤ハ''ヘ、  // ̄
           ヾiレ/ / ,ハ ゙''ヽ、,r''"  .j∧ ゙i, ゙\{ i
             / i' ./ / .ハ、,,,,,,,i,,,,,,,,,,ノ゙i, ゙i, i, ゙i_,}、
          _,,,,,/-/,_i  | .i' ,r=、 ̄,r=、, i,__i,ノ゙i'^i ゙i、
    _,,,,,,,r=‐''"~ /,、i~/ヽ,メ,,ノ}((⌒)) ((、)),ri  ゙i_,,,レ‐i"}─-、,,,,,_
,,r-‐'''~       {´Yヽr-,i,,_ i_ヾ''')) irヾ' iハ ,r'゙i, }、-‐}    ̄ ゙''''''─=
           ├メノ、,,i! ゙} i゙ヾ=ヾvヘ=ノ ├ヽ‐''~´  |

289やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:42:05.96 ID:oOt0KuI0
         ___
      /)/ノ ' ヽ、\       あれ…?
     / .イ '(●)  .(●)\     これって、剣を以って心法を説く
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \   「活人剣・治国平天下の剣」にかなり近い感じだお?
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /


     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●     そうだな。
   |      (__人__)    考え方としてはかなり近いものがある。
.   |        ノ    
    |      ∩ ノ ⊃     そして、石舟斎の思想は
  /     ./ _ノ     更に続くんだ。
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /

291やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:43:40.10 ID:oOt0KuI0

 ・『兵法の 極意に心 いたりなば かたなだうぐも およばざるもの』
  [兵法の 極意に心 至りなば 刀道具も 及ばざるもの]
  (意訳 : 剣の極意に達すれば、刀や諸道具の直接的な技法では
        及ばない境地に到達できる)

 ・『兵法は しりてもしらぬ よしにして いる折々の 用にしたがへ』
  [兵法は 知りても知らぬ よしにして いる折々の 用にしたがえ]
  (意訳 : 剣の腕なんかひけらかすもんじゃないよ。
        剣にこだわらず、その時々に合わせた対応をする方がいいだろ)

                            r- 、__
                           / , , ,  `ヽ
               ,...-‐ ´ ̄ ̄`‐、    / / / /  /
             ,..-‐'         `‐、 / / /./  /
           /    ,..-< ̄⌒`- 、 ::l  l //  /
          /    /    ̄`>-、 \l .l l/  /
          /     /  ,...-‐ ´ ̄   ヽ ヽ|/  /
         /    / /         ヽ || /
        /    / /   ,...-‐ ⌒ ̄~`‐ヽ|/ ヽ
         l   / /    /         ヽ、  )
        l   / l   /   ,..-――-、__   `ー'、
        ヽ--'  ヽ/   /       ヽ    }
            /    |         ヽ   }
            (     | ,...-‐-  ,.-‐  l   }    剣が駄目なら、
            ヽ    | -= テ  l|‐= テ |  )   他の手を使えばいいじゃない。
             ヽ    |       l    | .)`'
             / ̄l_   ト.   `‐-'    l<
            // /   ,! !、  `=='   /、_ノ
            // /  /.ー'l ` 、 _ __   ノヽ、
           / ./  `ー/ ノ    ー‐ ' |   }
            / /   ,..`-'        |  l
          /  /  ,../l ヽ        |ー '
        /  ,...-‐'   ヽ//`、       ヽ-、_
        / /_    `、 //`、_      `、‐\‐、
     ,...-‐'~ ̄  \    `、// ,'ー,-、__  _,-'、‐、l ` 、
     >、       ヽ‐-、_  ~-'、_,l l .l~ }ヽ、`,ノヽ,  \
    /  `ー-'~」    `、   `ー-、 `ーl__l-'`‐'-'   l   ヽ
    /     ヽ、    `、     `ー-、        |   l 、
    l       し、_   `、      ヽ、     ,...-l  / l ヽ

292やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:45:39.93 ID:oOt0KuI0
     ____ 
   /      \
  /  \   ,_\.     なんだかますます近付いてきたお…。
/    (●)゛ (●) \   宗矩が説いてる事とそれほど違いがない感じだお。
|  ∪   (__人__)    |
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


   / ̄ ̄\
 / ノ  \ \/`i
 |  (●)(●)./  リ    ああ、そして極めつけはこの歌だ。
. |  (__人__)..|  /
  |   ` ⌒´ リ  ヒ
.  ヽ     //  ,`弋ヽ
   ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l
   /〈  `ー〈::....ノ   V
   | ヽ_ー 、 `ヾ_/ //
    |    フ-、`ー┴‐-〃
         `ー‐一′

294やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:47:53.37 ID:oOt0KuI0

 ・『世をたもち 国のまもりと 成人の こころに兵法 つかはぬはなし』
  [世を保ち 国のまもりと なる人の 心に兵法 遣わぬはなし]

  (意訳 : 国を守り治める人こそ、心法として剣術を用いるべきではなかろうか)

    ,ィィr--  ..__、j           ∧
   ル! {       `ヽ,    |\/ ∨ ∨
  N { l `    ,、   i _/
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \    心に兵法…わかったぞ!
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   >  つまり…「剣術=心法」だったんだよ!!
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠   そして人類は滅亡する!!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠  
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /

         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
:::ミ:/ ,,..__ ゙     ~~´  ゙ミミ! '"';:' ;'::'゙:゙::;゙ fミ ノノノ/ili!ヽ::;, /`ヾ .: :.:..:: ミ、
:ミ:/  u  `ヽ、  ゙ , ;, ,; u u゙ミi  ,. ,. ,, ., ., .:i -..,ゞ、ノツソ ,.ヾ;i ,.,  ,..,,.,.   ミ
:/ u    ,.-一‐ヾ 、_;,.;,.,; _,,,;;-'''i/メ、ノノil!))ヾ、 .i ゙;._f5゙`ー;:,.'e-゙:!,.ゞ、_ソツノ;,ヾ;;ヾ゙
     '´  (・) `ー=t"r.` ./;'"r。゙ーt ,;-='´iu""._ u ゙ゞ゙ー' i.._G_,゙;:/t'a`i/i
  u   ゙ー--一,,.::  トー--'::! ゙-一u i、,゚,,ノ.i,j ./" `ヽ. ン u.i、u__ノ´, ゞ、.ィ'
          u   ゙'ヽ ゙`i u ,.:‐-、 ;.ノ  i .i'.._ ゙ー-/  .ノ ./- 、゙7 u 丿
  u    ,.-‐- 、.._ τ/ u ! f--...___7 u丿.i、.:__ヽ / /ヽ. i、___,ソ ./
      /__   `゙ー, u  ノ、 i、 ゙ ゙̄/ ./ ヾー--',ィ'._   `┬‐'´; ゙ヽ
.、     /,,..._" ̄ ゙̄/  /  ゙ヽ二ニ/ ゙`ヽ.   `T'"  `ー、 .,;i  ;   ,イ
;;;;\   i    ゙: ̄ヾ./ /;;;゙、   i::: : :.    ゙i  .,;i  ';.   ゙i ノ  ;' ;/ :i

296やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:50:07.22 ID:oOt0KuI0
         ____
       /::::::::::  u\
      /:::::::::⌒ 三. ⌒\     これって、まんま「活人剣・治国平天下の剣」だお…。
    /:::::::::: ( ○)三(○)\   宗矩より前に、石舟斎がこんなこと言ってたのかお…。
    |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒  | 
     \::::::::::   ` ⌒´   ,/ .
    ノ::::::::::u         \ 
  /::::::::::::::::     u       
 |::::::::::::: l  u           
 ヽ:::::::  -一ー~、⌒)    

                   ,, -‐ 、
                  /'    ヽ
       / ̄ ̄\      ./      i
     / ._ノ  ヽ、\    /    ...........i    そうだ。
     |  (●)(●) |  /   ..:::::::::::::::|   存外に知られていないが、
     |  (__人__)  |  /  ..::::::::::::::::::l    石舟斎はこの兵法百首において、
     .|   ` ⌒´  .} ./  ..::::::::::::::::::::!
      |         }/  .::::::::::::::::::::/     「剣術はただ剣を使うだけの術ではない」
      ヽ       ./   .:::::::::::::::::::/
      .ヽ    . ./  .:::::::::::::::::::/      ということを既に提唱していたんだ。
   ,. ‐'"´  `'‐,r''"~   .:::::::::::::::::/      その意味では、宗矩の「活人剣・治国平天下の剣」は、
..:./,. -‐‐- 、 l′     ..:::::::::::::/|       「石舟斎の思想の完成形」と言えるかもしれん。
:,'      /       !.:::::::/:i..:..l
r   、  /           !::::::::::: i..:..i
l  .......`:i    i         !:::::::::: ゙、:.i
!  ::::::::::/    i       i:::::::::: ヽ:i
.! ::::::::/     i      .....i::::::::::: ヽ
.ヽ ::::::|  `、   `、  .....::::::::::::l::::::::::::  `,
/ \:::l.   `、   ヽ::::::::::::::::::::l:::::::::::  /'''ー─----、
   `ヽ   `、  .::::\:::::::::::::::|::::::::: /,,   ,. ‐;''

298やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:52:34.18 ID:oOt0KuI0
           ___
       /      \
      /ノ  \   u. \     え?
    / (●)  (●)    \  じゃあ、宗矩のやった事はなんだったんだお?
     |   (__人__)    u.   | 
     \ u.` ⌒´       /
    ノ            \
  /´               ヽ


        / ̄ ̄\
      /   _ノ  \        簡単に言えば「理論化」だな。
      |    ( ●)(●)
     . |     (__人__)       実際、この歌にあるのは概念だけで、説明がないからな。
       |     ` ⌒´ノ      これだけで理解しろと言われても困るだろうよ。
     .l^l^ln        }       このままじゃ禅の公案みたいなもんだ。
     .ヽ   L       }
       ゝ  ノ    ノ         そこで宗矩は、石舟斎が概念だけ示したものに
     /   /     \        「何故そうなのか」「具体的にどういうことなのか」を加えて、
    /   /        \       思想として完成させたわけだ。
  . /    /        -一'''''''ー-、.
  人__ノ       (⌒_(⌒)⌒)⌒))

299やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:54:55.88 ID:oOt0KuI0

        / ̄ ̄\         実際、剣術に限らず、
      / -  - \       .芸の道の境地というのは、さっきも言ったが、
      |  (●)(●) |       個人が半ば悟りに近い形で得るものだからな。
      |  (__人__)  |   
       |    `⌒´  │       それを説明しろ、と言われても、
       |         .|       普通はこの石舟斎の歌のように、
       ヽ        /       .概要や結論だけにならざるを得ない。
        ヽ     ノ    
      _/     l__         それを他人にも分かるように明文化し、
 __ゝ_/         ヽ      理論化することに成功したのが宗矩というわけさ。
 \___ノ'        ヽ⌒)  


                                     ____
  なるほど…前に言ってた、               .   /      \
                                  /⌒    ⌒  \
   『父・石舟斎や流祖・上泉伊勢守以来の     ../ (●)  (●)   \
   「新陰流」というバックボーンがあったからこそ  |    (__人__)      |
   作り上げることができた』               \   ⊂ ヽ∩     <
                                  |  |  '、_ \ /  )
  というのは、こういうことだったのかお。     ......  |  |__\  “  /
                                  \ ___\_/


     / ̄ ̄\        そういうわけだ。
   /   _ノ  \      伝わらなければ、どれほど優れた思想でも、
   |    ( ⌒)(⌒)     その本人だけで終わってしまうわけだからな。
   |      (__人__)
.   |        ノ      石舟斎の幸運は、自分の思想を理論化できる
    |      ∩ ノ ⊃     宗矩という息子が得られたことだろ。
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │     そういう意味では、
  \  “ /___|  |     能の「世阿弥・観阿弥」の関係に近いかもしれんな。
.    \/ ___ /


301やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:57:08.38 ID:oOt0KuI0

   / ̄ ̄\
 / ⌒  ⌒ \
 |  (●)(●) |    さて、「活人剣・治国平天下の剣」に繋がる石舟斎の兵法観は、
. |  (__人__)  |   大体こんなところだが、せっかくだし、他の歌も紹介しようか。
  |   `⌒´   ノ
.  |         }    まず、石舟斎の「好きの道」としての兵法観を示すものからな。
.  ヽ        }
   ヽ     ノ    
   /    く 
   |     \
    |    |ヽ、二⌒)


302やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/08(日) 23:59:13.12 ID:oOt0KuI0

 ・『しあひして うたれて恥の 兵法と 心にたへず くふうしてよし』
  [仕合して 打たれて恥の 兵法と 心に絶えず 工夫して良し]

  (意訳 : 仕合で負けたくなかったら、常日頃から工夫しなさい)

  ___    
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| (    ;)  どうしてこうなった・・・
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     / ←仕合に負けた兵法者
 ___
/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|.....||__|| ( ^ω^;)  どうしてこうなった!?
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /

 ___ ♪ ∧__,∧.∩
/ || ̄ ̄|| r( ^ω^;)ノ  どうしてこうなった!
|.....||__|| └‐、   レ´`ヽ   どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
|    | ( ./     /

         / || ̄ ̄||<隙あり!
         |.....||__||∩
          ノ⌒   |ノ   ∧__,∧
         ∪⌒>  ̄ニニ(⊃ ^ω^)・∵  どっ!
           く_く⌒  /`ヽJ   ,‐┘
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/   ´`ヽ、_  ノ
|    | ( ./     /       `) ) ♪

 ___
/ || ̄ ̄||<踊ってないでもっと工夫しろ
|.....||__||
( ∪ ∪
と__)__) 
| ̄ ̄\三  / ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /

304やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:01:50.66 ID:G1kOtss0

 ・『兵法に 余流をそしる 其人は ごくいいたらぬ ゆへとこそしれ
  [兵法に 余流をそしるその人は 極意いたらぬ ゆへとこそしれ]

  (意訳 : よその流派を馬鹿にするようなこと言ってる奴こそ未熟者なんだよ馬鹿)

    ○   し!     _  -── ‐-   、  , -─-、 -‐─_ノ
  田 ○    // ̄> ´  ̄    ̄  `ヽ  Y  ,  ´     )   .○  え
  舎 流    L_ /                /        ヽ   ○   |
  だ が    / '                '           i  流  マ
  け 許    /                 /           く  !?   ジ
  だ さ    l           ,ィ/!    /    /l/!,l     /厶,
  よ れ   i   ,.lrH‐|'|     /‐!-Lハ_  l    /-!'|/l   /`'メ、_iヽ
  ね る   l  | |_|_|_|/|    / /__!__ |/!トi   i/-- 、 レ!/   / ,-- レ、⌒Y⌒ヽ
  | の   _ゝ|/'/⌒ヽ ヽト、|/ '/ ̄`ヾ 、ヽト、N'/⌒ヾ      ,イ ̄`ヾ,ノ!
    は  「  l ′ 「1       /てヽ′| | |  「L!     ' i'ひ}   リ
        ヽ  | ヽ__U,      、ヽ シノ ノ! ! |ヽ_、ソ,      ヾシ _ノ _ノ
-┐    ,√   !            ̄   リ l   !  ̄        ̄   7/
  レ'⌒ヽ/ !    |   〈       _人__人ノ_  i  く            //!
人_,、ノL_,iノ!  /! ヽ   r─‐- 、   「      L_ヽ   r─‐- 、   u  ノ/
      /  / lト、 \ ヽ, -‐┤  ノ  キ    了\  ヽ, -‐┤     //
ハ キ  {  /   ヽ,ト、ヽ/!`hノ  )  モ    |/! 「ヽ, `ー /)   _ ‐'
ハ ャ   ヽ/   r-、‐' // / |-‐ く    |     > / / `'//-‐、    /
ハ ハ    > /\\// / /ヽ_  !   イ    (  / / //  / `ァ-‐ '
ハ ハ   / /!   ヽ    レ'/ ノ        >  ' ∠  -‐  ̄ノヽ   /
       {  i l    !    /  フ       /     -‐ / ̄/〉 〈 \ /!
                 【余流をそしる人の図】

305やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:04:29.91 ID:G1kOtss0

 ・『新陰を 余流となすと 兵法に きめうのあらば 習たづねん』
  [新陰を 余流となすと 兵法に 奇妙のあらば 習い尋ねん]

  (意訳 : よその流派にいいものがあれば、行って習ってきなさい)

 ・『世にふしぎ 奇妙おほきぞ 能ならへ ならふてはちに ならぬへいほう』
  [世に不思議 奇妙多きぞ 能く習え 習うて恥(罰)に ならぬ兵法]

  (意訳 : 世の中は広い!色んな流派や技がある。
       そこに教えを請いに行くのは剣士として全く恥ずかしいことじゃないぞ)

      __
      ,, - ー''' ̄ ̄    ヽ
    /             ヽ
   /        ゝノノ    _丿 | 
   |   , ー--,,_,,,--'' l/  .|
  .|   ヽ          |  |    他流派は決してこわくナーイ
  |   / ,,‐-     -‐   |
  |   i    ,-、     _, |  |     勇気をモテクダサーイ
  ,‐-、  l _   oヽ` ヽ' o`   |
  | 、` l    `ー     ヽ´`i   |
 .|  )             ヽ|   |
  ヽ `     _   ゙ー-、_ ) .|
   ̄i    |   、―ー  | <    
  /.|         `ヽ/   |   \________________
 /  |       -   ノ
 丶   `ヽ __  , , -' ' |ー、
  ヾ   \     /   |  \

306やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:06:14.22 ID:G1kOtss0
         ___
      /)/ノ ' ヽ、\      随分と腰が低いお。
     / .イ '(●)  .(●)\    自流派以外にも良いものや凄いものがある、みたいなことも
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \  さらっと書いてるし、それを習うのは恥じゃないとも言ってるし…。
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /


       ./ ̄ ̄\
       / ヽ、_   .\
     . ( (- ) .   |    石舟斎もまた、伊勢守と同じく、
     . (人__)     |
     r‐-、    .   |     「兵法は恒に新たなるべし」
     (三))   .   |
     > ノ       /     これを心掛けていた、ということだな。
    /  / ヽ、 .   /    自流派の絶対化・孤立化は衰退を招く、というわけだ。
    /  / ⌒ヾ   .〈     後の柳生の事を考えると、なかなか含蓄の深い言葉ではある。
    (___ゝ、  \/. )
      . |\    ,.1
      . |  \_/...|


308やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:08:05.88 ID:G1kOtss0
       ___
     /   ヽ、_ \       それにしても、
    /(● ) (● ) \     読むほどに功名を立てるとかじゃなくて、
  /:::⌒(__人__)⌒::::: \    好きだから剣術をやってたのが伝わってくるお。
  |  l^l^lnー'´       |
  \ヽ   L        /    柳生庄の領主じゃなかったら、
     ゝ  ノ            伊勢守と同じで廻国とかしてたんじゃないかお?
   /   /


     / ̄ ̄\
   /   _ノ  \
   |    ( ●)(●      かもしれんな。
   |      (__人__)    あと、この他、兵法者の日常における
.   |        ノ     心遣いについても歌を遺しているんだ。
    |      ∩ ノ ⊃    それも紹介しよう。
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /

310やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:09:40.42 ID:G1kOtss0

・『つつしまず 兵法面に 出しなば 人ににくまれ はぢやかくらん』
 [慎まず 兵法おもてに 出だしなば 人に憎まれ 恥やかくらん]
 (意訳 : 腕前を自慢し過ぎると、他人に嫌われたり憎まれた挙句、ロクでもない目に遭うよ)

・『兵法を ならひ其身のふりかかり こころ言葉に 気遣をせよ』
 [兵法を 習い其の身のふりかかり 心言葉に 気遣いをせよ]
 (意訳 : 剣術を習う者は、その心がけや言葉遣いに気をつけなさい)

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|||| |||||| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |||||| |||||| <         >
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      【駄目な兵法者の例(この後多分爆死)】

311やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:11:27.39 ID:G1kOtss0

・『おんりやうや けうけんしやうは 新陰の 兵法のはつと 極意成けり』
 [温良や 恭倹譲は 新陰の 兵法の法度 極意なりけり]
 (意訳 : 温良で、謙虚な態度を保つ事は、新陰流の極意である)

・『兵法は かくしつつしむ 心より まさる極意は あらじとぞ思ふ』
 [兵法は 隠し慎む 心より 勝る極意は あらじとぞ思う]
 (意訳 : 腕前を慎み、迂闊に見せびらかさない心掛けこそ、何事にも勝る極意である)

             ,、- ー''''ヽri'''''''ーー ー 、
           ,r'";;;;;"";;;ミy''"彡三三ミミ;ヽ
         / ;;;;;" ;;;;;;;;;;;;;;ヽ'"彡三;;;;;;;;;;;;;;; ヽ
        /彡彡""へ、、ミミ;ii彡彡三;;;;;;;;;;;; ヽヽ
       ,/ ;;;;";;;;彡三三ミミ;;ソ彡彡三:::::;;;;;; ヽ t
       i ;;;;  ;;;;シ彡三ミミ;;;リツ;;;;;;;;;;;;;;ヽ:::;;;";;;iii;; i
      i ;;; ;;;;v;;;;"";;;r'ヽヽ''""'""""'t;;;;;;;;リ iii;;;; ;;; i
      i|i ハ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;t、 -----―― ''i;;;;;ソ::::::::;;;;tt i
      ||;;リ;;;Y;; ;;、;;;;;;;i――― ーーー 'イ;;i;;;ヽ;;;;;;;ヽソ
      i|yリiソ;;;; ;;;ノノ/ソ,,,____,,,  ,,,,,,,,、|、h、;;;;ヽ;;;;;;;;tヽ
      'y ;;;;;;;;;;)rシモェテ'、;;;) r"z'モェテ与`>::y::: ;;;;リ
      ノ ;;;、-'";i  ~~::::: ̄""i |''::::::::::''ヽ  i;;;;;;;;;;;;;; i        お、お前は綺麗な兵法者!>
     /:ツ/;;;;;;;;;/t  ::::"    | :::     '〉;;;,,;;;;,,,,,、
     /://;;;;;;;;;/こt     ,,,( j,,、::    ,'i;;;;;::::: ;;;;;;;i
    (:://;;r;;;;;;、;;;i::t     ヽr"  ,   ,r';;;;;;;;i;;;; ;;;;;|
     ワiii|ハ;;;;;;;;ti;;;i、ヽ,   ~''''ニ ''''''"  /;;;;;;/;;;;;; ;;;;;リ、
    ,ノ;;)し;;;;;;;;;ti;;リ:::::ヽ  'r''"~~   , ';|;;;i";;;;;;; ;;;;;;、、t
   ノ"/;;;;y;;;;;;;;;;;;|ソ:::::::::::ヽ  ,,、,,  、":::;t;;;;;;;;;;;; ;;;; ;;;; |
   (/;;;// "";;;;;;iリ::::::::::::::::::~'ーーー "::: ii ヽ;;;;;;;; ;;;; ;;;;ノリ
 ,,,、,,、t /リii"ii;;;;;;;;ヽ,  ::::::::::::::::;;;;;;;:::::: ii  /;;;;;;;; ;;;; ;;;;/;;ヽ,,,,,,,,,,,,,_
" /r"/;;;;'''';;;it;;;;;;;;,,,,ー、:::::~'' -;;;;;;;:::  ii  彡ノ;;;;;;;/|y;;;i、;;;iヽ'ニ三凸当ヽ,
 / i i;;;;iii;;;;、、ヽ;;;;ミ "" :::::  ;;;;::: ii  ''"フ";;;;";;/i;;;;|リ;j /)~'t)ヽヽ"
. リ |  ヽ;;;j;;;;;;;;ヽヽミヽ、、,,,,,;;;;;;;  ,,、-'""''r''i";;;/|;;;;;;i/;;;ノ";;| i/ /|  `i"  i
.i | t iiiitヽいい;;';;ソ tt    ~''ii:::  /  t;;;;| t(ii||r'/ ;;/ リ i:::  ii  ii
 y | :iiiiヽ t ソリtt 'tt     ii:::/  ::::ヽ、i `/ / /  " /:::   |i  |
  | t iiii ヽ、t ヽ  '-、 ヽ、,,  | /  ::::::::::,,  / /  ii   /::  i
 ||  i  iiii ヽ  ~'ー 、ゝ,,,,,,,,ゝノ  :::::: '"  j| ノ /ノ  /   ::|
 ||  |   iiiii  ヽ        ,,,,,,,;;;;''"  ,,,、- '":: /::::::     :i|::::、
 |.i ハ   iiiiiii  ヽ,,,,,,,,;;;;;;;;:::::::::::::::;;;、-ー'" :::::::  /       ::::i、::ヽ
 | | | i、、   iiiiii   ~~~ '''''''ー- ''~ーー'''""::::::::::,,, /         :::::::
             【良い兵法者の例】

314やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:13:55.02 ID:G1kOtss0
     ____
   /      \ ( ;;;;(     まあ、要するに、
  /  _ノ  ヽ__\) ;;;;)
/  u (─)  (─ /;;/      「強いからって威張るな。
|       (__人__) l;;,´|       ロクなことにならんぞ」
./      ∩ ノ)━・'/
(  \ / _ノ´.|  |       というわけだお。
.\  "  /__|  |      …なんか具体的に嫌なことがあったのかお?
  \ /___ /


      / ̄ ̄\ ( ;;;;(
    / ._ノ  ヽ、\) ;;;;)    どうだろうな。
    |  (●)(●)/;;/    当時の武士の逸話なんかを見てると、
    |  (__人__)l;;,´|     ごく些細なことでの意地の張り合いで、
    | ./´ニト━・' .l     すぐ面目をかけた争いごとが起こったりするから、
    | .l _ニソ    }      剣にことかけて、それを戒めたのかもしれん。
     /ヽ、_ノ    /
    __/  /    ノ__       宗矩に殆ど仕合の逸話がなく、
  / /  /       `ヽ.    腕前を誇るような言説が殆どないのも、この教えの影響かもな。
  /´  ./       ,.  ヽ.   
  ト、_,/.       |、  ヽ  さて、それじゃこの兵法百首の
   |         |/  /  最後の句を紹介するとしよう。

315やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:15:50.65 ID:G1kOtss0

 ・『うかまざる 兵法ゆへに 石の舟 くちぬうき名や すえにのこさん』
  [浮かまざる 兵法故に 石の舟 朽ちぬうき名や 末に残さん]

  (意訳 : 剣で世渡りは出来なかったが、なら、この剣で末代まで名を遺してみせよう)

           _____
         /     ./=\
        /      ((=)(=) 
      /        ((__人)) 
      |             | 
      \            ./ 
        >         <
       ( |        / )
        `|       /' ||
           |      /  ||
         ヽ   ヽ/  .||
          >__ノ;:::.....  .||
         柳生石舟斎

316やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:18:43.11 ID:G1kOtss0
..      ____
     / ―  -\       最初に出た句と対になってるような句だお…。
.  . /  (-)  (-)      なんだか開き直ったような感もあるけど、
  /     (__人__) \    でも、最後の句をこれにしたというのは、
  |       ` ⌒´   |    石舟斎の中で、心の整理が付いたって事かお?
.  \           /
.   ノ         \
 /´            ヽ


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \      ああ。
 |    ( ●)(●)    実際、慶長六年といえば、
. |     (__人__)     柳生庄も戻って、柳生家が再興した後だからな。
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }      柳生家という「荷物」を宗矩に任せた時、
.  ヽ        }     素直に思った気持ちが、これだったんだろう。
   ヽ     ノ      「剣豪・柳生石舟斎」らしいよな。
   /    く 
   |     \       「兵法百首」についてはこんなところだ。
    |    |ヽ、二⌒)

317やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:21:07.27 ID:G1kOtss0

           / ̄ ̄\              あと、少し話が逸れるが、
         /   _ノ  \            「葉隠」で、宗矩が語ったという言葉について
         |    ( ●)(●)          述べている箇所がある。
         |     (__人__)          前に葉隠スレでも紹介されていた、コレ(↓)だ。
         |      `⌒´ノ
          |         }            『柳生殿の
          ヽ        }      (
           _ヽ     ノ`ヽ、_     )      「人に勝つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり」
.           _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
        _, ハ  \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)     と申され候由。
.   , -‐ ´   ,ゝ   \/ _ 又/    ,ヽ\丁     昨日よりは上手になり、今日よりは上手になりして、
  /   ヾ.    \    , イ{`<   _ ,ィ 〉〉〉|     一生日々仕上ぐる事なり。
. /  `゙ヾ\    ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |     これも果てはなきといふ事なり』
. !   ´⌒` ヽ  /     `ーヲ`〈    i   !     (聞書第一)


      _____     
    / ―   \   
  /ノ  ( ●)   \   これは本当に宗矩が言った事なのかお?
. | ( ●)   ⌒)   |  確か「兵法家伝書」にも、他の宗矩の伝書にも、
. |   (__ノ ̄    /  この言葉は書いてなかったはずだお?
. |             /
  \_    ⊂ヽ∩\
    /´     (,_ \.\
.    |  /     \_ノ

318やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:22:40.43 ID:G1kOtss0

   / ̄ ̄\  ( ;;;;(
 / _ノ  ヽ\ ) ;;;;)
 |  ( ─) (─)/;;/
. |   (__人__) l;;,    ああ、確かに「宗矩が書いた伝書」に、これはなかったな。
  |    ∩ ノ)━・'   あくまで>>1が調べた範囲ではあるが…。
.  |   /  ノ´ }    
.  ヽ  / /    }    
   ヽ/ /   ノ
                                   ____
                                /      \
                               /ノ    ヽ_   \
                             / (●)  (●)   \
 なんだか含みのある言い方だお…というと? |    (__人__)      |
                             \   ⊂ ヽ∩     <
                               |  |  '、_ \ /  )
                               |  |__\  “  /
                               \ ___\_/

   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ●)(●)      つまり、宗矩以外が書いた伝書で、
. |     (__人__)      これに合致する記述がある伝書があったってことさ。
  |     ` ⌒´ノ
.  |         }       それが、天正十七年(1589)に石舟斎が書いたという
.  ヽ        }      「柳生家の家憲」とされる伝書の事だ。
   ヽ     ノ  mm
   /    ̄ ̄ ̄ つノ
   |    | ̄ ̄ ̄

319やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:24:04.06 ID:G1kOtss0
           /⌒ソ/⌒ヽ、
        . /  //    ..\      ._,
        /  //      .`ヽ,.._,ィ''´  `'ー- 、      /i
        /  //                  \,.   _..ノ .|
    .   /  //                     ⌒´   .|
      /  //                          |
      /  //                           |
    . /  //        柳生家家憲の書          |
    /  //  .                          |
    /  //                             .|
   ./  //                            . |
  /  //                               |
 ッ芝ヾシ⌒ヽ、                           |
 .ヾニジ    \      ._,.イ⌒ヽ               |
          `ヽ,.._,ィ''´      `'ー- 、        .  |
                         .\,.   _., 、  . .リ
                            ⌒´   \._,ノ

『(前略)
 兵法一儀にあらず、いづれの芸能か、稽古なくして上手のあるべきや。
 此の流には、第一仕相無用たる可き也。
 其の仔細は、余流を廃せずして道をたしなみ、幾重にも他流を育て相尋ねる事尤也。
 世上修行するほどの仁は、一ツ二ツ是非共に、然る可き極意を存ずる者也。
 執心の道を育て、兵法建立の心、後代の為に存ず可し。
 家流に熱心の仁は、先づ浅きより深きに至る。
 一文は無文の師、他流勝つ可きに非ず。きのふの我に、今日は勝つ可しと分別し、
 上手奇妙は、稽古鍛錬工夫上成ると、古人師伝にも申つたへらるる事なれば、
 刀にて腰をふさげたらん者、一世の間の意思、所存、其の身の覚悟を分別の仁、
 懇望執心においては、相伝有る可し。
 努々、表太刀以下を稽古無く、他流の是非を嘲弄し、仕相好き、
 慢心の人へは、家法相伝有る可からざる也。(後略)

  天正十七年五月吉日
  柳生但馬守宗厳』

320やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:26:32.25 ID:G1kOtss0

     ____        なるほど…宗矩は書いてないけど、
    / ⌒  ⌒  \     石舟斎が書いていたってわけだお。
  ./( ―) ( ●)  \   
  /::⌒(_人_)⌒:::::  |    『一文は無文の師、他流勝つ可きに非ず。
  |    ー       .|     きのふの我に、今日は勝つ可し』
  \          /
                  これを宗矩が言ったっていう事かお?


       ., ──‐、
      /     \
.     .|     _ノ  ヽ          まあ、そういうわけだな。
     |     ( ●) (●)        「葉隠」は知っての通り、
     |       (__人__) , -―ーっ   宗矩の直門である鍋島勝茂・元茂親子が治めた
      |     ` ⌒´ノ ( ゝ彡 ̄    鍋島藩(支藩含む)で著された書物だ。
.      ン         } ゙| ̄'|
    /⌒ヽ、     ノ  .|, |        おそらく、勝茂か元茂、
__/   ノ \_ィ ´ー‐ィ'  |       あるいは元茂の側近である村上伝右衛門に対し、
| |  /   /    r____/       宗矩が、石舟斎からの教えを自分なりの言葉にして伝えたものが
| | /   /      |i             逸話として残った…というところじゃないかな。
| | ( 〆⌒'──r─≒、.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

321やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:28:34.97 ID:G1kOtss0

 さて、長くなったが、
これが、宗矩が「活人剣・治国平天下の剣」を作り出すに際し、
その「剣」の礎となった上泉伊勢守と石舟斎の「新陰流」だ。
その積み重ねを、流れで表現するとこうなる。

    / ̄ ̄\        ...伊勢守 : 剣術流派としての新陰流の創始。
   /   _ノ  \.      ....       「相手の動きを読む」、禅語の採用、ふくろしない
   |    ( >)(<)     .... ▽
.   |  ::::::⌒(__人__)      .
   |     ` ⌒´ノ       .石舟斎 : 無刀を始めとする工夫、
.   |         }.    。         「技法以上の存在としての剣術」という概念
.   ヽ        }    /  ... ▽
    ヽ     ノ   ./   ..
     / lヽ介/lヽ、 ,rE)    宗矩   : 「活人剣・治国平天下の剣」
.     | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
    | |  ゚|  |\/____E[]ヨ___________
  _ | |  ゚|  |__
  |\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
  |\\  ⌒  ⌒ 甘 \
  |  \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|


        ___
      /      \         こうして書かれると、
   /          \       確かに代を重ねて発展していったのがわかるお!
  /   ⌒   ⌒   \
  |  /// (__人__) ///  |      「活人剣・治国平天下の剣」単独で見ると、
. (⌒)              (⌒)    かなり唐突な印象があったけど、
./ i\            /i ヽ    実はちゃんと積み重ねがあったって訳だお。

322やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:30:09.21 ID:G1kOtss0

     / ̄ ̄\       実際、宗矩の「兵法家伝書」が目立つから
   /   _ノ  \     あまり知られてないけど、石舟斎の「兵法百首」も
   |    ( ●)(●    当時としては相当珍しい考え方だったんだぜ?
   |      (__人__)
.   |        ノ     例えば、石舟斎より1世代前になる
    |      ∩ ノ ⊃    伊勢守と双璧を為す代表的剣豪・塚原ト伝が遺した
  /     ./ _ノ
  (.  \ / ./_ノ │     『塚原卜傳百首』
  \  “ /___|  |
.    \/ ___ /     なんかと見比べると、
                 全然考え方が違うことがわかる。


         ___
      /)/ノ ' ヽ、\
     / .イ '(●)  .(●)\    そうなのかお?
  .  /,'才.ミ).  (__人__)   \
  .  | ≧シ'   ´ ⌒`     |
  . \ ヽ           /

323やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:31:35.84 ID:G1kOtss0
  _■_ ________________
 |∵∴∵|:::ー-ーーー-ー─ーー--ーーーー-ーー-ー,||
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 |∵∴∵|::::                      ; ||
 |===|::::      塚原卜傳百首      ! ||===-3
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 |∵∴∵|::::                     i  ||
 |∵∴∵|::::                      ; ||
 |∵∴∵|::::                       | ||
 |∵∴∵|:::ーーー ーー- -ーー-ーー-ーー-ーー─ ||
   ̄■ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


【弓について】
 弓はただおのが力にまかすべし 手にあまたる弓は好みぞ
 弦はただふときにしくはなかりけり 細きは根矢をささぬものかは

【馬について】
 馬はただ普通につよき肝そよき 勝るる肝を無肝嫌へり
 三寸たらぬ馬をは昔より 軍の場にきらふなりけり

【刀について】
 太刀の寸臍にくらへて指しぬへし 我身のたけにあはぬ嫌へり
 柄はたた皮にまされる物はなし糸にて巻けばぬれてかわかぬ

【長刀・槍について】
 長刀は二尺にたらぬほそ身をは 持は不覚の有と知るへし
 長き柄の鎗は短くするとても その時々にさはりあらしな

【鎧について】
 心ある昔の人の着し鎧 むな板はかりさねあつくせり
 いつとても鎧の下の膚巻は 綿入る絹にしくなかりけり

【武士の心掛けについて】
 武士はみだりに食をせぬぞよき 日に二度ならで好はしすな
 武士の刀の目釘見もせすに 腰に指すこそ拙かりけれ
 武士の酒を過すそふかくなる 無下に飲まぬもまた愚かなれ
 武士の道行く時に逢ふ人の 右は通らぬ物としるへし
 武士の心にかけよ水游ぎ しらすは常に不覚あるへし
 武士の学をしへはおしなべて 其究りは死のひとつなり

325やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:33:44.13 ID:G1kOtss0
     ____
   /      \
  /   _ノ ヽ、_.\      なんか実用的というか…そのまんまだお。
/    (-)  (-) \    剣術と言うより、戦国武士の実用術、って感じだお。
|   u  (__人__)    |    「一日二食」とか「酒は飲んでも飲まれるな」とか
/     ∩ノ ⊃  /     もう剣術と殆ど関係ないお。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /


    / ̄ ̄\          いや、本来の剣術…兵法の目的を考えれば、
  /   _ノ  \        むしろ、ト伝の方が本来のあり方なんだがな。
  |    ( 一)(●)
  |     (__人__)        実際、歌を見ても剣だけではなく、
   |     `⌒´ノ       他の武器や馬、鎧に関しての歌もあるし、
   |   ,.<))/´二⊃      日常生活での注意なんかもある。
   ヽ / /  '‐、ニ⊃       実用という面で見れば、こちらの方が役立つだろう。
   ヽ、l    ´ヽ〉
''"::l:::::::/    __人〉        で、こうして見比べると、
:::::::::|_/ヽ.   /|||||゙!:゙、-、_      石舟斎の兵法百首の印象がまた変わってくるだろ?
:::::::/´∨/`ー'〉゙||i l\>::::゙'ー、
:::y′.: ',ゝ、_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
/: ://: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

326やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:36:54.62 ID:G1kOtss0
       ____
     /      \
   / ─    ─ \      …そう言われると、なんだか石舟斎も
  / -=・=-   -=・=- \   宗矩と同じくらいの変わり者な気がしてきたお…。
  |      (__人__)  U  |
  \     ` ⌒´     /


   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \
 |    ( ⌒)(⌒)    ははは…まあ、時代の違いだってあるしな。
. |  u  (__人__)    ト伝の頃はまだまだ戦国真っ只中、石舟斎の頃は
  |      |r┬|}    仮にも天下は統一されたわけだしな。
  |      | | |}   
.  ヽ     `ニ}     それに、変わり者かどうかはともかく、
   ヽ     ノ    宗矩、兵庫助と、江戸初期の代表的剣士を
   /    く  \   2人も育て上げた人物だからな。
   |     \   \ 少なくとも只者じゃないのは確かだろ。
    |    |ヽ、二⌒)、

327やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:39:19.68 ID:G1kOtss0

.        / ̄ ̄\
     . / ノ  \ \/`i       とはいえ、宗矩の場合、
     |  (●)(●)./  リ      剣だけで収まらなかったところが、
    . |  (__人__)..|  /       石舟斎との更なる相違点と言える。
      |   ` ⌒´ リ  ヒ
    .  ヽ     //  ,`弋ヽ     さっきの積み重ねにしても、
   __ ヽ  - ′.Y´  , `ヽ`.l   あくまで「剣」に限定した話だからな。
  / :  : :介〈  `ー〈::....ノ   Vヽ  まだ二つ…「禅」と「政」が残っているだろ?
  | : : : : ::〈 「`ヽ_ー 、 `ヾ_/ //:|
  | : : : : : /: | {::::} フ-、`ー┴‐- │    次回はその話をすることにしようか。
  | : : : 〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|


                  ,ヘ
      ____      / /
     /\  /\   / /
   /( ⌒)  (⌒)\/  /    オッケーだお!
  / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /    次は「禅」…沢庵和尚の「不動智神妙録」の話だお!
  |     |r┬-|       |
  \     ` ー'´     /
  /          \
 /             \
/  /\           ヽ
 /   \          ノ
U      ヽ        ノ

328やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:40:45.32 ID:G1kOtss0

                よし、これで今回も終わりだ。
               お疲れ~。

      / ̄ ̄\    …あー、最近はバタバタしてたせいで、
     /   /  \  本編どころかこの外伝の更新もズレ込んで参るよなー。
     |    ( -)(-)
.      |  u   (__人__)                         / ̄ ̄ ̄\    まーその辺は仕方ないお、。
      |     ` ⌒´ノ                    //  \   \  このご時世、仕事があるだけマシだお。
      |         }                     /(-)  (-)    \
.     ヽ       |                     |   (__人__)  u    |  今日はどうするお?
   _/⌒ヽ     ィ                       \          /
  i'⌒゙l |   l       \                    / ̄         ̄ ̄)___
  |  |. |   |       ト \                    / //        /'./ / 〃 ⌒l.
  |  | ( " ̄⌒ヽ、 |_" ̄ ̄⌒ヽ、 _____/⌒\./         /   し'_|;;;;;;;;;;;;|
  |.   ̄ ̄ ̄ ̄|ソ,),) ̄`ヽ ̄⌒ヽ|,),)ソ .l'⌒゙l  ( ゙̄^  ヾ  /⌒ l\ /   |⌒゙|;;;;;;;;;;;;;|
  |        l  .| y  |_ィ   |  .| |  |──=`──‐/  /────|   |;;;;;;;;;;;;;|
  |        |  .|.|   |  |  |   | |  |         ノ_  /       |   |;;;;;;;;;;;;;|
  |        |   |___|  |__|  | |  |        iヘ__ソ         |   |;;;;;;;;;;;;;|
  |_______.|___(__゙)__{___゙)_|__|__|_______ ̄_______.|__|;;;;;;;;;;;;;|

329やる夫で学ぶ柳生一族(外伝その3・後編3)2009/11/09(月) 00:42:13.84 ID:G1kOtss0

                           とりあえず今日は辛いもんが食いてぇな。
                          だいぶ寒くなってきたことだし…。
                                        ___
                                       /       \
       じゃあ駅前の刀削麺出す店に行ってみるお!   /   -     \
      試しに一番辛いやつにチャレンジだお!       |   ( ●)      \ ,,..,.,,...,..、..
              ___                        ヽ   ⌒)_   ,,..,,'"''.''":.:.:;.;;',.,,,,;.",,
         /   ー \                       `(__厂,′.,,"';;''''""^.:.:.:.:.:.:.:.::.....|
        /    (⌒ ) ヽ                          `-、_,,'' ,,ヾ:_;; ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
        /       (⌒  l                             "'r.:.:.:.: ̄."''ヽ、_____/
     ,;:.''";'''"''";;"'';;;.,  _ ̄l__)                              ∨.:.:.:.:.:.:.Y.:.:.:.:.:..:.l
.   ,,::",.,..,:::;:,;;:::,,,::,,,;;..,,"':;,_` ノ                              レ.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:::.:.:.l
   |          _"':; ,.;."                                |.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:::.::.:l
   |      _,'"    Y                               .|.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:...:.|
   \____,''" ̄  Y    ∨.                              |.:/.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:..:.|
    |       |    、|                              レ.:.::.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:|
     |       |    |                                   |.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:::.:.:.|
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    |        |    |                                |.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.|
      l        |    |                              人.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:..:|

【やる夫で学ぶ柳生一族 外伝その3・後編3「活人剣・治国平天下の剣、その礎1(「剣」新陰流-伊勢守と石舟斎)】完

34112009/11/11(水) 01:23:53.03 ID:Y0PlrpI0
 どもども、お疲れ様です。
こないだの後編3ですが、話のテンポ上入れなかったネタがあったので、
せっかくなので、そちらも出しておこうかとー。

 何かと言いますと、例の「石舟斎(宗厳)兵法百首」なのですが、
実はコレ、歌の後に「奥書」がありまして、その内容がまた珍妙というか、
なかなか面白いシロモノなので、ここで紹介をば。

34212009/11/11(水) 01:24:52.10 ID:Y0PlrpI0

【石舟斎兵法百首・奥書】

          _,.r-~~~-,、_
        _r',',',';';';';',',',',';';';',',',','ヽ_
       r'',',',',',',',',',',';',';',',';',',',',';';','ヽ
      f',',',',',',',',',';、;、;、;、;、;',';',',',',',',゙i
      ゞ;';';';';';';/r,⊃ ⊂ミ;';';';';',',';')   風に吹かれて・・・・・・・・・
.      (,',',',',',ri〉ー@‐@‐〈n,',',',',',)
.       (;';';';';l_>r‐ r:》:、ー、<_l;';';';'ソ    ぶらり大和国・・・・・・!
        ヾ;、;'l v~~lj~v |;、;ゾ
   _,,....-‐''"¨ ̄|. , , , ̄, , , j ̄¨`''‐-..、._
   ハ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`Tヾニ~ニフ「:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ   ←石舟斎
  i: :l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| 8:\/ 8:l :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: :l
.  l: : |o_o_o_o_o_o_|: 8/:/8 |o_o_o_o_o_o_l: : l
  |: : :l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|/%o々: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|: : :|
. |\ |_o_o_o_o_o_ol/: :十 : : |_o_o_o_o_o_o|:/:l
 |: : : |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| : : : : : : : :| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| /:|
. |:\: |o_o_o_o_o_o_|三三三三lo_o_o_o_o_o_|: : : :|

”ある夕暮のつれづれに、大和国躰其歴々たづぬるに、”
(意訳 : ある夕暮、近隣の知人を尋ねて回ったところ…)

34312009/11/11(水) 01:26:42.51 ID:Y0PlrpI0

      _、-、〃1,.    -'``~〃´Z
     Z.,.      = =.      ´z      あれあれ?
.    / '´`ミ    = = 、、ヾ~``` \     どうしてここにあいつがいないんだ・・・?
   / ,.--  .ミ   = = ミ.    --、 \
.  <  〃-、  ミ  = =  ヽ   ,.-ヽ  >   どこだ?
   ヽ i  l   | |ヽ= = 〃| | u l  i ゝ_
. / ̄u -,´__  | に|= =| l::|/  _`,ー- ,._ ヽ  どこなんだ・・・? かつての知り合い・・・?
 ーz..ヽ___,,...-,-、ヽ.-'=´= = ゝ| ,´,.-,-...,,___ゝー'
    ',=',=,'=,'=|. /ヾ三 三ノ|  |=,'=,'=,'=,'     どこだ・・・? どこだ・・・? どこ・・・?
  ,―'ーーーーー' /.      |  'ーーーー-'--、
  | l ! i ; '  /.       |  i i i ; , |_
  L____/.        |_______l
   /    ヽ        /     ヽ

”年寄死去し、或はいづくとも行かたしらずなり。”
(意訳 : 皆、年食って死んだり、行方知らずになっていたりした)

34412009/11/11(水) 01:28:13.60 ID:Y0PlrpI0

                     /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  おまえは立派な
                     |  武士だ・・・!
⌒'-―=-               ヽ
: : : : : ̄~゙゙ゝ            ,, ,,  ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
: : : ; : ト、; ミ、         _>゙:":::::::::"Z
: : :ナ∀ \ゞ         >::::<VN\゙、   _,,,_ ,,_
: :/    /          /:r‐:〉⌒ヽ i,> Z::::::;;;;::::::ヽ
ュi  '⌒゙ .\        ノ:::::!../_\ !∠ Σ-"、_)::::::::}
‐|///// r ヽ    ,,. ‐";;::ノ''//ェェ、_ 〈   >┌-|/:::::/
=! !゙''=┬"",....‐''"ヽ  /| //-、ヾエテ < u  ̄/)::/ 
: :|ヾ''―‐┐/:::::::::::::::Y/  | .(〈エエェュ    \ 「/:::;;ヽ、
: : | .〉、  「/:::i:::::::::::::::|  |゙-7‐- ,,__/   > ̄/;::/: :|゙''‐-r 、
\: i\ヽ、ノ :::::!::::::::::::::|:⌒i/⌒ヽ!:::/i": :゙‐'": /::/: : :|: :/: ∈ヨ
-=ヽ| i  |\ ::!::::::::::::::|:::/::::::::::::::::/ i: : :: : : :/::::i⌒ヽi: : : : :!ヲ
    / ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |  アハハ・・・・・・
    |  兜首取り放題・・・!
    ヽ________

         【石舟斎・若き日の一コマ】

”其内之者ども、さすが手柄よう人とある者どもも、”
(意訳 : 彼らの中には見事な手柄を立てた者もいたのだが…)

34512009/11/11(水) 01:29:37.13 ID:Y0PlrpI0
   .____==ヽ     .,.、
   /__  l |/`ー´‐‐‐\
 // _  l:::  ミ,..ー―-‐、 `ヾ
 /f  Z ヾ_|;;   ,.-./l〆l \ \
// /二,\ ミ 彡二\´   ). |―...,,__
/ / l  ー´  ー´ ヽ `l  |.  |    ~\    ぐ
 /  |/l/l/Vヽ/|/ヽl l.  l  |  |           っ
.   /\\    // ':;  l  '  |          ・
、_, ノ j \\  //  ljヽ.    |    /     ・
 /l く  \\|| l/ /. ノ-、:,__  |   /      ・
/| l二> ―-ヽ  ∠-- /|-l (l   |入  |      !
〉ヽ`/   / // uヽ ヽ|-| |,`>´  | .|
   ヽ  し~ ))  U^´ )_ノ | |○  | l      あいつが今は乞食だと・・・!?
   / ⌒ー´<//> `ー~ヽヽ  | |   jヽ'     
 ,,..‐| f王エ=--=壬王) |へf`ー--~  .|       聞きたかねぇ~~~!
   | v   l.j~  u  u'´|  |      ゝ/   そんな話・・・!
   |  l l i i l i i,  |ヽ、.|       ヽ,
   |      u  u   .| 0/|        l
   `ー―――――――´ / |

”かひなく成はて、まことにうへ(飢え)にのぞみ、乞食などの風情になるまま、”
(意訳 : その功績も認められず、飢えに苦しみ、乞食のような有様である)

34712009/11/11(水) 01:31:07.23 ID:Y0PlrpI0
           ~ z
             ~`z
               ~-,_
    ,ヽ!ヘ/`v.        -,,_
   ,ゝ:::.__-.  `' 'V.,v     -,_
  ,ゝ::::ヽ. ヽ.     '^v,    -_   いつの頃からだろう・・・
  ,ゝ::::: ヽ. ヽ.      V`v ヽ, !
  !::::::::  ヽ. ヽ.       |` ! `  織田家はそれほど、
,へ !,::::::.  ヽ. ヽ.       .|       気にならなくなった。
ヘ/ !::::::::  ヽ. ヽ.      .|  _
ゝ /::, '^` .  ヽ. ヽ.     _.-'' _,!
/ ./::::ヽ.  \ ヽ/  _, - ' _, -.i'   それよりたちが悪いというか・・・
. /::::::::: ヽ.   ヽ   /_, - '   !
/::::u::   ` O ::::::: ,------.,/    心にクるのは、
:::::::::      :::::::::: `.O_ -,.~
,.---'  __ ::::u:::::::: > く         豊臣家だ・・・!
::::__    ' :::::::::::::: i~   )
:::: ` - ,_  ‘`;:::::::::. |  ./    あの検地が もし・・・
:::::    ` - ,_ :::::::. | /
:::::::      `-`;. .ノ _.ゝ       平均的というか・・・
::/::::         `-.'_
::::::::::: /         `-_   ごくまともに推移していたならば・・・
::::::::::::::: /          )
::::::::::::::::::::::  /      ./
` - _:::::::::::::::::::  /   /            今頃は・・・・・・
   ` - ,_:::::::::::::::::::  /

”宗厳も入道して法名をそうごん、斎名をば石舟斎と云、
 六十余、いくほどなき露命とありながら、浮世をわたりかね、”
(意訳 : わしも入道して名を「そうごん」、斎名を石舟斎と称し、
      60余年生きてきたが、結局、世間を渡りかねた)

34812009/11/11(水) 01:32:50.04 ID:Y0PlrpI0

                ,、,、,、,、,、,、
               f´,.,.,.,.,.,.,.,., `!             i | | うううっ・・・!みんな・・・・・・どうしてるんだ・・・・・・・?
.               | f´u  u `! |           ‐┼‐ 
.            _,,,...r,| f ヽ> ィ'ノ ! |ヾ,- .,,_         / | ヽ この数多ある灯の下にいるのは・・・ 
.  i | |    _,, -''" _,,|に} ≧.〃≦ {う ||- .,,_"''- ,,_    ___ 幸せ者ばかりってわけじゃねぇだろ・・・!  
 ‐┼‐   ,'i'" _,, -''" .||ゞ{ .U.、|jッ.U .}ノ ||   "''- ,,_.!'i    |  | いるはずだ・・・・・・!オレのような不遇者も・・・!
 / | ヽ   | .|‐''"    .|| . |.!三.三.三!.| .||      | |   |__|  
. ___  |  |      !'==|, , , ,= , ,u |=='.!       |  .|   。  みんな・・・・・・みんな・・・・・・どうしてるんだ・・・? 
 |  |  .|  |       .《 ̄! ̄! ̄》         |  !|.   。  この胸苦しさ・・・・・・焦燥・・・・痛み・・・ 
 |__|  |.!  | _____ヾ, .| | 〃  柳生  .|  | .|.  。  腐敗・・・喪失・・・徒労・・・つまり・・・
  。  .| .|  .| |.!__o___!| ヾ! .〃.|.!二二o.二!|.|   .!|      
  。  |.!   |.|  ̄ ̄ ̄ ̄|.  ∨ .|  ̄ ̄ ̄ ̄| !   .| .|    なにかとんでもない勘違いをしてるんじゃないか・・・?
  。  .| .|   |.|      | 〃|   |      | |i     .|   っていうこの不安感・・・いいのか・・・?
.    |    .! !--------!. }} .|  .!--------!.| .|     |   こんな生き方で・・・!    
    |   ー- !.|       {{ .|         | .|==‐  .|      
.    |     |.|"'i'‐,- , .,,__||__|___,,... , -,‐'i'"| |     |    ううっ・・・!分かんねぇ・・・!オレには分かんねぇ・・・!    
.     |     |ノ"''.‐'- ' .!,,,_|___|___|___|_,,!.. ' -'‐'''"ヽ|     |    みんな・・・・・・本当にどうしてるんだ・・・・・・?   
    |     |      .,  |  !!   ,.        |     |   i | |   
    |     |       - ,`'-| .||.-'´ _, -      |     |  ‐┼‐   
.    |,. ''""ヽ|       `'-ゝ,||,. -'´       !, '"""'ヽ|.  / | ヽ   
.    |''"""''!          ノヽ,        .!''"""''',!|    __
.   ,ィ' 〃 !. ヽ,       /   ヽ,       / .〃 ! | |.  |  |   
   / | i .i .i .iヽ,.)     /     ヽ,       (, 4 i .i .i .| .|  |__|   
.  / .U| !| | |      //      !ヽ,     .i | .| !U  |.   。
 /   ` U´    //       .i .ヽ,    `.U.´   |.  。   
 !         //         ヽ, ヽ         .|  。  
  ヽ,           /            ヽ,          !      
   ゝ_____, '´               ゝ,______ノ

”年にも似合わざる兵法をつかひ、朝夕を且々(ただただ)つづけ侍う事もほい(本意)ならず。”
(意訳 : そして、今も年甲斐も無く剣術をやっている。ずっとやってるが…正直、本意ではなかった)

35012009/11/11(水) 01:34:56.80 ID:Y0PlrpI0

                   、、、 , , _
     ,. -┬i^i、._     ィ`,、,、,、,、,.、'、
.   /    | | .|=ゞ=、 __l/\ v~/!|
   l.    l l l \\{f∥ミゞ, ,ィ≪:lf^i      もういい・・・!
 /ヽ.   ノ「,ト、「.lヘ‐iヾ|rー~r〉〉,こlレ'
/    `ヽ//| ト、ヽlイ| |/|{王王王王}ト、
|      レニ| lニゝ冫! l!L_, , ,ー, , , ,_」シ’、    もう・・・
ヽ    __|ーL|┴^ーヽ>'^ヾ二三シ´\\
 ,ゝ,/  .}二二二二二二二二二lヽ.  ヽ \   休めっ・・・!
l/ |ト、./´\             ||. レ'´ ̄`ヽ
  || !    、\            ||. /      :|
  || |.l l゙!.|i |ヽ)          |l/       /  休めっ・・・!
  || `ヘ)U'J           /-─   ,イ.|
  ||     _           /-─   / ヽ|   太郎(武芸者の名前)っ・・・!
  ||  r‐-゙=っ`ヽ,.--r-─ ''"´ ̄`ヽ   /   }
  ||. {三二    | │          /   /
  ||.  ヾ=--一'`ーゝ        _,. く   ノ|

”しかはあれど、道をたて兵法の師と号し修行する輩、其流稽古をもきはめず、
 手柄だての口上にほこり(誇り)、仕合をし、うたれ、一流の師に科(とが)をきず、
 宗厳年月笑止に存ずるのみ、”
(意訳 : しかしながら、自流派を立てて師を名乗る輩が、
     実際は、その流派すら満足に極められず、
     手柄を口上で誇り、仕合をし、負けて、挙句師に恥をかかせるのは、
     見ていて気の毒に思うばかりであった)

35112009/11/11(水) 01:36:08.03 ID:Y0PlrpI0

これだっ・・・!

兵法の心得を・・・!
ちょこんと添えて・・・ 兵法の歌・・・
兵法百首・・・!

               x !VViハハ/Vレx
 ノ-ァ ノ-ァ ノ-ァ    Σ        Z
  ノ  .ノ  ノ    .Z  ハ/Vヽハ/iv  .ミ     これは嬉しく・・・
             .ソ /::r i::::u:::::::/i:ヽ .k
 ノ-ァ ノ-ァ ノ-ァ    |/u:rxヽヽ:::://xi:ヽ|、
  ノ  .ノ  ノ    .ftヽuゝ 。ゝ.!!.ィ 。 ノ /=i        かつさりげない・・・・・・!
             |F/__u  <<  v-ヽソ
 ノ-ァ ノ-ァ ノ-ァ   ノ`< iヽ__ r_ >>_-i__-ァ>ゝ
  ノ  .ノ  ノ   '/__>ヽ-エエエエエエ-フ <_ヾ、
  ・   ,,. __r-t=ナ" .| uヾエエエエエ!フ u .| ~T==t-t、_
  ・  冫`'-、| | /  .| i i i i~~i i i  |  |  | |   ̄"`,
  ・  /`、  `Y7TTキ-,.`--tx------yt--'  __|__⊥⊥ ,、,、, 、.ヽ
   / `;:,  | ! | |uヒ~゚{  | \____// ,ヘi7,| .| .| .| .|;:;,、,、;.:;, |
   /  冫  ;|' `'`'`'|`ー≦.ヽ ヽ./ / 父':',| u  `|,,:、,、,、;.'  |

”詞(ことば)もつづかざるかたはらいたき(片腹痛き)兵法百首、狂哥をつらね侍る也。”
(意訳 : そこで、碌な出来ではないが、兵法に関する歌を百首用意してみた)

35312009/11/11(水) 01:37:48.85 ID:Y0PlrpI0

     _フ                      ヽ
     フ                       |゛
    ´Z,. ,ィ ,.,.,., ,r'ナノ''v'"'7   /`ソ'-ァ_         |
  <´ `<〃 〃 〃 u ./  ./ u   `>     N  ”兵法の極意を教授する・・・”
   \  \  i |   /  /〃´`l    〉     .|
    / \  \ U  ./  /〃  .|   / .r'⌒'i   |   言っちゃうか
   / {´\\  |i  .i| ./〃   l  l .|⌒i l   |
.  /  l.   \\|!  .!レ'〃    .!l.   l .|⌒| |   l   そんな事も・・・・・・!
  \  l    \    /     !!l.   l |⌒l l    l
    \ ゝ __o/   ゞo _ ノ〃   l .|_ノ /    l
.     )ミ三|     三=彡´ _u_  リ__ノ     ゝ
.   /   /  .|j   --、 -‐'´,r‐、` |\       \
.  (  .|j /         )  /ヽ,イ] .|  \        \
   ヽ  ./     ==   /ヽ/∧! |   \           \
  _ ) ( __,、    .U_..、ィ´`>´ ,、ヘ/ |     \__        \
  ` ‐┬‐┬ ''T''''T´ | __.ゝ'´,、へ冫 ノ .|     /|::::::" '' ‐ 、 .._ \
.    └‐┼┬'=,='-〒‐r‐ヾ__ゝ'´u~ .|     / l:::::::::::::::::::::|::|::::::::: ̄
  f . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ~U   .|    /. ,'::::::::::::::::::::::|::|::::::::::::::
.  l  U   J             |    / /::::::::::::::::::::::::|::|:::::::::::::
  l            ,  ,  i  l   |    / /:::::::::::::::::::::::::::|::|:::::::::::::
_..、-l   l  l  !  '  '  u      |   / ./:::::::::::::::::::::::::::::|::|:::::::::::::
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”第一、石舟斎子共并極意を懸御目、
 弟子衆は此狂哥を不被相忘、御分別御工夫尤候たるべく候也。”
(意訳 : わしの極意をここに教授するので、
     お前たち(弟子達)はこれを忘れないようにし、今後も工夫するように)

35612009/11/11(水) 01:39:42.40 ID:Y0PlrpI0
      /7 !177 ___      (
     .// . i.|  i/__7/ o o    \  言っちまった・・・!
     i/   i,|  "7/         )
           !\         /  あとでこれを見た奴に何を言われるか・・・
           / /         (    考えただけで・・・恥ずかしい・・・ッ!!
        /!,_/      「"7 ゙ヽ,
         / ..,/       | |    レヘ...,,_
     ('_7  iヽ   \_     .r!,,_,i、
  r-、ヽ\ . \    ~゙ - ''"~ヾ  )
  ゙ ぐヾ// \ /へ._   ノ   ri/
     ゙// ヽー" \7二iiニr''"~
   ..:::::::ヽ.,, 丿     /゙'' -//''"iろ
     :::::::::"''ー- .,,. -く ヽー//''"~
     /7 !177::___::::::::ヽ.~//ニわ
    .// . i.|  i/__7/ o o:::::::::::::::
    i/   i,|  "7/

言のはの 露もつづかぬ 口すさび
 残らん跡の 名のはぢぞ憂き

   竹田七郎殿 参
             柳生宗厳
     慶長六年二月吉日

35812009/11/11(水) 01:41:43.25 ID:Y0PlrpI0

 まあ、こんな塩梅でアリマス。
意訳は割と適当なので、ここはこういう解釈の方が妥当じゃね?というのがあったら
ツッコミ頂けますと重畳ー。
(というか、>>350の”道をたて兵法の師と号し修行する輩”が、実は石舟斎の弟子のことで、
 ”一流の師”が石舟斎のことでした、とかいうオチだったらヤです喃)

 しかし、百首の方も鬱入ってる歌がいくつかありましたが、
この奥書のヘコみっぷりもただ事ではありませんな。
牢人真っ最中とかならともかく、一応所領も戻ってきてから書いたものなのに、
なんというか、よっぽど長年色々溜まってたんじゃろかと。
(ただ、「兵法百首」そのものは文禄二年(1593)に成立したともあるので、
 奥書もその時に書かれた可能性もないとは言い切れないのですが…)

 そんなわけで、意訳を書いてると、なんか石舟斎のビジュアルイメージが
どんどん黒沢さんになってきてどうしたものかと。
あるいはファーザー石舟斎とオンナスキー宗矩。

          _ __
         /─二__─_
        //\二| / | |二 \
       / | <~ゝ 二二 ∠~> |
     _// _T|  ┐ l_ |T_,  |_
  _─|  |  `U-  / ) U  | |-、    ギャワー!
 <_|  |  | 、   / ~   \  | | | >  検地で所領を没収されたんじゃよー!
   ─/_/ |  / ̄~\ __/~|  |_|-'   マタエモンスキー!今すぐなんとかするんじゃよー!
      |  |  | ,───-_ |  |
      |  | |/       | |  |     「無茶言うなこの馬鹿!」
      |  | |     ___| /|  |  
      |  | | _ ──     7   |  
       |    |_/ ̄ ̄\_/   /  
       |              / ←石舟斎 
       |              /  
    ─/ ̄|_          _/\ 
       /|  ──────-/ λ  


 ちなみに、比較として紹介した「ト伝兵法百首」にも奥書があるのですが、
こちらの方ですと・・・

36012009/11/11(水) 01:43:52.63 ID:Y0PlrpI0

                    ,r'"´丿ヽ ̄`ヽ、
                 / ,r;:;:、 ⌒   ,ィ;:!         )ー'ヽ、_ノヽ_人_ノヽ_/ヽ__ノヽ
               /  ,イ;:;:;;:;::ゞ、 i ,r;:;:;:,、j        く
               _」 ,′'´r ェェ-、  j;:イェェ、l、         )  
             / ゝ,イ j `ヽ`"´.::;;  ト、"´ ヾi      ヽ    わしが神道流開祖!
             ! ,イl〈〈    ,ィjハノ。 。,j、、,,.  l      ノ    
                |  Y」 i; ,r'´r-、ニニニ = i! ,/     ∠    塚原ト伝高幹であーーるッ!!
             !  ,'  / ,イ,ゞ-j!ーi!ーl-{ i! |      ノ
               ,>,イ  ,!  i/       ,! il,!       `ヽ
            /.:.:/ i .,'  / -‐' "´ ̄ ̄``、ハヽ       //⌒V⌒ヽ/⌒V⌒ヽ/⌒ヽ/⌒
           /.:.:/  | ,' /  ‐'´ ̄ ̄``ヽ `j ,!      
         _/.:.:.:.:i  l  ゝ、_      ,:;' ヽ ー' /ヽ
    _,,,/.:i|.:.:.:.:.:.:|  ゙、        ,:'    /.:.:.:\_
_,ィ´.:.:.:.:.:.:.:.:i|.:.:.:.:.:.:|   `ゝ、. : . : . : . : . : . : ./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ___
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i|.:.:.:.:.:.:|    i  ``ー 、.:.:.:.,、-‐,イ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i|.:.:.:.:.:.:|    l      ̄  //.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

【ト伝百首奥書(一部)】
”十七歳にして洛陽清水寺に於いて真刀仕合をして利を得しより、
 五畿七道に遊び、真剣の仕合十九ケ度、軍の場を踏むこと三十七ケ度、
 一度も不覚を取らず、疵一ケ所も被らず、矢疵被ること六ケ所の外、一度も敵の兵具にあたることなし。
 凡そ仕合、軍の場とも、出逢ふ所の敵を討取ること、一分の手にかけて二百十二人。”

(※ ほぼ読んだままなので意訳は無しで)

36112009/11/11(水) 01:46:23.42 ID:Y0PlrpI0

 …という具合に、実に景気のいい話であります。
実際、時代は下がって武蔵の「五輪書」でも、

 『六十余度迄勝負すといへども,一度も其利をうしなはず』

 と謳ってる訳ですので、
どっちかというと、武芸者(に限らず武士全般として)は
己の経歴を誇り、喧伝する方が多数派だったわけで砂。
まあ、生活が掛かってるわけですから、自分を高く売り込むのは当然と言えば当然ですが。

 なのに、石舟斎の場合、

 『六十余、いくほどなき露命とありながら、浮世をわたりかね、
  年にも似合わざる兵法をつかひ、朝夕を且々(ただただ)つづけ侍う事もほい(本意)ならず』

 とくるわけで、ホント、なんでこの人こんなにダウナー系なのよ、と謎になってくるでアリマス。
どうした爺。

 まあ、穿って見れば、所領が回復して、わざわざ自分の武功を強調する必要もなくなったので、
多少、謙譲してみた、という感じの余裕の産物では、という見方もできるかもしれませんが。

36212009/11/11(水) 01:48:04.09 ID:Y0PlrpI0

 あとついでにもう一つ。

 「葉隠」絡みで紹介した「柳生家の家憲」ですが、
実はそれとは別に「兵法の落索」という書もあるので砂。

【兵法の落索】
 http://www.shuhari.info/tsukinosyo1.html

 内容的には、前に紹介した「柳生家の家憲」と近い内容で、
これまた石舟斎の手によるものだそうなのですが、
不思議な事に、その伝書の後書きには、

 『歳次天文廿三(1554)甲寅三月日 柳生但馬守宗厳之を書す』

 とあるのでアリマス。
この伝書内では、石舟斎が伊勢守に師事し、極意を極めた旨が書かれているのですが、
石舟斎が伊勢守と出会ったのは永禄六年(1563)が初めてのはずなので、
どうも時代が合わず、こりゃなんじゃろな、と。

 天正の間違いじゃろか、とも思いましたが、天正は二十年までですし、
そもそも天文以降で二十三年以上続いた元号はなんと明治だったりしますし喃。
後付けの伝書という可能性もあるかもですし、これまた謎でアリマス。
(まー当方の読み間違いの可能性だってあるかもですが)

36412009/11/11(水) 01:51:20.79 ID:Y0PlrpI0

 とりあえずこんなところでアリマス。
とりとめのない感じですが、だからこそ話に組み込みづらかったということで。

 ちなみに、当方の刀削麺を初めて知ったのはジャンでした喃。
あと、当方、刀削麺は、劉家よりヨドバシアキバ8Fの「XI’AN」の方が好みで砂。
あと、単に辛いラーメンを食うのであれば、陳麻家の坦々麺もアリで砂。

【西安料理 刀削麺・火鍋 XI’AN ヨドバシAKIBA店】
 http://r.gnavi.co.jp/g314413/

【刀削麺 劉家】
 http://ameblo.jp/akibacafe/entry-10014880902.html

【陳麻家 秋葉原店】
 http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131001/13041807/

 食いながら山椒と唐辛子も追加しちゃうでありますよ。
辛い辛い美味い美味い。

 思いつきの投下なので、まさかリアルタイムで見て頂けるとは思いませんでした。
お付き合いありがとうござますー。

 それではではー。

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